暴月抄シリーズ4作目
オリジナル設定有
一章から読まないと分からない箇所有
冥界に佇む広大な建物白玉楼、そこには冥界の管理者西行寺幽々子と護衛兼庭師の魂魄妖夢と幽霊達が住んでいる、霊夢は一秒でも時間が惜しく門を飛び越え妖夢の寝室の壁を打ち破った。
「えぇぇぇーーー?霊夢さん何してくれてんですか!?」
寝巻き姿の妖夢は部屋中に散乱する瓦礫を見て驚愕している、殆ど物音などすることが無い冥界に突如響いた轟音、普段であれば斬れない物等あんまり無い自慢の二刀流で侵入者を斬り捨てるのだが妖夢は今まさに床につく直前であった。何が起きたのか理解できないまま妖夢はただ呆然と寝室に飛び込んできた霊夢を見詰める事しか出来なかった。
「妖夢!幽々子はどこ?」
霊夢はきょとんとしている妖夢の両肩に手を置き静かに早口で尋ねる、凄みのある形相で睨み付けられた為か妖夢は怯えきった涙目で霊夢を見詰めていた。
「はぁ…ごめん、怖がらなくて良いわよ、幽々子はいるの?」
霊夢はつとめて穏やかな口調で再度尋ねた。しかし妖夢には霊夢の笑顔が恐ろしい妖怪の顔に見えてしまい慌てて後ずさりしてしまった。
「あぁもう!いいわ!幽々子にはあんたを連れてく事を伝えたかっただけだし、妖夢?私と来てくれるわね!!」
言葉では頼んでいる様に聞こえるが、霊夢のその表情は地獄の鬼も裸足で逃げ出しそうなほど凶悪な顔をしていた。妖夢は逆らえる筈もなくビクビクしながら楼観剣と白楼剣を腰に取り付けトレードマークの黒いリボンのついたカチューシャを装着した。服を着替えようとしたところで霊夢に腕を掴まれ無理矢理外に連れ出されてしまった。
「ちょっと!私まだ寝巻きのまま……」
「うるさい!時間が無いのよー!急いで魔理沙を止めないと…幻想郷がなくなっちゃうかもしれないんだから!」
妖夢は霊夢の言葉にハッとした。霊夢が来る数時間前の話になるが、幽々子が珍しく真面目な顔で妖夢に留守番をするよう伝え帰りが遅くなると言ってきたのだ。どんな時でもマイペースでのんびりしている我が主のあの表情を妖夢は只なんと無く不思議には思ったが、夕食を食べて風呂に入ったらあれは単なる気のせいだったのではないか?と事故解決してしまっていたのだった。
「あの…幽々子様は迷いの竹林の方角に元凶が居るとか何とか言ってましたが、今思うと戦闘用の着物を着ていました。霊夢さん?何が起きているのか教えてくれますよね?」
霊夢と幽々子の態度でなんとなくおぼろげには予想がついたが恐らく少しのミスも許されない状況に陥るのだろう、そうなった時の為に妖夢は少しでも現在自分が置かれた状況を理解しておきたいと考えたのだ。一見当然のように思える考えだがこの緊迫し状況下に置いて自分の頭の整理をしようという考えを先に持ってくるのは難しいものである、特に最近平和ボケしていた妖夢にとってはなおさら難しい選択であったと言えるのだ。幸いなのは普段と違う幽々子の態度が多少であっても印象に残っていたことである、ここで霊夢に状況を聞かずにいたらこのあとの戦いで凡ミスを犯していたであろう事は容易に想像できる事だった。一つだけ妖夢のミスを上げるとするならばそれは……
「つべこべ言わず着いて来る!!あんたは特にやること無いんだから着いて来るだけで良いのよ」
「はぁそうですか」
ここで霊夢に食い下がらなかった事位である、もしくは今更言うことではないが幽々子に詳しく聞いておけば良かったのだがアフターフェスティバルである。
「迷いの竹林か……幽々子は魔理沙を、ダークソウルを止めに言ったのね…妖夢を連れて行かないのは幽々子はダークソウルの止め方を知らないと言う事なのかしら?…まぁここで考えていたって何も始まらないか、妖夢全速前進!急ぐわよ!」
「もう!わかりましたよう!!」
二人は全力で迷いの竹林を目指し飛び立った。
迷いの竹林…一度入ったらよほどの幸運でない限り抜け出す事はできない深い霧に覆われた竹林、その竹林の一角の竹がなぎ倒され、そこだけが遮る物の何も無い草原と化していた。妖怪の山の頂上に存在する守矢神社を強襲した魔理沙だったが神社で昼寝をしていた八坂神奈子にここまで吹き飛ばされてきたのだ。そして数時間におよぶ激闘の末この一帯に生えていた竹がなぎ倒され現在にいたっている。
「やっぱり神様は強いZE…こいつの身体を手に入れれば恐らくは…」
「何をぶつぶつ言っている?山の神に喧嘩を売る愚か者が、今更命声しても神社の修繕と私への慰謝料それとお前に破損させられた早苗のお気に入りの洋服(セーラー服)代きっちり払って貰うぞ?」
神奈子の背後に巨大な十本の柱が表れる、長野の御柱フェスティバルに使用する大きな柱だ。御柱は真っ直ぐ魔理沙の方に傾きいつでも発射できる態勢を整えた。神である神奈子の本気の攻
撃をもらえばいくらオーラによって強化された魔理沙の身体であろうと粉々に粉砕してしまうだろう、しかし魔理沙には秘策があった。もといダークソウルには秘策が存在する、それは今まで受動的しか憑依できなかったダークソウルが先程生贄に捧げた射名丸文のおかげで発芽したのだ。発芽したダークソウルは宿主が死んだ際に近くにいる生物に憑依する事が出来るのだ。ダークソウルについての知識がない神奈子がその事を知るはずも無く、この場で魔理沙を殺すことは極めて危険な行為であった。
「神奈子、私は次の一撃にかけるZE!この一撃が終わった時、あるのは凛々しく立つ私と無様に死に絶えたお前の死体だ!!」
「は?本気なのかい?確かにお前からは死臭が漂っているが、そうかでは仕方あるまい潔く死ぬが良い!」
二人の得意技が今まさに放たれようとしたその時、二人の間に割って入る人物があった。
「マスタースパァァァーーーク!!」
魔理沙はその人物を気にする素振りも見せず躊躇無く極太レーザーを放った。眩い光が一直線に割り込んだ人物へと襲い掛かる。
「…その力、今の貴方の手には余る大きくなり過ぎた力ね~?」
彼女は手に持っている扇を広げるとレーザーが触れる直前に扇を傾けレーザーを軽くいなす。光が夜空の向こうへと消えると闇夜に竹林が再び姿をあらわす。
「あんたは、西行寺幽々子久しぶりだねー?春雪異変以来だったかな?」
「あら?宿主の記憶も共有してるみたいね~?」
「あなた、確か冥界の管理者よね?こんな所にいるなんて珍しいねぇ?」
幽々子は扇で口元を隠すしぐさをして魔理沙の方を向きにこやかに微笑む、しかし魔理沙向けられたものは微笑みだけではなく普段の魔理沙であれば腰を抜かしていてもおかしくない程の殺気であった。その後姿を見ている神奈子もまた幽々子から只ならぬ凄みを感じ取り表情を強張らせた。
「神奈子さん…でしたかしら?あの魔法使いは太古の魔植物に憑依されています。もし殺したりすれば次は貴方が憑依されていたでしょう…」
「そうかい?その植物は神にも取り付くのかい?」
神奈子は少し馬鹿にしたように言った。戦神である誇りも自負もある神奈子に対して幽々子の台詞はあまりにも挑戦的であった。たかが植物一つにビビッて手を出さないのは神の名が廃り、やがて外の世界のように信仰が薄れてしまう事を神奈子は危険視しているのだ。そんな神奈子に対して幽々子はいつもと変わらない口調で応えるのであった。
「ええ、憑依されちゃうわね~、神であろうと妖怪や人間であろうが関係はないの、たとえ幽霊であってもね?」
幽々子はのんびりした様子で話すが魔理沙からけっして視線を離さなかった。魔理沙はというと幽々子の隙をうかがっているが隙がないのか攻勢に出れずにいる、ダークソウルも自らが封印されていた蔵の管理人に対しては何をされるか分からない恐怖があるのだろう、やはりダークソウルの力を借りたとは言えベースが魔理沙では技術も経験も並程度なのか幻想郷でも最強クラスの者には到底かなわぬ存在であった。
「へぇーそうなのかい?だったらあなたが来たところでその植物をどうにか出来るわけじゃないのだろう?まぁ私だってこのお穣ちゃんを殺すつもりは無かったけどね?」
「そうでしょうね?あなたはこの娘を殺さないわよね?それはわかっているけど、この娘…そろそろ生命力が吸い尽くされて死んでしまいそうなのよね~、そうなる前に私が止めに来たのよこの植物はね…発芽してしまう前なら強靭な精神力を持つあなたの様な神様や私の所の庭師なら体内で浄化も出来るのだけれど…発芽してしまった今となっては宿主の精神を根こそぎ奪ってしまう程強力な植物となってしまっているわ」
幽々子がのほほんと語った。それを聞いた両者は正反対の反応を見せた。神奈子は少し困惑したような信じられないと言った表情をし魔理沙は怪しくにやりとほくそ笑んだ。
「そこまで知っていてあなたは何をしに来たの?このままじゃどちらにせよ誰かが憑依されるんじゃ……」
幽々子は神奈子の言葉には反応せず袖の中をごそごそとあさると、どこにどう入っていたのか分からない程大きい正方形の鉄の塊を取り出した。よほど重かったのか幽々子は塊の上に腰掛けて一息ついた。突如表れた謎の物体に魔理沙は一瞬驚いて気を散らしてしまった。やはりそういうところが幽々子神奈子クラスとの決定的な差となってしまっているのだろう、二人はその隙を見逃しはしなかった。
「私がダークソウルを抜き取ります。神奈子さんは動きを止めて下さい!」
「そうくるだろうと思って準備しておいたよ!」
神奈子はしめ縄を操り魔理沙を御柱に張り付けにした。魔理沙は抵抗する間も無く拘束されたが魔理沙は特に抵抗しようとは考えていなかった。先程幽々子が言った様にダークソウルは宿主が死んで後近くのものに憑依できるからだ。放って置いても死ぬ身体だが生命エネルギーが無限に存在する山ノ神や生命エネルギーを必要としない冥王に憑依した方が今後の殺戮には相当有利になるのは火を見るより明らかなのだから此処で無駄に抵抗して逃げられでもしたら元も子もないと考えたのだろう、眼前に幽々子が近付いても特に反応は無かった。
「宿主が生きている内に外部からの干渉で引き離す事が出来れば、私ならあなたを封じる位の間なら憑依されないで済むはずよ……」
「霊体故に相手の身体からその…ダークソウルを取り除けるってわけね?」
幽々子は無言で頷くと魔理沙の右胸の辺りに腕を埋めるとスッと腕が魔理沙の身体に侵入していく、そして体内を弄る様に腕を回す。
「うぐ……や、やめろ……」
魔理沙が小さく声を漏らすが幽々子は弄る腕を止めない、。普段のボケッとした表情は無く真剣な顔つきで慎重に探っていく。
「あったわ…そこの箱、開けて下さい……」
幽々子の合図よりも早く幽々子の取り出した箱を開けてすたんばっていた。幽々子は少しずつゆっくりとダークソウルを引き剥がしていく魔理沙の内臓を傷付け無いように細心の注意を払っているために時間がかかっていしまうのは仕方の無いことであった。
「あ、神奈子?幽々子もいるのね?」
「幽々子様?一体何があったのですか?私には何がなんだか……」
緊迫した雰囲気を打ち破ったのは霊夢と妖夢だった。二人の登場に幽々子の手が止まる少しの集中の途切れが魔理沙の身体を傷付けてしまいそれによって生命力が著しく低下している魔理沙が死んでしまう可能性があり、そうなると幽々子自体が憑依されてしまい殺戮を繰り返す悪霊と化してしまう可能性が高いからだ。
「今、ダークソウルを取り出しています。話はそれからにして下さい」
「幽々子様……」
「取り出す?そんなことが出来るの?だったら…だったら!」
「霊夢さん!ここは幽々子様の言うとおりにしましょう?お願いします……」
霊夢は怒鳴りたかった。なぜそんなことが出来るなら、もっと早くやらなかったのか?此処までの犠牲を出してようやく解決策を見出したというのに…霊夢は怒鳴りたかったが妖夢の今にも泣きそうな表情を見ると少し冷静になることが出来た。とにかく一刻も早くこの諸悪の根源ダークソウルを消滅させなければならない、霊夢は言葉を押し殺してその場に胡坐をかいた。
「あなたの言いたい事は分かります……私にも責任はあります。事がすんだらあなたの好きにして下さって構いません…」
「別に幽々子を如何にかしたい訳じゃないわ、いいから続けなさい……」
霊夢の言葉に幽々子はニコリと微笑んですぐに真剣な表情になり引き剥がしの作業に取り掛かった。妖夢もホッとした様子で何故自分が呼ばれたのかと言う小さな疑問も気にしない事にした。そして、作業開始から十分程たった時であった。
「これで…おしまいね……」
幽々子はそっと腕を引き抜くと幽々子の腕に大きな目玉の付いた球根のような物が根っ子のようなものを刺し込んでいた。その場の誰もが驚いた表情をしたが幽々子は特に慌てることも無く箱の中に腕を入れて……肩の辺りから腕を引きちぎった。霊体なので血液は出なかったが幽々子は苦悶の表情を浮かべながら小さく笑い箱を閉じようと箱に手をかけようとした。
「困りますね?そんな事をされては…」
幽々子の背後から怒気が含まれた声が聞こえた。それと同時に幽々子の身体は後方へ吹き飛ばされた。
「幽々子様ぁ!」
妖夢が慌てて幽々子の元へ走る幽々子はふわりと空中で受け身を取って元居た場所を睨み付けた。そこには八雲紫の式である八雲藍が立っていた。藍は幽々子の引き千切られた腕からダークソウルを引き抜くと躊躇することなく飲み込んでしまった。霊夢は無我夢中で藍に飛び掛っていた。恐らく藍が来るであろう事は霊夢も予想していたのだろう藍がダークソウルを飲み込んだ直後には藍の眼前まで距離を詰めて神力の篭った拳を繰り出していた。
「残念だが、一歩遅かったようだな?」
藍は霊夢の拳を紙一重で避けてカウンター気味にオーラを纏った拳を繰り出した。魔理沙でさえあそこまで強化するオーラを幻想郷でも一・二を争う強力な妖怪である藍の拳をまともに食らえば霊夢の身体など消し飛んでしまうだろう霊夢が死を覚悟した時であった。
「お前が死んだら……誰が私のお茶を淹れてくれんだ?」
ドンっと霊夢の身体が真横から来た衝撃によって藍の拳の軌道から外れた。だが変わりに割り込んできた魔理沙の横っ腹に風穴が一つぽっかりと開いた。
「魔理沙!?あんた!何で!!」
「……何で?…馬鹿…今更私だけ生き残ろうとか…思わない…ZE…アリスもパチュリーも文も椛…皆…意味も…分からず…死んでいったんだ…皆…あの世では…許してくれるか……」
「う…うっ…うわぁぁあぁぁぁあぁーーー!!」
魔理沙はそれっきり話す事も動く事も無かった。霊夢は地面に額を叩きつけ溢れる涙を必死に止めようとした。今は泣いている時ではないのだ。最悪の敵が目の前にいるのに涙など見せていては魔理沙貰った命を無駄にしてしまう、だが霊夢の涙は止まることは無かった。長年連れ添って楽しみも悲しみも分かち合った一番の親友の呆気無いまでの死を到底受け止める事等できはしなかったのだ。
「その涙……取っておきなさい?あの娘の仇が取れた時にね?」
更に追撃しようとした藍を巨大な御柱が受け止めるがまるでバウムクーヘンの様に削ぎ落とされてしまうこの時の藍の戦闘力は主人である紫を大きく上回っており神奈子一人では到底勝ち目の無い程であった。
「皆で行かないと勝てそうも無いわね?」
「幽々子様?大丈夫ですか?」
幽々子と妖夢が藍を挟む様に取り囲む霊夢も藍の背後に回り込み攻撃の体勢になった。四人に囲まれた藍であったが一切の構えも取らず余裕の笑みを浮かべている藍の計算ではこの戦力差であっても己の絶対的有利は覆らないとでたようだった。
「この人数相手に余裕だこと?」
「あぁ、君たちは知らないかもしれないが、紅魔館の連中を全滅させた犯人はあの紅美鈴だ。発芽していないダークソウルで元の数百倍の戦闘力を得るんだ。今の私なら月の都ですら一時間で消滅させられるだろう、何ならやってみるかい?」
藍は得意げに話すが恐らくやってのけてしまうだろう、神奈子は今自分たちが置かれている状況を見て一見囲んではいるが誰も藍に対して攻撃が出来ないでいる、恐らく内心では腰が引けてしまっているのだろうと分析した。
「やれやれ、神も舐められた物だねぇ?皆手を出すんじゃないよ?こんな性悪狐私一人で十分だからね?」
「神奈子……」
「そんな、無理ですよ神奈子様ぁ…わ、私もやれますよ……これくらい」
「わ、私だって博霊の巫女なのよ?こんな妖怪相手に臆する訳には行かない……」
神奈子が捨石になろうとしている事はその場の誰もが理解出来た。しかし霊夢も妖夢もこの場を去るつもりなど毛頭無かった。
「もういいですか?取り合えず手始めに幻想郷の生物を皆殺しにしたいんで、そろそろ行きますよ?」
「何よそれ?目的は月の都じゃなかったの?あんたは紫の為にダークソウルを調べたって紫が……」
霊夢は紫との会話を思い出す。藍は確かに紫の為にダークソウルを誰も犠牲にせずに成長させる方法を探し出した。そして紫の妖気によってダークソウルをほぼ覚醒させた。そしてダークソウルを持ち出して紅魔館へ……
「私はあの時…月面戦争の時に紫様…あのBBAには失望したのだよ、豊姫にはいきなり土下座、あまつさえお酒一つ盗んで大勝利?何を馬鹿なことをとね?本当はBBAの妖気を吸い尽くして貰う手筈だったのだが、まさか自分で引き剥がせるとは思わなかったがすぐに寝たから盗むのは簡単だったよ」
「紫……」
霊夢は悟った。紫は藍の計画を知っていたんだと知った上で藍のしたいようにさせてあげたのだと、月面戦争でわがままに付き合わせたお返しにと……
「流石の紫もあんたの本当の目的までは予測できなかったみたいだけど……」
霊夢が覚悟を決めて袖口から陰陽玉を取り出そうとした時、幽々子は霊夢に手をかざし霊夢の動きを制した。霊夢はいきなりの事に困惑し手を止めてしまった。
「妖夢……冥界の事頼みましたよ?」
「へ?幽々子様?」
幽々子は妖夢にお気に入りの頭巾を手渡し藍目掛けて突っ込んだ。幽々子の眼には何か決意のようなものが見て取れた。
「ん?隻腕の幽霊一匹で何が出来るというのだ?」
藍は幽々子にしがみつかれても微動だにせず苦笑しているもはや幽々子の決死の突撃すらも藍にはダメージを与える事は出来ないようだ。
「狐?あなたあの世に興味無いかしら?普通は死んでから閻魔の裁定が下ってからしかいけないんだけど、私ならあの世への入り口を開く事が出来るのよ……」
「幽々子様!!」
妖夢は幽々子の言葉を聞いて急に取り乱した。顔面蒼白で額から脂汗を垂らし剣を持つ手がカタカタと音を立てて震えている、妖夢の表情を見た藍が幽々子を振り解こうとしたが藍の背後には既に死臭を撒き散らす底知れない漆黒の闇が迫っていた。
「ば、ばかな……いくら冥王と言えど一度あの世に入ったら……」
「そうね~もう出てはこれないでしょうね?まぁ私は一度死んでるからね、今も死んでるけど随分と長い事居座ったしもういいかしらね?心残りは妖夢のお団子がもう食べれない事かしら?あとは紫にさよならが言えなかったことねぇ~、それじゃあ行きましょうか?あの世 『待ちなさいよ!そんなおいしい役目私にゆずりなさいよ?』
突如幽々子のすぐ横に切れ目ができてスキマの世界の入り口が開き中から八雲紫が表れた。と同時に紫は幽々子を突き飛ばし藍の身体を力強く抱きしめた。幽々子は元々弱っていたせいで紫に押されただけで簡単に吹き飛んでしまった。
「紫!?どうして?」
呆気にとられて尻餅をつく幽々子を尻目に紫は今までに見た事無いような眩い笑顔を振りまき藍をつれて先の見えない闇の中に消えていった。やがて入り口が消えて放心状態の四人がお互いの顔を見詰め合いながら立ち尽くした。
「紫……あんたの結界は私がキチンと管理するよ……」
「貴方には助けられてばかりね……貴方の愛した幻想郷、守ってみせるから安心して眠って頂戴……」
「……私ははじめて神である事を恥じる……妖怪一匹救えず何が神か…」
「あれ?あれって……」
それぞれが感傷に浸る中妖夢は空から落ちてくる物体に気が付いた。禍々しいオーラを発するその物体は紛れも無く先程まで藍に取り付いていた球根であった。少し違うところは球根の先端真っ赤な花が咲いているところであった。
「幽々子様…あれ…さっきの球根ですよね?」
「え?まさかそんな事って……」
幽々子はそれを見て絶望した。霊夢はがくっと跪き全てを諦めた。妖夢は剣を構えている神奈子は御柱を全段発射用意していた。
「ダークソウルの最終形態開花…憑依と離脱が自由に出来るようになり自らの意思で動き回るこうなったら封印も出来ないわ狐が最後に無抵抗だったのは既に生命エネルギーを吸い尽くされていたからなんだわ……やはり私が…」
「無理よ!あんたの力じゃあいつをあの世まで連れて行けっこないわ…もうおしまいよ皆死ぬしかないんだわ……あはははははははははは」
霊夢は気がふれたかのように笑い出した。触れれば取り付かれ封印も出来ないもはやこの四人の万策は尽き果てたのだ。
「何を騒いでいる?」
「あ、あなたは上白沢慧音さん?此処は危険です逃げて下さい!」
妖夢が叫んだが、時既に遅かった。ダークソウルは既に慧音の背後に回り込み後頭部に張り付いていた。
「な、何なんだこれは!くっ……」
球根の根が慧音の後頭部に侵入を開始した。四人はその時死を覚悟した。運悪く今日は満月慧音はきもけーねと化していたのだ。藍には及ばないと言ってもその藍のエネルギーを吸ったダークソウルである実力は先程の藍と互角である事は容易に想像ができた。
「心に闇の無い者などいない…幽霊でも神様でもましてや元人間の妖怪なんてまさに心の闇のバーゲンセールだわ……」
「わ、私の心を覗くつもりか!や、やめろー!」
全ての希望が絶たれもはや疲れ果てた四人はその場に座り込み世界の終わりを待つだけとなった。例え奇跡が起きたとしてもこの状況を覆す事など不可能なのだから……
「大勢の親友を失った。もう私から奪う物なんて何も無いわよ?さっさと殺しなさいよ!お茶請けだって…無いんだから」
「わ、私は……」
慧音の声が次第に小さくなっていく、そして跪く……そして終わりの時がやってきた。
「私は…うぐぅ…」
この場にいる全員がこの悪夢を早く終わらせたい眼が覚めたら何時もの日常であってほしいと願った。
「ふははは、すこし弱いが良い身体だな?ふふふ、まずは手始めだ、慧音よ貴様は何を望む?望むのを殺してやろう?魔理沙は霊夢を少しだけ疎ましく思っていた。だから簡単に憑依出来た。藍は始めは月の都だったかな?まぁ私が無理矢理目的を捻じ曲げてやったがな?」
しかし現実は残酷に終わりを告げるものだ。四人はもはや立つ事さえ出来なかった。それだけ四人の心を絶望が支配しているのだ。
「私は……」
その時だった。急に慧音の身体が言葉では形容しにくいピュアな光というか白く柔らかい光に包まれた。四人が慧音の異変に気付き慧音の顔を見詰めると、慧音は少し照れたように頬を紅潮させて純粋無垢な笑みを浮かべていた。
「私は……」
「私は……」
「私は妹紅がだぁーい好きだ///」
慧音がそう言うとダークソウルは急に苦しみだした。まさに奇跡が起きた瞬間であった。
「ば、ばかなぁぁー!?そんな事が…この私が…浄化されているだと!な、なんという事だ……」
慧音の心には闇が存在していなかったのだ。あるのはもこタンの事ばかり闇などが入る一平方cmの隙間すら無い程に……そしてダークソウルは慧音の頭から落ち砂のように粉々になってしまった。
「って、何いきなり恥かしい事を言っているんだ私…それになんだか身体の内側から物凄い量のパワーが溢れ出しそうなんだがこれは一体……」
「慧音さん?それは恐らくダークソウルの強大なオーラだけが貴方の体に残ったのでしょう、そして貴方の歴史を操る能力……まるで誰かが初めから計画していたみたいな展開ね?」
幽々子はそう言って空を見上げた。空には真ん円のお月様が五人を照らしていた。霊夢は慧音に事情を話しその有余る力で歴史を変えてくれる様に頼んだ。本来の慧音では歴史を変える事は出来ないが今の慧音であれば可能だという、何処の歴史を変えるのか五人で話し合った結果……
紅魔館の門に寄り掛かって寝息をたてる門番の美鈴、もはや風物詩となったこの風景は紅魔館が平和であることを物語る
「あの、紅美鈴さん?」
突然の訪問者にも美鈴は目を覚ますことは無かった。美鈴が目覚めるのは紅魔館の住人が来た時もしくは警戒しなければならない危険人物があらわれた時だ。
「これ渡しておきますね?必ずあなたの欲望を満たしてくれるはずです…」
どうやらこの人物は警戒するに値しない人物だったようだ。訪問者は美鈴の手に何かを握らせてその場を去っていった。美鈴は特に起きることもなく夕暮れを迎えた。
紅魔館の食卓レミリア・パチュリー・咲夜・そして美鈴はデーブルを囲んで夕食を食べていた。
「美鈴?あなたまた居眠りしていたでしょ?」
紅魔館の食卓で毎度おなじみとなった咲夜の美鈴へのお説教、これもいつも見慣れた風景だった。
「あ、あっはは、すいません…いい陽気だったもんでつい…あ!でもやばい奴は通しませんでしたよー?」
「何言っているの…そんなの…んー?そんなの当たり前でしょ?全く……貴方がやばいと思ったら私を呼びなさいよ?貴方と一緒ならどんな奴が侵入して来ても撃退出来るんだから」
「咲夜さん……私まだまだ弱いけど頑張って門番やりますよ!」
美鈴咲夜に握手を求めた。その時自分が手に何かを握っている事に気が付いた。
「ん?何だろこれ?」
美鈴はその物体を握り潰した。何処からか禍々しい悲鳴の様な音が聞こえた気がしたがどうにも気のせいだった様だ。美鈴は改めて咲夜に握手を求めた。
「私、咲夜さんがだぁーい好きです///」
END
オリジナル設定有
一章から読まないと分からない箇所有
冥界に佇む広大な建物白玉楼、そこには冥界の管理者西行寺幽々子と護衛兼庭師の魂魄妖夢と幽霊達が住んでいる、霊夢は一秒でも時間が惜しく門を飛び越え妖夢の寝室の壁を打ち破った。
「えぇぇぇーーー?霊夢さん何してくれてんですか!?」
寝巻き姿の妖夢は部屋中に散乱する瓦礫を見て驚愕している、殆ど物音などすることが無い冥界に突如響いた轟音、普段であれば斬れない物等あんまり無い自慢の二刀流で侵入者を斬り捨てるのだが妖夢は今まさに床につく直前であった。何が起きたのか理解できないまま妖夢はただ呆然と寝室に飛び込んできた霊夢を見詰める事しか出来なかった。
「妖夢!幽々子はどこ?」
霊夢はきょとんとしている妖夢の両肩に手を置き静かに早口で尋ねる、凄みのある形相で睨み付けられた為か妖夢は怯えきった涙目で霊夢を見詰めていた。
「はぁ…ごめん、怖がらなくて良いわよ、幽々子はいるの?」
霊夢はつとめて穏やかな口調で再度尋ねた。しかし妖夢には霊夢の笑顔が恐ろしい妖怪の顔に見えてしまい慌てて後ずさりしてしまった。
「あぁもう!いいわ!幽々子にはあんたを連れてく事を伝えたかっただけだし、妖夢?私と来てくれるわね!!」
言葉では頼んでいる様に聞こえるが、霊夢のその表情は地獄の鬼も裸足で逃げ出しそうなほど凶悪な顔をしていた。妖夢は逆らえる筈もなくビクビクしながら楼観剣と白楼剣を腰に取り付けトレードマークの黒いリボンのついたカチューシャを装着した。服を着替えようとしたところで霊夢に腕を掴まれ無理矢理外に連れ出されてしまった。
「ちょっと!私まだ寝巻きのまま……」
「うるさい!時間が無いのよー!急いで魔理沙を止めないと…幻想郷がなくなっちゃうかもしれないんだから!」
妖夢は霊夢の言葉にハッとした。霊夢が来る数時間前の話になるが、幽々子が珍しく真面目な顔で妖夢に留守番をするよう伝え帰りが遅くなると言ってきたのだ。どんな時でもマイペースでのんびりしている我が主のあの表情を妖夢は只なんと無く不思議には思ったが、夕食を食べて風呂に入ったらあれは単なる気のせいだったのではないか?と事故解決してしまっていたのだった。
「あの…幽々子様は迷いの竹林の方角に元凶が居るとか何とか言ってましたが、今思うと戦闘用の着物を着ていました。霊夢さん?何が起きているのか教えてくれますよね?」
霊夢と幽々子の態度でなんとなくおぼろげには予想がついたが恐らく少しのミスも許されない状況に陥るのだろう、そうなった時の為に妖夢は少しでも現在自分が置かれた状況を理解しておきたいと考えたのだ。一見当然のように思える考えだがこの緊迫し状況下に置いて自分の頭の整理をしようという考えを先に持ってくるのは難しいものである、特に最近平和ボケしていた妖夢にとってはなおさら難しい選択であったと言えるのだ。幸いなのは普段と違う幽々子の態度が多少であっても印象に残っていたことである、ここで霊夢に状況を聞かずにいたらこのあとの戦いで凡ミスを犯していたであろう事は容易に想像できる事だった。一つだけ妖夢のミスを上げるとするならばそれは……
「つべこべ言わず着いて来る!!あんたは特にやること無いんだから着いて来るだけで良いのよ」
「はぁそうですか」
ここで霊夢に食い下がらなかった事位である、もしくは今更言うことではないが幽々子に詳しく聞いておけば良かったのだがアフターフェスティバルである。
「迷いの竹林か……幽々子は魔理沙を、ダークソウルを止めに言ったのね…妖夢を連れて行かないのは幽々子はダークソウルの止め方を知らないと言う事なのかしら?…まぁここで考えていたって何も始まらないか、妖夢全速前進!急ぐわよ!」
「もう!わかりましたよう!!」
二人は全力で迷いの竹林を目指し飛び立った。
迷いの竹林…一度入ったらよほどの幸運でない限り抜け出す事はできない深い霧に覆われた竹林、その竹林の一角の竹がなぎ倒され、そこだけが遮る物の何も無い草原と化していた。妖怪の山の頂上に存在する守矢神社を強襲した魔理沙だったが神社で昼寝をしていた八坂神奈子にここまで吹き飛ばされてきたのだ。そして数時間におよぶ激闘の末この一帯に生えていた竹がなぎ倒され現在にいたっている。
「やっぱり神様は強いZE…こいつの身体を手に入れれば恐らくは…」
「何をぶつぶつ言っている?山の神に喧嘩を売る愚か者が、今更命声しても神社の修繕と私への慰謝料それとお前に破損させられた早苗のお気に入りの洋服(セーラー服)代きっちり払って貰うぞ?」
神奈子の背後に巨大な十本の柱が表れる、長野の御柱フェスティバルに使用する大きな柱だ。御柱は真っ直ぐ魔理沙の方に傾きいつでも発射できる態勢を整えた。神である神奈子の本気の攻
撃をもらえばいくらオーラによって強化された魔理沙の身体であろうと粉々に粉砕してしまうだろう、しかし魔理沙には秘策があった。もといダークソウルには秘策が存在する、それは今まで受動的しか憑依できなかったダークソウルが先程生贄に捧げた射名丸文のおかげで発芽したのだ。発芽したダークソウルは宿主が死んだ際に近くにいる生物に憑依する事が出来るのだ。ダークソウルについての知識がない神奈子がその事を知るはずも無く、この場で魔理沙を殺すことは極めて危険な行為であった。
「神奈子、私は次の一撃にかけるZE!この一撃が終わった時、あるのは凛々しく立つ私と無様に死に絶えたお前の死体だ!!」
「は?本気なのかい?確かにお前からは死臭が漂っているが、そうかでは仕方あるまい潔く死ぬが良い!」
二人の得意技が今まさに放たれようとしたその時、二人の間に割って入る人物があった。
「マスタースパァァァーーーク!!」
魔理沙はその人物を気にする素振りも見せず躊躇無く極太レーザーを放った。眩い光が一直線に割り込んだ人物へと襲い掛かる。
「…その力、今の貴方の手には余る大きくなり過ぎた力ね~?」
彼女は手に持っている扇を広げるとレーザーが触れる直前に扇を傾けレーザーを軽くいなす。光が夜空の向こうへと消えると闇夜に竹林が再び姿をあらわす。
「あんたは、西行寺幽々子久しぶりだねー?春雪異変以来だったかな?」
「あら?宿主の記憶も共有してるみたいね~?」
「あなた、確か冥界の管理者よね?こんな所にいるなんて珍しいねぇ?」
幽々子は扇で口元を隠すしぐさをして魔理沙の方を向きにこやかに微笑む、しかし魔理沙向けられたものは微笑みだけではなく普段の魔理沙であれば腰を抜かしていてもおかしくない程の殺気であった。その後姿を見ている神奈子もまた幽々子から只ならぬ凄みを感じ取り表情を強張らせた。
「神奈子さん…でしたかしら?あの魔法使いは太古の魔植物に憑依されています。もし殺したりすれば次は貴方が憑依されていたでしょう…」
「そうかい?その植物は神にも取り付くのかい?」
神奈子は少し馬鹿にしたように言った。戦神である誇りも自負もある神奈子に対して幽々子の台詞はあまりにも挑戦的であった。たかが植物一つにビビッて手を出さないのは神の名が廃り、やがて外の世界のように信仰が薄れてしまう事を神奈子は危険視しているのだ。そんな神奈子に対して幽々子はいつもと変わらない口調で応えるのであった。
「ええ、憑依されちゃうわね~、神であろうと妖怪や人間であろうが関係はないの、たとえ幽霊であってもね?」
幽々子はのんびりした様子で話すが魔理沙からけっして視線を離さなかった。魔理沙はというと幽々子の隙をうかがっているが隙がないのか攻勢に出れずにいる、ダークソウルも自らが封印されていた蔵の管理人に対しては何をされるか分からない恐怖があるのだろう、やはりダークソウルの力を借りたとは言えベースが魔理沙では技術も経験も並程度なのか幻想郷でも最強クラスの者には到底かなわぬ存在であった。
「へぇーそうなのかい?だったらあなたが来たところでその植物をどうにか出来るわけじゃないのだろう?まぁ私だってこのお穣ちゃんを殺すつもりは無かったけどね?」
「そうでしょうね?あなたはこの娘を殺さないわよね?それはわかっているけど、この娘…そろそろ生命力が吸い尽くされて死んでしまいそうなのよね~、そうなる前に私が止めに来たのよこの植物はね…発芽してしまう前なら強靭な精神力を持つあなたの様な神様や私の所の庭師なら体内で浄化も出来るのだけれど…発芽してしまった今となっては宿主の精神を根こそぎ奪ってしまう程強力な植物となってしまっているわ」
幽々子がのほほんと語った。それを聞いた両者は正反対の反応を見せた。神奈子は少し困惑したような信じられないと言った表情をし魔理沙は怪しくにやりとほくそ笑んだ。
「そこまで知っていてあなたは何をしに来たの?このままじゃどちらにせよ誰かが憑依されるんじゃ……」
幽々子は神奈子の言葉には反応せず袖の中をごそごそとあさると、どこにどう入っていたのか分からない程大きい正方形の鉄の塊を取り出した。よほど重かったのか幽々子は塊の上に腰掛けて一息ついた。突如表れた謎の物体に魔理沙は一瞬驚いて気を散らしてしまった。やはりそういうところが幽々子神奈子クラスとの決定的な差となってしまっているのだろう、二人はその隙を見逃しはしなかった。
「私がダークソウルを抜き取ります。神奈子さんは動きを止めて下さい!」
「そうくるだろうと思って準備しておいたよ!」
神奈子はしめ縄を操り魔理沙を御柱に張り付けにした。魔理沙は抵抗する間も無く拘束されたが魔理沙は特に抵抗しようとは考えていなかった。先程幽々子が言った様にダークソウルは宿主が死んで後近くのものに憑依できるからだ。放って置いても死ぬ身体だが生命エネルギーが無限に存在する山ノ神や生命エネルギーを必要としない冥王に憑依した方が今後の殺戮には相当有利になるのは火を見るより明らかなのだから此処で無駄に抵抗して逃げられでもしたら元も子もないと考えたのだろう、眼前に幽々子が近付いても特に反応は無かった。
「宿主が生きている内に外部からの干渉で引き離す事が出来れば、私ならあなたを封じる位の間なら憑依されないで済むはずよ……」
「霊体故に相手の身体からその…ダークソウルを取り除けるってわけね?」
幽々子は無言で頷くと魔理沙の右胸の辺りに腕を埋めるとスッと腕が魔理沙の身体に侵入していく、そして体内を弄る様に腕を回す。
「うぐ……や、やめろ……」
魔理沙が小さく声を漏らすが幽々子は弄る腕を止めない、。普段のボケッとした表情は無く真剣な顔つきで慎重に探っていく。
「あったわ…そこの箱、開けて下さい……」
幽々子の合図よりも早く幽々子の取り出した箱を開けてすたんばっていた。幽々子は少しずつゆっくりとダークソウルを引き剥がしていく魔理沙の内臓を傷付け無いように細心の注意を払っているために時間がかかっていしまうのは仕方の無いことであった。
「あ、神奈子?幽々子もいるのね?」
「幽々子様?一体何があったのですか?私には何がなんだか……」
緊迫した雰囲気を打ち破ったのは霊夢と妖夢だった。二人の登場に幽々子の手が止まる少しの集中の途切れが魔理沙の身体を傷付けてしまいそれによって生命力が著しく低下している魔理沙が死んでしまう可能性があり、そうなると幽々子自体が憑依されてしまい殺戮を繰り返す悪霊と化してしまう可能性が高いからだ。
「今、ダークソウルを取り出しています。話はそれからにして下さい」
「幽々子様……」
「取り出す?そんなことが出来るの?だったら…だったら!」
「霊夢さん!ここは幽々子様の言うとおりにしましょう?お願いします……」
霊夢は怒鳴りたかった。なぜそんなことが出来るなら、もっと早くやらなかったのか?此処までの犠牲を出してようやく解決策を見出したというのに…霊夢は怒鳴りたかったが妖夢の今にも泣きそうな表情を見ると少し冷静になることが出来た。とにかく一刻も早くこの諸悪の根源ダークソウルを消滅させなければならない、霊夢は言葉を押し殺してその場に胡坐をかいた。
「あなたの言いたい事は分かります……私にも責任はあります。事がすんだらあなたの好きにして下さって構いません…」
「別に幽々子を如何にかしたい訳じゃないわ、いいから続けなさい……」
霊夢の言葉に幽々子はニコリと微笑んですぐに真剣な表情になり引き剥がしの作業に取り掛かった。妖夢もホッとした様子で何故自分が呼ばれたのかと言う小さな疑問も気にしない事にした。そして、作業開始から十分程たった時であった。
「これで…おしまいね……」
幽々子はそっと腕を引き抜くと幽々子の腕に大きな目玉の付いた球根のような物が根っ子のようなものを刺し込んでいた。その場の誰もが驚いた表情をしたが幽々子は特に慌てることも無く箱の中に腕を入れて……肩の辺りから腕を引きちぎった。霊体なので血液は出なかったが幽々子は苦悶の表情を浮かべながら小さく笑い箱を閉じようと箱に手をかけようとした。
「困りますね?そんな事をされては…」
幽々子の背後から怒気が含まれた声が聞こえた。それと同時に幽々子の身体は後方へ吹き飛ばされた。
「幽々子様ぁ!」
妖夢が慌てて幽々子の元へ走る幽々子はふわりと空中で受け身を取って元居た場所を睨み付けた。そこには八雲紫の式である八雲藍が立っていた。藍は幽々子の引き千切られた腕からダークソウルを引き抜くと躊躇することなく飲み込んでしまった。霊夢は無我夢中で藍に飛び掛っていた。恐らく藍が来るであろう事は霊夢も予想していたのだろう藍がダークソウルを飲み込んだ直後には藍の眼前まで距離を詰めて神力の篭った拳を繰り出していた。
「残念だが、一歩遅かったようだな?」
藍は霊夢の拳を紙一重で避けてカウンター気味にオーラを纏った拳を繰り出した。魔理沙でさえあそこまで強化するオーラを幻想郷でも一・二を争う強力な妖怪である藍の拳をまともに食らえば霊夢の身体など消し飛んでしまうだろう霊夢が死を覚悟した時であった。
「お前が死んだら……誰が私のお茶を淹れてくれんだ?」
ドンっと霊夢の身体が真横から来た衝撃によって藍の拳の軌道から外れた。だが変わりに割り込んできた魔理沙の横っ腹に風穴が一つぽっかりと開いた。
「魔理沙!?あんた!何で!!」
「……何で?…馬鹿…今更私だけ生き残ろうとか…思わない…ZE…アリスもパチュリーも文も椛…皆…意味も…分からず…死んでいったんだ…皆…あの世では…許してくれるか……」
「う…うっ…うわぁぁあぁぁぁあぁーーー!!」
魔理沙はそれっきり話す事も動く事も無かった。霊夢は地面に額を叩きつけ溢れる涙を必死に止めようとした。今は泣いている時ではないのだ。最悪の敵が目の前にいるのに涙など見せていては魔理沙貰った命を無駄にしてしまう、だが霊夢の涙は止まることは無かった。長年連れ添って楽しみも悲しみも分かち合った一番の親友の呆気無いまでの死を到底受け止める事等できはしなかったのだ。
「その涙……取っておきなさい?あの娘の仇が取れた時にね?」
更に追撃しようとした藍を巨大な御柱が受け止めるがまるでバウムクーヘンの様に削ぎ落とされてしまうこの時の藍の戦闘力は主人である紫を大きく上回っており神奈子一人では到底勝ち目の無い程であった。
「皆で行かないと勝てそうも無いわね?」
「幽々子様?大丈夫ですか?」
幽々子と妖夢が藍を挟む様に取り囲む霊夢も藍の背後に回り込み攻撃の体勢になった。四人に囲まれた藍であったが一切の構えも取らず余裕の笑みを浮かべている藍の計算ではこの戦力差であっても己の絶対的有利は覆らないとでたようだった。
「この人数相手に余裕だこと?」
「あぁ、君たちは知らないかもしれないが、紅魔館の連中を全滅させた犯人はあの紅美鈴だ。発芽していないダークソウルで元の数百倍の戦闘力を得るんだ。今の私なら月の都ですら一時間で消滅させられるだろう、何ならやってみるかい?」
藍は得意げに話すが恐らくやってのけてしまうだろう、神奈子は今自分たちが置かれている状況を見て一見囲んではいるが誰も藍に対して攻撃が出来ないでいる、恐らく内心では腰が引けてしまっているのだろうと分析した。
「やれやれ、神も舐められた物だねぇ?皆手を出すんじゃないよ?こんな性悪狐私一人で十分だからね?」
「神奈子……」
「そんな、無理ですよ神奈子様ぁ…わ、私もやれますよ……これくらい」
「わ、私だって博霊の巫女なのよ?こんな妖怪相手に臆する訳には行かない……」
神奈子が捨石になろうとしている事はその場の誰もが理解出来た。しかし霊夢も妖夢もこの場を去るつもりなど毛頭無かった。
「もういいですか?取り合えず手始めに幻想郷の生物を皆殺しにしたいんで、そろそろ行きますよ?」
「何よそれ?目的は月の都じゃなかったの?あんたは紫の為にダークソウルを調べたって紫が……」
霊夢は紫との会話を思い出す。藍は確かに紫の為にダークソウルを誰も犠牲にせずに成長させる方法を探し出した。そして紫の妖気によってダークソウルをほぼ覚醒させた。そしてダークソウルを持ち出して紅魔館へ……
「私はあの時…月面戦争の時に紫様…あのBBAには失望したのだよ、豊姫にはいきなり土下座、あまつさえお酒一つ盗んで大勝利?何を馬鹿なことをとね?本当はBBAの妖気を吸い尽くして貰う手筈だったのだが、まさか自分で引き剥がせるとは思わなかったがすぐに寝たから盗むのは簡単だったよ」
「紫……」
霊夢は悟った。紫は藍の計画を知っていたんだと知った上で藍のしたいようにさせてあげたのだと、月面戦争でわがままに付き合わせたお返しにと……
「流石の紫もあんたの本当の目的までは予測できなかったみたいだけど……」
霊夢が覚悟を決めて袖口から陰陽玉を取り出そうとした時、幽々子は霊夢に手をかざし霊夢の動きを制した。霊夢はいきなりの事に困惑し手を止めてしまった。
「妖夢……冥界の事頼みましたよ?」
「へ?幽々子様?」
幽々子は妖夢にお気に入りの頭巾を手渡し藍目掛けて突っ込んだ。幽々子の眼には何か決意のようなものが見て取れた。
「ん?隻腕の幽霊一匹で何が出来るというのだ?」
藍は幽々子にしがみつかれても微動だにせず苦笑しているもはや幽々子の決死の突撃すらも藍にはダメージを与える事は出来ないようだ。
「狐?あなたあの世に興味無いかしら?普通は死んでから閻魔の裁定が下ってからしかいけないんだけど、私ならあの世への入り口を開く事が出来るのよ……」
「幽々子様!!」
妖夢は幽々子の言葉を聞いて急に取り乱した。顔面蒼白で額から脂汗を垂らし剣を持つ手がカタカタと音を立てて震えている、妖夢の表情を見た藍が幽々子を振り解こうとしたが藍の背後には既に死臭を撒き散らす底知れない漆黒の闇が迫っていた。
「ば、ばかな……いくら冥王と言えど一度あの世に入ったら……」
「そうね~もう出てはこれないでしょうね?まぁ私は一度死んでるからね、今も死んでるけど随分と長い事居座ったしもういいかしらね?心残りは妖夢のお団子がもう食べれない事かしら?あとは紫にさよならが言えなかったことねぇ~、それじゃあ行きましょうか?あの世 『待ちなさいよ!そんなおいしい役目私にゆずりなさいよ?』
突如幽々子のすぐ横に切れ目ができてスキマの世界の入り口が開き中から八雲紫が表れた。と同時に紫は幽々子を突き飛ばし藍の身体を力強く抱きしめた。幽々子は元々弱っていたせいで紫に押されただけで簡単に吹き飛んでしまった。
「紫!?どうして?」
呆気にとられて尻餅をつく幽々子を尻目に紫は今までに見た事無いような眩い笑顔を振りまき藍をつれて先の見えない闇の中に消えていった。やがて入り口が消えて放心状態の四人がお互いの顔を見詰め合いながら立ち尽くした。
「紫……あんたの結界は私がキチンと管理するよ……」
「貴方には助けられてばかりね……貴方の愛した幻想郷、守ってみせるから安心して眠って頂戴……」
「……私ははじめて神である事を恥じる……妖怪一匹救えず何が神か…」
「あれ?あれって……」
それぞれが感傷に浸る中妖夢は空から落ちてくる物体に気が付いた。禍々しいオーラを発するその物体は紛れも無く先程まで藍に取り付いていた球根であった。少し違うところは球根の先端真っ赤な花が咲いているところであった。
「幽々子様…あれ…さっきの球根ですよね?」
「え?まさかそんな事って……」
幽々子はそれを見て絶望した。霊夢はがくっと跪き全てを諦めた。妖夢は剣を構えている神奈子は御柱を全段発射用意していた。
「ダークソウルの最終形態開花…憑依と離脱が自由に出来るようになり自らの意思で動き回るこうなったら封印も出来ないわ狐が最後に無抵抗だったのは既に生命エネルギーを吸い尽くされていたからなんだわ……やはり私が…」
「無理よ!あんたの力じゃあいつをあの世まで連れて行けっこないわ…もうおしまいよ皆死ぬしかないんだわ……あはははははははははは」
霊夢は気がふれたかのように笑い出した。触れれば取り付かれ封印も出来ないもはやこの四人の万策は尽き果てたのだ。
「何を騒いでいる?」
「あ、あなたは上白沢慧音さん?此処は危険です逃げて下さい!」
妖夢が叫んだが、時既に遅かった。ダークソウルは既に慧音の背後に回り込み後頭部に張り付いていた。
「な、何なんだこれは!くっ……」
球根の根が慧音の後頭部に侵入を開始した。四人はその時死を覚悟した。運悪く今日は満月慧音はきもけーねと化していたのだ。藍には及ばないと言ってもその藍のエネルギーを吸ったダークソウルである実力は先程の藍と互角である事は容易に想像ができた。
「心に闇の無い者などいない…幽霊でも神様でもましてや元人間の妖怪なんてまさに心の闇のバーゲンセールだわ……」
「わ、私の心を覗くつもりか!や、やめろー!」
全ての希望が絶たれもはや疲れ果てた四人はその場に座り込み世界の終わりを待つだけとなった。例え奇跡が起きたとしてもこの状況を覆す事など不可能なのだから……
「大勢の親友を失った。もう私から奪う物なんて何も無いわよ?さっさと殺しなさいよ!お茶請けだって…無いんだから」
「わ、私は……」
慧音の声が次第に小さくなっていく、そして跪く……そして終わりの時がやってきた。
「私は…うぐぅ…」
この場にいる全員がこの悪夢を早く終わらせたい眼が覚めたら何時もの日常であってほしいと願った。
「ふははは、すこし弱いが良い身体だな?ふふふ、まずは手始めだ、慧音よ貴様は何を望む?望むのを殺してやろう?魔理沙は霊夢を少しだけ疎ましく思っていた。だから簡単に憑依出来た。藍は始めは月の都だったかな?まぁ私が無理矢理目的を捻じ曲げてやったがな?」
しかし現実は残酷に終わりを告げるものだ。四人はもはや立つ事さえ出来なかった。それだけ四人の心を絶望が支配しているのだ。
「私は……」
その時だった。急に慧音の身体が言葉では形容しにくいピュアな光というか白く柔らかい光に包まれた。四人が慧音の異変に気付き慧音の顔を見詰めると、慧音は少し照れたように頬を紅潮させて純粋無垢な笑みを浮かべていた。
「私は……」
「私は……」
「私は妹紅がだぁーい好きだ///」
慧音がそう言うとダークソウルは急に苦しみだした。まさに奇跡が起きた瞬間であった。
「ば、ばかなぁぁー!?そんな事が…この私が…浄化されているだと!な、なんという事だ……」
慧音の心には闇が存在していなかったのだ。あるのはもこタンの事ばかり闇などが入る一平方cmの隙間すら無い程に……そしてダークソウルは慧音の頭から落ち砂のように粉々になってしまった。
「って、何いきなり恥かしい事を言っているんだ私…それになんだか身体の内側から物凄い量のパワーが溢れ出しそうなんだがこれは一体……」
「慧音さん?それは恐らくダークソウルの強大なオーラだけが貴方の体に残ったのでしょう、そして貴方の歴史を操る能力……まるで誰かが初めから計画していたみたいな展開ね?」
幽々子はそう言って空を見上げた。空には真ん円のお月様が五人を照らしていた。霊夢は慧音に事情を話しその有余る力で歴史を変えてくれる様に頼んだ。本来の慧音では歴史を変える事は出来ないが今の慧音であれば可能だという、何処の歴史を変えるのか五人で話し合った結果……
紅魔館の門に寄り掛かって寝息をたてる門番の美鈴、もはや風物詩となったこの風景は紅魔館が平和であることを物語る
「あの、紅美鈴さん?」
突然の訪問者にも美鈴は目を覚ますことは無かった。美鈴が目覚めるのは紅魔館の住人が来た時もしくは警戒しなければならない危険人物があらわれた時だ。
「これ渡しておきますね?必ずあなたの欲望を満たしてくれるはずです…」
どうやらこの人物は警戒するに値しない人物だったようだ。訪問者は美鈴の手に何かを握らせてその場を去っていった。美鈴は特に起きることもなく夕暮れを迎えた。
紅魔館の食卓レミリア・パチュリー・咲夜・そして美鈴はデーブルを囲んで夕食を食べていた。
「美鈴?あなたまた居眠りしていたでしょ?」
紅魔館の食卓で毎度おなじみとなった咲夜の美鈴へのお説教、これもいつも見慣れた風景だった。
「あ、あっはは、すいません…いい陽気だったもんでつい…あ!でもやばい奴は通しませんでしたよー?」
「何言っているの…そんなの…んー?そんなの当たり前でしょ?全く……貴方がやばいと思ったら私を呼びなさいよ?貴方と一緒ならどんな奴が侵入して来ても撃退出来るんだから」
「咲夜さん……私まだまだ弱いけど頑張って門番やりますよ!」
美鈴咲夜に握手を求めた。その時自分が手に何かを握っている事に気が付いた。
「ん?何だろこれ?」
美鈴はその物体を握り潰した。何処からか禍々しい悲鳴の様な音が聞こえた気がしたがどうにも気のせいだった様だ。美鈴は改めて咲夜に握手を求めた。
「私、咲夜さんがだぁーい好きです///」
END
まず、読んでて笑えちゃったよ。体を張って地雷の除去作業をする様は、もはや一種のタレント性を感じさせた。
指摘するのも面倒なレベルで、ありとあらゆる点で酷いんだけど、でも、その頑張りは認めたいと思う。
美しい文章とは何か、という作家の究極命題を念頭に置いて生活するとよい。
僅かでも能力があるならば、自然に知見は募っていくことだろう。
以下、アカンところワースト5。
・"BBA"とか"もこタン"とかの二次表現を多用しすぎ。SSにおける禁忌の一つなので、避けたほうがよい。
・シリアスなのかギャグなのか分からない。場の雰囲気が終始カオスで、メリハリがない。
・誤字脱字が半端じゃなく多い。語彙の選択の悪さも手伝って、可読性がとても低くなっている。
・登場人物が多い割に文章量が少ない。キャラが伝わってこないから、感情に訴える部分が無い。
・残酷表現や死の表現があまりにも稚拙。ゴア表現を研究したこともない奴に、安易に運用されると非常に不愉快だ。
気になったのはやはり『…』がやたら多いことでしょうか、ちゃんと文字で緊迫感を演出できるよう色々な文章を読んでみるべきかと。
しかしこのまま終わったのでは双方ともに不愉快な感情を残したままだ
小説の基本は「自分の想像を見知らぬ他人にどれだけ噛み砕いて説明できるか」であり
ただ幼稚な衝動を整理せずに押し付けるようでは読み手に馬糞を食わせるようなもの
とはいえ今回のように適当に終わらせても相手にはそれなりにわかってしまう
もし本気でSSを書きたいと思うならばネットSS以前に、本屋に行って一般の小説の書き方を
中学レベルの小説や書き方の本から求めるべき、次回は20KB以下の短編で投稿してくれ
偉そうな物言いになるがアドバイスさせてくれ
・とりあえず本を買うなりググるなりして書き方を勉強した方がよい
書き方や表現に視点を置いて文章を読むだけでもだいぶ学べると思われる
・作品はとりあえず最後まで書いた後しばらく寝かせ、後で見直しておかしい所を直すべき
勢いに任せて書いた作品が黒歴史化するのはよくある事。また短い作品を連投せずに済む
・長編のシリーズ物は初心者には向いてない
今回のように『打ち切りたいけど続けなければならない』状況に陥りやすい。
あとオリ設定も初心者の場合は「痛い設定」と化す可能性が高い。
・死にネタも文章力がないと白けやすい。
上でも言ってるけど、自分の好きなキャラがあっさり殺されちゃうと不愉快になる
シリアスも文章力が無いうちは避けた方が無難
・場の雰囲気にはメリハリをつける
上でも言われてるが、場の雰囲気がカオスになるのは出来るだけ避ける
言わせたい台詞や載せたいネタがあるのは解るが場の雰囲気を壊しては本末転倒
・キャラを増やしすぎない
キャラ名タグの多さから見ても解るように、暴月抄はキャラの人数が文章量の割に多い
『キャラ一人に割かれる文章量が少ない→キャラの人物像が伝わりにくい→感情移入して 読めない→読む側が白ける』となるので避けるべき
以上、片栗粉さんを「今回初めて小説を書いた人」と決めつけて書かせて貰った
長文失礼
次回作で参考意見を取り入れることができるか楽しみにしてます。
だからなに、と言う話ではあります。作品がつまらないのは事実ですから。ただ、自分の作品の『何が』つまらないのかが理解できたのであれば、それほど凄まじい進歩はありません。嫌みでもなんでもありません。事実です。経験知が増えれば、この意味を理解してもらえると思います。
大丈夫。最初は誰だって鼻血が出る程クソつまらない作品を作るもんです。でも少なくとも作者さんは『五万』の中からは抜け出せた訳ですから。『五万』の中にいる人よりはかなり、有望です。
続けることは、どうでしょう。やっぱり難しいかも知れませんし、案外楽かもしれません。読み手としては、いつかスンゲー作品を書き上げてくれる作者になるまで精進して頂けたら、もちろん幸いですがね。
文章力は壊滅的に酷いが、これは努力と精進でなんとかなるんじゃないかな。
つまらなくはなかった。だからこそ、推敲は丁寧に。
それでも逃げ出さない作者様に敬意を表します。
以下、指摘です。長い上に上から目線になってしまいますがご容赦ください。
・ギャグではなくシリアス?路線で書いていくのでしたら、表現もそれに沿ったものにするべき。
別の方も書いていますが愛称とも呼べる二次呼称をこういった作品で持ち出すのは厳禁でしょう(そうでなくても好まれることは少ないです)。
・推敲には時間をかけましょう。
書ききったら終わりではなく、文章を見直し、誤字脱字その他不自然な接続を修正し、指摘を受けて今後に活かすまでがこういった匿名サイトにおける投稿だと思います。
誤字脱字はもちろんですが、個人的に気になるのは情景描写の文末に~だった。が余りにも多く用いられている点です。
作品のテンポ等に大きく関係します。
それと句点(。のこと)が必要以上に多いので、一文に出来るとこはまとめた方がよろしいかと。
・あまり擬音語などは使わない。
たとえば(あまりいい例ではなくて恐縮ですが)爆発を表現するにあたって「ドカーン」と書くのと「凄まじい轟音が響き渡った」と書くのとでは全く印象が違いますよね?
擬音語は使うなとはいいませんが、使うと場がチープになる代表格です。他にも色々な原因があります。
どうしても文章が繋げられない時の最終手段レベルと認識するくらいが丁度いいでしょう。
読者に感情移入させられるかどうか等は、実際のところ作品において本当に難しい部分です。
ですのでそこはおいおい力をつけていくことにするとして、まずは目先の読みやすさ等から改善してみてはいかがでしょうか?
最後に、自分の作品を嫌いにならないでください。
失敗作だったかもしれませんが、多くの人がこれを読んで、評価してくださっています。
自分の成長の証として、是非胸にしまってあげてください。
連載、お疲れ様でした。
あと句読点使ってくれ、読みにくい。