「霊夢! 聞いてくれ! 霊夢!」
私が思いっきり障子を開けると、薄暗い部屋の中に霊夢が居て、驚いて振り返った。
「一体どうしたの? 異変?」
「違うんだぜ。いや、そうなのかもしれないけど。分からない。私の頭がおかしくなったのかもしれない」
霊夢が怪訝そうな顔になる。
「なあ、霊夢は知ってるよな?」
「何を?」
「フランドール・スカーレット。あいつがなくなったんだ!」
「はぁ? 何言ってるの?」
一瞬、心臓が握りしめられた様な不安が襲ってきた。
嫌な予感がする。
「フランだよ、フラン! レミリア・スカーレットの妹の、半引きこもりの! ちょっと頭のおかしい! 知ってるよな? 覚えてるよな?」
「どうしたの? 急に」
益々顔をしかめる霊夢に、私の不安が更に大きくなる。
「フランが屋敷でなくなったんだ。それで私は慌ててそれを伝えたのに、紅魔館の奴等が、そんな奴知らないって言うんだぜ! なあ、霊夢覚えてないのかよ!」
霊夢は眉を寄せて息を吐くと、それから居住まいを正してこちらを向いた。
「順を追って話してみてよ」
「う、うん」
私は何とか気持ちを落ち着けようと深呼吸をした。
さっき言ったのと同じなんだけど、さっきも言った様に、紅魔館でフランがなくなったんだ。で、私はその場に居たけど、どうすれば良いのか分からなくて、とにかく紅魔館の奴等に伝えなくちゃって思って。
それで食堂でお茶を飲んでたレミリアと咲夜に言ったんだ。
お前の妹のフランが地下でなくなったって。
そしたら二人が不思議そうな顔をして、レミリアが言ったんだ。「どちら様? 私に妹なんて居ないけど?」って。ふざけてるのかと思って、咲夜にも聞いたんだけど、咲夜も「すみませんが、この屋敷にそんな方は」って取り合わないんだ。
そこに美鈴が来たから、フランがなくなったって事と二人がフランの事を知らないって言い張ってる事を伝えたら、そしたら美鈴も一瞬きょとんとしたと思ったら、いきなりくすくす笑い出して「さあ? フラン様? どちら様の事でしょう」なんて言ったんだ!
何か私の頭がおかしくなった様な気がして、怖くなってここに。なあ、霊夢。覚えてるよな? フランの事。私がおかしい訳じゃないよな。
「残念だけど」
霊夢が肩をすくめてからお尻を払って立ち上がる。
「私も知らないわよ。フラン? 誰それ」
「嘘だろ」
何で知らないんだ。
「そのフランて言うのはレミリアの妹なんでしょ? ならレミリアが知らないんじゃ勿論私だって知らないわよ」
「でもだって、今まで」
それじゃあ、ずっと幻想郷に居たフランは何だったんだ?
「何か混乱してるんじゃない? お茶でも飲んで落ち着いたら? 今、淹れてくるから」
そう言って、霊夢が部屋を出て行こうとする。
「おい、待ってくれよ」
何で誰も知らないんだ? 私がおかしいのか? 本当にフランなんて居なかったのか?
霊夢が部屋を出ようとして障子を開けると、日差しの強い外の景色が広がって、その明るさと対比されて陰った部屋が尚暗くなった。光に照らされた霊夢と陰った部屋に居る自分との間に大きな隔たりがある。
「待ってくれよ!」
私が霊夢の背を追おうとした時、部屋の外から声が聞こえた。
「おーい、霊夢」
そうして霊夢の開けた障子の陰から魔理沙が顔をのぞかせた。
「って、あれ? 取り込み中か?」
「いいえ、ちょっとお茶を淹れに。あ、魔理沙。悪いけど、あいつの話聞いてやってくれない? おかしな事ばかり言うから、私、頭痛くなりそうで」
そう言って霊夢が私を指さした。
「おお、良いぜ」
魔理沙が笑って手を挙げると、私へ向かって近付いて来る。
「で、何の話だ? 悩み事か? 私に手助け出来る事があるなら何でも言ってくれよ」
魔理沙が近付いて来る。
優しそうな笑みを浮かべて。
親身になって話を聞こうと。
魔理沙が。
私へ。
近付いて来る。
なら、私は誰だ?
私が思いっきり障子を開けると、薄暗い部屋の中に霊夢が居て、驚いて振り返った。
「一体どうしたの? 異変?」
「違うんだぜ。いや、そうなのかもしれないけど。分からない。私の頭がおかしくなったのかもしれない」
霊夢が怪訝そうな顔になる。
「なあ、霊夢は知ってるよな?」
「何を?」
「フランドール・スカーレット。あいつがなくなったんだ!」
「はぁ? 何言ってるの?」
一瞬、心臓が握りしめられた様な不安が襲ってきた。
嫌な予感がする。
「フランだよ、フラン! レミリア・スカーレットの妹の、半引きこもりの! ちょっと頭のおかしい! 知ってるよな? 覚えてるよな?」
「どうしたの? 急に」
益々顔をしかめる霊夢に、私の不安が更に大きくなる。
「フランが屋敷でなくなったんだ。それで私は慌ててそれを伝えたのに、紅魔館の奴等が、そんな奴知らないって言うんだぜ! なあ、霊夢覚えてないのかよ!」
霊夢は眉を寄せて息を吐くと、それから居住まいを正してこちらを向いた。
「順を追って話してみてよ」
「う、うん」
私は何とか気持ちを落ち着けようと深呼吸をした。
さっき言ったのと同じなんだけど、さっきも言った様に、紅魔館でフランがなくなったんだ。で、私はその場に居たけど、どうすれば良いのか分からなくて、とにかく紅魔館の奴等に伝えなくちゃって思って。
それで食堂でお茶を飲んでたレミリアと咲夜に言ったんだ。
お前の妹のフランが地下でなくなったって。
そしたら二人が不思議そうな顔をして、レミリアが言ったんだ。「どちら様? 私に妹なんて居ないけど?」って。ふざけてるのかと思って、咲夜にも聞いたんだけど、咲夜も「すみませんが、この屋敷にそんな方は」って取り合わないんだ。
そこに美鈴が来たから、フランがなくなったって事と二人がフランの事を知らないって言い張ってる事を伝えたら、そしたら美鈴も一瞬きょとんとしたと思ったら、いきなりくすくす笑い出して「さあ? フラン様? どちら様の事でしょう」なんて言ったんだ!
何か私の頭がおかしくなった様な気がして、怖くなってここに。なあ、霊夢。覚えてるよな? フランの事。私がおかしい訳じゃないよな。
「残念だけど」
霊夢が肩をすくめてからお尻を払って立ち上がる。
「私も知らないわよ。フラン? 誰それ」
「嘘だろ」
何で知らないんだ。
「そのフランて言うのはレミリアの妹なんでしょ? ならレミリアが知らないんじゃ勿論私だって知らないわよ」
「でもだって、今まで」
それじゃあ、ずっと幻想郷に居たフランは何だったんだ?
「何か混乱してるんじゃない? お茶でも飲んで落ち着いたら? 今、淹れてくるから」
そう言って、霊夢が部屋を出て行こうとする。
「おい、待ってくれよ」
何で誰も知らないんだ? 私がおかしいのか? 本当にフランなんて居なかったのか?
霊夢が部屋を出ようとして障子を開けると、日差しの強い外の景色が広がって、その明るさと対比されて陰った部屋が尚暗くなった。光に照らされた霊夢と陰った部屋に居る自分との間に大きな隔たりがある。
「待ってくれよ!」
私が霊夢の背を追おうとした時、部屋の外から声が聞こえた。
「おーい、霊夢」
そうして霊夢の開けた障子の陰から魔理沙が顔をのぞかせた。
「って、あれ? 取り込み中か?」
「いいえ、ちょっとお茶を淹れに。あ、魔理沙。悪いけど、あいつの話聞いてやってくれない? おかしな事ばかり言うから、私、頭痛くなりそうで」
そう言って霊夢が私を指さした。
「おお、良いぜ」
魔理沙が笑って手を挙げると、私へ向かって近付いて来る。
「で、何の話だ? 悩み事か? 私に手助け出来る事があるなら何でも言ってくれよ」
魔理沙が近付いて来る。
優しそうな笑みを浮かべて。
親身になって話を聞こうと。
魔理沙が。
私へ。
近付いて来る。
なら、私は誰だ?
で、自分っていう意識を他人の者と勘違いしている状態?
決定的な判断材料があまりにも無くて、推論を立ててみてもそれを立証する手立てが無くてモヤモヤとした気持ちになる。
仮に上の通りだとしても「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」と「気が触れている」「精神不安定」の事前情報だけでは辻褄が合うように自分で都合のいいように解釈してるだけなんじゃないか、と読者である私が思ってしまう。
私の読解力が無いだけかもしれませんが、私はそう感じたのでこの点数で。
「わかりやすく」っていうのは、読みやすいってだけじゃなくて、内容を理解しやすいようにすることも大事なのでは。
3番の方も仰られている様に、読者に対する情報が不足しているように見受けます。
あと、「なくなった」と書いているのは、「亡くなった」なのか「無くなった」なのか「居なくなった」なのか。
ひらがなで表記しているのはわざと?わざとなのかどうか知らないけれど、どういう意図にしろわかりにくさに拍車をかけていると思う。
こいしでやった方が良かったんじゃね?
問われましたので、答えます。
「自分がそうありたいと願って、強烈に思いすぎた為に、自分自身すら騙す嘘」
「可愛い妹、あるいはそれに準じた人がごっこ遊びに興じていればそれに乗ってあげる」
「周りが何か乗ってあげているから適当に話を合わせておく」
珍しい事では無いかと思います。ただ信じてしまった嘘が少し特殊で、また周りが少し誤解をしていただけで。
と、こんな感じで答えになっていますでしょうか?
他、また何かご質問がありましたらお答え致しますが、回答は木曜日になるかと思います。
と、長々書きましたが、個人的には物語を作者の意図が左右するのは書き上げたところまでかなという思いがありますので、欄外に書いた事と物語の内容は別物で上に書いた事もあまり気にしないでいただけたらなと思います。
その上フランがいなくなり誰も覚えていないということの繋がりが感じられません、この「私」が
誰なのか服装や姿の描写すらないのでさっぱりです。説明が少なすぎです。
はっきり言って分かり辛いです
でも、なんかよくわからないうちに終わってしまった感じ。
上のコメントも拝見しましたが、それでもよくわからなくて残念です
確かにフランちゃんみたいな子を世話しようとすれば普通の対応以外を求められるからハタからみたら訳がわからなくなるのは仕方ないかも知れません
実際すぐ破れる虚構を信じさせてあげるか否定するか難しいところです
ついでに言うと悲壮すぎる。
フランが可哀想。
良いショート・ショートだと思います。個人的には10点がつくような作品ではないと思いますが……。
些細な事ですが、僕はこの表現に引っかかって、作者様のコメントを見るまで誤った解釈をしてしまっていました。