Coolier - 新生・東方創想話

嘘と狂言と幻想の楽園

2012/03/17 22:48:59
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 妖怪も人間も妖精も。

 亡霊も仙人も神様も。

 この地に住む者も、外からやってきた者も。

 口を揃えて、ここは平和すぎるほど平和でほのぼのとした世界だと言う。

 そんなほのぼのとした世界の象徴ともいうべき場所が、幻想郷の東端にある博麗神社である。
 一見何の変哲もない神社ではあるが……本当に何の変哲もない。
 参拝客は少なく、特別な行事はなく、ここで生活している巫女は、生来の楽天家ときている。
 よって幻想郷に住む者達は、朝日を拝むたびに東にある山を向き、神社が無事に建っていることを確認して、平穏な世をありがたがるのが常となっていた。

 霧雨魔理沙は神社の裏の縁側に腰掛け、とんがり帽子を膝の上に置いて、くつろいでいた。
 心地よい風が吹いている。耳にかかった金髪が揺れる度に、晴れ渡った空の向こうから届くのは雲雀の声だろうか。
 夏には草が伸び放題となっている庭も、今の時期はタンポポやつくしが控えめに生えているくらいで、目にうるさくない。
 瞼を閉じて息を吸い込み、魔理沙が遠くの桜の香りを味わっていると、居間の方から足音が近づいてきた。
 ここの神社の住人が、ジュースを持ってきてくれたのだ。

「はい。神社ーエール」
「焙じ茶だろそれ」

 お茶を持ってきてくれたのだ。
 お盆に乗った湯飲みを取りながら、隣に腰を下ろす少女に言う。

「変な見栄張らなくても、お前がお茶しか出さないお茶バカ巫女なのは、みんな知ってるぜ」
「誰がティーマスターレイムよ。勝手に変なあだ名つけないで」
「言ってないぜ、うん」

 まんざらでもなさそうな友人に、魔理沙はやんわりとツッコミを入れておいた。
 長く伸ばした艶のある黒髪に、赤いリボン。変わったデザインの紅白の巫女服を着ており、肩口と袖の間から、ほっそりと白い二の腕が見えている。整った目鼻は大人びているようでもあり、あどけなさが残っているようでもあり、どこか浮世離れした雰囲気もあった。
 博麗霊夢。見た目も中身も魔理沙とはまるで違うものの、お互いに、自分達の付き合いの中では珍しい、同年代の人間の少女だった。実力でも容姿でも、魔理沙は負けていないと思っている。ところが、一つだけ逆立ちしても敵わないと認めている特技が、霊夢にはあった。
 
 香ばしい湯気を吸い込んでから、魔理沙は椀の縁に口をつける。

 ああ……

 おのずとため息が漏れた。
 人一倍こだわりがあるからなのだろうか。この巫女は実に旨いお茶を煎れる。
 さっぱりとしていて、味はまろやか。引っかかることなく喉を通り抜け、身体の隅々まで滋味が沁み渡っていくようで……。
 もう一度、ほぅ、と息を吐いて、魔理沙は微笑み、感想を伝えた。

「いつもと変わらん味だな」
「どういたしまして」

 霊夢の方も、そっけない感想に慣れた調子で答え、すました表情でお茶を飲み始める。
 ただでさえ長閑な春の午後だが、この神社では尚のこと緩やかに時間が流れていく。
 まさしく幻想郷らしい、平和でまったりとした空気であった。

「ところでさ」

 湯飲みの中身が半分ほどになってから、魔理沙は話を切り出した。

「どうして私が今日ここに来たと思う」
「さぁ。用事がなくても、いつも来てるじゃない。うちの神社が忙しい時や暇な時、関係なく」
「この神社が忙しい時なんて寡聞にして知らんな」
「失礼ね」
「いや、怒るな。今日はちゃんと用事を持ってきたんだ。実はな……」
「何?」
「実は今日は、私の誕生日なんだ」

 にっこり笑って、魔理沙は手を出した。

「あらそうなの」

 にっこり笑って、霊夢は舌を出した。

「待て待て。なんでそこで舌を出す。おかしいぜ」
「プレゼントなら他をあたりなさいってことよ」
「なんだ、くれないのか。でも去年はちゃんとくれたじゃないか」
「そうだった? 私はもらってないわよ」
「あげられるわけないだろうが。だって……」
「ああ、はいはい。その話ならもうたくさん」

 霊夢は手を水平に振って、話を打ち切ろうとする。
 「私はお前の誕生日を知らないんだぜ」と言いかけた魔理沙は口ごもった。

 再び、無言の時間が訪れる。
 だが今度はまったりというよりも、二人の間を境に空気の層が若干ずれているかのような、妙な雰囲気に変わっていた。
 しばらくして、お茶をすすりながら、魔理沙は独り言のように呟く。

「……もったいない話だな。お前の誕生日がわかったら、一生忘れられないほど豪華な祝宴を用意してやるのに」

 ちらりと隣の反応を窺ってみる。
 視界に入る横顔は、相変わらず平然としていた。
 魔理沙は「うっ……」と怯むものの、めげずに次の一手を放ってみる。
 
「じゃあさ。お前の誕生日を教えてくれるなら、今年の私のプレゼントはいらん、って言ったらどうする」
「あら、それくらいにしか考えていないなら、私がわざわざあんたにプレゼントをあげることはないわね」
「なっ!?」
「もちろん私の方も、誕生日を教える気はないわ」

 まさしく、淡麗の巫女。淡麗霊夢だ。あるいは冷淡だ。
 凍るほど冷たくないものの、つかみどころを与えない。
 今の時期に相応しい、初春の雪どけ水のごとき言動である。……いや、いつもそうだが。

 ――そういえば、前もこんな風にあしらわれた気がするぜ……。

 心中で唸りつつ、魔理沙はやはり当時と同様、口をへの字に曲げて黙り込んだ。

 実は誕生日だけではない。
 もう長い付き合いなのに、博麗霊夢の経歴について、魔理沙が知っていることはかなり少なかった。
 博麗の巫女を継ぐ前の話。人里では、どこに住んでいたのか。両親は今どうしているのか。等々。
 一年に数度、会話の間にふと思い出して訊ねているのだが、その度に話をかわされている。
 日頃の出来事などは全く包み隠さず教えてくれるのだが、巫女になる以前についてはのらりくらり。
 避けるのが得意なのは弾幕だけではないらしい。

 あまりしつこく追及すると空気が悪くなるし、口を利いてくれなくもなるので、根負けするのはいつも魔理沙の方だった。
 しかし、友人の秘密主義に対する不満は、今日までずっと残ったままだった。

「なぁ~祝ってやるから~、教えてくれよ~。祝わせてくれよ~霊夢~」

 ついに魔理沙は奥の手ということで、駄々っ子になりながら、彼女の肩を揺すってみる。

 叩かれた。

「うっとうしいわね。プレゼントなら後で考えてあげるから、その話とその気色悪い声はよしなさい」
「別に誕生日くらい明かしたところで、お腹が空くわけでも、賽銭が減るわけでもないだろ~」
「増えもしないけどね。それに、この世に全く同じ日なんて存在しないんだから、どれか一つを選ぶことなく尊ぶべきよ」
「むむ」
「あんたみたいに誕生日だけ特別にウキウキしてたら、平常心が磨かれないわ」
「…………」

 それも確かに一つの正論かもしれない、と魔理沙は思う。
 だが正論というのは、大抵味気なく、情緒に欠けるということも、声を大にして主張したい。
 すると今度は「それが世の理よ」とかなんとか言われて、煙に巻かれるに違いない。
 いつも自分の都合で理屈を破るくせに、他人に対してはもっともらしく理屈で攻めるのが、この巫女なのであった。
 
 とにかく、毎度のごとく、霊夢にいくら聞いても無駄だと魔理沙は悟った。
 心なしか先程よりも苦いお茶を味わいつつ、今日もまた惨敗か、と諦めかけていると……


 ふとあるアイディアが頭に浮かんだ。

「そうだ。お前がダメなら、紫に聞いてみるか」

 靴を脱いで、縁側の上に足をのせ、魔理沙は家の奥の和箪笥へと向かった。
 一番上の引き出しを開けると、ひょこっ、っと長い金髪にリボンをたくさん結んだ女性――八雲紫の顔が現れる。

「あら魔理沙、どうしたの」
「やぁ紫。霊夢の誕生日がいつだか知ってたら教えてくれ」
「さぁ、私にはちょっと分かりかねるわね……でも、ワーハクタクなら知ってるんじゃないかしら」
「なるほど。わからなかったら、けーねに聞け、ってやつだな。ありがとさん」

 新たな手掛かりを得た魔理沙は、早速箒に飛び乗って、意気揚々と人間の里を目指した。

 ――なんで紫がうちの箪笥から出てくるのよ!?
 
 と、後ろから怒鳴り声が聞こえてきたような気もしたが、まあそっちは自分に関係なさそうな話なので放っておいた。




 ~~~~~





 人里のはずれに、その一軒家は建っている。
 瓦屋根に木造建築。大工の仕事か、あるいは家の主の趣味なのか。
 鐘や仏像があるわけでもないのに、上からも見下ろすと、禅寺の書院のようなわびさびが感じられる造りだった。

 箒に乗った魔理沙は突風を引き連れて、その家の庭に下り立つ。 
 さらに縁側に上がって、障子を開け放ち、

「慧音ー!! HAPPY BIRTHDAY!」
「はっはっは。気の早いやつだな魔理沙。私の誕生日は来月だ」
「別にお前に言ったわけじゃないぜ。私自身に言ってみたんだ」
「何しにここに来たんだお前は」

 ちゃぶ台の側に座る上白沢慧音は、憮然とした面持ちで言った。
 いつもの特徴的な帽子はかぶっておらず、銀の髪をひとまとめにしており、服は作務衣である。 
 右手にはお箸、左手にはお茶碗。どうやら食事中だったらしいが、時刻はとうに正午を過ぎていた。
 おそらく昼食の時間を取る暇もないほど忙しく、寺子屋の生徒のため、あるいは里の者達のために働いていたのだろう。それでこそ、人間の里の守護者。頑張れ慧音先生。負けるな慧音先生。
 
「どうした魔理沙。何故目をこすっている」
「いや、なんでもない。実は私がここに来た理由はな……おっと、『かくかくしかじか』なんて使わないぜ。ちゃんと順を追って話してやる」
「では聞かせてもらおうか」

 魔理沙はちゃんと順を追って話した。

「……というわけだったのさ」
「なるほど。霊夢の誕生日を祝ってやりたいものの、当人が全く教えてくれないので、私のところに来たということか。なぜかお前の説明の消費カロリーが少ないことに釈然としない気分を先生は覚えたが、事情はわかった」

 話を中断し、もぐもぐとうなずく慧音。
 物を噛んでいるようにも見えたが、実は感心していたらしい。

「お前がそんなに友情に厚いとはな。少々見直したぞ」
「別に友情じゃない。いつまでも誕生日を内緒にしているあいつを祝って、何とかぎゃふんと言わせてやりたいだけだ」
「なんとも歪んだ動機だな……というか誕生日を祝われて、『ぎゃふん』と言う輩がこの世にいるとは思えんが」
「そこは私の腕の見せ所だぜ」
「どんな祝福をする気なんだお前は」

 お椀を片手に呆れる慧音に対し、魔理沙は腰に手を当てて「えっへん」とポーズを取る。
 
「というわけで、誕生日だけじゃなく、あいつの生い立ちとかについても教えてほしい」
「ふむ……生い立ち……」

 味噌汁を吸いきり、知識と歴史の半獣は立ち上がった。

「では私の仕事部屋に案内してやる。食器を片付けるので、お前はちゃんと玄関から家に入り直してこい」




 ~~~~~




「ほほう……こりゃまた壮観だな」

 慧音の仕事部屋に入った魔理沙は、思わずそう言って、四方を見渡した。
 書物のぎっしり詰まった棚やら、何やら古めかしい木箱やらが壁際を占拠している。
 中央の文机の上には、筆とすずりが乗っており、その周囲にはまだ新しい紙束が重なっていた。
 奥の大きな押入れにも、まだ何かが隠されているような気配があるが、一体どれ程の歴史がここに眠っているのだろう。

「霊夢の生い立ちということだが、どのあたりまで知りたいんだ」

 部屋の奥を探っている慧音が、こちらに訊ねてくる。
 服は変わっていないが、頭にはいつもの四角い帽子が載っていた。
 魔理沙は用意してもらった座布団に、遠慮なく座り込みながら、

「家族について、育った場所について。他には幼少時代のエピソード。とにかく、お前が知っていることを全部話してもらおうか。長くなっても構わんぜ」
「やれやれ……」

 慧音は押入れの側にあった大きな箱を抱えて戻ってきた。
 文机の横に座り、その蓋を開けて覗き込み、中から一枚の小さな紙を取り出す。

「霊夢が生まれて間もない頃の写真だ」
「ほー」

 魔理沙はそれを受け取って、声を漏らした。

 まさしく、玉のような赤ちゃんが写っていた。
 優しく閉じたまぶたと、ふっくらとした桜色の頬。その下では、小さなおててが、ギュッと握られている。
 思わず眺めているこちらの顔が緩む写真だ。

「なかなか可愛いじゃないか。今よりもころっとしていて。うんうん」

 これが友人の幼い顔だと思うと、少し気恥ずかしく、首のあたりがくすぐったくなってくる。
 まぁ赤ん坊の笑顔というのは、どんなかたくなな人間の心もとろかしてしまう、不思議な力を持っていると聞くしな。

 などと心の内で呟きつつ、魔理沙は裏面を見てみた。




 マイケル伊藤 誕生




「誰の写真だよこれぇ!!?」

 思わず叫んで放り出したそれを、慧音が慌てた様子でキャッチし、

「あ、しまった、こっちは違った!」
「待て!! それ戻す前に一つ聞かせろ! 誰だマイケル伊藤って!?」
「別に珍しくない苗字だろう。一学年に一人はいるぞ伊藤」
「マイケルとの組み合わせに引っかかったんだよ!!」

 指をさして怒鳴りつけるものの、持ち主の方は何食わぬ顔で、写真を箱に戻していた。
 あまりに意外な不意打ちを受け、魔理沙は動揺を抑えるのに、深呼吸が何度か必要だった。
 やがて落ち着いてから、腕を組んで呻く。

「まさかお前がこんなふざけたマネをするとは思ってなかったぜ……」
「間違えただけだ。弘法も筆の誤りというだろう。赤ん坊の顔は特徴が少ないから、こういうこともある」
「普通名前くらいは確認すると思うんだがな。まあいい。あるんならさっさと本物の霊夢の写真を見せろ」
「うむ、これがそうだ」
「……ちょっと待て!」

 慧音の持つ写真を取り上げ、魔理沙はしっかり裏面を確認した。

 やはり……。島田カルロスと書かれている。
 全く油断できないぞ、このワーハクタク。

「これはお前のコレクションか何かか? カタカナと苗字の組み合わせに、惹かれるものがあるのか?」
「だから間違えただけだって。いろいろとワーハクタクにも事情があるんだよ」
「博麗霊夢と島田カルロスを間違える事情なんざ、この幻想郷には必要ないぜ」

 本当に必要ない。

「さぁ、今度こそちゃんとあいつの写真を出せ」
「わかったわかった。へいお待ち」

 まるで飯屋の大将のごとく、彼女は写真を渡してきた。
 魔理沙はそれを持ち、首を左右に傾けながら、暫しじっくりと検分する。

「なるほど。この頃からあいつの髪の毛は生え揃っていたのか」
「うむ」
「意外と七三分けも似合うんだな」
「確かにな」
「今よりも口髭が濃いな」
「そうだろう」
「…………おい」

 魔理沙はジト目で、慧音の顔面に写真を押し付ける。
 そこには、大正浪漫を感じさせる、渋い中年紳士の姿があった。

「なんだ。写真を間違えたつもりはないぞ」
「じゃあお前は霊夢がこんな老けた男の顔で生まれてきたとでも言うつもりか? この家のトイレの天井に魔砲で穴を開けて、まさかの青空仕様にしてやろうか?」
「それは霊夢の父君の遺影だ」

 不意打ちを受け、魔理沙は思わず口を閉ざした。
 もう一度、その写真を見つめる。

「霊夢の父さん……亡くなっていたのか」
「うむ。まだあいつが生まれて間もないころに、あっけなくな……」
「あいつにも普通に父さんがいたんだな」
「当たり前だ。仮にも博麗の巫女を、ジャガイモやアメーバのように言うとは失礼な」
「…………うん、今のは確かに私が悪かった。そういうことにする」

 言われてみれば、確かにその男性には、霊夢の面影があるような気がした。
 会ったことさえないのに、写真の人物に不思議な親近感を覚えてしまうのは、友人の父だからだろうか。
 生前に会ってみたかったな、などとしみじみと思っていると、

「お前もたまには、実家に顔を見せてやることだ。心配しているぞ」
「ふん、私のことはどーでもいいぜ」

 急に親の顔が頭に浮かび、魔理沙は冷めた気持ちになって、写真を返した。

「続いてこれが、霊夢の祖父の写真だ」
「ほう」

 入れ違いに、慧音からその一枚を受け取る。

「そしてこれが霊夢の曾祖父の肖像画だ」
「ふむ」

 魔理沙は額縁にはまった油絵を受け取る。

「これが霊夢の曾曾祖父の浮世絵だ」
「…………」

 魔理沙は多色の木版画を受け取る。

「これが霊夢の曾曾曾祖父の木像だ」
「……なぁ」
「これが霊夢の曾曾曾曾祖父の埴輪……」
「いい加減にしろ」

 次から次へと出てくる博麗の祖父グッズに、魔理沙はさすがにツッコミをいれた。
 これらが全部同じ箱に入っていたのだと思うと恐れ入る。

「私が知りたいのは霊夢の生い立ちだけだ。他はどうでもいいぜ。ノーモアじいさん」
「しかし、人の家系図を遡っていくのって、何か興味をそそられないか? 歴史の紐を解いていくのにも似た楽しみが……」
「出たなこの歴史オタク!」
「だっ、誰が歴史オタクだ! 愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶのだ! さしずめお前は愚者の方だな! 愚者! 愚者!」
「何でもいいから、さっさと霊夢の写真を見せろ! しまいにゃ私もキレるぜ!」
「ふっふっふ……」

 なぜか野卑な含み笑いを浮かべて、慧音はまた、木箱の中に手を差し入れる。
 肘から先を小刻みに動かして、今にも飛び出るような出ないような。
 ちらっちらっ、と視線でこちらの反応を窺ってくる度に、魔理沙のこめかみがピクピクと動いた。
 そろそろ殴ろうと思った頃合いで、慧音が一気に取り出し、

「じゃじゃん!」
「いや、今さらそう凄いもののように見せられても困る……」

 脳にかなりの疲労を覚えつつ、魔理沙はその写真を睨んだ。

 可愛い赤ちゃんだ。それは間違いない。
 実物であれば、あやしたり子守唄を歌ってやりたくなるくらいだ。
 だが、さっきマイケル伊藤の可愛さを褒めた手前、どうもばつが悪い。

 いや待て……。
 ここで霊夢を褒めてやらなければ、あいつの赤ん坊時代はマイケル伊藤以下の可愛さだと認めることになるのでは!?

 そう思い直した魔理沙は破顔一笑して、

「うん! すごくかわいいぜ! マイケル伊藤を一とするなら、レベル三十はあるな!」

 ビシッと親指を立てて主張した。
 「ほうほう」と慧音は興味深げにうなずく。

「では今度私が霊夢に会った時に、『お前はマイケル伊藤の三十倍可愛い』と魔理沙が言っていた、そう伝えておこう」
「やっぱり今のはなしだ! なんか殴られる未来しか想像できん!」

 魔理沙は頭を抱えて、床をごろごろと転がった。比較した時点で負けだと気づくべきであった。

 上から慧音の平坦な声が降ってくる。

「一応小まめに掃除はしているのだが、あまり動かれるとさすがに埃が舞うのでやめてくれ」
「………………」
「どうした魔理沙。今度は写真の裏を見てみないのか」
「やだ……もしそれに大鳥フランソワとか書かれていたら、もう私は立ち直れそうにない」
「あやつの生年月日が書いてあるんだが……」
「見せろ!!」

 すかさず魔理沙は彼女の手から写真を奪い、裏を確認。




 ○○年 如月 二十九

 博麗霊夢 誕生




 間違いなく、友人の名が記されていた。
 そしてその上の数字を確認した瞬間、魔理沙は息を呑み、続いて驚きの声を上げる。

「うるう年か!」
「正しくは、閏日だな。太陽暦の場合、暦の季節と現実の季節の間には、わずかなずれが存在する。そのために四年に一度、一年の暦日を一日多くすることで、誤差を修正している。それが如月、すなわち二月の二十九日だ。二十四日の後に同じ曜日を入れて修正する国も外界にはあるという」
「ははっ、四年に一回しか来ない誕生日だなんて、いかにもふざけていて、あいつらしいぜ」

 知りたかった情報を手に入れることができ、長年のもやもやがスカッと吹き飛ぶ感覚があった。
 さらに、このネタで散々話を振ってやるという、近い将来の楽しみまで、おまけでついてきた。
 
 ニヤつく魔理沙は、あることに気付いて、首を傾げる。

「待てよ? ってことは、霊夢は四年に一回しか年を取らなかったり、四年に一回しか誕生日を祝ってもらえないということなのか?」
「それはありがちな誤解だ。閏日に生まれたものであっても、如月が終われば、きちんと齢を一つ重ねたことになるし、誕生会は各家庭の自由な儀式だからな。実際は如月の28日や、弥生の1日に祝うことになるのが多いと聞く」
「ってことは、私がその辺りで祝ってやってもいいってことだな」

 魔理沙は写真を慧音に返し、満面の笑みを湛えたまま、その場に居座った。

「なんだその顔は」
「まだ全然、あいつの生い立ちを聞いてないぜ」
「誕生日が分かっただけでよしとはしないのか」
「いいや。最初に言った通り、今日は残らず聞いていくつもりだ。きっと何か面白い話があったりするだろ?」
「別に何もないぞ、ぷぷぷ」
「……そういう反応をされると、逆に怪しくなってくるな」

 口に手を当てて笑いをこらえるワーハクタクに、魔理沙は疑いの眼差しを向ける。

「また適当な嘘を吐いたら、ただじゃおかんぜ」
「いや、そんなことはせんよ。まずは霊夢が生まれた時のことだがな」
「ふむ」
「『おちゃぁ、おちゃぁ』」
「明らかに嘘だろうが!!」

 脊髄反射でツッコミが発動した。
 産まれた瞬間から、産声でお茶を要求する赤ん坊などいるものか。
 ふっ、と慧音は悪びれた様子もなく、口角を持ち上げ、

「今のはお前の常識レベルを試しただけだ」
「余計なことはしなくていい。生い立ちの方もそうだが、霊夢の親についても話してくれよ。さっきから気になってたんだ。父親の方は亡くなっていたんだよな」
「母親の方も、すでにあの世の住人だ」

 何気なく明かされた事実に、魔理沙は少なからぬショックを受けた。

「知らなかった……私はてっきり、家族がまだ里にいるものだと」
「博麗の巫女にとって恵まれた才能も確かに必要だ。しかし、縁者の反対があっては無理に強いることはできない。そういう意味で、霊夢はうってつけだった。……だがそもそもあいつの場合は、博麗の巫女として幻想郷を守る存在になるというのが、家族の願いだったからな。霊夢にとって博麗の巫女としてふるまうことが、家族への恩返しとなっているわけだ」
「………………」
「お前は気付いてないだろうが、実は霊夢は今も、異変の解決の際には、家族の形見を身につけているのだぞ」
「……そうだったのか……」

 今まで軽率に霊夢の過去を追及していた自分について、魔理沙は反省した。
 それは確かに、他人に気軽に話したくなるようなことではなかっただろう。

「あいつが親からもらった形見ってなんなんだ」
「霊夢の姿を思い浮かべてごらん。きっと見えてくるはずさ」
「そうか」

 やけに爽やかな語調の気がしたものの、言われた通り思い浮かべてみた。

 ……あの大きなリボン。いや、もしかすると陰陽玉とかだろうか。

「それともまさか、あの脇の大きく開いた巫女服なわけないよな」
「ふざけるなバカ。あんなものを娘に受け継がせようとする親がどこにいる。あれは魔法の森近くの道具屋が仕立てたものだと聞く」
「そういえばそうだったな」
「だが最初にあのデザインを発注したのは、霊夢の祖父だったとも聞く」
「マジでか!」
「しかも自分用だったらしい」
「おいぃ!?」

 自動的に二段ツッコミを放ってしまった。アグレッシブすぎるだろセンスが。

「博麗じいさんの話は二度とするな。とにかく両親の形見のことだけ話せ」
「だから、見てなんとなくわからないか?」
「わからん」

 正直に答えると、慧音はおもむろに立ち上がった。
 窓際に立ち、外から差し込む夕日――にはまだ早い時間だったが、彼女は目を細める。

「霊夢の父さんは……」
「父さんは?」
「熱い思いを残した」
「……こら」
「そして母さんはあの眼差しをくれたんだ……」
「どうやって私にわかれっつーんだよそれ」
「大事なことを教えてやる、魔理沙。世の中には言葉で具体的にすることで、価値を下げてしまうものもあるんだ」
「そもそも肝心のブツが抽象的な上に嘘臭過ぎて話にならんのだろうがー!!」

 魔理沙は黄昏に浸っていた慧音の尻を蹴り飛ばす。
 「ああー! 尻がー! 尻がー!」と、里の賢者は呻きながら、畳の上を転がった。
 馬鹿馬鹿しくなるほど情けない姿を見下ろし、魔理沙は問う。

「お前、本当に慧音か? もしかして、ぬえか何かが化けてるんじゃないか?」
「失敬な! 私はちゃんと下着を穿いている!!」
「どうやら化けてはいないみたいだな」
「む、確かめてみないのか」
「みるか!!」

 もう一度、蹴っ飛ばす。
 「尻がー!!」という呻き声を聞き、魔理沙は急に膝から力が抜け、その場に座り込んだ。

「なぁ慧音先生……頼むぜ。私はもう一か月分のツッコミゲージを消費してしまった。これ以上は心身がもたん。お願いだ。私を自由にしてくれ」
「すまなかった魔理沙……今からきちんとシリアスにやろう」

 すれ違っていた心が、再び出会う。
 二人はガッチリと握手を交わした。

「実はな。私は少し迷ってるんだ。霊夢自身が話したくない歴史を、勝手に明かしてよいものかと」

 本当にシリアスにしやがったよこいつ。

 という心の声はしまっておき、魔理沙は苦笑して言った。

「その辺は心得てるつもりだぜ。私は単に、うっかり変なことを口走ったりすると、あいつに悪いと思ったから、あらかじめ知っておくべきことは知っておきたいだけだ。亡くなった親のことも含めてな。話せる範囲で構わん」
「ふむ……荒っぽいようでいて、根は真っ直ぐ。お前らしい答えだな」
「なんだよ急に。からかってるつもりなら、もう一度蹴っとばすぞ」
「時には真っ直ぐ進まないことも大事だと言いたいのだ。お前の立場になって考えてみろ」
「ん?」
「霊夢がお前の実家のことを私に聞こうとした、ということを知ったら、どう感じる。嫌だとは思わないか」

 思わず口をつぐむ。
 確かに頭では納得できても、心では納得できない部分があるような気がした。
 さらに慧音は、いかにも教師らしい口調で、穏やかに諭してくる。

「誰にだって触れられたくないことはある。確かに、霊夢は飄々としているところがあるが、彼女も普通の人間だ。本人が自分から話そうとしない限り、そっとしておくべきではないか」

 自分はこういう時に黙って聞くような性格ではない。
 故に今回も反射的に何かを言い返そうとしたのだが……何かに蹴躓いた感覚に、魔理沙は思いとどまった。

 じっと唇を噛み、今慧音が言ったことについて考えこむ。
 何か自分の中で、ある部分がカチリとはまった音が聞こえたのである。

「……そうだな。普通の人間……なんだよな」

 ぽつりと、その一言が出る。
 魔理沙は内心の感触を確かめ、うん、とうなずいた。

「ひょっとしたら、私は生い立ちがどうのこうのじゃなくて、それを一番確かめたかったのかもしれん」
「どういう意味だ?」
「時々……いつもじゃないぜ? 本当に時々だけど、あいつの存在が嘘っぽく見えることがあるんだ。違う言い方をするなら、『出来すぎ』っていうか」

 霊夢の誕生日、そして生い立ちが気になっていた訳。
 こちらが祝ってやった時の、向こうの反応が見てみたいというのもあった。水臭さに対する不満もあった。
 だがもっと小さくて目立たず、それでいてより確かな理由がそこにはあった。

「妖怪とか……まぁ吸血鬼やら亡霊やら月人やら神様やらが異変を起こして、博麗の巫女がそれを解決する。前からそんな流れで問題なく続いてるけどさ。あいつ以外の人間にその役割が果たせたんだろうか、とも思うんだ」
「……おかしなことを言う。お前も巫女ではないのに、異変が起こる度に解決へと向かっている一人であろう」
「まぁな。けど、私の家にあんなに妖怪は集まらんぜ」

 魔法の森にある自分の家の居間は、決して狭くはないが、様々なマジックアイテムやら何やらが散乱しているために人を招けるような状態ではない。
 だがたとえ綺麗に片づけたとしても、神社に集まる面々、すなわちあれだけ多様な存在を自分は一度に受け入れられるだろうか。
 あまりその光景が、頭に浮かんでこない。

「今の博麗の巫女って、人間側なのか妖怪側なのか、曖昧な立場だと思うんだ。不安定な足場で、それぞれ全く違う奴らを相手にしてるんだから、尋常な神経じゃやっていけないとも思う。でも霊夢は巫女の自分とプライベートの自分を分けないで、自然にこなしてるだろ。いや、それもあいつの性格なんだと納得してるんだが、ずいぶんこの幻想郷にぴったりの資質だな、と思ってな」

 博麗霊夢という友人として彼女を見ても、『当代の博麗の巫女』という存在として見ても、まるで差が表れない。
 魔理沙は話をつづけながら、うまく形にできないその違和感を、何とか言葉にしてみようとする。

「神社で妖怪と宴会を楽しんでるあいつを見てると、まるであいつが幻想郷の憑代みたいに映ってきて、なんか……妙な感じがするんだよ。真面目だか不真面目だかよくわからん性格してるのに、異変の際には本気で取り組もうとしてるのもやっぱり不思議だし……まぁ結局あいつの正体が不明だから、普通の人間だということを知って、安心したかっただけなのかもしれないな」
「……魔理沙」
「ん?」
「今までその違和感について、誰かに話したことはあるか?」
「いいや。私自身あまり意識していなかったからな。ここでお前の話を聞いて気付いたんだ」
「…………」
「どうかしたか?」

 魔理沙は少し目を見開く。
 慧音の顔が、心なしか険しくなっている。こちらを観察しつつ、何やら深く考え込んでいるようだった。
 居住まいにも、それまでになかった不穏な気配が漂っており、なんだか落ち着かない。

 やがて慧音は長い溜息をついた。

「そうか……考えてみれば、お前は今の霊夢にとって最も身近な存在だったな」
「ん。まぁ身近って言えるかどうかわからんけどな」

 今日の神社でのやり取りを思い出し、魔理沙は顔をしかめて言った。
 どんな知り合いに対しても、一定の間合いを保ち、それ以上は踏み込ませない。
 そういう性格じゃなければ、やはり博麗の巫女としてはやっていけないのかもしれない。

 と、単純に納得しかけたところで、

「そういうお前だから、伝えておくべきかもしれん。魔理沙。これから話すことは他言無用だ」

 怖い表情のままの慧音が、じっとこちらを見据えて言った。

「もし約束できなければ、お前が今日ここに来たという歴史は、いただいておくことにする」





 ~~~~~




 西の空に浮かぶ雲が、薄紅色に焼けている。東の空は澄み渡り、群青色に染まっていた。
 夕暮れ時。博麗神社の境内は、墨を湛えたすずりのように、濃い影に満たされていた。

 箒に乗った魔理沙は、暗い石畳の上に静かに降り立った。
 遅れて巻き起こる風には、いつもの力強さがなく、服の裾がかすかに揺れただけだった。
 
 本殿に向かって歩いていくと、赤と白、二色の人影が見えてくる。
 賽銭箱の中を覗いている巫女の少女だった。他には誰もいない。
 彼女は肩を落としてため息をつき、蓋をそろりそろりと閉じてから……こちらに気付いた様子で振り向く。

「あら、今日はもう戻って来ないかと思ってたわ」

 魔理沙は何も言わず、立ち止まったまま、その巫女をじっと眺めていた。
 向こうは階段を一歩ずつ降りて、こちらに近づいてくる。

「何か収穫はあったわけ?」
「……ああ」

 魔理沙は乾いた声で答える。

「誕生日……二月の終わりだってな」
「ええ」
「閏日だったんだな」
「昔の暦だと、普通の日なんだけどね。うちの神社は代々そっちで記録されてるし」

 夕闇の中、彼女はわずかに首を傾げた。

「暗いせい? 顔色があんまりよくない気がするけど、どうしたの?」
「……ちょっと……色んな所を飛び回ってたんだ」

 飛び回っていた、という表現は、かなり抑えた言い方だった。
 本当は、暴走していた。

 気絶しても構わない。激突しても構わない。この身が引きちぎれても構わない。
 弾幕を引き連れ、制御不能寸前の速度で、遮二無二に空を駆け巡っていた。
 
 そうすれば、石に変わっていく自分の心に、息を吹き込むことができるかもと思ったから。

 けれども、ダメだった。
 本人に会って話をすれば、昼間の様な気分に戻れるのではないかとも願っていた。
 しかし、より重みが増しただけだった。
 里の賢者に聞いた事実は、魔理沙の日常を木っ端みじんに打ち砕き、尚も毒に転じて、体の内側を巡りつづけている。

(博麗の巫女という装置が、幻想郷には必要だったんだ)

 正座する慧音は、神妙な面持ちで語った。

(結界ができたことで、妖怪が人間を襲うことができなくなり、さらに人間も何処に去ることができなくなったため、妖怪を受け入れざるを得なかった。故に、博麗の巫女は妖怪を退治するだけではなく、結界を管理すると共に、妖怪と人間を結びつけることのできる者でなくてはならなくなった。だが、そのような逸材を限られた時間の中で見つけることはできなかった)

 霊力もさることながら、偏りを生まない性格も必要。
 巫女の職務には忠実であり、妖怪と自然に打ち解けあうことのできる存在。
 才能、思想、性格、すべてを兼ね備えた者は当時いなかった。

 故に……慧音を含めた妖怪の賢者達は、ある手段を用いることを決定した。

 歴史の偽造。そして、理想の博麗の巫女の創造。

 ――これが……本当に『作られた』人間だっていうのか……。

 目の前に立つ、巫女服の少女を見て、魔理沙は思う。
 信じられない。
 だが、その事実は自分の中に積み重なっていた違和感と整合し、心にはまったまま、離れようとしなかった。

「そんなとこに突っ立ってないで、中に入るなら入る、家に帰るなら帰るで、どっちかにしなさい」
「…………」

 昨日までの自分なら、すぐに返事ができたはずなのに。
 たった半日の間に、普段自分がどんな風に応えていたのかが、まるで思い出せなくなっていた。

 それだけではない。当たり前に触れていた光景が、全て嘘のものに見えてくる。
 嘘の日常。嘘の友人。嘘のルール。それに囲まれて生きてきた自分。
 世界に取り残されてしまったような、どうしようもない孤独感が苛んでいた。

「すまん……しばらく、ここには来ないと思う」

 あるいは、二度とここには来られないかもしれない。
 魔理沙はその言葉を呑み込んだ。

 霊夢はさほど不思議そうな顔をせず、

「また魔法の研究か何か?」
「うん……」
「そう。あんたも飽きないわね、本当に」
「…………」
「ちょっとそこで待ってなさい」

 魔理沙は意外な思いで、神社の裏へと飛んでいく霊夢を見送る。
 しばらくして、彼女は小さな何かを手に戻ってきた。

「はいこれ」

 黒地の布に白い紐を結わえ付けたお守りが差し出される。
 掌に乗ったそれは、表に金色の糸で刺繍がされていた。 

「プレゼントが欲しい、って言ってたでしょ。だから作ったの」

 魔理沙は手を伸ばすのをためらった。
 去年も一昨年も、このような神社に関係したものを誕生日にもらったことを思い出したのである。
 故に、これも『博麗の巫女』としての行動ではないか。そんな疑念にかられ、受け取りたくない気持ちが働く。

 しかし、

「……この香り、なんだ?」

 魔理沙は我知らず呟いていた。
 鼻を通り抜けた香りが、体を縛り付けていた警戒心を、わずかに緩めた。
 柔らかく、少し渋みのきいた、心が和むような香りだ。
 それは霊夢が持っている、お守りから漂ってくるようである。

「お香替わりよ。あんた、私がこの茶葉を使う時に、一番嬉しそうな顔して味わってくれてるでしょ」
「……知ってたのか」
「あのね。何年お茶を出してやってきたと思ってんのよ」

 動こうとしなかったこちらの手に、お守りが握らされた。
 一瞬触れた指は、空の上でかじかんだ自分の手には、温かかった。

「無病息災。ちゃんと御呪いもこめておいてあげたんだから、飛んでる最中に落っことすんじゃないわよ」

 微笑みを浮かべて、彼女はそう忠告してくる。
 それから、きょとんとした顔になった。

「何……? あんたもしかして、泣いてるわけ?」
「……泣いてないぜ」

 魔理沙はそう否定して、鼻をすする。

「お前は……本当に変わらないな……って……思ってな……」
 
 安心していた。
 真実がどうあれ、今前にしているのは間違いなく、自分の知っている霊夢で、今日まで付き合ってきたライバルだった。
 自分の心が、そう認めることができていることに、本当に安心していた。

 霊夢は呆れたように肩をすくめ、

「よくわかんないけど、泣くことないじゃない。平常心が大事、って言ったでしょう」
「はは……そうだったな……私もちゃんと……プレゼント……考えるから……」
「いらないってば。誕生日なんて忘れてもらって結構よ」
「………………」
「どうせあんたのことだから、どこで拾ってきたかわかんない魔法道具とか、怪しげなキノコの詰め合わせとか持ってくるんだろうし」
「おらっ!!」

 魔理沙は持っていた箒で、彼女の頭を殴った。

「痛っ!?」
「なんでお前はそー薄情なんだよ!! この冷淡巫女!!」
「何すんのよ!!」

 すかさず霊夢も、箒で殴り返してくる。
 魔理沙はそれを柄で受け止め、跳ね返し、

「こんな性格が捻くれた作り物がいてたまるか! 第一、どこが幻想郷に縛られてるんだ!! 自由すぎるだろ!!」

 カン、カン、と竹と木が空中で鳴りあう。
 やがてつばぜり合いの状態になり、困惑した霊夢の表情が近づく。

「ちょっと!! 弾幕ごっこならまだしも、なんでこんなことしなきゃいけないわけ!?」
「うるさい!! 今日の私はこういう気分なんだ!!」

 強く押して、相手の体勢を崩す。
 魔理沙はさらに滅茶苦茶に箒を振り回しながら、怒鳴りつけた。

「霊夢!!」
「何よ!!」
「私だって今までと変わらないぜ!!」
「何のことよ!!」
「お前が本物だろうが作り物だろうが、友達として付き合ってくってことだバカ!!」
「はぁ!?」

 眉を吊り上げる霊夢の横っ面に、べしん、と渾身のスイングがヒットした。
 きりもみ状態で巫女はその場に倒れ伏す。

 魔理沙は肩で息をしながら、ようやく笑みを浮かべて、言い放った。

「ふん……これくらいで私がめげると思ったら大間違いだぜ」

 倒れた巫女ではなく、幻想郷の空を見上げながら。
 吹っ切れた爽快感に包まれている。今ならまた、いつものノリで飛べる気がした。

「……と、やりすぎたか」

 ちょっと予想外なほど綺麗に箒を食らってしまった巫女を、魔理沙が助け起こそうとすると……

「魔理沙ー!!」

 切羽詰まった様子の、第三の声が近づいてくる。
 そちらを向いてみると、里で別れたはずの慧音が、こちらに向かって境内を走ってくるところだった。

「どうしたんだ先生。そんなに息を切らして」
「お前に言い忘れていた、凄く大事な話があるんだ」
「まさか、霊夢に関することか」
「ああ……」

 ただごとではない雰囲気である。表情はシリアスのままだ。
 魔理沙は固唾を飲んで、続く言葉に集中した。






「すまん、あれは全部ウソだったんだ」






「………………は?」


 あまりのシリアスっぷりに、魔理沙は今までの人生において、最も間の抜けた声を出した。

 魂が半分頭からはみ出した状態で、囁くように訊ねる。

「全部って…………え? …………どっから全部?」
「最初から最後まで全部だ」
「え……最初って……どこ?」
「私の誕生日が来月というところだ」
「そこからかよ!! ウソしか言ってないってことだろうが!! じゃあ博麗じいさんだとか、人造人間だとか、マイケル伊藤とかもか!」
「その通り!! 全部ウソだ!! 思い知ったか!!」
「威張るなー!!!」

 顔を炎上させて絶叫しつつ、魔理沙は相手の胸倉をつかみ上げ、

「私がどれくらい恥ずかしい台詞を言ったと思ってんだ!! というか、なんであんな作り話をしようと思ったんだ!!」
「それはほらあれだ。私がご飯を噛んで美味しく食べていて、いざ飲み込んで余韻を味わおうという時にお前がいきなり家に入ってきて台無しにされたんでな。それで仕返しをしてやったんだが、普通に信じられてしまったので嘘だというタイミングを逸してしまったということだ。あるだろう? そういうこと。てへ☆」
「知らねぇよ!!」

 渾身の力で蹴りを叩きこむ。
 「尻がー!!」と転がる彼女に向かって、魔理沙はさらにミニ八卦炉を構え、殺気立った声で、

「もう堪忍袋の緒が切れたぜ!! 幻想郷の彼方まで吹っ飛ばしてやる!! マスタァアアア……!」
「ちょっと魔理沙!!」

 倒れていた霊夢が、いつの間にか復活していた。
 まさしく怒れる修羅のごとき形相で、猛然とこちらに近づいてくる。

「わけがわからないことをベラベラと喋って箒で殴りかかってきて……!! もう勘弁しないわ!! まず、あんたをぶっ飛ばさせなさい!!」
「いやだからそれはこの大馬鹿ハクタクが……!!」

 魔理沙が言い訳しようとすると、件の慧音が立ち上がり、「ふふふ」と目を光らせた。

「よろしい! ならば公平に、私は霊夢をぶっ飛ばそう! これにて一件落着!!」
「お前はもう喋るな!!」

 結局、魔理沙と霊夢が、慧音にツープラトンブレーンバスターを決めるということことで解決した。
 石畳の上でこれはキツい。寺子屋教師は「覚えてろー!」と泣きながら逃げていった。

「ぜーはー……全く……人騒がせなやつだぜ……」

 もうなんというか色々なエネルギーを使い果たした魔理沙は、そう呻き声をあげるのが精いっぱいだった。
 隣の霊夢の方は、完全に白けた顔になっている。

「あんたも十分人騒がせだけどね……結局、うちを飛び出してから、どこで何を聞いてきたわけ?」
「なんでもない。というかさっきの話は全部忘れてくれ」

 頭を抱え込み、その場にうずくまる。 
 思えば、なんて浅はかな勘違いをしてしまったのだろう。常識的に考えて、そんなこと絶対ありえないはずなのに。
 今日という一日で、色々と取り返しのつかないダメージを負った気分である。穴があったらハクタクを埋めたい……じゃなくて入りたい。

「疲れた……お茶くれお茶」
「あんたねぇ。人のことを箒で殴る奴に、お茶を出すと思う?」
「悪かったから、本当に謝るから、ごめんごめん」

 手を合わせて拝むと、半眼で睨んでいた霊夢は、両肩をすとんと落とした。

「まぁ、何かよっぽどのことがあったんでしょうね」
「そうなんだ。あまりにもありえない話を聞かされて……」
「へぇ」
「あまりにも……ありえない……」

 魔理沙の声が、次第に細くなっていく。
 ついに言葉が続かなくなり、眉をひそめ、

「ありえないんだけど……何だっけ?」
「何それ」
「いや、ありえないことで慌てたはずなんだよ。それで、お前を箒で叩いて……あれ?」

 妙な感覚にとらわれていた。
 眠りから覚め、夢の痕跡が消えていく一方で、よく知る現実の時間が流れていくような。
 失う不安と、戻ってきた安心感。振り向けば、自分の足跡は残っておらず、出会ったはずの存在も消えている。

「というか私、どうして神社を飛び出たんだっけ……」
「なんか急に用事ができたとか言ってたじゃない」
「そうだったようなそうじゃなかったような……」

 と、手首に引っかかっていたお守りの存在を思い出し、魔理沙は相好を崩した。

「ま、いいか。これサンキューな。大切にしてやるぜ」
「どういたしまして」
「というわけで、そろそろお前の誕生日についても教えてもらおうか。超豪華なプレゼントを考えてやるから」
「はいはい。その話はもう聞き飽きたわ」

 二人はいつもの調子で神社の裏へと歩いていく。

 騒がしかった境内から、人の気配が失せ、普段通りの静寂が戻った。




 ~~~~~




 里へと続く夜道を、上白沢慧音は独り歩いていた。
 空には欠けた月が一つ。辺りの草原には人の気配がなく、民家の類も見当たらない。
 今のところは何事もない静かな家路が続いているが、道を少し外れれば暗闇が広がっており、その奥には妖の気配が漂っていた。
 こんな月夜には、何が現れてもおかしくはない。
 獣か亡者か、あるいは……

 道の途中で、慧音は唐突に足を止め、口を開いた。

「……あれでよかったのか?」
「ええ……ご苦労様」

 振り向いた先にいた存在が、そう返事をする。
 長い金髪を持つ女性の姿。夜に溶け込むような色合いの、紫色のドレスを着ており、この時間帯には不釣り合いな白い日傘をさしている。だが彼女は薄気味の悪い夜陰と、不思議なほど調和していた。

 スキマの妖怪、八雲紫は数歩離れた位置に立ったまま、

「浮かない顔をしているわね」
「……食べたくもないものを食べさせられた後だからな」
「その種を蒔いたのは貴方。どうしてあんなことを?」

 軽い声色ながら、その一言は慧音を咎めていた。
 博麗神社における行動ではなく、自宅の仕事部屋、そこで魔理沙に対して語ったことについてである。 
 慧音は対面したまま、後ろめたさを覚えつつも、きちんと打ち明ける。

「真実を知るべき者は、我々だけではないはずだ。そう判断したが故に、彼女に伝えた」
「霧雨魔理沙に胸の内を話したところで、何も解決はしないわ。貴方は個人的な感情で、問題を水面まで引き上げただけ」
「たとえ湖底に沈んでいようとも、問題はあくまで問題のままだ。いずれまた、自力で探り当てる者が現れるだろう」
「その時もまた貴方が食べて始末してちょうだいな」

 八雲紫は可笑しそうに頬を緩め、声を立てずに嗤った。
 対する慧音の目は針のごとく細められる。

「これから先、いくつ偽りの歴史を創ればよいのだ」
「『嘘、狂言』。覚えているでしょう?」
「……ああ」

 一件何の変哲もないような名称でいて、不吉で人を食ったような、もう一つの名を隠し持つ幻想郷。
 その秘密を知る者は、今となっては八雲紫と自分、他数名の賢者と呼ばれる者達だけだった。

「これまでと同じ。いくつ嘘を塗り重ねたところで、この地の本質は変わらないわ。楽園は欺瞞の上に成り立っている。それはどうしようもない真実」
「………………」

 表のルールを隠れ蓑にし、裏で行われる隠蔽工作。
 だが全ては、この幻想の地の存続のため。
 そして、嘘で膨れ上がった楽園を一つにまとめるよう、『式神』として働いているのが、今の博麗の巫女なのだ。

「けれど……貴方が霧雨魔理沙に話した秘密。一つ訂正しておくわ」
「ん……?」
「博麗の巫女は幻想郷の『式』であっても、道具そのものではない。彼女はむしろ幻想郷の象徴。あるいは映し鏡とも呼べるかしら。彼女が平和な暢気者なら、それすなわち、この楽園も平和ということ。逆もまた、然りだけどね」

 手に持った扇を口元に添え、スキマ妖怪は挑発的に問いかけてくる。

「ところで貴方の目には、彼女はどう映った? 不幸せに見えた? それとも……」

 慧音はわずかに顔を伏せる。自然、日頃の博麗の巫女の姿が思い浮かんだ。
 平和な暢気者。それは間違いなく、その通りだろう。
 昼間は縁側でお茶を飲みながら日に当たり、夜は宴の準備をしつつ、大いに輪の中で楽しむ。
 たまに起こる異変の中でも、彼女は笑みを絶やすことはない。
 どの頁を切り取っても、大きな不幸の影は見えず、むしろ幸せの中で生きているように見える。

 だがそれも、作られた性格にとっての幸せではないだろうか。

「私達の都合であることには代わりあるまい……」

 垂れていた頭をあげると、すでにスキマ妖怪は消えていた。

 ため息が漏れる。相変わらず、突然現れて突然消えていく。
 長い付き合いだが、あの妖怪の行動を読むことはできなかった。

 その時、

 背後の夜空が明るくなったのに気付き、慧音は振り仰いだ。

 東の山の上に、弾幕らしき光点が小さく見えている。
 その弾幕に引き寄せられるように、いくつもの光と影が、幻想郷の方々から集まっていくのが見えた。
 さらに風切り音と共に、慧音の頭上を鴉天狗の影が過ぎ、やはり東へと飛んでいく。
 他にも妖精や騒霊など、色々な存在が視野の中で通り過ぎていった。

 博麗神社で、宴会が始まったようである。
 この様子だと、今宵はさぞかし賑やかな宴が、あそこで行われるに違いない。

「まぁ確かに、不幸には見えないか……」

 独言する慧音は、東に目を向けつつ、ある種の感慨にふけっていた。

 春夏秋冬。まるで変わらない生き様を続ける巫女。だが実際のところ、霊夢は相当に成長していた。
 表情はより豊かに、感性はより細やかに、より本物の人間らしく、より一個の存在らしく育ってきている。

 昨今は、ちょっとした仕草も含めて、本物の人間の少女にしか見えない。
 あるいは、それこそが真実で、自分一人があのスキマ妖怪にからかわれているのでは。
 罪悪感の中で、そんな真相であってくれれば、と慧音は時折思うことがあった。

 だが……今ではそうでなくても、うまくいくような気がしている。
 それは他ならぬ、彼女の友人である、一人の人間のおかげだった。

 完璧な博麗の巫女が存在しなくても、存続していける楽園。
 それでいて、造られた存在である巫女もやはり、皆に受け入れられるような世界。
 慧音にとって、昨日までそれは夢に等しかった。だがその夢の一端を、普通の魔法使いが行動で見せてくれた。
 本人達からはもう記憶が取り除かれている。だが、歴史家である自分は、あのやり取りを決して忘れはしない。
 他の賢者共が何と言おうと、これから家に帰って、後世のためにきちんと書き記しておく。そう心に決めていた。

 嘘や狂言を拠り所としない、本物の楽園をいつか築くために。

「神社で二人に渡しそびれたが、これはまぁ次の宴を機会にするか」

 贈り物が入った包みを懐にしまい直し、彼方の賑やかな音色を聴きながら、慧音は道を小走りに行き始めた。


 長い、長い家路を、月が静かに照らしている。



 
 

 げんそうきょう。入れ替えてみれば、うそきょうげん。

 だが、今夜も宴に響く笑い声は、決して偽りのものではない。


 ~~~~~


 木葉梟です。
 ふと気づいたアナグラムを元に、物語を書いてみました。
 御読了ありがとうございました。

 (あと全世界のマイケル伊藤さんごめんなさい。島田カルロスさんも)
木葉梟
konoha-@hotmail.co.jp
http://yabu9.blog67.fc2.com/
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コメント



0.1900簡易評価
1.100マイケル伊藤削除
軽妙な笑いのポイントを仕込むのがとても上手いですね!!絶対に許さない
真面目なところは真面目に決める、幻想郷のらしさとでも言うのでしょうか、そういったところがこの作品にもあって面白かったです!!!訴訟も辞さない
3.90奇声を発する程度の能力削除
所々に入るボケが面白く良かったです
4.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです。
5.100名前が無い程度の能力削除
やばい、言葉に出来ない。
点数で伝えます。
6.100名前が無い程度の能力削除
誰このおっさん!?
7.100名前が無い程度の能力削除
先生が良いね
10.100名前が無い程度の能力削除
b
11.100名前が無い程度の能力削除
ギャグもシリアスも面白かった
15.100名前が無い程度の能力削除
確かに入れ替えてみれば嘘、狂言…。
例え作り物でも当人たちが楽しくあれればそれはそれであり、なんだろうか。
16.100名前が無い程度の能力削除
幻想郷のアナグラムが嘘、狂言とは気づかなんだ
妖怪の成り立ちからしてそうだしなあ、別にウソや狂言って訳じゃないけど似たようなもんだし
それに気づかせてくれただけでもこの作品は価値がある

それにしても慧音ボケが上手ですね
17.100名前が無い程度の能力削除
おおう、そんなアナグラムがあるとは・・・

慧音は辛そうですねぇ
でも、魔理沙が救いとなっているようでよかったです
23.100名前が無い程度の能力削除
慧音が柔軟で新鮮でした
24.100名前が無い程度の能力削除
アナグラムには思わず唸ってしまいました。
文句なしの100点です。
25.100名前が無い程度の能力削除
素晴らしい
27.100名前が無い程度の能力削除
>げんそうきょう。入れ替えてみれば、うそきょうげん。
うおっ…! うおおおおおおぉぉぉおおおお!?
……ぬえちゃんが履いていないのは公然の事実なのか!?
28.100コチドリ削除
暦の季節と現実の季節のずれを補正する日に生まれた霊夢。
本当に埋めたいと願ったものは一体なんだったのか。
人間と妖怪のずれ? 幻想郷と外の世界とのずれ? なんとも手強い宿題だ。

宿題といえば霊夢が異変解決時に必ず身につけている形見ってなんだろう?
作中では有耶無耶になってしまったけれど、作者様はきちんと答えを用意していそうな気がしますね。
深読みすればスペカって気がするけど、外れている予感も半端ない。うーん、わからん。

苦っぽい方向に走りがちなテーマを、笑いで包んで飲み易い糖衣錠にした筆力はお見事。
願わくば霊夢が己の生い立ちをスラスラ語ることが出来た日が、嘘から出たまことの完成する日であって欲しいな。
それにしてもラスト。やっぱり出たよ、この御方が。

そう元凶は、いつだって紫様のものなのだ。
素敵な物語をありがとうございました。
31.100名前が無い程度の能力削除
ちょっぴし寂しくて、でもどっかあったかい
それが彼女たちの楽園なのかな
33.90愚迂多良童子削除
幻想郷のどこからどこまでが作り物なのか分からなくて疑心暗鬼に陥る作品ですね。
すべては予定調和なのかな・・・でも魔理沙はイレギュラーであってほしいな。
35.100マイケル伊藤削除
絶対に許早苗

という冗談はさておき
どうもわかりませんネ。なぜ創られた物だと言うだけでこれ程ショックなのか。

いずれアリスが創るであろう自立人形だって きっと幻想郷の皆に受け入れられるだろうに……

その事実よりも、むしろ隠されていた事にショックを感じているのでしょうか?
薄ら寒い話です
42.100名前が無い程度の能力削除
慧音が怪しいのは何か理由があるとは思っていましたが…
幻想郷が嘘狂言になるのには驚きました
43.60名前が無い程度の能力削除
残念ながら、結界作成と今代巫女就任の時系列が合わない
それ以外は、面白かったです
47.100名前が無い程度の能力削除
こういう話、大好きです。
アナグラムも良かった……よく思い付きましたね!
52.90名前が無い程度の能力削除
メリハリが利いていて良い作品でした。
54.80名前が無い程度の能力削除
楽しく読ませていただきました
59.90名前が無い程度の能力削除
アナグラムか! 
凄いね。まったく気づかなかった。
68.100名前が無い程度の能力削除
上手い