Coolier - 新生・東方創想話

はじめての本格的♀みこみこパンツレズすぱーく

2012/03/17 21:18:44
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「霊夢、実は私はレズなんだ」
「やはりか」

 魔理沙の告白に、間髪入れず霊夢がこたえたので、魔理沙は困惑してしまった。

「知ってたのか」
「いっしょにお風呂に入ると、股とか乳首とかガン見してくるし、同じ布団で寝ると、寝ぼけたふりしてきわどいところを執拗に触ってくるし……」

 ばればれだった。魔理沙は頭を抱えた。
 神社の居間のテレビ画面には、映画の『ターミネーター2』が映っていた。霊夢が紫に頼み込んで、無理を言って特別にもらった新しいテレビで、画面の大きさが40インチもある。季節は冬で、ふたりは仲良くこたつに入っていた。霊夢がテレビの正面の席、魔理沙がその左側の席。
 映画はまだ、はじまったばかりで、未来で人類のリーダーになるジョン・コナー君がATMから不法にお金を引き出しているあたりだった。テレビでやる映画だから、吹き替えだ。いつもは金曜ロードショーがはじまる前に、お風呂に入ってしまうふたりだったが、今日は仕事が長引いてまだふたりとも入っていなかった。今日は、霊夢はいっしょに入ってくれないだろうな、と考えて、魔理沙はため息をついた。
 でも、せっかく覚悟を決めて告白したのだから、行きつくところまで行くべきだ。こたつの中に入れた両手を、握りこぶしのかたちに固めて、魔理沙はまた話しかけた。

「それでな。霊夢」
「私のことが好きだって?」
「何で先に言っちゃうんだよ! 台無しだろ!」
「だってさぁ」

 わかるもん、と言う。
 巫女の勘はあなどれないな、と魔理沙が額に浮いた冷や汗を拭うのに、そういう問題じゃないわよ、と霊夢が呆れたように言葉をかぶせる。ちょっとでもひまがあるとすぐここに来るし、私が冷たくすると泣きそうになるし、優しくするとすごくうれしそうだし……。

「ばればれか……」
「うん」
「そうか。恥ずかしいな」
「私はもっと恥ずかしい」

 ずっと小さいころから仲良くしている、ゆいいつの幼馴染が、レズビアンで、自分のことが大好きで、自分に劣情を抱いているとは。
 何をどうしていいかわからないが、とりあえず、自分はレズではないので、ちゅーしたりとか、舐めたりとかこすったりとか、そういうのはだめだからね、と念をおして申し渡しておいた。どれくらいまでなら許されるんだ、との問いには、常識の範囲内で、とこたえた。
 魔理沙はとても、残念そうにしていた。それから、「冗談だよ、冗談。私がレズなんて、うそぴょん。アリスじゃあるまいし」と軽口を叩いて、首を曲げてテレビの画面をじいっと見つめ、映画に集中したふりをしたが、T-1000がジョンの養父トッド・ボイドを牛乳パックごと刺し貫くシーンで「ほら、牛乳を持つ手が瞬間的に右手から左手に変わったぜ。ミスだぜ」と言わなかったのでショックを受けているのがわかった(いつもは必ず言う)。







 その夜、ふたりは布団を並べて寝た。もちろん、霊夢はじゅうぶんに隣に注意を払っていた。寝ていて気づかぬうちに、性的ないたずらをされてはたまらない。手をつないで眠るくらいなら、今までもしていたし、良いけども、実はこれまでも、自分が寝入った後、抱きつかれたりキスされたり、素足を絡められたり、乳首やあそこを触られたりしていたのだろうか。困ってしまう。
 寝室は居間の隣にあって、障子の反対側に頭を向けた方向で床につくから、今日みたいに月の光がまぶしい夜でも寝にくくない。目を閉じれば、何も見えない暗闇になる。けれど音は聴こえる。隣で寝ている魔法使いが、厚い布団をひっかぶって、その中ですんすん声を殺して泣いているのが聴こえた。
 我慢できなかったのだろうか。霊夢は体を固くして、自分が起きていることを魔理沙に気取られないように、身動きをしないよう気をつけた。そのうち疲れてしまって、けれど頭の中は「どうしよう」でぐるんぐるんに大回転していて、寝ているんだか起きているんだかわからなくなってしまった。魔理沙の泣き声が、まるで地底の奥底から響いてくるような、とても遠くから聴こえてくるようにも思えたし、やっぱり自分の隣の布団で、子どものころみたいに声を殺して泣いているようにも聴こえた。

 魔理沙の泣き声を聴いたのはひさしぶりだった。子どものころ、今よりも小さいころは、もっと頻繁に泣いていた。魔理沙は気が強いくせに泣き虫な子で、自分に喧嘩をふっかけてきては、何か、どこかが思うようにならず、けっきょく泣いていた。
 それがいつの間にか、常に生意気そうな不敵な表情を顔に浮かべ、人様の本や魔法を盗んで使い、大きな異変をいくつも解決するような、幻想郷でも有数の魔法使いになった。もともとの研究好きな性格を、魔法にかける熱意が後押ししていたし、博麗の巫女である霊夢の成長に負けまいとして、がんばったのもあるだろう。
 魅魔がいたころは、男言葉を使っていなかったし、白黒のエプロンドレスではない、ちがった服を着ていたはずだった。そのころのことを話そうとすると、魔理沙は嫌がるのだが。
 自分も修行中だったから、博麗に代々伝わる腋巫女衣装ではなくて、きちんとした袴の巫女衣装を着ていた。レミリアが異変を起こす、ちょっと前だった。
 ふたりで、いろんなことをした。
 あのころから、魔理沙はレズビアンに目覚めていて、自分のことが好きだったのだろうか。自分のことを、性的な目で見ていたのだろうか。
 どこが、よかったんだろう。魔理沙は、私のどこを好きになってくれたんだろう。
 訊いてみたくなった。今夜はたぶん、このまま寝てしまっても、襲われる心配はないだろう。ひとつの問いを見つけたことで、頭の中のぐるぐるがそこに集中して、落ち着き場所を見つけたみたいな感じだった。霊夢は眠った。眠りながら、泣き声はまだ聴こえる、と思っていた。







 翌朝、朝ごはんを食べると、魔理沙はすぐにも帰ろうとした。いつもは、ターミネーター2の翌朝はプレデターをふたりで観るのだから(興奮しすぎて夜のうちに寝ないで観てしまうこともあった)、やっぱり異例の事態だった。霊夢は魔理沙の腕をひっぱって、昨日と同じ席に座らせた。

「ねえねえ」
「何だよ。もうプレデターは50回くらい観ただろ。今日は早く帰りたいんだ」
「私も観たわよ。そんで、私のこと、いつから好きだったの。どこが好きなの」
「……趣味が悪いぜ」

 ふられた奴に、ふった奴がする質問じゃない、と言って魔理沙はごねたが、霊夢からすれば、ふるもふらないもなくて、ただ自分はレズビアンじゃないからあんたの期待にはこたえられない、というだけだった。だからあんたがどう思うかはわからないが、それはあんただけの問題で、こちらとしては今までどおり、遠慮なしでとおさせてもらうわよ、と霊夢にしてはめずらしく丁寧に説明すると、そうだな、お前はそういう奴だもんな、と魔理沙はあきらめたような顔をした。それから腕組みをして考えはじめた。
 いわく、どの時点で好きになったか、という問題に答えるのはとてもむずかしい。なぜなら我々は幼馴染で、ずっと昔から常にいっしょにいたからだ。
 霊夢はうなずく。好きとか嫌いとかは置いといて、魔理沙はたぶん、一生ずっと付き合っていく友達だ。そう自然に信じていた。
 だから、そうでない関係というのをいきなり持ち出されると、戸惑ってしまう。

「でも、ほら」

 魔理沙が手を伸ばして、霊夢の顔のすぐそばで、空中にある何かの楽器の弦を爪弾くように、指をこちょこちょと細かく動かした。霊夢の右目のまつげに魔理沙の指が触れて、何度もくすぐった。霊夢はまばたきもしなかった。

「お前、まつげ長いだろ。好きになると、そういうところにも気づく」
「……あんたも長いわよ」

 ちょっとだけ、霊夢は恥ずかしくなった。目を伏せる。

「どこが好きか、と言われても、だな。あえていうなら、人間離れしてるところとか」
「何よ、それ」
「いや、強いとか、空を飛んでるとか、そういうんじゃないんだ。私、魔法使いだろ。魔法が好きだろ」
「私は魔法とは関係ない」
「えっと、ちがうんだ。私は魔法を扱っているとき、ほんとうにときたま、ごく稀にだけど、得も言われぬ美しさを感じるときがあるんだ。何種類ものちがったきのこの胞子が、奇跡的に結合して、単品ではけっしてありえない爆発的な効果をとつぜんにそなえるとき。パチュリーの石を真似して、月の明かりを材料にして作った魔法が、意図せずに影を媒介にしてしまって、黄色と青と黒が溶けあった不思議な色の石になって固まったとき。とてもとても美しくて、私は魅了されてしまって、そうすると、そもそも何が目的だったのかまで、一瞬忘れてしまうんだ」

 でも、その美しさはすぐになくなってしまう。まばたきをするひまにそれは消えてしまっていて、あとにはいつもどおりの、小さくて未熟な、才能のない自分自身だけが残される。
 同じ経験を、何度も繰り返しているうちに、魔理沙は考えた。きっとあの美しさは、永遠というやつとは対極に位置するもので、ものすごく瞬間的で、もしかすると、ほんとうには存在すら許されないような、お話の中にだけあるような、嘘みたいな、奇跡みたいなものなんだろう。
 でも、自分はそれを何度も見たいと思っていて、きっと本来、あってはいけない事柄なんだろうけど――できればそれを、長い間とどめておきたいと考えている。

「そういうものを、霊夢。お前にも感じるんだ」
「意味がわからない」
「ああ、もう!」

 魔理沙はそれから、言葉を尽くして、霊夢のあそこがかわいい、ここが好きだ、ああいうところがすごい、と熱心に語りはじめた。霊夢が思いもよらないほど、とてもたくさんの箇所を指摘されて、それを魔理沙が本心から言っていることがわかったから、霊夢は照れて、真っ赤になってしまった。
 照れ隠しに、次の質問をした。

「いつから私を性的な目で見ていたの。私で自慰とかするの?」
「用事が!」
「あまい」

 箒に乗って音速でロケットスタートしようとしたところを、封魔陣で捕らえたから、魔理沙の服はソニックブームでぼろぼろになってしまった。その魔理沙を正座させて、さらに術で縛り付けているのは、あたかもそういうプレイのようだった。

「おま、お前なあ。乙女に向かって自慰とかなんとか、正気を疑うぜ。なんだ、レズビアンには恥じらいがないとでも思ってるのか?」
「マスターベーション」
「言葉だけ変えても、変わらないでしょ!」
「(混乱してる……)せんずり」
「それちがうからな。竿を磨くことだからな」

 議論の結果、「手淫」がいちばん趣があるという結論になった。しかし、器具を使う場合はどうするのか、と魔理沙は疑念を挟んだが、霊夢が「器具使用の際も、その器具を扱うのは手であるのだから、何ら問題はない」とこたえると、納得したように何度もうなずいた。
 話が盛大にそれたが今明らかにするべきなのは魔理沙の手淫のやり方であるので、霊夢はしつこく、時間をかけて尋問をつづけた。魔理沙は泣きそうになりながらも、最終的には「よくする」とこたえた。
 自分(霊夢のことだ)のどのような痴態を思い描くのか。シチュエーションはどんな感じか、自分(これは魔理沙だ)の体のどの部分を触るのか、胸を揉むのか、あそこの、敏感な部分を擦るのか。もしかすると、指なんていれてしまうのか。器具は使うのか。
 などなど、微に入り細を穿ち、手を変え品を変え、霊夢はゆっくりとろとろ魔理沙に白状させた。魔理沙は最初のころこそ絶望的になっていたが、後半になるとそれが一回りして、だんだん恍惚としてきたようだった。
 じゅうぶんに訊きだし、メモもとると、霊夢はさて、と舌を出して、唇を湿らせた。次の質問が、決定的に重要だった。

「私以外にも、欲情する対象の女はいるの? アリスとか」

 今度こそ、魔理沙は悲鳴をあげた。でも、霊夢は許さなかった。







 人里を歩いていると、

(あっ、あれがレズ神社のレズ巫女だよ。プーックスクス)

 などという声が聴こえてきたので、霊夢は見当をつけたあたりにてきとうに陰陽玉をぶちこんだ。
 人が二三人跳ね飛ばされて、そのへんの店舗に突っ込み、砂煙が上がる。道をゆく誰もが、自分のことをおそるおそる遠巻きに見つめいているのを確認すると、霊夢は見栄を切って声を張り上げた。

「レズじゃないもん! たまたまこうなっただけだもん!」
「説得力ないぜ」

 隣を歩いていた魔理沙が、ふうーっと長いため息をついた。陰陽玉を投げたり、見栄を切ったりしてわりとはげしく動きまわったのにもかかわらず、霊夢と魔理沙の手はしっかりとつながれていて、離れなかった。

 霊夢が白状させた魔理沙のイメージトレーニングのなかに、「ずっと手をつないで人里をデートする」というのがあったのだった。他のはちょっと、実行するのには勇気がいるので、霊夢はまずこれをためしてみよう、と言い出した。いわく、自分はそうでないが、魔理沙がレズと判明してしまった今となっては、レズエモーションと無関係ではいられない。どこまで理解してやれるかわからないが、歩み寄りの姿勢が大事である、とのことだった。
 はじめの日は、いつもどおり仲良くすごした。お茶を飲んで、甘いものを食べたり、ファンシーショップに寄ったりした。タイプはちがうけども、ふたりともとてもかわいい少女なので、人里の皆さんからも好評をもって迎えられた。二日目、三日目くらいまではそれでよかったが、それが一週間も連続するとなると、自然にレズだレズだと言われるようになった。

「だいたいレズ巫女って何よ。ねずみ講みたいじゃない。ぶつぶつ」
「問題点はそこじゃないぜ。なあ、そろそろやめにしないか? ここ数日、被害が大きいだろ。慧音の能力にも限界があるぜ」
「だめよ。まだあそこの店、行ってないでしょう。なんだっけ、何か、大手のグッズ専門店で、ナズーリンがバイトしてるんだって。ハハッ」
「危ないから、行かないことにしよう」

 そんな調子で、一ヶ月ほどふたりは遊びまわった。小さな里なので、途中から行くところがなくなってしまったけれど、そしたら野原や河原に行って寝転んだり、花を摘んで花輪を作って髪に飾ったり、石投げをして、霊夢のほうがコントロールはいいけど、私のほうが遠くまで跳ねて飛ぶ、なんて言って遊んだりした。楽しかった。霊夢は博麗の巫女だから、ずっと神社にいて、こうして人里で遊ぶことがすくなかったから、かなり新鮮で、胸がときめくような毎日だった。里いちばんの道具店を勘当になった身である魔理沙のほうは、ひやひやものだったけど、幸いあの親父は家出してさらにレズになった娘なんかに用はないようで、たまにおっかない種類の視線を感じたものの、じゃまされることはなかった。
 で、偶然にも、ちょうど一ヶ月目だった。その日も、魔理沙が空を飛んで、神社に霊夢を迎えに行くと、霊夢は床にふせったまま、うんうんうなって起きてこれなかった。
 生理の日だった。霊夢はとても重いたちで、一週間ほど、血も内蔵もノリノリになってしまう。







「うおお……ぬぬぬ……ぐぬぬぬぬ……」
「うるさいぜ。静かにうなれ」
「なこと言ってもねえ」

 魔理沙のほうは軽いたちで、薬さえ飲んでおけば、痛みよりも血が流れてめんどくさいほうが先に立つ(におわないかな、と気になってしまって、外出がおっくうになる)。だから霊夢がどのようにどの程度痛いのかほんとうにはわからないが、訊いてみたことには「背中側から腰にぶっとい針を刺して子宮をパーンッてひとおもいに割ってもらいたい」とのことだった。
 こたつの定位置に座っている霊夢と、魔理沙は同じ席にはいり、背中側から霊夢を抱きしめ、霊夢の下腹部に手をおいてやっていた。
 魔理沙が霊夢を抱っこするかたちだが、霊夢のほうが背が高いので、ちょっと不恰好だ。でも、あったかいので、霊夢としてはありがたかった。
 ひと月前にけっきょく観なかったプレデターを観た。何度観ても、すばらしい映画だった。シュワルツェネッガーのカッコ良さもさることながら、異星の戦士でありながら、負けたら即自爆というプレデターのサムライ的な潔さには観るものを感じ入らせる何かがあった。
 画面に集中して、痛みを忘れようとしているみたいに、霊夢はじっとテレビを見ている。魔理沙のほうは、映画どころではなかった。告白してから、霊夢が体を抱きしめさせてくれたのははじめてだった。生理で気弱になっているからかもしれない。
 霊夢は女だ。あたりまえのことだが、魔理沙はそう思った。自分もそうだ。身を縮こめて丸まっているから、自分よりも大きい霊夢だけど、なんだかとてもか弱いように思えた。
 下腹部をさすっていた手を上に動かして、魔理沙は霊夢の小さな胸にさわった。

「あっ」

 声が出た。ほんとうにびっくりしたみたいな、意図せず出てきたような声を霊夢があげたから、魔理沙はどきっとしてしまった。気が大きくなって、霊夢を征服してやろう、自分のものにしてやろう、という思いがむくむくと頭をもたげてきた。
 両手を巫女服の下に入れ、霊夢の胸をふにふにと揉んだ。今日はさらしもつけていなかった。こら、こら、痛い、と、弱々しく霊夢が言う。でも、止まらなくなってしまった。顔を思いっきり前に突き出して、霊夢の肩越しに、巫女服の胸元を見た。服の下に入れた手を使って、胸元の隙間を大きく広げた。暗い服の影の中に、霊夢の小さな胸の、乳首が見えた。

「がああーっ」

 霊夢が頭を振って、勢いをつけて魔理沙の鼻の頭に後頭部をぶつけた。魔理沙は盛大に鼻血を流して、後ろにばたんと倒れてしまった。




「まったく。油断も隙もありゃしない」
「抜け目ないのが売りの魔理沙さんだぜ」
「じとーっ」
「ごめんなさい」

 魔理沙は正座させられていた。といっても、こたつの中で正座なのでそれほど辛くはなかった。霊夢は、もう、信じらんない、と怒っているけど、ほんとうに機嫌を損ねたわけではなさそうだ。これはもしかすると、あんがい近いうちにおとせちゃったりするんじゃないだろうか。
 ひと月前に、ずいぶん言葉を尽くして、かわいい、かわいい、魅力的だ、といったけれど、もう一度チャレンジしてみようか。魔理沙はそう考えた。

「霊夢」
「何よ、クソレズ」
「お前、私のこと好きだろ」
「なっ」

 何言ってんの馬鹿クソレズ、と言いながら霊夢はぷいと横を向いた。髪飾りのおかげで見えている左耳が、どんどんと赤くなっていくのがわかった。
 テレビのプレデターが終わる。もうすぐ、玄田哲章の声も聴こえなくなる。子どものころから何度も観た映画。
 ジャッキー・チェンと、シュワルツェネッガーの映画は、吹き替えのほうがいいよな。と心の中で言ってから、魔理沙は一言だけつぶやいた。いつもよりも小さめの声だったが、こちらを向いている左耳には、きちんと届くはずの声だった。

「ひと月前さ」

 それで言葉を切って、霊夢が自分のほうを向くのをじっと待った。やがて、ぎぎぎと音を立てるようなぎごちなさで、霊夢の首がまわり、真っ赤になって、涙目になった目が、魔理沙を見つめた。まばたきをしたら、大粒の涙がこぼれてしまうだろう。

「私、とつぜん告白したよな。ずっと好きだったお前に。どうしてだと思う? どんなきっかけがあったんだと思う?」
「知らないわよぅ……」
「知りたいか?」
「……うん」
「ほんとに、ほんとに知りたいか?」
「うん。知りたい」
「じゃ、こっちへ」

 魔理沙が手招きした。霊夢はこたつの中で、おしりをじりじりと動かして、魔理沙のそばに寄った。そして耳を魔理沙の口元へ突き出すと、魔理沙が霊夢の頬に手を当てて、ぐいっと回転させて顔と顔を向きあわせた。驚いている霊夢がなにか言うより早く、魔理沙は霊夢の口を口でふさいだ。
 しばらくして、口を離すと、霊夢は今度こそほんとうのほんとうにブチ切れてしまった。







 以上のような事情により、神社の居住部分が倒壊してしまったので、霊夢は紫のところにお世話になることにした。建て直しは、萃香と勇儀が突貫でやってくれる。金は魔理沙が出す。
 生理もあけて、徐々に元気が出てきた。霊夢は八雲家のようかんと芋ようかんと水ようかんを三種交代制でほおばりながら、紫に魔理沙の悪口を言った。

「てなわけで、ほんとひどい奴なのよ魔理沙は。ぱくぱくむしゃむしゃあまあま」
「ふーん。魔理沙がレズビアンだったなんてねえ。まあこればっかりは、どうしようもないわねえ。ファースト・キッスがレズっ娘相手だなんて、霊夢も災難ね」
「うん……」

 思い出すと、気持ちが落ち込んでしまった。あんな不意打ちは、ノーカンだと思う。
 神社が再建されるまでは巫女の仕事もお休みなので、霊夢は気兼ねなく、心ゆくまでぼーっとしていた。紫は魔理沙ほどではないけれど、霊夢が心を許せる数少ない相手だし、八雲家にいるあいだは食べ物もお風呂も洗濯も全自動だわで、気持ちがほんとうにだらけきって、警戒心のかけらもなくなってしまっていた。
 だからだと思う。
 紫がちり紙を手にとって、霊夢のほうへ手を伸ばした。

「ほら。ようかん食べすぎで、口の周りがべちょべちょになってるわよ。というか、どういう食べ合わせなのよ」
「むぐむぐ」
「顔こっちによこしなさい。はい、ふきふき」
「むー」
「目を閉じて」

 言われたとおり、目を閉じたら、唇にあたたかく、やわらかいものを感じた。
 湿っていた。紫にキスされてるんだ、と気づいた瞬間、霊夢の唇をこじ開けて、紫の舌が口の中に入ってこようとした。
 あわてて目を開けて、体を離す。

「うわあ!」

 紫は目を細めて、くすくすと笑っていた。いつも色っぽい表情をしている奴だが、なぜだかこのときだけは、チルノみたいなただの悪戯っ子に見えた。けれどやっぱり、唇だけはなまめしかった。

「こんなふうにされたの? 魔理沙に」
「ちがう……」
「思い出してみなさい。どんなだったか」

 何でよ、と文句を言いつつも、霊夢は魔理沙のくちづけを、反芻するように思い出していた。実は、あの日から、何度となく思い出していたことだったから、紫に言われるとつい、頭で考えるよりも早く、体が経験を再現してしまったのだった。
 紫みたいに、余裕のある、どこかに罠を仕掛けてあるような印象のキスではなかった。キスをするまでのやり口はおんなじようだけども、口と口が触れている間に、伝わるものがある。魔理沙はもっといっしょうけんめいで、ギリギリな感じのキスだった。

「霊夢も浮気しちゃったわね。私と」
「……」
「魔理沙が、アリスのことも考えたことあったのが、どうしても気に食わなかったんでしょう」

 霊夢は真っ赤になって、陰陽玉を取り出し、暴れ狂うところだったが、神社とちがってこの場では藍に取り押さえられた。
 そのまま霊夢は、こんな家二度と来るか、セクハラ、訴えてやる、ようかんごちそうさま、と言って帰っていった。
 紫と藍は顔を見合わせて、ふふふと笑った。
 その夜、紫は藍に大変にいじめられた。







 自宅の研究室で、きのこの膨張率(一定の刺激を与えた上での)などを研究していた魔理沙の耳に、どぐらがっしゃあぁぁん、という音が聴こえたのは、だいたい夜も遅くなってからのことだった。
 もしかしなくても、何かもしくは誰かが激突して、壁と窓が壊れた音だとわかった。魔理沙はあわてて地下にある研究室を出て、現場へ向かった。霊夢がお祓い串を手にして、腕組みをして仁王立ちしていた。背後に圧倒的な闘気(オーラ)が見えたので、魔理沙は思わず敬語を使ってしまった。

「霊夢さん。何事ですか」
「魔理沙。私を抱きなさい」
「え」

 魔理沙は混乱した。きのこの毒で昏倒して、夢を見ているんじゃないかと思った。しかし残念ながらというべきか、そうではなかった。
 魔理沙がフリーズしているうちに、霊夢が阿修羅閃空のようなスピードで近寄ってきて、固まったままの魔理沙に足払いをかけ、倒れるところを両手で支え、持ち上げた。
 お姫様抱っこされている魔理沙に向かって、さあ、ベッドはどこ、と言う。

「あ、うん、あっち」
「承知」

 ドアを開けて、ベッドにふたりで倒れ込んだ。でもそのあと、霊夢はどうしていいかわからなくなってしまって、あー、とか、うー、とか、うなりだした。そのころになって、やっと魔理沙は頭が回るようになった。自分の上に覆いかぶさっている霊夢を押しのけて、すぱんすぱんと頬に平手打ちを見舞う。何発か叩くと、霊夢は目をぱちくりさせ、驚いたような顔をして魔理沙を見つめる。どうやら正気には戻ったようだが、何か言いたいことがありそうだった。

「霊夢どうした。何があったんだ」
「魔理沙」

 霊夢は下を向いてしまった。うすい青色のシーツの上に、ぽたりぽたりと水滴が落ちて、しみができていった。顔を上げると、霊夢はぐちゃぐちゃに乱れた表情をしていて、目からとめどなく涙があふれでていた。
 うわああああん、わあああああん、と声を上げて、霊夢は泣いた。魔理沙はびっくりして、困ってしまった。こんな霊夢をみるのは、ほんとうに小さいころ以来だった。とにかく、抱きしめてやった。霊夢はなかなか泣き止まない。
 理由を訊いた。

「ま、魔理沙。魔理沙。ごめんねえ」
「だから、何がだ」
「あ、あの、私、私も、レズビアンだったの。ごめんね、馬鹿にして、ごめんね」
「何言ってるんだ? わ、わかんないぜ?」
「わ、私、紫にキスされたの。でも、魔理沙としたのとはちがうの。それで、私、申し訳なくって。ごめんね、私、魔理沙のことが好き。だから、ごめんね、魔理沙とだけキスする」

 やがて霊夢が落ち着くと、魔理沙はいろいろと順番どおりに話を聞くことができた。それで、霊夢は紫にキスをされたショックで、自分が魔理沙を好きだと気づいたこと、それと同時に、浮気をしてしまって心底申し訳ない気持ちになったこと、かくなるうえは、自分の肉体を魔理沙に差し出し、陵辱のかぎりをつくしてもらうしかない、と思いつめてしまったことがわかった。
 魔理沙は、必要ない、と言ったが、霊夢がどうしても、お仕置きをしてほしい、と言うので、魔理沙は霊夢の尻を一発だけ叩くことにした。スカートをまくりあげ、ドロワーズを下ろすと、霊夢の真っ白い尻たぶがぷりんとあらわになった。膝の上にそれを乗せて、魔理沙が平手でべちーんと叩くと、真っ白い肌に、もみじみたいな手の跡がくっきりと残った。
 それから、夜明けまでふたりは起きていた。







 後日談としては、神社が再建されたあと、お祝いにやって来た紫を、魔理沙がマスタースパークでふっ飛ばした。
 紫は、べつに私はいやらしい意味でやったんじゃなくって、よかれと思って、と藍に愚痴ったが、藍のほうではスパンキングプレイ! そういうのもあるのか的な思考で頭がいっぱいになっていたので聞いていなかった。
 霊夢がものすごく苦労して訊きだしたところ、魔理沙の告白のきっかけは、最近ちょっとポッチャリして、魔理沙好みになっってきた霊夢が、そのまま太って大人になったエドワード・ファーロングみたいになったら困るから、その前に告白しておこう、ということだった。








 
  ( ゚д゚) ( 何やってんだろ・・・・・・無許可で・・・・・・)
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_ 
  \/    /
     ̄ ̄ ̄


※無許可
アン・シャーリー
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コメント



0.2180簡易評価
1.100保冷剤削除
アァン・シャーリーさんガラパン?
あなたがどんな下着を穿いていようと興味はないけれどレイマリにはとても興味があります。恋を形容する言葉を魔法で表そうとしたのも面白い。
それにしても、こんな開けっぴろげでありながら清清しい香りのするレイマリは見たことがない。これが少女の成せる業なのか。
4.100KASA削除
  ( ゚д゚) 
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_ 
  \/    /
     ̄ ̄ ̄
 




  ( ゚д゚ )
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_ 
  \/    /
     ̄ ̄ ̄




   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//





ただ――

>「霊夢、実は私はレズなんだ」
>「やはりか」

――笑っちゃったよくやしい!
6.90名前が無い程度の能力削除
とても面白かったです
甘さとシュールさが組み合わさってなんともいえない味が出ていますね
7.100名前が無い程度の能力削除
出来ておる
8.無評価名前が無い程度の能力削除
コラコラww
9.100名前が無い程度の能力削除
あはは、あんたら最高だわ!
11.100名前が無い程度の能力削除
オチで全部ぶっ壊しじゃないですかァー!
12.90奇声を発する程度の能力削除
これはw
13.90名前が無い程度の能力削除
あのさあ・・・(諦念)
で、内容自体は笑えるから始末に困る。
18.90名前が無い程度の能力削除
たしかにジョン・コナー君がATMから引き出してるお金はさ、どう見ても彼のものじゃないよね
19.10名前が無い程度の能力削除
アン・シャーリーさんもKASAさんも嫌いじゃないです。
むしろ両作家さんの作品を楽しみにしている分際でこんなこと申し上げるのも恐縮なのですが……

い い が げ ん に し ろ ! !
20.90名前が無い程度の能力削除
せうと
23.100名前が無い程度の能力削除
ほんとにいい加減にしてほしい。面白かったけど。やっぱ冒頭がいいね。つい読んでしまった。
27.100名前が無い程度の能力削除
百点だ、持ってけ魔理沙!あ、いや泥棒!(殴
28.90名前が無い程度の能力削除
これはひどい
29.100名前が無い程度の能力削除
おまえらレズかよぉ!?(歓喜)
30.100名前が無い程度の能力削除
なかなか面白い!いい話だな、これは
32.100名前が無い程度の能力削除
イイね!
33.100名前が正体不明である程度の能力削除
素晴らしい。
35.100名前が無い程度の能力削除
好きやわあ
39.100名前が無い程度の能力削除
この描写の細やかさよ。
二人とも可愛いなあ。

なんだかこれが作者のオリジナリティと腕を示すベストな形式のように思えてきた。
41.100名前が無い程度の能力削除
ああ^~いいっすねえ~~
44.10名前が無い程度の能力削除
どうしてホモが沸いてるんですねぇ・・・
47.100名前が無い程度の能力削除
(藍しゃまが)危ない危ない危ない…

感想については一言、腹筋返せwとだけ
49.100名前が無い程度の能力削除
作者さんたち仲いいな!
53.100名前が無い程度の能力削除
バカバカしい事を全力でやるとこうなるのか!
58.100名前が無い程度の能力削除
レイマリイイネ!
59.90名前が無い程度の能力削除
この小説が殺し屋だったら何回暗殺されたかわからないレベル。
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わたしのレイマリ萌えを的確についてくるのはずるいぞ!くそ!
64.100ハマー削除
レイマリかわいすぎてしにます。 藍さまのスパンキングプレイ全裸待機
68.100桜田ぴよこ削除
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これはww
レイマリ!
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(iPhone匿名評価)
77.100名前が無い程度の能力削除
ノーカン! ハハッ

79.100名前が無い程度の能力削除
いろいろひどいww