・求聞口授の設定をほんの少し使用しています。
◆
昼過ぎから読んでいた書物を放り出して一つ、伸びをした。
夏といえば暑さ、そして、蝉の喚き声。それはここ無縁塚でも変わらない。
そろそろ夏も終わりだというのに、相変わらず暑苦しい。
こう暑苦しいと小屋から出る気も失せる。畑仕事などもってのほかだ。
そんなわけで特に日差しが強まる午後は、晴耕雨読ならぬ、曇耕晴読と洒落込んでいたわけだ。
一度放り出した書物を再び手に取って、ぱらぱらとめくる。読んでいたのは「求聞口授」。
人里に買い物に立ち寄ったときに並んでいたのを、新入りとしての郷の中での立ち回りの参考になるかと一冊買ったものだ。
実は私もこの本の中で紹介されている。それも、居丈高に接すれば何でも言うことを聞かせられるなんて失礼なデマとともに。
このせいで出版当初は妙に無礼な客が多くて閉口したものだ。
高圧的な振る舞いは、確かに相手によっては有効な交渉方法になる。だが、彼らは、そして稗田阿求も一つ大きな勘違いをしていた。交渉ごとの基本中の基本だ。恫喝は、自分より弱い者が相手じゃないと意味が無い。
そんなふうに、内容には著者の偏見や誤解が多かったようで、当初思っていたような他の大妖怪の予習や対策には使えなかった。が、この半年間私の暇を良く潰してくれた。
稗田家が代々編纂しているというこの書物は、本来は人間の為に書かれているものだそうだ。この幻想郷という地に於いて、対策を持たずに妖怪と相対するのは危険だったからだろう。しかし、今は私などの妖怪でも、人里に行けば容易に手に入れることが出来る。
まるで、妖怪と人間との間には種族の違いしか存在しない、とでも言うように。
求聞史紀、求聞口授を初めとする記録によると、幻想郷は次第にその在りようを変貌させていったようだ。
絶対的な立場の差だったものが、相対的な個性の違いに。そして、喰うか喰われるかだった両者の関係は、今ではルールに則った安全な競技に。
今はどうなのかと尋ねれば、妖怪も人間もきっと「平和で安全になった」と答えるはずだ。
おそらくこの書物の著者、稗田阿求も幻想郷は平和だと思っている一人だろう。
私は過去の幻想郷を知らない。決闘法の導入にも紆余曲折があったらしいが、それも知らない。
だが、今の幻想郷は住みよい所だと思う。命の危険も、存在が脅かされることもない。
外に居た頃と違い、大きな耳や隠そうにも隠しきれない尻尾、そういうもので住処を追われることもない。
我々の寺も大きな摩擦もなく受け入れられているようだし、妖怪寺と罵られ、排斥されることもない。
私たちは此処に来て良かったと、そう思って良いのだろう。聖の理想とは、まだ、ほんの少しすれ違っているようだけど。
いつの間にか、手元がかなり暗くなっていた。軽く眺めるだけのつもりが、随分没頭していたようだ。
稗田阿求という人間は、観察眼こそないが、文才はあるらしい。
窓の外を覗くと、太陽がちょうど山の稜線の向こうへ沈むところだった。
真っ赤に染まる夕焼けに目を凝らすと、カラスか何かの黒いシルエットが浮かんでいるのも見える。昼間のうだるような暑さは、今はすっかり影を潜めていた。
ひやりと冷たい風が私の頬を撫でた。もうすぐ秋が来るのかもしれなかった。
◆
床に就く前にそんなものを読んでいたからか、夢を見た。
秋の神様の姉妹、そして、降りしきる雨の夢。
狭く薄暗い部屋に二人は寄り添って居た。窓の外には大粒の雨、それから鬱蒼と繁った木々が見える。
雰囲気から、きっと妖怪の山の中腹辺りなのだろうと思った。
自分たちに信仰心が集まらない季節は、この小屋で二人で生活しているのだろう。
硝子の無い小窓からは容赦なく風雨が吹き込み、床板を暗い色に染めていく。
部屋の真ん中には火の入った囲炉裏があり、雨が飛び込むたびにぼんやりと赤く輝いている。
造りが悪いのか、屋根からもぽたぽたとしきりに水が滴る音が響く。
囲炉裏のそばに寄り添って座る姉妹は、二人で一つの布団にくるまって寒さをしのごうとしていた。
しかし、その布団も容赦なく雨漏りの餌食となっている。
既に大半が水を吸って鈍い色を帯びていて、防寒具としての意味を完全になしていないように見える。
実際、その布団にくるまっている二人は青い顔をして震えていた。
懸命に肌を寄せ合って、それでも十分な暖を取るには足りないらしい。
雨のざあざあと降る音と、雨漏りがぽたぽたと滴る音が、やけに現実味を帯びて聞こえた。
◆
……結論から言おう。夢じゃなかった。
やけに重い布団を蹴飛ばして起き上がった私が状況を理解するのに、そう長い時間は必要なかった。
雨漏りで水浸しになった床、寝床、寝巻き。それらは、全部自分の家で起こっていた出来事だったのだ。
濡れ鼠になって眼を覚まし、寒気に襲われて震える私を、青空があざ笑う様に見下ろしていた。
それで。屋根の雨漏りだけでも早く直してしまおうと、命蓮寺まで大工道具を探しに来た、わけだが。
「ああ、くそ」
気を抜くと目を閉じそうになる自分を、叱咤して叩き起こす。叩き起こしたつもりでいても微かに左右に振れる視界が、本当にもうどうしようもない。
正直今すぐにでもここで横になってしまいたいけど、命蓮寺で倒れていると、住人たちに見つかってしまうだろう。
今はありがたいことに、皆出払っているようだけど。
寺の住人に見つかるのは、あまり好ましくない。自分のことで大騒ぎされるのは苦手だし、ぬえ辺りはずっと私をからかうネタにし続けるに違いない。
「夏馬鹿は何がひくんだっけ~?」とか何とか言って。……違う、夏馬鹿じゃない、夏風邪だ。
とにかく、そういうのは嫌なのだ。大工道具だけさっさと見つけて、早く小屋に帰って休みたい。
その一心で、埃っぽい倉庫の中身を引っ掻き回しているのだ。
……ああ、在った。首尾は上々、これでも探し物は専「っくちゅん」、専門なのだ。
道具箱をぶら提げて建物の外に出た。見上げると、昨晩の風雨が嘘だったかのように澄んだ青空が遠くまで広がっている。詐欺だ。
あまりにも移り気が過ぎる天に恨み言の一つでも言いたくなる。日は既に高くまで上っているが、あまり暖かさは感じない。いや……暖かく感じているはずなのに、その暖かさが身体を素通りしている、ような。
油断すると歯がカチカチ鳴ってしまいそうで、ぐっと奥歯を噛み締める。風邪がどんどん悪化しているのが、自分でもわかる。
でも、まあ。いい加減、立っているだけでも苦痛になってきたし、誰かに出くわさずに何とか帰れそうなのは運が良い。
「あのー……」
良くなかった。振り向くと、赤い服装の女性が二人。帽子に果物をかたどった飾りをつけた人と……え?
特徴に見覚えのある容姿。私の勘違いでなければ、この方たちは――
「突然すみません。命蓮寺の方です、よね?」
考えている間に、もう一人の女性――紅葉の意匠を散らしたスカート――が申し訳なさそうに言葉を継いで、それで自分が
不躾な視線を向け続けていることにようやく気付いた。慌てて言葉を返す。
「いかにも。命蓮寺で雑用兼小間使いをしている、ナズーリンという者だ。そちらは……秋の神様のお二人とお見受けするが」
「あら、私たちをご存知なのですか。私が姉の静葉で、こっちが穣子といいます」
答えたのは比較的落ち着いた印象の、紅葉の女性だった。
「ああ、よろしく。……命蓮寺に何か御用かな?」
やっぱり、神だった。神が寺に何の用件だろう? 白昼堂々とは考えにくいが、もしや害意を抱いている可能性もある。
余所行きの笑顔を浮かべながら、こっそりとダウジングロッドに手を伸ばした。……まっすぐ立つのが精一杯な今の私では、ろくな抵抗は出来ないかもしれないが。
「ええと……用事というか、その。白蓮さんって方に会いに来たのだけど。ああ殴り込みとかそういうのじゃないからそんなに警戒しなくても大丈夫よ」
姉の口振りからも妹の表情からも、害意は感じられない。ひとまず、内心でほっと胸を撫で下ろしておく。
さて、どうしよう。頭痛は段々酷くなるし、眩暈もする。
中で待ってもらって私は帰ってしまいたいが、これでも私は毘沙門天の信を受けて此処に居る。そう、この寺に居る。
その私が、客の世話をせずに帰る? そんなことは許されない。――しかし、しかし、だ。
この通り私は風邪っ引きで、この二人は聖の大切なお客様だ。そのお客様と一緒に居るというのは、風邪を伝染してしまう
危険があるということになる。これもまた、許されることではないのではないか?
うん、だから、穏当に寺に上げてさっさと帰ってしまおう。もう一度余所行きの笑顔を浮かべる。
「聖のお客様だったのか、失礼な態度をとったことを詫びさせてもらう。立ち話もなんだから、」
「あらら、やっぱり警戒させちゃってたじゃない。まあしょうがないわよね、私たちも一応神様だし。ねえ姉さん」
「ちょっと、どうして私に振るのよ。『殆ど野良神様だから問題ない』って言ったのは穣子、あなたじゃない」
「そうだったかしら、忘れちゃったわ。そんなことよりねえナズーリンちゃん、お寺に神様が訪れるのってやっぱり変かしら?」
「……あ、ああ。変か、って? そんなことはないさ、我々は訪れる者を区別することはしないから」
はっ、勢いに流されて普通に返事してしまった……。そして我が意を得たりとばかりに姉に向き直り、まくし立てる秋・妹。
「ほらー、私の言った通りじゃない! ここのお寺の住職さんはえらーい方だから私たちでも受け入れてくれるって!」
「偉いってねえ……あなただって求聞口授で読んだだけじゃない」
「ちょっと待ってくれ、待ってくれ」
無理やり会話に割り込むと、やっと二人ともこっちに注目してくれた。また会話の奔流に流される前に、伝えることだけ伝えてしまおう。
「申し訳ないが、聖は今留守にしている。出来れば中で待っていて欲しい、上がってくれ」
――客間に上げて、数十分が経過していた。あれおかしいな、帰るつもりだったのに。
つもりが崩れたのは他でもない、目の前で喋りに喋る姉妹のせいだ。
姉曰く、我々は妖怪の山の小屋に住んでいた。
妹曰く、普段の信仰の無さが原因で、割とボロボロである。
姉曰く、昨日の雨でついに屋根が決壊した。
妹曰く、今の自分たちには住むところが無い。
姉曰く、妖怪寺といわれるここならしばらく置いてもらえるのではないかと考え、聖を頼って訪れた。
――シンクロニシティ、というんだったか。朦朧としながら、私は内心驚いていた。
私とこの姉妹は昨晩、全く同じ目に遭っていたらしい。確かに、ありえないことではないが。
「……とりあえず、この部屋に居てくれ。もうすぐ家人も帰ってくることだろう」
二人に言い置いてふらふらと炊事場へ向かう。茶の替えを用意するのと、もう一つ。状況を落ち着いて整理したかったからだ。
やかんを火にかけて、ぐったり壁にもたれかかった。
実は、心当たりはあった。
寅丸星。すなわち私の主人。彼女の能力は「財宝が集まる程度の能力」。それも、常時発動型の能力だ。
今までにも得体の知れないものを引き寄せて、それが最終的に財宝と呼べるようなものになるようなことはあった。
そう、もしかしたら今回も、ご主人の能力が働いているのではないかと考えたのだ。
しかし、此処まで強制的な発動をしたことが、今までにあっただろうか?
「ゴホ、ゴホッ」
風邪がますます悪化しているらしい。眩暈と頭痛。どんどん強くなってくる。姉妹には悪いが、もう限界だ。
あらかじめ炊事場に置いておいた道具箱を持ち、勝手口から外へ出た。夏の日差しに眼を細めて空を見上げる。
相変わらず、雲の一つさえ見当たらない。
いきなり足元がふらついて、慌てて足に力を込めた。危ない、倒れるところだった。
……って、あれ、地面が、近。
◆
「おお、凄いですね!」
「わぁ、綺麗な紅葉……!」
何だか騒がしくて目が覚めた。見上げたところにご主人の顔があったので、とりあえずもう一度目を瞑った。
「……あ、あれ? ナズーリン? もしかして目が覚めたんですか?」
そうか。私は結局倒れたところを見つかって――よりによってご主人に看病されてたのか。ご主人の声を聞き流し、一度こっそり深呼吸して、
「おはよう、ご主人」
一息に言って、もう一度目を開いた。今度は驚かなかった。ご主人が、嬉しそうに笑った。
私にずっと付き添ってくれていたらしいご主人によると。丸一日眠っていた、そうだ。
夏バテ――疲労も溜まっていたんだろう。あまり根を詰めるなと叱られて、ひたいを小突かれた。
まあ、久しぶりにゆっくり休めて、これはこれで良かったのかもしれない。
ご主人が手ぬぐいをゆすぎに行ったので一人でしばらくぼーっとしていると、外から聞こえてくる騒ぎ声が気になってきた。
彼女がまだ戻ってこないのを確認してこっそり起き上がる。適当に履き物をつっかけて庭に出ると、騒ぎの元は直ぐに見つかった。
命蓮寺の庭の一部分にだけ先に秋が訪れたかのように木々が紅く染まっていて、そこに寺の皆が集まっている。
背景に広がる青空と真っ赤な葉の不思議な対比に、しばし、目を奪われる。
「静葉さん、貴女すごい、格好良いわ!」
「いえ、ここにはこれだけのことを可能にする信仰心が集まっていますから……」
「この焼き芋、とっても美味しい……!」
「でしょでしょー、あ、でも私が凄いんじゃないわよ。この子達のポテンシャルのお陰。私はそれを最大限引き出してあげてるの!」
そしてその構図の中心には、あの秋神の姉妹の姿があった。まだこの寺の敷地内に居るということは、どうやら聖は二人を受け入れたらしい。
しかし、彼女らは何をしているのだろう……不思議に思って眺めていると、村紗と談笑していた静葉と目が合った。
彼女が佇んでいるのは、一本の樹の根元。その樹の葉も、まるで当然のことのように紅葉している。
彼女はにこりと私に微笑みかけると、その一角に残っていた、まだ緑の葉がついている樹へと歩んでいく。
そして樹皮に掌を当てると、俄かに真剣な表情になった。
――息が、止まった。理解した。今、此処は、此処こそが、神域と呼ばれる場所なのだと。
葉の一枚一枚がまるで生きているように――いや、実際生きているのだろう――緑から黄、黄から橙、橙から赤へと鮮やかに変化していく様に、言葉も、周囲の喧騒すら意識から消え去った。
自分が悠久の存在になったような錯覚すら覚える。まるで、夏から秋へと穏やかに変わっていく世界を、落ち着いて眺めているかのような。
私はこのままずっとこの世界に浸っていたいと、心の底から願っていた。
この奇跡が終わってしまうとき。時間にすれば、きっと一分も経っては居ないのだろう。それが酷く寂しかった。
不意に、視界がぼやけて。涙が、滲んで。
「ナズーリンちゃーん、今度はこっちこっち! もうすぐ焼けるわよっ!」
私を呼ぶ声で我に返った。そちらを見ると、落ち葉の山からもくもくと煙が立ち昇っている。
その煙はこちらまで届いて、慌てて目を擦った。
……一応、感動の涙のつもりだったんだけど。まさかね。
「豊穣の神が神徳を込めて作った焼き芋! 味は保証するわー!」
崩された落ち葉の山から現れたのは、新聞紙に包まれた何か。何かというか、焼き芋だ。多分。
「穣子さんの焼き芋、ほんっとうに美味しいのよ! 私今までこんな美味しいサツマイモ食べたことないわ!」
一輪が興奮気味にまくしたてた。片手には食べかけの焼き芋を握っている。
少し離れたところで、ぬえや小傘も夢中になって頬張っているのが見えた。
視線を戻すと、いつの間にかすぐ目の前に穣子が立っていた。
「こんにちはナズーリンちゃん。風邪、よくなったのね」
「ああ。悪かったね、話させるだけ話させて引き継ぎもできなくて」
「私こそごめん。具合悪いの気づかなくて、無理させちゃって」
「ああいや、気にしないでくれ。大したことはなかったし、自分の不摂生が招いたことだから」
「うん、ごめんなさい。それでね。私たち、暫く命蓮寺に住まわせてもらえることになったの」
「それはよかった。――それで、これは?」
「白蓮さんや寺のみんなに、お礼をしたくて。はい、ナズちゃんもどうぞ」
持っていた焼き芋を渡された。両手で転がしている間に、なんとか落ち着いて持てる程度の温度になった。
穣子は空いた手を大きく開いて、周囲を見渡すようにくるくると回る。
舞い散る真っ赤な落ち葉に飾られて、そんな稚気に溢れる動作もいくらか神々しく映る。
「白蓮さんはとっても素晴らしい方ね。だってほら、ここには清浄で純粋な信仰心がこーんなに沢山集まってるもの」
両手を広げて、舞う様に回る。そして急にその動きを止めると、近づいて私の手を取った。
「私たちここに来て良かった。ありがとうね、ナズーリンちゃん」
「い、いや、礼は聖に言ってくれ。私は何もしてない」
手を握られて、そんなにキラキラした目で見つめられると。なんだか落ち着かない気分になってしまう。
事実、私は何もしていないのだから。
困って目を逸らすと、視界の端に見慣れた金髪がぴょこぴょこ動いてるのが見えた。
目が合うと、露骨にほっとした顔で手に持った手ぬぐいをぶんぶん振り回し始める。
「寅丸さん、ずっと貴女の看病してたんですって。……そうだ、ひとつ、寅丸さんに持っていってくれるかしら?」
もう一本渡されて、背中を押された。おろおろと履き物を探すご主人を目とジェスチャーで抑えて、そちらへ向かう。
「はい、お待たせ」
「ナズーリン、貴女は病み上がりなんですから。あまり出歩いてもらっては困り……わわ」
……焼き芋を投げ渡して、お説教を強制キャンセル。
縁側に腰掛けると、紅く染まった木々や、それに集まる寺の住人たち……そして、新しく住人になった二人が、全部視界に入った。
新聞紙を剥いた焼き芋をえい、と真ん中で折る。湯気と、ほのかな甘い香り。それから、紫の皮を割って現れる黄金色。
なるほど。隣で平和な顔で焼き芋をぱくつくご主人が、どこまで意図していたのかは知らないけれど。
これは確かに、それもとっておきの財宝だ。
◆
昼過ぎから読んでいた書物を放り出して一つ、伸びをした。
夏といえば暑さ、そして、蝉の喚き声。それはここ無縁塚でも変わらない。
そろそろ夏も終わりだというのに、相変わらず暑苦しい。
こう暑苦しいと小屋から出る気も失せる。畑仕事などもってのほかだ。
そんなわけで特に日差しが強まる午後は、晴耕雨読ならぬ、曇耕晴読と洒落込んでいたわけだ。
一度放り出した書物を再び手に取って、ぱらぱらとめくる。読んでいたのは「求聞口授」。
人里に買い物に立ち寄ったときに並んでいたのを、新入りとしての郷の中での立ち回りの参考になるかと一冊買ったものだ。
実は私もこの本の中で紹介されている。それも、居丈高に接すれば何でも言うことを聞かせられるなんて失礼なデマとともに。
このせいで出版当初は妙に無礼な客が多くて閉口したものだ。
高圧的な振る舞いは、確かに相手によっては有効な交渉方法になる。だが、彼らは、そして稗田阿求も一つ大きな勘違いをしていた。交渉ごとの基本中の基本だ。恫喝は、自分より弱い者が相手じゃないと意味が無い。
そんなふうに、内容には著者の偏見や誤解が多かったようで、当初思っていたような他の大妖怪の予習や対策には使えなかった。が、この半年間私の暇を良く潰してくれた。
稗田家が代々編纂しているというこの書物は、本来は人間の為に書かれているものだそうだ。この幻想郷という地に於いて、対策を持たずに妖怪と相対するのは危険だったからだろう。しかし、今は私などの妖怪でも、人里に行けば容易に手に入れることが出来る。
まるで、妖怪と人間との間には種族の違いしか存在しない、とでも言うように。
求聞史紀、求聞口授を初めとする記録によると、幻想郷は次第にその在りようを変貌させていったようだ。
絶対的な立場の差だったものが、相対的な個性の違いに。そして、喰うか喰われるかだった両者の関係は、今ではルールに則った安全な競技に。
今はどうなのかと尋ねれば、妖怪も人間もきっと「平和で安全になった」と答えるはずだ。
おそらくこの書物の著者、稗田阿求も幻想郷は平和だと思っている一人だろう。
私は過去の幻想郷を知らない。決闘法の導入にも紆余曲折があったらしいが、それも知らない。
だが、今の幻想郷は住みよい所だと思う。命の危険も、存在が脅かされることもない。
外に居た頃と違い、大きな耳や隠そうにも隠しきれない尻尾、そういうもので住処を追われることもない。
我々の寺も大きな摩擦もなく受け入れられているようだし、妖怪寺と罵られ、排斥されることもない。
私たちは此処に来て良かったと、そう思って良いのだろう。聖の理想とは、まだ、ほんの少しすれ違っているようだけど。
いつの間にか、手元がかなり暗くなっていた。軽く眺めるだけのつもりが、随分没頭していたようだ。
稗田阿求という人間は、観察眼こそないが、文才はあるらしい。
窓の外を覗くと、太陽がちょうど山の稜線の向こうへ沈むところだった。
真っ赤に染まる夕焼けに目を凝らすと、カラスか何かの黒いシルエットが浮かんでいるのも見える。昼間のうだるような暑さは、今はすっかり影を潜めていた。
ひやりと冷たい風が私の頬を撫でた。もうすぐ秋が来るのかもしれなかった。
◆
床に就く前にそんなものを読んでいたからか、夢を見た。
秋の神様の姉妹、そして、降りしきる雨の夢。
狭く薄暗い部屋に二人は寄り添って居た。窓の外には大粒の雨、それから鬱蒼と繁った木々が見える。
雰囲気から、きっと妖怪の山の中腹辺りなのだろうと思った。
自分たちに信仰心が集まらない季節は、この小屋で二人で生活しているのだろう。
硝子の無い小窓からは容赦なく風雨が吹き込み、床板を暗い色に染めていく。
部屋の真ん中には火の入った囲炉裏があり、雨が飛び込むたびにぼんやりと赤く輝いている。
造りが悪いのか、屋根からもぽたぽたとしきりに水が滴る音が響く。
囲炉裏のそばに寄り添って座る姉妹は、二人で一つの布団にくるまって寒さをしのごうとしていた。
しかし、その布団も容赦なく雨漏りの餌食となっている。
既に大半が水を吸って鈍い色を帯びていて、防寒具としての意味を完全になしていないように見える。
実際、その布団にくるまっている二人は青い顔をして震えていた。
懸命に肌を寄せ合って、それでも十分な暖を取るには足りないらしい。
雨のざあざあと降る音と、雨漏りがぽたぽたと滴る音が、やけに現実味を帯びて聞こえた。
◆
……結論から言おう。夢じゃなかった。
やけに重い布団を蹴飛ばして起き上がった私が状況を理解するのに、そう長い時間は必要なかった。
雨漏りで水浸しになった床、寝床、寝巻き。それらは、全部自分の家で起こっていた出来事だったのだ。
濡れ鼠になって眼を覚まし、寒気に襲われて震える私を、青空があざ笑う様に見下ろしていた。
それで。屋根の雨漏りだけでも早く直してしまおうと、命蓮寺まで大工道具を探しに来た、わけだが。
「ああ、くそ」
気を抜くと目を閉じそうになる自分を、叱咤して叩き起こす。叩き起こしたつもりでいても微かに左右に振れる視界が、本当にもうどうしようもない。
正直今すぐにでもここで横になってしまいたいけど、命蓮寺で倒れていると、住人たちに見つかってしまうだろう。
今はありがたいことに、皆出払っているようだけど。
寺の住人に見つかるのは、あまり好ましくない。自分のことで大騒ぎされるのは苦手だし、ぬえ辺りはずっと私をからかうネタにし続けるに違いない。
「夏馬鹿は何がひくんだっけ~?」とか何とか言って。……違う、夏馬鹿じゃない、夏風邪だ。
とにかく、そういうのは嫌なのだ。大工道具だけさっさと見つけて、早く小屋に帰って休みたい。
その一心で、埃っぽい倉庫の中身を引っ掻き回しているのだ。
……ああ、在った。首尾は上々、これでも探し物は専「っくちゅん」、専門なのだ。
道具箱をぶら提げて建物の外に出た。見上げると、昨晩の風雨が嘘だったかのように澄んだ青空が遠くまで広がっている。詐欺だ。
あまりにも移り気が過ぎる天に恨み言の一つでも言いたくなる。日は既に高くまで上っているが、あまり暖かさは感じない。いや……暖かく感じているはずなのに、その暖かさが身体を素通りしている、ような。
油断すると歯がカチカチ鳴ってしまいそうで、ぐっと奥歯を噛み締める。風邪がどんどん悪化しているのが、自分でもわかる。
でも、まあ。いい加減、立っているだけでも苦痛になってきたし、誰かに出くわさずに何とか帰れそうなのは運が良い。
「あのー……」
良くなかった。振り向くと、赤い服装の女性が二人。帽子に果物をかたどった飾りをつけた人と……え?
特徴に見覚えのある容姿。私の勘違いでなければ、この方たちは――
「突然すみません。命蓮寺の方です、よね?」
考えている間に、もう一人の女性――紅葉の意匠を散らしたスカート――が申し訳なさそうに言葉を継いで、それで自分が
不躾な視線を向け続けていることにようやく気付いた。慌てて言葉を返す。
「いかにも。命蓮寺で雑用兼小間使いをしている、ナズーリンという者だ。そちらは……秋の神様のお二人とお見受けするが」
「あら、私たちをご存知なのですか。私が姉の静葉で、こっちが穣子といいます」
答えたのは比較的落ち着いた印象の、紅葉の女性だった。
「ああ、よろしく。……命蓮寺に何か御用かな?」
やっぱり、神だった。神が寺に何の用件だろう? 白昼堂々とは考えにくいが、もしや害意を抱いている可能性もある。
余所行きの笑顔を浮かべながら、こっそりとダウジングロッドに手を伸ばした。……まっすぐ立つのが精一杯な今の私では、ろくな抵抗は出来ないかもしれないが。
「ええと……用事というか、その。白蓮さんって方に会いに来たのだけど。ああ殴り込みとかそういうのじゃないからそんなに警戒しなくても大丈夫よ」
姉の口振りからも妹の表情からも、害意は感じられない。ひとまず、内心でほっと胸を撫で下ろしておく。
さて、どうしよう。頭痛は段々酷くなるし、眩暈もする。
中で待ってもらって私は帰ってしまいたいが、これでも私は毘沙門天の信を受けて此処に居る。そう、この寺に居る。
その私が、客の世話をせずに帰る? そんなことは許されない。――しかし、しかし、だ。
この通り私は風邪っ引きで、この二人は聖の大切なお客様だ。そのお客様と一緒に居るというのは、風邪を伝染してしまう
危険があるということになる。これもまた、許されることではないのではないか?
うん、だから、穏当に寺に上げてさっさと帰ってしまおう。もう一度余所行きの笑顔を浮かべる。
「聖のお客様だったのか、失礼な態度をとったことを詫びさせてもらう。立ち話もなんだから、」
「あらら、やっぱり警戒させちゃってたじゃない。まあしょうがないわよね、私たちも一応神様だし。ねえ姉さん」
「ちょっと、どうして私に振るのよ。『殆ど野良神様だから問題ない』って言ったのは穣子、あなたじゃない」
「そうだったかしら、忘れちゃったわ。そんなことよりねえナズーリンちゃん、お寺に神様が訪れるのってやっぱり変かしら?」
「……あ、ああ。変か、って? そんなことはないさ、我々は訪れる者を区別することはしないから」
はっ、勢いに流されて普通に返事してしまった……。そして我が意を得たりとばかりに姉に向き直り、まくし立てる秋・妹。
「ほらー、私の言った通りじゃない! ここのお寺の住職さんはえらーい方だから私たちでも受け入れてくれるって!」
「偉いってねえ……あなただって求聞口授で読んだだけじゃない」
「ちょっと待ってくれ、待ってくれ」
無理やり会話に割り込むと、やっと二人ともこっちに注目してくれた。また会話の奔流に流される前に、伝えることだけ伝えてしまおう。
「申し訳ないが、聖は今留守にしている。出来れば中で待っていて欲しい、上がってくれ」
――客間に上げて、数十分が経過していた。あれおかしいな、帰るつもりだったのに。
つもりが崩れたのは他でもない、目の前で喋りに喋る姉妹のせいだ。
姉曰く、我々は妖怪の山の小屋に住んでいた。
妹曰く、普段の信仰の無さが原因で、割とボロボロである。
姉曰く、昨日の雨でついに屋根が決壊した。
妹曰く、今の自分たちには住むところが無い。
姉曰く、妖怪寺といわれるここならしばらく置いてもらえるのではないかと考え、聖を頼って訪れた。
――シンクロニシティ、というんだったか。朦朧としながら、私は内心驚いていた。
私とこの姉妹は昨晩、全く同じ目に遭っていたらしい。確かに、ありえないことではないが。
「……とりあえず、この部屋に居てくれ。もうすぐ家人も帰ってくることだろう」
二人に言い置いてふらふらと炊事場へ向かう。茶の替えを用意するのと、もう一つ。状況を落ち着いて整理したかったからだ。
やかんを火にかけて、ぐったり壁にもたれかかった。
実は、心当たりはあった。
寅丸星。すなわち私の主人。彼女の能力は「財宝が集まる程度の能力」。それも、常時発動型の能力だ。
今までにも得体の知れないものを引き寄せて、それが最終的に財宝と呼べるようなものになるようなことはあった。
そう、もしかしたら今回も、ご主人の能力が働いているのではないかと考えたのだ。
しかし、此処まで強制的な発動をしたことが、今までにあっただろうか?
「ゴホ、ゴホッ」
風邪がますます悪化しているらしい。眩暈と頭痛。どんどん強くなってくる。姉妹には悪いが、もう限界だ。
あらかじめ炊事場に置いておいた道具箱を持ち、勝手口から外へ出た。夏の日差しに眼を細めて空を見上げる。
相変わらず、雲の一つさえ見当たらない。
いきなり足元がふらついて、慌てて足に力を込めた。危ない、倒れるところだった。
……って、あれ、地面が、近。
◆
「おお、凄いですね!」
「わぁ、綺麗な紅葉……!」
何だか騒がしくて目が覚めた。見上げたところにご主人の顔があったので、とりあえずもう一度目を瞑った。
「……あ、あれ? ナズーリン? もしかして目が覚めたんですか?」
そうか。私は結局倒れたところを見つかって――よりによってご主人に看病されてたのか。ご主人の声を聞き流し、一度こっそり深呼吸して、
「おはよう、ご主人」
一息に言って、もう一度目を開いた。今度は驚かなかった。ご主人が、嬉しそうに笑った。
私にずっと付き添ってくれていたらしいご主人によると。丸一日眠っていた、そうだ。
夏バテ――疲労も溜まっていたんだろう。あまり根を詰めるなと叱られて、ひたいを小突かれた。
まあ、久しぶりにゆっくり休めて、これはこれで良かったのかもしれない。
ご主人が手ぬぐいをゆすぎに行ったので一人でしばらくぼーっとしていると、外から聞こえてくる騒ぎ声が気になってきた。
彼女がまだ戻ってこないのを確認してこっそり起き上がる。適当に履き物をつっかけて庭に出ると、騒ぎの元は直ぐに見つかった。
命蓮寺の庭の一部分にだけ先に秋が訪れたかのように木々が紅く染まっていて、そこに寺の皆が集まっている。
背景に広がる青空と真っ赤な葉の不思議な対比に、しばし、目を奪われる。
「静葉さん、貴女すごい、格好良いわ!」
「いえ、ここにはこれだけのことを可能にする信仰心が集まっていますから……」
「この焼き芋、とっても美味しい……!」
「でしょでしょー、あ、でも私が凄いんじゃないわよ。この子達のポテンシャルのお陰。私はそれを最大限引き出してあげてるの!」
そしてその構図の中心には、あの秋神の姉妹の姿があった。まだこの寺の敷地内に居るということは、どうやら聖は二人を受け入れたらしい。
しかし、彼女らは何をしているのだろう……不思議に思って眺めていると、村紗と談笑していた静葉と目が合った。
彼女が佇んでいるのは、一本の樹の根元。その樹の葉も、まるで当然のことのように紅葉している。
彼女はにこりと私に微笑みかけると、その一角に残っていた、まだ緑の葉がついている樹へと歩んでいく。
そして樹皮に掌を当てると、俄かに真剣な表情になった。
――息が、止まった。理解した。今、此処は、此処こそが、神域と呼ばれる場所なのだと。
葉の一枚一枚がまるで生きているように――いや、実際生きているのだろう――緑から黄、黄から橙、橙から赤へと鮮やかに変化していく様に、言葉も、周囲の喧騒すら意識から消え去った。
自分が悠久の存在になったような錯覚すら覚える。まるで、夏から秋へと穏やかに変わっていく世界を、落ち着いて眺めているかのような。
私はこのままずっとこの世界に浸っていたいと、心の底から願っていた。
この奇跡が終わってしまうとき。時間にすれば、きっと一分も経っては居ないのだろう。それが酷く寂しかった。
不意に、視界がぼやけて。涙が、滲んで。
「ナズーリンちゃーん、今度はこっちこっち! もうすぐ焼けるわよっ!」
私を呼ぶ声で我に返った。そちらを見ると、落ち葉の山からもくもくと煙が立ち昇っている。
その煙はこちらまで届いて、慌てて目を擦った。
……一応、感動の涙のつもりだったんだけど。まさかね。
「豊穣の神が神徳を込めて作った焼き芋! 味は保証するわー!」
崩された落ち葉の山から現れたのは、新聞紙に包まれた何か。何かというか、焼き芋だ。多分。
「穣子さんの焼き芋、ほんっとうに美味しいのよ! 私今までこんな美味しいサツマイモ食べたことないわ!」
一輪が興奮気味にまくしたてた。片手には食べかけの焼き芋を握っている。
少し離れたところで、ぬえや小傘も夢中になって頬張っているのが見えた。
視線を戻すと、いつの間にかすぐ目の前に穣子が立っていた。
「こんにちはナズーリンちゃん。風邪、よくなったのね」
「ああ。悪かったね、話させるだけ話させて引き継ぎもできなくて」
「私こそごめん。具合悪いの気づかなくて、無理させちゃって」
「ああいや、気にしないでくれ。大したことはなかったし、自分の不摂生が招いたことだから」
「うん、ごめんなさい。それでね。私たち、暫く命蓮寺に住まわせてもらえることになったの」
「それはよかった。――それで、これは?」
「白蓮さんや寺のみんなに、お礼をしたくて。はい、ナズちゃんもどうぞ」
持っていた焼き芋を渡された。両手で転がしている間に、なんとか落ち着いて持てる程度の温度になった。
穣子は空いた手を大きく開いて、周囲を見渡すようにくるくると回る。
舞い散る真っ赤な落ち葉に飾られて、そんな稚気に溢れる動作もいくらか神々しく映る。
「白蓮さんはとっても素晴らしい方ね。だってほら、ここには清浄で純粋な信仰心がこーんなに沢山集まってるもの」
両手を広げて、舞う様に回る。そして急にその動きを止めると、近づいて私の手を取った。
「私たちここに来て良かった。ありがとうね、ナズーリンちゃん」
「い、いや、礼は聖に言ってくれ。私は何もしてない」
手を握られて、そんなにキラキラした目で見つめられると。なんだか落ち着かない気分になってしまう。
事実、私は何もしていないのだから。
困って目を逸らすと、視界の端に見慣れた金髪がぴょこぴょこ動いてるのが見えた。
目が合うと、露骨にほっとした顔で手に持った手ぬぐいをぶんぶん振り回し始める。
「寅丸さん、ずっと貴女の看病してたんですって。……そうだ、ひとつ、寅丸さんに持っていってくれるかしら?」
もう一本渡されて、背中を押された。おろおろと履き物を探すご主人を目とジェスチャーで抑えて、そちらへ向かう。
「はい、お待たせ」
「ナズーリン、貴女は病み上がりなんですから。あまり出歩いてもらっては困り……わわ」
……焼き芋を投げ渡して、お説教を強制キャンセル。
縁側に腰掛けると、紅く染まった木々や、それに集まる寺の住人たち……そして、新しく住人になった二人が、全部視界に入った。
新聞紙を剥いた焼き芋をえい、と真ん中で折る。湯気と、ほのかな甘い香り。それから、紫の皮を割って現れる黄金色。
なるほど。隣で平和な顔で焼き芋をぱくつくご主人が、どこまで意図していたのかは知らないけれど。
これは確かに、それもとっておきの財宝だ。
ところで、穣子ちゃん特製の焼き芋はどこで食べれるのでしょうか?
……ナズーリン指定じゃないんですね(
寅丸の能力に繋げる行がやや強引だった気もしますが大した問題じゃなかったぜ。
神域って名状はお見事でした。
接点なさそうなキャラの組み合わせのために、
その二人を繋げる人を主体に持ってくるってのはなるほどと思いました。
紅に染まる樹に佇む静葉様って素敵。
ただ静葉って一枚一枚紅葉を塗ってるって口授に…っていうのは無粋ですね。
ナズーかっわいいよナズー
面白かった!!
○です