もしかしたら、二次設定があるかもしれません。
注意してくださいませ。
「ふぅ、うまいねぇ。」
私はふと、そんな言葉を呟いた。酒なんていつも浴びるほど呑んでいるし、正直それでも呑み足りない、というか、いつも持ち歩いているこの盃のおかげで上質な酒はいくらでも呑めるが、今日は別だ。
なぜなら。
「いつも呑むことを最優先してるお前がそんなこと言うなんてな、珍しい事もあるもんだな。」
「私だって雰囲気を味わう事ぐらいするさ。」
地上で唯一、私と交流を持ち、私が盟友と呼ぶ人間と呑んでいるからだ。
彼女の名は『霧雨魔理沙』。
自身の事を『普通の魔法使い』と呼ぶ。
「そういうあんたこそ、あんまり呑んでないんじゃない?もう酔ったのか?」
「雰囲気に酔うことはあっても酒じゃそう簡単に酔うことはないと自信があるぜ。」
もっとも、お前ほどじゃないけどな、と彼女はそう付け足した。
私は苦笑しつつ、続けて尋ねた。
「それじゃあ、何故いつもみたいに勢いよく呑まないんだ?」
そうだ、よく彼女は鴉天狗やら他の妖怪達と毎回と言っていいほど呑み比べをしている。 「ん~?なんでだろうな。お前と二人きりだから、じゃダメか?」
「別に私に限る必要なんて無いだろう?」
「それがあるんだよ、星熊勇儀。」
それは何だ、と私が尋ねると彼女は私の盃と似た普通の赤い盃に酒を注ぎ、一口飲んでから言った。
「皆飲めてはいるんだが、呑めてはいないのさ。」
私は一瞬だけ間を置いたが、すぐに彼女が言いたいことを理解した。
「なるほどね。そういうことか。」
そう言うと、彼女は嬉しそうにニヤリと微笑んで、「そういうことだ」と言った。
私もつられて笑った、恐らく、彼女と同じ顔をしているだろう。
私の盟友は酒のことをよくわかっている。
弾幕だってそうだ。他の皆は知恵や工夫をこらし、そしてどこか着飾ったような、そんな感じがするのだ。
例を挙げるとするならば、彼女の友人の人形使いがいい例だろう。
『弾幕はブレイン』というのがそいつのアイデンティティーだそうだ。
実際にその弾幕を見たことは無いが、魔理沙曰く「細かすぎる」のだという。
それに対するのが、彼女、普通の魔法使いの『弾幕はパワー』というアイデンティティーだ。
彼女の弾幕は実際に戦ってみないとわからない。
はたから見るには美しいと思える弾幕だが、そうではない。
色鮮やかな星型の固形弾
高い火力のマジックミサイルやナパーム、そしてレーザー
それだけでも十分力強く、派手だがそれだけでは満足させないのが彼女である。
数ある彼女のスペルカードの一つ
彼女の代名詞であり、恋符を冠する彼女だけの魔法 マスタースパーク
『弾幕はパワー』を表現するには十分過ぎると言っていいほどの破壊力である。
だが、その更に上を行く魔法を彼女は所持しているらしい。
「いつか見せてやるぜ。」と言って悪戯っぽくニシシ、と笑った時の彼女の顔を思い出した。
恐らく、その言葉に偽りはない。鬼に嘘は通用しない。
「なあ」
「ん?」
「マスタースパークを超える魔法があるんだろう?」
「ああ、あるぜ。」
いや、と言葉を区切りつつ、続けてこう言った。
「威力や派手さを超えるやつならあるが『マスタースパーク』を超えるやつは無いぜ。」
「そうか。そうだな」
なるほど、と私は思う。たとえマスタースパークの威力や派手さを遥かに凌ぐ魔法を彼女が使えるとしても、それが『マスタースパーク』に代わる魔法になるか、いや、ならないだろう。
なぜなら『マスタースパーク』こそが彼女を表す魔法だからだ。
ただの人間がハンデを背負っていたとはいえ、私を倒し、あの覚り妖怪までも倒して見せた。それは、生半可な覚悟と努力では絶対に成し遂げられない事だ。
恐らくあのマスタースパークは、それこそ血を吐くような努力を積み重ねてきたからこそ撃てるのだろう。
初めて彼女と弾幕ごっこをした時、あの魔法を見た衝撃は今でも網膜に焼き付いている。私とて伊達に長生きはしていない。まだ私が地上で山の四天王と名を馳せている時に、私に挑んでくる人間の中には魔法使いもいたが、皆等しく話にならなかった。その内私は地上の人間と接する楽しみを見出せなくなり、地底に潜った。
そして長い年月が経ち、彼女が地底に侵入してきた。
初めて見たとき、絵本に出てくる魔法使いの服を着た子供だと思った。
背が低く、箒に乗り、人形が一体肩に乗った、金髪金眼の子供。
だが幼い外見とは裏腹に、彼女は今まで会った人間の誰よりも力強く、そして封じられた妖怪達を目にしても全く恐れていないのがハッキリと判った。
そして私は彼女と戦い、敗れたのだ。
「お見事!その腕っ節、気に入ったよ!今日からお前は盟友だ」
ああ、この人間ならば、私に人間と接する楽しみを教えてくれるかもしれない。
私はその時、心の底からそう思えることができた。
「おーい?だいじょぶか~?」
「んぁ?何がだ?」
「いや、急に黙ったから何かあったのかと思ってな。」
「なんでもないよ、ただ…」
「ただ?」
「あんたと初めて弾幕ごっこをした時のことを思い出してたのさ。」
そう言うと彼女はプッと吹き出し言った。
「本当か?」ニヤリと笑いながら彼女は問う。
「鬼は嘘はつかないよ。」そう言いながら、私も同じように笑った。
「なぁ魔理沙」
「ん?どうした?」
私はダメもとで言ってみる。
「見せてはくれないかい?」
「何をだ?」
「マスタースパークの威力や派手さを超える魔法。」
そう言って盃に注がれてある酒をいっきに呑み干し、彼女を見つめる。
彼女もまた、酒を呑み干し、私を見つめる。
ややあって、こう言った。
「いつか見せてやるぜ。」
その言葉を聞き、少し残念に思いながらも安心した。
そう簡単に見せてくれては拍子抜けだ。
「そうかい。」
そう言って私はニヤリと微笑むと、彼女もつられてニヤリと微笑んだ。
そして、彼女は自分の盃と私の盃の両方に酒を注いだ。
私は彼女が何をしようとしているのか理解した。
お互いに向かい合い、盃を満点の星空に掲げ私達はただ一言だけ言う。
「「乾杯」」
注意してくださいませ。
「ふぅ、うまいねぇ。」
私はふと、そんな言葉を呟いた。酒なんていつも浴びるほど呑んでいるし、正直それでも呑み足りない、というか、いつも持ち歩いているこの盃のおかげで上質な酒はいくらでも呑めるが、今日は別だ。
なぜなら。
「いつも呑むことを最優先してるお前がそんなこと言うなんてな、珍しい事もあるもんだな。」
「私だって雰囲気を味わう事ぐらいするさ。」
地上で唯一、私と交流を持ち、私が盟友と呼ぶ人間と呑んでいるからだ。
彼女の名は『霧雨魔理沙』。
自身の事を『普通の魔法使い』と呼ぶ。
「そういうあんたこそ、あんまり呑んでないんじゃない?もう酔ったのか?」
「雰囲気に酔うことはあっても酒じゃそう簡単に酔うことはないと自信があるぜ。」
もっとも、お前ほどじゃないけどな、と彼女はそう付け足した。
私は苦笑しつつ、続けて尋ねた。
「それじゃあ、何故いつもみたいに勢いよく呑まないんだ?」
そうだ、よく彼女は鴉天狗やら他の妖怪達と毎回と言っていいほど呑み比べをしている。 「ん~?なんでだろうな。お前と二人きりだから、じゃダメか?」
「別に私に限る必要なんて無いだろう?」
「それがあるんだよ、星熊勇儀。」
それは何だ、と私が尋ねると彼女は私の盃と似た普通の赤い盃に酒を注ぎ、一口飲んでから言った。
「皆飲めてはいるんだが、呑めてはいないのさ。」
私は一瞬だけ間を置いたが、すぐに彼女が言いたいことを理解した。
「なるほどね。そういうことか。」
そう言うと、彼女は嬉しそうにニヤリと微笑んで、「そういうことだ」と言った。
私もつられて笑った、恐らく、彼女と同じ顔をしているだろう。
私の盟友は酒のことをよくわかっている。
弾幕だってそうだ。他の皆は知恵や工夫をこらし、そしてどこか着飾ったような、そんな感じがするのだ。
例を挙げるとするならば、彼女の友人の人形使いがいい例だろう。
『弾幕はブレイン』というのがそいつのアイデンティティーだそうだ。
実際にその弾幕を見たことは無いが、魔理沙曰く「細かすぎる」のだという。
それに対するのが、彼女、普通の魔法使いの『弾幕はパワー』というアイデンティティーだ。
彼女の弾幕は実際に戦ってみないとわからない。
はたから見るには美しいと思える弾幕だが、そうではない。
色鮮やかな星型の固形弾
高い火力のマジックミサイルやナパーム、そしてレーザー
それだけでも十分力強く、派手だがそれだけでは満足させないのが彼女である。
数ある彼女のスペルカードの一つ
彼女の代名詞であり、恋符を冠する彼女だけの魔法 マスタースパーク
『弾幕はパワー』を表現するには十分過ぎると言っていいほどの破壊力である。
だが、その更に上を行く魔法を彼女は所持しているらしい。
「いつか見せてやるぜ。」と言って悪戯っぽくニシシ、と笑った時の彼女の顔を思い出した。
恐らく、その言葉に偽りはない。鬼に嘘は通用しない。
「なあ」
「ん?」
「マスタースパークを超える魔法があるんだろう?」
「ああ、あるぜ。」
いや、と言葉を区切りつつ、続けてこう言った。
「威力や派手さを超えるやつならあるが『マスタースパーク』を超えるやつは無いぜ。」
「そうか。そうだな」
なるほど、と私は思う。たとえマスタースパークの威力や派手さを遥かに凌ぐ魔法を彼女が使えるとしても、それが『マスタースパーク』に代わる魔法になるか、いや、ならないだろう。
なぜなら『マスタースパーク』こそが彼女を表す魔法だからだ。
ただの人間がハンデを背負っていたとはいえ、私を倒し、あの覚り妖怪までも倒して見せた。それは、生半可な覚悟と努力では絶対に成し遂げられない事だ。
恐らくあのマスタースパークは、それこそ血を吐くような努力を積み重ねてきたからこそ撃てるのだろう。
初めて彼女と弾幕ごっこをした時、あの魔法を見た衝撃は今でも網膜に焼き付いている。私とて伊達に長生きはしていない。まだ私が地上で山の四天王と名を馳せている時に、私に挑んでくる人間の中には魔法使いもいたが、皆等しく話にならなかった。その内私は地上の人間と接する楽しみを見出せなくなり、地底に潜った。
そして長い年月が経ち、彼女が地底に侵入してきた。
初めて見たとき、絵本に出てくる魔法使いの服を着た子供だと思った。
背が低く、箒に乗り、人形が一体肩に乗った、金髪金眼の子供。
だが幼い外見とは裏腹に、彼女は今まで会った人間の誰よりも力強く、そして封じられた妖怪達を目にしても全く恐れていないのがハッキリと判った。
そして私は彼女と戦い、敗れたのだ。
「お見事!その腕っ節、気に入ったよ!今日からお前は盟友だ」
ああ、この人間ならば、私に人間と接する楽しみを教えてくれるかもしれない。
私はその時、心の底からそう思えることができた。
「おーい?だいじょぶか~?」
「んぁ?何がだ?」
「いや、急に黙ったから何かあったのかと思ってな。」
「なんでもないよ、ただ…」
「ただ?」
「あんたと初めて弾幕ごっこをした時のことを思い出してたのさ。」
そう言うと彼女はプッと吹き出し言った。
「本当か?」ニヤリと笑いながら彼女は問う。
「鬼は嘘はつかないよ。」そう言いながら、私も同じように笑った。
「なぁ魔理沙」
「ん?どうした?」
私はダメもとで言ってみる。
「見せてはくれないかい?」
「何をだ?」
「マスタースパークの威力や派手さを超える魔法。」
そう言って盃に注がれてある酒をいっきに呑み干し、彼女を見つめる。
彼女もまた、酒を呑み干し、私を見つめる。
ややあって、こう言った。
「いつか見せてやるぜ。」
その言葉を聞き、少し残念に思いながらも安心した。
そう簡単に見せてくれては拍子抜けだ。
「そうかい。」
そう言って私はニヤリと微笑むと、彼女もつられてニヤリと微笑んだ。
そして、彼女は自分の盃と私の盃の両方に酒を注いだ。
私は彼女が何をしようとしているのか理解した。
お互いに向かい合い、盃を満点の星空に掲げ私達はただ一言だけ言う。
「「乾杯」」
次回作も期待してます。
収まりの良い作品でした。ただし、会話が話題(の無さ)も話し方も含めあまりに男性的過ぎるのが気になります。
閲覧して下さってありがとうございます!
次回作はもう少し掛かりそうなので、期待に応えれる様に頑張ります^^:
>11
貴重なご指摘ありがとうございます!
そうですね・・・改めて読み返すと確かにそう感じます。
この指摘を次に活かせれる様にしていきます!
にとりだと思ったら違った!
地霊殿では魔理沙はマスパ撃ってないんすよね(ボソッ
地霊殿では魔理沙はマスパ撃ってないんすよね(ボソッ