Coolier - 新生・東方創想話

式神飲みに行く

2011/12/26 14:11:20
最終更新
サイズ
4.4KB
ページ数
1
閲覧数
2207
評価数
4/25
POINT
1180
Rate
9.27

分類タグ


 さて、どうするか、今夜のご飯は。
自分だけのために作るごはんってのも久しぶりだな。
好物の、あぶらげを使ったいなりずしもいいが、それは橙が居るときにしようかな。

「そうか、別に自分で作らなくても……」

 思わず口に出して言う。普段なら紫様のため、冬眠中は橙のためにできるだけ家で食事を取るようにしているが、別に一人の時なら食べに行ったっていいんじゃないのか。
うん、そうしよう。
そうと決まれば……



『式神飲みに行く』





「うーん……」


人里の市は夕刻になると人が増す。女は家で作るご飯のため、男は仕事終わりに酒を呑むためだ。

はて、普段は素材くらいしか買わないから、飯屋など行かないからな。
こうやって見てみると新鮮だな。するといつもの豆腐屋の男が遠く話しかけてきた。

「どうも」

「今日はどうだい、いつものよりちょっと作り方変えたんだ。おいしいよ」

ふ、ふむ。確かに美味しそうだ。できたての、まだ湯気が出ている油揚げ。甘く煮込んでも美味しそうだが、これはそのまま食べるべきだろう。うん、油揚げもそう言っている。だが、

「いや、今日はいいんだ。今度いなり寿司をやるからその時にもらおうか」

「あら、そうかい、残念。じゃちょっとだけおまけ。予約してくれたからな。切れ端で悪いけど」

「か、かたじけない。」

 い、いいな。実に太っ腹だ。ありがたくいただこう。

……うん。 これはいつものより美味い。 ほんのりと、まだ大豆の風味が残り、豆腐の感触もまたほわほわもちもちと……

「美味いかい? いや、美味いだろうな。顔がふやけてるよ、狐のねーちゃん」

「ほ、本当か。失礼した。でも確かにうまかった。今度大量に買おうかな」

「お、まいど、じゃあまた今度な」

「あぁ、ごちそうさま。又来るよ」



 うまかった、本当にうまかった。
久々に酒でも飲みたい気分だ。
……ふむ、そうか酒か。酒場には一人で行ったことなかったな。
せっかくだ。酒でも軽く呷ってなにかつまもうか。そうしよう。
そうだな、酒場か……






 最近、見たばかりだからな。閻魔と死神が美味そうに酒を飲んでいたのを。
わざわざ中有の道まで来てしまった。まぁいい。あの酒場にいこう。
 
 席に通され、一息つく。酒場は騒がしいが、ひとりで来ている客もちらほらいた。
ま、浮かなくて助かったな。

「生を。あとおでんをもらおうか、がんもに、巾着に、厚揚、あと……」

「おいおい、ホントに狐ってのはそういうのが好きなのかねぇ」

 突然後ろから話しかけられる。

「隣いいかい?」

「あぁ、構わないぞ。とりあえずそれで頼む」

 店員に注文し、話しかけてきた人物を一瞥する。最近見たな。

「今日は閻魔とは一緒じゃないんだな」

「あの人は、なんか用事があるみたいでさ、さっさと帰っちゃったよ。そっちだって主人と一緒じゃないのかい」

「あぁ、今日はご友人のところに遊びにいくそうだ。式神も他所へ行っていないし」

「なるほどね、んで、残されたあんたが寂しくひとり酒ってことかい」

「お互い様じゃないか」

「へへっまぁね、それにしても今日『は』ってそんなにあたいたちセットのイメージがあるかい?」

「いや、この前……」

 はっ、覗いてたなんて言ったら怒られてしまう。それに閻魔に知られてしまったら……

「ん?」

「いや、上司と部下だからな。私たちと関係が似てるって言うか……」

「なるほど、自分たちが仲いいからあたいたちもってことか」

「べ、別にそういうわけじゃ、からかうんじゃない」

「すまんすまん」

 あんたらもイチャコラしてたじゃないか……
ふーむ言いたいが言えない。

「ま、部下同士気楽に飲もうや」

「だな、普段言えないことでも言えるチャンスだ」

「あはは、そうだな、あんたのところは凄そうだ」

「あぁこのまえなんか……って」

 何か、視線が……

「あ、気づいた?」

「ゆ、紫様?!」

「こ、こまちー」

「映姫様?! 用事ってあんた……」

「あ、死神さん。閻魔様借りてたわ。からかいがいのある、とてもいい娘ね」

「いや、そんな事は知ってるっていうかいつもと立場が逆ですね。何かあったんですかい」

「このスキマ妖怪っ、この前のお酒飲んでたときのっ、覗いてたんですよっ」

「……あー、あれか」

「だぁって藍がみたいって言うから」

 な、ここで私か。勘弁してくれ。それに……

「まぁ、この娘貴方に預けるわ死神さん。私はこの子とちょっとお話があるから……」

 あ、やっぱ聞かれてたか。お仕置きかぁ、怖いな。

「ま、好きにやんなせえ。って映姫様そんな抱きついてこないでください」

「知られたー 握られたー 弱みー 威厳がー」

 閻魔、今の姿も大分威厳なんて無いぞ。でもまぁ、こっちもこっちで

「藍、なにかしら? 普段言えないことって。私に何か不満でも?」

 あぁあ、外食なんてしなきゃよかった。橙の顔が見たい……

「え、映姫様もぐりこんでこないでくださいっ」

「こまちー 私はもう穴があったらー」

「藍? 聞いてるの? 私の話を無視するなんていい度胸してるわね、ちょっとこっち来なさい」

「あ、あのー生ビールとおでん、どこに置けば……」





 その日の酒場は、いつも以上に騒がしかったようです。








俺「映姫様、穴はこっちです。早く!」

ばかのひです。
映姫様マジ天使
ばかのひ
http://www.pixiv.net/member.php?id=2198302
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.890簡易評価
1.80奇声を発する程度の能力削除
ワイワイとした賑やかさがらしくて良かったです
7.100名前が正体不明である程度の能力削除
おもしろかった!
8.50名前が無い程度の能力削除
なんか始まる前に終わった感じ。
15.60名前が無い程度の能力削除
ってあら?そこからってかそこだろー書くのは