「そういやさ、霊夢の巫女服ってどうして腋の部分が空いてるんだ?」
ある宴会の日のこと。一発芸やら弾幕勝負やら飲み比べやらなんやら、今回の宴会でのメインの催し物は一通り終わって、酒をちびちびやりながらとりとめのない話をしている途中に、魔理沙は常日頃から抱いていた素朴な疑問を何気なくぶつけた。それが、宴会最大の騒動を引き起こすとは露知らず。
「う゛っ、それは……」
「あ、それ私も気になってました! 私の巫女服も霊夢さんのと同じデザインですし、何か理由があるのかなと」
「そう聞くと不思議ね。私の知ってる巫女服は腋空いてないし」
その質問に、人妖たちが食いついた。既に宴もたけなわとなり、心地よい静けさに包まれていた博麗神社が、また陽気な声に包まれる。質問をぶつけられた当の本人は、酒でうっすらと赤みがかっている頬をいっそう紅く染めて、ばつが悪いような顔をして口を開いた。
「そ、それはね。実は、この巫女服の開いた腋の部分から八百万の神の神通力が流れ込む仕組みになっていて……」
「あー、はいはい。香霖、あの巫女服作ったのってお前だよな。どうして腋が空いてるんだ? お前の趣味か?」
「聞きなさいよっ!」
渾身の言い訳をスル―されて、霊夢が大きな声を上げた。突然質問された霖之助が、首を傾げながら答える。
「いや、僕も製作の時に図面を渡されただけで、どういう理由でそうなってるのかは知らないんだ」
「発案は香霖じゃなかったのか。じゃあ、その図面ってのを作ったのは?」
「それは、そこの……」
霖之助がある一点を指差す。そこにいる人物を見た瞬間、そちらを向いた人妖たちが一斉にこう思った。
「私だ」
『またお前かっっ……!』
そこでいつもの胡散臭い笑みを浮かべているのは、他でもない『神隠しの主犯』『割と困ったちゃん』こと、八雲紫その人であった。幻想郷で何かしらの騒動があれば、『八雲の仕業じゃ!』と、天狗を差し置いて真っ先に犯人扱いされるほどのカリスマ(?)と、『境界を操る能力』というあらゆる悪戯を可能にする能力の二つを備え持ち、実際そういった騒動の犯人の九割以上は本当に紫の仕業である。以上の要点を踏まえた上で、彼女が幻想郷一のトラブルメーカーと言うことに文句をつける余地があろうか? いやない(反語)。
今回、魔理沙が抱いた素朴な疑問も、元はと言えばこの八雲紫が原因だったというわけである。という衝撃の事実は横に置いて、魔理沙は次に紫に問いかけた。
「それで、どうして霊夢の巫女服は腋の部分が空いてるんだ? お前の趣味か?」
「まあ、私の趣味もあるのだけれど……」
「あるのかよっ」
「本当の理由は別よ。実は、霊夢はね……」
「紫っ! 言うんじゃないわよ!」
質問に答えようとした瞬間、霊夢が顔を真っ赤にして紫を制止した。人妖たちは、普段あまり感情を表に出さない霊夢がここまで慌てているのを見て、これはいいからかいのネタになりそうだと一瞬で判断し、総員で霊夢を取り押さえた。
「あんたらっ、離せーっ!」
「だが断る、ですよ」
「……まあ、霊夢が何をそんなに恥ずかしがってるのか、興味が湧くしねぇ」
「まあ霊夢は置いといて、腋巫女服の秘密よね?」
「そうだぜ」
「実は、霊夢は……」
某クイズ番組の司会者ばりに溜めを入れる紫を、人妖たちが固唾をのんで見守る。霊夢の必死の叫び声をバックに、紫がその重い口を開いたのは、CMの後……ではなくて、十数秒後だった。
「腋汗の量が常人よりも遥かに多いのよっ!」
「……はあ?」
魔理沙が皆の思いを代弁したかのような間の抜けた返事を返す。そんな様子の人妖たちと、顔を真っ赤にしてブツブツと独り言を言っている霊夢を尻目に、紫が過去の事を長々と語り始めた。
「あれはある夏の暑い日の出来事だったわ。霊夢が五歳くらいの頃の話なのだけれど、まだまだ年相応に甘えん坊でねぇ、私の事を紫お姉さんって呼ばせたりぐへへ、おっと失礼。まあその頃から私は霊夢の世話を色々としてた訳よ。その頃はまだ先代巫女が博麗神社に居て、博麗の巫女の仕事をしていたから、霊夢が巫女の仕事をする必要はなかったの。特に先代巫女は厳格な人だったから、巫女の仕事に霊夢が着いて行くことも許されていなかった。だから、霊夢は巫女服ではなく、普通の夏服を着ていたわけね。だけれどその日、先代が博麗の巫女としての修業を始めてもいいと、許可を出した。それと共に、博麗の巫女の象徴である巫女服を霊夢に与えたの。あ、ここでいう巫女服っていうのは、今の腋巫女服ではないからね。それで、私もその時博麗神社に居合わせてて、先代巫女から、霊夢の仕事の監視役をしてくれ、と言われたの。私は快く頼みを引き受けて、テキパキと仕事をこなす霊夢の姿を見守っていたのだけれど、三、四時間くらい経った頃かしら。何か、霊夢の様子がおかしかったの。なんとなくもじもじしていて、顔も赤かったし。私は霊夢が熱中症になったのかと心配になって、声を掛けたわけ。そしたら霊夢が『ゆかりおねえさん、ここがびっしょりぬれてきもちわるいよー……』って涙目になりながら上目づかいで殺人級の言葉をじゅるり、おっと失礼。あ、ここっていうのは腋の事ね。エロい方想像した奴、スキマ送りね。まあとにかくそう言われて見てみると、確かに腋の部分だけ他の所と比べて凄く濡れてたのよ。特異体質か何かだと私は判断して、このままではいかんと言うことでマヨヒガに帰って一心不乱に考えたわ。霊夢のための特注の巫女服のデザインを。三日三晩考えてやっと図面を作り、香霖堂の店主の所に持って行って無理やり作らせたのが、今霊夢が着ている腋巫女服、という訳。まあとりあえず霊夢可愛いわ霊夢」
「……随分な長話お疲れ様だが、つまり霊夢の腋汗が凄いってだけで特別な理由は特にないと? なんというか、普通だなぁ」
「うぐぅ……」
紫の話を聞いて、魔理沙が少し残念そうに感想を漏らした。霊夢は恥ずかしさで爆発しそうな様子である。しかし、魔理沙の言葉を聞いた紫が、突如目をカッと見開いて叫んだ。
「甘いっ! 甘すぎるわ、魔理沙っ!」
「なんだよっ、いきなり大声出すな! びっくりするだろ!」
「確かに、腋巫女服が出来た経緯は普通かもしれない。だけれど、腋巫女服を着用した霊夢は普通じゃないわよ!」
「いや、普通だが」
「想像しなさい」
「はあ?」
「夏の暑い日。腋巫女服を着用した霊夢が、暑さに耐えきれず流れ出た腋汗をほんのりと赤く染まった顔で見つめながら、『やだぁ……、べたべたするぅ』と言っている光景をっ!」
「……っ!」
「腋汗の多さを気にして普通の服を着れないジレンマに、『私も他の人たちみたいにかわいい服、着たいなあ……』と一人呟く光景をっ!」
「うぅっ!」
「腋の匂いを気にしてお風呂の時に腋を念入りに洗うとき、腋の敏感な所に当たって『んっ……!』となっちゃう光景をっ!」
「むぐうっ!」
「……想像したわね? 想像したわね!? こう……、『クる』でしょ?」
「……ああ、『クる』な」(結婚しよ)
紫と魔理沙、それと何名かの人妖が、なんというか見せられませんな表情に顔を歪ませ、妄想に耽り始めた。他の人妖たちは、ドン引きして紫たちから距離を取っている。
「そこで、私にいい考えがある」
「聞かせろ」
「霊夢が腋汗を気にした時、本人の意思と無関係に現われて、霊夢の腋を拭いてあげてキャッキャウフフちゅっちゅぺろぺろする部隊……。名付けて、『霊夢の腋をふきふきし隊』。略して『レワフキ隊』を今ここで結成する!」
「すっげえ語呂悪い!」
「入隊を希望する淑女は前に出なさい!」
魔理沙を含む数人の人妖が前に出た。その面々は、いずれも劣らぬ変態――勇者揃いである。その面構えは、皆一様に欲望――使命感に満ちている。
「良く決断してくれたわ。そして、貴方たちに最初の任務を与えます。――目標、霊夢! さっきのバタバタでちょっとかいてしまったと思われる汗をふきふきしてキャッキャウフフちゅっちゅぺろぺろすること! 総員、突撃――!」
『うおおおおおおおおおおお!』
俯いてわなわなとふるえている霊夢に、『霊夢の腋をふきふきし隊』が突撃する。果たして、『霊夢の腋をふきふきし隊』は見事に最初の任務を成功させ、キャッキャウフフすることが出来るのか!?さあ、私たちの戦いはこれからだ――!
「あんたら、いい加減にしなさあああああああああい!」
……怒りを爆発させた霊夢の夢想封印が、『レワフキ隊』を妖怪の山まで吹き飛ばしたのは、その直後の事であった。こうして、彼女たちの最初で最後の任務は、見事な失敗に終わった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
結局、『レワフキ隊』は即日解散と言うことになり、紫たちの陰謀は潰えることとなった。紫以外の面々は、酒が回っていたことと吹き飛ばされた時の衝撃とで記憶を失っており、各自の勢力に戻った時にドン引きされて涙目状態に。それに懲りて、『レワフキ隊』には一切関わらないこととなった。しかし、紫は未だに霊夢の腋の事をあきらめてはいなかった。博麗神社の片隅で、自らの手帳にペンを走らせる紫は、どこか生き生きとしているようだった。……しかし、その事に集中しすぎて、背後に近づく影には気が付けなかった。
「さーて、次はどんな方法で霊夢の腋を狙うべきか……」
「…… ゆ か り ?」
『ゴンッ』という大きな音が、境内に響き渡った。
ある宴会の日のこと。一発芸やら弾幕勝負やら飲み比べやらなんやら、今回の宴会でのメインの催し物は一通り終わって、酒をちびちびやりながらとりとめのない話をしている途中に、魔理沙は常日頃から抱いていた素朴な疑問を何気なくぶつけた。それが、宴会最大の騒動を引き起こすとは露知らず。
「う゛っ、それは……」
「あ、それ私も気になってました! 私の巫女服も霊夢さんのと同じデザインですし、何か理由があるのかなと」
「そう聞くと不思議ね。私の知ってる巫女服は腋空いてないし」
その質問に、人妖たちが食いついた。既に宴もたけなわとなり、心地よい静けさに包まれていた博麗神社が、また陽気な声に包まれる。質問をぶつけられた当の本人は、酒でうっすらと赤みがかっている頬をいっそう紅く染めて、ばつが悪いような顔をして口を開いた。
「そ、それはね。実は、この巫女服の開いた腋の部分から八百万の神の神通力が流れ込む仕組みになっていて……」
「あー、はいはい。香霖、あの巫女服作ったのってお前だよな。どうして腋が空いてるんだ? お前の趣味か?」
「聞きなさいよっ!」
渾身の言い訳をスル―されて、霊夢が大きな声を上げた。突然質問された霖之助が、首を傾げながら答える。
「いや、僕も製作の時に図面を渡されただけで、どういう理由でそうなってるのかは知らないんだ」
「発案は香霖じゃなかったのか。じゃあ、その図面ってのを作ったのは?」
「それは、そこの……」
霖之助がある一点を指差す。そこにいる人物を見た瞬間、そちらを向いた人妖たちが一斉にこう思った。
「私だ」
『またお前かっっ……!』
そこでいつもの胡散臭い笑みを浮かべているのは、他でもない『神隠しの主犯』『割と困ったちゃん』こと、八雲紫その人であった。幻想郷で何かしらの騒動があれば、『八雲の仕業じゃ!』と、天狗を差し置いて真っ先に犯人扱いされるほどのカリスマ(?)と、『境界を操る能力』というあらゆる悪戯を可能にする能力の二つを備え持ち、実際そういった騒動の犯人の九割以上は本当に紫の仕業である。以上の要点を踏まえた上で、彼女が幻想郷一のトラブルメーカーと言うことに文句をつける余地があろうか? いやない(反語)。
今回、魔理沙が抱いた素朴な疑問も、元はと言えばこの八雲紫が原因だったというわけである。という衝撃の事実は横に置いて、魔理沙は次に紫に問いかけた。
「それで、どうして霊夢の巫女服は腋の部分が空いてるんだ? お前の趣味か?」
「まあ、私の趣味もあるのだけれど……」
「あるのかよっ」
「本当の理由は別よ。実は、霊夢はね……」
「紫っ! 言うんじゃないわよ!」
質問に答えようとした瞬間、霊夢が顔を真っ赤にして紫を制止した。人妖たちは、普段あまり感情を表に出さない霊夢がここまで慌てているのを見て、これはいいからかいのネタになりそうだと一瞬で判断し、総員で霊夢を取り押さえた。
「あんたらっ、離せーっ!」
「だが断る、ですよ」
「……まあ、霊夢が何をそんなに恥ずかしがってるのか、興味が湧くしねぇ」
「まあ霊夢は置いといて、腋巫女服の秘密よね?」
「そうだぜ」
「実は、霊夢は……」
某クイズ番組の司会者ばりに溜めを入れる紫を、人妖たちが固唾をのんで見守る。霊夢の必死の叫び声をバックに、紫がその重い口を開いたのは、CMの後……ではなくて、十数秒後だった。
「腋汗の量が常人よりも遥かに多いのよっ!」
「……はあ?」
魔理沙が皆の思いを代弁したかのような間の抜けた返事を返す。そんな様子の人妖たちと、顔を真っ赤にしてブツブツと独り言を言っている霊夢を尻目に、紫が過去の事を長々と語り始めた。
「あれはある夏の暑い日の出来事だったわ。霊夢が五歳くらいの頃の話なのだけれど、まだまだ年相応に甘えん坊でねぇ、私の事を紫お姉さんって呼ばせたりぐへへ、おっと失礼。まあその頃から私は霊夢の世話を色々としてた訳よ。その頃はまだ先代巫女が博麗神社に居て、博麗の巫女の仕事をしていたから、霊夢が巫女の仕事をする必要はなかったの。特に先代巫女は厳格な人だったから、巫女の仕事に霊夢が着いて行くことも許されていなかった。だから、霊夢は巫女服ではなく、普通の夏服を着ていたわけね。だけれどその日、先代が博麗の巫女としての修業を始めてもいいと、許可を出した。それと共に、博麗の巫女の象徴である巫女服を霊夢に与えたの。あ、ここでいう巫女服っていうのは、今の腋巫女服ではないからね。それで、私もその時博麗神社に居合わせてて、先代巫女から、霊夢の仕事の監視役をしてくれ、と言われたの。私は快く頼みを引き受けて、テキパキと仕事をこなす霊夢の姿を見守っていたのだけれど、三、四時間くらい経った頃かしら。何か、霊夢の様子がおかしかったの。なんとなくもじもじしていて、顔も赤かったし。私は霊夢が熱中症になったのかと心配になって、声を掛けたわけ。そしたら霊夢が『ゆかりおねえさん、ここがびっしょりぬれてきもちわるいよー……』って涙目になりながら上目づかいで殺人級の言葉をじゅるり、おっと失礼。あ、ここっていうのは腋の事ね。エロい方想像した奴、スキマ送りね。まあとにかくそう言われて見てみると、確かに腋の部分だけ他の所と比べて凄く濡れてたのよ。特異体質か何かだと私は判断して、このままではいかんと言うことでマヨヒガに帰って一心不乱に考えたわ。霊夢のための特注の巫女服のデザインを。三日三晩考えてやっと図面を作り、香霖堂の店主の所に持って行って無理やり作らせたのが、今霊夢が着ている腋巫女服、という訳。まあとりあえず霊夢可愛いわ霊夢」
「……随分な長話お疲れ様だが、つまり霊夢の腋汗が凄いってだけで特別な理由は特にないと? なんというか、普通だなぁ」
「うぐぅ……」
紫の話を聞いて、魔理沙が少し残念そうに感想を漏らした。霊夢は恥ずかしさで爆発しそうな様子である。しかし、魔理沙の言葉を聞いた紫が、突如目をカッと見開いて叫んだ。
「甘いっ! 甘すぎるわ、魔理沙っ!」
「なんだよっ、いきなり大声出すな! びっくりするだろ!」
「確かに、腋巫女服が出来た経緯は普通かもしれない。だけれど、腋巫女服を着用した霊夢は普通じゃないわよ!」
「いや、普通だが」
「想像しなさい」
「はあ?」
「夏の暑い日。腋巫女服を着用した霊夢が、暑さに耐えきれず流れ出た腋汗をほんのりと赤く染まった顔で見つめながら、『やだぁ……、べたべたするぅ』と言っている光景をっ!」
「……っ!」
「腋汗の多さを気にして普通の服を着れないジレンマに、『私も他の人たちみたいにかわいい服、着たいなあ……』と一人呟く光景をっ!」
「うぅっ!」
「腋の匂いを気にしてお風呂の時に腋を念入りに洗うとき、腋の敏感な所に当たって『んっ……!』となっちゃう光景をっ!」
「むぐうっ!」
「……想像したわね? 想像したわね!? こう……、『クる』でしょ?」
「……ああ、『クる』な」(結婚しよ)
紫と魔理沙、それと何名かの人妖が、なんというか見せられませんな表情に顔を歪ませ、妄想に耽り始めた。他の人妖たちは、ドン引きして紫たちから距離を取っている。
「そこで、私にいい考えがある」
「聞かせろ」
「霊夢が腋汗を気にした時、本人の意思と無関係に現われて、霊夢の腋を拭いてあげてキャッキャウフフちゅっちゅぺろぺろする部隊……。名付けて、『霊夢の腋をふきふきし隊』。略して『レワフキ隊』を今ここで結成する!」
「すっげえ語呂悪い!」
「入隊を希望する淑女は前に出なさい!」
魔理沙を含む数人の人妖が前に出た。その面々は、いずれも劣らぬ変態――勇者揃いである。その面構えは、皆一様に欲望――使命感に満ちている。
「良く決断してくれたわ。そして、貴方たちに最初の任務を与えます。――目標、霊夢! さっきのバタバタでちょっとかいてしまったと思われる汗をふきふきしてキャッキャウフフちゅっちゅぺろぺろすること! 総員、突撃――!」
『うおおおおおおおおおおお!』
俯いてわなわなとふるえている霊夢に、『霊夢の腋をふきふきし隊』が突撃する。果たして、『霊夢の腋をふきふきし隊』は見事に最初の任務を成功させ、キャッキャウフフすることが出来るのか!?さあ、私たちの戦いはこれからだ――!
「あんたら、いい加減にしなさあああああああああい!」
……怒りを爆発させた霊夢の夢想封印が、『レワフキ隊』を妖怪の山まで吹き飛ばしたのは、その直後の事であった。こうして、彼女たちの最初で最後の任務は、見事な失敗に終わった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
結局、『レワフキ隊』は即日解散と言うことになり、紫たちの陰謀は潰えることとなった。紫以外の面々は、酒が回っていたことと吹き飛ばされた時の衝撃とで記憶を失っており、各自の勢力に戻った時にドン引きされて涙目状態に。それに懲りて、『レワフキ隊』には一切関わらないこととなった。しかし、紫は未だに霊夢の腋の事をあきらめてはいなかった。博麗神社の片隅で、自らの手帳にペンを走らせる紫は、どこか生き生きとしているようだった。……しかし、その事に集中しすぎて、背後に近づく影には気が付けなかった。
「さーて、次はどんな方法で霊夢の腋を狙うべきか……」
「…… ゆ か り ?」
『ゴンッ』という大きな音が、境内に響き渡った。
ところで『レワフキ隊』加入手続きが出来るのはここですか?
ただ、逆にお手入れも大変そうですけど
紫さん、その妄想を紙媒体に表していただけると非常にありがたい(夢想封印
まあ「ふきふきし隊」なだけまだマシ……なのか?
意外とこういうどうしようもない紫って見ない気もしますね。