あー?
……そろそろじゃないかとは思っていたぜ。
最近つけまわすような動きをしている、変な妖怪がいると思っていたから。
お前は気づいていないとでも思っていたかもしれないが、私はいつでも空を飛ぶときには注意深く周りを見回っている。お前は以前から要注意だったんだ。だからこっちから監視させてもらっていた。だから今さっき、自信満々に仕掛けてきたお前の攻撃なんて、唐突でもなんでもない。驚くわけがない。初めから読めていたわけ。
なんでそんな事が出来たかって? 種も仕掛けもありません。才能です。
嘘だぜ。
本当はちゃんと証拠がございます。
そうそう。これ。
これ今の今までお前の周りを飛び回っていたんだぜ?
人間風情とは力が違うと言い張るのなら、お前はもうちょっと注意深く周りを観察した方がいいな。これ、私の顔ぐらいの大きさがあるんだから。一見ただのカラフルな丸い球体に見えるだろう?実はビームも打てたりする。この球体をいくつか集めると、同期を取って発射して出力を上げるなんて芸当も出来るように作っている。スペルカードとしては、オーレリーズサンって名前を付けていてね。結構きれいなんだぜ。お前は私と弾幕ごっこをしたことが無いから、そちらを見た事は無いかもしれんが。
この使い魔は直線から円軌道まで器用にこなすし、飛ばせば天狗の目にだって映らない。と思う。多分。目標に気づかれず追尾するのが主目的。球体は常に微弱な魔力を撒いてるから、魔法の視界を使えばお前の居場所が暗くても明るくてもざっくりとは御見通しって訳。
さて……追いつめられた悪役は、ぺらぺらと自分の罪状を話し出すものらしいが、
お前の様なプライドの高い奴は、自分から話しだすのを躊躇うものだろう。
だから私から言ってやる。
お前の魂胆は解っているぜ。
大方私に何かの返済を迫りに来たんだろう?私が気にせず持ち出したそこらの祠の宝物の主とか、そこらの山の家に置いてあった怪しい魔力を秘めた財物の持ち主とか、そこらの川底に置いてあった謎の球の持ち主とかその辺なんだろ。物を借りるのは日常茶飯事だから、どれの事かさっぱり見当がつかないが、こうやって過激な行動に出てくるという事は、私がお前から借りた何かはそれなりのものだったわけだよな。なあ、後学のために教えてくれないか?
あー。なるほど。
あれか。
あー。
確かにあれは良い線いっているとは思っていたんだ。若干。
ちょっと香霖の奴に押しつけ、いや、売り払ったのが今になって勿体なくなってきたな。今度何かしらの理由をつけて返してもらう事にするか。うん。
まあいいや。道具の話は置いておいて。
夜中に人目につかない所、それも人里から距離を取った後、ひとりで空を飛んでいるところに後ろから音もなくとびかかるとは随分と物騒じゃないか。
体のど真ん中は最初から狙っていなかったようだから、最初は腕でも狙うつもりだったのかい?痛みに私が泣き叫んだところにお説教でも始めるという算段でもあったわけ?
当たりか。表情で解るぜ。
まあその。
そんな嬉しそうに見えたか?
私が良く出会うような連中はヒネた奴らばかりで、そういう風なリアクションはとうてい期待できないものだから、ちょっと珍しいと思ってね。まあこれくらいは普通だぜ。
確かにお前の身体能力は私の遥か上を行くだろうね。これは認めるよ。人間と妖怪だ。隙さえつけばお前の鋭い爪でこの腕を体から切り離すことも、顔から上を取り去る事も容易だろう。
まあもちろんさせないけど。
ああ。弾幕ごっこ。その言葉は知っているか。
うん。博麗の巫女のように選ばれた者ではなく、私のごとき特別な才能を持たない連中でも、格の違う相手と戦う事が出来る。幻想郷の精神性を反映させた美しさの遊び。相手を撃破するのではなく、相手の攻撃を避けることを主目的にすることによって、本来の実力ではない部分で競い合える。
そうして勝負に勝った方は負けた方に要求を通すことのでき、負けた側は己の誇りにかけてそれに必ず従う。人妖の理想的問題解決手段……そんな認識?
はっはっはー。
お前もしかしてあれ、額面通りに信じていたのか。
へぇ、お前のような今まで一度も顔を見た事のない、知らないような奴までがそれを信じ込んでいるのなら、霊夢の奴も紫も、とぼけているようで上手くやっている訳か。
そういうことならば、合点がいった。
ところで。
お前はジャンケンに負けたくらいで自分の大切なものを渡せるか?
幾らでもほかの対抗手段が残っているのに、それでも相手に譲歩するか?
ルールを強制させるものが何もないのに、ルールをみんな守るって、そう無条件に信じられるのか?
お前は私を襲おうと思った時、最低二つの事を考えていたはずだ。
ひとつ。弾幕ごっことかいう珍奇なルールを守らせているのは、上位の妖怪たちと博麗の巫女である。人妖の規範意識だけじゃあ遅かれ早かれなし崩しになるルールを、あいつらが破った奴らを制裁する形で守らせている訳だな。
ふたつ、弾幕ごっことやらは、その遊びにおいて死を容認している。あれは相手を死なせない事をルールに入れてしまうと、弾幕の自由度と緊張感が酷く下がるかららしい。ごっこ遊びでありながら物騒でもあるというイメージが大切だーとか紫も言っていたし。
でもそれらは逆に言えば、殺してしまってそれをそいつらに見つかりさえしなければ、弾幕ごっこをしていたという主張を押し通し、罰則を受ける危険は排除できるってことだよな。まさに死人に口なし。まあ冥界はある事にはあるが、死んだからと言って人型の亡霊に首尾よくなれるとも限らん。例えば魂みたいなものになってしまってみろ、もう絶対に口すらきけないわけだからな。
私はお前のような奴らに殺意を含んだ恨みを買う事を一切考えてなかったと思っていたのか? それとも弾幕ごっこのルールを無条件に信じて、このルールがある限り自分は死ぬこともなく守られると信じ込んでいると思っていたのか?
どちらにしたって、そんな考えの奴は普通じゃないぜ。
この近くにある湖に住む妖精たちを知っているか? あいつらの中にチルノって言うひときわ強い妖精がいるんだが、あいつは弱いくせに強い妖怪にすぐ喧嘩を売る。だから馬鹿とか言われているが、あいつは妖精だ 妖精にとって死ぬことは一回休みに過ぎない。実際の所夜中に寝て、また朝に目を覚ますのとそう変わらないものらしい。それはそれで怖い話だけれど、なるほど簡単に喧嘩が売れるわけだよな。だから、あいつは馬鹿だけど普通だぜ。
そして私は誰よりも普通の人間で、普通の魔法使いだからな。普通に死ぬのは怖いし、普通に強い妖怪への対策を練るし、普通に負けそうになったら逃げるし、お前の様なのに命を狙われても普通に勝てるから傍若無人に振る舞えるわけ。
そういうのって、普通だぜ?
だいじょうぶ。チルノ曰くマスタースパークで吹っ飛ばされるのは真夏の太陽のもとでお昼寝するようなものらしいから。まああいつは氷の妖精だから、太陽は寧ろ天敵で、凄い痛いという事の表現だったかもしれないんだが。
首尾よく人型の亡霊にでもなって、次に会う事があったら私に食らった時の気分を教えてくれよ。もっと痛いの用意して待っていてやるから。
それじゃあ、じゃあな。
……そろそろじゃないかとは思っていたぜ。
最近つけまわすような動きをしている、変な妖怪がいると思っていたから。
お前は気づいていないとでも思っていたかもしれないが、私はいつでも空を飛ぶときには注意深く周りを見回っている。お前は以前から要注意だったんだ。だからこっちから監視させてもらっていた。だから今さっき、自信満々に仕掛けてきたお前の攻撃なんて、唐突でもなんでもない。驚くわけがない。初めから読めていたわけ。
なんでそんな事が出来たかって? 種も仕掛けもありません。才能です。
嘘だぜ。
本当はちゃんと証拠がございます。
そうそう。これ。
これ今の今までお前の周りを飛び回っていたんだぜ?
人間風情とは力が違うと言い張るのなら、お前はもうちょっと注意深く周りを観察した方がいいな。これ、私の顔ぐらいの大きさがあるんだから。一見ただのカラフルな丸い球体に見えるだろう?実はビームも打てたりする。この球体をいくつか集めると、同期を取って発射して出力を上げるなんて芸当も出来るように作っている。スペルカードとしては、オーレリーズサンって名前を付けていてね。結構きれいなんだぜ。お前は私と弾幕ごっこをしたことが無いから、そちらを見た事は無いかもしれんが。
この使い魔は直線から円軌道まで器用にこなすし、飛ばせば天狗の目にだって映らない。と思う。多分。目標に気づかれず追尾するのが主目的。球体は常に微弱な魔力を撒いてるから、魔法の視界を使えばお前の居場所が暗くても明るくてもざっくりとは御見通しって訳。
さて……追いつめられた悪役は、ぺらぺらと自分の罪状を話し出すものらしいが、
お前の様なプライドの高い奴は、自分から話しだすのを躊躇うものだろう。
だから私から言ってやる。
お前の魂胆は解っているぜ。
大方私に何かの返済を迫りに来たんだろう?私が気にせず持ち出したそこらの祠の宝物の主とか、そこらの山の家に置いてあった怪しい魔力を秘めた財物の持ち主とか、そこらの川底に置いてあった謎の球の持ち主とかその辺なんだろ。物を借りるのは日常茶飯事だから、どれの事かさっぱり見当がつかないが、こうやって過激な行動に出てくるという事は、私がお前から借りた何かはそれなりのものだったわけだよな。なあ、後学のために教えてくれないか?
あー。なるほど。
あれか。
あー。
確かにあれは良い線いっているとは思っていたんだ。若干。
ちょっと香霖の奴に押しつけ、いや、売り払ったのが今になって勿体なくなってきたな。今度何かしらの理由をつけて返してもらう事にするか。うん。
まあいいや。道具の話は置いておいて。
夜中に人目につかない所、それも人里から距離を取った後、ひとりで空を飛んでいるところに後ろから音もなくとびかかるとは随分と物騒じゃないか。
体のど真ん中は最初から狙っていなかったようだから、最初は腕でも狙うつもりだったのかい?痛みに私が泣き叫んだところにお説教でも始めるという算段でもあったわけ?
当たりか。表情で解るぜ。
まあその。
そんな嬉しそうに見えたか?
私が良く出会うような連中はヒネた奴らばかりで、そういう風なリアクションはとうてい期待できないものだから、ちょっと珍しいと思ってね。まあこれくらいは普通だぜ。
確かにお前の身体能力は私の遥か上を行くだろうね。これは認めるよ。人間と妖怪だ。隙さえつけばお前の鋭い爪でこの腕を体から切り離すことも、顔から上を取り去る事も容易だろう。
まあもちろんさせないけど。
ああ。弾幕ごっこ。その言葉は知っているか。
うん。博麗の巫女のように選ばれた者ではなく、私のごとき特別な才能を持たない連中でも、格の違う相手と戦う事が出来る。幻想郷の精神性を反映させた美しさの遊び。相手を撃破するのではなく、相手の攻撃を避けることを主目的にすることによって、本来の実力ではない部分で競い合える。
そうして勝負に勝った方は負けた方に要求を通すことのでき、負けた側は己の誇りにかけてそれに必ず従う。人妖の理想的問題解決手段……そんな認識?
はっはっはー。
お前もしかしてあれ、額面通りに信じていたのか。
へぇ、お前のような今まで一度も顔を見た事のない、知らないような奴までがそれを信じ込んでいるのなら、霊夢の奴も紫も、とぼけているようで上手くやっている訳か。
そういうことならば、合点がいった。
ところで。
お前はジャンケンに負けたくらいで自分の大切なものを渡せるか?
幾らでもほかの対抗手段が残っているのに、それでも相手に譲歩するか?
ルールを強制させるものが何もないのに、ルールをみんな守るって、そう無条件に信じられるのか?
お前は私を襲おうと思った時、最低二つの事を考えていたはずだ。
ひとつ。弾幕ごっことかいう珍奇なルールを守らせているのは、上位の妖怪たちと博麗の巫女である。人妖の規範意識だけじゃあ遅かれ早かれなし崩しになるルールを、あいつらが破った奴らを制裁する形で守らせている訳だな。
ふたつ、弾幕ごっことやらは、その遊びにおいて死を容認している。あれは相手を死なせない事をルールに入れてしまうと、弾幕の自由度と緊張感が酷く下がるかららしい。ごっこ遊びでありながら物騒でもあるというイメージが大切だーとか紫も言っていたし。
でもそれらは逆に言えば、殺してしまってそれをそいつらに見つかりさえしなければ、弾幕ごっこをしていたという主張を押し通し、罰則を受ける危険は排除できるってことだよな。まさに死人に口なし。まあ冥界はある事にはあるが、死んだからと言って人型の亡霊に首尾よくなれるとも限らん。例えば魂みたいなものになってしまってみろ、もう絶対に口すらきけないわけだからな。
私はお前のような奴らに殺意を含んだ恨みを買う事を一切考えてなかったと思っていたのか? それとも弾幕ごっこのルールを無条件に信じて、このルールがある限り自分は死ぬこともなく守られると信じ込んでいると思っていたのか?
どちらにしたって、そんな考えの奴は普通じゃないぜ。
この近くにある湖に住む妖精たちを知っているか? あいつらの中にチルノって言うひときわ強い妖精がいるんだが、あいつは弱いくせに強い妖怪にすぐ喧嘩を売る。だから馬鹿とか言われているが、あいつは妖精だ 妖精にとって死ぬことは一回休みに過ぎない。実際の所夜中に寝て、また朝に目を覚ますのとそう変わらないものらしい。それはそれで怖い話だけれど、なるほど簡単に喧嘩が売れるわけだよな。だから、あいつは馬鹿だけど普通だぜ。
そして私は誰よりも普通の人間で、普通の魔法使いだからな。普通に死ぬのは怖いし、普通に強い妖怪への対策を練るし、普通に負けそうになったら逃げるし、お前の様なのに命を狙われても普通に勝てるから傍若無人に振る舞えるわけ。
そういうのって、普通だぜ?
だいじょうぶ。チルノ曰くマスタースパークで吹っ飛ばされるのは真夏の太陽のもとでお昼寝するようなものらしいから。まああいつは氷の妖精だから、太陽は寧ろ天敵で、凄い痛いという事の表現だったかもしれないんだが。
首尾よく人型の亡霊にでもなって、次に会う事があったら私に食らった時の気分を教えてくれよ。もっと痛いの用意して待っていてやるから。
それじゃあ、じゃあな。
でもこの魔理沙で長い話を読んでみたい
人里離れて魔法の森に住んでる時点でルールとは関係ない命の危険には常に脅かされてるんだから、備えがあるのは当然なんだろうけど。
妖精でも悪戯で人間を殺したりするし、人間の法や道徳が意味をなさない世界観だから
華やかに遊ぶ裏には怖いどろどろしたものがあるかもね。
人間が牛馬鶏を絶滅させないよう腐心するのと同じように妖怪も気を使っているだろうけど。
不意打ちに弱いとデュエリスト(決闘士)として締まりませんものね
個人的に魔理沙は努力家より、狡猾で強欲な謀略家であってほしいと思う今日この頃
楽園の使者は、強くないと務まりませんよね
泥棒するトラブルメーカーだとしても喰うに喰われない存在であってほしいです
悲劇やなw
しかし、ルールに偽装した殺しが容認されることで有利になるのは、何も妖怪ばかりでは無かったのか。なんとも見事返り討ち。
何が怖いって自分で道具を死ぬまで借りておきながら吹っ飛ばすところですね。
まあ腕を持って行こうとした妖怪も問題有りかとは思いますが。