観るものを目覚めさせるような朝焼けの中、縁側で平常よりも大きなあくびをしている少女がいる。
もし、今の少女を道行く人が見掛ければ「お前は神社の務めを果たさずに何を呆けているのだ」と小言をぶつけるであろう。
そのぐらい暇を持て余しているように見えるのであった。
だがしかし、彼の少女はこれからこの神社に訪れる災厄に対し如何にして対応するかで頭は一杯々々になっていた。
しばらく時間がたち、蝉の合唱がうだるような暑さを増長させ、村では人が竹藪の医者に駆け込むほどに日が上った時、ついに彼の少女の災厄が訪れた。
「暑い、暑い。暑くて融けそうだ。」
開口一番に彼の少女が気にしたくもない現実に目を向けさせたのは、白と黒の一般的な魔法使い、そして彼の少女の今朝からの悩みの種こと神社の災厄である霧雨魔理沙だった。
「うちの神社で融けないで頂戴。掃除が面倒くさくなるから」
訪れた災厄の言葉に皮肉交じりで応戦するは紅白の楽園の巫女、そして彼の少女こと、この小話の主人公である博麗霊夢である。
「意地でもここで融けてやる」
「今日は何のようかしら?それと、ステキな賽銭箱はあっちよ」
霊夢は神社の村側とは真逆を指さした。
「生憎私は無宗教だからな」
「無宗教でもご利益はあるわ」
「紫がこの神社にはご利益を与えられるほどの神は居ないって言ってたぜ」
「あいつ後でしばく」
こうして何の生産性もない不毛なやり取りを長々と続けていくと魔理沙が
「そう言えば思い出した。紫が氷を砕いたのを配って回るとか聞いたぞ」と切り出すと
「氷を砕いたのなんてチルノを連れてくればすむ話じゃない」
霊夢は幻想郷では至極真っ当なことで応えた。
すると魔理沙は竹藪の兎の様な腹に正拳を叩き込みたくなる笑顔を浮かべ、
「違う違う、石みたいな氷じゃなくてもっと雪みたいな氷だ」と続けた。
とうとう魔理沙も暑さに頭をやられたかと心配する顔をするのと同時に、空間にスキマが現れ
「はぁい、お二人さん。私からの差し入れよ」
その言葉とともに、幻想郷の管理者の八雲紫がスキマからにゅるっと現れた。
彼女の持っているお盆の上に、それはそれは小さな可愛らしい雪山が置いてあった。
「ほれみろ、私の言うことは正しいのさ」
魔理沙が得意そうにしているのを尻目に紫は赤い汁の様なものを雪山にかけだした。
そして紫は「外界風かき氷のかんせーい」と一人で盛り上がると、
「さっさと食べないと融けてなくなるわよ。それはそれはとても残酷なことですわ」と霊夢たちに発破をかけた。
霊夢と魔理沙はすこし慌てながらかき氷を手に取り、縁側に腰掛けた。
魔理沙が紅い氷菓を一口食べた途端に、
「この氷苺の味がするぜ!?霊夢も早くたべてみろよ」
魔理沙の妄言のような言葉を霊夢は半ば怪しみながら、紅く染まった雪山を崩し口に運んだ。
「あら本当。苺の味がするわ」
霊夢は久しぶりに白米を食べたときのような感動を覚えながらもう一口、二口と食べ進んだ。
紫はニヤニヤしながら、
「じゃあ私は幽々子のところにもかき氷を分けに行くから」
そう言ってスキマの奥へ消えていった。
「紫をしばくの忘れてたわ」
霊夢は思い出したように呟いた。
「かき氷でチャラにしてやれよ」
魔理沙は苦笑ながらそう言った。
「あっ」
不意に魔理沙が指を向けると、
ひゅーぅ どん
ひゅーぅ どどん
という音と共に空に大輪の華が幾つも咲いた。
「今日は村で花火大会だったのね。忘れてたわ」
「私は知ってたけどな」
「ウソいいなさい。さっきアッて言ってたじゃないの」
「それは言葉のあやってやつだ」
昼間の様に皮肉りあってはいるが、二人の顔には打ちあがった花火の様に美しい笑顔があった。
もし、今の少女を道行く人が見掛ければ「お前は神社の務めを果たさずに何を呆けているのだ」と小言をぶつけるであろう。
そのぐらい暇を持て余しているように見えるのであった。
だがしかし、彼の少女はこれからこの神社に訪れる災厄に対し如何にして対応するかで頭は一杯々々になっていた。
しばらく時間がたち、蝉の合唱がうだるような暑さを増長させ、村では人が竹藪の医者に駆け込むほどに日が上った時、ついに彼の少女の災厄が訪れた。
「暑い、暑い。暑くて融けそうだ。」
開口一番に彼の少女が気にしたくもない現実に目を向けさせたのは、白と黒の一般的な魔法使い、そして彼の少女の今朝からの悩みの種こと神社の災厄である霧雨魔理沙だった。
「うちの神社で融けないで頂戴。掃除が面倒くさくなるから」
訪れた災厄の言葉に皮肉交じりで応戦するは紅白の楽園の巫女、そして彼の少女こと、この小話の主人公である博麗霊夢である。
「意地でもここで融けてやる」
「今日は何のようかしら?それと、ステキな賽銭箱はあっちよ」
霊夢は神社の村側とは真逆を指さした。
「生憎私は無宗教だからな」
「無宗教でもご利益はあるわ」
「紫がこの神社にはご利益を与えられるほどの神は居ないって言ってたぜ」
「あいつ後でしばく」
こうして何の生産性もない不毛なやり取りを長々と続けていくと魔理沙が
「そう言えば思い出した。紫が氷を砕いたのを配って回るとか聞いたぞ」と切り出すと
「氷を砕いたのなんてチルノを連れてくればすむ話じゃない」
霊夢は幻想郷では至極真っ当なことで応えた。
すると魔理沙は竹藪の兎の様な腹に正拳を叩き込みたくなる笑顔を浮かべ、
「違う違う、石みたいな氷じゃなくてもっと雪みたいな氷だ」と続けた。
とうとう魔理沙も暑さに頭をやられたかと心配する顔をするのと同時に、空間にスキマが現れ
「はぁい、お二人さん。私からの差し入れよ」
その言葉とともに、幻想郷の管理者の八雲紫がスキマからにゅるっと現れた。
彼女の持っているお盆の上に、それはそれは小さな可愛らしい雪山が置いてあった。
「ほれみろ、私の言うことは正しいのさ」
魔理沙が得意そうにしているのを尻目に紫は赤い汁の様なものを雪山にかけだした。
そして紫は「外界風かき氷のかんせーい」と一人で盛り上がると、
「さっさと食べないと融けてなくなるわよ。それはそれはとても残酷なことですわ」と霊夢たちに発破をかけた。
霊夢と魔理沙はすこし慌てながらかき氷を手に取り、縁側に腰掛けた。
魔理沙が紅い氷菓を一口食べた途端に、
「この氷苺の味がするぜ!?霊夢も早くたべてみろよ」
魔理沙の妄言のような言葉を霊夢は半ば怪しみながら、紅く染まった雪山を崩し口に運んだ。
「あら本当。苺の味がするわ」
霊夢は久しぶりに白米を食べたときのような感動を覚えながらもう一口、二口と食べ進んだ。
紫はニヤニヤしながら、
「じゃあ私は幽々子のところにもかき氷を分けに行くから」
そう言ってスキマの奥へ消えていった。
「紫をしばくの忘れてたわ」
霊夢は思い出したように呟いた。
「かき氷でチャラにしてやれよ」
魔理沙は苦笑ながらそう言った。
「あっ」
不意に魔理沙が指を向けると、
ひゅーぅ どん
ひゅーぅ どどん
という音と共に空に大輪の華が幾つも咲いた。
「今日は村で花火大会だったのね。忘れてたわ」
「私は知ってたけどな」
「ウソいいなさい。さっきアッて言ってたじゃないの」
「それは言葉のあやってやつだ」
昼間の様に皮肉りあってはいるが、二人の顔には打ちあがった花火の様に美しい笑顔があった。
私も初投稿を考えている傍ら、色んな作品を読んで文章の表現とか学んでますし、この作品をかわきりに貴方がこれからどんな作品を書いていくか、楽しみにしています。
面白かったです
読んだ後なんとなく幸せになれる気がしました。