幻想郷の一角にそびえ立つ大きな屋敷。
誰が最初に言い出したのか、そこは紅魔館と呼ばれている大きな館。
「お姉さまー?」
そして、その紅魔館に一人の少女の声が響く。
彼女の名はフランドール・スカーレット。
その華奢な体つきからは信じられないほどの力を秘めている吸血鬼の少女である。
彼女は今人を探していた。
「おねーさまぁぁ?」
探している人物もまた吸血鬼の少女。
フランドールの姉であるレミリア・スカーレット。
この紅魔館の現当主でもある。
先程からベッドの下やタンスの中など狭くて隠れれそうなところを探しているのだが、一向にその姿が見えないのだ。
「どうしたのですか、フランドールお嬢様?そんな小動物が隠れていそうなところばかり探されて」
そうこうしている内に紅魔館のメイド長の十六夜咲夜が話しかけてくる。
「うん、レミリアお姉さまを探してるんだけど、見つからなくてね」
ああ、この問いの返答でその名前出しちゃうんだ、と咲夜は思ったがあえて口に出さない。
残念なことに悪気は一切ないのだろうし。
「レミリアお嬢様ですか?お嬢様ならいませんよ。というか暫く帰ってきませんよ」
「え、どういうこと?」
さらっと咲夜の口から出た衝撃の真実にフランドールは心底驚く。
そりゃあ、いきなり身内が消息不明になってたら誰だって驚くだろう。
「ええ、昨日の夕暮れに鞄に目一杯荷物を放り込んで、置手紙を机の上に置いているところをたまたま発見しました。
家出かなと思って、勿論一応理由は聞きましたけどね。
そしたら「女には旅に出ないといけない時があるのよ…」なんてことをいってましたね。
あの気まずそうな表情からして、どうせ誰にも見られないうちになんて考えてたんだしょう。
お嬢様からしたら早朝感覚でも、こっちからしたら夕暮れなんだからどうやったってばれるに決まってるのに、お嬢様ったらお茶目。
ところでレミリアお嬢様から置手紙読みます?一応取ってありますけど」
「ふーん、そうなんだ。あ、手紙はいらないから捨てちゃっていいよ。お姉さまの手紙長ったらしい割に結論がなかなか書いてなくて読んでて苛々するもん」
「はい、じゃあ燃やしときますね」
何故か説明口調であるが、その点については誰も突っ込みを入れることはない。
今この場において突っ込み役は不在なのである。
「…あれ?じゃあ紅魔館の当主は?」
「当然空席ですね」
「ふーん…」
この時フランドールの脳裏に浮かんできたのは当主というものは面白いのだろうか、というシンプルな思考である。
レミリアがいたら簡単に試すことは出来ないけど、不在なら絶好のチャンスだ。
「じゃあ私が紅魔館の当主をやるわねっ」
意気揚々としているフランドールを意外そうに見つめる咲夜。
「よろしいのですが?」
「うん、勿論」
「では、臨時にフランドールお嬢様が当主ということで」
「はーいっ」
特に反論しない咲夜。
ぶっちゃけ誰が当主だろうとやる仕事に全く変化はないのだし。
「それで、私は何をすればいいの?」
臨時とはいえ当主としての自覚が出来ているようで何よりだと心底咲夜は思った。
どこぞのロリ吸血鬼にも見習わせたいくらいだ。
―――だから、咲夜はこの紅魔館の当主として大事な仕事を伝える。
「一日中暇つぶしの方法でも探されておいてください」
突っ込み役は尚不在なので一応伝えておくとこのメイド長は至って真面目にそのことを告げている。
そこに一点の悪気もない。
その真剣さが伝わったのだろう。
フランドールはこれ以上ないくらいに邪気のない笑みになる。
「……つまり、何にもしなくて良いんだねっ」
「はい、怪獣ごっこでもされておいてください」
「うんっ。ぎゃおー、食べちゃうぞー」
返す咲夜の言葉もまたそれがさも当然であるかのように晴れやかなものであった。
だって、この紅魔館で当主の仕事なんて威張ってそれらしくしておく以外に特に何もないんだから。
こうして紅魔館の日常は当たり前のように過ぎていくのである。
尚、現当主は後日気恥ずかしさで帰りづらくて帰れなくなっているところを紅白巫女に連行されて帰宅したという。
誰が最初に言い出したのか、そこは紅魔館と呼ばれている大きな館。
「お姉さまー?」
そして、その紅魔館に一人の少女の声が響く。
彼女の名はフランドール・スカーレット。
その華奢な体つきからは信じられないほどの力を秘めている吸血鬼の少女である。
彼女は今人を探していた。
「おねーさまぁぁ?」
探している人物もまた吸血鬼の少女。
フランドールの姉であるレミリア・スカーレット。
この紅魔館の現当主でもある。
先程からベッドの下やタンスの中など狭くて隠れれそうなところを探しているのだが、一向にその姿が見えないのだ。
「どうしたのですか、フランドールお嬢様?そんな小動物が隠れていそうなところばかり探されて」
そうこうしている内に紅魔館のメイド長の十六夜咲夜が話しかけてくる。
「うん、レミリアお姉さまを探してるんだけど、見つからなくてね」
ああ、この問いの返答でその名前出しちゃうんだ、と咲夜は思ったがあえて口に出さない。
残念なことに悪気は一切ないのだろうし。
「レミリアお嬢様ですか?お嬢様ならいませんよ。というか暫く帰ってきませんよ」
「え、どういうこと?」
さらっと咲夜の口から出た衝撃の真実にフランドールは心底驚く。
そりゃあ、いきなり身内が消息不明になってたら誰だって驚くだろう。
「ええ、昨日の夕暮れに鞄に目一杯荷物を放り込んで、置手紙を机の上に置いているところをたまたま発見しました。
家出かなと思って、勿論一応理由は聞きましたけどね。
そしたら「女には旅に出ないといけない時があるのよ…」なんてことをいってましたね。
あの気まずそうな表情からして、どうせ誰にも見られないうちになんて考えてたんだしょう。
お嬢様からしたら早朝感覚でも、こっちからしたら夕暮れなんだからどうやったってばれるに決まってるのに、お嬢様ったらお茶目。
ところでレミリアお嬢様から置手紙読みます?一応取ってありますけど」
「ふーん、そうなんだ。あ、手紙はいらないから捨てちゃっていいよ。お姉さまの手紙長ったらしい割に結論がなかなか書いてなくて読んでて苛々するもん」
「はい、じゃあ燃やしときますね」
何故か説明口調であるが、その点については誰も突っ込みを入れることはない。
今この場において突っ込み役は不在なのである。
「…あれ?じゃあ紅魔館の当主は?」
「当然空席ですね」
「ふーん…」
この時フランドールの脳裏に浮かんできたのは当主というものは面白いのだろうか、というシンプルな思考である。
レミリアがいたら簡単に試すことは出来ないけど、不在なら絶好のチャンスだ。
「じゃあ私が紅魔館の当主をやるわねっ」
意気揚々としているフランドールを意外そうに見つめる咲夜。
「よろしいのですが?」
「うん、勿論」
「では、臨時にフランドールお嬢様が当主ということで」
「はーいっ」
特に反論しない咲夜。
ぶっちゃけ誰が当主だろうとやる仕事に全く変化はないのだし。
「それで、私は何をすればいいの?」
臨時とはいえ当主としての自覚が出来ているようで何よりだと心底咲夜は思った。
どこぞのロリ吸血鬼にも見習わせたいくらいだ。
―――だから、咲夜はこの紅魔館の当主として大事な仕事を伝える。
「一日中暇つぶしの方法でも探されておいてください」
突っ込み役は尚不在なので一応伝えておくとこのメイド長は至って真面目にそのことを告げている。
そこに一点の悪気もない。
その真剣さが伝わったのだろう。
フランドールはこれ以上ないくらいに邪気のない笑みになる。
「……つまり、何にもしなくて良いんだねっ」
「はい、怪獣ごっこでもされておいてください」
「うんっ。ぎゃおー、食べちゃうぞー」
返す咲夜の言葉もまたそれがさも当然であるかのように晴れやかなものであった。
だって、この紅魔館で当主の仕事なんて威張ってそれらしくしておく以外に特に何もないんだから。
こうして紅魔館の日常は当たり前のように過ぎていくのである。
尚、現当主は後日気恥ずかしさで帰りづらくて帰れなくなっているところを紅白巫女に連行されて帰宅したという。
レミリアや咲夜がどんなものなのかがはっきりわかってしまいました
ファランちゃんより咲夜さんのキャラがなんともw
ある意味、主が変わろうがつか主が全く何をしなくても問題なくまわるというのは
帝王学の究極らしいですが、これじゃ実質的に咲夜さんが紅魔館を動かしてますやんw
そんな紅魔館も好きです
レミリアと霊夢サイドの話も読みたいです
これだけだと短いかな
貴族階級は働かないもの。サロンやオペラといった社交の場で恭しく挨拶し、他愛も無い話をして、美味しいワインに舌鼓を打ちながら人脈を広げるのが当主の役割なのです。それは「仕事」ではなく階級社会で割り振られた「役割」。
レミリア生きろ