Coolier - 新生・東方創想話

霊夢とグダグダな異変解決

2012/03/02 01:38:18
最終更新
サイズ
27.97KB
ページ数
1
閲覧数
1879
評価数
5/27
POINT
1350
Rate
9.82

分類タグ

――異変都市の異名を持つ地、幻想郷。
その異名の通り、ここ幻想郷は年に数十回、多い年では数百回、大小様々な異変が発生する。
大きい方を言えば、吸血鬼レミリア・スカーレットが起こした「紅霧異変」、亡霊の西行寺幽々子が起こした「春雪異変」など、幻想郷全土に影響を及ぼすような異変中の異変。
また小さい方を言えば、氷の妖精チルノが起こした「霧の湖凍結異変」、夜雀のミスティア・ローレライが起こした「焼き鳥販売禁止異変」など、日常の些細な出来事程度な異変……
いずれにせよ、今の幻想郷はこのような異変が頻繁に発生してしまうのだった――



「んー、今日は至って平和ねぇ」

そして、それら大小様々な異変を解決してきた人物がここに一人。
幻想郷の東の端の端に位置する博麗神社に独りで住む、楽園の素敵な巫女「博麗霊夢」である。

「こういう日は、縁側でお茶に限るわ~」

現在霊夢は、麗らかな青空の下、お馴染みの腋を露出した紅白の巫女服を纏い平和を満喫中。
どのくらい平和を満喫中かというと、足をだらんとぶら下げる形で縁側に座り、さらに両手で湯呑みを持ち幸せそうな表情でお茶を啜り、おまけに啜っているお茶には茶柱が立っている……とまあ、これくらい。

「……ふぅ」

こんなに暢気で、とても可憐で、非常に愛らしい彼女だが、実は幻想郷の中枢を担う重要な存在「博麗の巫女」を担っていて……とは言っても、当の本人はそれを重荷に感じている訳でもなく、今のように至って気楽にのんびりと毎日を過ごしている。

「その通りだよな~、こんな日は縁側でお茶だぜ~」

霊夢のすぐ隣、正確に言えば霊夢から見て左隣に十センチほど行った場所には、普通の魔法使い「霧雨魔理沙」が霊夢と同じように縁側に腰掛け、また霊夢と同じようにお茶を啜っている。
唯一違う所を挙げれば、啜っているお茶に茶柱が無いことくらい。

「……まったく、たまには自分でお茶淹れたらどう?」

「いやぁ霊夢の淹れるお茶が美味すぎてだな」

「うそ、本当は自分で作るのが面倒なだけでしょ」

「いやいやほんとに美味いんだぜ こう、飲んだ瞬間五臓六腑に染み渡り、もれなく私は天国への階段を昇れてしまうのだ」

「ふふっ、意味わからないけどとりあえず死んじゃいそうね」

「お、こりゃヤバいな」

そんなこんなで、二人は隣り合ってお茶を啜る。
双方自然体で談笑していて、とても和やかな雰囲気を醸し出している。



「あらあら、また私の勝ちね」
「待って下さい咲夜! ちょっと、いゃ、うぅ……」

半ば霊夢と魔理沙の空間と化した縁側から少し離れた博麗神社の居間には、完全で瀟洒な従者「十六夜咲夜」と、半分幻の庭師「魂魄妖夢」が、将棋盤を挟むような形で向き合い、俗に言うお姉さん座りとやらで居る。
先程の二人の言葉、そして咲夜が勝ち誇ったような笑みを浮かべ、一方で悔しそうで涙目な妖夢、さらに二人の間には将棋盤……これらの要素から推測するに、二人は将棋を指していて、ちょうど妖夢が咲夜に敗北を喫した所だろう。

「ず、ずるいです! なんでいつも咲夜が勝っちゃうのですか! 私も勝ってみたいのに!」

「何度も言うけど、あなたは単純に経験不足なだけよ 私とやりまくっていればいつかは勝てる」

「それでやり続けて現在46連敗中なのですけど!」

「あら、妖夢らしい素敵な記録じゃない」

「全然素敵じゃないですよ!」

「まあまあ、怒らない怒らない」

咲夜はそう言って、負けた悔しさや茶化された怒りでぷんすかぷん状態な妖夢の、可愛く小さい銀色の頭を優しく撫で始める。
すると、だんだんと妖夢のぷんすかぷん状態は消え失せ、徐々に頭を撫でられる気持ち良さが妖夢の表情や思考を支配していった。

「ほら、そろそろおやつにしましょう」

「……え? や、やったぁ!」

そして咲夜が発したおやつの単語に、妖夢の表情が完全に晴れ渡る。
数秒前までの頬を膨らませてぷんすかぷん状態が嘘のよう。
実に単純な妖夢である。

「何が食べたい?」

妖夢に問いかける咲夜。
状況的にこれから出るおやつとやらは、咲夜の手作りのようだ。

「えっと、てぃらみす……でしたっけ、それがいいです……その、前に作ってくれた時、とてもおいしかったので……」

咲夜が聞くと、妖夢は少し考えてから恥ずかしそうにティラミスを所望した。

「ん、分かったわ 霊夢と魔理沙は何食べる?」

そんな妖夢からの注文に笑顔で頷き、立ち上がると共に今度は霊夢と魔理沙にも尋ねる咲夜。
二人は未だに縁側で談笑していて、咲夜に呼ばれて二人同時に咲夜へと顔を向けた。
それから、

「妖夢と同じー」
「私はキノコカレーで」

またほぼ二人同時に咲夜へと注文をする。
注文内容だが、霊夢は順当に妖夢同様ティラミス。
逆に魔理沙はとてもおやつとは思えない、どちらかと言うとおやつより夕食に出現しそうなキノコカレーを、ニヤニヤしながらご注文。

「……判ったわ 魔理沙のおやつは……そうねぇ、練りワサビでいいわね」

結果涼しい顔した咲夜に、自らのおやつを練りワサビにされそうになってしまう。

「だー待ってくれ冗談だ、私もティラミスで頼む」

魔理沙は縁側から飛び出し慌てて訂正、

「はいはい、では少々お待ちを」

おかげで無事にティラミスを獲得出来る事となった。



――とまあ、最近の博麗神社の日常はこんな感じだ。
ほとんど毎日、神社には霊夢の他に、咲夜と魔理沙、さらに妖夢が存在している。
そしてほとんど毎日、あのように皆で楽しく過ごしている。
以前から霊夢と交流があり、ときどき博麗神社を訪れていた彼女達だったが、さすがにこう毎日神社で過ごすという事は今までなかった。
そもそも暇人の魔理沙はさておき、咲夜と妖夢はそれぞれレミリア、幽々子の従者である。
その彼女達がなぜ神社に集い、共に仲良く過ごしているのか……今からこの理由を軽く説明する。

咲夜達が神社に集う理由はズバリ、異変のせいだ。

最初に述べたように、ここ幻想郷では大小問わず様々な異変が発生する。
だがこれ自体に問題はない。
異変が起きてこその幻想郷であるし、異変も幻想郷に必要不可欠な現象なのだから。
問題があるのは、次の事柄。

異変の起きる頻度が凄まじい、これだ。

……数か月ほど前から、突然異変発生回数が激増した幻想郷。
激増する前を1とすると、激増後は10、といった所、酷い時は一日に四回異変が発生したりもする。
で、これを処理してきた霊夢達人間組の方々。
連日異変解決に独りで乗り出し、解決する日々が続く。
初めのうちは、いつものように競い合って異変解決に乗り出していた人間組。
だが霊夢達はどうあがいても人間(妖夢は半分だけだが)、異変解決をしていればそれ相応に疲労が溜まるもの。
しかも単発では無く連日に及ぶ異変解決……
……
……割と過酷な異変解決生活が半月位続いたある日、皆の前で疲労困憊な魔理沙が言った。

「いい加減疲れてきたし、もう常に四人で神社に居てさ、異変発生したら最初から四人で一緒に行動した方がよくないか? 疲れは四分割、戦力は四倍で良いこと尽くしだろ」

この言葉に、魔理沙同様疲労困憊な咲夜と妖夢は大いに納得。
すぐに各々の主に許可を貰い、博麗神社に居候する事が確定した。
初めは渋っていた霊夢も、発生する疲労に勝てず最終的に魔理沙の提案に同意。
以後、霊夢、咲夜、魔理沙、妖夢による博麗神社での生活が始まる。

……一緒に暮らし、さらに共闘し続ければ、自然と仲良くなるのはよくある事で……四人も例外ではなく、瞬く間にとても仲良くなってしまった。

こういう次第で、現在のような博麗神社が存在するという訳だ――





霊夢とグダグダな異変解決





やっぱり異変ってのは、本当に突然起こる。
今回も極めて突然発生した。

「きゃっ!」
「うわ!」
「なに!?」
「!!」

発生した時は、みんなで食卓を囲みおやつを食べている時だった。
咲夜が作ったティラミスをもぐもぐしている時だった。
何度も言うけど本当に突然、……辺りが、「真っ暗」になった。
そばに居るはずの魔理沙達すら肉眼で確認出来ない。
私が今感じるのは、仄かに香る濃厚な咲夜特製ティラミスのおいしそうな匂いだけ。
まさか太陽が消えた……訳ではないだろうけど、とにかく真っ昼間だというのに辺りは真っ暗……この感じは間違いなく、異変。

「ままま真っ暗です!! 咲夜!? みなさんどこですか!?」
「落ち着きなさい妖夢、むやみに動いちゃダメよ」
「すまん霊夢、驚いてティラミスを畳に落としたような気がする」
「後で拭いといて」

おかげさまで我が博麗神社は一気にパニックに陥る(主に妖夢が)。
さらにティラミスが落ちたらしく早急に処理しないと畳に色々と染み込む、ヤバい。

「……まあ咲夜の言うとおり、全員動かないで 妖夢も落ち着いて、みんなそばに居るから」

「は、はいぃ……」

全員に指示を出しおまけに妖夢を落ち着かせ、辺りが静かになった所で、早速私はこの状況の打開策を考え始める。
今まで色々な異変発生に遭遇してきたけど、このように初っ端から完全に視界が奪われる事態は初体験。
……正直、驚いた。ちょっと悲鳴も上げちゃったし。

「霊夢、おそらく確実に異変が起きたけど……どうする?」

暗闇のどこかから聞こえる咲夜の声、その口調はとても冷静。
まあさすが咲夜と言った感じ、何の前触れもなく真っ暗到来なのに特段動揺している雰囲気はない。
やっぱり咲夜は頼りになる、さすがは現役メイド長、おかげで私も冷静になれるかな。

「こう視界を潰されちゃうとねぇ、まずは光源の確保よね」

とりあえず最初にやる行動はこれ。
光源の確保。
光が無いと本当に何も出来ないし、何より妖夢がかわいそうだし、あと畳のティラミスが拭き取れないし……

「光源……何かある?」
「あ、いや、特にはまだ……」

言ってみたものの、肝心の光源は何かまだ考えて無かった私。
まあ仕方ないよね。
いきなり完全視界消失世界に来たのだから、冷静に光源が必要とか分析出来ている辺りパニック状態よりかマシ。

「あ」

とか思っていたら閃いた。

「魔理沙、ミニ八卦炉 火出せたよね?」

「お、ナイスアイディア 確かここのポケットに……あった」

閃きから数秒後、

ボッ……

私達はミニ八卦炉を活用し光源を手に入れた。
八卦炉が宙へ噴き出す炎は高さ十センチ、幅五センチくらい、優しく暖かい橙色の光を放っている。
辺りがオレンジ色に照らされたおかげで、ようやく魔理沙達の顔や姿を確認できた。
まずはひと安心といったところ。

「よし、これで顔が見えるな」

「こ、怖かったぁ」

妖夢は私以上にひと安心。
ホッと胸をなでおろし涙目ながら安堵している。

「妖夢は怖がりねぇ、とりあえず異変解決するまで私に掴まってなさい」

「咲夜……ありがとうございます」

ま、妖夢は咲夜に任せておけばいいか。
とりあえず辺りを見渡し次はティラミスを……見つけた。
大きさはだいたい半分のそのまた半分くらいか、実にもったいないけど、早いとこ布巾で拭き取っちゃおう。

「お、サンキュー霊夢 わざわざ拭いてくれるなんて私の召使いみたいだな」

卓の上に置いてあった布巾を手にティラミスを拭き取っていると、早速楽しそうな魔理沙の声が聞こえた。
自分で落とした物を他人に処理させるなんて実に腹立たしい。
さらに早くも拭き取り終わってしまったので、魔理沙に拭かせられないのも腹立たしい。

「誰が召使いよ 自分で拭きなさいってば」

「自発的に拭きだしたのは霊夢だぜ?」

「う」

……しまった、言い返せない。
純粋に言い返せない。
魔理沙の言う通り、さっき私は落とした張本人である魔理沙を放置し、自ら進んでティラミスを拭くという実に愚かな行動をとってしまった……でも、このまま黙って魔理沙が言った事を認めるのもどこか負けた気がする。
厳しいけど無理矢理言い返してみるしかない。

「と、とにかくせっかくの手作りだったし咲夜に謝るべきよ」

「霊夢、その話題のすり替えは無理があるなぁ」

「うぐ」

「今はティラミスを拭く作業についての会話だぜ」

……最悪、余計に負けた感じがする。
魔理沙もこのやり取りで自分が優位に立っているのを理解したらしく、口元が緩み始めた。
……悔しい。

「まあまあ霊夢、ティラミスはいいから早く異変の元凶を退治しに行きましょ」

「そ、そうね」

ナイス咲夜、完全に会話が遮断され勝ち目の無い会話から逃走出来た。

「今は異変解決を優先だったわね」

チラッと魔理沙を横目に見れば、せっかく優位に立った会話を遮断されてか、ちょっぴり不満そうな顔をしていた。
まあ戦いには負けたけど、最終的に逃げるが勝ちを決めた私の勝ちね。

「という事で魔理沙、今の優先順位第一位は異変解決 ティラミスを拭く話はどうでもいいの」

「あ、逃げる気だな!」

「逃げるが勝ちってあるでしょ?」

「うぬう、ずるいぜ……」

「ねぇ霊夢、お願いだから魔理沙と戯れるのは異変解決後にしてくれない?」

「あんたの目はどうなってるのよ」

戯れるってなによ、と言おうかと思ったけど、咲夜の言う通り今は異変解決が優先だった。
……さっきも言っていたけど。

――にしても、ほんとにこの三人が居るとグダグダになる。
独りの時は異変発生後すぐに元凶目指して突撃、とっとと倒して解決、即帰宅という流れだったのに、この三人と一緒だと何だかんだ喋ったりしちゃってグダグダ、なかなか突撃に移れないのよね。
……でもまあ、四人で異変に向かうから疲れないし、それに……そんなに嫌じゃないから、これも悪くはないのだけど――



「じゃ、今から私の勘で元凶の居場所を見つけるわね」

異変発生後私達がまずやる事、それは私の勘で元凶はだいたいどこに居るか見当をつける事。

「妖夢も怖がっているし、出来れば早く見当をつけて欲しいわね」

「頼んだぞ霊夢」

「お、お願いします……」

……これ、特に私が決めた訳じゃないけど、なぜか気づいたら異変発生後毎回こうなっていた。
私の「勘」で、元凶の居場所を推測するのが定番になっていた。
まあみんなも連日のように異変解決で動き回って参っているから、もうあまり無駄に動きたくないのだろうけどね。
私も無駄に動きたくないし。
でも異変解決の最初の手順が勘頼みってどうなのかしら。
うーん、最後は万事解決出来ているし、みんな不満は無いようだし、これでいいのかな。
結果良ければ全て良し、ってね。
しっかし辺りは真っ暗、みんなして八卦炉が出す炎のそばに居て、私達の周囲には何も無く、おまけに床は一面の畳、これから怪談話でも始まりそうな雰囲気。

「……霊夢、勘はまだ?」

「も、もう少しよ」

うは、全然違う事考えてた。

「しっかり頼むわよ」

……一緒に行動していて改めて分かったけど、本当に咲夜はとても鋭い。
さっきのもきっと、私が別の事を考えているのを察しての発言だったに違いない。
そういえば咲夜って面倒見もいいのよね、メイドだから当然と言えば当然なのだけど。
今も怖がって咲夜の右腕にしがみつく妖夢を、さり気なく空いている左手で撫でているし。
……ってまたどうでもいい事を考えてる。
どうにもこうにも集中出来ない、咲夜の事は後回しで今は元凶の居場所。
こう雑念が多いんじゃ勘も冴えないわね。
でも早くしないと咲夜がまた何か言ってきそう。

「ここよ! きっと異変の元凶は神社に居る!」

突如冴え渡る勘。
勘だから突然なのは仕方ないけど、我ながら唐突すぎて驚いた。
いやみんなは私以上にもっと驚いているかも。

「神社……?」
「じ、神社だと」
「ここですか!?」

「ええ、何と無くだけど元凶は神社内に居ると思う」

「神社か……」

「こりゃ移動しなくて楽だな」

「そういう問題ですか?」

「お腹空いたー」

早くも異変の元凶が存在すると思しき地点に来た(居た)私達。
これは幸先の良い展開、だがここまで導いたのは勘である。
いつも思うのだけど、私の勘ってだけで居場所決めちゃっていいのかな。
毎回勘の通りに元凶がしっかり居てくれるから信頼度は高いけど、どうあがいても勘という不確かな物に変わりないからね。
独りで行動している時はあまり気にしなかったけど、団体で行動するとなると気になるのよね、こういうのって。
ま、慣れない事考えても仕方ないか。

「……あれ、なんか一人多くないか?」

不思議な顔していきなり言う魔理沙。
あまりにもいきなり過ぎると、さすがに何を言っているのか分からないわね。

「どういう事?」

「いやさっき誰か知らない奴の声が聞こえたような」

「ほんと?」

「や、やめて下さいよ……怖くなっちゃうじゃないですか」

既に怖がってるでしょ、きっと全員が妖夢にツッコミを入れたかったに違いない。
まあしかし魔理沙の言う事が真実なら、この場にもう一人何者かが居る、になる。
さっき異変の元凶がここに居ると勘が弾き出した、ようするに元凶がすぐそばに居る……という可能性が非常に高い。
そうと決まればすぐにでも行動しなくては。

「咲夜」
「ええ!」

早速名を呼ぶ形で咲夜に合図。
咲夜も一瞬で私の言おうとしている事を理解したらしく、しがみついていた妖夢をお姫様抱っこ的な何かで抱えて、瞬時に私の隣へ移動してきた。
私はというと、状況をまだよく理解出来てない魔理沙と、移動したての咲夜の服を両手で掴み、二人を八卦炉の炎が照らす範囲外へと軽く引っ張り一緒に移動。

「とっとっと、何だよ霊夢?」

場の空気を読んだか、小声で私に言ってくる魔理沙。
再び真っ暗な空間に来たから表情は判らないけど、この声色は困惑中ね。
どうやら理解出来てないようなので説明してあげよう、もちろん小声で。

「ほら、もし元凶が居るのなら私達が光に照らされるのは危険でしょ、ねぇ咲夜?」

「そうね、暗闇から弾幕で狙い撃たれるっていうパターンも考えられるし」

「あーなるほど さすがお二方、頭の回転が速いことで」

そして座らせる。
もしいきなり弾幕が飛んできたりした場合、こう身を低くしておけば弾幕に当たる確率も下がるし。
咲夜も流れで座らせちゃったけど、妖夢をお姫様抱っこしていたから座るの大変だったかもね。
ひとまず私達は光源から距離を取って暗闇に一旦身を隠す事にした。
元凶が確認出来てない今、光源の近くに居るのも危ないので。

「……霊夢、ここからどうする?」

「様子見かな 私達は八卦炉とそのわずかな周辺しか見えないし、相手がどう出てくるかも分からない、そもそも相手が何者かも分からないし」

「まあそれが妥当か」

しばし様子見といきましょう。
妖夢にはちょっと辛いと思うけどね、真っ暗だし。

「咲夜……みんなの顔が見えなくて、ちょっと怖いです……」

「寝る前だと思いなさい 寝る時いつも真っ暗でしょ」

「そ、それはそうですけど」
「お、八卦炉近辺に誰か居るぞ」

おっとここで進展。
見れば八卦炉の揺らめく橙色の炎が照らす領域に、女の子の顔が出現。
妖夢みたいな髪型だけど金髪、おまけに赤いリボンが結ばれているその女の子は、深紅の瞳できょろきょろと辺りの様子を伺っている。
照らされているのが顔だけという事もあり、生首が浮いているように見えて軽くホラー。

「あれー、みんなここに行ないのー?」

さらにあの娘は見たことがある、宵闇の妖怪「ルーミア」といったか、そんな名前だった気がする。
ルーミアは闇を操る程度の能力を保持していたような。

「あ、そういえばこの炎なんで明るいんだろう、私の闇の中なのに すごいなー」

ルーミアは未だに顔だけ光に照らされ生首状態で辺りを見てはなんか言っている。
まあでもこれではっきりした。
今回の異変の元凶は、ルーミア。
しかしルーミアが元凶か。
確か闇を発するルーミア自身も、この闇の中だと視界が利かないはずだから、暗闇に隠れたのはいい判断だったかも。

「元凶発見、さすが霊夢の勘ね ありがとう霊夢の勘」

「いやぁ霊夢の勘には感謝だぜ」

魔理沙に咲夜め、あくまで礼を言うのは私の勘だけなのね。

「よかった……もう少しで真っ暗から解放されます 居場所の特定、ありがとうございます霊夢」

妖夢はいい子だなぁ。
思わずなでなでしたくなるわね、真っ暗で見えないけど。

「さて、それじゃ弾幕ごっこもとい、妖怪退治といきますか」

当然の如く見えないけど、きっとホウキに跨ったであろう魔理沙。
魔理沙が弾幕ごっこする時はほぼ確実にホウキに乗る。
……バトルフィールドが屋内であろうと構わずに。
忘れがちだけどここ博麗神社内なのよね、下手にマスタースパークとか撃たれたら倒壊するんじゃ……と思った所で八卦炉は光源として在るから平気な事に気付く私。

「そうね、早いとここの闇を晴らして貰わないと」

チャキっと隣からはナイフの音。
妖夢を抱いている咲夜、いったいどのように戦うのかちょっと楽しみ。

「じゃ妖夢、一回降りてもらうわね」

「はい」

なんだ、降ろしちゃうのかつまらない。

「私も、頑張らなきゃ! えっと、元凶は……」

シャキーンと姿は見えずともいつも通り剣を構えているであろう妖夢。
これはいよいよ本格的に開戦しそう。
何も考えていなそうなルーミアが相手といっても、こちらが仕掛ければ反撃はするだろう、一応異変の元凶だし。
私も余計な事を考えてないで集中しなくちゃ、早速戦闘準備を
「きゃあああ!!!」

「うぇ!?」
「どうしたの!?」
「っ!?」
「わふっ!?」

しようと思っていた矢先の悲鳴。
冷静に見えるかもだけど凄く心臓がどきどきしてるからね、今。
誰かが胸に耳をあてたら余裕でどきどきが聞こえると思う、異変発生時よりも遥かに吃驚。
吃驚しすぎて絶対寿命縮んだわ、三週間くらい。
そしてこの悲鳴の主は……多分妖夢。

「妖夢!! どうしたの!?」

咲夜の必死な呼びかけにも応答なしな妖夢。
……ダメだ、真っ暗闇でいきなり悲鳴とか心臓が死ぬ、現に死にかけていた私の心臓。
まだ凄くどきどきしているけど、早急に現場復帰で異変解決しなくては。

「……さ、咲夜、現在の状況を詳しく」

「分からないわ! ただ確かなのは妖夢が悲鳴を上げかつそれ以後返事が無い事よ!」

ちょっと待って何が起きたのか全然事態を把握出来ないのだけど。
ひとまず妖夢はやられたとみていいのか。

「ひょっとして妖夢、やられた?」

「そ、そんなまさか……」

暗闇で 妖夢が叫び 返事なし やられたとみて 間違いない、か。
ルーミア、妖夢に何したか知らないけど意外と強いじゃない。

「咲夜、それに魔理沙 三対一になるけどルーミアに弾幕を」
「居ないわ」

咲夜が短く私を遮る。
その声色からは僅かな焦りが感じられた。

「ルーミアが、居ないわ」

「え!?」

ルーミアが居た八卦炉付近を見ると、咲夜の言うようにルーミアの姿は無かった。

「まずいわ霊夢、ルーミアに私達の居場所は判明してる このままだと妖夢みたくまた犠牲者が」
「わ、分かってるわよ!」

……どうにもこうにも、私も咲夜同様焦っている。
妖夢がルーミアにどうやって攻撃されたのか皆目見当がつかないからだ。
私達の周囲は真っ暗、この暗闇だったら弾幕自体が放つ光で回避は逆に容易になるから、弾幕でやられたなんて事はまずない。
それでも妖夢が被弾する可能性はあるけど、被弾したらピチューンって音が鳴る……でも、今回は鳴っていない。
まさかの肉弾戦でやられたって事もあるけど、それならそれ相応に、ドスッ、ズガッ、グシャッ、とか生々しい音が聞こえてもいいはず……ルーミアは、どんな未知の攻撃で妖夢を倒したのか。
おまけに、そのルーミアを完全に見失ってしまった。
妖夢を攻撃してきた以上、なぜかルーミアに私達の居場所がばれている訳で、妖夢同様私達も未知の攻撃で倒されてしまうかもしれない……
とにかく一刻も早くここから移動するべき事態なのは確実。

「咲夜に魔理沙、また移動するわよ!」

「ちょっと待って霊夢」

「なによ?」

「さっきは明るい場所から皆一緒に暗い所への移動だったから上手く移動できたけど、今回は暗い場所から皆別々に暗い場所への移動になる、絶対私達は散り散りになるわ」

……うぐ、焦ってそうなのになんでこう冷静なのかしら咲夜は。
確かに咲夜の言う通り、散り散りになるのは必然か。
みんな近くに居るのは確実だけど、真っ暗ゆえ細かい正確な居場所が分からない。
この暗闇では正確に互いの居場所が分かってないと、みんなで同じ所には行けない、結果散り散り安定。
相手の居場所が不明な今、みんなとはぐれるのは確かに危険行為……いや待って、これ一回全員を同じ場所に集めればあるいは……つまり、

「そうだ! 咲夜に魔理沙、みんなしていったん八卦炉に戻ればいいのよ!」

「!! それよ霊夢!」

こういう事か。
一回みんなで八卦炉という初期位置に戻って、またそこから一緒に暗闇の世界に行けばいいだけだ。
光源でまた私達の姿がルーミアに晒されるのは危険だけど、このまま居場所が判明している状態の方が危険だし。
いやでも、なんでもっと早く気付けなかったの私。
まあ最近になっての団体行動だし仕方ないわ、うん。

「あれ、魔理沙は?」

とことこ歩いて八卦炉という名の光源に着いた私が確認したのは、咲夜の姿だけだった。
その咲夜は私の問いに軽く首を横に振った後、次のように言った。

「当然さっきの会話は聞いていただろうし、ここに来てない、来る気配も無い……って事は」

「魔理沙も、やられたのね……」

まさか魔理沙もルーミアにやられちゃうなんて……
妖夢の時と違って、魔理沙は悲鳴をあげることなくやられたようだ。
ルーミア、暗殺者すぎるわねこれ、甘く見すぎていたわねこれ。

「ルーミアに 暗殺された 魔理沙かな」

咲夜、なぜここで俳句を詠んでいる。
しかも即興で作りました感が凄まじい内容。
どうせ作るならしっかり作りなさいって。

「……あれ?」

と、ここで私は何かを発見する。

「咲夜、あれは何だと思う?」

私が発見したもの、それは黒い布だった。

「あれは……黒い布?」

その黒い布は、八卦炉が照らす範囲外から伸びてきているようだ。
私達が目視出来る領域にあるのはほんの一部で、黒い布の大部分は目視出来ない領域にあるみたい。
さっきまでこんな所に黒い布なんか無かったから、これが何か非常に気になる。

「……引っ張ってもいい?」

「霊夢、私達は妖怪退治の真っ最中、これからまた真っ暗な世界へ一緒に行くのでしょう?」

「そりゃ分ってるけど、勘が引っ張れって言ってくるのよね、私の勘が」

「ふむ、霊夢の勘じゃあ仕方ないわね 引っ張ってもいいわ」

さすが私の勘、なんという信頼度の高さ、私とは大違い。
一回断られた咲夜から了承を得るだなんて。
おかげでとても複雑な気分になったわ。

「……よいしょ」

お、意外に重い。
黒い布を右手で摘んで軽く引っ張ってみたけど、全然引っ張れない……というか全然奥の方が出てこない。
今度は両手で掴んで引っ張ってみようか、破れない程度に。

「どう?」

「ちょっと力を込めて引いてみる」

という事で力を込めて引いてみた。
すると、ズズズっと畳が擦れる音と共に黒い布をうまく引っ張る事が出来た。
そのまま引っ張り続け、ついに黒い布の全体像が明らかになる。

「こ、これは……」

そして私は、その全体像を見て思わず息を呑む。

「あらま、相変わらず霊夢の勘は色々と凄いわね」

「いや、まさか私もこうなるとは……」

なんと、黒い布を引っ張っていたら、異変の元凶であるルーミアが出現したのである。

「……てか、なんでルーミア気絶してるの?」

「え、状況的に霊夢がルーミアを引きずって無理矢理気絶させたんじゃないの? かわいそうに」

「そんな訳ないでしょ!」

「冗談、冗談よ霊夢 ほら、嘘も方便ってね」

「……咲夜、使い方全然違うからねそれ」

「あら」

……
……えっと、まあ私の引っ張っていた黒い布が、実は横たわっていたルーミアのスカートだったっていう感じで、黒い布……スカートを引っ張っていたらそのままルーミアの姿が現れた、ってだけよ。
しかもなぜか目を回し気絶中のまま、ルーミアが現れた。
決して私が引っ張って気絶させたとかじゃないからね。

「にしても霊夢、元凶が気絶って事はこの異変、解決とみていいのかしら?」

「あ、確かに」

かくして、博麗神社真っ暗異変は、

たまたま目に留まった黒い布を引っ張ったらそれが元凶で、さらになぜかその元凶が気絶していた。

というまったくもって意味の分からない展開によって、無事幕を閉じた。
……うん、今回もありえないくらいグダグダな異変解決だったわね。



「わー、目が覚めたら眩しいし動けないー」

「とりあえずあんたは異変の元凶だからね、事情を聴くまでは解放出来ないわ」

「私が異変のげんきょー?」

さて、異変を解決出来てからする事、それは「なぜ異変を起こしたのか」を元凶に色々と聞く尋問タイム。
今、私の目の前には両手両足をひもで縛られ身動きが取れず、さらに私の持つ八卦炉に照らされて眩しげなルーミアが居る。(一応、ある程度緩く縛ったので痛くはないと思う)
私の後ろでは咲夜、魔理沙、妖夢が、念のためいつでも弾幕が撃てる状態で待機している。
あ、ちなみにルーミアにやられたと思っていた魔理沙と妖夢は、ルーミア同様暗闇の中目を回して気絶していた。
それぞれ気絶の理由なんだけど、魔理沙は妖夢の悲鳴で驚きのあまり気絶したらしい。
確かに妖夢の悲鳴には凄く驚かされたけど、まさかそれで気絶しているとは思わなかった。
それで妖夢の方は、ルーミアが「生首のおばけ」に見えたらしく恐怖のあまり悲鳴をあげ、後に気絶、って事らしい。
まあちょっと怖かったもんね、炎に照らされ浮かび上がったルーミアの顔。
ただでさえ真っ暗で妖夢はかなり怖がっていたし、生首のおばけに見間違える気持ちも分かる。
……で、ここから派生して次の事も分かる。
おそらくルーミアも、魔理沙みたく妖夢の悲鳴に驚き気絶していた、のだろう。
……これね、この事実が分かった時、私はとても恥ずかしくなったわ。
だってそうでしょ、妖夢の悲鳴後異変の元凶が気絶していたのなら、もうその時点で異変は解決していたって事になるじゃない。
妖夢の悲鳴後とった行動全てが無駄になるのよね。
とっくに元凶は倒れているのに、元凶を倒そうと画策していたとかもうね、傍から見たらただの間抜けよ。

「じじょーって何を話せばいいのー?」

「……なんで神社を真っ暗にしたのか、それを話して欲しいの」

「あー、そういう事かー」

そこから教えなくちゃいけないのか。
今も呆けた顔で私を見ているし、自分が異変の元凶って自覚あるのかしらこの娘。

「あのねー、私お腹が空いてたの」

「ふうん、それで?」

「それでねー、いつも通り自分の周りを真っ暗にしてふよふよしてたらね、どこかから凄くおいしそうな匂いがしたんだー」

「……おいしそうな匂い?」

「そう 後はその匂いを頼りにふよふよしてただけー」

「……」

「そっかー、あのおいしそうな匂い、霊夢の神社からしてたんだ」

あれ、これはもしかするともしかするかも。
整理すると、ルーミアはお腹が空いていて、たまたま神社からおいしい匂いが漂ってきて、その匂いをたどって神社に来た、って訳よね。

「ごめんね、お腹空いてたし匂いもおいしそうでつい来ちゃった でも、真っ暗にしてみんなを困らせようとか、そんなつもりはなかったよー」

ルーミアはそう言うと、暗闇放出を最小限に止めた。
私達の周りがいつも通りに明るくなった。

「これで大丈夫だよねー?」

……これ、異変じゃない。
しかもルーミアが言っていたおいしそうな匂いって、間違いなく咲夜特製ティラミスの匂いだ。

「……咲夜、これは異変じゃないわ」

「奇遇ね霊夢、私もその子の話を聴いて、たった今そう結論づけたとこよ」

「ていうかむしろ、神社が真っ暗になったのティラミス作った咲夜のせいじゃね?」

「言うわね魔理沙 でも、それなら最初私にティラミスを頼んだ妖夢のせいかもしれないわ」

「えぇ!? そ、そんなの無茶苦茶です! だいたい、ティラミスをとっても美味しく作ってしまう咲夜こそ」
「妖夢、冗談だからね」

……まったく、呆れるを通り越して疲れが出てきたわ。
異変なんか最初から起きていなかった。
異変だと早合点した私達が、勝手にきゃーきゃーしていただけじゃない。

「ういー、なんか真相が分かったらお腹空いてきたぜ」

「そ、そうですね」

はぁ、なんだか私もお腹空いてきちゃった。
そういえばこの異変もどき、おやつ中に起きたのだった。
これはおやつを再開するべきじゃないだろうか。

「さ、咲夜」

と、妖夢が咲夜に話し掛けた。
これは、おやつタイム目前かも。

「なに、妖夢?」

「え、と……さきほどは冗談と知らずに失礼しました あの、またてぃらみすを」
「言われると思ったわ」

さすが妖夢、私達が言いたい言葉をすらすらと。
して、咲夜の反応は。

「じゃ、おやつタイム再開といきましょう」

「やったー!!」
「よっしゃ!」

ばっちり、これはまたおいしいティラミスに出会えるとみて間違いない。
そうと決まればわざわざ神社に来たルーミアにも。

「ひもをほどくのかー?」

「そうよ、あんた異変起こしてないし」

「そーなのかー」

「でさ、お腹空いてるんでしょ?」

「うん」

「おいしそうな匂いのする食べ物、あんたも食べていきなさい 意味も無く縛っちゃったお詫びにね」

「おぉ! ありがとー!」





という事でこの博麗神社真っ暗異変は、異変ですらなかった異変、さらに妖夢の悲鳴で二名が気絶、無駄に行動していた私と咲夜、などなど……ほんとにグダグダながらも無事解決(?)した。
ひとまず、ティラミスはおいしかったし、思い返すとグダグダ過ぎて逆に楽しく思えるし……何が言いたいのかといえば、結果良ければ全て良し、って事。
また四人で、いつ発生するか分からない異変を、今回みたくグダグダに……いや、出来ればスムーズな解決の方がいいかな。
ま、今度も四人で、グダグダ解決していきましょ。
とても久しぶりに書いてみたくなったので、久々にここに来ました。
今回自分が書きたかったものは、霊夢と咲夜と魔理沙と妖夢が一緒に異変解決をするようなお話です。
一応書きたい事は全て書けたのでよかったです。

本文のタイトルより前は導入部分みたいなもので、あの部分を入れるかどうかでとても迷いましたが、最終的に入れさせて頂きました。

しかし、霊夢と妖夢はかわいいですよね、咲夜さんは美しいですよね 今さらですが人気投票、もちろん投票させていただきました
積分ティッシュ
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.920簡易評価
4.70名前が無い程度の能力削除
早苗さんは犠牲になったのだ。人気投票一桁に入れなかったと言う犠牲にな……。サナエェ……。

4人が楽しそうで何より、かな?
5.100名前が無い程度の能力削除
魔理沙だって凄く可愛い
9.80奇声を発する程度の能力削除
楽しそうな感じで良かったです
10.80名前が無い程度の能力削除
あれ、早苗は…?
25.100名前が無い程度の能力削除
読み終わってなんだかほんわかした気分になりました
にしても、魔理ちゃんにピーマンは作者さんのご趣味に合わないのでしょうか