序
「人間求聞史紀 人間の里縁起」を手にとっていただき誠に感謝する。
まずはこの本について説明をしよう。
名高い妖怪様方には馴染みのある名前であろう、稗田一族が執筆した「幻想郷縁起」をご存知だろうか。
「幻想郷縁起」は幻想郷に存在する妖怪図鑑や、危険区域案内等、人間が己を守るために纏めた書籍である。
人間は弱い。
故に我々を恐れ、そのようなものを創り上げたのだろう。
だがしかし、我々妖怪にとっても人間は驚異であることは周知の事実であるだろう。
博麗の巫女をはじめ、己の欲望のままに妖怪を懲らしめてくる輩も存在する。
そんな人間や、「幻想郷縁起」で我々の事を好き勝手言い腐った人里の人間ともどもをここに記す。
それが「人間の里縁起」である。
妖怪諸君らはこれを読んで仕返しするもよし、対策方法を熟読して逃げるもよし、ぜひとも有効に活用して欲しい。
それでは、人間の里縁起を読んで、素敵な貴方に安全な幻想郷ライフを。
※なお、主に人里の人間の名、目撃報告例の妖怪たちの名はプライバシーを考慮し匿名にて記述させてもらう。
(例外はあるが、主に各々が自分で考えた名前なので、私のネーミングセンスを疑うのは筋違いである)
人間図鑑
~現・博麗の巫女~
博麗霊夢
能力 空を飛ぶ程度の能力
危険度 高
活動場所 博麗神社
我々妖怪の宿敵である。
人間でありながら、我々妖怪以上に強力である。
普段は博麗神社で茶を飲んでいるか、掃除をする、または鼻歌を歌いながら料理をする姿が目撃されている。
が、異変を起こして遊んでいると、すぐ駆けつけて叩きのめしてくる。
「異変遊び」を起こしているとはいえ、こちらが浸っているときに来られると甚だ迷惑である。
しかし、異変を解決すると宴会を開くので酒好きは参加するのも悪くないと思われる。
報告例
『よくうちにやってきては宴会を始める。
片付けは私の役目なのでもうすこし控えて欲しい
<白玉半幽霊>』
あの世の桜は綺麗だから花見をしたくなる気持ちはわかる。
『あそこの居心地は悪くないよ。
ただ肴があまりないのが不満かな。
<ほろよい童子>』
家計は火の車らしい。
どうやって生計を立てているのだろう。
『以前、私の式神を痛めつけてきたことがあったな。
いや、私は大人だ。流石にもう怒ってないよ。
ただそういう事があったのは事実だ。
<大妖怪の式神の式神の主の主の式神>』
毛が逆立っていたのでまだ根に持っているらしい。
正直少し怖かった。
~普通の魔法使い~
霧雨魔理沙
能力 魔法を使う程度の能力
危険度 高
活動場所 何処でも
こちらの人間も厄介な存在である。
好奇心旺盛な上、神出鬼没、嘘付きで泥棒であり強力な魔砲を放つ。
多分、私たちが知らないだけで妖怪である。
きっとみんな騙されていると思う。
私はこいつに毒を食わされた事がある。
報告例
『野魔法使いのくせに強い。
あとノックしないで家に入ってくるのはやめてほしい。
<ナナイロトロイド>』
普通に犯罪である。
『技を盗まれた事は忘れないわ。むきゅう。
<紫本屋さん>』
物以外も盗むとは大したものである。
『よく遊んでくれるよ。ただ魔理沙の魔法は眩しくてチカチカする。
私よく地下にいるから目が慣れないのよね…… ダジャレじゃないよ?
<あいつの妹>』
実力はあるようだがいつか痛い目をみるだろう。
というか痛い目見せてやって誰か。
~紅魔館のメイド~
十六夜咲夜
能力 時間を操る程度の能力
危険度 低
活動場所 紅魔館、人里
紅魔館のメイドであり、主に紅魔館から出ることはないので
危険度は低い。
ただ、彼女の主が命令したことなら何でもするので
主に彼女の主の機嫌を損ねてはいけない。
人里で買い物しているのをたまに見るが、割と馴染んでいる。
報告例
『生ごみを漁ってるのは私じゃないですって……
<高速フィルムまきまき達人>』
害虫と害獣は彼女の天敵である。
『うぃ、っく。私の能力を使ってめずらしい物を集めようとしてるんだって?
人間が私をつかうなんて100年はや…… おろろろろろ。
<完全に酔っ払い童子>』
飲み過ぎだよ。
片付けは手伝わないからね。
『偶に屋台に飲みに来て愚痴を言ってるよ。
たまってるんじゃないかな、色々と
<八目鰻屋台、夏まで割引やってます>
休みがないらしい。
瀟洒なメイドとはいえ彼女も人間なので休みが必要なのだろう。
あとここを宣伝の場にするのはやめてもらいたい。
~山の新人神様~
東風谷早苗
能力 奇跡を起こす程度の能力
危険度 極高
活動場所 山周辺
最近山にやってきた、人間でありながら神である存在らしい。
来た当初はおとなしかったものの、妖怪退治という新しい遊びを覚えてから
歯止めが効かなくなり無差別に妖怪を退治しにかかる恐ろしい人間である。
笑顔の緑髪の巫女がやってきたら即逃げることを推奨する。
報告例
『倒せない妖怪がいたから倒すよう頼んだら私も倒されていた。
何を言っているかわからないと思うけど、私もわからない。
<からかさ小娘>』
この人間にとって妖怪退治とは一種の娯楽である。
近づいてはいけない。
『私を馬鹿にしてこてんぱんにした挙句、楽しいかもしれないとかいって去っていった。
……もしや私が彼女に妖怪退治の楽しさを目覚めさせてしまったのかもしれない
<☆ナズナズ☆>
心配しなくてもいずれ目覚めていただろう。
なんども言うが近づいてはいけない。
『誰だか覚えてないけど
なんか痛い事された気がする。あんまり覚えてないけど。
<我々は霊廟を守るために生み出された戦士である。死んでるけど>』
聞く妖怪を誤ってしまった。
ここからは「幻想郷縁起」にコメントを残した人里の人間の紹介である。
食べ盛りの太公望
色々なところで釣りをしているのを目撃されている。
単に魚好き、釣り好きの爺である。
報告例
『いたずらしようと思って魚を凍らせたらすごい喜んでたよ。
人間って魚を凍らせると喜ぶのね。
<さいきょーようせいさるのさゃん> 』
霧の湖は絶好の釣りポイントでもある。
『いやいや、びっくりしたよ。
まさか三途の川で釣りしてる人間が居るなんてね。
まぁ、話し相手になってもらったからあたいは楽しかったけどね。
<赤髪サボり会 会員No.1>』
三途の川で何が釣れるのだろうか。
生き物はいないはずだが。
ファン倶楽部会員No.5
プリズムリバー楽団のファンであり、熱狂的なファンである。
が、最近、廃洋館に行ったきり戻ってこないらしい。
報告例
『彼か。いつも見に来てくれて嬉しかった覚えがあるね。
え? 何で過去形なんだって? だって彼はもう……
<月のヴァイオリニスト>』
南無南無。
一人でそんなところ行くのが悪い気もするが。
『あ、No.5さんでしょ?
私の演奏聴きたいって言うから聴かせてあげてから
踊り止まなくなっちゃてね。今は地下室に閉じ込めてあるよ
<ハイテンションのトランペッター>』
あ、生きてたんだ。
頑張って踊っててね。
リリカファン倶楽部No.1
熱狂的なリリカファンである。
正直、本人は迷惑しているらしいのでやめてあげて欲しい。
報告例
『悪い人じゃないと思うよ。
褒めてくれるし。
ただ度がすぎるって言うか……
<困惑のキーボーディスト>』
何事も控えめにやるのが得策である。
本人からしたら危険度 極高だろう。
香霖堂店主
半分だけ人間らしいが、半分よりも人間寄りだと思うのでここで明記させてもらう。
近づかなければ危険はないが、
こちらの足元を見てふっかけてくる場合もあるので注意が必要だ。
報告例
『兎肉が好物だとわざわざ明言する必要ないでしょ。
お前に食べられるために兎は居るんじゃないぞ。
<地上の美少女兎>』
全く、この美少女兎ちゃんの言うとおりウサ。
『この人の家の中だけあったかそうだったから
一日中この人の家の周りに居たらさすがに風邪引いちゃったみたいね。
雪女舐めちゃいけないわよ。
<白岩>』
いくら文明が発達しても
自然の力には勝てないみたい。
豆腐屋
豆腐屋は鍋をするときに欠かせない存在である。
我々妖怪の中でも豆腐屋のことを好んでいるものは少なくないだろう。
最近、一人娘が結婚したらしい。
報告例
『ここの油揚げは美味い。
いつも利用させてもらっているファンです。
これからも頑張ってください。
<大妖怪の式神の式神の主の主の式神>』
うちのお味噌汁に偶にここの油揚げが入ってるけど結構美味しい。
人間の食文化には驚かされる。
『偶におつかいに行くんですけどよくサービスしてくれますよ。
つまみ食いもさせてくれますし、いい人だと思います。
<赤髪サボり会 会員No.2>
今度からは積極的にお使いに行くようにしたいと感じさせる報告である。
花屋
人里で唯一の花屋。
恰幅のいいおばさんが店を切り盛りしていて、いつも元気がいい。
娘は寺子屋に通っている。
報告例
『花好きな悪人はいないわ。
人間はもちろん、妖怪も。
<スマイルフラワーマスター>』
ノーコメント。
『ふむ。娘はなかなか積極的で授業中も手を挙げるいい子であるが
いかんせんおしゃべりなところがいけないな。
もうすこし落ち着きを持ってもらいたいな。
<寺子屋で歴史の教鞭をとっている者です>』
私に言われても困る。
野菜一筋
野菜を作って20年。
よく畑で見かける青年である。
報告例
『この前罠にかけられたわ。
腹がたったからいたずらし返してやったわよ。
私以外の二人が。
<探知レーダー役妖精>
この妖精はわかっていない。
いたずらは自分で努力するから楽しいのだ。
『珍しく怒ってたから手伝ったけど……
さすがにやり過ぎちゃったかな。小刻みに震えてたよ。
<消音役妖精>』
一体何をしたんだ。
『やめろって言ったのに……
いたずらも限度が過ぎると巫女がやって来て一回休みになっちゃうよ。
<光の屈折役妖精>
いつもはこの妖精がノリノリのはずなのだが。
一体どんないたずらをしたのかはまだわかっていない。
独白
私が人間の里縁起を執筆したのは
稗田家九代目、阿求が幻想郷縁起を出版したすぐ後だ。
対抗したいわけではなく、彼女の縁起に書かれていた『理想の世界』にひどく感銘をうけたのが動機である。
理想の世界、人間が妖怪を程よく恐れ、妖怪が人間に程よく退治される世界。
私はそれを目指すためにこの本を纏めたのである。
ただ、私は妖怪の中でもかなり矮小な方で、力も余り無い。
長生きと健康だけが取り柄で私は世界を動かす力がなく
このような本を世の中に出し協力を得ようと考えたわけだ。
どうか私の意見、稗田一族の意見に賛同し、力を貸してくれるという妖怪、人間が居たら
私に遠慮無く言ってもらいたい。
なんなら資金だけの援助も大歓迎だ。
むしろ、資金さえあればなんとかなる気がする。
あとのことは私に任せてお金を私にください。
お願いします。
著者 因幡てゐ
監修 因幡てゐ
この本の無断転載を禁止します。
違反したものは罰金です。
見つけ次第即刻徴収に行きます。
(鈴仙が)
定価 本体10貫文+特別税50%
……吹いたじゃねぇか、コノヤロウ。毒って三月精の話かってここで気付きました。
本家の英雄伝に近いものかと思ってたんですが、こういう切り口かと感心させられました。
兎さんのご冥福をお祈り致します。
自機だし半分人間だし妖夢もいるかと思ったらいなかったでござる。
もし書かれても危険度は低そうですけどねw
なんていうか……普通……
ただ妖夢は出典によって危険度は違うかな。
香霖堂verなら危険度低そうだが萃夢想verだと無差別辻斬り侍だから危険度高そうw
もう少し全体的になにか仕掛けがあるかと思ったらそうでもなくて拍子抜けでした。
落ちも弱いですしね。
チョウセンアサガオうめえww
という感想ほどしっくり来るものもない作品
いや別に嫌みでもになんでもなくて