表に出て空を仰ぐと、空は透き通るように青く、積雲の白さが綺麗に映えていた。優美で幻想的で──
少し外に出たい。流れる雲はそう思わせるには十分だ。春も過ぎて梅雨に入ろうかという時期。深呼吸すると少し湿っぽい気もするが、そんな空気もまた外出を促す。
体を内側から限界以上に膨らませるように思いっきり伸びをすると、反動で縮こまりながら深い息を吐く。
清々しく、落ち着いた気分。今日は起きたら少し掃き掃除をしようとしていたが、今はこの気分に浸っていたい。
こんな日がいつまでも続けばいい。
今日は山にでも行こうかな。霊夢は空の青さを見て思う。春の芽吹きを終えてゆるやかに成長を始めた木々は、春ほど産声を上げず、夏ほど主張しない。
それで居てきっと力にあふれているだろう。
霊夢は必要な場所をしっかり戸締りをすると早速山に向かって飛んだ。念のためにとお祓い棒も完備で出たが、穏やかな自然は妖精や精霊も穏やかにさせている。
この日は変に突っかかってくる輩は居なかった。霊夢が向かって来た事に気が付いても逃げも寄っても来ない。暢気とはまた違う、心の安定、そんな陽気だった。
山に入るとあまり上に行き過ぎず、滝の上まで来ると適当な木々の合間に降り立った。霊夢は山林を歩いてみる。
付近で天狗たちが霊夢の目にもチラチラと見えたが、特に用があってきたわけでも無さそうと分かると直ぐに姿を見せなくなった。
無愛想だと思いつつ、霊夢は歩き続ける。妖怪の山といってもこの辺は結構平らだったりして散歩するには悪くない。
見渡せばさくらんぼが実っていたり、ユキノシタが咲いていたり。この時期はこの時期で案外華やかなもんだ。
とは言え山の中からではあまり空が見えない。せっかく今日は綺麗な空なのだから、もっと見えるような所に行けばよかったかな。
そんな風に霊夢が考えていると、急に視界が開けた。眩しさに少しだけ目を瞑ったが、直ぐに手で影を作り見てみる。
そこには水の張った山田があった。あまり大きくは無いが、周ると少し時間を食いそうな、立派な田だ。
苗を植えていない水は鏡のように辺りの木々と空を映している。
音の無い中、少し揺れる木々に合わせて風景が水面の気も揺れる。
風景が途中から逆さまに映る様は息を呑む程に幻想的だ。
しかし、その水田にはあまり似つかわしくない物が居た。水田のど真ん中に立っている。
人のようで、人じゃない。ただ横に手を伸ばしている……案山子だ。
流石にこの時期に案山子は早すぎる。田植えもしてないのに案山子を置いたりするのだろうか。
鳥の死体に見せかけた様な物は年中置いたままのも見た記憶はあれども、ちゃんとした案山子が田植え前からあるのは見た覚えがない。
霊夢はその場で首を傾げる。そもそもあれは案山子なのだろうか?田んぼの辺に寄ってじっと見てみる。
よく見るとかなりボロボロな案山子だった。十字に手を広げているが、服を着ているが所々穴も開いているし、服は完全に褪せた色でおそらくは元の色では無い。
じっと見ていると不気味なようにも見えるし、厳かで神々しくも見える。
霊夢がそのまま案山子に凝視とも見とれてるとも言える硬直状態を保っていると、田圃に一つの石が投げ込まれた。霊夢は波紋を目で追う、じんわりと広がる波紋はやがて案山子の足に引っかかって形を変えた。
後ろを振り向くと、手帳を持った天狗がにししと笑っていた。
「天狗つぶて~。どうも、射命丸です」
「当たったらどうすんのよ、危ない」
「狙ったら外しません、逆もしかり。それよりこんな所で一人たそがれる巫女がいるとは取材の価値ありかと」
文は手早く筆を取り出して霊夢の言葉を待つ。
「今日はいい天気だから遊びに来ただけよ、そしたら怪しい山田と案山子を見つけた」
「ああ、この田圃ですか。古く神田として使われていたそうですけど、今は誰も使ってませんね。案山子も放置というわけです」
「じゃあ何で水入ってるのよ?」
「使っている田もありまして、そこに入れるとここも一緒に入っちゃうんだとか」
「ずいぶんとおかしな構造」
「誰も困りませんし、気にしない程ここは誰にも興味を持たれない場所というわけです」
文は筆と手帳をしまうとカメラを取り出しファインダーをのぞき込んだ。
「ちょっと撮らないでよ」
「まあまあ、記念写真と言うことで。この案山子もいつ折れるか分かったもんじゃないですし、一緒に写します」
かしゃっと小粋な音がしてカメラを収めると、もう文はしたり顔だった。霊夢は不機嫌な顔を一度見せると案山子の方を向き直した。
「この案山子いつ頃からあるのかしら、ずいぶん古そうだけど」
「分かりません。私が初めて此処を知ったときには既にありましたし」
文屋が何時此処を知ったか分からないが、もしかしたら想像以上に古いのか。霊夢は目を凝らし案山子を見つめる。
「巫女は案山子がお好きなようで。その案山子は山田のそほどとも呼ばれていますよ」
「山田のそほどねぇ、クエビコ様の事よね。歩けないけど天下を知る知恵の神様」
「流石よくご存じ。まあ誰かが呼び出しただけなんですがね」
文も目を霊夢から案山子に移す。案山子は風で少しぼろ布を揺らしていた。
「移したりすればいいのに、いつまでここに置いとくの?」
「この辺りは原生のままにしておこうとされているので、天狗がいる間はこのままなんじゃないでしょうかね」
「じゃあ、あんたたち何時居なくなるのよ」
「ええ、そんな寂しいこと言わないで下さい。と言いたいところですが、天狗も日進月歩ですからね、その内ふっと引っ越したりするかもしれません」
「そしたらこの田圃は私が貰おうかな」
「博麗の巫女、神田相手に妖怪以上に大苦戦。良い記事になりそうです」
「あんたたちが居なくなったら、そんな新聞記事書く奴は居ないでしょ」
「やや、それはいけない……あ、良いことを思いつきました」
そう言うと文は地を軽く蹴り飛び上がって案山子の隣までまで宙を移動した。懐からひも付きの手帳を取り出すと案山子の左の腰あたりの布に無理矢理くくりつける。手帳は案山子の腰巾着の様になった。
「何してんのよ、備忘録?」
「私の予備のネタ帳ですよ。もし天狗が居なくなった場合は案山子に新聞を書いて貰いましょう!」
「そりゃまた他力本願というかなんというか」
「新聞が無くなったら寂しいでしょう?天狗の山の案山子です、新聞位そのうち書けるようになりますって」
文は軽やかに霊夢の側までくると、満足げな顔をした。霊夢が呆れていると、文は思い出したかの様に空を見上げる。
「そう言えば霧の湖に不法投棄がされているとか。こんな所で油売ってないで、取材に行ってこなくちゃ」
そのまま風を纏って飛び上がると文は山を下っていった。
言葉を交わす相手が居なくなった霊夢はまたぼんやりと案山子を見つめる。
天狗はその内何処かへ行ってしまうのだろうか。天狗のその内というのもまたどの程度の時間を言うのかわからないが。
そんな事をぼんやり考えながらも、霊夢は何か案山子に惹かれるものを確かに感じていた。
「そんなに見て、穴開けるつもりなの?」
雲がうっすら流れた頃。霊夢は後ろから声をかけられた。
声に覚えのある霊夢が後ろをちらりと見ると、赤と青が半分の奇抜な服が見えた。永遠亭の薬師永琳だと判別するのに時間は要らない、再び案山子の方を見る。
「穴を空けるんなら簡単なんだけどね」
「案山子を見つめるなんて心は病を抱えているのかしら」
「退屈に蝕まれているかもね。あんたこそ山に来る様には見えない、登山が趣味なの」
「ちょっと薬草の分布で調べたい事があるだけ、此処らへんはまだ緑も多いし。それにしても古臭い案山子ね」
永琳は霊夢の横まで来ると案山子を見る。
「山田のそほどとも呼ばれているらしいわよ」
「……なるほどね。確かに案山子よりそほどとして使っていたのかもしれないわ」
「案山子とそほどって違う物だっけ?」
「今は別に区別するもんじゃないけど。そほどは祭儀用の依代に近い人形で、害獣避けの案山子はもっと後に出来たのよ」
「ふーん、まあ人形じゃ歩けないわね。クエビコは知恵の神様だけど何で歩けないのに天下に詳しいのかしら」
「貴方だってここにずっと突っ立ってるだけなのに、今新しい知識を手に入れたじゃないの」
「……まったく、あんた達はいつも意地悪い言い方ばっかりする」
「そんなつもりはありません」
「あんたは何時まで幻想郷に居るの?ずっと居たようだけどさ」
霊夢は興味本位でふとそう口にした。天狗はいずれ何処かに行くかもと言っていた、そこが何処か心に引っかかっていたのかもしれない。
永琳はきょとんとした顔で霊夢を見る。
「私は此処が便利で、輝夜も気に入っているから今はここに居るだけよ。もっと良い場所があったり、気に喰わないことがあれば出て行く」
「そうなの、あんたが居なくなったら里の人は重病の時に困りそうね。何か秘伝書とか残しておいたら」
「あら、こんな医者に頼るようじゃ駄目でしょう。私は幻想郷に残して良い物を持ってない。これなら上げてもいいけどね」
そう言って永琳は被っていた帽子を脱ぐと、ずっと案山子を見ている霊夢の顔を無理やり動かして目を合わせると頭に乗せた。
「ちょっと何すんのよ」
「意外と似合うわね……要らなかったらそこの案山子にでも乗せとくと良いわ。ただし自分で乗せること」
少し笑みを浮かべて続ける。
「山田のそほどは山田って所が重要なの。山は外界を見下ろせる。田は人を呼ぶ。だからこそ山田のそほどは歩かず天下を知った。でもそれだけじゃない」
霊夢が首を傾けると、永琳は霊夢の頭をぽんぽんと叩き、調査の続きをするからと森の奥へと姿を消した
「まったく、何なのよ……」
霊夢は溜息を軽く吐くと、早速帽子を取って案山子の頭上まで飛んで永琳の帽子をボロボロの頭の上に載せた。
近くで見るとまた違ったものが見えた。確かに古い案山子だが、所々ボロのなり具合が違う。一部分だけそれなりに綺麗な部分もある。
洋服の様に見える部分もあれば、和服の様な模様もあれば、巫女服の様な物も有る。
不思議に思いながら霊夢は最早定位置と化した場所に戻り再び案山子を眺める。
日は少し動き空は青を濃くしたように思え、流れる雲は霊夢の見知った物では無くなってしまった。そよそよと吹く風が霊夢の服や髪を揺らす。
ただ過ぎていく時間も霊夢を焦らせる事はなかった。
「ごきげんよう、サボり癖でもできちゃったの?じっと案山子を見ているなんて」
霊夢は急に耳元で声を書けられて思わず振り向いた。声の主は口元を扇子で隠し、目だけで笑っている。紫だった。
「びっくりさせないでよ」
「驚くのもまた妖怪の好物ですもの、ご馳走様でした」
「適当なこと言って……何しに来たのよ」
「天狗は変なことばっかするから、ちょっと話の場を設けようと思って口先だけの挨拶して来たの。そしたら霊夢が居るじゃない、挨拶しに来たのよ」
「口先だけの?」
「今日はもう疲れちゃったから、口先だけの」
得体のしれない間が流れ、何となしに二人で案山子の方を見ると紫が口を開く。
「あの案山子……ださいわね」
「……うん」
永琳の帽子を身につけた案山子は、厳かな雰囲気から一気にシュールな物へと変化していた。誰のものか知っている二人にとってはなおさら可笑しな案山子にしか見えない。二人で眺めていると馬鹿らしくさえ思い始めていた。
「山田のそほど、ね……随分と不思議な格好になっちゃって」
「紫は知ってるの?私はさっき天狗から聞いたんだけど」
「そりゃあもう。だってそう呼び始めたのは私だからね」
「なんだ、そうだったの?」
霊夢は真相に少し驚いたが、紫なら納得もできる気がした。
「そほどがどういう物なのか、帽子の主に聞いていたわね。それに」
「なんか私、この案山子には妙に惹かれてしまって……ずっと見てるの。別にサボりたいわけじゃないんだけど」
「それは、貴女が巫女で自由だからじゃないかしら」
「……あんたの言うことは分かりにくいのよね」
結局二人はシュールな案山子を見続けたまま会話を続けた。相変わらず案山子は時折ボロ布を揺らしている。
「クエビコは歩けない、何でだか分かる?」
「人形だし、まさにそこの案山子みたいな物だったんでしょう。足が地面に挿さってりゃそりゃ歩けないわ」
「でしょう。だから貴女は案山子の事が気になってるのよ。歩けない、不自由の象徴みたいな案山子が賢い。なのに霊夢は空を飛んで自由だけど、何も知らないから」
「むう、無知と言われるのは心外なんだけど」
紫は顔をほころばせると、暑くもないのに扇子で顔を扇いだ。
「貴女は案山子と似ているわ、似ているけど正反対。だから気になるのよ」
「何処が似てるのよ?私はこんなデクノボーじゃないわ」
「動き回ってるからね。でも巫女というのは、元々神様が宿る唯の依り代。そほども依り代、依り代は神様の入れ物なんだから、本当はそほど自体が神ということはあり得ない。巫女の貴女なら分かるでしょ?」
「クエビコ……では無いわよね、あくまでクエビコの正体がそほどなだけで。そほどは元々何を祀るためのものだったの?」
「そこはもう、失われちゃったのよ。でも山田のそほどは残ってクエビコという神になった」
霊夢の頭に月で見た伊豆能売の姿が思い浮かぶ。あれを見た時は驚いたが、クエビコもその様な物なのだろうか。
「依代はともかく、私は掃き掃除とか、妖怪退治とかしてるじゃないの」
「そこは正反対の所。ただ今の霊夢はちょっとまずい状態にあるかも知れない。早く自分の役目に気づいてね」
また分からないことを言う。霊夢は頬を掻いた。
その時ふとまた興味本位で口が開く。
「ところで紫、あんたは何時まで幻想郷に居るの?」
「何でそんな事聞くの?」
紫は即答ならぬ即質問返しした。霊夢は逆に考え込んでしまう。
「なんで、かしら……この先の幻想郷はどうなってしまうのかと思って」
「まあ、ふふふ、貴女が真っ先に退場しそうな癖に、誰にでもそういうこと聞くのね」
紫は霊夢が考えたよりかなり前から話を聞いていたらしい。その事に気づいて霊夢はどうにも気恥ずかしい気がしたが、そこは押し殺した。
「答えてあげるけどね。私はこの幻想郷自体が云々よりも、妖怪が優雅に暮らせる場所こそが重要だと思ってる。だから、もしも幻想郷が妖怪を保つシステムを壊さざるを得ない状況になったら……」
「なったら?」
「それはもう幻想郷に代わる所に行って、新しく作るしか無いでしょうね」
霊夢は心にチクリと針を刺された様な傷みを感じた。紫なら何があっても幻想郷に居そうだと勝手に考えていた、しかし紫の答えは正しく当然にも思える。
だから霊夢は特に何も言葉を返さなかった。しばしシュールな案山子を二人で眺める。再び口を開いたのは紫だった
「もしこの幻想郷を捨てるような事に成っても……その時は……」
紫は目の前で扇子を縦に動かすと、空間にスキマが出来た。その中に扇子を持った手を差し入れると直ぐに手を引いた。
手に扇子は無くなっていて、今度はその手で案山子を指さす。紫の手をずっと見ていた霊夢はそのまま案山子まで視線を移す。
案山子は手に扇子を持っていた。どうやら今の扇子らしい。
「私の代わりに案山子が見ててくれるでしょう」
霊夢が再び紫の方を向くと、紫の姿は既に消えていた。スキマも何も跡形もない。
案山子の前で霊夢は三度取り残された。
オンボロ案山子に新たに加わった文の手帳、永琳の帽子、紫の扇子。新しい物と古い物のコントラストは不気味や厳かとも言えず、ただただ奇天烈だ。
そんな案山子は霊夢にとって段々とって魅力的に見えなくなっていた。しかし引っぺがす程の事でもない。
霊夢は案山子を見ながら考えに更ける。
何故この案山子、いやそほどと言うべきか、そほどが魅力的に見えたのだろう。紫は私と似てるけど正反対だからと言っていた。
しかし私は文、永琳、紫との会話で三人とそほどの正反対になる部分も見えていた。至極単純に進もうとしている所だ。
天狗も永琳も、紫も、本当はより良い何かを求めているし、そうなる様に動いているんだ。
これは最早今の三人だけではない。生きること自体が前に進むこと、生きていないそほどとは誰しもが反対なのだ。
でも今日の私は余り動く気が無かった、今日の私はその点でもそほどに似ていたのだろう。
人や生き物は、前に進まなくてはならない。全く動かなければ生きていけない。
それだけじゃない、人は人として歩む事を余儀なくされてきたのかもしれない。悠然と構えて考える賢人も、本当に全く動かなければ唯の愚者と呼ばれてしまう。
向上心のない人は悪く言われるだろう。結果的に前に進んでいなければどんな行動も無駄と言われるだろう。
そんな中、本当に、全く、延々と、動かないで、そこに居る。ひょっとしてそんな存在に人は何処か憧れるのか。
その憧れの対象がそほど──だったとしてもおかしくない。そほどが宿した神を伝える者はもう失せてしまった。でも、そほどだけは残ったのだ。
邁進する人の祀る神ではなく、ただの道具であるそほどが……。
人は前に進み続けなくてはいけない。そんな考えへのアンチテーゼみたいに。
「ふう、でも……」
霊夢は今朝の様に大きく深呼吸をする。
でも、やっぱり私は生きている以上前に進まなくてはいけない。紫の言いたかったことはそういう事だろう。
いつまでも立ち止まっている事は出来ない、憧れてもその役はそほどに任せるべき。
丁度そろそろお腹も空いてきたところだし、私は今やることをすればいい。掃き掃除もしなくちゃいけないから、もう帰ろう。
案山子は新しい物を身につけながらも、相も変わらず立ち尽くしていた。
霊夢はふと思いつき、案山子の側に飛んで寄る。胸のリボンを解くと、案山子の首の部分に結んだ。
「あんたが依り代だって言うんなら、私の気持ちもちょっとは持っていてくれるのかしら。幻想郷の事をずっと見ててよね」
案山子にそう言い残し、霊夢はそのまま飛び上がって山を後にした。
田の水面は鏡の様に反射し空を映す。
霊夢の瞳に映る案山子は、空の中に只一人孤独に立ち続けているようにも見えた。
少し外に出たい。流れる雲はそう思わせるには十分だ。春も過ぎて梅雨に入ろうかという時期。深呼吸すると少し湿っぽい気もするが、そんな空気もまた外出を促す。
体を内側から限界以上に膨らませるように思いっきり伸びをすると、反動で縮こまりながら深い息を吐く。
清々しく、落ち着いた気分。今日は起きたら少し掃き掃除をしようとしていたが、今はこの気分に浸っていたい。
こんな日がいつまでも続けばいい。
今日は山にでも行こうかな。霊夢は空の青さを見て思う。春の芽吹きを終えてゆるやかに成長を始めた木々は、春ほど産声を上げず、夏ほど主張しない。
それで居てきっと力にあふれているだろう。
霊夢は必要な場所をしっかり戸締りをすると早速山に向かって飛んだ。念のためにとお祓い棒も完備で出たが、穏やかな自然は妖精や精霊も穏やかにさせている。
この日は変に突っかかってくる輩は居なかった。霊夢が向かって来た事に気が付いても逃げも寄っても来ない。暢気とはまた違う、心の安定、そんな陽気だった。
山に入るとあまり上に行き過ぎず、滝の上まで来ると適当な木々の合間に降り立った。霊夢は山林を歩いてみる。
付近で天狗たちが霊夢の目にもチラチラと見えたが、特に用があってきたわけでも無さそうと分かると直ぐに姿を見せなくなった。
無愛想だと思いつつ、霊夢は歩き続ける。妖怪の山といってもこの辺は結構平らだったりして散歩するには悪くない。
見渡せばさくらんぼが実っていたり、ユキノシタが咲いていたり。この時期はこの時期で案外華やかなもんだ。
とは言え山の中からではあまり空が見えない。せっかく今日は綺麗な空なのだから、もっと見えるような所に行けばよかったかな。
そんな風に霊夢が考えていると、急に視界が開けた。眩しさに少しだけ目を瞑ったが、直ぐに手で影を作り見てみる。
そこには水の張った山田があった。あまり大きくは無いが、周ると少し時間を食いそうな、立派な田だ。
苗を植えていない水は鏡のように辺りの木々と空を映している。
音の無い中、少し揺れる木々に合わせて風景が水面の気も揺れる。
風景が途中から逆さまに映る様は息を呑む程に幻想的だ。
しかし、その水田にはあまり似つかわしくない物が居た。水田のど真ん中に立っている。
人のようで、人じゃない。ただ横に手を伸ばしている……案山子だ。
流石にこの時期に案山子は早すぎる。田植えもしてないのに案山子を置いたりするのだろうか。
鳥の死体に見せかけた様な物は年中置いたままのも見た記憶はあれども、ちゃんとした案山子が田植え前からあるのは見た覚えがない。
霊夢はその場で首を傾げる。そもそもあれは案山子なのだろうか?田んぼの辺に寄ってじっと見てみる。
よく見るとかなりボロボロな案山子だった。十字に手を広げているが、服を着ているが所々穴も開いているし、服は完全に褪せた色でおそらくは元の色では無い。
じっと見ていると不気味なようにも見えるし、厳かで神々しくも見える。
霊夢がそのまま案山子に凝視とも見とれてるとも言える硬直状態を保っていると、田圃に一つの石が投げ込まれた。霊夢は波紋を目で追う、じんわりと広がる波紋はやがて案山子の足に引っかかって形を変えた。
後ろを振り向くと、手帳を持った天狗がにししと笑っていた。
「天狗つぶて~。どうも、射命丸です」
「当たったらどうすんのよ、危ない」
「狙ったら外しません、逆もしかり。それよりこんな所で一人たそがれる巫女がいるとは取材の価値ありかと」
文は手早く筆を取り出して霊夢の言葉を待つ。
「今日はいい天気だから遊びに来ただけよ、そしたら怪しい山田と案山子を見つけた」
「ああ、この田圃ですか。古く神田として使われていたそうですけど、今は誰も使ってませんね。案山子も放置というわけです」
「じゃあ何で水入ってるのよ?」
「使っている田もありまして、そこに入れるとここも一緒に入っちゃうんだとか」
「ずいぶんとおかしな構造」
「誰も困りませんし、気にしない程ここは誰にも興味を持たれない場所というわけです」
文は筆と手帳をしまうとカメラを取り出しファインダーをのぞき込んだ。
「ちょっと撮らないでよ」
「まあまあ、記念写真と言うことで。この案山子もいつ折れるか分かったもんじゃないですし、一緒に写します」
かしゃっと小粋な音がしてカメラを収めると、もう文はしたり顔だった。霊夢は不機嫌な顔を一度見せると案山子の方を向き直した。
「この案山子いつ頃からあるのかしら、ずいぶん古そうだけど」
「分かりません。私が初めて此処を知ったときには既にありましたし」
文屋が何時此処を知ったか分からないが、もしかしたら想像以上に古いのか。霊夢は目を凝らし案山子を見つめる。
「巫女は案山子がお好きなようで。その案山子は山田のそほどとも呼ばれていますよ」
「山田のそほどねぇ、クエビコ様の事よね。歩けないけど天下を知る知恵の神様」
「流石よくご存じ。まあ誰かが呼び出しただけなんですがね」
文も目を霊夢から案山子に移す。案山子は風で少しぼろ布を揺らしていた。
「移したりすればいいのに、いつまでここに置いとくの?」
「この辺りは原生のままにしておこうとされているので、天狗がいる間はこのままなんじゃないでしょうかね」
「じゃあ、あんたたち何時居なくなるのよ」
「ええ、そんな寂しいこと言わないで下さい。と言いたいところですが、天狗も日進月歩ですからね、その内ふっと引っ越したりするかもしれません」
「そしたらこの田圃は私が貰おうかな」
「博麗の巫女、神田相手に妖怪以上に大苦戦。良い記事になりそうです」
「あんたたちが居なくなったら、そんな新聞記事書く奴は居ないでしょ」
「やや、それはいけない……あ、良いことを思いつきました」
そう言うと文は地を軽く蹴り飛び上がって案山子の隣までまで宙を移動した。懐からひも付きの手帳を取り出すと案山子の左の腰あたりの布に無理矢理くくりつける。手帳は案山子の腰巾着の様になった。
「何してんのよ、備忘録?」
「私の予備のネタ帳ですよ。もし天狗が居なくなった場合は案山子に新聞を書いて貰いましょう!」
「そりゃまた他力本願というかなんというか」
「新聞が無くなったら寂しいでしょう?天狗の山の案山子です、新聞位そのうち書けるようになりますって」
文は軽やかに霊夢の側までくると、満足げな顔をした。霊夢が呆れていると、文は思い出したかの様に空を見上げる。
「そう言えば霧の湖に不法投棄がされているとか。こんな所で油売ってないで、取材に行ってこなくちゃ」
そのまま風を纏って飛び上がると文は山を下っていった。
言葉を交わす相手が居なくなった霊夢はまたぼんやりと案山子を見つめる。
天狗はその内何処かへ行ってしまうのだろうか。天狗のその内というのもまたどの程度の時間を言うのかわからないが。
そんな事をぼんやり考えながらも、霊夢は何か案山子に惹かれるものを確かに感じていた。
「そんなに見て、穴開けるつもりなの?」
雲がうっすら流れた頃。霊夢は後ろから声をかけられた。
声に覚えのある霊夢が後ろをちらりと見ると、赤と青が半分の奇抜な服が見えた。永遠亭の薬師永琳だと判別するのに時間は要らない、再び案山子の方を見る。
「穴を空けるんなら簡単なんだけどね」
「案山子を見つめるなんて心は病を抱えているのかしら」
「退屈に蝕まれているかもね。あんたこそ山に来る様には見えない、登山が趣味なの」
「ちょっと薬草の分布で調べたい事があるだけ、此処らへんはまだ緑も多いし。それにしても古臭い案山子ね」
永琳は霊夢の横まで来ると案山子を見る。
「山田のそほどとも呼ばれているらしいわよ」
「……なるほどね。確かに案山子よりそほどとして使っていたのかもしれないわ」
「案山子とそほどって違う物だっけ?」
「今は別に区別するもんじゃないけど。そほどは祭儀用の依代に近い人形で、害獣避けの案山子はもっと後に出来たのよ」
「ふーん、まあ人形じゃ歩けないわね。クエビコは知恵の神様だけど何で歩けないのに天下に詳しいのかしら」
「貴方だってここにずっと突っ立ってるだけなのに、今新しい知識を手に入れたじゃないの」
「……まったく、あんた達はいつも意地悪い言い方ばっかりする」
「そんなつもりはありません」
「あんたは何時まで幻想郷に居るの?ずっと居たようだけどさ」
霊夢は興味本位でふとそう口にした。天狗はいずれ何処かに行くかもと言っていた、そこが何処か心に引っかかっていたのかもしれない。
永琳はきょとんとした顔で霊夢を見る。
「私は此処が便利で、輝夜も気に入っているから今はここに居るだけよ。もっと良い場所があったり、気に喰わないことがあれば出て行く」
「そうなの、あんたが居なくなったら里の人は重病の時に困りそうね。何か秘伝書とか残しておいたら」
「あら、こんな医者に頼るようじゃ駄目でしょう。私は幻想郷に残して良い物を持ってない。これなら上げてもいいけどね」
そう言って永琳は被っていた帽子を脱ぐと、ずっと案山子を見ている霊夢の顔を無理やり動かして目を合わせると頭に乗せた。
「ちょっと何すんのよ」
「意外と似合うわね……要らなかったらそこの案山子にでも乗せとくと良いわ。ただし自分で乗せること」
少し笑みを浮かべて続ける。
「山田のそほどは山田って所が重要なの。山は外界を見下ろせる。田は人を呼ぶ。だからこそ山田のそほどは歩かず天下を知った。でもそれだけじゃない」
霊夢が首を傾けると、永琳は霊夢の頭をぽんぽんと叩き、調査の続きをするからと森の奥へと姿を消した
「まったく、何なのよ……」
霊夢は溜息を軽く吐くと、早速帽子を取って案山子の頭上まで飛んで永琳の帽子をボロボロの頭の上に載せた。
近くで見るとまた違ったものが見えた。確かに古い案山子だが、所々ボロのなり具合が違う。一部分だけそれなりに綺麗な部分もある。
洋服の様に見える部分もあれば、和服の様な模様もあれば、巫女服の様な物も有る。
不思議に思いながら霊夢は最早定位置と化した場所に戻り再び案山子を眺める。
日は少し動き空は青を濃くしたように思え、流れる雲は霊夢の見知った物では無くなってしまった。そよそよと吹く風が霊夢の服や髪を揺らす。
ただ過ぎていく時間も霊夢を焦らせる事はなかった。
「ごきげんよう、サボり癖でもできちゃったの?じっと案山子を見ているなんて」
霊夢は急に耳元で声を書けられて思わず振り向いた。声の主は口元を扇子で隠し、目だけで笑っている。紫だった。
「びっくりさせないでよ」
「驚くのもまた妖怪の好物ですもの、ご馳走様でした」
「適当なこと言って……何しに来たのよ」
「天狗は変なことばっかするから、ちょっと話の場を設けようと思って口先だけの挨拶して来たの。そしたら霊夢が居るじゃない、挨拶しに来たのよ」
「口先だけの?」
「今日はもう疲れちゃったから、口先だけの」
得体のしれない間が流れ、何となしに二人で案山子の方を見ると紫が口を開く。
「あの案山子……ださいわね」
「……うん」
永琳の帽子を身につけた案山子は、厳かな雰囲気から一気にシュールな物へと変化していた。誰のものか知っている二人にとってはなおさら可笑しな案山子にしか見えない。二人で眺めていると馬鹿らしくさえ思い始めていた。
「山田のそほど、ね……随分と不思議な格好になっちゃって」
「紫は知ってるの?私はさっき天狗から聞いたんだけど」
「そりゃあもう。だってそう呼び始めたのは私だからね」
「なんだ、そうだったの?」
霊夢は真相に少し驚いたが、紫なら納得もできる気がした。
「そほどがどういう物なのか、帽子の主に聞いていたわね。それに」
「なんか私、この案山子には妙に惹かれてしまって……ずっと見てるの。別にサボりたいわけじゃないんだけど」
「それは、貴女が巫女で自由だからじゃないかしら」
「……あんたの言うことは分かりにくいのよね」
結局二人はシュールな案山子を見続けたまま会話を続けた。相変わらず案山子は時折ボロ布を揺らしている。
「クエビコは歩けない、何でだか分かる?」
「人形だし、まさにそこの案山子みたいな物だったんでしょう。足が地面に挿さってりゃそりゃ歩けないわ」
「でしょう。だから貴女は案山子の事が気になってるのよ。歩けない、不自由の象徴みたいな案山子が賢い。なのに霊夢は空を飛んで自由だけど、何も知らないから」
「むう、無知と言われるのは心外なんだけど」
紫は顔をほころばせると、暑くもないのに扇子で顔を扇いだ。
「貴女は案山子と似ているわ、似ているけど正反対。だから気になるのよ」
「何処が似てるのよ?私はこんなデクノボーじゃないわ」
「動き回ってるからね。でも巫女というのは、元々神様が宿る唯の依り代。そほども依り代、依り代は神様の入れ物なんだから、本当はそほど自体が神ということはあり得ない。巫女の貴女なら分かるでしょ?」
「クエビコ……では無いわよね、あくまでクエビコの正体がそほどなだけで。そほどは元々何を祀るためのものだったの?」
「そこはもう、失われちゃったのよ。でも山田のそほどは残ってクエビコという神になった」
霊夢の頭に月で見た伊豆能売の姿が思い浮かぶ。あれを見た時は驚いたが、クエビコもその様な物なのだろうか。
「依代はともかく、私は掃き掃除とか、妖怪退治とかしてるじゃないの」
「そこは正反対の所。ただ今の霊夢はちょっとまずい状態にあるかも知れない。早く自分の役目に気づいてね」
また分からないことを言う。霊夢は頬を掻いた。
その時ふとまた興味本位で口が開く。
「ところで紫、あんたは何時まで幻想郷に居るの?」
「何でそんな事聞くの?」
紫は即答ならぬ即質問返しした。霊夢は逆に考え込んでしまう。
「なんで、かしら……この先の幻想郷はどうなってしまうのかと思って」
「まあ、ふふふ、貴女が真っ先に退場しそうな癖に、誰にでもそういうこと聞くのね」
紫は霊夢が考えたよりかなり前から話を聞いていたらしい。その事に気づいて霊夢はどうにも気恥ずかしい気がしたが、そこは押し殺した。
「答えてあげるけどね。私はこの幻想郷自体が云々よりも、妖怪が優雅に暮らせる場所こそが重要だと思ってる。だから、もしも幻想郷が妖怪を保つシステムを壊さざるを得ない状況になったら……」
「なったら?」
「それはもう幻想郷に代わる所に行って、新しく作るしか無いでしょうね」
霊夢は心にチクリと針を刺された様な傷みを感じた。紫なら何があっても幻想郷に居そうだと勝手に考えていた、しかし紫の答えは正しく当然にも思える。
だから霊夢は特に何も言葉を返さなかった。しばしシュールな案山子を二人で眺める。再び口を開いたのは紫だった
「もしこの幻想郷を捨てるような事に成っても……その時は……」
紫は目の前で扇子を縦に動かすと、空間にスキマが出来た。その中に扇子を持った手を差し入れると直ぐに手を引いた。
手に扇子は無くなっていて、今度はその手で案山子を指さす。紫の手をずっと見ていた霊夢はそのまま案山子まで視線を移す。
案山子は手に扇子を持っていた。どうやら今の扇子らしい。
「私の代わりに案山子が見ててくれるでしょう」
霊夢が再び紫の方を向くと、紫の姿は既に消えていた。スキマも何も跡形もない。
案山子の前で霊夢は三度取り残された。
オンボロ案山子に新たに加わった文の手帳、永琳の帽子、紫の扇子。新しい物と古い物のコントラストは不気味や厳かとも言えず、ただただ奇天烈だ。
そんな案山子は霊夢にとって段々とって魅力的に見えなくなっていた。しかし引っぺがす程の事でもない。
霊夢は案山子を見ながら考えに更ける。
何故この案山子、いやそほどと言うべきか、そほどが魅力的に見えたのだろう。紫は私と似てるけど正反対だからと言っていた。
しかし私は文、永琳、紫との会話で三人とそほどの正反対になる部分も見えていた。至極単純に進もうとしている所だ。
天狗も永琳も、紫も、本当はより良い何かを求めているし、そうなる様に動いているんだ。
これは最早今の三人だけではない。生きること自体が前に進むこと、生きていないそほどとは誰しもが反対なのだ。
でも今日の私は余り動く気が無かった、今日の私はその点でもそほどに似ていたのだろう。
人や生き物は、前に進まなくてはならない。全く動かなければ生きていけない。
それだけじゃない、人は人として歩む事を余儀なくされてきたのかもしれない。悠然と構えて考える賢人も、本当に全く動かなければ唯の愚者と呼ばれてしまう。
向上心のない人は悪く言われるだろう。結果的に前に進んでいなければどんな行動も無駄と言われるだろう。
そんな中、本当に、全く、延々と、動かないで、そこに居る。ひょっとしてそんな存在に人は何処か憧れるのか。
その憧れの対象がそほど──だったとしてもおかしくない。そほどが宿した神を伝える者はもう失せてしまった。でも、そほどだけは残ったのだ。
邁進する人の祀る神ではなく、ただの道具であるそほどが……。
人は前に進み続けなくてはいけない。そんな考えへのアンチテーゼみたいに。
「ふう、でも……」
霊夢は今朝の様に大きく深呼吸をする。
でも、やっぱり私は生きている以上前に進まなくてはいけない。紫の言いたかったことはそういう事だろう。
いつまでも立ち止まっている事は出来ない、憧れてもその役はそほどに任せるべき。
丁度そろそろお腹も空いてきたところだし、私は今やることをすればいい。掃き掃除もしなくちゃいけないから、もう帰ろう。
案山子は新しい物を身につけながらも、相も変わらず立ち尽くしていた。
霊夢はふと思いつき、案山子の側に飛んで寄る。胸のリボンを解くと、案山子の首の部分に結んだ。
「あんたが依り代だって言うんなら、私の気持ちもちょっとは持っていてくれるのかしら。幻想郷の事をずっと見ててよね」
案山子にそう言い残し、霊夢はそのまま飛び上がって山を後にした。
田の水面は鏡の様に反射し空を映す。
霊夢の瞳に映る案山子は、空の中に只一人孤独に立ち続けているようにも見えた。
さすがと言っておきます
また、それが人工物である案山子に託されているという点に、自由と不自由という相反する象徴に
両義的な解釈を試みようとする意思を垣間見て感銘を受けました。
『古事記』に見られる案山子を智者とするクエビコの神性は、
『荘子』の影響(明鏡止水の記事など)があるのではないかなぁとも考えています。
哲学的?に勉強になりました。
そほどやクエビコ。古事記と神道(今は集中的に神道)を勉学中の私にとっては新たに気になるワードとして調べ、知識として取り入れようかと思います。
片隅さんの作品は私も読もうかと思いましたが、何分、寿命ネタは嫌っております故、途中で断念してしまいました。
ただの愚痴ですね。すみません。
それはともかく、ほのぼのとした良い作品でした。
次回も期待しております。
冗談はさて置き、やはりそういうのを忘れてはいけませんね
このままずっと立ち止まっていたくなるときもありますよね
案山子に想いを託す四人に少しほろりときました
セピアでノスタルジックなお話でした。いいなぁ
霊夢が皆に幻想郷にいつまでいる?と聞いている所で
妙な寂しさを感じたり。
みんなうつろいゆくのだなぁと思って不思議な気分になりました。
大変面白かったです。
面白いSSをありがとうございました。
時間の流れを感じさせられました。
じっと案山子を見つめ続ける霊夢は可愛いというか何というか、すごく良いものですね
日本の神話などにもお詳しいようで羨ましいです。
そんなことを言った人もいましたよね。
案山子と登場する三人と霊夢。これだけのピースでうまく物語が回っていますね。