咲夜の自室には、紅魔館の中枢たるメンバー、それに巫女と普通の魔法使いがそろっていた。
決して望んだわけではない、けれども絶対にやってくるこの時を見届けなければならない。
いや、彼女の最後は自分たちが見送ってやりたい。そう思ってここに皆は集まったのだ。
「お嬢様……」
「咲夜、どうして……どうしてこんなに早くいなくなっちゃうの? どうして……」
レミリアは、もう既に涙が頬を伝っていた。けれども最後の主の威厳を保とうと、必死に歯を食いしばっていた。けれども本人が一番わかっている、咲夜がいなくなったとき、自分は決して泣かずにはいられない、それほどまでに咲夜と言う存在は、自分たちにとって大きな存在だったと。
それも、咲夜のしわがれた声の前には無駄な抵抗だった。
吸血鬼と魔法使いと悪魔と妖怪と……人間とこれらの存在には絶対的な壁があった。
それらは、寿命の違いと言うどうしようもない、抵抗の仕様のなく、一番大きな違いまでも生み出している。
人間は、せいぜい百年も生きれば死んでしまう。悠久の時を生きる彼女らにとってはそれはあまりにも短すぎる時間であった。
「最後は……二人にさせて頂戴」
レミリアは、咲夜の、一番大切な人がもうすぐ、もうほんの少ししか生きられないことを悟った。咲夜の寿命は、ほんの近くにもう来ているのだ。
ただでさえ短い寿命、それなのに咲夜はその時間を自分の愛しいお嬢様のために、レミリアの為に使い続けた。
止まった時間の中でも老いは容赦なく進む、それは自分の能力でありながら、彼女の体を一番、確実に蝕んでいった。
霊夢も魔理沙も、確かに老いてはいるがまだ空も飛べる。きちんと自分の足で歩ける。
けれども咲夜は、もう顔にはしわが目立ち、以前の瀟洒な姿の彼女の面影などどこにもない、ただ死期を待つだけのような顔つきをしている。
「(自分のせいだ――)」
レミリアは自分を責め続けた、今日と言う今日まで攻め続けた。
咲夜は自分に尽くし続けた、自分の命を削ってまで尽くし続けた。その結果はなんだ、こんな惨めな、けれどもどこか立派な。
けれども な姿になってしまった。
それもすべて自分のせいだ、自分が完全でいることなど求めずに、ただ自分とともに歩むことを教えていたら、そうするように言っていたら、もう少しだけ咲夜と長い間いられたのではないか。思うのはそんなことばかり。
レミリアは、人生で一番の後悔と、人生で一番の悲しみの中にいた。
美鈴は、咲夜の部屋から出て行った後に自分の部屋に戻っていた。
時が来れば自分はまた呼ばれる、それまでは二人の時間を作ってあげよう。
美鈴は化粧台の前に立ち、その上に置いてある一枚の写真を取った。
それは、咲夜と美鈴が二人で一緒に映っているたった一枚の写真。最初は本当に魂を取られると勘違いしていた彼女と一緒に写した写真。赤い薔薇一面に染められた花壇の前で撮った写真。
「咲夜さん……」
あの頃は、まだ咲夜も現役だった。けれども衰えが見え始めていたかもしれない。
彼女もまた自分を責める、あのときに自分が気がついていれば……
そう遅すぎる願いをぶつける者などない。
ふと美鈴は鏡を見た、鏡に映っている自分は、咲夜が来る前と今とでは一つだけ違う部分がある。それは右頬についた小さな傷跡だった。
咲夜は居眠りしている美鈴を見つけると、必ず右頬を突っついた。
咲夜のナイフ捌きの腕前は本物だ、そしてそれは彼女も無意識なうちに同じところを何度も少しずつ少しずつ傷をつけて行った。
そしていつしかそこは一生モノの傷跡となっていた。いや、もし治せたとしても今は治す気はない、だって彼女との深い深いつながりなような気がしたから。
「咲夜さん、いっつも私のこと突っついて、少しは加減してくれてもよかったじゃないですか」
美鈴は、目に熱いものがこみあげてくるのを感じた。
「咲夜さん、跡になっちゃったじゃないですか、どうしてくれるんですか?」
美鈴は、もうすぐいなくなろうとしている彼女のことを思い浮かべた、彼女は本当に久しぶりの涙を流した。
「咲夜さぁん、一生あなたのこと忘れられないじゃないですかあ。こうやって鏡を見るたびにおもいださなきゃならなくじゃないですか、どうしていつまでもわたしのいちばんのたいせつなひとなんですか……………………」
美鈴は、すべてを投げ出すかのような涙を流した。それは、とてもとても多く、とてもとても悲しく、とてもとても美しい涙であった。
霊夢と魔理沙は、紅魔館の門の前まで来ていた。
最後くらいは一番大切な人たちと過ごさせてあげようという配慮だ、自分たちもその大切な人たちに入っているということも知らないで……
「次はどっちの番なのかしらね?」
「さあな、けどまあ私じゃないことはたしかだぜ」
二人とも、あの頃から何も変わっていなかった。レミリアが、紅い霧を出した時から何も変わっていなかった。
咲夜も何も変わってなどいなかった。
「じゃあここでお別れね」
「ああ、こんな時にあっさり妖怪何かにやられちまうんじぁないぞ」
「あんただってもうマスタースパーク撃てないんでしょ? それこそピンチじゃない」
お互いにまだ飛ぶことは出来ても、もうとうの昔に妖怪退治など引退し、隠居生活を送っているのだ。
飛べなくなる日も近いだろう。人間は、こうも脆くて短い生き物なのだ。
二人とも、平静を装っているがとても辛いのだ。同じ人間の仲間が、これまで一緒にばか騒ぎしてきた仲間がいなくなってしまうのだから。
それは心の一部が欠けたようなものだった。その暗闇に埋まる、代わりのピースなどどこにもないのだ。
人間は、本当に弱いのである。
「咲夜さんともお別れですね」
「そうね、まあ寂しくなるのは事実よね」
いつも通り、図書館で本を読み始めたパチュリー、紅茶を運ぶ小悪魔。
だけどいつもとは少しだけ何かが欠けていて、なにか違うものになっていた。
パチュリーは思い返す、咲夜がまだ現役だったころを、小悪魔だけではなく咲夜の紅茶を自分は楽しんでいた。
また戻ってきてほしいと確かに思っていた。
魔法使いのそっけない仮面の内側にまで、咲夜と言う存在は大きいものとなっていた。
咲夜がどれだけ紅魔館と言うん場所に、いろいろな物を残したであろうか? それは彼女にも、誰にもわからない。ただ確かなのは、こうして咲夜との別れを悲しんでいる自分がいるということ。
人より寿命が長い時点で、別れは覚悟していたはずなのに。それでも、悲しいものは悲しくて、辛いものは辛いのだ。
「ねえ、小悪魔、咲夜もなんだかんだいって罪よね」
「いきなりなんですか、パチュリー様」
パチュリーは、重い物を飲み込んだような顔をして言った。
「だってね、死ぬ時にこうして皆を泣かせたのよ、レミィも、美鈴も、それに私も」
パチュリーは、何かの枷が無くなったかのように涙を流した。彼女の死は、魔女の心にも大きなものだったのだ、彼女の存在は、こうして魔女の心を揺さぶるものだったのだ。
「ほら、あなたにもよ」
パチュリーは、小悪魔の目に優しく手を当てた。
パチュリーは、自分の使い魔が目にためていた、ほんのあと少しでこぼれて落ちてきそうな涙を見逃さなかった。
「咲夜、ごめんなさい。本当にごめんなさい」
「何を謝っているのですか? お嬢様」
レミリアは、ただ泣き続けた、それが救いになるなんてことは無いとわかっていても泣き続けた。
「私はあなたに完全であることを求めすぎたわ、それが、こうしてあなたを奪ってしまった」
「……お嬢様、お嬢様は私をメイド長にしたとき、なんて言いましたか?」
レミリアは、突然言われた質問に戸惑った。けれどもそんな大事なことを忘れているわけがなかった。
「私は…… あなたはいつまでも私に忠誠を誓いなさい、常に完全でその全身を持って私に尽くしなさい。 そういったわ」
「そこで私はこう言いました。 ええ、私の全身全霊をあなたに注ぎこみ、未来永劫命までもあなたに尽くすと誓います。 そう言いました」
レミリアは、その言葉の意味を理解した瞬間に。咲夜にどれだけ愛されていたかわかった瞬間に。なにも考えられなくなるような、そしてとても冷静になった。
「それじぁあ咲夜は、最初から私のためにこうして、命を捧げて、寿命を迎えると、ただでさえ短い寿命を捧げると。そう言ったみたいじゃない……」
「いいえ、言ったみたいじゃありません、言ったんですよ。お嬢様にはむしろ、自分の命を果たさせてくれて感謝しています。なにも謝る必要なんかありません」
この馬鹿咲夜……けれどもその思いは決して口に出ることはなかった。
レミリアには、言いたいことはたくさんあった。咲夜に言わなければならないこともたくさんあった。けども、たくさんありすぎてどれを話せばいいのかわからなかった。
そして最後は、自分の正直な、そして一番強い気持ちを伝えることにした。
「咲夜、今までありがとう。退屈なんかしなかった、あなたがいてくれるだけで私は良かったのよ」
そして、主としての最後の命令を出した。
「咲夜、これは最後の命令よ。幸せになりなさい」
最後の言葉を、従者は力を振り絞って……
「何を言ってるんですか、そんなの無理ですよ。だって――――
――咲夜、咲夜、さくやぁ。どうして最後まで言ってくれないの。ねえ…………………………
決して望んだわけではない、けれども絶対にやってくるこの時を見届けなければならない。
いや、彼女の最後は自分たちが見送ってやりたい。そう思ってここに皆は集まったのだ。
「お嬢様……」
「咲夜、どうして……どうしてこんなに早くいなくなっちゃうの? どうして……」
レミリアは、もう既に涙が頬を伝っていた。けれども最後の主の威厳を保とうと、必死に歯を食いしばっていた。けれども本人が一番わかっている、咲夜がいなくなったとき、自分は決して泣かずにはいられない、それほどまでに咲夜と言う存在は、自分たちにとって大きな存在だったと。
それも、咲夜のしわがれた声の前には無駄な抵抗だった。
吸血鬼と魔法使いと悪魔と妖怪と……人間とこれらの存在には絶対的な壁があった。
それらは、寿命の違いと言うどうしようもない、抵抗の仕様のなく、一番大きな違いまでも生み出している。
人間は、せいぜい百年も生きれば死んでしまう。悠久の時を生きる彼女らにとってはそれはあまりにも短すぎる時間であった。
「最後は……二人にさせて頂戴」
レミリアは、咲夜の、一番大切な人がもうすぐ、もうほんの少ししか生きられないことを悟った。咲夜の寿命は、ほんの近くにもう来ているのだ。
ただでさえ短い寿命、それなのに咲夜はその時間を自分の愛しいお嬢様のために、レミリアの為に使い続けた。
止まった時間の中でも老いは容赦なく進む、それは自分の能力でありながら、彼女の体を一番、確実に蝕んでいった。
霊夢も魔理沙も、確かに老いてはいるがまだ空も飛べる。きちんと自分の足で歩ける。
けれども咲夜は、もう顔にはしわが目立ち、以前の瀟洒な姿の彼女の面影などどこにもない、ただ死期を待つだけのような顔つきをしている。
「(自分のせいだ――)」
レミリアは自分を責め続けた、今日と言う今日まで攻め続けた。
咲夜は自分に尽くし続けた、自分の命を削ってまで尽くし続けた。その結果はなんだ、こんな惨めな、けれどもどこか立派な。
けれども な姿になってしまった。
それもすべて自分のせいだ、自分が完全でいることなど求めずに、ただ自分とともに歩むことを教えていたら、そうするように言っていたら、もう少しだけ咲夜と長い間いられたのではないか。思うのはそんなことばかり。
レミリアは、人生で一番の後悔と、人生で一番の悲しみの中にいた。
美鈴は、咲夜の部屋から出て行った後に自分の部屋に戻っていた。
時が来れば自分はまた呼ばれる、それまでは二人の時間を作ってあげよう。
美鈴は化粧台の前に立ち、その上に置いてある一枚の写真を取った。
それは、咲夜と美鈴が二人で一緒に映っているたった一枚の写真。最初は本当に魂を取られると勘違いしていた彼女と一緒に写した写真。赤い薔薇一面に染められた花壇の前で撮った写真。
「咲夜さん……」
あの頃は、まだ咲夜も現役だった。けれども衰えが見え始めていたかもしれない。
彼女もまた自分を責める、あのときに自分が気がついていれば……
そう遅すぎる願いをぶつける者などない。
ふと美鈴は鏡を見た、鏡に映っている自分は、咲夜が来る前と今とでは一つだけ違う部分がある。それは右頬についた小さな傷跡だった。
咲夜は居眠りしている美鈴を見つけると、必ず右頬を突っついた。
咲夜のナイフ捌きの腕前は本物だ、そしてそれは彼女も無意識なうちに同じところを何度も少しずつ少しずつ傷をつけて行った。
そしていつしかそこは一生モノの傷跡となっていた。いや、もし治せたとしても今は治す気はない、だって彼女との深い深いつながりなような気がしたから。
「咲夜さん、いっつも私のこと突っついて、少しは加減してくれてもよかったじゃないですか」
美鈴は、目に熱いものがこみあげてくるのを感じた。
「咲夜さん、跡になっちゃったじゃないですか、どうしてくれるんですか?」
美鈴は、もうすぐいなくなろうとしている彼女のことを思い浮かべた、彼女は本当に久しぶりの涙を流した。
「咲夜さぁん、一生あなたのこと忘れられないじゃないですかあ。こうやって鏡を見るたびにおもいださなきゃならなくじゃないですか、どうしていつまでもわたしのいちばんのたいせつなひとなんですか……………………」
美鈴は、すべてを投げ出すかのような涙を流した。それは、とてもとても多く、とてもとても悲しく、とてもとても美しい涙であった。
霊夢と魔理沙は、紅魔館の門の前まで来ていた。
最後くらいは一番大切な人たちと過ごさせてあげようという配慮だ、自分たちもその大切な人たちに入っているということも知らないで……
「次はどっちの番なのかしらね?」
「さあな、けどまあ私じゃないことはたしかだぜ」
二人とも、あの頃から何も変わっていなかった。レミリアが、紅い霧を出した時から何も変わっていなかった。
咲夜も何も変わってなどいなかった。
「じゃあここでお別れね」
「ああ、こんな時にあっさり妖怪何かにやられちまうんじぁないぞ」
「あんただってもうマスタースパーク撃てないんでしょ? それこそピンチじゃない」
お互いにまだ飛ぶことは出来ても、もうとうの昔に妖怪退治など引退し、隠居生活を送っているのだ。
飛べなくなる日も近いだろう。人間は、こうも脆くて短い生き物なのだ。
二人とも、平静を装っているがとても辛いのだ。同じ人間の仲間が、これまで一緒にばか騒ぎしてきた仲間がいなくなってしまうのだから。
それは心の一部が欠けたようなものだった。その暗闇に埋まる、代わりのピースなどどこにもないのだ。
人間は、本当に弱いのである。
「咲夜さんともお別れですね」
「そうね、まあ寂しくなるのは事実よね」
いつも通り、図書館で本を読み始めたパチュリー、紅茶を運ぶ小悪魔。
だけどいつもとは少しだけ何かが欠けていて、なにか違うものになっていた。
パチュリーは思い返す、咲夜がまだ現役だったころを、小悪魔だけではなく咲夜の紅茶を自分は楽しんでいた。
また戻ってきてほしいと確かに思っていた。
魔法使いのそっけない仮面の内側にまで、咲夜と言う存在は大きいものとなっていた。
咲夜がどれだけ紅魔館と言うん場所に、いろいろな物を残したであろうか? それは彼女にも、誰にもわからない。ただ確かなのは、こうして咲夜との別れを悲しんでいる自分がいるということ。
人より寿命が長い時点で、別れは覚悟していたはずなのに。それでも、悲しいものは悲しくて、辛いものは辛いのだ。
「ねえ、小悪魔、咲夜もなんだかんだいって罪よね」
「いきなりなんですか、パチュリー様」
パチュリーは、重い物を飲み込んだような顔をして言った。
「だってね、死ぬ時にこうして皆を泣かせたのよ、レミィも、美鈴も、それに私も」
パチュリーは、何かの枷が無くなったかのように涙を流した。彼女の死は、魔女の心にも大きなものだったのだ、彼女の存在は、こうして魔女の心を揺さぶるものだったのだ。
「ほら、あなたにもよ」
パチュリーは、小悪魔の目に優しく手を当てた。
パチュリーは、自分の使い魔が目にためていた、ほんのあと少しでこぼれて落ちてきそうな涙を見逃さなかった。
「咲夜、ごめんなさい。本当にごめんなさい」
「何を謝っているのですか? お嬢様」
レミリアは、ただ泣き続けた、それが救いになるなんてことは無いとわかっていても泣き続けた。
「私はあなたに完全であることを求めすぎたわ、それが、こうしてあなたを奪ってしまった」
「……お嬢様、お嬢様は私をメイド長にしたとき、なんて言いましたか?」
レミリアは、突然言われた質問に戸惑った。けれどもそんな大事なことを忘れているわけがなかった。
「私は…… あなたはいつまでも私に忠誠を誓いなさい、常に完全でその全身を持って私に尽くしなさい。 そういったわ」
「そこで私はこう言いました。 ええ、私の全身全霊をあなたに注ぎこみ、未来永劫命までもあなたに尽くすと誓います。 そう言いました」
レミリアは、その言葉の意味を理解した瞬間に。咲夜にどれだけ愛されていたかわかった瞬間に。なにも考えられなくなるような、そしてとても冷静になった。
「それじぁあ咲夜は、最初から私のためにこうして、命を捧げて、寿命を迎えると、ただでさえ短い寿命を捧げると。そう言ったみたいじゃない……」
「いいえ、言ったみたいじゃありません、言ったんですよ。お嬢様にはむしろ、自分の命を果たさせてくれて感謝しています。なにも謝る必要なんかありません」
この馬鹿咲夜……けれどもその思いは決して口に出ることはなかった。
レミリアには、言いたいことはたくさんあった。咲夜に言わなければならないこともたくさんあった。けども、たくさんありすぎてどれを話せばいいのかわからなかった。
そして最後は、自分の正直な、そして一番強い気持ちを伝えることにした。
「咲夜、今までありがとう。退屈なんかしなかった、あなたがいてくれるだけで私は良かったのよ」
そして、主としての最後の命令を出した。
「咲夜、これは最後の命令よ。幸せになりなさい」
最後の言葉を、従者は力を振り絞って……
「何を言ってるんですか、そんなの無理ですよ。だって――――
――咲夜、咲夜、さくやぁ。どうして最後まで言ってくれないの。ねえ…………………………