「霊夢さんこの度はご結婚おめでとうございます爆発すればいいのに」
「さらっと本音がこぼれてるわよ、文」
適齢期に差し掛かった博麗霊夢は、この度めでたく結婚することになった。
彼女に相応しい、とても可愛いお嫁さんが見つかったのだ。
プロポーズの言葉は『毎日私にご飯を作ってください。それと、毎日私にご飯を作れるだけのお金を稼いでください』だったという。
巫女は、割と外道であった。
ともあれ、霊夢の披露宴には、幻想郷中から多くの人妖が駆けつけることとなった。
レミリアは思いっきり泣いていた。
紫はいつも通りの微笑みを浮かべていた。
魔理沙も笑っていたが、その顔は少しだけ寂しげなものだった。
盛大に盛り上がった披露宴であったが、しかし、水橋パルスィの姿だけはそこになかった。
皆から口々にお祝いの言葉をかけられた霊夢だったが、その点だけは残念に思っていた。
あの嫉妬狂いの鬼が、事もあろうに『博麗の巫女の結婚』などという事態が起きた時、どれほどの妬みを見せてくれるのか。想像しただけでも愉快ではないか。
「前から思ってたんだけど」
「何よ」
「霊夢って、やっぱり性格悪いのね」
「うっさい」
嫁さんから横やりを入れられた。
というか、やっぱりってどういうことよ。それじゃまるで私がいつもひどいこと言ってるみたいじゃない。
自分のプロポーズの言葉など、まるで忘れたかのように、霊夢は憤慨してみせた。
ともかく。
折角こういう時に思いっきり妬んでくれるだろうパルスィが来なかったことで、霊夢は多少なりとも不満なのだった。
さて、披露宴の翌日。
郵便物をチェックしていた霊夢は、いつも通り入ってきた文々。新聞の他に一つ、封筒があることに気が付いた。
この博麗神社に、わざわざ手紙を送ってくるような者など、滅多にいるものではない。
不審に思った霊夢が差出人の名前を見ると『水橋パルスィ』と書いてあるのが目に入った。
驚いた霊夢は、とりあえず縁側へと腰かけると、乱暴にビリビリと封筒を開けてみる。
すると、中には何百年も生きた者らしい達筆な字で、手紙が綴られているのだった。
『拝啓 相も変わらず行く奴来る奴妬ましい日々が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。霊夢結婚したんですってね本当に妬ましい。
しかも一度あなたのお嫁さんのお顔を拝見したけれど、本当にあなたにはもったいない位可愛いし気立ても良さそうな娘じゃないの妬ましい。
むしろ妬ましいを通り越してもう殺意が湧いてくるくらい。ああもう、折角慣れない手紙なんて書いてるわけだし、私も本音を書かせてもらうわよ。
死ね。
妬ましすぎるから、死ね。
今すぐにとは言わないけど、死ね。
七、八十年経ってから死ね。
神社の布団で、横になって、安らかに死ね。
たくさんの人たちを悲しませながら死ね。
頼り甲斐のあるたくましい息子と、綺麗に育った娘と、可愛い盛りの孫と、あんたを支え続けただろう嫁さんと、大勢の友人に囲まれて死ね。
「霊夢が死んだら誰と思い出を語ればいい」とか「お前が死ぬなんて寂しすぎる」とか、妖怪共の放つ呪詛の言葉を聞きながら死ね。
言っとくけど、その時には、死の間際まで皆に好かれたあんたを私が精一杯妬んでやるから、覚悟しておきなさい。
それから、たまには、奥さんを連れてこちらへ遊びに来なさいよ。
どうせ新婚さんで毎日イチャこいてるんでしょ?
妬ましいわね!
目の前であんたらがイチャこいてるのを見せつけられた日には、橋姫としてどれだけ妬めるのか、腕の見せ所よね。
大事なことだから最後にもっかい書いておくけどね。
死ね。
最期まで誇り高い、一人の人間として死ね。
それじゃ、またお手紙差し上げます。
まだまだ暑い日々続きますが、くれぐれも体調など崩されないよう。
敬具』
手紙を読み終えた霊夢は、クスッと微笑みを浮かべた。
何とも不器用で、彼女らしいメッセージだ。
おまけに、封筒をよく見れば、切手も貼っていない。昨日郵便受けをたしかめた時にはなかったのだから、きっと、今朝になって直接ここへ持ってきたのに違いない。
「ふふっ」
「何笑ってるのよ、霊夢」
「なんか、パルスィから手紙が来ててね。『霊夢結婚おめでとう。幸せになりなさい』だって」
「へえ、あの橋姫がねえ。意外と素直な所もあるんじゃない」
手紙の内容を読んでいない嫁さんは、意外そうに目を丸くした。
そんな様子がおかしくて、霊夢はクスクスと笑いを洩らす。
「む、何よ?」
「いや、あんたは本当に可愛いなあと思って。嫁にもらって大正解だわ」
「な!?」
かあっと顔を赤くして目を逸らす嫁さんを見て、ますます霊夢は笑みを深める。
「べ、別に、可愛くなんてないわよっ」
「そうやって否定するところが可愛いんだってば。ああもうっ」
「きゃっ!?れ、霊夢っ!?」
「ほら、頭撫でさせなさい!ついでに、キスさせなさい!」
ガバッと襲い掛かる霊夢に、嫁さんは慌てた様子で身を翻した。
きゃーきゃーと逃げる彼女を、霊夢は楽しそうに追い掛け回す。
空は青く澄み渡り、こっそり物陰から霊夢たちの様子を見ていたパルスィは、満足気な顔で嫉妬心を煮えたぎらせていた。
幻想郷は今日も概ね平和である。
普通にいわれるよりぜんぜんかわいい!
しかしこの期に及んで博霊さんが残念 → ○博麗
例えそれがツンデレの裏返しでも見てて気分が悪くなる。
本当になんでだ?
いや、嫁さんの喋り方とか霊夢を食わせる事が出来るだけの収入とか料理の腕前とかを考えたら自然にアリスになってしまった。
素直に祝福出来ないパルスィというのは分かるけど
死ね、がなんかとってつけたようで……
この嫁さん絶対アリスだわー俺わかっちゃったわーレイアリ読みたいわー催促ちがうわー