Coolier - 新生・東方創想話

食事

2013/07/07 01:58:03
最終更新
サイズ
3.34KB
ページ数
1
閲覧数
3307
評価数
22/45
POINT
2530
Rate
11.11

分類タグ

 珍しいことに、私は文の家に招かれた。朝起きて郵便物を確認していたらポストに簡素な見た目の便箋が入っていて、そこに一文、

『今日の夜、私の家まで来てください』

 と書かれていた。
 速さを競い合う仲でもあり、それなりにあいつとは関係も深かったから不思議なことではない。でも急なお呼ばれだもんだから少し勘繰ってしまう。
 例えばその場で拉致監禁しネタを洗いざらい吐かされるとか、少々ロリコンの気があるあいつのことだ。ナニをされるかもしれない。
 でもまあ大丈夫だろう。たまたま魔法薬の補充を済ませたばっかだし、幽香直伝のマスパもあるしいざとなったら逃げればいいだけだ。
 それに、もしかしたら結構いい話を聞けるかもしれない。もちろんなんとなく指で円を作りたくなるようなそんな話だ。今までに何回も取引をしたことがあるし、その度にお互いいい思いをさせてもらってきた。
 私は行くことに決めた。文の家はうろ覚えだがなんとかなるだろう。なんなら椛に聞いてもいい。こそこそとしているのは性に合わない。やるならドカンといこう。それが私の生きざまだ。

 夜といってもどのぐらいの深さがいいのかわからなかったが、とりあえず夕飯を軽めにとっておいた。
 招待をされている側として図書館に行くときみたいに時間を気にしないわけにもいかなかったが、そんなことを考えている内に結構いい時間帯になってしまった。
 さすがにちょっと遅かったかと思ったが、文の家にはまだ電気がついていて少し安心する。半分ほど開いた窓のカーテン越しに文らしき人影が動いている様子も見えた。
 お客様としてドアをノックすると、少しだけ静かな時間が流れ、そして文がいつものいい笑顔で私を出迎えてくれた。
 私は遅くなって悪いな、と詫びをいれたが、文は気にしなくてもいいですよとそそくさと私を家に入れたがった。
 それじゃあお構い無く、とお邪魔をさせてもらい、文の案内するままとある一室に入れられた。
 文の寝室のようで、しかし殺風景な眺めだった。確かに二人っきりで話すのにごちゃごちゃとしてたら話しにくいだろう。
 部屋の真ん中に置かれた折り畳み式のちゃぶ台を挟んで、文はベッドを背もたれに、私は胡座をかいて座り、文にどんな用で私を呼んだのかを聞いてみた。でも文は勿体ぶってなかなか話そうとしない。
 何やらどうしても前置きから話したいらしく、そんなにそれが重要なら、と私は渋々承諾した。
 曰く、一見普通の妖怪に比べて食人衝動が少ないと思われている天狗だがそうではない。むしろ普段抑えられている分そこらの下級妖怪よりももっと無惨に、獲物を家に持ち帰り例えば目玉を残して食い散らかしてしまうと、そんなことを言ってきた。
 その話とまさに合致するこの状況下、妖怪の家で、人外どもの力の増す夜中にそんなことを言われたらさすがの私でも少し寒気を感じた。もしかしたら私はここで食われるのか。友人と思っていた天狗にまんまと騙されてここで果ててしまうのか。
 私がそんな風に思い詰めていたからか、文が私の強ばった顔を見てとうとう吹き出した。一瞬何を笑っているのかわからなかったが、完全に遊ばれていたと気がつくとだんだんと腹が立ってきて文をとっちめてやろうかと思った。しかしお茶を持ってきますね、とあいつは言ってそそくさと逃げてしまった。
 あいつの反応を見る限りあれは冗談だったのだろう。全くいい趣味をしてるな、やれやれと力無く首を振る。
 カシャン、という音がどこからか聞こえてきた。窓の外や辺りを見回してみてもドアが閉まっているという点以外変わったところはなかった。恐らくは風でドアが閉まった音だろう。
 そんなに時間が経たない内に文が戻ってきた。湯飲みは一つしかなかった。お前はいらないのか? と聞いてみるが文はただ笑うだけでなにも言わない。
 またこいつはこうやって人の反応を見て楽しんでいるのだ。性格が悪いったらありゃしない。
 そういえば私ご飯まだなんですよ、と文がベッドに寝転びながら言う。相変わらずマイペースなやつだ。なんてぼんやりとベッドを眺めていると、目があった。
おいしそうですよね

ある人に触発されて書いた初めての怪談もの。うまくいかないなぁ

もしかしたらハメとかpixivにも投下するかもしれないです
八衣風巻
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.930簡易評価
1.無評価非現実世界に棲む者削除
タグに怪談とあるのに何も感じない。詳しく言うならば何も感情を抱かなかった、ということです。
終わりかたも釈然としないし、目があったあとにどうなったのか、その辺の行動とかを簡潔にでも書いてくれたら、まだまとまりがあるよう気がしますが。
総合して、もう少しホラーっぽさを感じさせて欲しかった。
ということです。
2.80名前が無い程度の能力削除
まともな読解力もないのに自信満々でご高説を垂れる悲しい人がいますがそれはおいといて

少々ありがちかな、と思うもののおもしろかったです
台詞をすべて地の文に入れ込んだお陰でホラーらしいスピード感が増していて上手いと思いました
3.70楽郷 陸削除
・「文にどんなようで私を読んだのかを聞いてみた。」
呼んだのか、の間違い。

1つしかない湯のみ、食事がまだ、などという描写から匂わせる描写はどっちとも取れてちょっとした恐怖を感じさせていいですね。
あえてその後のことも書かない所も怪談っぽい。
4.80名前が無い程度の能力削除
最初は怪談?って感じでしたが、何度か読み返すと意味が分かりました。
「意味が分かると怖い系」はこういう後から来るゾクッと感があるからたまらない……!
5.80名前が無い程度の能力削除
ああ、なるほど。
すっきりと怖い作品でした。
6.70名前が無い程度の能力削除
意味がわかると怖い系は大好きです
なかなか良かったです
これは好みの問題ですが、もっと深読みさせたり解釈が別れたりするくらいの勢いでも良いかも
8.30名前が無い程度の能力削除
怪談にしては浅い。
9.90名前が無い程度の能力削除
いやぁよかった
てっきり魔理沙が友人であっても頂いてしまう残酷な文かと思っちゃったよ!
ちゃんと選んでるんだね
10.100名前が無い程度の能力削除
良い感じでした
13.70奇声を発する程度の能力削除
ちょいホラー要素があれかなと思いました
15.70名前が無い程度の能力削除
エロい風にしか見えない僕の脳は腐っているのか…
文ちゃんはロリコン!
17.50名前が無い程度の能力削除
可もなく不可もなく
21.70名前が無い程度の能力削除
怪談というよりなんでしょう?
結末を読者に想像させる感じですね
日常の他愛ないジョークでこのあと本題に入るかも知れないし、百合的なことかも知れないしパックンと食べちゃう話かも知れませんしなんとも
まあ、タイトルとベッドで解釈は分かれそうですね 作者さんの後書きをみても

因みに僕ちんは、怪談よりもソッチの方が大好きです(ニッコリ)
22.70名前が無い程度の能力削除
この類の話は実は古典的なもので、有名なショートショート全集には必ず載っているレベルだったりします。
そのテンプレから一歩踏み出せていない、「食われる側の」心理描写が今ひとつ適当である、等から辛めの点数を入れます。ご了承ください。
24.30名前が無い程度の能力削除
ホラーにしては物足りない
25.70名前が無い程度の能力削除
目が合った、目が有った、でいいのかな?
ところでオチに関して、やっぱりもう一声ほしい!
「人間の目玉って、対妖怪用の魔法薬の原料になるんだぜ。これが結構強力なんだ」
とか、例えばどうでしょう。
27.80名前が無い程度の能力削除
…30分後、そこには魔理沙特製のソーセージを口から液体を垂らしながら美味しそうに貪る文の姿が
「指二本でも食べ足りないとか文は卑しんぼさんだぜ(ソーセージを突っ込みながら)」
「まりささん、おねがいだから、もっとやさしくたべさせヒウッあやのおくちこわれちゃぅぅ」
…どう読んでも怪談というよりこういう流れなんだよなぁ(中学生並みの感想)
28.100絶望を司る程度の能力削除
あぁ、そういうことか・・・。とりあえず文ちゃん。部屋の掃除しようぜ、鉄の臭いがひどいぜ?そして上のコメントは裏にでるということでok?あ、だめですかそうですか
33.80とーなす削除
おおう、ここで切るのか。
ホラーとしては幕の下ろし方があっさりしすぎていてあまり怖くない。けれどこういう挑戦的な手法も面白いかもしれないですね。
38.70名前の無い程度の能力削除
目が合って後ずさる、壁に背中がぶつかり、壁に引っ掻けた戸棚から小さな骨が降ってきた的な?
40.803削除
くっそ分からん……! 普通にいただかれちゃったという解釈でいいんでしょうか。
「目があった」で切ってあるのが中々雰囲気出てます。
43.80名前が無い程度の能力削除
怖っ・・・!
44.80フルーツ(笑)削除
文ちゃん犬みたいな隠し方するなw