光化学スモッグにより決して青いとは言い難い空、波間に不自然なほど白く泡立つ海。
どうもこんにちは黒谷ヤマメです。
昨日に引き続き私たちは今日も舞浜の某アミューズメントパークに来ています。
若干名夏コミ2日目に行った人がいますがね。
明日も……アダルト部門にも行くとか言っていたら私はレティさんを殴っていたかもしれません。
3日で50万近い人の集まるコミケの比ではないものの、ここ東京ディ○ニーシーも相当な人だかりです。
そのゴミのように集まった人人人、全員面識ありませんね、ぼっちです。
何を隠そう、絶賛迷子中ですからね。
アリスさんもユキさんも電話に出てくれないしどうしたものやら。
「それにしても、何なんだろうこの鳥の数……」
私がいるのは餃子ドッグなるB級グルメを売ってる売店の前ですが、周囲にはその湿っぽい皮のおこぼれを頂戴せんと鴎に似た海鳥がたむろしています。
客が餌をあげるもんだからここに居ついてしまったんですね。
カラスとか来ると洒落にならないのでやめた方がいいと思うんだけどなあ……。
いや、その程度ならともかくGとか来たらえらいこっちゃ。
昔はあんなのの何が怖いんだと思ってましたが、その恐ろしさを知れば知るほど嫌いになりましたよ。
私たちの住んでるボロい寮あたりモロに根城ですよね。
耐性がつかないようにホウ酸団子と市販の駆除剤数種類をローテーションしてますが、いっそアシダカグモを飼うことにしようかと検討中です。
蜘蛛の中でも大型なアシダカグモはGの天敵、捕食中であっても他の獲物を見つければ優先してそちらを始末する性質があるため1匹いれば3日で一家のGは全滅するとか。
Gは一家に平均480匹生息しているということを考えるとすさまじい殺戮が繰り広げられてるんでしょうね、それほどの数のGなんて考えたくもありませんが。
毒も持ちませんしどう考えても益虫なアシダカグモですが、残念ながらその外見もあって受け入れられることは少ないようです。
かわいいと思うんだけどなあ、蜘蛛。
先日も駐輪場にゴケグモが巣を作ってたんですがその日の夕方にはいなくなっていました。
あの子1匹我慢すれば蝿なんかに悩まされることも少なくなるというのに。
ゴケグモは漢字で後家蜘蛛と書きますが、後家とは未亡人のことを指します。
交尾の最中に雌が雄を食い殺す習性からその名が付いたとのことです。
ちなみにヤモメ、漢字で寡婦と書きますが、これも未亡人の意。
私の名前と何か関係性があるような気がしなくもありませんね。
もっとも、縁起でもないんであんまり考えないようにしてるんですが。
だいぶ話が逸れましたね、そろそろアリスさんから折り返しの電話が来ていてもおかしくないと思うんですが……。
携帯を取り出すと画面真っ暗。
どうやら電池切れのようです。
そりゃ気づかないわけだわ。
よくよく考えてみたら昨日は携帯を充電した記憶がありません。
コンセント要らないタイプの充電器あったっけかなあ……。
「あー、カバンにいろいろ突っ込みすぎたかなあ……見つかんねえや」
どうでもいいですけど携帯の着信音って外出してると全然聞こえませんよね。
音量MAXでも結構気づかなかったりしますよ私は。
さて、とりあえず迷子の鉄則はむやみに歩き回らないで向こうから探しに来るのを待つことです。
一ヵ所一ヵ所しらみつぶしに捜していけばいつかは見つかりますからね。
下手に動くとすれ違う可能性大です。
餃子ドッグでも食べながらここで適当に時間をつぶしましょう。
どちらかというと中華まん似の水分を含んだ皮に包まれた中華風味の味付けの具がなかなかおいしいですね。
「……ってこれ中華まんじゃね?」
私のツッコミは幸いにも餌をねだる海鳥の叫びにかき消され店員まで届くことはなかったようです。
どうにも腑に落ちないものの足で鳥を追い払いつつ食べ進める私でしたが、その最中一つの放送が。
『……よりお越しの黒谷ヤマメ様―、ご友人がお待ちになってますので』
「私かよ!」
迷子放送で呼び出されてしまいましたよ。
大学生にもなって恥ずかしい。
少しは人の気持ちも考えたらどうなんですかね。
あーいらん恥かいた恥かいた。
仏頂面でアナウンスされた場所にたどり着いた私を出迎えたのはてゐさんでした。
「これはどうも迷子の迷子のヤマメちゃん」
「あんたのアイデアか」
「だって探しに行くのめんどいしー」
何食わぬ顔でのたまう彼女に軽く殺意がわきましたがまあ良しとしましょう。
合流するまで早かったですし。
「他のみんなは?」
「んー多分タワーオブ○ラーかな」
「私を探すの、志願したでしょ」
「わかる?」
シーでトップクラスの知名度を誇る絶叫系アトラクションの名に納得する私。
急上昇急降下を繰り返す椅子型エレベーターは乗るものの心臓を凍てつかせるとか。
私は乗ったことありませんけどね。
乗りたかったなあ……。
「あ、戻ってきた。おーい」
「だから戻ろうって言ったじゃないか!」
「今更戻れるわけないでしょうが!」
また魔理沙とアリスさん喧嘩してる。
今度は何ですか、夫婦喧嘩は犬も食わないって言いますよ。
「私はここはやめてストーム○イダーにでも乗ろうって言ったのにアリスが強引にだな」
「何が強引によ。エレベーターに乗るまではウキウキだったじゃない」
「あんなの途中からでも帰りたくなるにきまってるだろ!」
「動き始めてから泣き言いうんじゃないわよ!」
夫婦げんかについては突っ込んでくれませんでしたね。
それにしても魔理沙ああいうの駄目なんですか……。
何か意外ですよね、普段が空元気百倍なだけに。
「悪かったな空元気で」
「私も見たかったよ魔理沙の痴態」
「痴態言うな」
ナチュラルにスルーされましたけど誰も私がはぐれてたことに言及してくれませんね。
せめて話のタネにでもしようとしてたのにこれはさみしい。
そんな心情を知ってか知らずかユキさんが声をかけてくれました。
「まあ暗くなってからの方が雰囲気あるし後でもう一度、今度はみんなで乗ろうか?」
なんて優しいユキさんでしょう。
きっと魔理沙はもう乗らないでしょうがね。
チキンは放っておいて早く次のアトラクションに行きましょう。
「じゃあ次は魔理沙の希望通りストーム○イダーでいい?」
「じゃあそうしようぜ」
というわけで全員でストーム○イダーに……
「って教授……と助教授!?何しれっと紛れ込んでるんでんの!?」
見知った顔があったような気がして振り向いたらそこには我らが岡崎夢美教授。
ついでに北白河助教授。
こっち来てるって聞いてませんし、第一はぐれる前はいませんでしたよね?
「いや、夏コミは人が多いからこっちにしようって」
「なんで選択肢がその2つなのか私は理解に苦しむね」
「だってアキバは明日行くって神綺さんに聞いたし……」
「だからどうして選択肢がそれなの!?」
明日もついてくる気か。
確かに同じホテルを選択した時点である程度予想してましたが……。
「だって考えてもみなさいよ。普段はそういうとこ行こうとしても魚メ○トやベ○ーランド止まりなのよ?いくら学会帰りという仕事完了してない身でもそれくらいは許されてしかるべきだと思わない?」
「仕事終わらせてから来なさいよ!あとたまには西○台ハイランドのことも思いだしてあげて!」
「アメリカでもメジャーリーグ見てきたけどね」
「もうどうなっても知らないよ」
あと遊園地だったらリ○ワールドとかも忘れないであげてください。
レティさんはあそこにご執心らしいですから。
この人、帰ったら今度はキツネ村にでも出かけるんじゃないでしょうか。
「いいわよね、キツネ。もふもふだし。先月行ってきたけどまた行こうかしら」
「藪蛇だったか……」
先月って普通にテスト期間だった気がするんですが教授はなぜ遊んでたんでしょうか。
比較物理学の講義持ってますよね?
「あんなもん私の似顔絵に配点30点振ってきたわよ」
「来年にはクビになってんじゃないの?」
確かにテストあまり重要視しない教授もいますが似顔絵ってなんだ似顔絵って。
上手かったら高得点なのか。
「いや、私だとわかれば点数あげるわよ?出席してない連中を振るい落とすためと、採点の暇つぶしと」
「……案外考えてるんだ。後者はともかくとして」
確か鬼仏表によると夢美教授は暫定で『仏』にカテゴライズされていたはずですが、少しは認識を改めた方がよさそうです。
あれもあんまり信用すると痛い目に合うんですよね。
魔理沙なんか相手が『仏』だからって遅刻しまくった結果単位落としそうになりましたし。
必修じゃなかったし、夏休み序盤に補講受けて切り抜けたみたいですが、1年の序盤からこんなんで無事に卒業できるんでしょうか。
「補講か、寂しい思いをすることになるかと思いきや再履修組がいっぱいでにぎやかだったぜ」
「それはそれはよろしくないことで」
「あとミスティアがいたな。ライブに行って帰ってきたら補講になってたって嘆いてたぜ」
「誘われたからあいつと1週間くらい前にカラオケに行ってきたけどそんな余裕なかったんじゃ……」
その時は6時間くらいぶっ続けで歌って喉が真っ赤に腫れ上がりましたね。
晩御飯は素麺でいいやとたかをくくっていたら麺つゆすらしみる始末でした。
「……で、なんでこんなに話し込んでるんだっけ」
「そりゃ順番待ちしてるからに決まってるじゃない」
「そういやここ列の真っただ中だね。気付かなかったよ」
背伸びして待ち時間を見ると20分待ちとのこと。
まあ昨日よりはよっぽどマシですね。
昨日は炎天下でレティさん溶けそうになってましたし。
レティさん、奥羽山脈より南には住めないと豪語してますし。
よりにもよってなぜ縦に長い奥羽山脈なのか激しく疑問ですが。
「ところで魔理沙は何かバイトしてるの?」
「スーパーでちょっとな。頼むから来てくれるなよ?」
「寮の近くにもスーパーとコンビニあるしそこじゃなければ多分行かないけど、魔理沙のことだし自分で試食品つまんでそうね」
「失礼な、惣菜を買うときは値引きシールを貼ってからにする程度だぜ。ちゃんとレジも通すし」
「それもそれでどうなのよ……」
そもそも多少値引きした程度でもお惣菜は結構高いので余程のことがなければ私は買いませんね。
たまにコロッケがすごく安くなってたりするのでその時は食卓に並びますが。
「アリスさんは何かやってたっけ?」
「一応学習塾の模試の採点をやってるわよ。大学の授業がない時間にまとめてやるからあまり見せたことはないけれどね」
「キスメとレティさんは家庭教師だよね」
「そうそう。レティちゃんは私と違って事務所的なやつ通してないけどね」
流石に旧帝大、バイトの中身が一味違いますね。
ちなみに私は公○式のバイトを。
困ったことに英語のわからない箇所を質問されても答えられた試しがありません。
数学ならある程度いけますし国語は他にスペシャリストがいるんですが。
「てゐさんは?」
「……あー、ちょっとね。ちょっと」
「言葉を濁すな。どうせ賭け麻雀とかスロットとかで儲けてくるんでしょうが」
「簡単に言うけどね、そんなバイトもしなくていいほど稼げたら苦労しないわよ」
認めるのかい、稼げるのかい。
ああいうのって普通みんな損して胴元が儲かるシステムじゃないんですか。
というか前者アウトですよね、それ。
「ヤマメのクスリだって十分アウトだし、だいいちアレは事実上はヤクザとかのヤバいのを取り締まる法律だから」
「そう言われるときつい……けど華の女子大生が足を踏み入れる領域じゃないよそれは!」
てゐさんの言うヤバいのに目つけられたら本当にタダじゃすみませんよ。
足先に引いた線を頼りに綱渡りするような真似はごめんです。
え、今の話とそれと何の関係があるかって?
だってあの漫画一から読むには巻数多いんですもの、知らないんです。
「まあそれは本業じゃないよ。どっちかって言えばアフィリエイト収入とかがメイン」
「アフィリエイトっていうとブログの広告とか?」
「そうだね。複数のブログを作ってそれのリンクを張ったアンテナサイト作って、そんで一つのブログを炎上商法で知名度上げて芋づる式に」
「それレティさんの前で言ってみ?殴られっから」
ブログのリンクを踏んだらアンテナサイトに飛ばされて、大量の記事の中から目当ての記事を探しだすという行為を激しく嫌うレティさん。
そもそもステマステマうるさくなったのはアフィリエイトブログのせいだと言ってはばかりませんし前段階で殴られるかもしれませんが。
「ま、まあそれはそうとしてだね、さっきまで中に入ってた人が出てきたから始まるみたいだよ」
「逃げたな。私は見ないから別にいいけど」
入れ替わりで建物の中に入場し、正面にスクリーンの設置されたシートに腰を下ろします。
しばらくするとパイロットのデイビスとベースの漫才が始まり、クルーが状況説明を開始します。
偶然にもストームの消滅ミッションに同行した私たちは……ってこの言い方だと殺人事件が起きそうですね。
ともかくフライト開始、しかし何をトチ狂ったか私たちの乗ったデイビス機はベースの司令を無視して急降下や急上昇。
やべえ、映像だけなのに酔いそうかも。
いろんな意味で前途多難な私の視界のすぐ前を巨大飛行船が。
何故か突っ込むデイビス機、急旋回で回避しますが胃液が喉元までせり上がっているような気がします。
胃液の主成分?塩酸ですよ今はそんな事聞かないでください忙しい。
生唾を飲み込む作業に精を出していると今度は落雷、もう一機のストーム○イダーが引き返し不穏な空気が醸しだされます。
しかしやっぱりストームに突っ込むデイビス機。
案の定アクシデントが発生し荒れ狂うストームの中でてんやわんやです。
上から実際に水降ってきますしね。
おかげでちょっと酔いが覚めたような。
機体をふっ飛ばされそうになりながらもなんとか帰還しアトラクション終了。
ハンカチで水滴を拭いながら先の乗客に習って退出します。
あー大変でした、いろんな意味で。
「面白かったわね。これ見るのは2年ぶりかしら」
「そんな最近行ったの?私は中学校の修学旅行以来だよ」
「住んでいた場所が違うものね。私たちは中学の修学旅行は広島だったけどあそこもなかなかよかったわよ」
広島ですか……。
お好み焼きと原爆ドームと若鯉球団くらいしかイメージできないんですがどんなところなんでしょうかね。
新幹線で通過したことこそあれど街の様子を見たことはないですし、そのうち行ってみたいなあ。
旅先でまだ見ぬ知に思いを馳せる私の横では教授が神綺さんや魔理沙と話をしています。
「知ってる?スプ○ッシュマウンテンで指輪を落とした人がそのことを係の人に言ったら閉園時には見つけてくれたんだって。夢の国のちょっといい話」
「へえ~……落ちてるゴミのことを夢のかけらとか言うってのは聞いたことあるけどそういうのは初めて聞いたわね」
「私もなにか落としてみようか?面白そうだし」
「魔理沙、ぬえにチクるからね」
夢美教授のトリビアに魔理沙が反応しますが、人の好意を踏みにじる真似を許すわけには行きません。
冗談だとニヤニヤしてる魔理沙の顔にアリルプロピオン催涙スプレーをお見舞い。
玉ねぎ切ると涙がでるのはこいつのせいです。
先程はまともに語れなかったのでこれが今日はじめての化学薀蓄ですね。
そろそろネタ切れ感が否めません。
「目がぁ!目があああぁぁ!」
「ここでそのネタはやめようか」
「あの後のラ○ュタ崩壊シーンには落ちるム○カがしっかり映ってるんだぜ」
「もう一発いくか」
映画会社のテーマパークで別の映画会社の話をするもんじゃありません。
あっちも都市伝説が多いことで有名ですね。
必要以上に深読みされてしまうのは知名度が高い作品の宿命といいますか……。
「とにかく、時間がもったいないから早く別のアトラクションに行きましょう」
「どうする?マー○イドラグーンシアターにでも行く?」
「リトルマー○イドのやつだよね?記憶に残ってる中では一番最初に見た映画だったかな」
「マイお姉ちゃんはダ○ボだって言ってたような気がするんだけど」
「あれ?そうだっけ?」
私はどうでしたっけ……。
映画じゃなかったら某蜂蜜好きの黄色い熊の30分だか45分だかのアニメなんですが。
どっちにしろ小さい頃はディ○ニーっ子でした。
実はミ○キーマウスの作品一度も見たことないと言うと消されそうなので黙っておきます。
「ところでマー○イドラグーンのマーメイって何だ?」
「いやマー○イド・ラグーンだから」
懐かしやベイ○レードのド○グーン。
右回転主流なのに左回転なのがアブノーマル嗜好の私好みでそれだけは集めてました。
主人公の機体なのにものすごく弱いですよね、あれ。
え、女の子らしくない?
ちゃんとセーラー○ーンの再放送とプ○キュアの第一シリーズは見てましたよ。
レティさん今もプ○キュア見てますが。
戦隊ヒーローとかライダーとかも見てますが。
更に言うとニ○生配信してる深夜アニメも見てます。
休日はいつ寝てるんでしょうかね。
「ねえ、シアターもいいけどさっきもスクリーンに映ったものを見てるだけだったしコースターにでも乗らない?」
「コースターね、どういうのがあったかしら?」
教授の提案に手元の地図を見る神綺さん。
ずいぶん仲良さそうですけどいつの間に意気投合したんでしょうか。
かたや私より年下、かたや年齢不詳ですけど二人とも同じくらいの年齢に見えてしまう不思議。
「あ、レ○ジングスピリッツなんてどうかしら?」
「いいわねえ。じゃあ早速行きましょう」
2人でさっさと決めてしまって現在いるエリアから遺跡エリアに移動しようとする夢美教授と神綺さんですが、私アレ駄目なんですが。
どうにも1回転コースターが苦手で中学時代に行った時も敬遠してたんですが、その際にはキスメたちの荷物をひと手に抱えてベンチに寂しく座っていました。
まあ荷物持ちも1回ならいいんですよ、1回なら。
あいつら1度終わってからナチュラルに再び並びやがりましたからね。
そして文句を言いながらコースターの行方を眺める私の前に新たに知り合いのグループがやって来ましてね、荷物を押し付けて並んでいきました。
2周目が終わってキスメ達が戻ってきますが彼女らが列に並んでいるのを見るやいなや3度私を放置してレ○ジングスピリッツ。
神々の怒りの業火で焼かれてしまえと私の呪詛が通じたのか修学旅行明けにインフルエンザが流行って連中は残らずダウンし学級閉鎖になりました。
トラウマを再燃させて脚が重くなる私ですがまた迷子になるわけにも行かずしぶしぶながら古代遺跡へ向かうのでした。
「……死ぬかと思った。もう絶対1回転コースターには乗らねー」
「大丈夫?薬飲む?」
ふらつく足でベンチに座り込む私をアリスさんが心配してくれています。
燃え上がる炎、立ち込める蒸気。
神々によって360°ねじ曲げられたレールに悪意があるとしか思えない今日この頃、見事にノックアウトされて帰って参りました。
絶対這い寄る混沌のプロデュース入ってますよね、SAN値直葬されかけたんですが。
「私にはタワーオブ○ラーの方がそう思えるんだが……」
「よしもう一度行こうか、私行ってないし」
「勘弁してくれよ……」
さっきから元気のない魔理沙を見ているとちょっと楽になってきましたね。
人の不幸は蜜の味。
水飴ことマルトースって実はあんまり甘味強くないんですよね。
粘性があるから甘さが舌に残るんですかね。
お菓子作る時に砂糖の代わりに使うと上品な味に仕上がりますよ。
「その薀蓄は昨日のハニーハントとかで披露すればよかったんじゃ」
「うん私も今そう思ってる」
余談ですが人工甘味料は砂糖の数百倍の甘さを持つものも珍しくありません。
ノーカロリーなので糖分を控えめにしたい人がよく使ったりしてますが、そのままだとスプーンでは取りすぎてしまいますので市販のダイエットシュガーは多くの場合砂糖とブレンドしてかさを増していますのでご注意を。
人工甘味料の代表格アスパルテーム、よくアステルパームと言い間違える人がいますがアスパラギン酸とフェニルアラニンの化合物なのでアスパルなんです。
アスパラギン酸とフェニルアラニン、どっちも単体で摂取すると脳細胞死ぬような気がしますが主にこの2つがペプチド結合したアステルパームって果たして安全なんでしょうかね。
ググるとこれの危険性を訴えるウェブページがわんさか出てきます。
まあ所詮はネットですので話半分なんですがね。
そのうち自分で調べてみますかね、マウスでも使って。
「ヤマメ、ここであんまりマウスを虐待するような話はしないほうがいいわよ」
「消されても知らないぜ」
ああそうだった危ない危ない。
それで話は戻りますが次は何のアトラクションに行くんでしたっけ。
「タワーオブ○ラーは日が暮れてライトアップされてからのほうが雰囲気出るよね」
「じゃあイン○ィー・ジョーンズのアレにでも行く?」
「そうしましょう」
というわけでいざク○スタルスカルの迷宮へ。
イン○ィーというとどうしても列車の上にいるイメージが拭えないんですがあまり同意してくれる人がいません。
ある一定の速度で進む列車の上で手に持った何かをある初速で投げ捨てて空気抵抗を考慮した上で何秒後かの速さを求めさせれば物理の問題の出来上がり。
「今度の試験問題それにしようかしら」
「ちゃんと自分の担当の問題出しなよ」
「教務に怒られるぜ」
前から思ってたんですけど電車の中やビルの上から物投げる物理の問題って実践したら迷惑この上ないですよね。
そこんとこどうなんですか教授。
「摩擦ないってのはリアルじゃないから私はすべての問題に摩擦係数記して考慮するように作ってるわよ」
「お見それしました」
「で、いつそんな問題を出したんだ?」
「作っただけで出してないけど」
「前言撤回」
駄目だこの人、そもそも比較物理学担当じゃなかったんですかね。
というか比較物理学って何なんですか、教授と助教授以外の口から聞いたことないんですけど。
「さよ○なパラレルって知ってる?あれに出てきた比較歴史学ってのが元ネタなんだけど」
「メタい話するのはやめて!」
「ちなみに比較歴史学は実在する学問よ」
「比較物理学は実在しないとでも言うのか」
ものすごく世界観的にやっちゃいけない話をしているような気がします。
いや、確かにさよ○な好きですよ?
もしかして教授も静電気が限界までたまると何でもアリのパラレルワールドに飛んでったり……しませんね。
「飛んでいけたらいいんだけどねー。静電気体質はマジだけど。こないだマ○チのメンテ中にバチっといって壊しかけたわ」
「なんかもう何でもアリだな教授は!」
「初期化されちゃったからバックアップの……」
「原作と違うけどヘタするとネタバレになるから!もういいから!言いたいことわかったから!」
「感動モノだったわよ」
自分でデータ飛ばしたくせにそれで感動できるとは幸せな人です。
ところで何で私T○ Heartのマ○チエンドの内容知ってるんでしょうね。
レティさんがプレイしてたの見てたからでしょうね。
ピ○チュウの声優さんが出演してるエロゲだと熱く語ってくれたので半分以上聞き流しておきました。
発売当初レティさん5歳、意外と泣きゲーって歴史が深いやら浅いやら。
その張本人、いや張本ロボを実際に作る夢美教授が私にはよくわかりません。
なんか朝に喝を入れてる通算3000本安打達成者のロボットみたいな字面ですが気にしない気にしない。
「お次の方どうぞー」
駄弁ってる間に順番が回って来ましたね。
前後に並んでいた人たちは私達の会話をどんな面持ちで聞いていたのやら。
先ほどの一回転コースターと同じく安全レバーをがっちりと固定したら出発進行。
イン○ィーの助手が『若さの泉』なるものを探す魔宮ツアーを勝手に計画し、我々はそれにウキウキで参加しているという構図だそうで。
若さの泉ねえ……古今東西不老不死の願望というのはつきないものですが、こんな胡散臭い話によくもまあ食いついたもんですね。
最初のうちはスピード抑えめで横揺れも少ない平穏な洞窟探検。
しかし魔宮の守護神ク○スタルスカルが不届きな侵入者に怒りの鉄槌を下さんと罠やら超常現象を連発してきます。
「さー私達はここから無事に脱出できるのでしょかー」
「驚くほど棒読みだな!」
「神の怒りだったらついさっき触れてきだばかりだし」
「そういう醒める発言やめろよ!」
ところでこの乗り物ずっとトロッコだと思ってたんですけどオフロード車だったんですね。
まあトロッコじゃ逃げ切れない気がしないでも無いですが。
後ろからでかい岩が転がって来ましたね、ほら運転手スピードを上げろ。
そのまま余裕のよっちゃんで写真撮影ポイントを通過。
どうでもいいけど今の完全に死語ですね、よっちゃんって誰なんだろう。
「はいお疲れ様でしたー」
「ちょっとどさくさにまぎれて抱きつかないで!」
「いいじゃない減るものじゃないしー♪」
「何が減るというのよ!」
約2名ほどが親子喧嘩していますが命からがら逃げ出してゴール。
こんな危ない目にあったんだからツアーの企画者を訴えてもよさそうなものなんですが、残念ながらそんなイベントは用意されてないみたいですね。
「じゃあ撮影された写真を見に行こうか」
「そういえばさっきはヤマメがグロッキーで見ていなかったわね」
「せっかく忘れてたのに蒸し返さないでよ」
無駄口を叩きながら写真の売店に向かってモニターで確認します。
おお上手いこと営業スマイルが決まってる。
そして本当に神綺さんアリスさんに抱きついてますね。
はたから見ると同じくらいの年齢に見えてしまうので全く違和感が無いのが逆に違和感。
「ははは、魔理沙顔引きつってるよ」
「てゐが悪いんだてゐが」
「聞き捨てなりませんなあ、私が一体何をしたって?」
「お前が脇からくすぐってきたから笑い出さないようにするのに必死だったんだよ!」
向こうは向こうで喧嘩してるし。
確かにてゐさんは完璧なカメラ目線であざといピースをかましてますが魔理沙は必死に脇腹を押さえているように見えます。
見てるだけでむず痒くなってきた、どうしてくれるんですか。
「あれ?今追加された写真、上手く撮影できませんでしたって表示されてるだけで何も出てこないや」
「あー、たまに変なことする人がいるとこうなるんだってね」
「そうだったんですか……ユキさんよく知ってますね」
「実は親戚にその変なことやったアホがいてね……」
サラっていうんだけど、と気まずげに話すユキさん。
なんか聞いちゃいけないこと聞いてしまいましたかね。
「マイのおっぱい揉んでたら写真消されて、ついでにマイに海に沈められそうになってね」
「いや海は洒落にならないですって」
「で、今マイと一緒にコミケ行ってるはず」
どういう仲なんでしょうか、全く想像がつかないんですが。
とりあえずいつまでもここにいるわけにもいかないので写真を購入して外に出ます。
さて次はどこに行こうか……。
「海○2万マイル!」
「シン○バット・ストーリーブック・ヴォヤッジ!」
「お昼ごはん!」
最後になんか変なの聞こえた気がしますね。
確か海○2万マイルって子供の頃原作小説を読んだような。
マイルじゃなくて海里だったような気もしますがね、ノー○ラス号は永遠のロマンです。
「ヤマメ、私おなか空いたんだけど」
「そういやシン○バッドのやつ名前変わってたんだ。リニューアルしたのかな」
「おなか空いたんだけど」
「アリスさんはなんか行きたいアトラクションある?」
「わかってて無視してるわよね!」
だってまだ正午まわったくらいじゃないですか。
この時間のレストランは混みますよ。
それに私さっき餃子ドッグ食べたし。
「お母さんはお昼にしたいと思わない?」
「アリスちゃんが隣に座ってくれるならよろこんでお昼にするわよ」
「……すいません、キャラメルポップコーンください」
キャラメルポップコーンと天秤にかけられた挙句惨敗したことに滝の涙を流す神綺さんとボトル詰めのポップコーンを頬張るアリスさん。
一方ユキさんはそれを苦笑しながら見ていたりして。
「この親子も変わんないな」
「魔理沙はどっか変わった?」
「聞かないでくれ」
口を開いたかと思えば速攻で逃げ出す魔理沙はいったい何がしたかったんでしょうか。
なんか黒歴史でもあるんでしょうか、後で文さんに探らせたら面白そうですね。
「あれ?そういやちゆり助教授は何でそんなに不機嫌そうに」
「そりゃ魔理沙と口調が被って紛らわしいからに決まってるだろ」
「そういう問題だったの」
まあそれはさておいて。
「じゃあ次はどこに行くか、いい加減決めようか」
――すっかり日も暮れイルミネーションが彩る園内。
その中でもひときわ目立つ、緑色に不気味に光る廃マンションの前にいる私達。
「な、なあ……本当にまた行くのかよ」
「この期に及んで何怖がってるのよ魔理沙、往生際が悪いにもほどがあるわよ」
「私は荷物番してるからさ、楽しんでこいよ。な?」
ああもうムードが白けるなあ。
この2日間を締めくくるのは言わずと知れたスリルアトラクション、タワーオブ○ラーです。
実を言うとまだ私は乗ったこと無いんですよね。
だから無理を言って、もうみんな一度乗ってしまったのについてきてもらいました。
迷子になっていなければ魔理沙は二度も怖い目に合わなくて済んだわけですが、それは言いますまい。
程なくして順番が来て、嫌だ嫌だと喚く魔理沙を無視し椅子に座り込みます。
さっき係のお姉さんがこのマンションについて何か説明をしていた気がしないでも無いですが、曰くつきの品だの没落がどうだの幽霊だの、大方そんな話でしょう。
ゆっくりと上昇を開始するエレベーター。
夜ということもあって早くもスリル満点です。
やがてその呪いだかなんだかが発動、制御不能になったエレベーターが挙動不審になり始めます。
そしてエレベーターの動きが止まり、不気味に光る鏡に私たちの姿が映し出されます。
魔理沙の顔が既にひきつっているのはこのあとに起きる恐怖をありありと想像させてくれます。
アリーヴェデルチってどんな意味でしたっけね。
今のところはまだ余裕もありますが……。
「き、来た!」
「うおっ!?」
突如、エレベーターが再稼働しグラグラと揺れながら最上部へと昇って行きます。
加速度がどんどん減少していき0になるその刹那。
光り輝く外の様子が私の目に映り込みます。
そして次の瞬間には……。
「きゃあああああああぁぁぁぁ!」
「ぎゃああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
地上目指して急降下。
自由落下のふわりと浮くような感触が体を包みます。
そして、まるで宙づりになったかのような急停止、浮いた体が抑えつけられるような感触。
再び急降下、急停止。
胃を抉り出されるかのような速度の変化に目が回りそうです。
最後は穏やかな着地でアトラクション終了。
横を向くと魔理沙が泡を吹いて気絶しています。
「……あー怖かった!さ、帰ろうか!」
「ナチュラルに無視するのやめてあげなさいよ」
わかってますって、ちゃんと連れて行かないと。
アリスさんと協力して肩を担ぎ上げ、やたら慌てるスタッフを先刻までの恐怖に固まった笑顔で制すと外に運び出します。
海水にでも漬けておけば気がつくでしょう。
「増えたら困るわね……」
「いや、わかめじゃないんだし」
「あれって嵩が増しただけでいうほど増えてないわよね」
「さすがに分裂はしないでしょうに」
そういうとちょっと意外そうに黙りこむ教授。
もしかして「増える」って「数が増える」だと思ってたんですかね。
大学の教授というのはある一方向においては他の追随を許さないほと詳しいけれども、他方においては色々と常識にかけていると昔誰かが言っていたような。
今ならうなずける気がします、全力で。
「アメリカじゃわかめあまり食べないし」
「そうかもしれないけど……」
「あ、でも豆腐はあるよな。スーパーで普通に売ってるぜ」
「へえ、やっぱり冷奴とかで食べるの?」
「うんにゃ、ローストチキン味とかイチゴ味とか……味がついてる」
「はあ!?」
百歩譲ってローストチキン味はわからなくもないですよ、なんてったってカリフォルニアロールを生み出す国ですし。
豆腐のプレーンな味はメリケン連中には合わないのかもしれませんし自分たちの好みの味付けをすることもあるかもしれません。
しかしイチゴ味というのはどういうことなんですかね。
彼らは豆腐をヨーグルトか何かと勘違いしているのではあるまいな。
「……いや、あいつら『いっぱい肉を食べちまったからディザート(ネイティブ風)にヘルスィー(ネイティブ風)なトゥーフ(ネイティブ風)を食べて中和しなきゃな!HAHAHA!』とか言ってそうかも」
「豆腐はそんなくどい発音じゃないんだが」
「意外といけるわよ?イチゴ味」
「私の言った内容については否定しないのか……」
確かに豆腐は大豆からできているため良質なタンパク質やミネラル、ビタミンを多く含み、癌・動脈硬化・高血圧・心臓病・肥満に有効な機能性食品であることは科学的に立証されています。
その点を考えれば肥満大国ユナイテッドステイツにはうってつけの食材といえ無くもないでしょう。
肉を食べなければな。
いきなりタンパク質で被ってますよ。
動物性と植物性を別カウントにしたって無駄ですからね、どっちにしろ余った分は脂肪行きです。
タンパク質は分解・吸収の負担が大きいので老廃物の分解に関わる肝臓や腎臓に異常をきたす可能性もありますよ。
そうすると消化不良のタンパク質から毒素が出て発ガン率を引き上げる原因にもなるんですから。
デブだけじゃねえ、マッチョもささ身ばっか食ってないで心して聞いておけよ。
それに大豆油というものがあるように、大豆って脂質が豊富なんですからね。
さっぱりした風味が魅力の豆腐にも、件のタンパク質に次ぐ成分量の脂質が含まれています。
あのなめらかな触感、何が出してるかってひとえに脂質のお陰ですよ。
更に言うと大豆というのはあまり消化に良くないのですが、豆腐はその92~98%が消化吸収されるのでアホほど肉食った後に豆腐食べるのはマジでタンパク質の摂り過ぎになるからやめたほうがいいと思います。
「今消化不良の話と消化効率がいいって話同時にしたわよね」
「肉と一緒に豆腐食べる→内臓に負担かかる→肉を消化できなくなる→毒素出る……ってことで一つ」
「ビタミンミネラルが高血圧やらなんやら抑えてくれるから内臓なんとかなるんじゃないの?後で栄養士に聞いてみるわ」
「知識繋ぎあわせて適当に喋ったんで本気にしないでくださいすいませんでした」
薬剤師の資格も欲しいけどちゃんと栄養学も勉強して栄養士の資格も取ろうかな。
臓器の負担云々の件はツッコミたいとこもあるけど如何せん知識が曖昧すぎて駄目ですね。
医学部の講義にも潜入してみましょうかね。
でも医学部キャンパスは遠いんだよなあ……てゐさんに頼んで鈴仙あたりに教科書借りられませんかね。
「医学部の教科書なら鈴仙に借りるまでもなく持ってるけど」
「マジで!?あのなまら高いの買ったの?」
「その副詞が何を意味するのかわかりかねるけど……まあ一応健康には気を遣ってるしね。文系は理系に比べりゃ少しは暇だし空き時間に読もうかなって」
さすがは腐っても超進学校出身、空き時間に医学部の教科書を読むなんて普通の健康マニアにはできっこありません。
「妹紅さんこないだ居酒屋でバイトしながら医学書読んでたけど」
「何?流行ってんの?」
「さあね?まあ貸すなら値段の3割でいいよ、友達料金で」
お金取るんかい、しかも高いし。
やっぱり鈴仙に借りようかと一瞬思ったりもしましたが、それはそれで仲介料を取られるんでしょうし、仕方がないから払ってやりますか。
「まあこないだ2万くらい稼いだから1割でいいや」
「例のロクでもない稼ぎ方?」
「いやスロで大当たりしたの。レティもたまに見かけるよ?○ヴァとかやってプラマイ3Kくらいの収支になったら帰ってく」
レティさんはなんかもういいや、問題はてゐさんのバカヅキですよ。
世の中の社会人に喧嘩売ってますよね。
働かなくても生きていけそうってのは嫉妬を禁じえません。
「うう……三途の川が見えるぜ……」
「落ち着いて魔理沙、素数を数えるんだ」
「1」
「落ち着け」
1を素数と見なすかは今も数学者の間で激論がかわされているって話を聞いたような気がしますが今はそんな事は関係ありません。
軽く向こうに行きかけてる魔理沙にカテコラミン剤でも投与しようかとも思いましたが心臓は普通に動いていたのでやめておきました。
ちなみにドーパミンも内因性カテコラミンでノルアドレナリンの前駆物質です。
血圧の維持と利尿作用がありますがここで漏らされても困りますしね。
ノルアドレナリンは血圧を上昇させますが末梢の循環が悪化するという特徴があり、心収縮不全の場合は不整脈を起こしやすい欠点があるためやや使いにくい昇圧剤……と今ウィキ○ディア見たら書いてありました。
アドレナリンとは別物ですよ、あちらを使うと頻脈になるので心疾患には多分使わないんじゃないでしょうか。
心肺蘇生なんかには有効だと思いますけどね。
「携帯見ながら受け売りの薀蓄語ってないで助けろよ!」
「怒鳴る元気がありゃ大丈夫でしょうよ!」
「怒鳴る元気が出るまで回復しなかったらどうすんだよ!」
そしたらモルヒネでも打って無理やり元気出させていたでしょうね。
私が三途の川のほとりにいたらフィボナッチ数列的に小石を積み上げたことでしょうがきっと鬼は怒ると思います。
「何はともあれ、魔理沙も復活したし帰りましょう」
「そうだね、別行動グループが待ちくたびれてるだろうし」
「文あたり待ちきれなくて迎えに来そうだけどね」
まさか~、と笑っているとてゐさんの携帯に電話が。
これはもしかしてもしかするんじゃないでしょうか。
「もしもーし!はいはい、ああ今出るよ。え?モノレール駅まで迎えに来た?あんた行動読まれてるよ?うん、うん、じゃあ切るよ」
案の定ですね、一瞬別の用件なんじゃないかと期待しましたが全くそんな事はありませんでした。
門を出ると文さんがすぐに私達一行を見つけて駆け寄ってきます。
モノレール駅で待ってたんじゃないのかい。
「遅いですよ!」
「文は早すぎるのよ」
「日本人なら30分前行動は常識ですよ?」
「その時間があったらもっと有意義なことが出来ると思うわ、二度寝とか」
「寝る以外の選択肢はないんですか」
呆れる文さんですが私も呆れたいです。
アリスさんの場合は三度寝とか四度寝なんじゃないですかね。
レティさんや文さんの将来も心配ですがアリスさんも大丈夫なんでしょうか。
自分のことを棚にあげてそんな事を思う私でしたが後で冷静に考えると私が一番まずいんですね、主に薬品の違法所持的な意味で。
さてホテルに戻って一足早く到着していたレティさん達と合流。
キスメが満面の笑みで戦利品を披露してきましたが……
「思ったより少ないんだね。もっと薄くて高くて人に見せられないような本たくさん買ってくると思ってたのに」
「本当に薄くて高いからね……お金足りないし、他にもVIVちゃんがナンパされたり色々あってね」
冗談のつもりだったのにリアリティのある返答が返って来てリアクションに困ります。
しかもナンパってなんですか、あの子船だったんですか、それは難破だ。
「私がツッコむ前に自分で完結させないでよ。まあ後でゆっくり話すよ」
「はいはい。それで部屋割りはどうしたの?」
「じゃんけんで文ちゃんが一人負けしたからそれで」
うわあ絶対文さんと同室になりたくねえ。
寝顔パパラッチは御免ですよ、昨日と同じくてゐさんとセットで魔理沙にでも押し付けよう。
朝は魔理沙にさんざん文句を言われましたが下着撮られた程度で済んだならいいじゃないですか。
私はキスメとかレティさんの意向でもっと酷いの撮られかねないんですからね。
「そんなこと言わないでくださいよう私のこと嫌いなんですか?」
「ああ、いたんだ。盗撮盗聴しない文さんだったら同じ部屋で一夜を過ごしてもいい程度には好きだよ」
「そんなの射命丸文じゃないですよ」
「どうでもいいけど言い回しがエロいね」
余計な口を挟むキスメにチョップを食らわせながら文さんをシッシッと手で追い払う私。
文さんは全く堪えた様子もなく向こうで親子漫才をやっているアリスさんと神綺さんの方へ行ってしまいました。
いや私が追い払ったんですが。
「私とは同じ部屋で一夜を過ごせる?」
「その言い方やめろ」
おちょくるような口ぶりのキスメに再度チョップ。
日本語ってどうしてこうも難しいんでしょうね。
アレなセンテンスを婉曲的に言い回すせいで他意のない発言がやたら誤解を生むんですが。
溜息を付く私の背中に見知った柔らかい感触が。
「じゃあ私と同じ部屋で『熱い』一夜を過ごしましょうか~?」
「帰れ変態、昨日一緒にシャワー浴びてやったでしょ」
「昨日の続きよ続き……と言いたいところだけど今日は別のことをするからね~」
「買ってきたゲームでもやるの?」
ウインクで肯定を示すレティさんですが、なんで抱きつきながら話す必要があるんですか。
エロゲのやり過ぎじゃないでしょうかね。
そのうち真下から風が吹いてスカートが捲れても知りませんよ。
「あの演出は主人公にしか見えない角度で行われるから大丈夫よ」
「他の誰も気にしないのはそういうことだったのか」
「知らないけどね。そういえばこないだ貸したリト○スまだ返してもらってなかったわね~」
ああ、あれだったら初回プレイでキャプテンチームに勝つまで進めないと決めましたから。
最初は草野球のセオリー通り能力の低いク○リャフカをライトに置いてましたがあまりにも長打が出るのでファーストにコンバートしました。
でも小フライしかとってくれなくてゴロはほとんどエラーか内野安打になるのでだんだん嫌いになりつつあります。
こいつ攻略しなきゃだめかな?
逆に盗塁がほぼ確実に成功して守備範囲も広く練習にも積極的な姉御の株が上がりっぱなしです。
え?そんなゲームじゃない?
野球が本編と聞いていたんですが。
「早くリフレインまで見てよ感動モノなんだから~」
私泣きゲーとか鬱ゲーみたいな感情に訴えるゲームはあんまり好きじゃないんだけどなあ……。
キスメにも愛と勇気とか○わもちとかいう検索してはいけない言葉で有名なフリーゲームを勧められましたが未だにタイトル画面にあいちゃんは帰って来ません。
正直検索してはいけないとか言われて身構えていたらそこまで怖くないですよね。
「そうね~、じゃあこのホラーサイトなんかも大丈夫よね~」
「いやだから恐怖煽るようなのも好きじゃない……というか携帯のエロ漫画の広告のせいで興がそがれるね」
「そう!最近あんまり多くて腹が立ったからこの時間停止シリーズの広告全部保存してやってるの!」
意味わかんねえ。
確かに目に余るとは思いますがね。
迷惑メールの文章といいこの手の広告といい、こうもしょうもない設定を毎度毎度思いつけるのはもはや感嘆すらします。
頭一度かち割って覗いてみたいですね。
……で、何の話してたんだっけ。
「エロゲでしょ?」
「いやその前だけど」
「ヤマメが私と熱い一夜を過ごすって話?」
「戻りすぎ!いやそんな話してないから!ゲームだよ買ってきたゲーム!」
ここまで話がそれると思い出すのも一苦労です。
でもレティさんは絶対わかっててやってますよね。
「そうそう、もちろんヤマメもやるわよね~?」
「いやまだ部屋割り決めてないから参加するかわかんないしどんなゲームかわかんないし」
「部屋ならヤマメとアリスのプレミア写真で何とかするわよ~」
「しれっと恐ろしいこと言うなオイ!」
屈託の無い笑顔で人の写真をばらまくとのたまうレティさん。
何故か胸元から引っ張り出したメモリーを私のノートPCに挿し込むと全く記憶にないシチュエーションの画像が映し出されます。
映しだすのに使用した閲覧ソフトはQui○kTime、拡張子は.psd。
インストールした覚えはないんですがデフォルトで入ってましたかね?
いや、問題はそこじゃない。
「しっかり加工してるじゃないの!」
「よくできたコラージュでしょ?苦労したのよ~?」
呆れてものも言う気になりません。
アリスさんのやつだけコピーして私の画像はオール削除した後レティさんに突き返します。
どうせバックアップは取ってるでしょうし復元ソフトも持っているでしょうがこうでもしないと気が済みません。
しかし本当によくできてますね……アリスさんに黒のゴスロリが完璧にマッチしてます。
フォ○ショで開くと一度服を消してから上のレイヤーに服を……ってレティさんこんな器用でしたっけ?
「これ全部レティさんがやったの?」
「ゴーストライターにお願いしたのよ~」
「それ言って良かったの?」
誰なのかは非常に気になりますが聞かないことにします。
そして差分を見ると何やら恐ろしい物が。
見るだけで気が滅入りそうな心霊写真なんですが何故こんなものを合成した。
「ああ!窓に!窓に!」
「クトゥ○フ神話通じるんだ……。ヤマメって変なことばっかり知ってるわね」
「まあこれに関してはキスメがゲーマーだからね、TRPGとか付き合わされたんで覚えちゃった」
「私あれも好きだけどパラ○イアも好きなのよね~」
「きっとこの旅行に来た人全員好きだと思う、あれは」
偏執症というタイトルで分かる通り性格破綻者には持って来いのゲームですからね。
どうやって他人を陥れるかの探り合いが向いているというのもどうかと思いますが……。
私はそういう近代的なやつが好きなのですがキスメはファンタジーの方が好みのようであんまりやってくれないんですよね。
化学知識が生かせないってのはなんとなくつまらないものがあります。
ファンタジーならポーションでも作ってみればいいんですかね?
「それはいいけど、ヤマメはこっちの部屋でいいのね?」
「ん、いいよ。文さんと同室よりはマシだし」
「じゃあ買収してくるわね~」
「ああやっぱり予備のデータ持ってやがったこいつ!」
先ほど私がPCに差し込んだものとは別物のメモリーをヒラヒラと見せつけるようにしててゐさん達の方へ向かうレティさん。
かくして合成写真で売られた私はレティさん・キスメ・てゐさんと同室になったわけですが……。
「なんでてゐさんは追い払えなかったんだ……」
「向こうからの条件だったのよ、文とセットだけはやめてくれって魔理沙が」
「人のことを露骨に嫌がらないでもらえるかな!文はいいけど!」
「嫌がられたくないなら他人を売るな!」
ちなみに今何故か麻雀をやっていますがてゐさんの八連荘が決まって全員トバされました。
そんなことをしているから友達がいなくなるんだと思います。
カンした牌にカンドラをモロ乗りさせるのもやめたほうがいいですよ、すっげーやる気失せますから。
「だって勝手に乗るんだものしょうがないじゃない」
「スーパースローで再生しても同じこと言える?」
「無理」
やっぱりイカサマじゃねえか。
勝ち目のない戦はやめてレティさん達の買ってきたゲームをしましょう。
「これ結構難しいね」
「そうだね、いい出来かも」
「私としてはもっとサクサククリアできるのが好きなんだけど」
「とか言いつつしっかり進めてるじゃないの」
結局この日はほぼ一晩中ゲームに没頭してしまい翌日が辛くなるのですが、まあそれは別のお話です。
どうもこんにちは黒谷ヤマメです。
昨日に引き続き私たちは今日も舞浜の某アミューズメントパークに来ています。
若干名夏コミ2日目に行った人がいますがね。
明日も……アダルト部門にも行くとか言っていたら私はレティさんを殴っていたかもしれません。
3日で50万近い人の集まるコミケの比ではないものの、ここ東京ディ○ニーシーも相当な人だかりです。
そのゴミのように集まった人人人、全員面識ありませんね、ぼっちです。
何を隠そう、絶賛迷子中ですからね。
アリスさんもユキさんも電話に出てくれないしどうしたものやら。
「それにしても、何なんだろうこの鳥の数……」
私がいるのは餃子ドッグなるB級グルメを売ってる売店の前ですが、周囲にはその湿っぽい皮のおこぼれを頂戴せんと鴎に似た海鳥がたむろしています。
客が餌をあげるもんだからここに居ついてしまったんですね。
カラスとか来ると洒落にならないのでやめた方がいいと思うんだけどなあ……。
いや、その程度ならともかくGとか来たらえらいこっちゃ。
昔はあんなのの何が怖いんだと思ってましたが、その恐ろしさを知れば知るほど嫌いになりましたよ。
私たちの住んでるボロい寮あたりモロに根城ですよね。
耐性がつかないようにホウ酸団子と市販の駆除剤数種類をローテーションしてますが、いっそアシダカグモを飼うことにしようかと検討中です。
蜘蛛の中でも大型なアシダカグモはGの天敵、捕食中であっても他の獲物を見つければ優先してそちらを始末する性質があるため1匹いれば3日で一家のGは全滅するとか。
Gは一家に平均480匹生息しているということを考えるとすさまじい殺戮が繰り広げられてるんでしょうね、それほどの数のGなんて考えたくもありませんが。
毒も持ちませんしどう考えても益虫なアシダカグモですが、残念ながらその外見もあって受け入れられることは少ないようです。
かわいいと思うんだけどなあ、蜘蛛。
先日も駐輪場にゴケグモが巣を作ってたんですがその日の夕方にはいなくなっていました。
あの子1匹我慢すれば蝿なんかに悩まされることも少なくなるというのに。
ゴケグモは漢字で後家蜘蛛と書きますが、後家とは未亡人のことを指します。
交尾の最中に雌が雄を食い殺す習性からその名が付いたとのことです。
ちなみにヤモメ、漢字で寡婦と書きますが、これも未亡人の意。
私の名前と何か関係性があるような気がしなくもありませんね。
もっとも、縁起でもないんであんまり考えないようにしてるんですが。
だいぶ話が逸れましたね、そろそろアリスさんから折り返しの電話が来ていてもおかしくないと思うんですが……。
携帯を取り出すと画面真っ暗。
どうやら電池切れのようです。
そりゃ気づかないわけだわ。
よくよく考えてみたら昨日は携帯を充電した記憶がありません。
コンセント要らないタイプの充電器あったっけかなあ……。
「あー、カバンにいろいろ突っ込みすぎたかなあ……見つかんねえや」
どうでもいいですけど携帯の着信音って外出してると全然聞こえませんよね。
音量MAXでも結構気づかなかったりしますよ私は。
さて、とりあえず迷子の鉄則はむやみに歩き回らないで向こうから探しに来るのを待つことです。
一ヵ所一ヵ所しらみつぶしに捜していけばいつかは見つかりますからね。
下手に動くとすれ違う可能性大です。
餃子ドッグでも食べながらここで適当に時間をつぶしましょう。
どちらかというと中華まん似の水分を含んだ皮に包まれた中華風味の味付けの具がなかなかおいしいですね。
「……ってこれ中華まんじゃね?」
私のツッコミは幸いにも餌をねだる海鳥の叫びにかき消され店員まで届くことはなかったようです。
どうにも腑に落ちないものの足で鳥を追い払いつつ食べ進める私でしたが、その最中一つの放送が。
『……よりお越しの黒谷ヤマメ様―、ご友人がお待ちになってますので』
「私かよ!」
迷子放送で呼び出されてしまいましたよ。
大学生にもなって恥ずかしい。
少しは人の気持ちも考えたらどうなんですかね。
あーいらん恥かいた恥かいた。
仏頂面でアナウンスされた場所にたどり着いた私を出迎えたのはてゐさんでした。
「これはどうも迷子の迷子のヤマメちゃん」
「あんたのアイデアか」
「だって探しに行くのめんどいしー」
何食わぬ顔でのたまう彼女に軽く殺意がわきましたがまあ良しとしましょう。
合流するまで早かったですし。
「他のみんなは?」
「んー多分タワーオブ○ラーかな」
「私を探すの、志願したでしょ」
「わかる?」
シーでトップクラスの知名度を誇る絶叫系アトラクションの名に納得する私。
急上昇急降下を繰り返す椅子型エレベーターは乗るものの心臓を凍てつかせるとか。
私は乗ったことありませんけどね。
乗りたかったなあ……。
「あ、戻ってきた。おーい」
「だから戻ろうって言ったじゃないか!」
「今更戻れるわけないでしょうが!」
また魔理沙とアリスさん喧嘩してる。
今度は何ですか、夫婦喧嘩は犬も食わないって言いますよ。
「私はここはやめてストーム○イダーにでも乗ろうって言ったのにアリスが強引にだな」
「何が強引によ。エレベーターに乗るまではウキウキだったじゃない」
「あんなの途中からでも帰りたくなるにきまってるだろ!」
「動き始めてから泣き言いうんじゃないわよ!」
夫婦げんかについては突っ込んでくれませんでしたね。
それにしても魔理沙ああいうの駄目なんですか……。
何か意外ですよね、普段が空元気百倍なだけに。
「悪かったな空元気で」
「私も見たかったよ魔理沙の痴態」
「痴態言うな」
ナチュラルにスルーされましたけど誰も私がはぐれてたことに言及してくれませんね。
せめて話のタネにでもしようとしてたのにこれはさみしい。
そんな心情を知ってか知らずかユキさんが声をかけてくれました。
「まあ暗くなってからの方が雰囲気あるし後でもう一度、今度はみんなで乗ろうか?」
なんて優しいユキさんでしょう。
きっと魔理沙はもう乗らないでしょうがね。
チキンは放っておいて早く次のアトラクションに行きましょう。
「じゃあ次は魔理沙の希望通りストーム○イダーでいい?」
「じゃあそうしようぜ」
というわけで全員でストーム○イダーに……
「って教授……と助教授!?何しれっと紛れ込んでるんでんの!?」
見知った顔があったような気がして振り向いたらそこには我らが岡崎夢美教授。
ついでに北白河助教授。
こっち来てるって聞いてませんし、第一はぐれる前はいませんでしたよね?
「いや、夏コミは人が多いからこっちにしようって」
「なんで選択肢がその2つなのか私は理解に苦しむね」
「だってアキバは明日行くって神綺さんに聞いたし……」
「だからどうして選択肢がそれなの!?」
明日もついてくる気か。
確かに同じホテルを選択した時点である程度予想してましたが……。
「だって考えてもみなさいよ。普段はそういうとこ行こうとしても魚メ○トやベ○ーランド止まりなのよ?いくら学会帰りという仕事完了してない身でもそれくらいは許されてしかるべきだと思わない?」
「仕事終わらせてから来なさいよ!あとたまには西○台ハイランドのことも思いだしてあげて!」
「アメリカでもメジャーリーグ見てきたけどね」
「もうどうなっても知らないよ」
あと遊園地だったらリ○ワールドとかも忘れないであげてください。
レティさんはあそこにご執心らしいですから。
この人、帰ったら今度はキツネ村にでも出かけるんじゃないでしょうか。
「いいわよね、キツネ。もふもふだし。先月行ってきたけどまた行こうかしら」
「藪蛇だったか……」
先月って普通にテスト期間だった気がするんですが教授はなぜ遊んでたんでしょうか。
比較物理学の講義持ってますよね?
「あんなもん私の似顔絵に配点30点振ってきたわよ」
「来年にはクビになってんじゃないの?」
確かにテストあまり重要視しない教授もいますが似顔絵ってなんだ似顔絵って。
上手かったら高得点なのか。
「いや、私だとわかれば点数あげるわよ?出席してない連中を振るい落とすためと、採点の暇つぶしと」
「……案外考えてるんだ。後者はともかくとして」
確か鬼仏表によると夢美教授は暫定で『仏』にカテゴライズされていたはずですが、少しは認識を改めた方がよさそうです。
あれもあんまり信用すると痛い目に合うんですよね。
魔理沙なんか相手が『仏』だからって遅刻しまくった結果単位落としそうになりましたし。
必修じゃなかったし、夏休み序盤に補講受けて切り抜けたみたいですが、1年の序盤からこんなんで無事に卒業できるんでしょうか。
「補講か、寂しい思いをすることになるかと思いきや再履修組がいっぱいでにぎやかだったぜ」
「それはそれはよろしくないことで」
「あとミスティアがいたな。ライブに行って帰ってきたら補講になってたって嘆いてたぜ」
「誘われたからあいつと1週間くらい前にカラオケに行ってきたけどそんな余裕なかったんじゃ……」
その時は6時間くらいぶっ続けで歌って喉が真っ赤に腫れ上がりましたね。
晩御飯は素麺でいいやとたかをくくっていたら麺つゆすらしみる始末でした。
「……で、なんでこんなに話し込んでるんだっけ」
「そりゃ順番待ちしてるからに決まってるじゃない」
「そういやここ列の真っただ中だね。気付かなかったよ」
背伸びして待ち時間を見ると20分待ちとのこと。
まあ昨日よりはよっぽどマシですね。
昨日は炎天下でレティさん溶けそうになってましたし。
レティさん、奥羽山脈より南には住めないと豪語してますし。
よりにもよってなぜ縦に長い奥羽山脈なのか激しく疑問ですが。
「ところで魔理沙は何かバイトしてるの?」
「スーパーでちょっとな。頼むから来てくれるなよ?」
「寮の近くにもスーパーとコンビニあるしそこじゃなければ多分行かないけど、魔理沙のことだし自分で試食品つまんでそうね」
「失礼な、惣菜を買うときは値引きシールを貼ってからにする程度だぜ。ちゃんとレジも通すし」
「それもそれでどうなのよ……」
そもそも多少値引きした程度でもお惣菜は結構高いので余程のことがなければ私は買いませんね。
たまにコロッケがすごく安くなってたりするのでその時は食卓に並びますが。
「アリスさんは何かやってたっけ?」
「一応学習塾の模試の採点をやってるわよ。大学の授業がない時間にまとめてやるからあまり見せたことはないけれどね」
「キスメとレティさんは家庭教師だよね」
「そうそう。レティちゃんは私と違って事務所的なやつ通してないけどね」
流石に旧帝大、バイトの中身が一味違いますね。
ちなみに私は公○式のバイトを。
困ったことに英語のわからない箇所を質問されても答えられた試しがありません。
数学ならある程度いけますし国語は他にスペシャリストがいるんですが。
「てゐさんは?」
「……あー、ちょっとね。ちょっと」
「言葉を濁すな。どうせ賭け麻雀とかスロットとかで儲けてくるんでしょうが」
「簡単に言うけどね、そんなバイトもしなくていいほど稼げたら苦労しないわよ」
認めるのかい、稼げるのかい。
ああいうのって普通みんな損して胴元が儲かるシステムじゃないんですか。
というか前者アウトですよね、それ。
「ヤマメのクスリだって十分アウトだし、だいいちアレは事実上はヤクザとかのヤバいのを取り締まる法律だから」
「そう言われるときつい……けど華の女子大生が足を踏み入れる領域じゃないよそれは!」
てゐさんの言うヤバいのに目つけられたら本当にタダじゃすみませんよ。
足先に引いた線を頼りに綱渡りするような真似はごめんです。
え、今の話とそれと何の関係があるかって?
だってあの漫画一から読むには巻数多いんですもの、知らないんです。
「まあそれは本業じゃないよ。どっちかって言えばアフィリエイト収入とかがメイン」
「アフィリエイトっていうとブログの広告とか?」
「そうだね。複数のブログを作ってそれのリンクを張ったアンテナサイト作って、そんで一つのブログを炎上商法で知名度上げて芋づる式に」
「それレティさんの前で言ってみ?殴られっから」
ブログのリンクを踏んだらアンテナサイトに飛ばされて、大量の記事の中から目当ての記事を探しだすという行為を激しく嫌うレティさん。
そもそもステマステマうるさくなったのはアフィリエイトブログのせいだと言ってはばかりませんし前段階で殴られるかもしれませんが。
「ま、まあそれはそうとしてだね、さっきまで中に入ってた人が出てきたから始まるみたいだよ」
「逃げたな。私は見ないから別にいいけど」
入れ替わりで建物の中に入場し、正面にスクリーンの設置されたシートに腰を下ろします。
しばらくするとパイロットのデイビスとベースの漫才が始まり、クルーが状況説明を開始します。
偶然にもストームの消滅ミッションに同行した私たちは……ってこの言い方だと殺人事件が起きそうですね。
ともかくフライト開始、しかし何をトチ狂ったか私たちの乗ったデイビス機はベースの司令を無視して急降下や急上昇。
やべえ、映像だけなのに酔いそうかも。
いろんな意味で前途多難な私の視界のすぐ前を巨大飛行船が。
何故か突っ込むデイビス機、急旋回で回避しますが胃液が喉元までせり上がっているような気がします。
胃液の主成分?塩酸ですよ今はそんな事聞かないでください忙しい。
生唾を飲み込む作業に精を出していると今度は落雷、もう一機のストーム○イダーが引き返し不穏な空気が醸しだされます。
しかしやっぱりストームに突っ込むデイビス機。
案の定アクシデントが発生し荒れ狂うストームの中でてんやわんやです。
上から実際に水降ってきますしね。
おかげでちょっと酔いが覚めたような。
機体をふっ飛ばされそうになりながらもなんとか帰還しアトラクション終了。
ハンカチで水滴を拭いながら先の乗客に習って退出します。
あー大変でした、いろんな意味で。
「面白かったわね。これ見るのは2年ぶりかしら」
「そんな最近行ったの?私は中学校の修学旅行以来だよ」
「住んでいた場所が違うものね。私たちは中学の修学旅行は広島だったけどあそこもなかなかよかったわよ」
広島ですか……。
お好み焼きと原爆ドームと若鯉球団くらいしかイメージできないんですがどんなところなんでしょうかね。
新幹線で通過したことこそあれど街の様子を見たことはないですし、そのうち行ってみたいなあ。
旅先でまだ見ぬ知に思いを馳せる私の横では教授が神綺さんや魔理沙と話をしています。
「知ってる?スプ○ッシュマウンテンで指輪を落とした人がそのことを係の人に言ったら閉園時には見つけてくれたんだって。夢の国のちょっといい話」
「へえ~……落ちてるゴミのことを夢のかけらとか言うってのは聞いたことあるけどそういうのは初めて聞いたわね」
「私もなにか落としてみようか?面白そうだし」
「魔理沙、ぬえにチクるからね」
夢美教授のトリビアに魔理沙が反応しますが、人の好意を踏みにじる真似を許すわけには行きません。
冗談だとニヤニヤしてる魔理沙の顔にアリルプロピオン催涙スプレーをお見舞い。
玉ねぎ切ると涙がでるのはこいつのせいです。
先程はまともに語れなかったのでこれが今日はじめての化学薀蓄ですね。
そろそろネタ切れ感が否めません。
「目がぁ!目があああぁぁ!」
「ここでそのネタはやめようか」
「あの後のラ○ュタ崩壊シーンには落ちるム○カがしっかり映ってるんだぜ」
「もう一発いくか」
映画会社のテーマパークで別の映画会社の話をするもんじゃありません。
あっちも都市伝説が多いことで有名ですね。
必要以上に深読みされてしまうのは知名度が高い作品の宿命といいますか……。
「とにかく、時間がもったいないから早く別のアトラクションに行きましょう」
「どうする?マー○イドラグーンシアターにでも行く?」
「リトルマー○イドのやつだよね?記憶に残ってる中では一番最初に見た映画だったかな」
「マイお姉ちゃんはダ○ボだって言ってたような気がするんだけど」
「あれ?そうだっけ?」
私はどうでしたっけ……。
映画じゃなかったら某蜂蜜好きの黄色い熊の30分だか45分だかのアニメなんですが。
どっちにしろ小さい頃はディ○ニーっ子でした。
実はミ○キーマウスの作品一度も見たことないと言うと消されそうなので黙っておきます。
「ところでマー○イドラグーンのマーメイって何だ?」
「いやマー○イド・ラグーンだから」
懐かしやベイ○レードのド○グーン。
右回転主流なのに左回転なのがアブノーマル嗜好の私好みでそれだけは集めてました。
主人公の機体なのにものすごく弱いですよね、あれ。
え、女の子らしくない?
ちゃんとセーラー○ーンの再放送とプ○キュアの第一シリーズは見てましたよ。
レティさん今もプ○キュア見てますが。
戦隊ヒーローとかライダーとかも見てますが。
更に言うとニ○生配信してる深夜アニメも見てます。
休日はいつ寝てるんでしょうかね。
「ねえ、シアターもいいけどさっきもスクリーンに映ったものを見てるだけだったしコースターにでも乗らない?」
「コースターね、どういうのがあったかしら?」
教授の提案に手元の地図を見る神綺さん。
ずいぶん仲良さそうですけどいつの間に意気投合したんでしょうか。
かたや私より年下、かたや年齢不詳ですけど二人とも同じくらいの年齢に見えてしまう不思議。
「あ、レ○ジングスピリッツなんてどうかしら?」
「いいわねえ。じゃあ早速行きましょう」
2人でさっさと決めてしまって現在いるエリアから遺跡エリアに移動しようとする夢美教授と神綺さんですが、私アレ駄目なんですが。
どうにも1回転コースターが苦手で中学時代に行った時も敬遠してたんですが、その際にはキスメたちの荷物をひと手に抱えてベンチに寂しく座っていました。
まあ荷物持ちも1回ならいいんですよ、1回なら。
あいつら1度終わってからナチュラルに再び並びやがりましたからね。
そして文句を言いながらコースターの行方を眺める私の前に新たに知り合いのグループがやって来ましてね、荷物を押し付けて並んでいきました。
2周目が終わってキスメ達が戻ってきますが彼女らが列に並んでいるのを見るやいなや3度私を放置してレ○ジングスピリッツ。
神々の怒りの業火で焼かれてしまえと私の呪詛が通じたのか修学旅行明けにインフルエンザが流行って連中は残らずダウンし学級閉鎖になりました。
トラウマを再燃させて脚が重くなる私ですがまた迷子になるわけにも行かずしぶしぶながら古代遺跡へ向かうのでした。
「……死ぬかと思った。もう絶対1回転コースターには乗らねー」
「大丈夫?薬飲む?」
ふらつく足でベンチに座り込む私をアリスさんが心配してくれています。
燃え上がる炎、立ち込める蒸気。
神々によって360°ねじ曲げられたレールに悪意があるとしか思えない今日この頃、見事にノックアウトされて帰って参りました。
絶対這い寄る混沌のプロデュース入ってますよね、SAN値直葬されかけたんですが。
「私にはタワーオブ○ラーの方がそう思えるんだが……」
「よしもう一度行こうか、私行ってないし」
「勘弁してくれよ……」
さっきから元気のない魔理沙を見ているとちょっと楽になってきましたね。
人の不幸は蜜の味。
水飴ことマルトースって実はあんまり甘味強くないんですよね。
粘性があるから甘さが舌に残るんですかね。
お菓子作る時に砂糖の代わりに使うと上品な味に仕上がりますよ。
「その薀蓄は昨日のハニーハントとかで披露すればよかったんじゃ」
「うん私も今そう思ってる」
余談ですが人工甘味料は砂糖の数百倍の甘さを持つものも珍しくありません。
ノーカロリーなので糖分を控えめにしたい人がよく使ったりしてますが、そのままだとスプーンでは取りすぎてしまいますので市販のダイエットシュガーは多くの場合砂糖とブレンドしてかさを増していますのでご注意を。
人工甘味料の代表格アスパルテーム、よくアステルパームと言い間違える人がいますがアスパラギン酸とフェニルアラニンの化合物なのでアスパルなんです。
アスパラギン酸とフェニルアラニン、どっちも単体で摂取すると脳細胞死ぬような気がしますが主にこの2つがペプチド結合したアステルパームって果たして安全なんでしょうかね。
ググるとこれの危険性を訴えるウェブページがわんさか出てきます。
まあ所詮はネットですので話半分なんですがね。
そのうち自分で調べてみますかね、マウスでも使って。
「ヤマメ、ここであんまりマウスを虐待するような話はしないほうがいいわよ」
「消されても知らないぜ」
ああそうだった危ない危ない。
それで話は戻りますが次は何のアトラクションに行くんでしたっけ。
「タワーオブ○ラーは日が暮れてライトアップされてからのほうが雰囲気出るよね」
「じゃあイン○ィー・ジョーンズのアレにでも行く?」
「そうしましょう」
というわけでいざク○スタルスカルの迷宮へ。
イン○ィーというとどうしても列車の上にいるイメージが拭えないんですがあまり同意してくれる人がいません。
ある一定の速度で進む列車の上で手に持った何かをある初速で投げ捨てて空気抵抗を考慮した上で何秒後かの速さを求めさせれば物理の問題の出来上がり。
「今度の試験問題それにしようかしら」
「ちゃんと自分の担当の問題出しなよ」
「教務に怒られるぜ」
前から思ってたんですけど電車の中やビルの上から物投げる物理の問題って実践したら迷惑この上ないですよね。
そこんとこどうなんですか教授。
「摩擦ないってのはリアルじゃないから私はすべての問題に摩擦係数記して考慮するように作ってるわよ」
「お見それしました」
「で、いつそんな問題を出したんだ?」
「作っただけで出してないけど」
「前言撤回」
駄目だこの人、そもそも比較物理学担当じゃなかったんですかね。
というか比較物理学って何なんですか、教授と助教授以外の口から聞いたことないんですけど。
「さよ○なパラレルって知ってる?あれに出てきた比較歴史学ってのが元ネタなんだけど」
「メタい話するのはやめて!」
「ちなみに比較歴史学は実在する学問よ」
「比較物理学は実在しないとでも言うのか」
ものすごく世界観的にやっちゃいけない話をしているような気がします。
いや、確かにさよ○な好きですよ?
もしかして教授も静電気が限界までたまると何でもアリのパラレルワールドに飛んでったり……しませんね。
「飛んでいけたらいいんだけどねー。静電気体質はマジだけど。こないだマ○チのメンテ中にバチっといって壊しかけたわ」
「なんかもう何でもアリだな教授は!」
「初期化されちゃったからバックアップの……」
「原作と違うけどヘタするとネタバレになるから!もういいから!言いたいことわかったから!」
「感動モノだったわよ」
自分でデータ飛ばしたくせにそれで感動できるとは幸せな人です。
ところで何で私T○ Heartのマ○チエンドの内容知ってるんでしょうね。
レティさんがプレイしてたの見てたからでしょうね。
ピ○チュウの声優さんが出演してるエロゲだと熱く語ってくれたので半分以上聞き流しておきました。
発売当初レティさん5歳、意外と泣きゲーって歴史が深いやら浅いやら。
その張本人、いや張本ロボを実際に作る夢美教授が私にはよくわかりません。
なんか朝に喝を入れてる通算3000本安打達成者のロボットみたいな字面ですが気にしない気にしない。
「お次の方どうぞー」
駄弁ってる間に順番が回って来ましたね。
前後に並んでいた人たちは私達の会話をどんな面持ちで聞いていたのやら。
先ほどの一回転コースターと同じく安全レバーをがっちりと固定したら出発進行。
イン○ィーの助手が『若さの泉』なるものを探す魔宮ツアーを勝手に計画し、我々はそれにウキウキで参加しているという構図だそうで。
若さの泉ねえ……古今東西不老不死の願望というのはつきないものですが、こんな胡散臭い話によくもまあ食いついたもんですね。
最初のうちはスピード抑えめで横揺れも少ない平穏な洞窟探検。
しかし魔宮の守護神ク○スタルスカルが不届きな侵入者に怒りの鉄槌を下さんと罠やら超常現象を連発してきます。
「さー私達はここから無事に脱出できるのでしょかー」
「驚くほど棒読みだな!」
「神の怒りだったらついさっき触れてきだばかりだし」
「そういう醒める発言やめろよ!」
ところでこの乗り物ずっとトロッコだと思ってたんですけどオフロード車だったんですね。
まあトロッコじゃ逃げ切れない気がしないでも無いですが。
後ろからでかい岩が転がって来ましたね、ほら運転手スピードを上げろ。
そのまま余裕のよっちゃんで写真撮影ポイントを通過。
どうでもいいけど今の完全に死語ですね、よっちゃんって誰なんだろう。
「はいお疲れ様でしたー」
「ちょっとどさくさにまぎれて抱きつかないで!」
「いいじゃない減るものじゃないしー♪」
「何が減るというのよ!」
約2名ほどが親子喧嘩していますが命からがら逃げ出してゴール。
こんな危ない目にあったんだからツアーの企画者を訴えてもよさそうなものなんですが、残念ながらそんなイベントは用意されてないみたいですね。
「じゃあ撮影された写真を見に行こうか」
「そういえばさっきはヤマメがグロッキーで見ていなかったわね」
「せっかく忘れてたのに蒸し返さないでよ」
無駄口を叩きながら写真の売店に向かってモニターで確認します。
おお上手いこと営業スマイルが決まってる。
そして本当に神綺さんアリスさんに抱きついてますね。
はたから見ると同じくらいの年齢に見えてしまうので全く違和感が無いのが逆に違和感。
「ははは、魔理沙顔引きつってるよ」
「てゐが悪いんだてゐが」
「聞き捨てなりませんなあ、私が一体何をしたって?」
「お前が脇からくすぐってきたから笑い出さないようにするのに必死だったんだよ!」
向こうは向こうで喧嘩してるし。
確かにてゐさんは完璧なカメラ目線であざといピースをかましてますが魔理沙は必死に脇腹を押さえているように見えます。
見てるだけでむず痒くなってきた、どうしてくれるんですか。
「あれ?今追加された写真、上手く撮影できませんでしたって表示されてるだけで何も出てこないや」
「あー、たまに変なことする人がいるとこうなるんだってね」
「そうだったんですか……ユキさんよく知ってますね」
「実は親戚にその変なことやったアホがいてね……」
サラっていうんだけど、と気まずげに話すユキさん。
なんか聞いちゃいけないこと聞いてしまいましたかね。
「マイのおっぱい揉んでたら写真消されて、ついでにマイに海に沈められそうになってね」
「いや海は洒落にならないですって」
「で、今マイと一緒にコミケ行ってるはず」
どういう仲なんでしょうか、全く想像がつかないんですが。
とりあえずいつまでもここにいるわけにもいかないので写真を購入して外に出ます。
さて次はどこに行こうか……。
「海○2万マイル!」
「シン○バット・ストーリーブック・ヴォヤッジ!」
「お昼ごはん!」
最後になんか変なの聞こえた気がしますね。
確か海○2万マイルって子供の頃原作小説を読んだような。
マイルじゃなくて海里だったような気もしますがね、ノー○ラス号は永遠のロマンです。
「ヤマメ、私おなか空いたんだけど」
「そういやシン○バッドのやつ名前変わってたんだ。リニューアルしたのかな」
「おなか空いたんだけど」
「アリスさんはなんか行きたいアトラクションある?」
「わかってて無視してるわよね!」
だってまだ正午まわったくらいじゃないですか。
この時間のレストランは混みますよ。
それに私さっき餃子ドッグ食べたし。
「お母さんはお昼にしたいと思わない?」
「アリスちゃんが隣に座ってくれるならよろこんでお昼にするわよ」
「……すいません、キャラメルポップコーンください」
キャラメルポップコーンと天秤にかけられた挙句惨敗したことに滝の涙を流す神綺さんとボトル詰めのポップコーンを頬張るアリスさん。
一方ユキさんはそれを苦笑しながら見ていたりして。
「この親子も変わんないな」
「魔理沙はどっか変わった?」
「聞かないでくれ」
口を開いたかと思えば速攻で逃げ出す魔理沙はいったい何がしたかったんでしょうか。
なんか黒歴史でもあるんでしょうか、後で文さんに探らせたら面白そうですね。
「あれ?そういやちゆり助教授は何でそんなに不機嫌そうに」
「そりゃ魔理沙と口調が被って紛らわしいからに決まってるだろ」
「そういう問題だったの」
まあそれはさておいて。
「じゃあ次はどこに行くか、いい加減決めようか」
――すっかり日も暮れイルミネーションが彩る園内。
その中でもひときわ目立つ、緑色に不気味に光る廃マンションの前にいる私達。
「な、なあ……本当にまた行くのかよ」
「この期に及んで何怖がってるのよ魔理沙、往生際が悪いにもほどがあるわよ」
「私は荷物番してるからさ、楽しんでこいよ。な?」
ああもうムードが白けるなあ。
この2日間を締めくくるのは言わずと知れたスリルアトラクション、タワーオブ○ラーです。
実を言うとまだ私は乗ったこと無いんですよね。
だから無理を言って、もうみんな一度乗ってしまったのについてきてもらいました。
迷子になっていなければ魔理沙は二度も怖い目に合わなくて済んだわけですが、それは言いますまい。
程なくして順番が来て、嫌だ嫌だと喚く魔理沙を無視し椅子に座り込みます。
さっき係のお姉さんがこのマンションについて何か説明をしていた気がしないでも無いですが、曰くつきの品だの没落がどうだの幽霊だの、大方そんな話でしょう。
ゆっくりと上昇を開始するエレベーター。
夜ということもあって早くもスリル満点です。
やがてその呪いだかなんだかが発動、制御不能になったエレベーターが挙動不審になり始めます。
そしてエレベーターの動きが止まり、不気味に光る鏡に私たちの姿が映し出されます。
魔理沙の顔が既にひきつっているのはこのあとに起きる恐怖をありありと想像させてくれます。
アリーヴェデルチってどんな意味でしたっけね。
今のところはまだ余裕もありますが……。
「き、来た!」
「うおっ!?」
突如、エレベーターが再稼働しグラグラと揺れながら最上部へと昇って行きます。
加速度がどんどん減少していき0になるその刹那。
光り輝く外の様子が私の目に映り込みます。
そして次の瞬間には……。
「きゃあああああああぁぁぁぁ!」
「ぎゃああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
地上目指して急降下。
自由落下のふわりと浮くような感触が体を包みます。
そして、まるで宙づりになったかのような急停止、浮いた体が抑えつけられるような感触。
再び急降下、急停止。
胃を抉り出されるかのような速度の変化に目が回りそうです。
最後は穏やかな着地でアトラクション終了。
横を向くと魔理沙が泡を吹いて気絶しています。
「……あー怖かった!さ、帰ろうか!」
「ナチュラルに無視するのやめてあげなさいよ」
わかってますって、ちゃんと連れて行かないと。
アリスさんと協力して肩を担ぎ上げ、やたら慌てるスタッフを先刻までの恐怖に固まった笑顔で制すと外に運び出します。
海水にでも漬けておけば気がつくでしょう。
「増えたら困るわね……」
「いや、わかめじゃないんだし」
「あれって嵩が増しただけでいうほど増えてないわよね」
「さすがに分裂はしないでしょうに」
そういうとちょっと意外そうに黙りこむ教授。
もしかして「増える」って「数が増える」だと思ってたんですかね。
大学の教授というのはある一方向においては他の追随を許さないほと詳しいけれども、他方においては色々と常識にかけていると昔誰かが言っていたような。
今ならうなずける気がします、全力で。
「アメリカじゃわかめあまり食べないし」
「そうかもしれないけど……」
「あ、でも豆腐はあるよな。スーパーで普通に売ってるぜ」
「へえ、やっぱり冷奴とかで食べるの?」
「うんにゃ、ローストチキン味とかイチゴ味とか……味がついてる」
「はあ!?」
百歩譲ってローストチキン味はわからなくもないですよ、なんてったってカリフォルニアロールを生み出す国ですし。
豆腐のプレーンな味はメリケン連中には合わないのかもしれませんし自分たちの好みの味付けをすることもあるかもしれません。
しかしイチゴ味というのはどういうことなんですかね。
彼らは豆腐をヨーグルトか何かと勘違いしているのではあるまいな。
「……いや、あいつら『いっぱい肉を食べちまったからディザート(ネイティブ風)にヘルスィー(ネイティブ風)なトゥーフ(ネイティブ風)を食べて中和しなきゃな!HAHAHA!』とか言ってそうかも」
「豆腐はそんなくどい発音じゃないんだが」
「意外といけるわよ?イチゴ味」
「私の言った内容については否定しないのか……」
確かに豆腐は大豆からできているため良質なタンパク質やミネラル、ビタミンを多く含み、癌・動脈硬化・高血圧・心臓病・肥満に有効な機能性食品であることは科学的に立証されています。
その点を考えれば肥満大国ユナイテッドステイツにはうってつけの食材といえ無くもないでしょう。
肉を食べなければな。
いきなりタンパク質で被ってますよ。
動物性と植物性を別カウントにしたって無駄ですからね、どっちにしろ余った分は脂肪行きです。
タンパク質は分解・吸収の負担が大きいので老廃物の分解に関わる肝臓や腎臓に異常をきたす可能性もありますよ。
そうすると消化不良のタンパク質から毒素が出て発ガン率を引き上げる原因にもなるんですから。
デブだけじゃねえ、マッチョもささ身ばっか食ってないで心して聞いておけよ。
それに大豆油というものがあるように、大豆って脂質が豊富なんですからね。
さっぱりした風味が魅力の豆腐にも、件のタンパク質に次ぐ成分量の脂質が含まれています。
あのなめらかな触感、何が出してるかってひとえに脂質のお陰ですよ。
更に言うと大豆というのはあまり消化に良くないのですが、豆腐はその92~98%が消化吸収されるのでアホほど肉食った後に豆腐食べるのはマジでタンパク質の摂り過ぎになるからやめたほうがいいと思います。
「今消化不良の話と消化効率がいいって話同時にしたわよね」
「肉と一緒に豆腐食べる→内臓に負担かかる→肉を消化できなくなる→毒素出る……ってことで一つ」
「ビタミンミネラルが高血圧やらなんやら抑えてくれるから内臓なんとかなるんじゃないの?後で栄養士に聞いてみるわ」
「知識繋ぎあわせて適当に喋ったんで本気にしないでくださいすいませんでした」
薬剤師の資格も欲しいけどちゃんと栄養学も勉強して栄養士の資格も取ろうかな。
臓器の負担云々の件はツッコミたいとこもあるけど如何せん知識が曖昧すぎて駄目ですね。
医学部の講義にも潜入してみましょうかね。
でも医学部キャンパスは遠いんだよなあ……てゐさんに頼んで鈴仙あたりに教科書借りられませんかね。
「医学部の教科書なら鈴仙に借りるまでもなく持ってるけど」
「マジで!?あのなまら高いの買ったの?」
「その副詞が何を意味するのかわかりかねるけど……まあ一応健康には気を遣ってるしね。文系は理系に比べりゃ少しは暇だし空き時間に読もうかなって」
さすがは腐っても超進学校出身、空き時間に医学部の教科書を読むなんて普通の健康マニアにはできっこありません。
「妹紅さんこないだ居酒屋でバイトしながら医学書読んでたけど」
「何?流行ってんの?」
「さあね?まあ貸すなら値段の3割でいいよ、友達料金で」
お金取るんかい、しかも高いし。
やっぱり鈴仙に借りようかと一瞬思ったりもしましたが、それはそれで仲介料を取られるんでしょうし、仕方がないから払ってやりますか。
「まあこないだ2万くらい稼いだから1割でいいや」
「例のロクでもない稼ぎ方?」
「いやスロで大当たりしたの。レティもたまに見かけるよ?○ヴァとかやってプラマイ3Kくらいの収支になったら帰ってく」
レティさんはなんかもういいや、問題はてゐさんのバカヅキですよ。
世の中の社会人に喧嘩売ってますよね。
働かなくても生きていけそうってのは嫉妬を禁じえません。
「うう……三途の川が見えるぜ……」
「落ち着いて魔理沙、素数を数えるんだ」
「1」
「落ち着け」
1を素数と見なすかは今も数学者の間で激論がかわされているって話を聞いたような気がしますが今はそんな事は関係ありません。
軽く向こうに行きかけてる魔理沙にカテコラミン剤でも投与しようかとも思いましたが心臓は普通に動いていたのでやめておきました。
ちなみにドーパミンも内因性カテコラミンでノルアドレナリンの前駆物質です。
血圧の維持と利尿作用がありますがここで漏らされても困りますしね。
ノルアドレナリンは血圧を上昇させますが末梢の循環が悪化するという特徴があり、心収縮不全の場合は不整脈を起こしやすい欠点があるためやや使いにくい昇圧剤……と今ウィキ○ディア見たら書いてありました。
アドレナリンとは別物ですよ、あちらを使うと頻脈になるので心疾患には多分使わないんじゃないでしょうか。
心肺蘇生なんかには有効だと思いますけどね。
「携帯見ながら受け売りの薀蓄語ってないで助けろよ!」
「怒鳴る元気がありゃ大丈夫でしょうよ!」
「怒鳴る元気が出るまで回復しなかったらどうすんだよ!」
そしたらモルヒネでも打って無理やり元気出させていたでしょうね。
私が三途の川のほとりにいたらフィボナッチ数列的に小石を積み上げたことでしょうがきっと鬼は怒ると思います。
「何はともあれ、魔理沙も復活したし帰りましょう」
「そうだね、別行動グループが待ちくたびれてるだろうし」
「文あたり待ちきれなくて迎えに来そうだけどね」
まさか~、と笑っているとてゐさんの携帯に電話が。
これはもしかしてもしかするんじゃないでしょうか。
「もしもーし!はいはい、ああ今出るよ。え?モノレール駅まで迎えに来た?あんた行動読まれてるよ?うん、うん、じゃあ切るよ」
案の定ですね、一瞬別の用件なんじゃないかと期待しましたが全くそんな事はありませんでした。
門を出ると文さんがすぐに私達一行を見つけて駆け寄ってきます。
モノレール駅で待ってたんじゃないのかい。
「遅いですよ!」
「文は早すぎるのよ」
「日本人なら30分前行動は常識ですよ?」
「その時間があったらもっと有意義なことが出来ると思うわ、二度寝とか」
「寝る以外の選択肢はないんですか」
呆れる文さんですが私も呆れたいです。
アリスさんの場合は三度寝とか四度寝なんじゃないですかね。
レティさんや文さんの将来も心配ですがアリスさんも大丈夫なんでしょうか。
自分のことを棚にあげてそんな事を思う私でしたが後で冷静に考えると私が一番まずいんですね、主に薬品の違法所持的な意味で。
さてホテルに戻って一足早く到着していたレティさん達と合流。
キスメが満面の笑みで戦利品を披露してきましたが……
「思ったより少ないんだね。もっと薄くて高くて人に見せられないような本たくさん買ってくると思ってたのに」
「本当に薄くて高いからね……お金足りないし、他にもVIVちゃんがナンパされたり色々あってね」
冗談のつもりだったのにリアリティのある返答が返って来てリアクションに困ります。
しかもナンパってなんですか、あの子船だったんですか、それは難破だ。
「私がツッコむ前に自分で完結させないでよ。まあ後でゆっくり話すよ」
「はいはい。それで部屋割りはどうしたの?」
「じゃんけんで文ちゃんが一人負けしたからそれで」
うわあ絶対文さんと同室になりたくねえ。
寝顔パパラッチは御免ですよ、昨日と同じくてゐさんとセットで魔理沙にでも押し付けよう。
朝は魔理沙にさんざん文句を言われましたが下着撮られた程度で済んだならいいじゃないですか。
私はキスメとかレティさんの意向でもっと酷いの撮られかねないんですからね。
「そんなこと言わないでくださいよう私のこと嫌いなんですか?」
「ああ、いたんだ。盗撮盗聴しない文さんだったら同じ部屋で一夜を過ごしてもいい程度には好きだよ」
「そんなの射命丸文じゃないですよ」
「どうでもいいけど言い回しがエロいね」
余計な口を挟むキスメにチョップを食らわせながら文さんをシッシッと手で追い払う私。
文さんは全く堪えた様子もなく向こうで親子漫才をやっているアリスさんと神綺さんの方へ行ってしまいました。
いや私が追い払ったんですが。
「私とは同じ部屋で一夜を過ごせる?」
「その言い方やめろ」
おちょくるような口ぶりのキスメに再度チョップ。
日本語ってどうしてこうも難しいんでしょうね。
アレなセンテンスを婉曲的に言い回すせいで他意のない発言がやたら誤解を生むんですが。
溜息を付く私の背中に見知った柔らかい感触が。
「じゃあ私と同じ部屋で『熱い』一夜を過ごしましょうか~?」
「帰れ変態、昨日一緒にシャワー浴びてやったでしょ」
「昨日の続きよ続き……と言いたいところだけど今日は別のことをするからね~」
「買ってきたゲームでもやるの?」
ウインクで肯定を示すレティさんですが、なんで抱きつきながら話す必要があるんですか。
エロゲのやり過ぎじゃないでしょうかね。
そのうち真下から風が吹いてスカートが捲れても知りませんよ。
「あの演出は主人公にしか見えない角度で行われるから大丈夫よ」
「他の誰も気にしないのはそういうことだったのか」
「知らないけどね。そういえばこないだ貸したリト○スまだ返してもらってなかったわね~」
ああ、あれだったら初回プレイでキャプテンチームに勝つまで進めないと決めましたから。
最初は草野球のセオリー通り能力の低いク○リャフカをライトに置いてましたがあまりにも長打が出るのでファーストにコンバートしました。
でも小フライしかとってくれなくてゴロはほとんどエラーか内野安打になるのでだんだん嫌いになりつつあります。
こいつ攻略しなきゃだめかな?
逆に盗塁がほぼ確実に成功して守備範囲も広く練習にも積極的な姉御の株が上がりっぱなしです。
え?そんなゲームじゃない?
野球が本編と聞いていたんですが。
「早くリフレインまで見てよ感動モノなんだから~」
私泣きゲーとか鬱ゲーみたいな感情に訴えるゲームはあんまり好きじゃないんだけどなあ……。
キスメにも愛と勇気とか○わもちとかいう検索してはいけない言葉で有名なフリーゲームを勧められましたが未だにタイトル画面にあいちゃんは帰って来ません。
正直検索してはいけないとか言われて身構えていたらそこまで怖くないですよね。
「そうね~、じゃあこのホラーサイトなんかも大丈夫よね~」
「いやだから恐怖煽るようなのも好きじゃない……というか携帯のエロ漫画の広告のせいで興がそがれるね」
「そう!最近あんまり多くて腹が立ったからこの時間停止シリーズの広告全部保存してやってるの!」
意味わかんねえ。
確かに目に余るとは思いますがね。
迷惑メールの文章といいこの手の広告といい、こうもしょうもない設定を毎度毎度思いつけるのはもはや感嘆すらします。
頭一度かち割って覗いてみたいですね。
……で、何の話してたんだっけ。
「エロゲでしょ?」
「いやその前だけど」
「ヤマメが私と熱い一夜を過ごすって話?」
「戻りすぎ!いやそんな話してないから!ゲームだよ買ってきたゲーム!」
ここまで話がそれると思い出すのも一苦労です。
でもレティさんは絶対わかっててやってますよね。
「そうそう、もちろんヤマメもやるわよね~?」
「いやまだ部屋割り決めてないから参加するかわかんないしどんなゲームかわかんないし」
「部屋ならヤマメとアリスのプレミア写真で何とかするわよ~」
「しれっと恐ろしいこと言うなオイ!」
屈託の無い笑顔で人の写真をばらまくとのたまうレティさん。
何故か胸元から引っ張り出したメモリーを私のノートPCに挿し込むと全く記憶にないシチュエーションの画像が映し出されます。
映しだすのに使用した閲覧ソフトはQui○kTime、拡張子は.psd。
インストールした覚えはないんですがデフォルトで入ってましたかね?
いや、問題はそこじゃない。
「しっかり加工してるじゃないの!」
「よくできたコラージュでしょ?苦労したのよ~?」
呆れてものも言う気になりません。
アリスさんのやつだけコピーして私の画像はオール削除した後レティさんに突き返します。
どうせバックアップは取ってるでしょうし復元ソフトも持っているでしょうがこうでもしないと気が済みません。
しかし本当によくできてますね……アリスさんに黒のゴスロリが完璧にマッチしてます。
フォ○ショで開くと一度服を消してから上のレイヤーに服を……ってレティさんこんな器用でしたっけ?
「これ全部レティさんがやったの?」
「ゴーストライターにお願いしたのよ~」
「それ言って良かったの?」
誰なのかは非常に気になりますが聞かないことにします。
そして差分を見ると何やら恐ろしい物が。
見るだけで気が滅入りそうな心霊写真なんですが何故こんなものを合成した。
「ああ!窓に!窓に!」
「クトゥ○フ神話通じるんだ……。ヤマメって変なことばっかり知ってるわね」
「まあこれに関してはキスメがゲーマーだからね、TRPGとか付き合わされたんで覚えちゃった」
「私あれも好きだけどパラ○イアも好きなのよね~」
「きっとこの旅行に来た人全員好きだと思う、あれは」
偏執症というタイトルで分かる通り性格破綻者には持って来いのゲームですからね。
どうやって他人を陥れるかの探り合いが向いているというのもどうかと思いますが……。
私はそういう近代的なやつが好きなのですがキスメはファンタジーの方が好みのようであんまりやってくれないんですよね。
化学知識が生かせないってのはなんとなくつまらないものがあります。
ファンタジーならポーションでも作ってみればいいんですかね?
「それはいいけど、ヤマメはこっちの部屋でいいのね?」
「ん、いいよ。文さんと同室よりはマシだし」
「じゃあ買収してくるわね~」
「ああやっぱり予備のデータ持ってやがったこいつ!」
先ほど私がPCに差し込んだものとは別物のメモリーをヒラヒラと見せつけるようにしててゐさん達の方へ向かうレティさん。
かくして合成写真で売られた私はレティさん・キスメ・てゐさんと同室になったわけですが……。
「なんでてゐさんは追い払えなかったんだ……」
「向こうからの条件だったのよ、文とセットだけはやめてくれって魔理沙が」
「人のことを露骨に嫌がらないでもらえるかな!文はいいけど!」
「嫌がられたくないなら他人を売るな!」
ちなみに今何故か麻雀をやっていますがてゐさんの八連荘が決まって全員トバされました。
そんなことをしているから友達がいなくなるんだと思います。
カンした牌にカンドラをモロ乗りさせるのもやめたほうがいいですよ、すっげーやる気失せますから。
「だって勝手に乗るんだものしょうがないじゃない」
「スーパースローで再生しても同じこと言える?」
「無理」
やっぱりイカサマじゃねえか。
勝ち目のない戦はやめてレティさん達の買ってきたゲームをしましょう。
「これ結構難しいね」
「そうだね、いい出来かも」
「私としてはもっとサクサククリアできるのが好きなんだけど」
「とか言いつつしっかり進めてるじゃないの」
結局この日はほぼ一晩中ゲームに没頭してしまい翌日が辛くなるのですが、まあそれは別のお話です。
無理だけはしないように頑張ってくださいね。
ヤマメたちの掛け合いは面白かったです。
ただ、少しマンネリ気味のようにも感じます。
センターお疲れ様でした。
…今年の数ⅠAに泣かされた受験生より
センターお疲れ様でした
面白かったです
このゆるーいネタなのかギャグなのかわからないテイストが好きですよ。
TRPGか…SLGでの先駆者がいるからへいきへいき
言うてるそばから…w
本人もやってしまうくらい間違えやすいってことですかね
伏字ギャグが圧倒的にかつ驚異的なまでに多いのもヤバイ。むしろヤヴァイ。
実際のところ、豆腐は太るよ。やったことあるから。糖類も脂質も多いからな、美味しさの代償ってやつだ。
タンパク質にしろ合成甘味料にしろ、"発がん性"とかの「早死にするで」系の台詞を聞いたら全部眉唾と思っていい。「科学的根拠に乏しく、議論不可能である」とはよく言われるところだ。ていうか物質が体内でとる動態の全てが解明されてたら、医療はもっと進展しとるっつうの腹立たしいな。
医学部の教科書って、言うほど専門的ではないことを述べておく。だからヤブ医者が増えるんだけどなぁ、よくないことだと思うわ。
次回作もお待ちしております。