椛が朝起きると、寝る前に寝床に置いておいた刀が無くなっていた。そして、何故か刀を置いておいた場所に蒲鉾板が置いてあった。
ひとまず、蒲鉾板のことは置いておいて、無い無いと辺りを探してみたが見つからない。刀が無いと侵入者と戦えない、しかし、結局見つからず巡回の仕事に行く時間になってしまった。
まじめな椛は遅刻を嫌がり盾と刀の替わりに置いてあったなんだか意味のありそうな蒲鉾板を持って今日も巡回の為出勤することにした。
出勤すると、上司の天狗に睨まれた。普段ならやさしい上司なのだが、さすがに刀を持たずたてだけ持って出勤した椛を見て仕事をするつもりがないのかと思ったらしい。ちなみに、蒲鉾板は袴のポケットにしまってある。
しかし、その上司は睨んだだけで特には何も言って来なかった。異変が起きているときならば、変な侵入者とか面倒な奴等が天狗の領域に入ってくるだろう。今は特に異変も無く平和だったから、そのまま放っておくことにしたのだった。と、勝手に椛は決め付けた。
やはり、椛はそのまま盾だけ持って、持ち場の空を哨戒していたが。予想道理できょうも特に異常は無かった。精々ちょっと、珍しい迷鳥が空を飛んでいるぐらいだった。
時刻は昼になり、昼食をとろうと椛は木陰に降りた。今日は適度に暖かくてすごしやすい。
「いやいや、こんにちは! 椛、今日も元気に和洋折衷してますか?」
「え? 私は折衷してませんが? ああと、こんにちは射命丸さん」
椛が昼食のブロッコリーを茹でた奴を食べていると、空から射命丸が降りてきて話しかけてきた。どうやら、一緒に昼食をとるつもりらしい。証拠に茹でたカリフラワーの奴を弁当箱を広げて隣で食べ始めた。
「本日も相変わらず椛は、ブロッコリーですか? 変化がありませんね」
「射命丸さんのは今日は、コールラビじゃないんですね」
椛は最近なんだかブロッコリーが好きだったので、いつも食べている。それに比べ、射命丸は、コールラビに隠れて、純白のカリフラワーに浮気していた。この間まで、食感がなんとなくいいとコールラビばかり食べていたのにである。
「そういえば、いやいや、すみませんねえ」
「何がですか?」
二人はその後特に会話も無く、黙々とそれぞれの昼食を食べていると、何か思い出したのか射命丸が椛に話しかけた。
「実はですね、昨夜仲間の天狗と博打をしましてね。負けが込んでしまって、所持金が無くなってしまったんですよ」
「それが、どうしたんですか?」
サイコロの出た目を、予想する博打がカラス天狗の間で流行っていると、椛は聞いたことがあった。余り博打に良いイメージを持たないので口には出さないが少し幻滅した。そして、もしかして、それでお金を貸してくれと言うつもりなのだろうか?と思ったのである。
「それで、ですね。あなたの部屋に忍び込んで刀を質入して資金を作って取り戻そうとしたんですが、また負けちゃいましてね。刀を取られちゃいましてね」
「酷いですよ」
帰ってきた答えは、お金の貸し借りよりも余計に8割ほど酷い話だった。
「仕方が無いので、近くに蒲鉾板が落ちていたので替わりに置いておいたんですよ」
「なんの意味があるんですか?」
椛が呆れ顔をしていると、射命丸はさらに話を続けた。しれっと、していて特に悪びれる様子も無い。
「蒲鉾板の字をちょっと地面に書いてみてください」
「か、ま、ぼ、こ、い、た」
椛は納得できないけれども言われるがまま、持っていた蒲鉾板の角で地面にひらがなでかまぼこいたと書いてみた。書き終わったところで、射命丸が注文をつけてきた。
「もう一度お願いします。今度は漢字で書いて下さい」
「え? あ、はい。……蒲、鉾、板」
やはり、言われるがまま蒲鉾板の角で椛はもう一度漢字で書いてみた。結構、蒲鉾板は役に立つのだった。
「ここで注目して貰いたいのは、鉾という字です」
「これがどうしたんですか?」
持っていた箸で、射命丸は鉾という字をさした。なんだか、すごい自信満々な表情である。まるで、特だねを見つけた時に見せる表情にそれは似ていた。
「おわかりですね。鉾つまり矛、実は蒲鉾は武器だったんです。いやあははははは」
「それで、私を騙そうとしてるんですか?」
心の底から、この人は笑っているのだろうと、椛は思った。また勝手に決めつけているのだが大方当たっているようである。
「ははははは、あれ? ばれちゃいましたか?」
「ばれちゃいましたかじゃ、ありませんよ! 怒りますよ」
ちょっと、空気が悪いなと射命丸は思った。そこで、しょうがいなのでその辺にはえていた、多肉植物神刀を引き抜いて椛にわたしたのだった。
「ちょっと、根っこに土が付いていますが神刀です。なんか、神に刀と書いて神刀です。きっと、すっごい武器ですよ」
「…………」
この後、3秒後に蒲鉾板は本当に武器になったのだった。
ひとまず、蒲鉾板のことは置いておいて、無い無いと辺りを探してみたが見つからない。刀が無いと侵入者と戦えない、しかし、結局見つからず巡回の仕事に行く時間になってしまった。
まじめな椛は遅刻を嫌がり盾と刀の替わりに置いてあったなんだか意味のありそうな蒲鉾板を持って今日も巡回の為出勤することにした。
出勤すると、上司の天狗に睨まれた。普段ならやさしい上司なのだが、さすがに刀を持たずたてだけ持って出勤した椛を見て仕事をするつもりがないのかと思ったらしい。ちなみに、蒲鉾板は袴のポケットにしまってある。
しかし、その上司は睨んだだけで特には何も言って来なかった。異変が起きているときならば、変な侵入者とか面倒な奴等が天狗の領域に入ってくるだろう。今は特に異変も無く平和だったから、そのまま放っておくことにしたのだった。と、勝手に椛は決め付けた。
やはり、椛はそのまま盾だけ持って、持ち場の空を哨戒していたが。予想道理できょうも特に異常は無かった。精々ちょっと、珍しい迷鳥が空を飛んでいるぐらいだった。
時刻は昼になり、昼食をとろうと椛は木陰に降りた。今日は適度に暖かくてすごしやすい。
「いやいや、こんにちは! 椛、今日も元気に和洋折衷してますか?」
「え? 私は折衷してませんが? ああと、こんにちは射命丸さん」
椛が昼食のブロッコリーを茹でた奴を食べていると、空から射命丸が降りてきて話しかけてきた。どうやら、一緒に昼食をとるつもりらしい。証拠に茹でたカリフラワーの奴を弁当箱を広げて隣で食べ始めた。
「本日も相変わらず椛は、ブロッコリーですか? 変化がありませんね」
「射命丸さんのは今日は、コールラビじゃないんですね」
椛は最近なんだかブロッコリーが好きだったので、いつも食べている。それに比べ、射命丸は、コールラビに隠れて、純白のカリフラワーに浮気していた。この間まで、食感がなんとなくいいとコールラビばかり食べていたのにである。
「そういえば、いやいや、すみませんねえ」
「何がですか?」
二人はその後特に会話も無く、黙々とそれぞれの昼食を食べていると、何か思い出したのか射命丸が椛に話しかけた。
「実はですね、昨夜仲間の天狗と博打をしましてね。負けが込んでしまって、所持金が無くなってしまったんですよ」
「それが、どうしたんですか?」
サイコロの出た目を、予想する博打がカラス天狗の間で流行っていると、椛は聞いたことがあった。余り博打に良いイメージを持たないので口には出さないが少し幻滅した。そして、もしかして、それでお金を貸してくれと言うつもりなのだろうか?と思ったのである。
「それで、ですね。あなたの部屋に忍び込んで刀を質入して資金を作って取り戻そうとしたんですが、また負けちゃいましてね。刀を取られちゃいましてね」
「酷いですよ」
帰ってきた答えは、お金の貸し借りよりも余計に8割ほど酷い話だった。
「仕方が無いので、近くに蒲鉾板が落ちていたので替わりに置いておいたんですよ」
「なんの意味があるんですか?」
椛が呆れ顔をしていると、射命丸はさらに話を続けた。しれっと、していて特に悪びれる様子も無い。
「蒲鉾板の字をちょっと地面に書いてみてください」
「か、ま、ぼ、こ、い、た」
椛は納得できないけれども言われるがまま、持っていた蒲鉾板の角で地面にひらがなでかまぼこいたと書いてみた。書き終わったところで、射命丸が注文をつけてきた。
「もう一度お願いします。今度は漢字で書いて下さい」
「え? あ、はい。……蒲、鉾、板」
やはり、言われるがまま蒲鉾板の角で椛はもう一度漢字で書いてみた。結構、蒲鉾板は役に立つのだった。
「ここで注目して貰いたいのは、鉾という字です」
「これがどうしたんですか?」
持っていた箸で、射命丸は鉾という字をさした。なんだか、すごい自信満々な表情である。まるで、特だねを見つけた時に見せる表情にそれは似ていた。
「おわかりですね。鉾つまり矛、実は蒲鉾は武器だったんです。いやあははははは」
「それで、私を騙そうとしてるんですか?」
心の底から、この人は笑っているのだろうと、椛は思った。また勝手に決めつけているのだが大方当たっているようである。
「ははははは、あれ? ばれちゃいましたか?」
「ばれちゃいましたかじゃ、ありませんよ! 怒りますよ」
ちょっと、空気が悪いなと射命丸は思った。そこで、しょうがいなのでその辺にはえていた、多肉植物神刀を引き抜いて椛にわたしたのだった。
「ちょっと、根っこに土が付いていますが神刀です。なんか、神に刀と書いて神刀です。きっと、すっごい武器ですよ」
「…………」
この後、3秒後に蒲鉾板は本当に武器になったのだった。
最強武器?
……って、それは鎚鉾だ!(お約束)
とりあえず、椛は文を吊してもいい。許す!
それ以上でもそれ以下でもなく、かまぼこ! 食べたくなってきました。
弘法筆を選ばずと言いますから蒲鉾板も椛にとっては立派な武器でしょう
>「酷いですよ」
なんだかこのやり取りだけで満足しちゃった
そのままカマボコ板持って仕事に出かける椛もちょっと狂ってると思うけど
あやもみの雰囲気がよく出てて、いいですね。