「ねえ、永琳これ見て」
「Tシャツですね。姫様」
梅雨時でじめじめするこの季節とは関係なく。室内にこもってしまうのはいつものことなのだ。
しかし、輝夜はその永遠の時間を退屈に過ごすことには疑問を持っていた。
だから、思いつきで作ってしまった。もちろん、自分で作ったものではなく、名も無きイナバのハンドメイドだ。
「そう、そしてこのバックプリントを見て」
「蓬人って印刷されてますね。蓬莱人の印刷ミスですか?」
そして、出来上がった。Tシャツを着て、永琳に見せにきたのだった。ちょっと、自慢したかったということはある。
「ううん。違うのこれであっているの」
「え? そうなんですか」
正確にはプリントではなく、パッチワークなのだがさほど重要なことではない。
「うん、これで、ほっちゅて読むの」
「ほっちゅってどういうことですか?」
この間、永遠亭の一室に草紙が落ちていたのを、輝夜は拾って見つけた。
別に興味も無かった。落とし主を探すつもりも無い。もしかしたら、ゴミなのかも知れない。
ただ暇だったので少し読んでみることにした。すると、そこに沖縄の海人ことが書いてあったのだった。
結局それに影響されていたのだった。
「海に人って書いて、うみんちゅって読むの。だから、蓬の人でほっちゅなの」
「ほっちゅ、まだ微妙な響きですね」
ちょっと、輝夜はショックだった。何かこう、妹紅に似た熱い何かを輝夜は感じてこのTシャツを作ったのだった。
妹紅との関係は微妙な関係では無いと、高らかに叫びたい気分だというほどでは無いのだが。他にたとえる気持ちが見つからない。
「微妙ってどういうこと?」
「いや、微妙ですよね?」
「でも、こうやってこのTシャツ着てクルクル回れば何か魅力を感じない?」
「……それって、でも」
永琳は思った。このTシャツ自体には微妙としか感じられないが、目の前で輝夜がクルクル回ることにはたしかに魅力を感じていた。
でも、それは普段着の輝夜が同じ動作をしても感じられる魅力だと思う。
「でも、何?」
「いえ、魅力的だと思いますよ」
結局、永琳はTシャツとは言わずに魅力的だと答えた。
もちろん、これではTシャツが魅力的だと言っていると誤解を受けてしまうことは承知だった。
でも、自信を持って嬉しそうに、この蓬人、ほっちゅTシャツを自慢している輝夜を悲しませたくは無かった。
「そう、そうよね! やっぱり、そうよね」
「はい、姫様」
輝夜はとても嬉しかった。だって、永琳のお墨付きがおりたのだ。
そして、思いついたときから決めていた。行動を起こしていた。そう、このTシャツを売り出して、少し位自分のおやつ代くらいは稼ごうと決めていた。
すでに、名も無きいなば達に命じて200着を作らせている。一着作るために、500円かかる。それを、1000円で売り出して100000円儲ける計画だった。
輝夜の部屋はダンボールでいっぱいになっている。
その事実をまだ、永琳は知らない。
姫様にTシャツは似合うと思う短パンもいいかもしれない
姫様が可愛かった
輝夜はいつも元気でなによりです。
一作品集の中で一つ二つあなたの作品があると安心します。
姫様は¥100000を元手に大々的な商売を始めるのか、全ておやつ代に消えるのか···
をうみんちゅから作り出すその発想力に脱帽。
着物以外にも、Tシャツ等のラフというかカジュアルな洋装が似合いそうですよね