驚天動地である。
としか言いようがない。
僕の店に客が満ちて、商品をあれやこれやと買いあさっていくのである。 僕は生まれて初めて、と言うのには語弊があって(修業時代にはよくあったことなので)、改めて僕は初めて商品棚の前に「品切れ」という札を掛けて、すまし顔で椅子に戻った。
あぁ、なんという幸福。願わくばこの享楽が永遠に続かないだろうか?
「なぁ、こーりん、これいくら?」
「5銭になります」
「おい店主、これはいくらだ」
「あぁ、大変お目が高い・・・・」
「はぁい」
幻想郷に唯一ある、ビデオ上映の館主がやってきた。
「やぁ、いらっしゃい」
「旺盛してんじゃないの」
「おかげさまで」
僕は「何か御入り用で?」と聞くと、彼女は「お茶飲みに来た」と返す。
「ここはもう君がゆっくり本を読んだり、お茶が飲めるほど静かな場所じゃないよ」
僕は言ってやった。 今僕の店は閑古鳥は泣いてない。
「別にいいわよ、どうせ直ぐに閑古鳥が鳴くようになるから」
「そうに決まってるわ」と彼女は笑っていた。
彼女のカンはよく当たる、僕も「だろうね」と返した。
だとしたら、この山積みになったビデオテープの山をなんとかそれまでに売りぬかないとな。
「おーい! こーりんこれいくら!?」
「それは1銭だよ」
「たかいー!」
外の世界と同様、幻想郷も永遠に続くなんてことはそうそうないのかも知れない。 幻想郷はゆっくりとだけれど、時間は流れているんだ。
「毎度ありがとうございます」
僕の店がちょっとしたうわさの店になるには、霊夢が持ってきたサンヨーとか言うテレビが僕の店にやってきたことから始まる。
今では博麗神社で毎日テレビを上映してるらしいが、壊れていやしないかとちょっと心配になることもある。
はじめて幻想郷にやってきた博麗さんチのテレビを僕もあとで見に行こうかな?
ちょっとだけ、黒いテレビテープを握る子供たちの手が力強く見えた。
そんな時、小さな影が店の中に入ってきた。
小さな硬貨を握り締めて。
博麗さんチのてれび
「で? 治せるんでしょうね?」
「・・・・はい、直せます、直して見せます」
「だから、殺さないで・・・・」と哀れな河童の職工はか細く消え入りそうな声で言った。 博麗の巫女は「妙な動きをすれば明日はない」とでも言いたげな眼光を背後で放ち、お払い棒をびゅんびゅんと空気を切るように振り回してる。
そのそばには物言わぬ(辛うじて、死んではいないと思われる)妖怪、もしくは人、それと神が転がっていた。
この特筆するべき力をもたない河童の職工、にとりが生かされているのは彼女のささやかな生業である機械いじりが、幻想郷で一番得意だという好評あってのことだった。
にとりは少し考えていた。
とりあえず「サンヨー、サンヨー」とこの巫女が連呼するこの箱は「テレビジョン」という外の世界の娯楽品であることは間違いない。
実は、このテレビの類似品なら妖怪の山でも生産されたことがある。 が直ぐに廃れた。
何故なら利用価値がないからである。
外の世界では長い周波に乗せた高周波に乗せて飛ばす、凄い技術が会ったりするらしい。 その細かな波を機械が情報を読み取り、それを元にして画面に映像を映し出しているらしい。 が、いかんせん幻想郷ではその肝心要の電波が無いのである。
よって幻想郷で作られたテレビが映し出すものは砂嵐の画面と、河童たちが自主制作で作った極めて意味不明で正気を疑われる映画であったり、酷い時には砂嵐の中からお化けが出てくる具合の物で、人里では甚だ不評だった。
「ほら、きっとこの鏡の部分が大事なのよ! 私が居た時はぴかぴか光ってたんだから!」
「ほ、ほぅ・・・・」
にとりは冷や汗をかきながら霊夢の素っ頓狂で的外れな言葉に相槌を打った。
幻想郷で開発されたテレビと言うものは、まるで白い病棟に隔離された精神患者の考えた小説がごとく、常軌を逸した代物があちこちに存在する。
にとりはそういう幻想郷に蔓延る技術とも言えないわけのわからない魔術的、宇宙的技術に辟易していたので、自分なりに外の技術を真似て、普通の人間でもわかる真っ当な道具を作るのに執心していた。
が、このビデオの修理はやりすぎであった。
外のからくりにある程度知識があるにとりでも、製作できるのは精々、イオン街にあるような電灯の看板くらいの物である。 ジャガイモ電池豆電球を存分に利用した、ピカピカ点滅する看板を依頼されたり、馬車の車軸を直したりと彼女は気の利いた職工であった。
にとりが「盟友、盟友」といつもにこにこして人間に親近感を沸かせているのは、人間の技術を尊敬していたからだし、そんな人間の技術をなんとか里に伝えようとしている姿が人間にとって甚だ微笑ましく、人間もにとりと同じように彼女の事が好きだったからだ。
「この銀色の線は何?」
「あー、あぁ! ど、どうせんだよ、これは解るよ!」
「ふぅーん」
博麗の巫女は、ついさっき5人ほど血祭りにあげたとは思えないほど純真な瞳を輝かせてにとりの説明を聞き、質問を投げかけた。
きっとこの少女に「実は修理できません」などとのたまえばこの河童の職工は他の5人同様、嫌々、さらに悍ましいくたばり方を強いられるだろう。
にとりはじっとりと額に汗が浮かぶのを感じながらも、自信たっぷりの笑顔を巫女に向けるほかなかったのである。別ににとりが下手な職工なのではない。ただ、にとりは人間の技術を尊敬しているが故に、この外の技術を集めた古めかしい機械を、幻想郷に蔓延る宇宙的あるいは魔術的な手段で修復したくなかったのだ。
にとりはそういう河童の職工が使う魔術的な手法でSANYOを直したところで、霊夢が思い描くような結果は得られないだろうと思った。
「で、いつごろ治るの?」
「あ、えっとぉ・・・・直るのはねぇ・・・」
「ん?」
にとりは、懸命に頭を働かせて、どうすれば極刑を避けられるか考えた。 一生懸命考えると、自分の未来が見えてくる。
『実は私達じゃこのからくりは治せないんだよねぇ』
『は? いま、なんて言ったの?』
『あ、違う違う! ちょっと直すのに時間がかかるんだよ!』
『どのくらい?』
『まぁ、4年くらいあれば』
『死になさい』
どうやら、自分に未来はないらしいとにとりは思った。
「え、えっと」
「ふんふん」
「け、けっこうかかるかなぁ・・・・」
「どのくらい?」
「あぁ、私はここで死ぬんだ」にとりはそう思った。 母親の腹の中で生を受け、父の言葉に従い外の世界に生まれ落ちたが、まさかこんな日に死ぬとは思わなかった。 ある意味職工の生涯に相応しい最後であると言えなくもなかったが、ちょっとだけ理不尽な気もした。
「わ、わかんないよ」
「解んないってアンタ・・・・」
にとりは「もはや、これまで」と観念して正直に言う腹を決めた。
「ご、ごめん霊夢」
「ん?」
「今の幻想郷に、これを復元できる方法はないんだ。 外の世界の道具ってのは、一人だけでほいほい作ってるわけじゃない。 何千、何万って人間が協力してようやくこの箱一つが出来てるんだよ」
「幻想郷の人口より多いかもね」とにとりは付け加える。
「河童の世界ではね、昔は古い役に立たなくなった職工を処分して新しい職工を次々に、代わる代わるに雇用していたんだ。 それで、思いついた製品があったら次の日にはそれがもう完成していて・・・・」
「大したもんじゃない、それでなんでこのテレビが復元できないの?」
もったいぶらずに治せ、と霊夢は思う。 この河童の職工はなんでこんなにバツが悪そうな顔をするのだろう?
「幻想郷ってのは、夢みたいな世界なのさ。 もしかしたら、私たちは誰かの夢の世界の住人なんじゃないかなって思う時もあるくらい、 私もその中の一人さ、まともな事なんて何一つ出来やしない」
「・・・・・ふぅん」
「だからこんな真っ当な機械を持ってこられても、こんな世界じゃ真っ当な方法で直す事なんで出来ないんだ」
霊夢はじっとにとりを見つめて言葉を聞いていた。
「私はこのテレビを動かせるようにできるよ。 明日にでも動かせるようになると思う。 けど、私達の不思議な方法でこれを直しても・・・・」
「直しても?」
霊夢はにとりの言葉がよくわからなかった。 夢の世界に霊夢達が住んでいるというくだりもそうだったが、にとりがSANYOを直すことを渋っているようにも感じたのだ。
「私達河童の方法でこのSANYOを直しても、SANYOは多分もう外の世界の道具じゃないよ。 霊夢が見たような映像はSANYOは見せてくれないと思う。私たちが作った、あの訳の分からない正気を疑う魔法の道具に成り下がってる」
「だから、私はこれを直せないよ」
「それでもかまわないってんなら、直すけれど」とにとりは付け加えた。
一応とばかりににとりは商売道具を並べてSANYOを横にした。
霊夢はにとりが言ったことを毛ほども理解してなかったし、そんなことはどうでもいいと思ってる性質であった。 とりあえず、SANYOが動いて文の新聞の酷いネタにされないのならどうだっていいと考えている。
だが、目の前のにとりが実に悔しそうで、自分よりもさらにこのSANYOの事を大事に思っているような気がした。
「ねぇ」
「・・・・やっぱりひき肉、ミンチ肉?」
「アンタ何言ってんの?」
ついで霊夢が一番気に入らなかったのは「幻想郷ではどうにもできない」というにとりの言葉だった。
まるで、幻想郷が外の世界に劣っているみたいな言い方じゃないの
霊夢はこの世界に誇りを持っている。 なんだかんだ言っても、幻想郷よりすごいところはないと彼女なりのナショナリティを持っていたのだ。 たぶん幻想郷で一番機械いじりに明るいにとりが、幻想郷の技術を全否定するような言い方が霊夢のカンに障った。
明るかったSANYOの顔が、今は霊夢を嘲笑っている、そんな気がした。
「ほら、SANYO持って!」
「?・・・?」
にとりを乱暴に立たせて、SANYOをにとりに持たせる。 霊夢は玄関で赤い靴を履き、にとりを手招きする。
「よし、行くわよ!」
「え?」
「どこに?」とにとりが聞くまでもなく、霊夢は空に飛びだした。 にとりは慌ててその後を追う。
幻想郷の修理屋といえば、霊夢の心当たりはあそこしかなかった。
『必ず治してやるんだから!』
太陽の光に当たったSANYOは偶に歪に輝いて、その具合が霊夢を見て笑っているようでもあった。
********************
「ふむ、今日は何の御入り用かな?」
「すっとろいこと言ってんじゃないわよ! こいつを治せって言ってるの!」
「・・・・何度も言うが、僕はそんな精密機械を直せる方法なんて知らないよ」
「知ってるならこんなに在庫は増えない」と僕は棚に山ほど陳列されている機械を眺めた。
今度は一体全体どういう風の吹き回しだろう? 唾を飛ばして吠える巫女を眺めてちょっと考えたが、意味がないのですぐやめた。
「それでも幻想郷の道具屋!?」
「博麗の巫女から幻想郷に代表されるなんて恐縮光栄だが、僕は出来ない」
「よくわからないけれど、隣にいる河童の職工さんに頼めばいいんじゃないかしら?」
「だーかーらぁ! それじゃあ私たちの負けなのよ!」
ちょっと横やりを入れてきたのは、無縁塚の近くにある花畑『ゆうかりんランド』の経営者である風見幽香その人である。 傘の修理を頼んできたので話を聞いていたところだ。
「あ、霊夢そんなことよりも、一緒に阿求に私の見聞録の改正頼んで頂戴よ。 人間有効度『皆無』なんかじゃないよって。私ちゃんと人間に友好的だよって・・・・」
「うるさいわね! あんたの評価なんてどうでもいいわよ!」
「・・・・・」
そう、彼女はこの場所で小一時間僕にそのことを愚痴ってばかりいるのだ。 ちょっと気の毒と言えなくもないが、めんどくさかったので霊夢の話を聞いてもいいかもしれない。
「この前まで『最悪』だったのに『皆無』悪化してるなんて・・・・私何かしたっけ?」
「・・・・君が大量にプレゼントした花が阿求の花粉症に障ったらしいよ」
「そんな理由で?!」
幽香は「もう最近じゃ花畑の肥料変わりに人間埋めてるなんて噂まで流れてるし・・・・、もう人里に行けない・・・・」とかしくしくとすすり泣いていたが、いい加減うっとうしいので、霊夢の方に向き直った。
「で、なんで河童の職工に頼んじゃ駄目なんだ? そこの理由が僕には分からない」
「外の連中が出来ることが、私たちに出来ないなんてそんなことあるわけないわ!」
霊夢は鼻息を荒くして言った。 そして霊夢の様子から、僕は霊夢の言わんとすることは解った。
「つまりこういう事かい? 君は僕たちの魔術的な技術に頼らずに、このSANYOを直して外の連中の鼻を明かしてやりたい、と」
「そうそう! そういうこと!」
「ふむ」
僕は、試しに僕の能力『名前と用途が分かる程度の能力』を使ってSANYOを触ってみる。
「・・・・どう?」
「・・・・・・」
名前『博麗さンチのてれび』
用途『不明』
霊夢はにかッと笑っている。
なんだろうこの名前? 『博麗さンチのてれび』ってどういうことだ? ちょっと考えたが、考えても答えが出そうになかったので僕は考えるのを止めた
「・・・・・」
「どう? 治せそう?」
ちょっと霊夢の意見に僕も思うところはある。 今の幻想郷は、あまりにも外の世界に依存してるというか、劣っていやしないだろうか?
こうした外の世界の物が流れてきても、大騒ぎするだけで何もできやしない。これでは道具屋の名が泣く。
せっかく霊夢もこうしてマトモな用件でやって来たのに、「できないよ」などと一言で片づけたのではあんまりにあんまりではないだろう。
確かに博麗の巫女が言う通り、この機械を、魔術的な方法に頼らずに直すことは意味があることなのかもしれない。
「動く様にはできるかもしれない、もちろん魔術的な手法を使わないでだ」
「ホントウ?」
「いまこの道具は用途が見えてない、つまり壊れて用途を失ってるってことだ、これが見えるようになったら修理完了ってことだな」
僕は部屋の片隅で熱心にガラクタを見て回っているにとりを手招きした。
「にとり、道具を使ってこの機械を少しずつ分解しよう、それを僕が能力を使ってみていくから、壊れている部分とそうでない部分をまずは判別するんだ」
「おぉ!」
当然のことだが、壊れた道具は用途を失っている、つまり僕の能力でも用途は見れない。 つまり用途が無い道具は壊れた道具だから、それを代用できる部品で大体してやればいつかはこのサンヨーも動かせるんじゃないかと考えた。 幸い僕の店には代替できる部品が山積みになっているんだ。
**********************
霖之助さんが「これじゃないか?」といくつかの黒くて平たい箱を持ってきた。 名前は「ビデオテープ」というらしい。 こういうサンヨーみたいな箱を拾ってくるついでに沢山落ちているらしい。
「タイトルは・・・・ぬーべー・・・・、後は、ウルトラマン、コマンドー・・・・バックトゥザフューチャー・・・・A.I・・・母を訪ねて3千里、海底2万マイル・・・・まだまだあるな」
「沢山あるのね」
「ほんとにこの箱の鏡が動いたりするのかしら?」
「そうよ。私はこの目で見たんだから!」
「とても想像できないわね」
あれは確かに夢ではなかった。 願わくばあの午前のけだるい感動を味わいたい。
「あぁ、これをこのサンヨーの口の中に入れるみたいだね」
「へー・・・・・」
「珍しく霖之助さんが外の道具に肉薄してる感じがするわ」
「珍しくとはなんだ」
霖之助さんが心底意外そうな顔をしている。 なんでそんな顔ができるのか理解不能だ。
「あっ! これこれ! これと同じ絵がサンヨーの顔に映ったのよ!」
「ほう」
ビデオテープが入っていた箱には、きれいな絵が描かれている。
「摩訶不思議アドベンチャー、と書いてあるな」
「ポンチ絵じゃない? どういうこと?」
「絵がサンヨーの顔の上で動くのよ! 絵がまるで生きてるみたいだったわ!」
「うーむ・・・・」
ビデオテープの中身は割りと透けて見えて、中には黒い紙が巻かれたものが二つほど入っている。 一体全体、どういう理屈で動いているのだろうか?
「外の世界のアニメーションとかいう技術だね。 磁気テープってのが中に入っていてそれを使って映像を出すんだとさ。 ただ天狗の目だと別物が見えてくるらしいよ」
にとりが「とりあえず、サンヨーをあけてみようか」といって、道具を使いサンヨーを囲っていた蓋をぱかりとあけた。
私がまじましとSANYOの中身をみると、凄まじく細かいモノがびっしりと埋め込まれている。
「よし、やるか」
「おう」
ふたりとも腕まくりして、サンヨーの中にてを突っ込んだ。
霖之助さんはにとりが「はんだ」とかいうものを溶かしたり削ったりして取り出したそれを、触っていっては分類していく。
傍に居た幽香も、物珍しそうに眺めていた。
「ねぇ霊夢、これって何?」
「サンヨーよ」
「ふぅん」
「私の家のてれびよ」
「へぇ」
「いけそうだよ、直るかもしれない」
「意外に頑丈みたいだ」
にとりは、「てすたー」とか読んでる箱をサンヨーの中に突っ込んで、針が触れるのを眺めて、はんだとかいう熱い鉄が溶けたやつをSANYOにくっつけているらしい。
霖之助さんは、店の裏から持ってきたサンヨーに似た箱を壊して、部品を取り換えていくらしい。
「いいの? 壊しちゃって」
「いいよ、こっちには名前がないからね」
意味が良くわからなかったが、壊してもいい箱だったらしい。
「『トランジスタ』・・・・? なんだこれは? 『IC』というものあるな・・・」
「ケミコンって何だろう?」
二人とも真剣にサンヨーを直しているみたい。
私は特に自分がすることが無いと気が付いて、椅子を寄せて適当な本を手に取った。 幽香は性懲りもなく霖之助さんに肩を寄せてサンヨーが修理されるのを見ていた。
もしかしたらあのつまらない男に気でもあるのかしら? とありえない想像をして過ごしていた。
どのくらい経っただろうか? 日が暗くなるころになって霖之助さんが叫んだ。
「やったぞ!」
「やったか!」
「おぉ?」
「へぇー」
幽香、あんたまだいたの?
「壊れていたのはほとんどこのコンデンサーとかいう部位がほとんどでよかった。これでこの機械の用途が復活したぞ!」
私は拍子抜けした。 にとりの話じゃ直すのは無理だとか言ってたから。
「いや、これは私たちの技術で直したってわけでもない。 とりかえた部品だって私たちが作ったモノってわけでもないからね」
「それを修理と言うと思うんだが、まぁそんなことはどうだっていい! 修理完了だ!」
「よくわかんないけど、これでまたあの絵が見られるのね!」
「へーよかったわね」
幽香はわりとどうでもよさげな返事をしながらもニコニコしていた。こいつ一体ここに何をしに来たんだろう?
「よし、これでこの電源を付ければ・・・・」
霖之助さんが、SANYOの顔の下にある凹凸を押し込む。
「・・・・・」
「ん?」
「む?」
「あら」
サンヨーの顔は暗いままだった。 部屋の中もすっかり暗くなっていたので幽香がさっとランプを付ける。
「映らないね」
「な、何故だ?」
霖之助さんが何度かSANYOに触れて用途を確かめているみたい。 その上で霖之助さんは首を捻る。
「何が足りないんだ・・・?」
「う、うーん・・・・」
辺りには粉々になった他の箱が散乱していたり、にとりが広げた機械が床の踏み場を無くさんとする勢いで置かれていたり、喧騒の跡が見えた。
「・・・・貴方達、何をしているのかしら?」
ぬっと天井から声がしたので、そこにいる全員で上を見上げると、見慣れた金髪が見えた。
「紫、ひさしぶり」
「あら、霊夢貴女もいたのね」
軽い挨拶を交わして紫は天井から床の惨状をぐるりと見回している。
「ずいぶん散らかってる様だけど・・・・」
「やぁ君か」
「チッ」
幽香が舌打ちをしてお茶をずるずるとすすった。 いま何かムカつくことでもあったの幽香?
「別に・・・・」
「山菜で一杯誘おうと思ったんだけど、いまお取込み中?」
紫が「なら日を改めるけど」などとガラでない殊勝なことを言い出し始め、するすると隙間の中に消えていこうとした。
「ま、待て紫! これを見てくれ! これをどう思う?!」
「・・・・すっごく・・・・テレビですわね」
「そう、テレビだ! 僕たちはこれを今修理することに成功した!」
「へー、それは頑張りましたわね」
紫はどういうわけか霖之助さんの隣にいる幽香を睨みつけながら割と冷たい言葉で言った。
私は割とこの場に流れる妙な空気の原因にはたと気が付いたが、口に出すと絶対に面倒な事になると思った。
「修理には成功したが、この機械なぜか動かないんだ! なぜか君は解るか?」
「そりゃ動力が無ければ家電背品は動かないでしょうね」
「ど、どういうことだ?」
「電気製品は電気が無ければ動きませんわ」
「具体的には交流60ヘルツ、50ヘルツ、電圧100ヴォルトくらいですわね」
紫は「じゃあまた日を改めます」と言い残してスキマの中に消えていった。 割とマジに何をしに来たんだあの老舗妖怪。
いや、何しに来たのかはなんとなく察しはついていたのだが、もうめんどくさかったので私は考えるのを止めた。幽香は割と不機嫌そうにしていた。
紫がいなくなった後で、霖之助さんはにとりに振り返った。
「ど、どういうことだ!?」
「さー?」
************************
新たな問題が浮き上がってしまった。 どうやらサンヨーは電気がなければ動かないのだ。 いや、思えば当然のことだが、これだけの道具を動かすのに何の燃料もいらないなんて都合がよすぎる。
思えば僕の店先に並んでいるこの外の世界の道具も電気というのがなければ動かないのかもしれない。 つまり完全にガラクタだ。
「う、うーん」
「電気、電気ねぇ」
にとりはどうやら電気の作り方に心当たりがあるらしかったが、どうやら「交流」という言葉に引っかかっている様だ。
「電池とはまた違うみたいだね」
「デンチ?」
「ほら、こういうのだよ」
にとりが道具箱から親指ほどの円筒を取り出して、豆電球に繋げると、豆電球は光りだす。
「外の世界の職工の『エジソン』ってのが直流ってのを考えたんだけど・・・・交流ってのは、すっごく危険らしいんだよね。 だから私たちは使ってないんだ」
「紫の言じゃ、どうも外の世界ではその危険な交流の電気を使ってるようだったが・・・・」
「うん」
確かに、SANYOの背中には 『100v 60、50HZ』という表記が見える。 にとりはこれがこのテレビには交流が使われているという証拠らしかった。
「交流の電気を作ることはできないのか?」
「許可が下りないかもしれない」
幻想郷、妖怪の山ではすべての送電システムを『直流』で行っているらしい。 これは外の世界で行われている送電システムが『交流』で行われている事に起因しているのだという。
つまりは、このサンヨーを動かすための交流の電気を妖怪の山で得ることはできないということだ。
「たぶん、この鉄の歯が動力に接続する部品だね・・・」
「ほう」
僕が試しに触ってみると『名前「コンセント」 用途「電源に接続する部品」』といった旨が読み取れた。
「言っとくけど、私の家で使うからね!」
となると、博霊神社で使える動力から電気を得る必要がある。
「そうだわ! あのピンク仙人が連れてた電気のネズミ! あれを使えばいいのよ!」
「いや、たぶんあんな空中放電する電気使ったらサンヨーは一瞬で壊れるよ、空中放電するって事は数万ボルトはあるんじゃないかな・・・・」
「えー!?」
「また振り出しに戻るのか・・・」
「おはよーございまーす!」
ばたんと扉を開けて入ってきたのは、山の神社にいる神、早苗だった。 気がつくとどうやら朝がやってきていたらしい。
「皆さんおはようございます! ご近所でも評判だろう早苗さんです! 昨日のお返しにやってきました! 昨日はよくもやってくれましたね霊夢さん!」
「あ・・・・もう朝か・・・」
「ね、眠い・・・・」
「あれ? なんかテンション低いですよ! ほらもっとテンション上げていきましょう!」
武者震いしている早苗を、腫れた三白眼で霊夢はじっとりと見ていた。 ちょっとどころか相当不機嫌らしい。
「早苗」
「はい何でしょう?」
「これを動かす方法を教えてくれたら、弾幕ごっこしてあげる」
「じゃぁね」と後ろ手を振って霊夢は僕の寝室に消えていった。
「どういうことです?」と早苗がこっちを見たので、仕方がなく僕は今起こったことを説明し始めた。
青年説明中・・・・・・
「確かにウチは幻想郷隔離に伴って、エジソンの提唱に従い直流送電をしてますね」
「交流配電ってできる?」
「やったらにとりさんを妖怪の山から追放しますね」
「そっかー」
にとりは帽子をとって、部屋の隅で震え始めた。 僕はこのとき知った。
守矢神社ってこわい
「まぁ冗談はさておき」
「あぁ、さっきのって冗談だったのね」
「おや、幽香さん。 おはようございます」
「えぇおはよう」
「あんまり、人間をお花の肥料にするのは感心しませんよ? 退治しましょうか?」
「してない! なんて謂れのない風評被害なの?! 悪化しすぎよ!」
「いつもみんなに笑顔で対応してる私の努力って何なの!?」とヒステリック気味に幽香が叫び始めたが、早苗はさらっと流して僕たちのほうに向き直った。
「テレビですかぁ、懐かしいですねぇ」
「君はテレビを見たことがあるか?」
「もちろん、私はテレビっ子でしたよ?」
「ほう」
テレビっ子なるものがどんなものなのかうかがい知れないが、どうやら早苗は相当このテレビというものに馴染んでいるらしい。
「秘密のアッこちゃん、セーラームーン、日本昔話、トーマス、あとショウテンとか・・・・いやー今彼らは何をしてるんでしょうねー?」
早苗は遠い目をして、昔を懐かしんでいるらしい。
「なにそれ? ショウテン?」
「どっ、どっドリフの大爆笑~♪ チャンネル回せばかおなじみ、笑ってちょうだいきょうもまたぁ~♪ ダレにも遠慮はいりません♪」
早苗が突然歌いだした。 どうやらそのテレビの歌らしい。
「あ、それサンヨーが歌ってた」
「マジですか!?」
「探そうぜ♪ ドラゴンボール♪ ・・・?とかもそのショウテンなの?」
「ちがいます! ていうか無印のほうも見たんですか!?」
何を言っているんだろう?
「あと私はガチャピンはいいですが、あの赤い宇宙的な化け物は認めません。 あんなの、ただの運動オンチでしょう? 不要ですよ不要 なんですあの頭のプロペラ? ドラ○もんのパクリでしょ?」
「赤いほうがかっこいいんじゃない?」
「は?」
どうやら隔絶した信念が伺えるが、よくわからなかった。
「アムロとか、チップとデールの大作戦とか、桃太郎伝説とか、今思えば何もかも懐かしい・・・・当時、桃太郎はあっちのほうが本物のストーリーだと勘違いしたりとか」
何の話だかさっぱり見えてこない。
「天才テレビ君のラストとかですねー、あ、貴方達に言っても仕方ありませんね」
早苗はすごいドヤ顔だった。
「なによその上から目線?」
「いえ、そんなことありません。 ただ私もちょっとこの語り合える仲ってのがほしいと思うことがありましてね? フルハウスとか海外のドラマも面白かったですけど、やっぱり基本は国産でしょ」
あきらかに上から目線のような気がしなくもない、こういう話題を出すときの早苗は自分の持つ文化に特に誇りを持っているようなそんな気がする。
早苗は野別なし、まくりたてるように喋り捲る。
「ゲームとか、楽しかったですよねー あの時代は今思えば超激戦時代でしたね・・・・新しいハードが作られては、消えていきました・・・・ウィザードリとか、もはやゲームじゃなくてただのテキストでしたから。 黒いハードは絶対に負ける法則とか。 ロクヨンとか、ドリキャスとかもうね。 テキストといえばゲームブックとかあって、自分でゲームブックを作って友達と遊んだりとか、ほら有名な「14へ行け」ってやつです。 それでも当時は想像を膨らましてプレイしたものです!」
「あ、知ってるしってる! 私もそれなら知ってるわよ! TRPGとかいうやつでしょ?」
村八分にされていた幽香が声を上げたが早苗に「違います」と一蹴されてしょんぼりしていた。
「知らないわよ。それよりこれを何とかしなさいよ!」
「あぁ、はいはい」
得意げに話す早苗に霊夢がうんざりしたのか、サンヨーの頭をばしばし叩いて怒鳴った。
うむ、僕もいい加減うんざりしてたところだ。
「とりあえず、動かすだけなら、野外用の緊急時の予備電源とかでいいんじゃないですか? それなら燃料があれば電気は作れますし」
早苗はそれならば短時間だが、テレビのひとつくらいなら動くだろうといった。早苗に倉庫を見せると、一つ早苗が見繕って持ってきた。
「しかし、よく素人がテレビなんか修理できましたね」
「僕は素人ではない、道具屋だ」
「わたしも誇り高き河童の職工さ!」
「では、動いたら私にも見せてくださいね」と早苗は冗談半分といった具合で僕のストーブから燃料を抜き始めた。
「何してる!?」
「え? いや、これ燃料がないと動きませんから、燃料を入れてるんですよ、よかったですね、最近はもうガソリン燃料のものばっかりなんですが、幻想郷だから灯油燃料の発電機もごろごろしてるみたいで」
「どうせ冬まで使わないんでしょう?」と勝手知ったる我が家のようにどんどん僕の灯油タンクから燃料を抜いていく。
頭痛がしてきた。灯油はここじゃ貴重品なんだ。
「私、霊夢を呼んでくるわ」
幽香が眠りに言った霊夢を起こしに隣の部屋に行った。
「まぁ、幻想郷でまともな機械が流れてくるわけがないんですけどねー」
と早苗は上の空というか、半分馬鹿にしたような態度だった。
なるほど、霊夢が言っていたのはこういうことか。 つまり幻想郷の技術というのは外の連中からすれば、まったく子供だましに見えてるってことだ。
霊夢が癪に障ったのはこういうことだったんだ。
面白い、と僕は思った。 この外の世界に慣れきった山の神の鼻を明かしてやれば僕も相当気分がいいだろう。
「それっ!」
早苗が機会を動作させると、すさまじい音がするとともに、煙が部屋中に立ち込めた。
「ぐわっ!」
「くっさ!」
「あ、しまった! 室内で使えばこうなりますよね!」
「何? 何の騒ぎよ?」
どかんどかんと音を立てる発電機、霊夢は鼻をつまんでいたが。 その隣に目を向けていた。
「あぁ!」
「早苗、止めるんだ! 店が臭くなってしまう!」
「サンヨーが動いてるわ!」
「すいません! 今すぐとめます!」
「こらまて! サンヨーはウチのテレビよ!」
「ち、ちがっ!」
「何が違うってのよ!」
「ちょっと止めるだけだ! 霊夢手をはなせ!」
「うがーっ!」
僕の目の前でサンヨーは、軽快な音楽を流してぴかぴかと輝いていた。
『ながーぃキッスを♪ とちゅうでぇ♪ フゥ!』
「あぁ! 僕の商品が黒い煤に! 煤に!」
「霊夢落ち着いて!」
『忘れたつもりでぇも 思い出すのね♪』
************************
霊夢の家にテレビがやってきてから、皆霊夢のところでテレビを見るのがお決まりになっていた。 あたいは「私たちもテレビがほしい」という仲間の要望にこたえるべく、お金をちょっとずつためてきたのだ。
今日はあたいが貯めたお金でだいちゃんといっしょにテレビを買いに来た。
ざわざわと、いつもじゃかんがえられないくらい、店の中は人でいっぱいだ。
カランカランと扉の鈴が鳴って、白髪の店主がこっちを見ていた。 周りにはいろんなやつらが手提げ箱にいっぱいビデオを持っている。
けどあたいたちが帰るのはせいぜいひとつくらいだ。 たりるかわからないくらいの小金だけど、アタイたちにとってはなけなしの銭だった。
「いらっしゃい」
「う、うん」
山積みになった黒い箱が見えた。 きっとあれがビデオテープに違いない。
だいちゃんが駆け寄ってそれに手を突っ込む。
ガラガラと崩れていくつかが床に落ちてしまい、あたいはあわててそれを元に戻した。
おこられやしないかと、店主のほうをみたけれど、店主は特におこったみたいじゃなくてこっちを見ていた。
「どんなものをお探しかな?」
隣を見ると、猫の小さな妖怪が、狐の妖怪にいっぱいのビデオを買ってもらっていた。
あんなに買ってもらえるんだ。
「・・・・えぇっと」
「これで買えるくらい」と勇気を出して、小銭をいくらか出した。 30厘もある。 大金だが、これでも足りるかどうかわからないと魔理沙は言っていた。
「ふむ」
店主はちょっと首をひねって考えていた。
「た、たりない?」
ゴクウはやはりサイキョーですね!
このマジカル頭脳パワーって面白くない?
ショウテンウケルー
とか、アタイの知らないテレビの話で持ちきりのようだ。 アタイはなんだかちょっと恥ずかしくなってきた。
「いろいろと取り揃えてるよ」
「これなんか、外の世界で有名な「コマンドー」とかいう映画でね」
「知らない」
「ちょっと怖い話なんてものあるけど」
「こ、怖いのは別にいいや」
「ムーミンっていう外の世界の妖精の話があって、全部で50個くらい」
「・・・・・」
だいちゃんに助けを求めようと振り返ったら、だいちゃんはさっきの猫の子猫妖怪の近くでテレビの話をしていた。 「うらやましい、うらやましい」とだいちゃんの声がする。
「ぐぬぬ・・・・」
「ふむ」
「ちょっと待っててくれ」と店の奥に店主が逃げていった。
しばらく、一人で待っていて、寂しかったけど、店主はすぐに戻ってきた。
「これなんてどうかな?」
と店主が持ってきたのは「魔神城のねむり姫」と書かれたテレビだった。 きれいな箱に入った、怖い絵が描いてある。
うーん、あまり気が進まない。 だいたいだいちゃんはこういう怖そうなのは嫌いそうだ。
「ぐっは!? そ、それは・・・!?」
「うわっ? なにさお前?!」
山の上の緑色の巫女だ、こいつはなんだかここで見ると別人みたいに見える。妙に鼻息荒いし、気持ち悪い。
「クリ○ン初登場の幻のアニメじゃないですか!?」
「えっ? えっ?」
「金なら出します!」
と叫んだのでいろんなやつらがあたいを見た。
「早苗、僕はこの子に売ったんだ」
「ぐぬぬ」
どうやら、このビデオ相当珍しいものらしい。 となると、30厘ならすごくあたいは得をしたことになるのかな?
「これ、30厘でいいの?」
「あぁ、いいよ」
私は手に握った30厘を出した。 出されたビデオを受け取った。 周りの連中がちょっと見せて見せてとよってくる。
「ラン様、私もあれがほしいです」
「う? うぅむ・・・・」
その様子を見ていたら急にあたいは自分がすごく得な買い物をした気分になって、すごく気分がよくなった。 だいちゃんもアタイのところに来て「やったね!」と笑った。
「今日の上映は決まりね」
と霊夢も言った。
「じゃあ今から皆で行きますか」
「いいわよ、皆集めてきてよ」
「はーい」
あたいは買ったテレビを落とさないようにしてだいちゃんと手をつないで飛び出した。
太陽はちょっと沈んでいて赤くなっている。
しばらく飛んで皆で博麗神社に着くと、霊夢が裏手に回ってハツデンキとか言うのをまわし始める。 神社のうしろでごとごとと音が聞こえてくるのだ。
「よし、いいわよ」
霊夢がこっちまでやってきて、あたいのテレビを指差した。
「ほらチルノ、あんたが入れるのよ」
「う、うん」
壊しやしないかとちょっと怖かったが、テレビを箱の中にちょっとだけ押し込むと、テレビは箱の中にするっと吸い込まれていった。 まるでテレビを箱が食ったみたいだ。
霊夢がかちかちと箱をいじると、鏡の部分が青くなる。
「よーし、いいわよチルノ。 この三角の部分を押すの」
「お、おう」
私が言われたとおりに押すと、サンヨーとか言う箱はがりがりと音を立てる。
皆がじっと静かにサンヨーのことを見ていた。 だんだんドキドキが大きくなってくる。
「楽しみだね」
「うん!」
アタイとだいちゃんは一番いいところに座って、サンヨーを見た。
きっと今日のテレビはすごく楽しいに違いない!
博麗神社で、アタイ達のテレビの上映が、静かに始まった。
おわり
としか言いようがない。
僕の店に客が満ちて、商品をあれやこれやと買いあさっていくのである。 僕は生まれて初めて、と言うのには語弊があって(修業時代にはよくあったことなので)、改めて僕は初めて商品棚の前に「品切れ」という札を掛けて、すまし顔で椅子に戻った。
あぁ、なんという幸福。願わくばこの享楽が永遠に続かないだろうか?
「なぁ、こーりん、これいくら?」
「5銭になります」
「おい店主、これはいくらだ」
「あぁ、大変お目が高い・・・・」
「はぁい」
幻想郷に唯一ある、ビデオ上映の館主がやってきた。
「やぁ、いらっしゃい」
「旺盛してんじゃないの」
「おかげさまで」
僕は「何か御入り用で?」と聞くと、彼女は「お茶飲みに来た」と返す。
「ここはもう君がゆっくり本を読んだり、お茶が飲めるほど静かな場所じゃないよ」
僕は言ってやった。 今僕の店は閑古鳥は泣いてない。
「別にいいわよ、どうせ直ぐに閑古鳥が鳴くようになるから」
「そうに決まってるわ」と彼女は笑っていた。
彼女のカンはよく当たる、僕も「だろうね」と返した。
だとしたら、この山積みになったビデオテープの山をなんとかそれまでに売りぬかないとな。
「おーい! こーりんこれいくら!?」
「それは1銭だよ」
「たかいー!」
外の世界と同様、幻想郷も永遠に続くなんてことはそうそうないのかも知れない。 幻想郷はゆっくりとだけれど、時間は流れているんだ。
「毎度ありがとうございます」
僕の店がちょっとしたうわさの店になるには、霊夢が持ってきたサンヨーとか言うテレビが僕の店にやってきたことから始まる。
今では博麗神社で毎日テレビを上映してるらしいが、壊れていやしないかとちょっと心配になることもある。
はじめて幻想郷にやってきた博麗さんチのテレビを僕もあとで見に行こうかな?
ちょっとだけ、黒いテレビテープを握る子供たちの手が力強く見えた。
そんな時、小さな影が店の中に入ってきた。
小さな硬貨を握り締めて。
博麗さんチのてれび
「で? 治せるんでしょうね?」
「・・・・はい、直せます、直して見せます」
「だから、殺さないで・・・・」と哀れな河童の職工はか細く消え入りそうな声で言った。 博麗の巫女は「妙な動きをすれば明日はない」とでも言いたげな眼光を背後で放ち、お払い棒をびゅんびゅんと空気を切るように振り回してる。
そのそばには物言わぬ(辛うじて、死んではいないと思われる)妖怪、もしくは人、それと神が転がっていた。
この特筆するべき力をもたない河童の職工、にとりが生かされているのは彼女のささやかな生業である機械いじりが、幻想郷で一番得意だという好評あってのことだった。
にとりは少し考えていた。
とりあえず「サンヨー、サンヨー」とこの巫女が連呼するこの箱は「テレビジョン」という外の世界の娯楽品であることは間違いない。
実は、このテレビの類似品なら妖怪の山でも生産されたことがある。 が直ぐに廃れた。
何故なら利用価値がないからである。
外の世界では長い周波に乗せた高周波に乗せて飛ばす、凄い技術が会ったりするらしい。 その細かな波を機械が情報を読み取り、それを元にして画面に映像を映し出しているらしい。 が、いかんせん幻想郷ではその肝心要の電波が無いのである。
よって幻想郷で作られたテレビが映し出すものは砂嵐の画面と、河童たちが自主制作で作った極めて意味不明で正気を疑われる映画であったり、酷い時には砂嵐の中からお化けが出てくる具合の物で、人里では甚だ不評だった。
「ほら、きっとこの鏡の部分が大事なのよ! 私が居た時はぴかぴか光ってたんだから!」
「ほ、ほぅ・・・・」
にとりは冷や汗をかきながら霊夢の素っ頓狂で的外れな言葉に相槌を打った。
幻想郷で開発されたテレビと言うものは、まるで白い病棟に隔離された精神患者の考えた小説がごとく、常軌を逸した代物があちこちに存在する。
にとりはそういう幻想郷に蔓延る技術とも言えないわけのわからない魔術的、宇宙的技術に辟易していたので、自分なりに外の技術を真似て、普通の人間でもわかる真っ当な道具を作るのに執心していた。
が、このビデオの修理はやりすぎであった。
外のからくりにある程度知識があるにとりでも、製作できるのは精々、イオン街にあるような電灯の看板くらいの物である。 ジャガイモ電池豆電球を存分に利用した、ピカピカ点滅する看板を依頼されたり、馬車の車軸を直したりと彼女は気の利いた職工であった。
にとりが「盟友、盟友」といつもにこにこして人間に親近感を沸かせているのは、人間の技術を尊敬していたからだし、そんな人間の技術をなんとか里に伝えようとしている姿が人間にとって甚だ微笑ましく、人間もにとりと同じように彼女の事が好きだったからだ。
「この銀色の線は何?」
「あー、あぁ! ど、どうせんだよ、これは解るよ!」
「ふぅーん」
博麗の巫女は、ついさっき5人ほど血祭りにあげたとは思えないほど純真な瞳を輝かせてにとりの説明を聞き、質問を投げかけた。
きっとこの少女に「実は修理できません」などとのたまえばこの河童の職工は他の5人同様、嫌々、さらに悍ましいくたばり方を強いられるだろう。
にとりはじっとりと額に汗が浮かぶのを感じながらも、自信たっぷりの笑顔を巫女に向けるほかなかったのである。別ににとりが下手な職工なのではない。ただ、にとりは人間の技術を尊敬しているが故に、この外の技術を集めた古めかしい機械を、幻想郷に蔓延る宇宙的あるいは魔術的な手段で修復したくなかったのだ。
にとりはそういう河童の職工が使う魔術的な手法でSANYOを直したところで、霊夢が思い描くような結果は得られないだろうと思った。
「で、いつごろ治るの?」
「あ、えっとぉ・・・・直るのはねぇ・・・」
「ん?」
にとりは、懸命に頭を働かせて、どうすれば極刑を避けられるか考えた。 一生懸命考えると、自分の未来が見えてくる。
『実は私達じゃこのからくりは治せないんだよねぇ』
『は? いま、なんて言ったの?』
『あ、違う違う! ちょっと直すのに時間がかかるんだよ!』
『どのくらい?』
『まぁ、4年くらいあれば』
『死になさい』
どうやら、自分に未来はないらしいとにとりは思った。
「え、えっと」
「ふんふん」
「け、けっこうかかるかなぁ・・・・」
「どのくらい?」
「あぁ、私はここで死ぬんだ」にとりはそう思った。 母親の腹の中で生を受け、父の言葉に従い外の世界に生まれ落ちたが、まさかこんな日に死ぬとは思わなかった。 ある意味職工の生涯に相応しい最後であると言えなくもなかったが、ちょっとだけ理不尽な気もした。
「わ、わかんないよ」
「解んないってアンタ・・・・」
にとりは「もはや、これまで」と観念して正直に言う腹を決めた。
「ご、ごめん霊夢」
「ん?」
「今の幻想郷に、これを復元できる方法はないんだ。 外の世界の道具ってのは、一人だけでほいほい作ってるわけじゃない。 何千、何万って人間が協力してようやくこの箱一つが出来てるんだよ」
「幻想郷の人口より多いかもね」とにとりは付け加える。
「河童の世界ではね、昔は古い役に立たなくなった職工を処分して新しい職工を次々に、代わる代わるに雇用していたんだ。 それで、思いついた製品があったら次の日にはそれがもう完成していて・・・・」
「大したもんじゃない、それでなんでこのテレビが復元できないの?」
もったいぶらずに治せ、と霊夢は思う。 この河童の職工はなんでこんなにバツが悪そうな顔をするのだろう?
「幻想郷ってのは、夢みたいな世界なのさ。 もしかしたら、私たちは誰かの夢の世界の住人なんじゃないかなって思う時もあるくらい、 私もその中の一人さ、まともな事なんて何一つ出来やしない」
「・・・・・ふぅん」
「だからこんな真っ当な機械を持ってこられても、こんな世界じゃ真っ当な方法で直す事なんで出来ないんだ」
霊夢はじっとにとりを見つめて言葉を聞いていた。
「私はこのテレビを動かせるようにできるよ。 明日にでも動かせるようになると思う。 けど、私達の不思議な方法でこれを直しても・・・・」
「直しても?」
霊夢はにとりの言葉がよくわからなかった。 夢の世界に霊夢達が住んでいるというくだりもそうだったが、にとりがSANYOを直すことを渋っているようにも感じたのだ。
「私達河童の方法でこのSANYOを直しても、SANYOは多分もう外の世界の道具じゃないよ。 霊夢が見たような映像はSANYOは見せてくれないと思う。私たちが作った、あの訳の分からない正気を疑う魔法の道具に成り下がってる」
「だから、私はこれを直せないよ」
「それでもかまわないってんなら、直すけれど」とにとりは付け加えた。
一応とばかりににとりは商売道具を並べてSANYOを横にした。
霊夢はにとりが言ったことを毛ほども理解してなかったし、そんなことはどうでもいいと思ってる性質であった。 とりあえず、SANYOが動いて文の新聞の酷いネタにされないのならどうだっていいと考えている。
だが、目の前のにとりが実に悔しそうで、自分よりもさらにこのSANYOの事を大事に思っているような気がした。
「ねぇ」
「・・・・やっぱりひき肉、ミンチ肉?」
「アンタ何言ってんの?」
ついで霊夢が一番気に入らなかったのは「幻想郷ではどうにもできない」というにとりの言葉だった。
まるで、幻想郷が外の世界に劣っているみたいな言い方じゃないの
霊夢はこの世界に誇りを持っている。 なんだかんだ言っても、幻想郷よりすごいところはないと彼女なりのナショナリティを持っていたのだ。 たぶん幻想郷で一番機械いじりに明るいにとりが、幻想郷の技術を全否定するような言い方が霊夢のカンに障った。
明るかったSANYOの顔が、今は霊夢を嘲笑っている、そんな気がした。
「ほら、SANYO持って!」
「?・・・?」
にとりを乱暴に立たせて、SANYOをにとりに持たせる。 霊夢は玄関で赤い靴を履き、にとりを手招きする。
「よし、行くわよ!」
「え?」
「どこに?」とにとりが聞くまでもなく、霊夢は空に飛びだした。 にとりは慌ててその後を追う。
幻想郷の修理屋といえば、霊夢の心当たりはあそこしかなかった。
『必ず治してやるんだから!』
太陽の光に当たったSANYOは偶に歪に輝いて、その具合が霊夢を見て笑っているようでもあった。
********************
「ふむ、今日は何の御入り用かな?」
「すっとろいこと言ってんじゃないわよ! こいつを治せって言ってるの!」
「・・・・何度も言うが、僕はそんな精密機械を直せる方法なんて知らないよ」
「知ってるならこんなに在庫は増えない」と僕は棚に山ほど陳列されている機械を眺めた。
今度は一体全体どういう風の吹き回しだろう? 唾を飛ばして吠える巫女を眺めてちょっと考えたが、意味がないのですぐやめた。
「それでも幻想郷の道具屋!?」
「博麗の巫女から幻想郷に代表されるなんて恐縮光栄だが、僕は出来ない」
「よくわからないけれど、隣にいる河童の職工さんに頼めばいいんじゃないかしら?」
「だーかーらぁ! それじゃあ私たちの負けなのよ!」
ちょっと横やりを入れてきたのは、無縁塚の近くにある花畑『ゆうかりんランド』の経営者である風見幽香その人である。 傘の修理を頼んできたので話を聞いていたところだ。
「あ、霊夢そんなことよりも、一緒に阿求に私の見聞録の改正頼んで頂戴よ。 人間有効度『皆無』なんかじゃないよって。私ちゃんと人間に友好的だよって・・・・」
「うるさいわね! あんたの評価なんてどうでもいいわよ!」
「・・・・・」
そう、彼女はこの場所で小一時間僕にそのことを愚痴ってばかりいるのだ。 ちょっと気の毒と言えなくもないが、めんどくさかったので霊夢の話を聞いてもいいかもしれない。
「この前まで『最悪』だったのに『皆無』悪化してるなんて・・・・私何かしたっけ?」
「・・・・君が大量にプレゼントした花が阿求の花粉症に障ったらしいよ」
「そんな理由で?!」
幽香は「もう最近じゃ花畑の肥料変わりに人間埋めてるなんて噂まで流れてるし・・・・、もう人里に行けない・・・・」とかしくしくとすすり泣いていたが、いい加減うっとうしいので、霊夢の方に向き直った。
「で、なんで河童の職工に頼んじゃ駄目なんだ? そこの理由が僕には分からない」
「外の連中が出来ることが、私たちに出来ないなんてそんなことあるわけないわ!」
霊夢は鼻息を荒くして言った。 そして霊夢の様子から、僕は霊夢の言わんとすることは解った。
「つまりこういう事かい? 君は僕たちの魔術的な技術に頼らずに、このSANYOを直して外の連中の鼻を明かしてやりたい、と」
「そうそう! そういうこと!」
「ふむ」
僕は、試しに僕の能力『名前と用途が分かる程度の能力』を使ってSANYOを触ってみる。
「・・・・どう?」
「・・・・・・」
名前『博麗さンチのてれび』
用途『不明』
霊夢はにかッと笑っている。
なんだろうこの名前? 『博麗さンチのてれび』ってどういうことだ? ちょっと考えたが、考えても答えが出そうになかったので僕は考えるのを止めた
「・・・・・」
「どう? 治せそう?」
ちょっと霊夢の意見に僕も思うところはある。 今の幻想郷は、あまりにも外の世界に依存してるというか、劣っていやしないだろうか?
こうした外の世界の物が流れてきても、大騒ぎするだけで何もできやしない。これでは道具屋の名が泣く。
せっかく霊夢もこうしてマトモな用件でやって来たのに、「できないよ」などと一言で片づけたのではあんまりにあんまりではないだろう。
確かに博麗の巫女が言う通り、この機械を、魔術的な方法に頼らずに直すことは意味があることなのかもしれない。
「動く様にはできるかもしれない、もちろん魔術的な手法を使わないでだ」
「ホントウ?」
「いまこの道具は用途が見えてない、つまり壊れて用途を失ってるってことだ、これが見えるようになったら修理完了ってことだな」
僕は部屋の片隅で熱心にガラクタを見て回っているにとりを手招きした。
「にとり、道具を使ってこの機械を少しずつ分解しよう、それを僕が能力を使ってみていくから、壊れている部分とそうでない部分をまずは判別するんだ」
「おぉ!」
当然のことだが、壊れた道具は用途を失っている、つまり僕の能力でも用途は見れない。 つまり用途が無い道具は壊れた道具だから、それを代用できる部品で大体してやればいつかはこのサンヨーも動かせるんじゃないかと考えた。 幸い僕の店には代替できる部品が山積みになっているんだ。
**********************
霖之助さんが「これじゃないか?」といくつかの黒くて平たい箱を持ってきた。 名前は「ビデオテープ」というらしい。 こういうサンヨーみたいな箱を拾ってくるついでに沢山落ちているらしい。
「タイトルは・・・・ぬーべー・・・・、後は、ウルトラマン、コマンドー・・・・バックトゥザフューチャー・・・・A.I・・・母を訪ねて3千里、海底2万マイル・・・・まだまだあるな」
「沢山あるのね」
「ほんとにこの箱の鏡が動いたりするのかしら?」
「そうよ。私はこの目で見たんだから!」
「とても想像できないわね」
あれは確かに夢ではなかった。 願わくばあの午前のけだるい感動を味わいたい。
「あぁ、これをこのサンヨーの口の中に入れるみたいだね」
「へー・・・・・」
「珍しく霖之助さんが外の道具に肉薄してる感じがするわ」
「珍しくとはなんだ」
霖之助さんが心底意外そうな顔をしている。 なんでそんな顔ができるのか理解不能だ。
「あっ! これこれ! これと同じ絵がサンヨーの顔に映ったのよ!」
「ほう」
ビデオテープが入っていた箱には、きれいな絵が描かれている。
「摩訶不思議アドベンチャー、と書いてあるな」
「ポンチ絵じゃない? どういうこと?」
「絵がサンヨーの顔の上で動くのよ! 絵がまるで生きてるみたいだったわ!」
「うーむ・・・・」
ビデオテープの中身は割りと透けて見えて、中には黒い紙が巻かれたものが二つほど入っている。 一体全体、どういう理屈で動いているのだろうか?
「外の世界のアニメーションとかいう技術だね。 磁気テープってのが中に入っていてそれを使って映像を出すんだとさ。 ただ天狗の目だと別物が見えてくるらしいよ」
にとりが「とりあえず、サンヨーをあけてみようか」といって、道具を使いサンヨーを囲っていた蓋をぱかりとあけた。
私がまじましとSANYOの中身をみると、凄まじく細かいモノがびっしりと埋め込まれている。
「よし、やるか」
「おう」
ふたりとも腕まくりして、サンヨーの中にてを突っ込んだ。
霖之助さんはにとりが「はんだ」とかいうものを溶かしたり削ったりして取り出したそれを、触っていっては分類していく。
傍に居た幽香も、物珍しそうに眺めていた。
「ねぇ霊夢、これって何?」
「サンヨーよ」
「ふぅん」
「私の家のてれびよ」
「へぇ」
「いけそうだよ、直るかもしれない」
「意外に頑丈みたいだ」
にとりは、「てすたー」とか読んでる箱をサンヨーの中に突っ込んで、針が触れるのを眺めて、はんだとかいう熱い鉄が溶けたやつをSANYOにくっつけているらしい。
霖之助さんは、店の裏から持ってきたサンヨーに似た箱を壊して、部品を取り換えていくらしい。
「いいの? 壊しちゃって」
「いいよ、こっちには名前がないからね」
意味が良くわからなかったが、壊してもいい箱だったらしい。
「『トランジスタ』・・・・? なんだこれは? 『IC』というものあるな・・・」
「ケミコンって何だろう?」
二人とも真剣にサンヨーを直しているみたい。
私は特に自分がすることが無いと気が付いて、椅子を寄せて適当な本を手に取った。 幽香は性懲りもなく霖之助さんに肩を寄せてサンヨーが修理されるのを見ていた。
もしかしたらあのつまらない男に気でもあるのかしら? とありえない想像をして過ごしていた。
どのくらい経っただろうか? 日が暗くなるころになって霖之助さんが叫んだ。
「やったぞ!」
「やったか!」
「おぉ?」
「へぇー」
幽香、あんたまだいたの?
「壊れていたのはほとんどこのコンデンサーとかいう部位がほとんどでよかった。これでこの機械の用途が復活したぞ!」
私は拍子抜けした。 にとりの話じゃ直すのは無理だとか言ってたから。
「いや、これは私たちの技術で直したってわけでもない。 とりかえた部品だって私たちが作ったモノってわけでもないからね」
「それを修理と言うと思うんだが、まぁそんなことはどうだっていい! 修理完了だ!」
「よくわかんないけど、これでまたあの絵が見られるのね!」
「へーよかったわね」
幽香はわりとどうでもよさげな返事をしながらもニコニコしていた。こいつ一体ここに何をしに来たんだろう?
「よし、これでこの電源を付ければ・・・・」
霖之助さんが、SANYOの顔の下にある凹凸を押し込む。
「・・・・・」
「ん?」
「む?」
「あら」
サンヨーの顔は暗いままだった。 部屋の中もすっかり暗くなっていたので幽香がさっとランプを付ける。
「映らないね」
「な、何故だ?」
霖之助さんが何度かSANYOに触れて用途を確かめているみたい。 その上で霖之助さんは首を捻る。
「何が足りないんだ・・・?」
「う、うーん・・・・」
辺りには粉々になった他の箱が散乱していたり、にとりが広げた機械が床の踏み場を無くさんとする勢いで置かれていたり、喧騒の跡が見えた。
「・・・・貴方達、何をしているのかしら?」
ぬっと天井から声がしたので、そこにいる全員で上を見上げると、見慣れた金髪が見えた。
「紫、ひさしぶり」
「あら、霊夢貴女もいたのね」
軽い挨拶を交わして紫は天井から床の惨状をぐるりと見回している。
「ずいぶん散らかってる様だけど・・・・」
「やぁ君か」
「チッ」
幽香が舌打ちをしてお茶をずるずるとすすった。 いま何かムカつくことでもあったの幽香?
「別に・・・・」
「山菜で一杯誘おうと思ったんだけど、いまお取込み中?」
紫が「なら日を改めるけど」などとガラでない殊勝なことを言い出し始め、するすると隙間の中に消えていこうとした。
「ま、待て紫! これを見てくれ! これをどう思う?!」
「・・・・すっごく・・・・テレビですわね」
「そう、テレビだ! 僕たちはこれを今修理することに成功した!」
「へー、それは頑張りましたわね」
紫はどういうわけか霖之助さんの隣にいる幽香を睨みつけながら割と冷たい言葉で言った。
私は割とこの場に流れる妙な空気の原因にはたと気が付いたが、口に出すと絶対に面倒な事になると思った。
「修理には成功したが、この機械なぜか動かないんだ! なぜか君は解るか?」
「そりゃ動力が無ければ家電背品は動かないでしょうね」
「ど、どういうことだ?」
「電気製品は電気が無ければ動きませんわ」
「具体的には交流60ヘルツ、50ヘルツ、電圧100ヴォルトくらいですわね」
紫は「じゃあまた日を改めます」と言い残してスキマの中に消えていった。 割とマジに何をしに来たんだあの老舗妖怪。
いや、何しに来たのかはなんとなく察しはついていたのだが、もうめんどくさかったので私は考えるのを止めた。幽香は割と不機嫌そうにしていた。
紫がいなくなった後で、霖之助さんはにとりに振り返った。
「ど、どういうことだ!?」
「さー?」
************************
新たな問題が浮き上がってしまった。 どうやらサンヨーは電気がなければ動かないのだ。 いや、思えば当然のことだが、これだけの道具を動かすのに何の燃料もいらないなんて都合がよすぎる。
思えば僕の店先に並んでいるこの外の世界の道具も電気というのがなければ動かないのかもしれない。 つまり完全にガラクタだ。
「う、うーん」
「電気、電気ねぇ」
にとりはどうやら電気の作り方に心当たりがあるらしかったが、どうやら「交流」という言葉に引っかかっている様だ。
「電池とはまた違うみたいだね」
「デンチ?」
「ほら、こういうのだよ」
にとりが道具箱から親指ほどの円筒を取り出して、豆電球に繋げると、豆電球は光りだす。
「外の世界の職工の『エジソン』ってのが直流ってのを考えたんだけど・・・・交流ってのは、すっごく危険らしいんだよね。 だから私たちは使ってないんだ」
「紫の言じゃ、どうも外の世界ではその危険な交流の電気を使ってるようだったが・・・・」
「うん」
確かに、SANYOの背中には 『100v 60、50HZ』という表記が見える。 にとりはこれがこのテレビには交流が使われているという証拠らしかった。
「交流の電気を作ることはできないのか?」
「許可が下りないかもしれない」
幻想郷、妖怪の山ではすべての送電システムを『直流』で行っているらしい。 これは外の世界で行われている送電システムが『交流』で行われている事に起因しているのだという。
つまりは、このサンヨーを動かすための交流の電気を妖怪の山で得ることはできないということだ。
「たぶん、この鉄の歯が動力に接続する部品だね・・・」
「ほう」
僕が試しに触ってみると『名前「コンセント」 用途「電源に接続する部品」』といった旨が読み取れた。
「言っとくけど、私の家で使うからね!」
となると、博霊神社で使える動力から電気を得る必要がある。
「そうだわ! あのピンク仙人が連れてた電気のネズミ! あれを使えばいいのよ!」
「いや、たぶんあんな空中放電する電気使ったらサンヨーは一瞬で壊れるよ、空中放電するって事は数万ボルトはあるんじゃないかな・・・・」
「えー!?」
「また振り出しに戻るのか・・・」
「おはよーございまーす!」
ばたんと扉を開けて入ってきたのは、山の神社にいる神、早苗だった。 気がつくとどうやら朝がやってきていたらしい。
「皆さんおはようございます! ご近所でも評判だろう早苗さんです! 昨日のお返しにやってきました! 昨日はよくもやってくれましたね霊夢さん!」
「あ・・・・もう朝か・・・」
「ね、眠い・・・・」
「あれ? なんかテンション低いですよ! ほらもっとテンション上げていきましょう!」
武者震いしている早苗を、腫れた三白眼で霊夢はじっとりと見ていた。 ちょっとどころか相当不機嫌らしい。
「早苗」
「はい何でしょう?」
「これを動かす方法を教えてくれたら、弾幕ごっこしてあげる」
「じゃぁね」と後ろ手を振って霊夢は僕の寝室に消えていった。
「どういうことです?」と早苗がこっちを見たので、仕方がなく僕は今起こったことを説明し始めた。
青年説明中・・・・・・
「確かにウチは幻想郷隔離に伴って、エジソンの提唱に従い直流送電をしてますね」
「交流配電ってできる?」
「やったらにとりさんを妖怪の山から追放しますね」
「そっかー」
にとりは帽子をとって、部屋の隅で震え始めた。 僕はこのとき知った。
守矢神社ってこわい
「まぁ冗談はさておき」
「あぁ、さっきのって冗談だったのね」
「おや、幽香さん。 おはようございます」
「えぇおはよう」
「あんまり、人間をお花の肥料にするのは感心しませんよ? 退治しましょうか?」
「してない! なんて謂れのない風評被害なの?! 悪化しすぎよ!」
「いつもみんなに笑顔で対応してる私の努力って何なの!?」とヒステリック気味に幽香が叫び始めたが、早苗はさらっと流して僕たちのほうに向き直った。
「テレビですかぁ、懐かしいですねぇ」
「君はテレビを見たことがあるか?」
「もちろん、私はテレビっ子でしたよ?」
「ほう」
テレビっ子なるものがどんなものなのかうかがい知れないが、どうやら早苗は相当このテレビというものに馴染んでいるらしい。
「秘密のアッこちゃん、セーラームーン、日本昔話、トーマス、あとショウテンとか・・・・いやー今彼らは何をしてるんでしょうねー?」
早苗は遠い目をして、昔を懐かしんでいるらしい。
「なにそれ? ショウテン?」
「どっ、どっドリフの大爆笑~♪ チャンネル回せばかおなじみ、笑ってちょうだいきょうもまたぁ~♪ ダレにも遠慮はいりません♪」
早苗が突然歌いだした。 どうやらそのテレビの歌らしい。
「あ、それサンヨーが歌ってた」
「マジですか!?」
「探そうぜ♪ ドラゴンボール♪ ・・・?とかもそのショウテンなの?」
「ちがいます! ていうか無印のほうも見たんですか!?」
何を言っているんだろう?
「あと私はガチャピンはいいですが、あの赤い宇宙的な化け物は認めません。 あんなの、ただの運動オンチでしょう? 不要ですよ不要 なんですあの頭のプロペラ? ドラ○もんのパクリでしょ?」
「赤いほうがかっこいいんじゃない?」
「は?」
どうやら隔絶した信念が伺えるが、よくわからなかった。
「アムロとか、チップとデールの大作戦とか、桃太郎伝説とか、今思えば何もかも懐かしい・・・・当時、桃太郎はあっちのほうが本物のストーリーだと勘違いしたりとか」
何の話だかさっぱり見えてこない。
「天才テレビ君のラストとかですねー、あ、貴方達に言っても仕方ありませんね」
早苗はすごいドヤ顔だった。
「なによその上から目線?」
「いえ、そんなことありません。 ただ私もちょっとこの語り合える仲ってのがほしいと思うことがありましてね? フルハウスとか海外のドラマも面白かったですけど、やっぱり基本は国産でしょ」
あきらかに上から目線のような気がしなくもない、こういう話題を出すときの早苗は自分の持つ文化に特に誇りを持っているようなそんな気がする。
早苗は野別なし、まくりたてるように喋り捲る。
「ゲームとか、楽しかったですよねー あの時代は今思えば超激戦時代でしたね・・・・新しいハードが作られては、消えていきました・・・・ウィザードリとか、もはやゲームじゃなくてただのテキストでしたから。 黒いハードは絶対に負ける法則とか。 ロクヨンとか、ドリキャスとかもうね。 テキストといえばゲームブックとかあって、自分でゲームブックを作って友達と遊んだりとか、ほら有名な「14へ行け」ってやつです。 それでも当時は想像を膨らましてプレイしたものです!」
「あ、知ってるしってる! 私もそれなら知ってるわよ! TRPGとかいうやつでしょ?」
村八分にされていた幽香が声を上げたが早苗に「違います」と一蹴されてしょんぼりしていた。
「知らないわよ。それよりこれを何とかしなさいよ!」
「あぁ、はいはい」
得意げに話す早苗に霊夢がうんざりしたのか、サンヨーの頭をばしばし叩いて怒鳴った。
うむ、僕もいい加減うんざりしてたところだ。
「とりあえず、動かすだけなら、野外用の緊急時の予備電源とかでいいんじゃないですか? それなら燃料があれば電気は作れますし」
早苗はそれならば短時間だが、テレビのひとつくらいなら動くだろうといった。早苗に倉庫を見せると、一つ早苗が見繕って持ってきた。
「しかし、よく素人がテレビなんか修理できましたね」
「僕は素人ではない、道具屋だ」
「わたしも誇り高き河童の職工さ!」
「では、動いたら私にも見せてくださいね」と早苗は冗談半分といった具合で僕のストーブから燃料を抜き始めた。
「何してる!?」
「え? いや、これ燃料がないと動きませんから、燃料を入れてるんですよ、よかったですね、最近はもうガソリン燃料のものばっかりなんですが、幻想郷だから灯油燃料の発電機もごろごろしてるみたいで」
「どうせ冬まで使わないんでしょう?」と勝手知ったる我が家のようにどんどん僕の灯油タンクから燃料を抜いていく。
頭痛がしてきた。灯油はここじゃ貴重品なんだ。
「私、霊夢を呼んでくるわ」
幽香が眠りに言った霊夢を起こしに隣の部屋に行った。
「まぁ、幻想郷でまともな機械が流れてくるわけがないんですけどねー」
と早苗は上の空というか、半分馬鹿にしたような態度だった。
なるほど、霊夢が言っていたのはこういうことか。 つまり幻想郷の技術というのは外の連中からすれば、まったく子供だましに見えてるってことだ。
霊夢が癪に障ったのはこういうことだったんだ。
面白い、と僕は思った。 この外の世界に慣れきった山の神の鼻を明かしてやれば僕も相当気分がいいだろう。
「それっ!」
早苗が機会を動作させると、すさまじい音がするとともに、煙が部屋中に立ち込めた。
「ぐわっ!」
「くっさ!」
「あ、しまった! 室内で使えばこうなりますよね!」
「何? 何の騒ぎよ?」
どかんどかんと音を立てる発電機、霊夢は鼻をつまんでいたが。 その隣に目を向けていた。
「あぁ!」
「早苗、止めるんだ! 店が臭くなってしまう!」
「サンヨーが動いてるわ!」
「すいません! 今すぐとめます!」
「こらまて! サンヨーはウチのテレビよ!」
「ち、ちがっ!」
「何が違うってのよ!」
「ちょっと止めるだけだ! 霊夢手をはなせ!」
「うがーっ!」
僕の目の前でサンヨーは、軽快な音楽を流してぴかぴかと輝いていた。
『ながーぃキッスを♪ とちゅうでぇ♪ フゥ!』
「あぁ! 僕の商品が黒い煤に! 煤に!」
「霊夢落ち着いて!」
『忘れたつもりでぇも 思い出すのね♪』
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霊夢の家にテレビがやってきてから、皆霊夢のところでテレビを見るのがお決まりになっていた。 あたいは「私たちもテレビがほしい」という仲間の要望にこたえるべく、お金をちょっとずつためてきたのだ。
今日はあたいが貯めたお金でだいちゃんといっしょにテレビを買いに来た。
ざわざわと、いつもじゃかんがえられないくらい、店の中は人でいっぱいだ。
カランカランと扉の鈴が鳴って、白髪の店主がこっちを見ていた。 周りにはいろんなやつらが手提げ箱にいっぱいビデオを持っている。
けどあたいたちが帰るのはせいぜいひとつくらいだ。 たりるかわからないくらいの小金だけど、アタイたちにとってはなけなしの銭だった。
「いらっしゃい」
「う、うん」
山積みになった黒い箱が見えた。 きっとあれがビデオテープに違いない。
だいちゃんが駆け寄ってそれに手を突っ込む。
ガラガラと崩れていくつかが床に落ちてしまい、あたいはあわててそれを元に戻した。
おこられやしないかと、店主のほうをみたけれど、店主は特におこったみたいじゃなくてこっちを見ていた。
「どんなものをお探しかな?」
隣を見ると、猫の小さな妖怪が、狐の妖怪にいっぱいのビデオを買ってもらっていた。
あんなに買ってもらえるんだ。
「・・・・えぇっと」
「これで買えるくらい」と勇気を出して、小銭をいくらか出した。 30厘もある。 大金だが、これでも足りるかどうかわからないと魔理沙は言っていた。
「ふむ」
店主はちょっと首をひねって考えていた。
「た、たりない?」
ゴクウはやはりサイキョーですね!
このマジカル頭脳パワーって面白くない?
ショウテンウケルー
とか、アタイの知らないテレビの話で持ちきりのようだ。 アタイはなんだかちょっと恥ずかしくなってきた。
「いろいろと取り揃えてるよ」
「これなんか、外の世界で有名な「コマンドー」とかいう映画でね」
「知らない」
「ちょっと怖い話なんてものあるけど」
「こ、怖いのは別にいいや」
「ムーミンっていう外の世界の妖精の話があって、全部で50個くらい」
「・・・・・」
だいちゃんに助けを求めようと振り返ったら、だいちゃんはさっきの猫の子猫妖怪の近くでテレビの話をしていた。 「うらやましい、うらやましい」とだいちゃんの声がする。
「ぐぬぬ・・・・」
「ふむ」
「ちょっと待っててくれ」と店の奥に店主が逃げていった。
しばらく、一人で待っていて、寂しかったけど、店主はすぐに戻ってきた。
「これなんてどうかな?」
と店主が持ってきたのは「魔神城のねむり姫」と書かれたテレビだった。 きれいな箱に入った、怖い絵が描いてある。
うーん、あまり気が進まない。 だいたいだいちゃんはこういう怖そうなのは嫌いそうだ。
「ぐっは!? そ、それは・・・!?」
「うわっ? なにさお前?!」
山の上の緑色の巫女だ、こいつはなんだかここで見ると別人みたいに見える。妙に鼻息荒いし、気持ち悪い。
「クリ○ン初登場の幻のアニメじゃないですか!?」
「えっ? えっ?」
「金なら出します!」
と叫んだのでいろんなやつらがあたいを見た。
「早苗、僕はこの子に売ったんだ」
「ぐぬぬ」
どうやら、このビデオ相当珍しいものらしい。 となると、30厘ならすごくあたいは得をしたことになるのかな?
「これ、30厘でいいの?」
「あぁ、いいよ」
私は手に握った30厘を出した。 出されたビデオを受け取った。 周りの連中がちょっと見せて見せてとよってくる。
「ラン様、私もあれがほしいです」
「う? うぅむ・・・・」
その様子を見ていたら急にあたいは自分がすごく得な買い物をした気分になって、すごく気分がよくなった。 だいちゃんもアタイのところに来て「やったね!」と笑った。
「今日の上映は決まりね」
と霊夢も言った。
「じゃあ今から皆で行きますか」
「いいわよ、皆集めてきてよ」
「はーい」
あたいは買ったテレビを落とさないようにしてだいちゃんと手をつないで飛び出した。
太陽はちょっと沈んでいて赤くなっている。
しばらく飛んで皆で博麗神社に着くと、霊夢が裏手に回ってハツデンキとか言うのをまわし始める。 神社のうしろでごとごとと音が聞こえてくるのだ。
「よし、いいわよ」
霊夢がこっちまでやってきて、あたいのテレビを指差した。
「ほらチルノ、あんたが入れるのよ」
「う、うん」
壊しやしないかとちょっと怖かったが、テレビを箱の中にちょっとだけ押し込むと、テレビは箱の中にするっと吸い込まれていった。 まるでテレビを箱が食ったみたいだ。
霊夢がかちかちと箱をいじると、鏡の部分が青くなる。
「よーし、いいわよチルノ。 この三角の部分を押すの」
「お、おう」
私が言われたとおりに押すと、サンヨーとか言う箱はがりがりと音を立てる。
皆がじっと静かにサンヨーのことを見ていた。 だんだんドキドキが大きくなってくる。
「楽しみだね」
「うん!」
アタイとだいちゃんは一番いいところに座って、サンヨーを見た。
きっと今日のテレビはすごく楽しいに違いない!
博麗神社で、アタイ達のテレビの上映が、静かに始まった。
おわり
色々と中途半端だったと思います。
霊夢がサンヨーを気に入る過程とビデオ上映にどう繋がりがあったのか分かりません
結局外のコンテンツを垂れ流すだけに何の意味があったのでしょうか
機会を動作
ウェスティングハウスに敗れた直流送電が幻想入りしたわけですね。これなら産業化はそうそう進まないでしょう。
でもまあこれはこれで
直流送電システムは海底ケーブル送電で現役ですよ。
やっぱ普段飄々としている霊夢さんも外の世界に対して思うところがあったんですね
霊夢さんにも愛郷心があって、なんだか人間らしさを感じました
何より、忘れられたものが集う胡散臭い素敵な楽園、幻想郷とブラウン管テレビが
相性よくノスタルチックな感じを出していたと思います 幻想郷は本来、善も悪もなく
ただひたすら胡散臭く不思議で素敵なところなのかも知れません
ノスタルジーにつかったよ
前編は良かった。もうちょいがんばれ!
実際幻想郷にテレビがあったら皆夢中になるんだろうなー。
ハンダごてはどうにでもなるだろうが、ICごと変えたのか、回路設計したのか…