そういえば、年があけたのか――――
年が明けたばかりでほとんどの人の心が浮ついている頃、
犬走椛はそんな事を思いながら帰路についていた。
椛にとって正月というのはたいした意味をもっていない。
ただ、年が明けた。それだけのことで、
元日である今日ですらいつも通り哨戒をこなしていたくらいである。
そうこうしているうちに家に着き、中に入ると、
「おや、椛じゃないですか。おかえりなさい。」
いつもはいない人が居た。
「・・・・・・」
「椛、大丈夫ですか?」
「・・・・・・文さん。大丈夫なはずありません。何をしているのですか?」
呆気にとられながら返事をすると
「椛の家に居ます。」
と来た。
はぁ~
わざとらしく溜息をつく。この人はいつもそうなのだ。
質問に答えない。
いや、答えてはいるが、答えになっていない。
「だから、なんで私の家に居るのですか?」
もう一度聞くと、
「正月くらい椛と共に夕飯を食べようとおもいましてね。」
そうか、文さんはご飯を食べに来たのか――って
「え?」
「いや、だから正月くらい椛と共に夕飯を食べようとおもいましてね。」
また突飛な事を言い出した。
それにしても家に帰ってから驚かされっぱなしだ。
「もーみーじー、まだですかー?」
「もう少し待っていてください。」
居間に居る文さんにそう返すとまた料理を再開する。
―――射命丸文 それが突然の訪問者の名前だ。
彼女とは出会ってから一年くらいしかたっていないが、
椛を驚かせ、あきれさせる以外はいい人で、けっこう親しくなった。
しかし、帰ったら家にいたなんていうのはさすがに初めてであったので、いつも以上に驚いた。
もうしないでほしいものだ。
ちなみに、夕飯を一緒に食べようというのも初めて。
「もーみーじー、まだですかー?」
「はいはい、出来ましたよ。とうぞ。」
出来たての料理をもっていく。
「さすが椛、なんだかんだで作ってくれるのですねぇ。ほら、早く食べましょう。」
「「いただきます。」」
ある程度食べたところでさっき思った事を言う。
「そういえば、文さん。今度から勝手に家に入らないでくださいね。心臓に悪いです。」
「はいはい。」
明らかに聞いていない。
「聞いていませんね?」
「はい。」
堂々と答えられた。
はぁ~
まったくこの人は・・・・・・・。
しかし、二人で一緒に食べるというのもけっこう楽しく、
いつも以上に箸が進み、あっという間に食べ終わった。
「ごちそうさまでした。」
「おそまつさまでした。」
食事も終わってから、二時間ほどたち、
もう話すこともなくなったので、
「もう遅いのでそろそろ帰ってください。」
と言う。
「今日の椛はなんだか冷たいですねぇ、正月なのですからもう少しいさせてください。」
夕飯を作ってあげたのに、冷たいとはなんだ。そう思いながら、
「正月なんて関係ありません。もう用がないなら帰ってください。寝たいんです。」
もう一度だけ言う。
するとなぜか文さんはうれしそうににやりとして、
その様子のまま、
「今日はまだ用事があります。残念でしたね。」
「なんですか?一緒に寝たりはしませんからね。」
まだ用事があるなんて珍しいなと思いながらも興味があるので聞いてみる。
「さすがにわかっていますよ。はい、これを椛にあげます。」
そう言って渡されたのは
「お年玉!?」
しかもやけに袋が大きい。
「・・・・・・文さん?なにを考えているのですか?私、そんなに子供ではありませんよ?三桁はいっていますからね?」
もしや
「なにか狙いが?」
すると
「狙いはもちろんありますよ、まぁ親睦を深めることですかねぇ。」
と恥ずかしそうに言い、すぐに
「では、あげるものもあげたので帰ります。」
と、なんと帰ってしまった。
てっきりあと一時間ほどは居座られると思っていた椛はびっくりしてしまい、
一分ほど固まったのち、
ゆっくりともらった袋を開けてみた。
そしてまた固まった。
入っていたのは写真と手紙だ。
いつ撮ったかは知らないが、哨戒中の物や、二人で写っているものまで何枚かあった。
そして手紙には、
[今年もよろしくお願いします。]
とだけ。
まったくこの人は・・・・・・。
椛はそう思うと机の中にそっとしまった。
年が明けたばかりでほとんどの人の心が浮ついている頃、
犬走椛はそんな事を思いながら帰路についていた。
椛にとって正月というのはたいした意味をもっていない。
ただ、年が明けた。それだけのことで、
元日である今日ですらいつも通り哨戒をこなしていたくらいである。
そうこうしているうちに家に着き、中に入ると、
「おや、椛じゃないですか。おかえりなさい。」
いつもはいない人が居た。
「・・・・・・」
「椛、大丈夫ですか?」
「・・・・・・文さん。大丈夫なはずありません。何をしているのですか?」
呆気にとられながら返事をすると
「椛の家に居ます。」
と来た。
はぁ~
わざとらしく溜息をつく。この人はいつもそうなのだ。
質問に答えない。
いや、答えてはいるが、答えになっていない。
「だから、なんで私の家に居るのですか?」
もう一度聞くと、
「正月くらい椛と共に夕飯を食べようとおもいましてね。」
そうか、文さんはご飯を食べに来たのか――って
「え?」
「いや、だから正月くらい椛と共に夕飯を食べようとおもいましてね。」
また突飛な事を言い出した。
それにしても家に帰ってから驚かされっぱなしだ。
「もーみーじー、まだですかー?」
「もう少し待っていてください。」
居間に居る文さんにそう返すとまた料理を再開する。
―――射命丸文 それが突然の訪問者の名前だ。
彼女とは出会ってから一年くらいしかたっていないが、
椛を驚かせ、あきれさせる以外はいい人で、けっこう親しくなった。
しかし、帰ったら家にいたなんていうのはさすがに初めてであったので、いつも以上に驚いた。
もうしないでほしいものだ。
ちなみに、夕飯を一緒に食べようというのも初めて。
「もーみーじー、まだですかー?」
「はいはい、出来ましたよ。とうぞ。」
出来たての料理をもっていく。
「さすが椛、なんだかんだで作ってくれるのですねぇ。ほら、早く食べましょう。」
「「いただきます。」」
ある程度食べたところでさっき思った事を言う。
「そういえば、文さん。今度から勝手に家に入らないでくださいね。心臓に悪いです。」
「はいはい。」
明らかに聞いていない。
「聞いていませんね?」
「はい。」
堂々と答えられた。
はぁ~
まったくこの人は・・・・・・・。
しかし、二人で一緒に食べるというのもけっこう楽しく、
いつも以上に箸が進み、あっという間に食べ終わった。
「ごちそうさまでした。」
「おそまつさまでした。」
食事も終わってから、二時間ほどたち、
もう話すこともなくなったので、
「もう遅いのでそろそろ帰ってください。」
と言う。
「今日の椛はなんだか冷たいですねぇ、正月なのですからもう少しいさせてください。」
夕飯を作ってあげたのに、冷たいとはなんだ。そう思いながら、
「正月なんて関係ありません。もう用がないなら帰ってください。寝たいんです。」
もう一度だけ言う。
するとなぜか文さんはうれしそうににやりとして、
その様子のまま、
「今日はまだ用事があります。残念でしたね。」
「なんですか?一緒に寝たりはしませんからね。」
まだ用事があるなんて珍しいなと思いながらも興味があるので聞いてみる。
「さすがにわかっていますよ。はい、これを椛にあげます。」
そう言って渡されたのは
「お年玉!?」
しかもやけに袋が大きい。
「・・・・・・文さん?なにを考えているのですか?私、そんなに子供ではありませんよ?三桁はいっていますからね?」
もしや
「なにか狙いが?」
すると
「狙いはもちろんありますよ、まぁ親睦を深めることですかねぇ。」
と恥ずかしそうに言い、すぐに
「では、あげるものもあげたので帰ります。」
と、なんと帰ってしまった。
てっきりあと一時間ほどは居座られると思っていた椛はびっくりしてしまい、
一分ほど固まったのち、
ゆっくりともらった袋を開けてみた。
そしてまた固まった。
入っていたのは写真と手紙だ。
いつ撮ったかは知らないが、哨戒中の物や、二人で写っているものまで何枚かあった。
そして手紙には、
[今年もよろしくお願いします。]
とだけ。
まったくこの人は・・・・・・。
椛はそう思うと机の中にそっとしまった。
正月に出せば完璧だったのに
映っている→写っている
誤字はこれくらい、あと漢字の変換が所々無いのが気になりました
来年あなたのSSを読める事を楽しみにしています、ようこそ創想話へ
良かったです
漢字無変換は確かに気になった
ほのぼのしてて良いお話でした。