Coolier - 新生・東方創想話

椛はイケメンでツンデレだと私は思うんです。

2012/12/04 01:45:37
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「王手」
「ひゅい!?・・・・ぐぬぬ」

河の横で、河童と天狗―河城にとりと犬走椛が将棋を指す。
桂馬でも金将でも角でもにとりの持つ玉将を取れる―詰みだ。
しかし、そんな詰んだ状況でもにとりは必至に打開策を考える。
0勝3敗。今日のにとりの椛に対する戦績だ。2度目の正直、3度目の正直、そして4度目の正直。
もう負けられない。特に何か賭けているわけではない遊びの将棋だが、これ以上負けるのはさすがに辛い。

「にとりさん、詰み、ですよ?」
「いやっ、なんかなんか打開策があるっ・・・なんか・・・・・・・・なんか・・・・・・・・・・・っ」

河城にとりは、将棋盤をちゃぶ台の如く、投げた。勝負と共に、将棋を投げた。
飛び散った将棋の駒が紅葉と一緒に降り落ちる。

「あああん!また負けたあああああ!」
「ははは、さっきのはちょっとまずかったですよ。惜しかったですね」
「椛!もう一回!もう一回やらせて!お願い!負けっぱはやだよぅ!!」

負けたにとりが椛にすがって再戦を頼む。さっきからこの調子である。もはやループである。

「ダメです。もう仕事に戻らないと」
「そこをなんとか!?」
「しません。では私はこれにて。あ、将棋盤と駒は責任もって片付けておいてください」

すがるにとりを振り払って、椛は仕事へと戻って行った。


▼
(参ったな・・・にとりさんと将棋しすぎた)
3戦全て速攻で勝負が決まっていた為、彼女は4戦目も引き受けた。
しかし、4戦目が予想以上に長引いた。とはいえ、ようやく将棋らしくなったというのが正しい所だが。

千里眼で様子を見る。もしかしたら誰かが侵入しようとしているかもしれない。

(なんで・・・)

椛は千里眼で見えたものに顔を少し顰めた。行こうかどうか悩んだが仕事には変わりない。
スピードを下げることなく椛は仕事場へと向かった。


▼
「なんで、あなたが・・・」
「あやや、遅いですねえ。椛」

そこにいたのは射命丸文。・・・・苦手な存在だ。

「いつものように押し売りとパパラッチには行かないのですか?」
「これから行こうと思ったんだけどねえ、ここに本来いるはずのあんたがいないから代わりに見てたってわけ。
それに私はそんな事してないわよ。今日は取材。明日配るための新聞の取材」
「そうですか。じゃあさっさと行ってください、邪魔です」
「言われなくても行くわよ。あ、ついてこなくていいわよ」
「誰が好きで行くんですか。私には仕事がありますから」
「あっそ」

文は急ぐように、避けるように飛び立っていった。
会った瞬間に険悪な雰囲気に。そして、その雰囲気のまま二人は別れた。

「・・・ちっ」

小さく椛は舌打ちする。椛と文は何故か仕事がよく一緒になる。そして、よく出会う。しかし、いつもこんな調子である。
椛は一度だけ上司に「文と仕事を一緒にしないでください」と頼んだ。
しかし上司は「そんなこと言って、ほんとに君たち仲良さそうだねえ」とか訳分からないこと言って受け入れてくれなかった。

「誰が仲良いんだ・・・」

イライラしながら、椛は仕事を続けるのであった。


▼
「これは・・・大スクープですかねえ・・・」
妙な動きを見せる男達を見つけ、彼女は隠れて追っている。
追っていく内にこの男達がよからぬ事をしようとしていると分かった。しかし、それを決定づける証拠というのがまだ撮れない。
明らかに深追い。しかし、それ以上にこの一大ネタを逃がしたくない気持ちが強かった。
いざとなれば自分が戦えばいい。このぐらい、余裕――


▼
「さて、と」
今日も異常なし―見回りの仕事が何事もなく終わった。駐屯所に戻ろう。
こんだけ何もなかったならばにとりと将棋をまだ続けてもよかったかもしれない。
しかし、仕事をサボるわけにはいかない。そんな考えはすぐにやめ、椛はまっすぐ戻ることにした。


「あっ、椛」
「はたてさん!」

偶然にも、はたてに出会った。文と同じ烏天狗だが、仲は悪くない。

「ねえ、椛。文知らない?」
「・・・文さんですか?」

その仲の悪くない烏天狗から仲を考えたくない程度の烏天狗の名が出てきた。
椛は顔に出してないつもりでも、はたてには椛が嫌な顔しているのが丸見えだった。
そんな椛の様子にやれやれとはたては苦笑いする。

「あんた達、ほんとに仲悪いわねえ・・・ま、そんなのはいいわ」
「私は知りませんよ。居場所なんて・・・」
「・・・はあ。椛」

苦笑いしていた、はたての顔が真面目になる。しかし、椛は相変わらずの嫌な顔である。

「文、帰るのが遅いわよ・・・そろそろ日が沈むわ」

そういえば、やけに帰るのが遅い。そんな気もする。が、

「それだけでかいニュースを見つけたんじゃないですか?」

椛はそんな気にはしなかった。帰りが遅いぐらい何度もある。今更気にすることもない。
遅いなら遅いで、上にちょっと報告すればいいだけ。言われるのは文だけ。だから気にしない。

「椛・・・あんま仲が悪いと上に言われるよ?」
「私には関係ないです!そんなに心配ならあなたが行けばいいじゃないですか!!」

思わず、はたてにまできつく言ってしまった。二人の間に気まずい空気が流れる。

「はあ・・・分かったわ・・・文の帰りが遅いのは私が報告するから・・・じゃ」

はたてとも気まずいまま、別れてしまった。

「・・・・・・・」

やってしまった。そんな後悔の念が椛に残る。
明日にでも謝ろう。そう思って帰ろう、そう思うのだが、
何故か文の顔がチラつく。それが椛の帰る足を止める。なんとなく文の悲しそうな顔がちらつく。
頭を振って、それを振り払おうとするのだが、なぜか振り払えない。

「・・・・・・・・ああ、もう!!」

▼
(油断した・・・)
文は捕まっていた。もうそれは薄い本のテンプレのように悉く。
そして、今この現状。これまた薄い本のような展開になりそうな雰囲気である。

「へっへへ、何俺らのこと撮ってたんだあ?」

テンプレだ。文はつくづく残念に思う。こんなテンプレすぎる展開に自分が嵌るだなんて。

「はあ、ここまでテンプレならだれかが助けに来てくれるのも、テンプレなんですがねえ・・・」

文の服に手がかかる。脱がされる。そう思った時だった。

「天狗に手を出すとはな・・・命知らずが」
「ぐえぇ!?」

聞き覚えのある声と共に見守りの男が吹っ飛ばされ扉が開く。

「まったく、こんな所で何してるんですか・・・」
「も、椛・・・?」

テンプレのようにヒーロー登場。しかし、そのヒーローは喧嘩相手だ。

「な、なんだこいつは!?やっちまえ!」

安定すぎる展開で男どもが一斉に椛へと襲う。だいたいこういう展開は・・・

「つ、つええ・・・」
「弱い、殺す価値もない。文さん、あなた、こんなのにつかまってたんですか」

フルボッコだ。


▼
「またまげだああああああ!!!!」
「飛車角抜きですよ・・・?にとりさん」
「うっしゃあい!」

将棋駒が紅葉とともに今日も降る。

「も、もう一回!」
「次負けたら昨日と合わせて10連敗ですよ?それに、時間です」
「そこをなんとかああああああ!!!!」

すがるにとりをまた振り払う。
また少しやりすぎた。急いで仕事場に向かう。

「あれ?今日も遅いじゃない。椛」
「また、あなたですか・・・」

油断して捕まった文は上にこっぴどく怒られた。そして、1ヶ月の謹慎処分だ。新聞売りどころではない。

「あなた、謹慎処分でしょ。ここから出しませんよ?」
「別に・・・そんなつもりで来たわけじゃないわ。昨日言いそびれちゃったからね」
「?」
「ありがとう」
「!?」

文が自分に礼を言った。そんな衝撃よりも、それにドキッとしてしまった自分自身に椛は恥ずかしくなり、顔を一気に赤くする。

「別に・・・上とか、はたてさんにとやかく言われるから助けただけですよ・・・」
「昨日、格好良かったよ。厨二臭くて」

文が何故かボイスレコーダーを再生する。すると

『天狗に手を出すとはな・・・命知らずが』
「!?」
『弱い、殺す価値もない』
「!?!?」
「いやあねえ、実は仕掛けてたんだけどさあ、偶然入ってた」

文はにやにやと説明する。これは確信犯の顔だ。椛が顔を赤くする理由が一気に変わる。
ドキッとした自分に激しい後悔をする。やっぱこの人は

嫌いだ。

「文さん・・・あなたって人はあああああああ!!!!」
「おお、怖い怖い。ま、椛の趣味がなんとなくわかったよ!あははは」

逃げる文を椛は必死に追いかける。文はわざと椛が見失わない程度の速度で逃げて遊ぶ。

「なんだかんだであの二人。仲良いじゃない」

はたては隠れてその様子を撮る。今度この写真を二人に見せてやろう。
そう、はたては計画した。

「待て!今度という今度は!!」
「誰が待ちますか!」
ここまで長々とよんでくださった方、ありがとうございます。
此の度、初めてこちらのサイトにSSを投稿させていただいた八咫鳥。と申します。
SSはそこまで数書いているわけでもなく、正直レベルの高いこちらに投稿するかは悩みましたが、
当たって砕ける精神で投稿してみました。
八咫鳥。
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コメント



0.690点簡易評価
3.80点名前が無い程度の能力削除
どのようにして油断しているとはいえ力のある文を捕らえたか、椛がどうやって文の場所を突き止めたか、救出するまでの椛の心情は、といった事が描かれているとより話が膨らむと思います。
テンプレという単語が連続して使われている所は、繰り返すとメリハリが無くなるように感じるので別の言い回しにした方がいいかと。

カッコいい椛がとても良かったです。
個人的には、にとりとの絡みをもっと見てみたいかも…
4.60点名前が無い程度の能力削除
読み専の分際で言わせていただきます。

主人公がヒロインを助けるという話は嫌いではないのですが、配役的にキツいものがあります。
まず何故文が捕まるのか。千歳超えて幻想郷の中でも最高クラスの力を持つ文(公式)が、
油断したとはいえ捕まえられる天狗以外の妖怪(もしくは人間)というものが存在するのか。
また、存在したと仮定し、それを椛が倒すことができるのか。
このあたりを疑問に思いました。

椛が文を助ける小説はいくつかありますが、文という強キャラをいかにして危機的状況に陥れたり、
椛という弱キャラ(世間的に)をいかにして強キャラにするか、ということに力が入っています。
(少なくとも読者を納得させるレベルの説明はされてます。)
そこらへんの説明も入っていれば、スッキリと読めたと思います。

話の終わりはボイスレコーダーの複線などがあればスッキリでしたが、それを差し引いても結構好きです。

あと三点リーダーの使い方を一度調べることをオススメします。
それで幾らかは読みやすくなると思うので。

砕けず、次も頑張ってください。
7.90点名前が無い程度の能力削除
キャラクターがたいへん魅力的に映りました。いいですねぇ、イケメンツンデレ厨二椛……。
(-10点)の理由としましては先にコメントなさっている方々とほぼ同じですので割愛させていただきます。
ストーリー自体は比較的安心して読める作りであると思いました。次回作も心から楽しみにしています。
8.80点名前が無い程度の能力削除
え、文が捕まったのって椛のかっこいい科白を録音するための自作自演かと思ってた。
10.無評価八咫鳥。削除
コメントありがとうございます。
三点リーダーという言葉は初めて聞きました。(゜Д゜)
意味調べて、見直したら確かに使い方が悪い事に自分でも気づきました(′・ω・`)
いろいろアドバイスをいただいて有意義な初投稿になったかなと私は思います。
上手くなるまではまだまだ、時間が書かrかかるかもしれませんが頑張って行こうと思います。
24.100点海鮮丼丸です削除
いいじゃねえか。面白い。
自分を卑下すんなよ。