そもそもの大前提として、赤い青い白い黒いというものは何かを形容する色なのである。ではこの概念に近い色を変えたとき、変えられた物は一体どうなるのだろうか。
「試しに、青く塗り潰してみようかしら」
フランドール・スカーレットは羽避けの付いた咲夜お手製リュックサックに、絵の具、クレヨン、スプレー缶、染料、顔料、インクやカラー砂を詰め込んで飛び立った。
まず手始めに、特に意味も無く赤いつぼを青くしてみた。
「これでよし」
壁の影に隠れて、青くなったつぼを見張る。
そこに一人の妖精メイドがやってきて立ち止まった。
「あれ? こんな綺麗なつぼ、紅魔館にありましたっけ。なんだか、この館にしては爽やかな一品ですねぇ」
フランドールはガッツポーズをした。妖精メイドが喜んでくれたのだ。
次はどこを青くしてみようか。フランドールは考えた。そこで、妖精メイドの言っていたことを思い出す。爽やかになる。赤いものを青くすると、爽やかになるのだ。
フランドールは思い立ったときには既に飛んでいた。音よりも速いスピードで、エントランスホールを突っ切り、玄関を勢いよく開け、通り過ぎざまに日傘置きから傘を取り、開いて門の詰め所へ突進する。
詰め所の日陰に入ったころには速度に耐え切れなかった日傘はぼろぼろになっていた。しかし、フランドールには問題無かった。速すぎたスピードには太陽光が肌を焼く速度が付いて来れなかったらしい。計画通り。
フランドールは本来自分が成さなければならない計画を思い出す。
「美鈴、詰め所に居ないな。門かな」
フランドールの目的は、紅魔館で門番をしている美鈴の髪の毛を青くすること。
炎のように赤い美鈴は、その色を裏切らないほど熱く、暖かく、そして力強いのだ。
腕を組んで、門に仁王立ちしている美鈴を発見したフランドールは、いち、にの、さんで地面を蹴った。
素早い動作で、気づかれないように美鈴の髪の毛を青く染める。
美鈴に向き直ったフランドールは、自分の目を疑った。いつの間にか、美鈴は仁王立ちをやめて頭から足先までストンと落としたように直立していたのだ。
門番隊のメイドが美鈴に向かって走っていった。仕事で分からないことがあったのだろう、美鈴に何かを聞いている。
いつもなら美鈴も走って現場へ駆けつけ、妖精メイド達に優しく微笑みかけながら教える美鈴だったが、今日は口頭で指示をするだけだった。加えて妖精メイドに、早く仕事へ戻るよう指示をする。
いつもと違うように美鈴に振る舞われ、戸惑いつつも妖精メイドがその場を離れると、美鈴はいきなり弾幕を草むらにむかって放った。
ぎゃあと声がしたと思えば、氷の妖精、チルノが頭に手を当てながら飛んで行く。
妖精メイドに冷たくしたのは、自分の役割を理解し、外部に隙を見せないためだったのである。
「美鈴、クールになっちゃってえ!」
温厚な美鈴も良いけれど、クールでかっこいい美鈴も良いと思う。フランドールは自分で納得して次なる目的地へと向かった。
地獄には白黒はっきりした閻魔がいるが、紅魔館の大図書館には赤なのか青なのかはっきりしない魔女が居る。
「赤いリボンと青いリボン。紫色の服。パチュリーのやつ、はっきりさせてやる!」
フランドールは本に夢中なパチュリーの近くまで霧になって近づき、まずは赤の概念を右手を握って破壊する。そして、服の先からしみ込ませるように青い絵の具を入れていった。
「なるほど! そういうことか!」
いきなりパチュリーが立ち上がって、思わず声を上げそうになってしまう。
「分かった、分かった気がするわ」
大図書館の奥に設置された実験スペースへパチュリーがいくと、小悪魔が近づいてきた。
「また何か思いついたのですね! 流石ですパチュリー様!」
「ふふふ、見て、小悪魔。アルカリ性では赤いリトマス紙は青に変化するのよ。そしてこの中間、微妙に液体のしみ込んだ紫色の部分を切ると。そう、残るのはこの青に変色した部分だけ!」
「……はい」
「はい!」
「あのー……パチュリー様?」
しばらく大掛かりなマジックでも成功したかのように両手を上げていた青パチュリーだったが、すぐに手にあったものを丸めてくず入れに放り込み、ため息を付く。
「私、どうかしてたみたい」
「そのようで」
どうやら青い概念が解けてしまったようである。流石にパチュリーは察しが良くて強敵だと思ったフランドールは、次なるターゲットを探しに図書館を後にした。
フランドールはこの後も次々と色々なものを青くして遊んだ。
館の壁は外から見れば全て青い。
庭に咲くバラを青くしたときには、世紀の大発明だと周囲から拍手が起こった。
咲夜は、最初から青かったから放置した。
フランドールの活躍もあって、里中から、紅魔館は「不気味に紅い館」ではなく「意味無く蒼い館」と呼ばれるようになっていた。
。 。 。
「フラン、ちょっといいかしら」
「あら、お姉様。ごきげんよう」
フランドールは後ろに現れた姉に振り返らない。振り返ってしまえば、表情や目線の動きから思考が読まれる可能性があるからである。
手の中で、絵の具を握りしめる。
「遅いわ」
なんということだろう、真っ赤な閃光が走ったと思ったら、気づいたときには手から先が無く、絵の具は塵と化していた。
手はすぐに再生をする。
「お痛が過ぎたようね、フラン。いくら遊びとは言え、スカーレット家に泥を塗るのは頂けないわ」
「泥じゃないわよ、青よ」
「同じよ。カビみたいじゃないの。生臭い」
自分の後ろでグングニルを構えるであろうレミリアの正確な位置を探る。
「青の素晴らしさが分からないお姉様と話すことは無いわ」
「赤こそ、至高よ」
今の一言で位置を把握したフランドールは、足に力を込める。
「青いお洋服も素敵よお姉様!」
「はん、フランだって赤い服を着ているじゃない!」
レーヴァテインを出す。激しい怒号と共に赤い槍と赤い剣が交差する。硬直した瞬間を狙って、フランドールはレミリアに向かって青い絵の具をまき散らす。
すぐさま飛び退いたレミリアは、リュックサックから新たな青い物を取り出す隙を与えない様、威嚇射撃程度にしかならない軽い弾幕を放ち、自身は大きく右へと回り込み二方向からの攻撃を仕掛けた。
対するフランドールはある程度は読んでいたと言わんばかりにカゴメカゴメを発動させ、レミリアをピンポイントで包囲する。
攻撃が失敗したレミリアは次の行動に出た。飛び上がり、再び威嚇射撃を行ったのだ。フランドールが霊力を使ってガードしたことを確認し、威嚇射撃を続けながら横へグラインドしていく。
フランドールは威嚇射撃のタイミングを見計らってしゃがみ、避けた一発分生まれた余裕を使ってペンキを取り出した。
「終わりよ、お姉様!」
ペンキを持ってグラインドしているレミリアに直進。ペンキが今レミリアの頭に振り下ろされようとしていた瞬間、レミリアは良く見ていた。
自分の腕を直角に曲げ、最短距離を通ってフランドールの腕が通過する空間に突きを入れる。当たった!
フランドールの腕が弾かれ、体のバランスが崩れる。
レミリアはすぐに足払いをし、フランドールを倒すと、リュックサックを引きちぎり、空へと放った。グングニルでリュックサックを塵に替え、手から埃を払い落とす。
「これでお終いよ、フランドール。甘かったわね」
「くっ……」
用意していた青い物が全て奪われ、フランドールは万策尽きたと膝をついた。
「あら、これ、何かしら」
レミリアの声につられて顔を上げると、上からさらさらと青い粉が降ってきていたのだった。
フランドールは粉を手に取ってみる。
「これは、青のカラー砂!」
砂絵でも青く染めようと思って持っていたのでリュックサックに詰め込んだ、砂絵の材料であるカラーサンドが降っているのだ。
レミリアは、自分が粉みじんにしたフランドールのリュックサックを思い出す。恐らく、リュックサックが弾けてグングニルが通るよりも早く、砂がバッグから飛び散ったのだ。
みるみるうちにレミリアの洋服は青くなっていく。
手で払ったりしてみても、青いものがどんどんしみ込む一方でちっとも取れやしない。
「私とした事が……不覚」
ばたんと倒れたレミリアを見て、フランドールが高笑いをする。
「残念だったわねえお姉様」
フランドールはここである異変に気がついた。
自分の服も、赤から青く変わっているではないか。
まずい。このままでは、自分まで性格が変わってしまう。
気づくのが、遅かった。
「無念」
ばたん。
。 。 。
霧雨魔理沙は紅魔館が青くなったという噂を聞いて、真っ先に飛んで行った。もちろん理由は面白半分である。
門が見えてきた。八卦炉を構えて美鈴迎撃の準備をする。
美鈴が上空へ上がってきた。なるほど、確かに髪の毛が青いらしい。
霊力を手に集中させる。
「お待ちしておりました、霧雨魔理沙様」
あまりに美鈴らしくない言葉をかけられて箒から落ちそうになる。
その後、いつも通りの咲夜に屋敷を案内され、半ば発狂気味の友人パチュリーに挨拶をしたら何の意味も無い炎色反応を見せてきたので落ち着かせて図書館へ送り届け、おほほほほと笑うレミリアに環境問題について意識が低すぎると怒られた。
「全員気持ち悪くなってんな」
「そんなこと言ってはだめよ、魔理沙」
妙に落ち着いたトーンのフランドールの声が聞こえる。
魔理沙が上を見ると、レミリア顔負けのふりふりしたドレスを着たフランドールが居た。
「あー、そのー、なんだ。お姫様みたいな格好だな」
「可愛いかしら?」
「まあ、な。ところで、弾幕勝負しないか?」
「もう、魔理沙ったら。男勝りなのは魅力かもしれないけれど、女の子なんだから、もう少しおしとやかに遊べないのかしら」
「もうお前口調だけだったら誰だか分からねーのな」
「何のことかしら?」
フランドールが魔理沙の目の前に降りてくる。
服だけではなく、髪の毛も、眼の色も青くなっていた。
「そんなにじろじろ見ないで。恥ずかしい……」
「お前誰だよ!」
「誰って、フランドール・サファイアよ」
涼しい顔をして言ったフランドールに、魔理沙は、何かを諦めたようにため息をついた。
その後魔理沙は霊夢に紅魔館が気持ち悪くなったと報告すると、すぐに異変と見なされて攻略部隊が決まり、数人の手によってこの異変は収束していった。
「試しに、青く塗り潰してみようかしら」
フランドール・スカーレットは羽避けの付いた咲夜お手製リュックサックに、絵の具、クレヨン、スプレー缶、染料、顔料、インクやカラー砂を詰め込んで飛び立った。
まず手始めに、特に意味も無く赤いつぼを青くしてみた。
「これでよし」
壁の影に隠れて、青くなったつぼを見張る。
そこに一人の妖精メイドがやってきて立ち止まった。
「あれ? こんな綺麗なつぼ、紅魔館にありましたっけ。なんだか、この館にしては爽やかな一品ですねぇ」
フランドールはガッツポーズをした。妖精メイドが喜んでくれたのだ。
次はどこを青くしてみようか。フランドールは考えた。そこで、妖精メイドの言っていたことを思い出す。爽やかになる。赤いものを青くすると、爽やかになるのだ。
フランドールは思い立ったときには既に飛んでいた。音よりも速いスピードで、エントランスホールを突っ切り、玄関を勢いよく開け、通り過ぎざまに日傘置きから傘を取り、開いて門の詰め所へ突進する。
詰め所の日陰に入ったころには速度に耐え切れなかった日傘はぼろぼろになっていた。しかし、フランドールには問題無かった。速すぎたスピードには太陽光が肌を焼く速度が付いて来れなかったらしい。計画通り。
フランドールは本来自分が成さなければならない計画を思い出す。
「美鈴、詰め所に居ないな。門かな」
フランドールの目的は、紅魔館で門番をしている美鈴の髪の毛を青くすること。
炎のように赤い美鈴は、その色を裏切らないほど熱く、暖かく、そして力強いのだ。
腕を組んで、門に仁王立ちしている美鈴を発見したフランドールは、いち、にの、さんで地面を蹴った。
素早い動作で、気づかれないように美鈴の髪の毛を青く染める。
美鈴に向き直ったフランドールは、自分の目を疑った。いつの間にか、美鈴は仁王立ちをやめて頭から足先までストンと落としたように直立していたのだ。
門番隊のメイドが美鈴に向かって走っていった。仕事で分からないことがあったのだろう、美鈴に何かを聞いている。
いつもなら美鈴も走って現場へ駆けつけ、妖精メイド達に優しく微笑みかけながら教える美鈴だったが、今日は口頭で指示をするだけだった。加えて妖精メイドに、早く仕事へ戻るよう指示をする。
いつもと違うように美鈴に振る舞われ、戸惑いつつも妖精メイドがその場を離れると、美鈴はいきなり弾幕を草むらにむかって放った。
ぎゃあと声がしたと思えば、氷の妖精、チルノが頭に手を当てながら飛んで行く。
妖精メイドに冷たくしたのは、自分の役割を理解し、外部に隙を見せないためだったのである。
「美鈴、クールになっちゃってえ!」
温厚な美鈴も良いけれど、クールでかっこいい美鈴も良いと思う。フランドールは自分で納得して次なる目的地へと向かった。
地獄には白黒はっきりした閻魔がいるが、紅魔館の大図書館には赤なのか青なのかはっきりしない魔女が居る。
「赤いリボンと青いリボン。紫色の服。パチュリーのやつ、はっきりさせてやる!」
フランドールは本に夢中なパチュリーの近くまで霧になって近づき、まずは赤の概念を右手を握って破壊する。そして、服の先からしみ込ませるように青い絵の具を入れていった。
「なるほど! そういうことか!」
いきなりパチュリーが立ち上がって、思わず声を上げそうになってしまう。
「分かった、分かった気がするわ」
大図書館の奥に設置された実験スペースへパチュリーがいくと、小悪魔が近づいてきた。
「また何か思いついたのですね! 流石ですパチュリー様!」
「ふふふ、見て、小悪魔。アルカリ性では赤いリトマス紙は青に変化するのよ。そしてこの中間、微妙に液体のしみ込んだ紫色の部分を切ると。そう、残るのはこの青に変色した部分だけ!」
「……はい」
「はい!」
「あのー……パチュリー様?」
しばらく大掛かりなマジックでも成功したかのように両手を上げていた青パチュリーだったが、すぐに手にあったものを丸めてくず入れに放り込み、ため息を付く。
「私、どうかしてたみたい」
「そのようで」
どうやら青い概念が解けてしまったようである。流石にパチュリーは察しが良くて強敵だと思ったフランドールは、次なるターゲットを探しに図書館を後にした。
フランドールはこの後も次々と色々なものを青くして遊んだ。
館の壁は外から見れば全て青い。
庭に咲くバラを青くしたときには、世紀の大発明だと周囲から拍手が起こった。
咲夜は、最初から青かったから放置した。
フランドールの活躍もあって、里中から、紅魔館は「不気味に紅い館」ではなく「意味無く蒼い館」と呼ばれるようになっていた。
。 。 。
「フラン、ちょっといいかしら」
「あら、お姉様。ごきげんよう」
フランドールは後ろに現れた姉に振り返らない。振り返ってしまえば、表情や目線の動きから思考が読まれる可能性があるからである。
手の中で、絵の具を握りしめる。
「遅いわ」
なんということだろう、真っ赤な閃光が走ったと思ったら、気づいたときには手から先が無く、絵の具は塵と化していた。
手はすぐに再生をする。
「お痛が過ぎたようね、フラン。いくら遊びとは言え、スカーレット家に泥を塗るのは頂けないわ」
「泥じゃないわよ、青よ」
「同じよ。カビみたいじゃないの。生臭い」
自分の後ろでグングニルを構えるであろうレミリアの正確な位置を探る。
「青の素晴らしさが分からないお姉様と話すことは無いわ」
「赤こそ、至高よ」
今の一言で位置を把握したフランドールは、足に力を込める。
「青いお洋服も素敵よお姉様!」
「はん、フランだって赤い服を着ているじゃない!」
レーヴァテインを出す。激しい怒号と共に赤い槍と赤い剣が交差する。硬直した瞬間を狙って、フランドールはレミリアに向かって青い絵の具をまき散らす。
すぐさま飛び退いたレミリアは、リュックサックから新たな青い物を取り出す隙を与えない様、威嚇射撃程度にしかならない軽い弾幕を放ち、自身は大きく右へと回り込み二方向からの攻撃を仕掛けた。
対するフランドールはある程度は読んでいたと言わんばかりにカゴメカゴメを発動させ、レミリアをピンポイントで包囲する。
攻撃が失敗したレミリアは次の行動に出た。飛び上がり、再び威嚇射撃を行ったのだ。フランドールが霊力を使ってガードしたことを確認し、威嚇射撃を続けながら横へグラインドしていく。
フランドールは威嚇射撃のタイミングを見計らってしゃがみ、避けた一発分生まれた余裕を使ってペンキを取り出した。
「終わりよ、お姉様!」
ペンキを持ってグラインドしているレミリアに直進。ペンキが今レミリアの頭に振り下ろされようとしていた瞬間、レミリアは良く見ていた。
自分の腕を直角に曲げ、最短距離を通ってフランドールの腕が通過する空間に突きを入れる。当たった!
フランドールの腕が弾かれ、体のバランスが崩れる。
レミリアはすぐに足払いをし、フランドールを倒すと、リュックサックを引きちぎり、空へと放った。グングニルでリュックサックを塵に替え、手から埃を払い落とす。
「これでお終いよ、フランドール。甘かったわね」
「くっ……」
用意していた青い物が全て奪われ、フランドールは万策尽きたと膝をついた。
「あら、これ、何かしら」
レミリアの声につられて顔を上げると、上からさらさらと青い粉が降ってきていたのだった。
フランドールは粉を手に取ってみる。
「これは、青のカラー砂!」
砂絵でも青く染めようと思って持っていたのでリュックサックに詰め込んだ、砂絵の材料であるカラーサンドが降っているのだ。
レミリアは、自分が粉みじんにしたフランドールのリュックサックを思い出す。恐らく、リュックサックが弾けてグングニルが通るよりも早く、砂がバッグから飛び散ったのだ。
みるみるうちにレミリアの洋服は青くなっていく。
手で払ったりしてみても、青いものがどんどんしみ込む一方でちっとも取れやしない。
「私とした事が……不覚」
ばたんと倒れたレミリアを見て、フランドールが高笑いをする。
「残念だったわねえお姉様」
フランドールはここである異変に気がついた。
自分の服も、赤から青く変わっているではないか。
まずい。このままでは、自分まで性格が変わってしまう。
気づくのが、遅かった。
「無念」
ばたん。
。 。 。
霧雨魔理沙は紅魔館が青くなったという噂を聞いて、真っ先に飛んで行った。もちろん理由は面白半分である。
門が見えてきた。八卦炉を構えて美鈴迎撃の準備をする。
美鈴が上空へ上がってきた。なるほど、確かに髪の毛が青いらしい。
霊力を手に集中させる。
「お待ちしておりました、霧雨魔理沙様」
あまりに美鈴らしくない言葉をかけられて箒から落ちそうになる。
その後、いつも通りの咲夜に屋敷を案内され、半ば発狂気味の友人パチュリーに挨拶をしたら何の意味も無い炎色反応を見せてきたので落ち着かせて図書館へ送り届け、おほほほほと笑うレミリアに環境問題について意識が低すぎると怒られた。
「全員気持ち悪くなってんな」
「そんなこと言ってはだめよ、魔理沙」
妙に落ち着いたトーンのフランドールの声が聞こえる。
魔理沙が上を見ると、レミリア顔負けのふりふりしたドレスを着たフランドールが居た。
「あー、そのー、なんだ。お姫様みたいな格好だな」
「可愛いかしら?」
「まあ、な。ところで、弾幕勝負しないか?」
「もう、魔理沙ったら。男勝りなのは魅力かもしれないけれど、女の子なんだから、もう少しおしとやかに遊べないのかしら」
「もうお前口調だけだったら誰だか分からねーのな」
「何のことかしら?」
フランドールが魔理沙の目の前に降りてくる。
服だけではなく、髪の毛も、眼の色も青くなっていた。
「そんなにじろじろ見ないで。恥ずかしい……」
「お前誰だよ!」
「誰って、フランドール・サファイアよ」
涼しい顔をして言ったフランドールに、魔理沙は、何かを諦めたようにため息をついた。
その後魔理沙は霊夢に紅魔館が気持ち悪くなったと報告すると、すぐに異変と見なされて攻略部隊が決まり、数人の手によってこの異変は収束していった。
フランとレミィの戦いのシーンが少し分かり辛かったのが唯一気になりました。
4様
アクションシーンを書いてみたかったというのもあるのですが、やっぱり難しかったです。
今後もちょくちょく挑戦してみたいと思います!
奇声を発する程度の能力様
紅魔のキャラクターの会話って面白そうですよね!
9様
フランちゃんはエセ哲学者。
プロピオン酸様
No red! ですからね!
そしてフランがこのSSの背景すら変えたのかしら、と勝手に考えたら和みました。