過酷、熾烈なウサギ飛びを終えて、くたびれた膝に鞭打ちながら二人は星を見ていた。
「いいか? 早苗! あそこに輝く星をよく見ろ。あれが新作の星だ!」
「はい、神奈子様!」
郷の夜空には、新作の明け星が輝いている。新作の狭き門を突破できる主人公はたったの三人しか居ない。
だから、新作に出るために、日々の努力は怠るわけには行かない。神奈子は早苗に対してスパルタ教育だった。
そして、今日も激しい弾幕の投げ込みを行う。弾幕をぶつけるために用意した、壁はあちこちこげたり、えぐれたりとてその大変さを物語っている。
「早苗……。ガンバレ!」
そんな、二人を御柱の影から諏訪子は心配そうに見つめて小さな声でつぶやいた。
「いいか! 弾幕! 弾幕! 弾幕! 早苗! お前は鬼だ。弾幕の鬼になるんだ! そして、自機に主人公になるんだ」
「はい! 神奈子様! 私は弾幕の鬼になります。 主人公になります」
早苗の瞳は燃えていた。本当に瞳が、燃えているようになっていて揺らめいていた。そして、大量に滝のような涙ではなく、心の汗を流していた。
「足りない。ぜんぜん足りないぞ。なんだそれは? 声が小さい! もっと、自機になりたいと心の底から叫べ! 恥じらいを捨てろ! しかし、誇りは忘れるな!」
「私は! 弾幕の鬼になります。 次回作も自機になります!」
神奈子は神だが鬼だ。しかし、弾幕の鬼じゃない。弾幕の鬼には、過去の戦争のせいでなれなかった。そう、神奈子は自機主人公会から追放された身分だ。
今の、早苗は新作弾幕要請ギブスをつけている。動くたびに身体に負担、不可が掛かった。腹のそこから叫ぶことさえ一苦労だ。
すべて、弾幕の鬼になるための修行だからしかたがない。このギブスを付けていることに全く違和感が感じられなくなるまで鍛えることが出来るのならば、自機になれる気がする。
「よし、次の弾幕いくぞ!」
「はい、頑張ります!」
「ねえ、神奈子。最近、ちょっと、早苗にきつくあたりすぎじゃない?」
「いや、まだね。まだまだ、早苗は出来る」
夕飯の時間、諏訪子はちゃぶ台に味噌汁とご飯を持って夕食をもりながら、神奈子をたしなめている。
しかし、それは甘やかしに過ぎないと神奈子は思う。
ガラン!
神奈子は、諏訪子にアイコンタクトして、ちゃぶ台の上にあった夕食をどかさせちゃぶ台をひっくり返した。
「おい、早苗! ちょっと来なさい!」
「はい? なんですか?」
そして、何かに感化された神奈子は、早苗を呼び出した。これから、特訓だ。
「なんだ? その間抜けた返事は? 弾幕! 弾幕! 弾幕!」
「はい! 神奈子様申し訳有りません!」
神奈子の平手は容赦なく、早苗の薄い頬を襲った。
早苗は、弾幕のせいで豆だらけになり痛む手に鞭打って、弾幕磨きをしているところだった。だから、他のことにはまるで無頓着ほうけていたのが災いしたのだった。
一瞬、早苗の表情にいきなり平手で打たれたことの怒りが感じ取られた。しかし、すぐに自分の間違いに気づいたのだった。
夕食の時間だというのに、二人はいつもの特訓場に来ていた。そして、神奈子は妖夢に見せ付けられた、あの居合いを早苗の弱点だと見ていた。
そう、あの居合いを攻略できない限り早苗の自機はありえない。神奈子にとって、かつて諏訪子がそれであったようなものだ。
あの鉄器を崩すための必勝法を編み出すのにはとてもとても苦労した。
そうだこれは、神奈子と早苗がお互い命を懸けて挑まなければならない特訓だ。神奈子は妖夢のような居合いは出来ないからその代用品を用意するしか無い。
「いいか、早苗。この弾幕に油をかけて火をつける」
「はい」
行き着いた答えがこれだった。居合いのように触れないもの、つまり弾幕に火をつけて発射すればそれはもうよけるしかない。
けして、かすることすら許されない。
「いいか、妖夢の居合いを受ければ即被弾だ。かすりなど狙おうと思うなよ。これを、被弾せずに全部よけるんだ」
「できません」
バシン!
答えたか答えなかったくらいのこと、乾いた音が辺りに響いた。
「な、何をするんですか?」
「甘えるな!」
神奈子は頬を平手で叩いた。神奈子の心は痛んだが、早苗に分からせなければならない。
そんな、神奈子の様子をみて、早苗は涙。いや、心の汗を流したのだ。
新作の星を目指した、二人の戦いは始まったばかりだった。
二人が出かけた後のことだ。ひっくり返された、ちゃぶ台を片付け再び夕食を準備しながら諏訪子はその二人を心配して泣いた。
諏訪子にだって、悩みだってある。あの、白玉楼の令嬢に求愛されて、どう断ろうか思っているのだが、それよりも二人のことが心配だった。
今はまだ、新作の星を目指す序の口だけど、次回作も再び自機を主人公を目指すのだった。
「いいか? 早苗! あそこに輝く星をよく見ろ。あれが新作の星だ!」
「はい、神奈子様!」
郷の夜空には、新作の明け星が輝いている。新作の狭き門を突破できる主人公はたったの三人しか居ない。
だから、新作に出るために、日々の努力は怠るわけには行かない。神奈子は早苗に対してスパルタ教育だった。
そして、今日も激しい弾幕の投げ込みを行う。弾幕をぶつけるために用意した、壁はあちこちこげたり、えぐれたりとてその大変さを物語っている。
「早苗……。ガンバレ!」
そんな、二人を御柱の影から諏訪子は心配そうに見つめて小さな声でつぶやいた。
「いいか! 弾幕! 弾幕! 弾幕! 早苗! お前は鬼だ。弾幕の鬼になるんだ! そして、自機に主人公になるんだ」
「はい! 神奈子様! 私は弾幕の鬼になります。 主人公になります」
早苗の瞳は燃えていた。本当に瞳が、燃えているようになっていて揺らめいていた。そして、大量に滝のような涙ではなく、心の汗を流していた。
「足りない。ぜんぜん足りないぞ。なんだそれは? 声が小さい! もっと、自機になりたいと心の底から叫べ! 恥じらいを捨てろ! しかし、誇りは忘れるな!」
「私は! 弾幕の鬼になります。 次回作も自機になります!」
神奈子は神だが鬼だ。しかし、弾幕の鬼じゃない。弾幕の鬼には、過去の戦争のせいでなれなかった。そう、神奈子は自機主人公会から追放された身分だ。
今の、早苗は新作弾幕要請ギブスをつけている。動くたびに身体に負担、不可が掛かった。腹のそこから叫ぶことさえ一苦労だ。
すべて、弾幕の鬼になるための修行だからしかたがない。このギブスを付けていることに全く違和感が感じられなくなるまで鍛えることが出来るのならば、自機になれる気がする。
「よし、次の弾幕いくぞ!」
「はい、頑張ります!」
「ねえ、神奈子。最近、ちょっと、早苗にきつくあたりすぎじゃない?」
「いや、まだね。まだまだ、早苗は出来る」
夕飯の時間、諏訪子はちゃぶ台に味噌汁とご飯を持って夕食をもりながら、神奈子をたしなめている。
しかし、それは甘やかしに過ぎないと神奈子は思う。
ガラン!
神奈子は、諏訪子にアイコンタクトして、ちゃぶ台の上にあった夕食をどかさせちゃぶ台をひっくり返した。
「おい、早苗! ちょっと来なさい!」
「はい? なんですか?」
そして、何かに感化された神奈子は、早苗を呼び出した。これから、特訓だ。
「なんだ? その間抜けた返事は? 弾幕! 弾幕! 弾幕!」
「はい! 神奈子様申し訳有りません!」
神奈子の平手は容赦なく、早苗の薄い頬を襲った。
早苗は、弾幕のせいで豆だらけになり痛む手に鞭打って、弾幕磨きをしているところだった。だから、他のことにはまるで無頓着ほうけていたのが災いしたのだった。
一瞬、早苗の表情にいきなり平手で打たれたことの怒りが感じ取られた。しかし、すぐに自分の間違いに気づいたのだった。
夕食の時間だというのに、二人はいつもの特訓場に来ていた。そして、神奈子は妖夢に見せ付けられた、あの居合いを早苗の弱点だと見ていた。
そう、あの居合いを攻略できない限り早苗の自機はありえない。神奈子にとって、かつて諏訪子がそれであったようなものだ。
あの鉄器を崩すための必勝法を編み出すのにはとてもとても苦労した。
そうだこれは、神奈子と早苗がお互い命を懸けて挑まなければならない特訓だ。神奈子は妖夢のような居合いは出来ないからその代用品を用意するしか無い。
「いいか、早苗。この弾幕に油をかけて火をつける」
「はい」
行き着いた答えがこれだった。居合いのように触れないもの、つまり弾幕に火をつけて発射すればそれはもうよけるしかない。
けして、かすることすら許されない。
「いいか、妖夢の居合いを受ければ即被弾だ。かすりなど狙おうと思うなよ。これを、被弾せずに全部よけるんだ」
「できません」
バシン!
答えたか答えなかったくらいのこと、乾いた音が辺りに響いた。
「な、何をするんですか?」
「甘えるな!」
神奈子は頬を平手で叩いた。神奈子の心は痛んだが、早苗に分からせなければならない。
そんな、神奈子の様子をみて、早苗は涙。いや、心の汗を流したのだ。
新作の星を目指した、二人の戦いは始まったばかりだった。
二人が出かけた後のことだ。ひっくり返された、ちゃぶ台を片付け再び夕食を準備しながら諏訪子はその二人を心配して泣いた。
諏訪子にだって、悩みだってある。あの、白玉楼の令嬢に求愛されて、どう断ろうか思っているのだが、それよりも二人のことが心配だった。
今はまだ、新作の星を目指す序の口だけど、次回作も再び自機を主人公を目指すのだった。
それにあまりにも短すぎます。
せめて4KBくらいは入れたほうがよいと思います。
内容的に言うと、早苗が非常にかわいそうです。
失礼いたしました。
巨人の星も、こういう理不尽なスポ根ノリも、もはや忘れ去られ幻想入りしちゃったんですね。こういう根性論や頑固おやじは、今や憎しみと嫌悪の対象、を通り越して忘却の彼方です。ただ、美しく可憐な幻想郷の少女たちがこのノリを受け入れるかというと…。幻想郷にすら捨てられたら、スポ根はどこへと流れ行くのでしょうね。
悲しくなってくるからやめろ……