外来人○○は困っていた。
天狗の新聞に週1で載せている詩の原稿の締め切りが近いのに、何も浮かばない。
立っても寝ても部屋を歩き回っても出ない。
仕方なく彼は気分転換に外へ出た。
歩き続けてネタを探すが、ネタが降りてこないときは本当に見つからない。
と、そこで不意に声が掛かる
「○○だー。」
そこにはチルノが居た。
「やあ、チルノ。今日もご機嫌だね。」
「あたいはいつでもご機嫌なのだ!さいきょーだし。」
腰に手をあて、胸を張るチルノ。
「でもでも、○○は元気そうじゃないね。」
「いや、ね・・・。」
彼はチルノに今回の悩みを話した。
「ふーん。お仕事って大変なんだね。あたいも何か手伝えたら言って欲しいな。」
「ありがとう。その時はお願いするよ。」
結局、何も浮かばないまま家に帰り、机の上の真っ白な原稿用紙とにらめっこするが、時間が無為に過ぎていく。
そこで、けたたましく家のドアが叩かれる。
「○○!いい事を訊いたから試してみるの!開けて開けて開けてちょうだい開けないと扉壊す!!」
チルノの声がものすごい音量で響く。
慌てて鍵を開けると、スパーンと扉が開き、チルノの他に、見知った妖精達が並んでいる。
「これは・・・どうしたんだい?」
フンス!と鼻息荒くチルノは言った。
「リャナン・シーと言う妖精が居ると詩人は沢山いい詩が書けると聞いてきたんだよ!」
「・・・それは誰に聞いたんだい?」
「赤い屋根の紫色の人に聞いた!パジャマーだったかな?」
「いや、パチュリーだろう。しかし良く教えてくれたね。」
○○は疑問に思った。
紅魔館の連中なら通さない所か、交渉の仕方によっては無視ないし、弾幕をぶっ放されても仕方ないはず。
一抹の不安を感じつつ、彼はチルノに問う。
「どうやって教わったんだい?」
○○の問いに屈託ない笑顔でチルノは応える。
「教えてくれないとこの辺の妖精全部や妖精メイドときょ-りょくして、○○が教えてくれた歌を歌うぞって脅したら何か通してくれた。」
「念のため訊くけど、その歌は何?」
「えーと、『ドーナツ・コーヒー・パンです』ってやつ!」
「チルノ、それ間違ってる。『ドナ・ノービス・パーセム』だよ。」
「えー、似てない?」
○○は嘆息する。
そりゃミサ曲だけでも鬱陶しかろうに始めから終わりまで同じ歌詞を唱え続ける歌だったら、吸血鬼じゃなくてもげっそり来るだろう。
ましてや、歌詞が意味不明に空耳になってると来た。当のチルノは彼の懸念も知らぬ気に「どうだ!」としてやったりの顔だ。
紅魔館の方々に詫びに行かねばなるまいな、と考えた時、号令が上がった。
「そんなわけで!」
チルノが握りこぶしを振り上げる。
「○○を救うための『リャナン・シー作戦』開始!みんな、○○に取り付いちゃえ!」
彼女の号令と同時に沢山の妖精が彼へ飛び掛ってくる。
「それは違う意味での取り付きで『取り憑き』じゃない!止まってくれ!」
それで話が通じればいいが、元が好奇心の塊、妖精が彼の話に耳を貸すわけが無い。
逃げる間もなく、彼は大量の妖精に視界を遮られ、倒れた拍子にものすごい重さが加わった。
肺から空気が完全に抜けて、体中に激しい痛みが走る。
そこで○○の意識が途切れた。
翌日の「文々。新聞」に作者負傷の為、朝の詩のコーナーの休載についてのお詫びと
「サンキュー事故!親切心は時に人をも殺す?」と言う見出しで
大量の妖精の山の下敷きになり、突き出た片足だけが確認できる○○の写真と、精神的に被害を受け、やつれた紅魔館メンバーの
写真付きインタビューが載っていた。
当の○○は、1ヶ月経つが、未だ永遠亭で包帯男のままだと言う。
天狗の新聞に週1で載せている詩の原稿の締め切りが近いのに、何も浮かばない。
立っても寝ても部屋を歩き回っても出ない。
仕方なく彼は気分転換に外へ出た。
歩き続けてネタを探すが、ネタが降りてこないときは本当に見つからない。
と、そこで不意に声が掛かる
「○○だー。」
そこにはチルノが居た。
「やあ、チルノ。今日もご機嫌だね。」
「あたいはいつでもご機嫌なのだ!さいきょーだし。」
腰に手をあて、胸を張るチルノ。
「でもでも、○○は元気そうじゃないね。」
「いや、ね・・・。」
彼はチルノに今回の悩みを話した。
「ふーん。お仕事って大変なんだね。あたいも何か手伝えたら言って欲しいな。」
「ありがとう。その時はお願いするよ。」
結局、何も浮かばないまま家に帰り、机の上の真っ白な原稿用紙とにらめっこするが、時間が無為に過ぎていく。
そこで、けたたましく家のドアが叩かれる。
「○○!いい事を訊いたから試してみるの!開けて開けて開けてちょうだい開けないと扉壊す!!」
チルノの声がものすごい音量で響く。
慌てて鍵を開けると、スパーンと扉が開き、チルノの他に、見知った妖精達が並んでいる。
「これは・・・どうしたんだい?」
フンス!と鼻息荒くチルノは言った。
「リャナン・シーと言う妖精が居ると詩人は沢山いい詩が書けると聞いてきたんだよ!」
「・・・それは誰に聞いたんだい?」
「赤い屋根の紫色の人に聞いた!パジャマーだったかな?」
「いや、パチュリーだろう。しかし良く教えてくれたね。」
○○は疑問に思った。
紅魔館の連中なら通さない所か、交渉の仕方によっては無視ないし、弾幕をぶっ放されても仕方ないはず。
一抹の不安を感じつつ、彼はチルノに問う。
「どうやって教わったんだい?」
○○の問いに屈託ない笑顔でチルノは応える。
「教えてくれないとこの辺の妖精全部や妖精メイドときょ-りょくして、○○が教えてくれた歌を歌うぞって脅したら何か通してくれた。」
「念のため訊くけど、その歌は何?」
「えーと、『ドーナツ・コーヒー・パンです』ってやつ!」
「チルノ、それ間違ってる。『ドナ・ノービス・パーセム』だよ。」
「えー、似てない?」
○○は嘆息する。
そりゃミサ曲だけでも鬱陶しかろうに始めから終わりまで同じ歌詞を唱え続ける歌だったら、吸血鬼じゃなくてもげっそり来るだろう。
ましてや、歌詞が意味不明に空耳になってると来た。当のチルノは彼の懸念も知らぬ気に「どうだ!」としてやったりの顔だ。
紅魔館の方々に詫びに行かねばなるまいな、と考えた時、号令が上がった。
「そんなわけで!」
チルノが握りこぶしを振り上げる。
「○○を救うための『リャナン・シー作戦』開始!みんな、○○に取り付いちゃえ!」
彼女の号令と同時に沢山の妖精が彼へ飛び掛ってくる。
「それは違う意味での取り付きで『取り憑き』じゃない!止まってくれ!」
それで話が通じればいいが、元が好奇心の塊、妖精が彼の話に耳を貸すわけが無い。
逃げる間もなく、彼は大量の妖精に視界を遮られ、倒れた拍子にものすごい重さが加わった。
肺から空気が完全に抜けて、体中に激しい痛みが走る。
そこで○○の意識が途切れた。
翌日の「文々。新聞」に作者負傷の為、朝の詩のコーナーの休載についてのお詫びと
「サンキュー事故!親切心は時に人をも殺す?」と言う見出しで
大量の妖精の山の下敷きになり、突き出た片足だけが確認できる○○の写真と、精神的に被害を受け、やつれた紅魔館メンバーの
写真付きインタビューが載っていた。
当の○○は、1ヶ月経つが、未だ永遠亭で包帯男のままだと言う。
短いながらGJ
ちょっと駆け足気味に感じますが、短編なので仕方ないかなぁと。
この短さに、ちゃんと物語がつまっているのは素晴らしいと思いました。
チルノはこうやって頑張って空回りするイメージがありますね。