文々。新聞 ~冬の特別号~
「皆さんこんにちは。清く正しい射命丸です」
まずは始めに、いつもの挨拶を。そして今回の内容を。
「今回は、文々。新聞~冬の特別号~でお送りしたいと思います。さて今回の、取材は、皆さんご存知、幻想郷の異変解決を行っている、博麗霊夢さんと霧雨魔理沙さんにインタビューを行いに行きたいと思います。ま、今回は異変については聞かないですけどね」
というわけで、妖怪の山より射命丸は空へと舞い上がる。空を切り、風を切り。ほんの数分で博麗神社に到着した。
「えー、最初の目的地、博麗神社に着きました。あややや……すいません霊夢さん。何をしているのでしょうか?」
と射命丸は神社のお賽銭箱の中や、その下を見ている、紅白の巫女服を着た人物に話しかける。
「お賽銭、お賽銭、なんでないのかしら? なぜ、みんな守矢神社に行くのかの理由が全く理解できないわ。なんで――」
霊夢さん霊夢さん、と射命丸が呼びかける。
「ん? あら、ごめんなさいね。ちょっとお賽銭探しに夢中で。それで? なんのようかしら?」
「実は、今回はインタビューをさせて欲しくてですね……」
そう言いつつ、射命丸は手帳を取り出し、メモの準備をする。そうねぇ、と霊夢は腕を組みながら考える。
「別に、答えることがないんだけど?」
ガクッ、と射命丸はなりながら聞く。
「あやや。そう言わずに、インタビューさせてくださいよ」
「んー、ま、暇だったし問題ないわ。とりあえず、中に入る? 寒いし」
「すいません。それじゃ、お言葉に甘えさせてもらいます」
神社内に入り、こたつのある部屋に来た。
そこに座り、何を質問しようか、と射命丸は考える。
「それでは、普段は何をしているのですか?」
ありきたりな質問ね、と霊夢は言いながら答える。
「まぁ、境内の掃除をしたり、たまーに来る参拝客とちょっと他愛もない世間話をしたり、かしらね」
「なるほどなるほど……」
サラサラサラとメモ帳にまとめていく。今回もおもしろい記事が書けそうだ。さらに他には、
「あとは、そうね、たまに遊びに来る魔理沙と会話したり、洩矢神社に遊びに行って、早苗をからかったりしてるわ」
早苗さんをからかっている、そのこともメモ帳に書き留めておく。
「最近、こっているものはなんですか?」
「最近は団子かしらね」
「団子ですか?」
えぇ、と霊夢は答える。
「里のほうにある茶菓子屋の団子がおいしくてね。いろいろな団子を買って、こたつに入ってお茶を飲みながら食べてるのよ」
「なるほど、確かに里の団子はおいしいですよね。それで、ここで食べているわけですね。私もよく椛に買ってきてもらいます。今度私もしてみたいですね。冬景色が、綺麗でしょうし。でもですよ? 霊夢さん」
「何?」
「心苦しいですが、そんなことをしていると、太りますよ? というか太ってませんか?」
その瞬間、カァッ、と霊夢の頬が赤くなり、
「うるさいわね! そういうことを言いに来たんなら魔理沙のところにでもいきなさい!」
そう言って、立ち上がった霊夢がヒュンッ、と札を数枚飛ばしてくる。
「あややや。怒らせてしまいました。図星のようです。仕方がありませんね、次は魔理沙さんの所に行きましょうか」
札を避けながら、障子を開け、外に飛び出す。次の目的地は魔法の森に決定。
「ったく、冗談じゃないぜ?」
「すいません。でも、霊夢さんは快く受けてくれましたよ?」
それにピクッ、と反応する。
「何? 霊夢が答えたって? よーっし、私も答えてやるぜ!」
「素直な回答、ありがとうございます」
さて魔理沙には何を聞こうか、と思っていたら、魔理沙が逆に聞いてくる。
「そういえば、お前はいつも何をやってるんだ?」
「あやや、逆インタビューですか。予想外ですが、これも記事にすると面白い気がしますね」
うんうんと頷いていると、おい、と魔理沙が聞いてくる。
「で、答えるのか? 答えないのか?」
「はい、答えますよ。朝は、日が出てくるあたりに起きますね。そしたら、朝食をとって、溜めておいた写真とか、このメモ帳に書き留めたことをまとめています。それで、午前中は終わりますね。午後は、記事のネタを求めて、幻想郷を飛び回りますね。その後は――」
「待て待て待て。そんな一日のスケジュールを話せってわけじゃ……あ、でもそういう質問したか」
自分の質問なのに、逆に困る魔理沙。
(これはこれでおもしろい記事が書けそうですね)
さりげなくメモ帳にまとめる射命丸。
「それでは、こちら側から質問させてもらいます。それじゃぁ、最近よくすることはなんですか?」
「最近することは、香霖堂に行ってコーリンと雑談したり、なんかおもしろそうな外の世界の物を借りたり、後は、ミニ八卦炉の整備をしてもらったりだぜ」
「その、ミニ八卦炉ってなんなんですか?」
実はちょっと前々から気になっていた射命丸はこの際だからと聞くことにした。
「あぁ、これだぜこれ」
そう言い、魔理沙は懐から正八角形のものを取り出す。これがそのミニ八卦炉らしい。
「これは、コーリンがくれた、いわゆる宝物なんだぜ」
とてもうれしそうな表情をする魔理沙。
「なるほど、とても大切なわけですね」
「そうなんだぜ」
「霖之助さんに感謝していると」
「そうなんだぜ」
「だから霖之助さんに密かに思いを寄せていると?」
「そうなんだぜ」
「素晴らしい情報が手に入りました」
「!」
そこでようやく魔理沙が気付く。
「ちょ、ちょっと待った! 今のは口が滑ったんだぜ! このことは内密に――」
「それじゃ、失礼しますー」
魔理沙の言うこと虚しく、射命丸はその場から飛び去った。
そして妖怪の山へと帰ってきた射命丸。さぁ、これからが大変だ。
「椛、お手伝いをよろしくお願いしますね」
白いモフモフの尻尾が特徴の白狼天狗の犬走椛に言った。
「分かりました、文様!」
と椛が答える。
こうして文々。新聞~冬の特別号~が完成した。
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文々。新聞~冬の特別号~
~博麗神社~
博麗霊夢さんに会い、お話を伺った。霊夢さんはつぎのように丁寧に答えてくれた。
質問
・普段は何をしているのか?
境内の掃除、参拝客との会話、お賽銭探し。
・最近こっていること
団子のいろいろな種類を買い集め、こたつに入り、お茶を飲みながら食べている。最近、太ったらしい。
この後、霊夢さんに攻撃を受けたので、速攻退散しました。最近の巫女は怖いですね。皆さんもぜひご注意を。
~魔法の森~
同じ日に、霧雨魔理沙さんに会いお話を伺った。ここでは衝撃の事実が明らかになった。
初めは記者である自分が質問されることになった。意外な体験に勉強になった。
魔理沙の質問
・いつも何をやっているのか?
ここは読者の皆様に語る機会もなかったのでこの場をお借りして。
日が昇るころ起床し、午前中は文々。新聞の作成。午後はネタ探しをしています。
この後魔理沙さんは自分の質問ながら、私の答えに困っていました。ちょっと可愛かったですね。
ここからは私の質問です。
質問
・最近は何をしているのか?
香霖堂にて森近霖之助さんとの雑談。外の世界のものを借りる。ミニ八卦路の点検、これは霖之助さんより頂いた宝物なのだそうです。
そして、この質問時に会話を進めていくことで、驚愕の真実が明らかとなりました。
なんと、香霖堂の店主、霖之助さんに思いを寄せていたとの事実が発覚しました。
本人の照れ隠しとも見える。慌てふためきぶりは、それが真実であることを教えてくれました。
~本人に直撃! インタビュー!~
上記の話の人物、森近霖之助さんにお話を伺いました。
「え? 魔理沙が僕のことを好きだって? 彼女は小さい頃から世話をしていたからなぁ。そういう感情はなかったかな。でも、そうか、魔理沙が僕のことを――」
とたいへん嬉しそうな様子でした。
★冬が来た! 幻想郷の意見★
リリー・ホワイト 出番が来年までない……
チルノ アタイってば最強ね!
洩矢諏訪子 冬眠したい……そうだ、こたつに入ろう
☆冬の最新アイテム!☆
あの河童の川城にとりがこの冬を乗り越えるためのアイテムを開発!
にとりのスーパーホッカイロ‼ 近日発売予定!
―年越しの前に厄を払いませんか?―
鍵山雛の厄払い。
場所 妖怪の山付近
注意 怪我を負うかもしれません! 来る時は十分のご注意を!
―ミスティア・ローレライの屋台―
アツアツの熱燗、その他にもいろいろございます。冬の寒さに負けそうな時でも、そうでない時もぜひお立ち寄りを。
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もう少し他の要素も欲しかったです
あと誤字の類だと思うけど、ミスちーは焼き鳥売らないんじゃ?