――博麗神社境内、巫女が一人箒で境内を掃除している
霊夢 「ふう……、これでひと段落ね」
魔理沙 「何がひと段落なんだ?」
霊夢 「……何だ、あんたか。掃除よ、掃除」
魔理沙 「いつもながら、精が出るな。あの仙人に説教されるからか?」
霊夢 「……日課よ、日課。自分の住んでいるところが汚いって嫌でしょ?」
魔理沙 「まあな」
――お賽銭箱が置いてある石段に二人は座る
魔理沙 「暇だな」
霊夢 「じゃあ、どうして来たのよ」
魔理沙 「暇だから来たんだ。何かないのか?」
霊夢 「そうね……。煎餅だったらあるわよ」
魔理沙 「じゃあ、いただくぜ」
霊夢 「何当たり前のように言ってるのよ……。まあ、いいわ。取ってくるわね」
――霊夢は立ち上がって煎餅を取りに行き、魔理沙は煎餅を取りに行った霊夢にヒラヒラと手を振る。
そして、魔理沙は空を仰ぐ。すると、顔見知りの少女が走ってくるのが横目で見えた。
早苗 「こんにちはー。遊びに来ちゃいました」
魔理沙 「残念だが、ここには何もないぜ」
早苗 「本当ですね。霊夢さんもいないなんて」
魔理沙 「あー、そうだな。これからこの神社は私のものになった」
早苗 「えっ、巫女のお仕事できるんですか?」
魔理沙 「まあな。この境内を掃除して煎餅を食って、おしまいだ」
早苗 「それだけじゃない気が……」
霊夢 「私が死んだみたいな話になってない?」
早苗 「あ、生きてましたか。魔理沙さんがこの神社を乗っ取ろうとしてましたよ」
魔理沙 「この神社は霊夢に釣り合わないということだ」
霊夢 「あんたが言えたことじゃないでしょ」
早苗 「霊夢さん、その右手に持ってる袋は何ですか?」
霊夢 「ん? あー、これは煎餅よ。あんたも食べる?」
早苗 「是非!」
――早苗も加わり、皆石段に座り煎餅を食べ始める。
霊夢 「そういえば、早苗。あんたはどうしてここに来たの?」
早苗 「今日、天気がいいじゃないですか。だから、遊びに来たんです」
魔理沙 「単純だな」
霊夢 「魔理沙だって、そうでしょ」
魔理沙 「いや、私はそんな単純じゃない」
霊夢 「へえ、じゃあ何かあるの?」
魔理沙 「この煎餅、美味いな」
霊夢 「ちょっと、魔理沙」
早苗 「フフ、仲良いですねえ」
??? 「こんにちは」
霊&魔&早 「!?」
??? 「な、な、何ですか!?」
霊夢 「何だ、あんたか」
魔理沙 「びっくりさせんなよ」
早苗 「心臓が止まるかと思いましたよ」
魔理沙 「さすが幽霊だな」
妖夢 「私は半人半霊です!」
霊夢 「次から次へと……。今度は何の用かしら?」
妖夢 「えっと、幽々子様にお使いを頼まれて、そのついでに頭が春っぽい巫女の機嫌を伺ってきなさい、と言われまして」
早苗 「頭が春っぽい……」
魔理沙 「まあ、その通りだな」
霊夢 「悪かったわね、頭が春っぽくて」
魔理沙 「お前も煎餅、食べるか?」
妖夢 「あ、いいんですか」
霊夢 「何よ、皆して私を見て。分かってるわよ、ほら、大事に食べなさい」
妖夢 「ありがとうございます!」
――妖夢も石段に座る
霊夢 「どうして、ここには人間じゃないのが集まるのかしらね」
魔理沙 「私は人間だぜ」
早苗 「私もです!」
霊夢 「あんたは現人神、でしょ」
早苗 「でも、人間ですよ?」
霊夢 「どっちでもいいわ」
魔理沙 「考えることを放棄したな」
妖夢 「この煎餅、美味しいですね。どこで売ってるんですか?」
魔理沙 「空気を読め、とは言わないが、たしかにこの煎餅は美味いな」
早苗 「ですよねー。どこで売ってるんでしょうか」
霊夢 「霖之助さん……、香霖堂っていうお店よ」
妖夢 「えっ、あそこですか。あのお店、苦手なんですよー」
早苗 「なんでです?」
妖夢 「店主があまり……」
魔理沙 「そういえば、酷い目にあってたな」
妖夢 「ちょ、笑わないでくださいよー」
早苗 「あら? 誰か来ましたよ」
霊夢 「ん? あれは……」
――メイド服を着た少女が鳥居をくぐってきた
咲夜 「ご機嫌麗しゅう。今日は天気がいいですわね」
魔理沙 「今度は悪魔の従者か」
咲夜 「あら? 今日は宴会か何かかしら?」
霊夢 「そういうわけじゃないわ。自然と集まったのよ。で? あんたは何か用があるわけ」
咲夜 「ええ。最も頭が春っぽい巫女ではなく、そちらの……」
魔理沙 「んあ? 私か?」
霊夢 「……さっきの会話、聞いてたでしょ?」
咲夜 「はて、なんのことでしょう。それより、白黒の泥棒」
魔理沙 「泥棒じゃない、魔法使いだ」
咲夜 「魔法使いっぽい泥棒、うちの知識人が本を盗まれて困っています」
霊夢 「また、なのね」
早苗 「また、なんですか」
妖夢 「そんなに頻繁に盗むものなんですか?」
魔理沙 「当たり前だろう。あそこの魔術書は目を見張るものばかりだからな」
妖夢 「まじゅちゅちょ……!」
霊&魔&早&咲 「…………」
妖夢 「ま、まじゅしゅしょ……!」
咲夜 「コホン。さて、泥棒。本を返さないと、知識人が直々にあなたの家を漁りに行きますよ」
魔理沙 「おいおい、泥棒はやめてくれ」
霊夢 「泥棒が何を言う」
魔理沙 「いつも言ってるだろう? 私は盗んでるんじゃない、借りてるだけだ」
咲夜 「はあ。ともかく、早急に返すように。……私の用はこれだけ。帰りますわ」
妖夢 「あ! 私ももう帰らなくちゃ! 煎餅、ありがとうございました!」
――妖夢が咲夜を追いかけるようなかたちで去っていった。早苗もまた、立ち上がり霊夢と魔理沙の方に向く。
早苗 「私もこれで。それではっ」
霊夢 「はいはい、じゃあね」
魔理沙 「嵐のようだったな」
霊夢 「本当ね。……で、魔理沙はどうすんの?」
魔理沙 「もちろん」
霊夢 「もちろん、何よ」
魔理沙 「お酒は持ってきたぜ」
霊夢 「……分かったわよ。少しぐらいは手伝いなさいよ」
魔理沙 「もちろん」
――霊夢と魔理沙は神社の奥にある住居となっている建物の中に入っていった。今日も幻想郷は平和だった。
自機人間組によるのほほん会話、まったりとしてて素敵です。
私もいつかこういうのを書いてみたいなあ...