夏の夜である。
外でセミのようなものが大きく啼いた。不気味な音を立てて乾いた風が戸の隙間を抜けると、なにか得体の知れない生き物の声……いや、やめておこう。
暗く光のない玄関。半開きの戸の前に腰掛け、わたしは蚊取り線香に火を付けた。
白い煙が芋虫のようにふにゃふにゃと、空を目指して昇りはじめた。
一瞬、それに目を奪われて意識が遠のく。
すぐに線香の匂いが玄関を包んだ。わたしはその芳香を鼻で味わいながら、玄関に置いた。
枯れた箒がザッ、ザッ、と揺れながら傘立てに向けて倒れた。
隙間風の仕業だと思う。
戸の隙間が気になった。
なにかある。
また急な隙間風……。髪を揺らそうとしたが、揺れなかった。
いきなり今の時刻を訴える鐘が大袈裟にはしゃいでみせた。振り子が揺れたのだ。
時計の小鳥の人形が口をパクパクさせて、無音で出たり入ったりする。
いまは楽しくない。
戸の隙間が妙に気になる。
なにかいる。
覗くと、隙間の先は闇だった。わたしには誰も見えない。
周囲は死んだように静かで、箒の倒れた音以降は何もわたしの耳に届いていない。
戸の隙間が妙に気になる。
なにかきている。
わたしは線香の匂いを嗅いだ。
無臭。
蚊取り線香はジリジリと火を中心に抉る。抉る。抉る。
わたしは一心不乱に見つめた。
あと2周……あと1周……もう少し。
目の前で戸が開いた。
顔をあげるとそいつはおの
外でセミのようなものが大きく啼いた。不気味な音を立てて乾いた風が戸の隙間を抜けると、なにか得体の知れない生き物の声……いや、やめておこう。
暗く光のない玄関。半開きの戸の前に腰掛け、わたしは蚊取り線香に火を付けた。
白い煙が芋虫のようにふにゃふにゃと、空を目指して昇りはじめた。
一瞬、それに目を奪われて意識が遠のく。
すぐに線香の匂いが玄関を包んだ。わたしはその芳香を鼻で味わいながら、玄関に置いた。
枯れた箒がザッ、ザッ、と揺れながら傘立てに向けて倒れた。
隙間風の仕業だと思う。
戸の隙間が気になった。
なにかある。
また急な隙間風……。髪を揺らそうとしたが、揺れなかった。
いきなり今の時刻を訴える鐘が大袈裟にはしゃいでみせた。振り子が揺れたのだ。
時計の小鳥の人形が口をパクパクさせて、無音で出たり入ったりする。
いまは楽しくない。
戸の隙間が妙に気になる。
なにかいる。
覗くと、隙間の先は闇だった。わたしには誰も見えない。
周囲は死んだように静かで、箒の倒れた音以降は何もわたしの耳に届いていない。
戸の隙間が妙に気になる。
なにかきている。
わたしは線香の匂いを嗅いだ。
無臭。
蚊取り線香はジリジリと火を中心に抉る。抉る。抉る。
わたしは一心不乱に見つめた。
あと2周……あと1周……もう少し。
目の前で戸が開いた。
顔をあげるとそいつはおの
最近はどれも短く作るのが流行ってんのかな
物足りない
死に神が持つのは「鎌」だから、「小野塚」と続くのかしらん?
こまっちゃんお迎えに立候補したのかな、そうだとしたらホラー系ほのぼのだ
ところでなるほど、書き方一つで雰囲気も変わるもんだな
東方では、普通の人間は普通に死神のお迎えもなく死ぬんだよ。
書籍ちゃんと読んで欲しいな。
切れ方が妙にシュールで笑ってしまったw
ついでに幾つかツッコミを。
>顔をあげるとそいつはおの
小野塚小町……と続くのでしょうが、目の前に死神が居るような状態で「小野塚小町」と考えますかね?
「あの死神」とかせめて「小町」の方が良いかと思います。
あとは、何故午前2時になる直前に死んだと分かっているのか。
あえて明らかにしないでホラー度を増すということかもしれませんが、これだけだと?となりますね。