Coolier - 新生・東方創想話

幻想郷のとある夏の日

2012/05/12 15:50:12
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日差しが適度に丁度良く、空は雲ひとつ無い青空。風は心地よく頬に
触れる。そんな今日の幻想郷の天気。博麗の巫女博麗霊夢は博麗神社
の縁側にていつもと変われぬ様子でお茶を啜っていた。
「……ふぅ」
お茶を啜り空を仰ぎながら息を漏らす。
「今日もいい天気ね」
微笑みながらそんな言葉を口に漏らす。特に深い意味はないのだが条
件反射と言うものかそんな言葉が出てしまう。
最近の幻想郷は平和だ、だからこうして縁側でお茶を啜っていても大
丈夫だろう。
だがしかし、異変が起きていても起きていなくても霊夢が縁側でお茶
を啜るのは変わらないのだが。そうやって霊夢が空を眺めていると。
「おーい、霊夢ー!」
そんな声と同時に霊夢の視界に入ってきた黒い影。先ほどまでの雲ひ
とつ無い空に浮かぶ人影が一つ。そして霊夢の目の前まで降下してく
る。
「魔理沙、私はこうみえて忙しいの。だから帰れ。すぐ帰れ」
「そうか、気にすんな。それでだな……」
霊夢の元に訪ねてきたのは霧雨魔理沙、日差しが丁度いいと言っても
万年変わらずその白黒装束では暑いのでは無いだろうか。
まったく忙しそうに見えない霊夢の忙しいから帰れと言う言葉には耳
も傾けずに、さも当然の様に霊夢の隣に腰を下ろす魔理沙。
「はー、それにしても暑いな今日は。霊夢お茶くれ、冷たいやつな」
帽子を外して魔理沙はそう霊夢に催促する。
「嫌」
「じゃあ勝手にもらうぜ」
嫌がる霊夢も何のその、魔理沙は慣れた手つきで台所からお茶を持っ
て来て再び元いた場所に戻る。
「……それで何の用なの魔理沙」
「あぁ、そうだな。ほらこんなにいい天気じゃないか、だから外に行
こうかと」
「それは質問の答になってないわよ」
「つまりだな、用は無い」
「帰れ、森に帰れ」
「今日はこんなに暑いのに霊夢は冷たいぜ」
そんないつもと変わらない二人のやり取りが今日も繰り広げられてい
る。霊夢も口では帰れなど言っているがいい暇つぶしになっているの
かもしれない。
「なぁ、思い出さないか?前の異変のこと」
「どれの事よ」
「紅霧異変」
「別に」
「あれはあれで暑い夏が涼しくなって良かったな」
「暑いのが嫌なら森に篭るとかチルノ捕まえるとかあるじゃない」
「生憎私は面倒が嫌いなんだぜ」
「そう」
「あーあ、今度は軽くで良いから霧を出してくれないかレミリア」
「そういえば最近あいつ何してるのかしら……」
二人のそんな様な会話が夏空の元で続いていく。

一方その頃……。
「思い出さないかしら咲夜、私が起こしたあの異変の事」
「いえ、別に思い出しませんけどお嬢様」
「……いつからそんなにドライになってしまったの咲夜」
紅魔館のベランダにて主であるレミリア・スカーレットとその従者で
ある十六夜咲夜が紅茶を楽しんでいる所。いつもの様に日傘のついた
テーブルの上に紅茶が置かれ、レミリアが座り咲夜は傍らに立ってい
る。
「過去は振り返らない主義なんです私。時間止められますし」
「あぁそう……」
最近紅魔館の皆の私に対する姿勢が以前と違う気がする。以前の咲夜
ならば『えぇお嬢様、あの時のお嬢様は大変凛々しく……』云々くら
いは言ってくれるはず。なのに今の咲夜はどうだろうか?妙に馴れ馴
れしい。この間なんて『そういえばお嬢様のスペル名って若気の至り
感が凄いですよね』とかニヤニヤしながら言ってきた、どこが若気の
至りだよ!格好良いでしょ『全世界ナイトメア』とか!むしろあの竹
林の兎の方がスペル名読めないから!
「お嬢様?どうかなさいました?」
顔を覗き込むようにして咲夜がそう尋ねる。
「え、えぇなんでもないわ」
「そうですか?なんというか『親が勝手に部屋の掃除を行なって隠し
てた本が見つかったかどうか不安になる男子中学生』みたいな顔して
いたので……」
咲夜、説明が長いし分かりにくいしそれは仮にも主である私に接する
態度ではないわ。等とレミリアが心の中で思っていた。
「まぁそれはさて置き、咲夜最近貴方少し調子に乗っていないかしら
?」
「え?何ですかお嬢様聞こえませんでした」
「その態度だよ!仮にも私は貴方の主よ!」
「あー、はい。いやだって最近のお嬢様カリスマが無いですし。むし
ろ格好良いじゃなく可愛い路線ですし。忠誠っていうか守ってあげた
い感じですかね」
カリスマ…か。
私はいつの間にカリスマを失っていたのだろう、そういえば最近自機
になってないなというか異変に関わってすらいないわ……。最近の幻
想郷の情勢知らないわ……。むしろ紅魔館に篭って何してたんだ私…
…。
「お嬢様今度は『恋人いないと思っていた友人に実は恋人がいた時の
男子中学生』の顔」
「少しその例え方黙れ」

後日紅魔館地下図書館にて。

「……と言う事なのよパチェ」
あれから私に何が足りないのか確認するためパチェの元を訪れた。き
っと彼女なら私に何かを教えてくれると信じて。運命を操る能力なん
て飾りよ飾り。
「なるほどレミィ、つまり貴方は咲夜と昔の様な恋人関係に戻りたい
と」
「どうしてそうなった」
パチュリーは黙々と本を読みながらレミリアにの話を聞いていた、は
ず。
なのに。
「えーっとパチェ?どうしてその答えになったのかしら?」
「え?『最近咲夜が馴れ馴れしいからどうにか過去のちゃんとした主
従関係に戻りたい』つまり過去の初々しい恋人関係に……」
「いつから私と咲夜が恋人同士になっていた」
「違うの!?」
パチュリーがガタッと椅子から立ち上がった。その顔はまさに裏切り
にあったかのような驚きと落胆の入り混じった表情でレミリアを見つ
めていた。
「なんてことなの……てっきりレミサクあるいはサクレミだとばかり
考えていたのに……返してよ!私のドキドキを返しゲホッゲホッ!」
「パチュリー様!?」
立ち上がり興奮したパチュリーが貧血で倒れかけるとすかさず小悪魔
が支えに来る。
「ありがとう小悪魔……私としたことが取り乱してしまったわ。で、
レミィ貴方は誰とのカップリングなの?フラン?美鈴?霊夢?……は
っ!?まさか私と!?私とカップリングなの!?まってレミィ私と貴
方は長い友人だけどそういう関係はもう少し後のほうがいや別に嫌と
かじゃなくてむしろ良いんだけと心の準備が」
「あー、用事思い出したわパチェ。それじゃ」
レミリアはそそくさと図書館を後にする事にした、パチェってあんな
性格だったかしら……。

その後紅魔館の面々の元を訪ねてみたものの。
美鈴は寝てた。
フランは反抗期。
以上。

「ふぅ……」
自室に戻りレミリアはベットに腰を下ろすとため息を吐いた。
「どうしたのかしら……」
レミリアは考えていた、自分自身の事について。
恐れられる吸血鬼の女王。紅霧異変の主犯。威厳を保つべき存在。今
はそのどれも失っている様に思える。いやむしろ自ら捨てたと言うべ
きかも知れない。
博麗霊夢と霧雨魔理沙に負けてから何かが変わった。それが良いこと
なのかどうかは分からない、運命を操る能力なんて言っても自分には

威厳を保つべき、恐れられるべき、そう思っていた。そしてその通り
に生きてきた。恐れられ誰にも負けず誰もが従いひれ伏す。いや負け
られなかったのかもしれない、でも負けたしかも只の人間に。でも負
けた時、あの時は不思議と悔しくはなかったむしろ……清々しかった

紅霧異変の後から私の中で何かが変わった気がする、でもその何かは
分からない。
「レミリア・スカーレット……お前はどう思っているんだ、今の私を

レミリアは自分自身にそう問いかけてみるが答えは出ない。同じ思考
が頭の中を反芻していくだけ。
「お嬢様」
無音だった部屋に不意にノックの音が広がる。そして咲夜の声も。
「咲夜か、どうした?」
レミリアが答えると咲夜が部屋に入ってくる。
「紅茶をお持ちしました」
そう言って咲夜は紅茶をテーブルに置く。
「あぁ、ありがとう」
レミリアがそう言うと咲夜は一礼し部屋を出ようとする。
「……どうしたの?」
咲夜は部屋を出ようとすると立ち止まってレミリアを見つめている。
「……お嬢様のお顔を少し見ていたのです」
「顔?」
「はい。……以前と比べて随分優しいお顔になられた、と思いまして

レミリアは自分の顔を触ってみる。がしかし良く分からない。
「吸血鬼は鏡に映らないからな、最後に自分の顔を見たのはいつだろ
うな」
「あの天狗の新聞に載っていた写真だとおもいます」
「あぁ、そうだな記事は何だったか……」
「豆まきではないでしょうか」
「そうだったわね、ふふっそれにしても炒り豆に弱いなんて自分のこ
とながら笑えるわ」
そう言ってレミリアはクスリと笑う。
「……お嬢様はやはりお変わりになられましたね、もちろん良い意味
で」
咲夜は微笑みながら言う。
「そうか……。なぁ咲夜、私は」
「私はどんなお嬢様でもついていきますよ」
咲夜はレミリアの言葉に被せるようにそう言った。
「……ありがとう」
「ではお休みなさいませ、お嬢様」
「あぁ」
咲夜が部屋から出ていくとレミリアは窓の外を見上げる。
「今夜は月が綺麗だな」


日差しが適度に丁度良く、空は雲ひとつ無い青空。風は心地よく頬に
触れる。そんな今日の幻想郷の天気。博麗の巫女博麗霊夢は博麗神社
の縁側にていつもと変われぬ様子でお茶を啜っていた。
「……ふぅ」
お茶を啜り空を仰ぎながら息を漏らす。
「今日もいい天気ね」
微笑みながらそんな言葉を口に漏らす。特に深い意味はないのだが条
件反射と言うものかそんな言葉が出てしまう。
最近の幻想郷は平和だ、だからこうして縁側でお茶を啜っていても大
丈夫だろう。だがしかし、異変が起きていても起きていなくても霊夢
が縁側でお茶を啜るのは変わらないのだが。そうやって霊夢が空を眺
めていると。
「久しぶりね、霊夢」
どこからかそんな声が聞こえてきた。横を見てみると。
「どう、最近の調子は?」
「忙しいわね、だから帰れ。紅魔館に帰れ」
「ふふっ、つれないわね」
レミリアは微笑みながら澄んだ空を見つめていた。
初めまして、東雲白狐と申します。
初投稿&思いつくままに書いたので起承転結や改行が上手くできていないかも知れません。そもそも文章と呼べるのか否か。
私はこんな感じのほのぼのしたのが好きですね、書くにも読むにも。シリアスとか長編とかは疲れるので。
キャラ崩壊?知らんな( ´_ゝ`)
東雲白狐
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コメント



0.430簡易評価
3.80名前が無い程度の能力削除
咲夜さんの喩えに覚えがありすぎてつらい…
10.70名前が無い程度の能力削除
読みやすくまとまっていて、初めと終わりの類似も感心させられます。
誤字とかあるんで、文章の細かいとこまで気にして小説書くのを楽しんで下さい。
11.80秋の上流削除
普通の幻想郷の日常やな
ほのぼのしてて良かったです
話はよくまとまっていると思います
12.80月宮 あゆ削除
ありきたりの幻想郷ですけど初めと終わりをそろえる等作者の工夫が感じられ、起承転結はあまりなく平坦に書かれているように感じました。

しかし文章はまとまっており、読みやすかったです。
これからもがんばってください。