「おはよーございます!」
早朝、元気いっぱいの声で今日も命蓮寺の周辺を掃除をする山彦の幽谷響子、
命蓮寺に入って早一年、彼女は環境にも慣れてきて、いつも以上に張り切っていた。
「お掃除終了!さて、山に行こう」
そんな彼女の日課は命蓮寺の雑用ともう一つしていることがあった。
「この辺でいいかしら?」
それは妖怪として恐れられるために、または忘れられないために、お経を読経し、人間達を驚かすことだった。
「ぎゃーてー、ぎゃーてー」
そのおかげで妖怪としての存続と威厳を取り戻し、響子にとっては、命蓮寺に入り、お経を覚えた(盗み聞きした)ことで、一石二鳥の結果となった。
「驚いてる驚いてる♪」
そんな驚いている様子を見て満足した響子は今日はこの辺にしといた。
あまりやりすぎると、白蓮に怒られるからである。
あの時も、夜雀の妖怪と一緒に真夜中のライブをやったのだが、その事が天狗の新聞と、冬に里であった対談でバレてしまい、お仕置きされてしまったからである。
「もうあのお仕置きは嫌だし…この辺にしとこ」
それなりに満足した響子は、声を張って喋ったせいか、非常に喉が渇いていた。
「何か飲み物はないかしら?」
人間にとっては危険とあまり分類されない響子は里の中にいても特に問題はなく、自由に歩けるため、よく里でもうろうろしているのだった。
「うん?」
そんな中、響子はある屋台に置かれてある飲み物に目がついた。
「なになに、コエ・・マ・ン?」
ラベルを見ようとしたが文字がかすれていて、よく読めなかった。
「お兄さん、この飲み物どうしたの?」
「うん?あぁ、それはな、川で流れていたのを拾って持ってきたんだよ」
川で拾った?ってことは外の世界の飲み物?それ以前に川で流れたものを売るのはどうかと思った響子であった・・・
「2本流れててな、1本は家族で分けて飲んでみたんだが、あんまぱっとしない味でね~まぁ、喉が渇いた時にはちょうど良かったけどな」
「喉が渇いた時・・・」
喉は渇いている、しかし、里に入った時に気づいたのだが、お金を持つのを忘れ、最初は水を探していたのだが、だんだんと我慢できなくなり、今に至ってた。
「・・・よかったらそれタダでやろうか?(目がキラキラしてるよ・・・)」
「え!?いいの?」
「あぁ、他が売れてもこれはいつまでたっても売れないからな、どうしようか考えてたんだ。せっかくだから妖怪の譲ちゃんにやるよ」
「本当!?ありがとう!ちょうどお金を忘れて困ってたところなの」
両耳をピコピコ動かして喜んでる響子、そんな姿を子供にお菓子をあげて喜んでいる姿を見ている大人のように見ている屋台のお兄さんだった。
これが事件の始まりとは知らずに・・・
仮名「文字弾幕」
お兄さんからもらった飲み物を響子はさっそく飲んでみることにした。
「色は・・・白・・・牛乳みたいな感じだね」
幻想郷ではあまり見ない透明な容器に入っていた飲み物をまじまじ見ながらも響子は口にしてみた。
「・・・あんま味がしないような」
においもしない、味もなし、まるで水を飲んでいるような感じだった。
「まぁいいか、タダでもらえたんだし」
味はなくても喉の渇きはなくなり、響子は一気に飲み干した。
「うん!喉の渇きはなくなったし、問題ないわ」
元気になった響子は試しに山に向かって叫んでみた。
「やっほ~~~~~!」
ヤッホ~~~~~!
「えっ?」
響子は驚いた、それもそうだ、何故なら自分で言った言葉が形になってカタカナで飛んでいるのだから・・・
「えっ?え~~~~~!ど、どうしよう!?」
響子は驚きながらも現実を受け止めて、山に飛んでった自分の文字を追いかけるのだった。
一方、妖怪の山では、
「おぉ~今日もいっぱい流れてるね~」
河童の河城にとりは、先日から外の世界の物がいつもよりいっぱい川に流れついているので、色々な物を採集していた。
「これは、扉?ずいぶん派手な色だね。これは、マント?何に使うかな?おぉ、次世代的な乗り物!後で解体しよう~」
いつもと違って見たことのない物ばっかで我を忘れているにとりは、天狗が叫んで「逃げて!」と言っているのも気づかずにいた。
「・・・り・・・・て!」
「うん?椛の声?また、魔理沙でも来たのかな?」
「にとり・・・て!」
「え?私?」
自分の名前を呼ばれて我に返ったにとりは、上を見上げてみた。
すると、何故だか分からないが、“ホ”と言う文字が川に向かって飛んできていた・・・
「逃げ・・!いや!避けて!」
「ひゅい!?」
間一髪で右に跳ね、避けることに成功したにとり、“ホ”は川に落ち、大きくバシャーンとなった。
「まったく・・・物に夢中になるからこうなるのよ」
「はは・・・助かったよ椛・・・」
にとりの前に立った下っ端天狗、犬走椛は、にとりに注意をしながら川にある“ホ”を見つめていた。
「それにしても・・・あれはなんなのかしら?千里眼で見たら里の方から飛んできたけど?」
「里から?そんな能力持っている奴いたっけ?」
「分からないわ、文が書いた新聞にもそんな能力を持っている妖怪はいないはずだし、新しい妖怪のしわざかしら?」
仮にそうだとしてもありえないと考えてしまう椛、今まで色々な弾幕を見てきたが、こんな弾幕は初めてであったからだ。
考えてる中、椛はある気配に気がづいた。
「あれは?寺の妖怪かしら?」
椛の見る方向には、先ほど山に向かって飛んだ響子が慌てながら飛んでいた。
「うん?あぁ、山彦だよ、最近、お経を唱えたり、夜に騒音出したりしているよ」
「何だかやけに慌てているわね・・・」
椛達に気づいたのか、響子は川の方に向かった。
「すいません~この辺に文字とか飛んでいないかしらああああああ~!」
降りてそうそう、響子は川にある“ホ”を見ると、顔を青ざめて頭を抱えていた。
「あ・・・やっちゃった・・・やらかしちゃったよ・・・どうしよう・・・」
「えっ?ちょっと大丈夫か!?急に顔を青くして!」
「・・・どうやら犯人を探す手間はかからないようね」
頭を抱えている響子に心配し近づいたにとり、そんな中、椛は彼女が起こしたことだと確信し、落ち着くまで待つことにしたのだった。
10分後、
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「あぁ、もうそんなに謝らなくっていいから、怒ってないから」
「・・・いじめない?」
「うん、いじめないよ」
やっと落ち着きを取り戻した響子は、涙目になりながらもにとり達にさっきあった出来事を話した。
「う~ん、話を聞くと、その飲み物に何かあると考えるのが解決に繋がりそうだね」
「こういうのは一度試してみるのが手っ取り早いわ。響子だっけ?もう一回、里でやったように試してみて」
「え?でも・・・」
「あ~そうね、空に向かって一文字だけ、大きく叫んでみて」
「・・・分かったわ」
原因を確信にするために、椛はもう一度やるようにと響子に頼み、この目で確かめることにしたのだった。
「あ・・・そういえば、何て言った方がいいかな?」
「普通に“ア”でいいんじゃないかしら?」
「え~、それじゃ危ないよ~、“イ”の方が“ア”より安全だと思うよ」
「・・・そもそも、文字を出すのに危ないどうこうの話じゃないと思うわ・・・」
「・・・そうだった」
「・・・そうね」
響子の言葉に納得し、結局、一番安全?な“へ”にすることにしたのだった。
「じゃ、いくよ・・・・・へ!」
言った瞬間、空に“ヘ”が飛び、そのまま空に向かう・・・
と思いきや、落ちてきた。
「あ!落ちてくるわ!」
「私に任せて!」
そう言うと、椛は剣を持ち構え、空を飛び、“ヘ”に向かって大きく剣を振った。
すると、“ヘ”は真っ二つに割れ、まだ川にある“ホ”の方に落ちていった。
「はぁ・・・後で川の掃除をしないとね」
「私も手伝うわ、私の責任でもあるし・・・」
ため息をついているにとりに対し、響子は反省の顔で言った。
「ふぅ~、普通の弾幕よりは固い方だったわ」
剣をしまい、地についた椛は、斬った感想を言った。
「固いのか?確かに見た目はそんな感じがするけど」
「正直、こんなのがいっぱい放たれたら私じゃ手に負えられないぐらいだったわ」
下っ端であっても天狗に変わりない椛、その椛が言うぐらいなのだから確かなのだろう。
「さて、これで真相が分かったとして、問題は他の文字はどこに飛んだかだね」
響子が叫んだのは、“ヤッホ~~~~~!”
そうなると、後、“~”や“!”を入れなくても、“ヤ”と“ッ”がどっかに落ちていることになる。
「私達だったから良かったとして、他の場所に飛んでったのは最悪の場合を考えると・・・」
にとりの予想は正しかったのか・・・
そんなことを考えていると・・・
「成程・・・そういうことだったのですね・・・」
「「「!?」」」
殺気を感じ、三人は後ろを振り向くと、現人神の東風谷早苗が笑った顔で立っていた。
「さ、早苗!?どうしたの?そんな怖い顔して・・・」
顔は笑っているが、目は笑っていない・・・
それを見たにとりは驚いた顔で聞き、椛はどこか諦めた顔をしていて、響子は椛の後ろに隠れて怯えていた(←去年のトラウマを思い出してしまった)
「あなた達ですね!神社にカタカナの“ヤ”を飛ばしたのは!」
「・・・よりによって山の神様の神社か・・・はぁ~・・・」
椛はこれから起こることを予想できたからか、面倒事が増えたと思い、余計にあきらめモードにはいっていた。
「さぁ・・・覚悟はできていますよね・・・今日は妖怪退治日和です。三人まとめて退治してあげます!」
「わ、私も!」
「予想通りだわ・・・」
「また・・・いじめられるの・・・」
三人とも思っていることは違うが、今から行われることは理解できた。
「っ!仕方ない!三人で戦えばなんとかなるでしょ!」
「三対一・・・これは負けられないわ!私達関係ないけどね!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい(私、足手まといじゃない・・・二人に申し訳ないわ・・・)」
それぞれ、意思は違うが、三人は覚悟を決めたのだった・・・
「いきますよ、大人しく退治されて下さいね!」
「今回だけは、そうはいかないわ!(私達関係ないし!)にとり、響子、援護よろしく頼むわ!」
「分かった!」
「りょ、了解です」
四人は戦闘態勢にはいり、全員、相手の動きを見た・・・
三対一なんて滅多に見られないし、そもそも見ない、でも、早苗と対等に戦うならばこうでもしなきゃ勝ち目はないだろう・・・
そんな中、先に動いたのは早苗だった。
御籤「乱れおみくじ連続引き」
ポケットからスペルカードを出し、たくさんのおみくじが響子達を襲った。
「おみくじって・・・いきなり運まかせかよ!」
「時には運も必要なんです!霊夢さんだってそうやってきたんですから!」
「(霊夢は勘でしょ・・・)」
「(巫女は勘だわ・・・)」
心でそう思いながらもにとりと椛は、大吉、吉、凶、大凶を避けながら早苗に向かって弾幕を放った。
対する早苗も二人の弾幕を避けながらも三人に向かって、札を放った。
「(どうしよう!?避けるので精いっぱいだよ・・・)」
そんな中、響子は早苗の放った札を避けるのがやっとのことできるぐらいで、二人の援護をすることができないでいた。
比べてしまえば、響子は三人より戦闘慣れしてないし、かなり不利な状態でいた。
「(どうしよう・・・このままだと・・・)」
山窩「エクスペリーズカナン」
水符「ウォーターカーペット」
前の二人は必死に戦いながらも、早苗と対等に戦えていたが、早苗は先ほどより動きが良くなっていた。
「ちょっと!前より強くなってない!?」
「魔理沙さん直伝の妖怪退治の仕方です。今の私は、二人に対等に戦えるぐらい強いんです」
「魔理沙め~余計なこと教えやがって~」
「今は集中して!ちょっとでも油断したら被弾するわよ!」
「大丈夫だよ、これでも魔理沙の弾幕でそれなりに鍛えたんだから!」
「それもそこまでです!秘法「九字刺し」」
そう言うと、大きな星型の弾幕がにとり達に向かい、放たれた。
「っ!これは避けれそうもないわね・・・」
「(あ!このままだと二人とも・・・)」
私は何もできずに見てるだけなのか、そんなの嫌だ、
二人は私のやってしまった失敗に巻き込まれているだけ・・・
せめて二人だけは・・・
そう思い響子は一瞬の隙を狙っていた・・・
「っ!今なら!」
響子は早苗の弾幕のわずかな隙間に向かって弾幕を放った。
すると・・・
「えっ!?きゃ!」
早苗に向けた弾幕は途中で変化して、“ハ”になり、早苗に向かって飛んでった。
「あ、そうだわ!今なら可能じゃない!」
響子の能力は音を反射させる程度の能力。
そして、今の響子は、音を具現化できる。
それらを合わせれば・・・
「・・・勝てるかも!」
もう、怯えることもなく、響子は自信のついた目でいた。
「あれ?何か目つきが変わった?」
「あの顔・・・何か策があるようね」
二人は響子の顔を見たからか、響子に合わし、真剣な顔になった。
「今の弾幕は・・・成程、あなたが犯人ですね」
「犯人って・・・人聞きの悪いことを言うわね・・・まぁいいわ、今の私なら何とかなれそうだわ!」
「その自身も今すぐになくしてあげますよ!」
そう言うと早苗は、響子に向かいスペルカードを唱えようとしていた。
「唱える前に私が!」
そう言うと、響子もスペルカードを取り出し、スペルカードを取り出した。
奇跡「弘安の神風」
大声「チャージドクライ」
ほぼ二人同時だった・・・
二人の弾幕は互いにぶつかり合い、周りは風が吹き荒れていた。
「おぉ!すごいね!早苗の弾幕と互角だよ!」
「見てないで私達も援護するわよ!」
にとりや椛も響子を援護しようとしていた。
だが、その必要はなかった。
「っ!これは!?」
最初は早苗が有利だった。
そして、響子の弾幕は最初は早苗が経験したことのあるスペルカードだった。
しかし、響子の声が大きくなるにつれて状況が変わった・・・
「そ・・そんなわけ・・・きゃああ~!」
そこには弾幕といっしょに具現化した文字がいっしょに放たれ、具現化した文字が早苗に直撃して、早苗はカタカナの文字に埋め尽くされてしまったのだった。
「はぁ~・・・はぁ~・・・」
疲れたのか、響子はふらふらと空から地面につき、川辺で大の字になって寝込んだ。
「す、すごいよ響子!早苗に勝ったんだよ!」
「私が・・・勝った・・・?」
「そうよ、それにしても、あれを利用するとは思わなかったわ、あなたの能力にぴったりじゃない」
「私も、そう思って試したんだけど、うまくいって良かったわ・・・」
響子はどこか満足した顔で言った。
そして、真剣な顔で二人に謝った。
「ごめんね・・・最初から今にいたるまで迷惑かけっぱなしで・・・」
「そんなことないよ、最後はお前に救われたし、まぁこれでおあいこってことで」
「私もそれでいいわ、結果はどうあれ、私達は勝てたし、結果オーライってことで」
「・・・ありがとうございます」
響子は自然と笑った。
にとりや椛も自然と笑い、勝負に勝ったことに喜びを感じあったのであった。
「(う~、私は無視ですか・・・早くここから出して下さい!)」
その後、川にある文字を片づけようとしたが、川には文字はなく、文字に埋まっていた早苗も無事に助かった。
ついでに早苗にもこうなった原因を話したのはいいのだが、話した途端、急に「ちょっと調べたいことがあるので失礼します!」と言ってすぐに神社に向かって飛んでいってしまった。
文字もないので、川の掃除をする必要がなくなっため、にとりは改めて川に流れている物の採集を始めることにした。
響子はまだ、申し訳ない気持ちがあるためか、にとりの採集を手伝うことにしたのだった。
椛にもにとりは誘ったのだが、「ちょっと調べたいことがあるからこれで失礼するわ」っと天狗の山の方に飛ぼうとする前に、「私は基本この辺にいるからまた今度ね」と言って飛んでいったのであった。
響子の日記
あの時はは非常に波乱万丈だった。
でも、そのおかげで河童のにとりと狼天狗の椛と仲良く出来たから、悪くない一日だった。
あの後、にとりといっしょに外の世界の物の採集をしていたけど、変な形をした黄色い風車や、ボックスなどが流れていたけど、結局、何なんだろう?
にとりによると、早苗が「後、少し待ってて下さい!全部説明しますので!」とのことで、まだ、使い方が分からないようだ。
私は、個人的には、あの時飲んだ飲み物について知りたいけど、それも分かるのかな?
まぁ、分かったとしても、もう飲むことはないだろう。
私の考えだけど、あれは大声で出すと文字が具現化する、すなわち、効果が切れるまでは声を大きく出せないってことだ。
私は普段、声を大きく出すので、正直もう飲みたくない、でも、戦闘の時に使えれば便利だな~とも考えてしまうのだった。
文字が消えた時に試しに大声出しても文字が具現化することはなかったので、効果には時間があることが分かった。
椛の話によると、残りの“ッ”は天狗の住んでいる山に飛んでいたようで、山に着いた時にはもう消えていたようだ。
それを聞いて私は正直、怯えたわ、天狗にでも襲われたら勝ち目ないもの・・・。
けれど、そこは椛のおかげでうまくごまかし通し、何なく終わった。
私はまた救われたのだ。
今度は椛の手伝いをしたいな・・・
そう思いながらも今日も一日、お寺の掃除、頑張りたいと思います!
「早苗~もう夕飯だよ~そろそろ出てきたら~」
「いえ、諏訪子様、もう少し、もう少しなんです!あと少しだけお待ち下さい!」
「神社に文字が飛んできて、戻って来てからこれだよ・・・いったいどうしたんだろう?」
「それがね、早苗が自室に戻る時に聞こえたんだけど、どうやら“また”気になることがあったみたいで、それを探しているそうよ」
「“また”?そういえば、一時期早苗の部屋は歴史の教科書や資料が散らばってたね」
「神子が現れた時ね、あの時も帰って来てすぐ、部屋に戻ってしばらく出てこなかったからびっくりしたわ」
「ってことは、今回も?」
「それがね、今回は漫画を探しているそうなのよ」
「漫画?漫画何か探してどうするんだろう?」
「こればっかりは早苗しか分からないわ。出来ればそろそろ終わって欲しいけどね・・・」
「(あったあああああああああああああああああああああ!)」
「「・・・」」
そのころ、早苗はネコ型ロボットの漫画を数冊持ってきて、にとりと話していた。
「あの、ピンクの扉に、空を飛べる機械、そして、過去や未来にいけるマシン!そうこれはまさしく・・・」
早苗が持ってきた漫画にこんな道具の説明があった、
「薬の一種。これを飲んで声を出すと、その声がカタカナの形になって出てくる」と。
そういえば、あの能力、名前を付けるとしたら何て言おうかしら?
そうだな~、仮名「文字弾幕」とか、何てね~
早朝、元気いっぱいの声で今日も命蓮寺の周辺を掃除をする山彦の幽谷響子、
命蓮寺に入って早一年、彼女は環境にも慣れてきて、いつも以上に張り切っていた。
「お掃除終了!さて、山に行こう」
そんな彼女の日課は命蓮寺の雑用ともう一つしていることがあった。
「この辺でいいかしら?」
それは妖怪として恐れられるために、または忘れられないために、お経を読経し、人間達を驚かすことだった。
「ぎゃーてー、ぎゃーてー」
そのおかげで妖怪としての存続と威厳を取り戻し、響子にとっては、命蓮寺に入り、お経を覚えた(盗み聞きした)ことで、一石二鳥の結果となった。
「驚いてる驚いてる♪」
そんな驚いている様子を見て満足した響子は今日はこの辺にしといた。
あまりやりすぎると、白蓮に怒られるからである。
あの時も、夜雀の妖怪と一緒に真夜中のライブをやったのだが、その事が天狗の新聞と、冬に里であった対談でバレてしまい、お仕置きされてしまったからである。
「もうあのお仕置きは嫌だし…この辺にしとこ」
それなりに満足した響子は、声を張って喋ったせいか、非常に喉が渇いていた。
「何か飲み物はないかしら?」
人間にとっては危険とあまり分類されない響子は里の中にいても特に問題はなく、自由に歩けるため、よく里でもうろうろしているのだった。
「うん?」
そんな中、響子はある屋台に置かれてある飲み物に目がついた。
「なになに、コエ・・マ・ン?」
ラベルを見ようとしたが文字がかすれていて、よく読めなかった。
「お兄さん、この飲み物どうしたの?」
「うん?あぁ、それはな、川で流れていたのを拾って持ってきたんだよ」
川で拾った?ってことは外の世界の飲み物?それ以前に川で流れたものを売るのはどうかと思った響子であった・・・
「2本流れててな、1本は家族で分けて飲んでみたんだが、あんまぱっとしない味でね~まぁ、喉が渇いた時にはちょうど良かったけどな」
「喉が渇いた時・・・」
喉は渇いている、しかし、里に入った時に気づいたのだが、お金を持つのを忘れ、最初は水を探していたのだが、だんだんと我慢できなくなり、今に至ってた。
「・・・よかったらそれタダでやろうか?(目がキラキラしてるよ・・・)」
「え!?いいの?」
「あぁ、他が売れてもこれはいつまでたっても売れないからな、どうしようか考えてたんだ。せっかくだから妖怪の譲ちゃんにやるよ」
「本当!?ありがとう!ちょうどお金を忘れて困ってたところなの」
両耳をピコピコ動かして喜んでる響子、そんな姿を子供にお菓子をあげて喜んでいる姿を見ている大人のように見ている屋台のお兄さんだった。
これが事件の始まりとは知らずに・・・
仮名「文字弾幕」
お兄さんからもらった飲み物を響子はさっそく飲んでみることにした。
「色は・・・白・・・牛乳みたいな感じだね」
幻想郷ではあまり見ない透明な容器に入っていた飲み物をまじまじ見ながらも響子は口にしてみた。
「・・・あんま味がしないような」
においもしない、味もなし、まるで水を飲んでいるような感じだった。
「まぁいいか、タダでもらえたんだし」
味はなくても喉の渇きはなくなり、響子は一気に飲み干した。
「うん!喉の渇きはなくなったし、問題ないわ」
元気になった響子は試しに山に向かって叫んでみた。
「やっほ~~~~~!」
ヤッホ~~~~~!
「えっ?」
響子は驚いた、それもそうだ、何故なら自分で言った言葉が形になってカタカナで飛んでいるのだから・・・
「えっ?え~~~~~!ど、どうしよう!?」
響子は驚きながらも現実を受け止めて、山に飛んでった自分の文字を追いかけるのだった。
一方、妖怪の山では、
「おぉ~今日もいっぱい流れてるね~」
河童の河城にとりは、先日から外の世界の物がいつもよりいっぱい川に流れついているので、色々な物を採集していた。
「これは、扉?ずいぶん派手な色だね。これは、マント?何に使うかな?おぉ、次世代的な乗り物!後で解体しよう~」
いつもと違って見たことのない物ばっかで我を忘れているにとりは、天狗が叫んで「逃げて!」と言っているのも気づかずにいた。
「・・・り・・・・て!」
「うん?椛の声?また、魔理沙でも来たのかな?」
「にとり・・・て!」
「え?私?」
自分の名前を呼ばれて我に返ったにとりは、上を見上げてみた。
すると、何故だか分からないが、“ホ”と言う文字が川に向かって飛んできていた・・・
「逃げ・・!いや!避けて!」
「ひゅい!?」
間一髪で右に跳ね、避けることに成功したにとり、“ホ”は川に落ち、大きくバシャーンとなった。
「まったく・・・物に夢中になるからこうなるのよ」
「はは・・・助かったよ椛・・・」
にとりの前に立った下っ端天狗、犬走椛は、にとりに注意をしながら川にある“ホ”を見つめていた。
「それにしても・・・あれはなんなのかしら?千里眼で見たら里の方から飛んできたけど?」
「里から?そんな能力持っている奴いたっけ?」
「分からないわ、文が書いた新聞にもそんな能力を持っている妖怪はいないはずだし、新しい妖怪のしわざかしら?」
仮にそうだとしてもありえないと考えてしまう椛、今まで色々な弾幕を見てきたが、こんな弾幕は初めてであったからだ。
考えてる中、椛はある気配に気がづいた。
「あれは?寺の妖怪かしら?」
椛の見る方向には、先ほど山に向かって飛んだ響子が慌てながら飛んでいた。
「うん?あぁ、山彦だよ、最近、お経を唱えたり、夜に騒音出したりしているよ」
「何だかやけに慌てているわね・・・」
椛達に気づいたのか、響子は川の方に向かった。
「すいません~この辺に文字とか飛んでいないかしらああああああ~!」
降りてそうそう、響子は川にある“ホ”を見ると、顔を青ざめて頭を抱えていた。
「あ・・・やっちゃった・・・やらかしちゃったよ・・・どうしよう・・・」
「えっ?ちょっと大丈夫か!?急に顔を青くして!」
「・・・どうやら犯人を探す手間はかからないようね」
頭を抱えている響子に心配し近づいたにとり、そんな中、椛は彼女が起こしたことだと確信し、落ち着くまで待つことにしたのだった。
10分後、
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「あぁ、もうそんなに謝らなくっていいから、怒ってないから」
「・・・いじめない?」
「うん、いじめないよ」
やっと落ち着きを取り戻した響子は、涙目になりながらもにとり達にさっきあった出来事を話した。
「う~ん、話を聞くと、その飲み物に何かあると考えるのが解決に繋がりそうだね」
「こういうのは一度試してみるのが手っ取り早いわ。響子だっけ?もう一回、里でやったように試してみて」
「え?でも・・・」
「あ~そうね、空に向かって一文字だけ、大きく叫んでみて」
「・・・分かったわ」
原因を確信にするために、椛はもう一度やるようにと響子に頼み、この目で確かめることにしたのだった。
「あ・・・そういえば、何て言った方がいいかな?」
「普通に“ア”でいいんじゃないかしら?」
「え~、それじゃ危ないよ~、“イ”の方が“ア”より安全だと思うよ」
「・・・そもそも、文字を出すのに危ないどうこうの話じゃないと思うわ・・・」
「・・・そうだった」
「・・・そうね」
響子の言葉に納得し、結局、一番安全?な“へ”にすることにしたのだった。
「じゃ、いくよ・・・・・へ!」
言った瞬間、空に“ヘ”が飛び、そのまま空に向かう・・・
と思いきや、落ちてきた。
「あ!落ちてくるわ!」
「私に任せて!」
そう言うと、椛は剣を持ち構え、空を飛び、“ヘ”に向かって大きく剣を振った。
すると、“ヘ”は真っ二つに割れ、まだ川にある“ホ”の方に落ちていった。
「はぁ・・・後で川の掃除をしないとね」
「私も手伝うわ、私の責任でもあるし・・・」
ため息をついているにとりに対し、響子は反省の顔で言った。
「ふぅ~、普通の弾幕よりは固い方だったわ」
剣をしまい、地についた椛は、斬った感想を言った。
「固いのか?確かに見た目はそんな感じがするけど」
「正直、こんなのがいっぱい放たれたら私じゃ手に負えられないぐらいだったわ」
下っ端であっても天狗に変わりない椛、その椛が言うぐらいなのだから確かなのだろう。
「さて、これで真相が分かったとして、問題は他の文字はどこに飛んだかだね」
響子が叫んだのは、“ヤッホ~~~~~!”
そうなると、後、“~”や“!”を入れなくても、“ヤ”と“ッ”がどっかに落ちていることになる。
「私達だったから良かったとして、他の場所に飛んでったのは最悪の場合を考えると・・・」
にとりの予想は正しかったのか・・・
そんなことを考えていると・・・
「成程・・・そういうことだったのですね・・・」
「「「!?」」」
殺気を感じ、三人は後ろを振り向くと、現人神の東風谷早苗が笑った顔で立っていた。
「さ、早苗!?どうしたの?そんな怖い顔して・・・」
顔は笑っているが、目は笑っていない・・・
それを見たにとりは驚いた顔で聞き、椛はどこか諦めた顔をしていて、響子は椛の後ろに隠れて怯えていた(←去年のトラウマを思い出してしまった)
「あなた達ですね!神社にカタカナの“ヤ”を飛ばしたのは!」
「・・・よりによって山の神様の神社か・・・はぁ~・・・」
椛はこれから起こることを予想できたからか、面倒事が増えたと思い、余計にあきらめモードにはいっていた。
「さぁ・・・覚悟はできていますよね・・・今日は妖怪退治日和です。三人まとめて退治してあげます!」
「わ、私も!」
「予想通りだわ・・・」
「また・・・いじめられるの・・・」
三人とも思っていることは違うが、今から行われることは理解できた。
「っ!仕方ない!三人で戦えばなんとかなるでしょ!」
「三対一・・・これは負けられないわ!私達関係ないけどね!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい(私、足手まといじゃない・・・二人に申し訳ないわ・・・)」
それぞれ、意思は違うが、三人は覚悟を決めたのだった・・・
「いきますよ、大人しく退治されて下さいね!」
「今回だけは、そうはいかないわ!(私達関係ないし!)にとり、響子、援護よろしく頼むわ!」
「分かった!」
「りょ、了解です」
四人は戦闘態勢にはいり、全員、相手の動きを見た・・・
三対一なんて滅多に見られないし、そもそも見ない、でも、早苗と対等に戦うならばこうでもしなきゃ勝ち目はないだろう・・・
そんな中、先に動いたのは早苗だった。
御籤「乱れおみくじ連続引き」
ポケットからスペルカードを出し、たくさんのおみくじが響子達を襲った。
「おみくじって・・・いきなり運まかせかよ!」
「時には運も必要なんです!霊夢さんだってそうやってきたんですから!」
「(霊夢は勘でしょ・・・)」
「(巫女は勘だわ・・・)」
心でそう思いながらもにとりと椛は、大吉、吉、凶、大凶を避けながら早苗に向かって弾幕を放った。
対する早苗も二人の弾幕を避けながらも三人に向かって、札を放った。
「(どうしよう!?避けるので精いっぱいだよ・・・)」
そんな中、響子は早苗の放った札を避けるのがやっとのことできるぐらいで、二人の援護をすることができないでいた。
比べてしまえば、響子は三人より戦闘慣れしてないし、かなり不利な状態でいた。
「(どうしよう・・・このままだと・・・)」
山窩「エクスペリーズカナン」
水符「ウォーターカーペット」
前の二人は必死に戦いながらも、早苗と対等に戦えていたが、早苗は先ほどより動きが良くなっていた。
「ちょっと!前より強くなってない!?」
「魔理沙さん直伝の妖怪退治の仕方です。今の私は、二人に対等に戦えるぐらい強いんです」
「魔理沙め~余計なこと教えやがって~」
「今は集中して!ちょっとでも油断したら被弾するわよ!」
「大丈夫だよ、これでも魔理沙の弾幕でそれなりに鍛えたんだから!」
「それもそこまでです!秘法「九字刺し」」
そう言うと、大きな星型の弾幕がにとり達に向かい、放たれた。
「っ!これは避けれそうもないわね・・・」
「(あ!このままだと二人とも・・・)」
私は何もできずに見てるだけなのか、そんなの嫌だ、
二人は私のやってしまった失敗に巻き込まれているだけ・・・
せめて二人だけは・・・
そう思い響子は一瞬の隙を狙っていた・・・
「っ!今なら!」
響子は早苗の弾幕のわずかな隙間に向かって弾幕を放った。
すると・・・
「えっ!?きゃ!」
早苗に向けた弾幕は途中で変化して、“ハ”になり、早苗に向かって飛んでった。
「あ、そうだわ!今なら可能じゃない!」
響子の能力は音を反射させる程度の能力。
そして、今の響子は、音を具現化できる。
それらを合わせれば・・・
「・・・勝てるかも!」
もう、怯えることもなく、響子は自信のついた目でいた。
「あれ?何か目つきが変わった?」
「あの顔・・・何か策があるようね」
二人は響子の顔を見たからか、響子に合わし、真剣な顔になった。
「今の弾幕は・・・成程、あなたが犯人ですね」
「犯人って・・・人聞きの悪いことを言うわね・・・まぁいいわ、今の私なら何とかなれそうだわ!」
「その自身も今すぐになくしてあげますよ!」
そう言うと早苗は、響子に向かいスペルカードを唱えようとしていた。
「唱える前に私が!」
そう言うと、響子もスペルカードを取り出し、スペルカードを取り出した。
奇跡「弘安の神風」
大声「チャージドクライ」
ほぼ二人同時だった・・・
二人の弾幕は互いにぶつかり合い、周りは風が吹き荒れていた。
「おぉ!すごいね!早苗の弾幕と互角だよ!」
「見てないで私達も援護するわよ!」
にとりや椛も響子を援護しようとしていた。
だが、その必要はなかった。
「っ!これは!?」
最初は早苗が有利だった。
そして、響子の弾幕は最初は早苗が経験したことのあるスペルカードだった。
しかし、響子の声が大きくなるにつれて状況が変わった・・・
「そ・・そんなわけ・・・きゃああ~!」
そこには弾幕といっしょに具現化した文字がいっしょに放たれ、具現化した文字が早苗に直撃して、早苗はカタカナの文字に埋め尽くされてしまったのだった。
「はぁ~・・・はぁ~・・・」
疲れたのか、響子はふらふらと空から地面につき、川辺で大の字になって寝込んだ。
「す、すごいよ響子!早苗に勝ったんだよ!」
「私が・・・勝った・・・?」
「そうよ、それにしても、あれを利用するとは思わなかったわ、あなたの能力にぴったりじゃない」
「私も、そう思って試したんだけど、うまくいって良かったわ・・・」
響子はどこか満足した顔で言った。
そして、真剣な顔で二人に謝った。
「ごめんね・・・最初から今にいたるまで迷惑かけっぱなしで・・・」
「そんなことないよ、最後はお前に救われたし、まぁこれでおあいこってことで」
「私もそれでいいわ、結果はどうあれ、私達は勝てたし、結果オーライってことで」
「・・・ありがとうございます」
響子は自然と笑った。
にとりや椛も自然と笑い、勝負に勝ったことに喜びを感じあったのであった。
「(う~、私は無視ですか・・・早くここから出して下さい!)」
その後、川にある文字を片づけようとしたが、川には文字はなく、文字に埋まっていた早苗も無事に助かった。
ついでに早苗にもこうなった原因を話したのはいいのだが、話した途端、急に「ちょっと調べたいことがあるので失礼します!」と言ってすぐに神社に向かって飛んでいってしまった。
文字もないので、川の掃除をする必要がなくなっため、にとりは改めて川に流れている物の採集を始めることにした。
響子はまだ、申し訳ない気持ちがあるためか、にとりの採集を手伝うことにしたのだった。
椛にもにとりは誘ったのだが、「ちょっと調べたいことがあるからこれで失礼するわ」っと天狗の山の方に飛ぼうとする前に、「私は基本この辺にいるからまた今度ね」と言って飛んでいったのであった。
響子の日記
あの時はは非常に波乱万丈だった。
でも、そのおかげで河童のにとりと狼天狗の椛と仲良く出来たから、悪くない一日だった。
あの後、にとりといっしょに外の世界の物の採集をしていたけど、変な形をした黄色い風車や、ボックスなどが流れていたけど、結局、何なんだろう?
にとりによると、早苗が「後、少し待ってて下さい!全部説明しますので!」とのことで、まだ、使い方が分からないようだ。
私は、個人的には、あの時飲んだ飲み物について知りたいけど、それも分かるのかな?
まぁ、分かったとしても、もう飲むことはないだろう。
私の考えだけど、あれは大声で出すと文字が具現化する、すなわち、効果が切れるまでは声を大きく出せないってことだ。
私は普段、声を大きく出すので、正直もう飲みたくない、でも、戦闘の時に使えれば便利だな~とも考えてしまうのだった。
文字が消えた時に試しに大声出しても文字が具現化することはなかったので、効果には時間があることが分かった。
椛の話によると、残りの“ッ”は天狗の住んでいる山に飛んでいたようで、山に着いた時にはもう消えていたようだ。
それを聞いて私は正直、怯えたわ、天狗にでも襲われたら勝ち目ないもの・・・。
けれど、そこは椛のおかげでうまくごまかし通し、何なく終わった。
私はまた救われたのだ。
今度は椛の手伝いをしたいな・・・
そう思いながらも今日も一日、お寺の掃除、頑張りたいと思います!
「早苗~もう夕飯だよ~そろそろ出てきたら~」
「いえ、諏訪子様、もう少し、もう少しなんです!あと少しだけお待ち下さい!」
「神社に文字が飛んできて、戻って来てからこれだよ・・・いったいどうしたんだろう?」
「それがね、早苗が自室に戻る時に聞こえたんだけど、どうやら“また”気になることがあったみたいで、それを探しているそうよ」
「“また”?そういえば、一時期早苗の部屋は歴史の教科書や資料が散らばってたね」
「神子が現れた時ね、あの時も帰って来てすぐ、部屋に戻ってしばらく出てこなかったからびっくりしたわ」
「ってことは、今回も?」
「それがね、今回は漫画を探しているそうなのよ」
「漫画?漫画何か探してどうするんだろう?」
「こればっかりは早苗しか分からないわ。出来ればそろそろ終わって欲しいけどね・・・」
「(あったあああああああああああああああああああああ!)」
「「・・・」」
そのころ、早苗はネコ型ロボットの漫画を数冊持ってきて、にとりと話していた。
「あの、ピンクの扉に、空を飛べる機械、そして、過去や未来にいけるマシン!そうこれはまさしく・・・」
早苗が持ってきた漫画にこんな道具の説明があった、
「薬の一種。これを飲んで声を出すと、その声がカタカナの形になって出てくる」と。
そういえば、あの能力、名前を付けるとしたら何て言おうかしら?
そうだな~、仮名「文字弾幕」とか、何てね~
知らない場合はどうだろうと考えると、ちょっと描写不足感が否めませんでした。
一応未知の物体であるのに、椛が平然と「切り払える」と決め付け対応している姿も疑問点。
椛が「ホ」の字に対して、もうちょっと触れて置いて欲しかった所。
作品の肝でもある弾幕描写は、頑張って欲しかったなぁ……
小事を扱い、響子がにとり・椛と知り合ったエピソードとしては、綺麗に纏められていたと思います。