ふと、魔女は独り言のように、本棚の方を向いて私に聞こえる声量で喋りだした。
「魔理沙に出会うまで、私はずっと館から出ずに日々を過ごしていた。別に、館の住人達と接することに飽きたわけではないわ。でも……なんていうか……同じ魔導を目指す人が、欲しかったのよ」
「……お友達、ってこと?」
私の言葉に、魔女は苦笑いしていた。
「そうかもしれないわね。競争相手……と言うべきかしら。なんていうか……井の中の蛙だったのよ。私も、あの子も」
あの子とは多分、館の主を指しているのかしら。
「自分の実力がどれくらいなのか。どのくらい努力しているのか。結局それは、他人と比べてみないことには何も分からないのよ。兎は死ぬまで怠け癖が直らなかっただろうし、亀は非力でも努力を実らせることを知れた」
彼女自身、この瞬間に気付いたのか、笑みを浮かべていた。
「あの子はどうして、一人で努力できたのかしらね。師匠でもいたのかしら」
「人間だからじゃないかしら。いつ死ぬか分からない人間は、とにかく努力し続けないと気が気でなくなるんじゃない?」
「一理あるわね。……ルーミア」
「何かしら」
「感謝するわ」
驚いて魔女を見ると、まるで私は既に立ち去ったような態度で本に視線を落としていた。
感謝されるようなことをしたつもりはないけど、まぁいいか。
私は紅茶を飲み干し、既に読書へ頭を切り替えている魔女をもう一度見て、部屋を後にした。
面白かったです
3人とも好奇心が強くて素敵です。
星の魔法を探求する魔理沙にとってパチュリーの月火水木金土日を操る魔法なんてさして興味もないだろうし、その逆もまた然りな気が。
なんでパチュリーが魔理沙の魔法使いの道をしたり気に語っているのか違和感が。
目指すものも工程も過程も異なるものを外から見て、努力や才能という言葉で一括りにするのは単純過ぎる気がするけどなぁ。
3話いつ出るのかなーと思ってたらいつの間にか出てましたね。
ここに来るまで3話と4話を読んできましたが、面白いのと不満なところがあって、五分五分な感じです。
でも続きは気になりますので、待ってます。
確かにそんな気がします
しかし、あの童話は案外正しい気がしますね
地味で必死な努力をすることで初めて競争者になれる気がします
たとえ話が上手いです。
ひとつ気になったのは、
>瞬間、私は魔女に襲いかかっていた。
のタイミングが遅いのではないかということで、
本当に「瞬間」なら太陽が出たその時に行くべきではないかと思います。
パチュリーが一フレーズしゃべり終えてから襲ってもそれは遅いかと。