Coolier - 新生・東方創想話

東方上昇型少女

2011/11/11 17:19:05
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がしっ、運命の歯車がしっかりと噛み合う、そんな音を霧雨魔理沙は聞いた。
それからというもの、魔理沙は幻想郷の中心の中心で百戦錬磨の勢いで駆け上がる上昇型少女として生きている。




そのサクセスストーリーのきっかけは何であったか。
それは意外にも、自宅で発生した軽いボヤ騒ぎであった。
ふだん快活な印象がある魔理沙だが、実のところは誰よりも努力家でありコツコツとした労を惜しまない。
その日もランプを灯して夜遅くまで熱心に魔法の勉強などしていたが、ふいに猛烈な眠気に襲われた。
「疲れてるのかな」
もちろん思い当たるフシもあり、弾幕の後に博麗神社で呑み、それがずいぶんと長引いてしまったせいもあるのだろう。
それでも、家に戻ってからも勉強を続けてしまったがゆえに、気力体力ともに消耗していたのだ。
火の用心。遠くで河童が打ち木を鳴らしていたのを聞いたような気もするが、魔理沙にはそれが届かなかった。
ランプの火はずいぶんと小さくなっていたが、魔理沙はそれを消したものだと誤解してしまいそのまま就寝した。
その油断がちょっとしたボヤを生むこととなる。

これは魔理沙自身も覚えが無いのだが、おそらく寝返りを打った際に毛布の端でもランプに当たってしまったのか、
深夜、気付いたときには火の手は鎮火不能と思えるまでに広がっており、悪いことに本や紙切れのたぐい、ホコリ等々が炎の餌となり、
あわや部屋で盛大に炎上する寸前にまで燃え広がっていた。
命の危険を感じた魔理沙は驚いて飛び起きたが、こうした緊急時に身体は上手く対応し、すばやく消火器を持ちだした。

「くらえマスタースパーク!」そう叫び消火作業に入ったのだが、この掛け声には不思議な効果があるのか、
火は次第に収まり、黒い煙と白い消火剤がもくもくと室内を覆ったものの一応の鎮火に成功した。

「備えあれば憂いなしってやつか。因幡印の消火器、いや、買っておいてよかったぜ」

とは言ってみたものの、あわや全焼という事態もありうる状況であっただけに嫌な汗がどっと出てきた。
お宝はともかくとして、もしも魔道書や研究成果などなどが文字通り灰燼に帰したらどうなっていただろうか。

「そうなっていたら打つ手無し、諦めて大人しく自分の脚で樹海にでも行こうか」

からからと乾いた笑いを発そうとも、その最悪のケースを考えれば笑ってもいられない。
月明かりがぼんやりと室内を照らすばかりであるが、さすがにこの夜は再びランプを灯す胆力があるわけもなく、
また深夜ともありベッドに入り魔理沙は明日の英気を養ったのであった。




その翌日である。
差し込んできた朝陽に照らされボヤの被害、その全容がはっきりと見えた。
机は表面がすっかり黒く炭化し、天井まで焼け焦げ周囲にはちらちらと灰が散らばっていたのだ。予想外の惨状であった。
やあ、これはおっかないぜと、身震いをした魔理沙はアリス・マーガトロイドとの約束をすっぽかし、
この日は紅魔館、パチュリー・ノーレッジのもとへ向かうことを決めた。

「おーい、美鈴!頼むからちょっと手伝ってくれ」
「なめないでください。盗賊なら私を倒して力づくで侵入して欲しいものですね魔理沙さん」
「盗賊だと?今日の私の格好を見てみろ、どちらかといえば心優しいサンタクロースだろうが」

サンタクロースであった。
家から一切合財の本やら書類を袋に詰め込んだはいいものの、あまりの重さに箒はおぼつかず、
低空飛行のままよろよろと飛び続け、ぜいぜいと息を切らして運んできたのだ。

「今日はパチュリーに本を返そうと思ってな」
「おやおや、改心したのですか」
「改心?いや違うね、私の根っこはあくまで盗賊だぜ」

「するとどうして?」と問うと「防災対策」とだけ魔理沙は答えたが、紅美鈴はなんのこっちゃという顔をした。
魔理沙は「まっすぐ突っ走って物を盗む」という矛盾した信念を掲げていたが、その潔さゆえか、
美鈴は泥棒である魔理沙を卑屈な者とはこれっぽっちも思っておらず、その信頼ゆえに門は開かれた。

「サンキュ、美鈴」
「できるだけ荒事を起こさないで下さいよぉ。咲夜さんにまた叱られてしまいますので」
「それは安心してくれ。今日はどちらかというと勉強会に近い」

その言葉を受けて美鈴は「頑張り屋さんですね」と微笑んだが、
魔理沙にはそれがくすぐったくもあり、少し誇らしくも思えた。




「パチュリー、本を返しに来たぜ」
「・・・魔理沙死ぬの?」

幻想郷最大の蔵書を抱える巨大図書館、その主であり大魔道師であるパチュリーはいぶかしげな目で魔理沙を見た。

「どうして私が死ぬんだ」
「死ぬまで返さないって言ったじゃない。あなた死期でも悟ったの?」
「ああ、違うんだ。私はお前に本を返すといったが厳密にはちょっと違う。私が盗んだ本は私のものだがお前の手元に置いておこうと思ってな」

ややこしい言い回しに混乱したパチュリーはむきゅーと鳴き、「あなたって案外話が下手よね」と言い放つ。
これには魔理沙も思わずムッと腹を立ててプロレス技のひとつでもお見舞いしてやろうと考えたが、
この日はパチュリーに頼みごとがあるため、穏便に済まそうと思い直した。
そして事情を一から説明し、火災であやうく貴重な書物を燃やしてしまいそうになったこと、
それゆえに安全性が確保されているこの図書館に保管してほしい旨をきちんと話したのだった。

「なるほどね、そういう事情なら構わないわ。事実上こうして本を返してくれているわけだから私は何も言わない。
 それに本を燃やされたらあなたを永遠に出入り禁止にしなきゃいけないしね、でも、」
「でも、なんだよ」
「魔理沙のも混ざってるわ。あなた家でどうやって研究するつもり?」
「私の本だって燃えたら困る。だからここで保管させてもらって、研究する必要があったらこっちに足を運ぶぜ。」

図々しさも、一つばかりでなく二つも三つも並べると聞いているほうは面白がるようになる。
これは魔理沙も無自覚の交渉術であるのだが、魔理沙の人間性が相手にそれを許容させてしまうのだ。

「参ったわ。いいわよ、あなたの好きなようにしなさい」
「それともう一つ頼みがあるんだが」
「まだあるの?」
「ああ、私も独学での研究に限界を感じてきてな、できればパチュリーの手助けを借りたいんだ」

まこと殊勝な心掛けである。
本来の魔理沙にはこうした向上心があるのだが、歯車が狂うと樹海へ行く危険性もある。
ともあれ、熱心であることはパチュリーにも伝わったのだがどうしてだろう、良い顔はしていない。

「人間の身には、私の魔法は高度すぎるわよ」
「頼もしいぜ。できればそうした高度なものも学んでいきたいんだよ」

きらきらと輝く瞳に宿るものは好奇心。
決して野心のたぐいではないと察したパチュリーは、ようやく「別にいいけど」と不機嫌な許可を出したが、
この裏には、パチュリー自身も仲間がおらずに長年一人きりの研究に倦んでいたという事情もある。
ともあれ渡りに船とばかりに話が進んで行き、魔理沙はうきうきとしながらこの日は帰宅した。
約束をすっぽかされたアリスはこのとき藁人形を編んでいたが、その手の呪術には心得が無かったのが幸いだろう。
そして数日、数週間が過ぎた。



「なあパチュリー。この本にこびりつくミミズの群れをどうにかしてほしいぜ」
「古代ヘブライ語ね。分かったわ」

パンパンと手を叩くと、薄暗い図書館の向こうから召使である小悪魔がぴゅーと音を立てて飛んできた。

「これを翻訳してきて」
「わかりました」

そう言うと同じ勢いでぴゅーと音を立てて書物棚の向こう側に消えて行った。

「あいつ、あれが読めるのか?」
「もちろんよ。そればかりじゃなくて古今東西の言語をネイティブレベルで習得してるの。
 その中には古語や人工言語、今は話者のいない絶滅言語も含まれているから数百はくだらないわね」

すごいやつじゃないか。魔理沙は思わず嘆声を上げた。
あれからというものの、自宅から紅魔館を往復する毎日が続いている。
図書館は研究するには環境が良く、なんだかんだと言いつつパチュリーは実に頼りになった。
また紅茶が実に美味い。それゆえにあの小悪魔を雇っているのだとばかり思っていたが、その隠された特技を魔理沙は初めて知った。
だが、同時にふとした疑問も生まれたのだった。

「なあ、そんなすごいやつがどうして召使に甘んじてるんだ?もっと有効な形でその実力を発揮できるかもしれないじゃないか。
 そりゃパチュリーにとっては有難い話かもしれないけど、何かもったいないぜ。」
「あら、私は充分に重宝してるわよ」

お前がじゃなくてあの召使がだよと言いたくなったが、何か奇妙なズレに出会った気がして話をやめた。
ともあれ、魔理沙の研究はとても捗り、次から次へと新しい概念を吸収したのだった。
「どうしてもっと早くこうしなかったんだろうな」と呟いたが、それは正解であり、事実として昔日よりもはるかにレベルは上がっている。
とはいえ器用なタイプでなければ決して天才肌とも言えない魔理沙である。
それでも何度も何度も反復を繰り返すうちに自分のものとしていき、これは努力家ならではの強さなのだ。
こうして熱中の時間が続き、さらに数週間が過ぎたのであった。




「こうやって見るとすごいなぁ。この世に存在する様々な魔法は発祥こそ違うが、ある枠組みで考えると一つの原理が見出せるんだ。
 もちろん視点を変えればまた多元的な答えが出るけど、『だれが考えてもそうとしかいえない』そんな領域に一歩近付いた気がするぜ」
「へぇ、いくらか分かってきたじゃない」

パチュリーが感心するのも無理はない。
魔理沙はパチュリーから指導を受け自分の専門外の領域を幅広く学ぶことで、魔法に対しての深い理解へ至ったのだ。
学習高原といったところだろうか。ここまで到達すると研究することそのものがただただ楽しくなる。
とはいえ、パチュリーの域にはまだまだ達していないが、それでも「人間の身でよくここまで」と驚くには充分であった。

「でも魔理沙、あなたが見出した真理らしきものは、現代魔法学ではすでに反駁されているのよ」
「おいおいなんだそりゃ。もっと知りたくなってきたぜパチュリー、なあ、教えてくれよ」

魔理沙の瞳には相変わらず純粋なものが宿っているが、それは貪欲さと紙一重であった。
これがパチュリーに言いようの無い不安を芽生えさせ、同時に僅かばかりの恐怖心を抱かせることとなった。
もともと魔理沙は幻想郷でも滅多にいない貪欲な生き物である。
他人から奪ってでも物を手に入れたくなる、そんな考え方をしている者は魔理沙の他にいない。
だが、そのまさに欲望の部分こそがエネルギーとなり、人間を動かし、上昇型少女は生まれる。

「別にいいけど、深入りはしないでね」

その言葉に違和感を覚えた魔理沙は、自身の本質を自覚しているのだろうか?
パチュリーがしぶしぶ許可を出したのは、教えを乞う者に教えないということを残酷だと思ったからであったが、
次第に学習のペースを落とそうとしていた。それでも吸収してしまうものは吸収してしまうのであった。
こうしてまた数週間が過ぎたころ、魔理沙はこの時点の自分を軽く見下すレベルに至っていた。



「へへっ、今日も私の勝ちだな。さっ、ここを通してもらうぜ」
「強過ぎますってば魔理沙さん」

紅魔館へ訪れるとき、門番の美鈴が戯れで弾幕遊びを仕掛けてくることがあった。
はじめのうちは実力伯仲となることもあったが、今ではどうだろうか、魔理沙はすでに美鈴の相手ではない。
パチュリーの言うところの高度な魔法を理解した現在、マスタースパークの輝きは圧倒的なものがある。
すでに各勢力の長と同等、いや、凌駕するのではないかという勢いにまで上達してしまったのだ。

「やっぱりこれでよかったんだ」そう思ったとき、がしっ、運命の歯車がしっかりと噛み合う音を霧雨魔理沙は聞いた。
アリスや霊夢と遊んでいるばかりでは手に入らない上昇の充実感、それが喜ばしくて楽しくて、有頂天になっていたのだ。
ところがどうだろうか、物事が良い方向にばかり転じるかといったらそうではなかった。

「よう咲夜、今日も窓拭き御苦労様だな」
「あなたのために拭いてないわ」
「分かってるよ、お嬢様のためだろう?御疲れ様だぜ」

この言葉にカチンときたのは、人間の身でありながら吸血鬼レミリア・スカーレットの従者として働いている十六夜咲夜である。
以前ならば難無く通り過ごすさりげない言葉であったが、虫の居所が悪かったのだろうか、
それとも今の魔理沙から発せられた言葉だったからだろうか、窓を拭く手を止めて魔理沙と向かい合った。

「御苦労様?御疲れ様?あなたは何を言ってるの?」
「おいおい、なんだよ急につっかかってきて、ただの挨拶なのに顔が怖いぜ咲夜」
「そうね、きっとあなたに対して以前ほどの魅力を感じないせいかしら」
「なんだよそりゃ!」

魅力を感じない、その台詞は蔑みの言葉としては最上級に近い。
どうしてそんな罵倒を受けなきゃいけないのか、魔理沙には理解できず、そんな理不尽に対しての怒りが腹から込み上げてきた。
その怒りを承知の上で咲夜は挑発的な言葉を続ける。

「あなたは一体、何になりたいの?」
「何って、もっと上級の魔法を理解できるようになりたいし、弾幕だって今以上に強くなりたいぜ」
「ふぅん、あなた今までの自分に不満を感じていたのね」
「そういう言い方ってあるかよ。現状からの上昇を求めることの何が悪いんだ?」
「上昇も下降もいらない。幻想郷ってそういう場所よ」
「お前の考え方、私には理解できないな」
「妖精は妖精のままでいい、妖怪は妖怪のままでいい、誰もそれ以上の生き方を誰も望んでいないじゃない。
 逆に言えば、そういう生き方を許容しているのが幻想郷なのよ。あなただってそれくら分かるでしょう?」
「それはあくまで幻想郷の一面に過ぎないだろう?それに奴ら妖怪やら妖精やらっていうのは、
 生まれてきた時点ですでに自分の在り方が決定されているからな。だけど私たち人間は自分で作らなきゃならないんだ」
「でも過剰なものを求める必要はないわ」
「過剰なものを求めて何が悪いんだ?」

それが二人の対立線だった。
咲夜は時間を操作するという特別な能力を持っていながらも、従者という位置にいる。
もちろん自身がレミリアに及ばないことは承知の上での選択なのだが、それに不満は無く満足すらしているのだ。
なのでそれを他人に「ご苦労」だの「お疲れ」だのと言われる筋合いなど無く、咲夜の大人げない反応は、それゆえの反発であった。
とはいえ、そんな咲夜の存在を魔理沙には理解できない。
今まで努力を重ねてきた理由はどちらかといえば好奇心に近いものがあったが、上昇志向がまったく無かったと言えるだろうか。
少なくとも現在の魔理沙ははっきりとした上昇型少女であり、多くのものを身につけようとする意思があった。

「そもそも過剰かどうかはお前の匙加減でしかないぜ。私は私にとってふさわしいものを手に入れる。そのための努力だぜ。」
「あら、魔理沙あなたは何様になろうとしているのかしら」
「少なくとも一生ご主人様の窓を拭いている人間にはなりたくないぜ」
「なるほどね」

雑巾が赤じゅうたんの上にぱさりと落ちた。
咲夜の姿が消えるのと、魔理沙の眼前に無数のナイフ形弾幕が突き付けられたのはまったくの同時であり、これは時間操作でも使ったのだろう。
だが咲夜が不意打ちに近い格好を選んだのは何故だろうか。
それは力量がはるかに増した今の魔理沙を、脅威と捉えたからと見るのが妥当であり、
咲夜自身でも無意識のこの怖れが突然の強襲という結果として表れた。
しかし、それでも咲夜が魔理沙の成長スピードを正確に把握できていたとは言えない。
事実、魔理沙はそれらを難なくかわし、それどころか反撃をする余裕を持って幻想郷でも高い実力を持つ咲夜をすばやく撃破したのだった。



「ったく、気分が悪いぜパチュリー。成長を望む人間のいったい何が悪いっていうんだろうな。
 咲夜のやつは時間を止めるばかりでなく自分の進歩すら止めてしまったのかな、向上心を理解できないとは不幸なやつだぜ」

自分がイライラしていることを魔理沙自身よく理解していた。
おそらくは付き合いの長い咲夜との仲違いが原因であろうが、はたしてそれだけだろうか。
傲慢、増長、知らず知らずのうちに身に付けた態度が、魔理沙の言葉を手厳しくさせ、黙っていたパチュリーもこれには口を挿まざるを得なかった。

「あなたね、そういうことばかり言ってると嫌われるわよ」
「そうか?ふさわしい実力にふさわしいことを言ってるだけだぜ。尊大だとは思ってない」
「実力のある者ほど謙虚に振舞うのよ、他人を見てれば分かるでしょう?」
「あーあー、分かったよ。この世で謙虚謙虚こそが美徳とされていることくらい私も知っている。
 だが、実力ある人間に謙虚さを強いる者こそ傲慢以外の何物でもないと私は思うがな。
 やつらは言うんだ、『謙虚になって首を垂れろ』ってな。てめぇら自分を鏡で見てみろよと言い返したくなっちゃうぜ。
 まったく、どうして強くなればなるほど身を縮め込ませて窮屈な思いをしなきゃならないんだろうな?とんだパラドックスだ。」

ふんっと鼻を鳴らして憮然の態度をアピールしたが、とはいえ魔理沙、根っから常識を欠いているわけではなく、
自分がどれだけ傲慢なことを言っているかは充分に理解しているし、改めるべき態度であることも知っていた。
それでも口から次々に悪口が出てくるのは、もっと大きなものへ対しての不満だろう。

「気が済んだかしら?」
「ふぅ、言うだけ言ってスッキリしたぜ。ごめんなパチュリー、気分悪い話しちゃって」
「私は知性と配慮を欠いた言葉は全て蚊の雑音と等しいと思っているから、気にしないで」
「ああ耳が痛いぜ。まぁ、なんだかんだ言っても私はみんなと仲良くやりたいからな、調子に乗った態度は控えるぜ」

その態度がすでに調子にのってるんじゃないの、とパチュリーは突っ込みを入れたくなったが、
魔理沙の口ぶりからその願いはほんとうだと信じたし、魔理沙自身みんなと仲良くという意思は確かにあった。
ところが、それでも上昇型少女魔理沙の周りからは徐々に人が減っていったのだ。



咲夜との一件以来、余計なことを言えばカドが立つと思い知った魔理沙は言葉を慎んだ。
たとえ見下せるような相手であってもそれなりの敬意をもって接したので、あれ以来舌禍に見舞われることはなかった。
ところがどうだろうか。
有り余るパワーを手にした魔理沙が、守矢神社へ実力を試しに行ったときのことである。
幻想郷でもトップに近い神奈子と諏訪子をあっさりと撃破。これには魔理沙もやったぜと喜び、二柱も「よくまぁ成長したもんだ」と褒め称えた。
しかし二度三度、さらには二柱を同時に相手にしても魔理沙はギリギリではありながらが撃破せしめたのであった。
どこにそんな力が眠っていたのか、これは才能などでは決してなく、努力の成果と言う他ないのに加えて幻想郷のとある事情が関係している。

「いやあ、参ったよ魔理沙がここまで強くなるとはね」
「だろう?ああここまで至るにどれだけ魔法を研究したか。ははは、人間だからってナメてもらっちゃ困るぜ」

魔理沙は得意気にそう語ったが、それが引き金となった。
その言葉を受けてしばし神奈子と諏訪子が沈黙し、神社に風の音だけが響いた。
なにやら不穏なものの気配を察した魔理沙は不安にかられ、動揺しながらも言葉を発した。

「おいおい、どうしたってんだよ」
「やめだ」
「はあ?」
「お前と弾幕遊びをするのはもうやめだ。そこらの河童どもと遊んできな」

そう言うと苦笑いに近いものを湛えて二柱は虚空へ消えた。
釈然としない思いだけが残され、過剰な力を手にしてしまった魔理沙はしばし困惑した。
続いて永遠亭などにも寄ってみたものの、やはり良い顔はされず、蓬莱山輝夜などは魔理沙と八意永琳が弾幕をしている姿を見ただけで
「私は遠慮しとくわ」と言いあっさり引き下がってしまったのだ。これには魔理沙も拍子抜けし、星蓮船などにも立ち寄ってみたが反応は同じであった。
冷たく拒絶をされてしまったのだ。



意味も分からず対戦を拒否され続ける。
それがどうしてなのか魔理沙には理解ができなかった。

「なぁパチュリーおかしいじゃないか。私だってなにも最強というわけじゃない。
 あいつらが本気を出せばすぐに勝てなくなることだってあるんだぜ?なのにどうしてこうなるんだ?」
「さぁ、きっと本気を見せたくないんじゃない」
「どういうことだ?」
「あなたが人間でふつうの魔法使いだからよ。たしかあなたそう自称してたわよね?」
「なんだそりゃ!」
「たかが人間如きにそこまで熱くなれるかってことよ。それに、もしも本気を出した上で負けたらいよいよ立場が無いわ。
 手を抜いてたのよみんな。たかが弾幕なんだから戯れのひとつだと思ってそこそこに終わらせていた。
 ところがあなたはほんとうの本気で魔法を研究し弾幕遊びにそれをぶつけた。だからおかしくなった。
 戯れという枠組みの中で弾幕というゲームが成立してたんだから、幻想郷の振る舞いとして間違っているのはあなたじゃない?」
「そんなバカなことってあるかよ。弾幕は幻想郷においてどれだけの意味を持つか、お前だったら分かるだろう?
 それを『付き合ってられません、やめます』なんて、そんな話が通るものか。外の世界で言う資本と同じくらい重いものなのに」
「その解釈の通りだとしたら、なおさらあなた如き人間に負けたくないでしょうね」
「ふざけるんじゃあない!なんだよ人間人間って、努力して手に入れたものだろうが、どうして種族がどうだのって話になるんだ。
 むしろ生まれながらのそれを否定するために努力って奴があるんじゃないのか!?」

魔理沙の怒りは正当なものであったが、幻想郷とは果たしてそれが通用する世界だろうか。
もっとも種族こそ大したことが無くとも幅を利かせている者はいるのだが、それと魔理沙を比べることは出来ない。
あくまで魔理沙は「ふつうの魔法使い」の「人間」であり、それ以上でもそれ以下でもないのだ。

「咲夜から聞いたわ。あなたは今、明らかに過剰なものを手に入れようとしている。
 そして弾幕は、あなたの過剰な欲望を満たすためにあるわけじゃない。線引きはしっかりしなさい」
「過剰ってなんだよ、やっぱり匙加減じゃないか。私は私の欲しいものを手に入れるだけだし、
 地位や名誉ってやつがそれに付随してくっついてくるなら私は受け入れる。だが、それすらダメってことはないだろが」

語気を強める魔理沙に対して、パチュリーはピントがずれてるわとばかりにあくまで静かな言葉を返し続ける。
だが、紅茶を持ってきた使い魔の小悪魔にとってはそれが喧嘩としか映らず、身じろぎをした。

「あいつが使い魔をやってるのは取るに足らない種族だからか」
「さぁね、そこまで言うつもりはないわ」
「否定もしないんだな」

呆れたわとばかりに溜息をつくパチュリーを、魔理沙は憎悪の眼をもって睨みつける。
そしてパチュリーはただ一言、「もう人間に教えることは無いわ」とだけ放ち、魔理沙もそれっきり紅魔館へ立ち寄ることはなかったのだった。



その後の魔理沙といえば反発心からか、いよいよ敵意を剥き出しに弾幕を仕掛けるようになった。
自らの努力を否定したこの幻想郷に対し自分の力を誇示するかのように振舞い続け、
その世界の価値基準である弾幕、それを暴力的に浴びせ続けては周囲からの反感を買った。
そして嫌われ者の集まりである地霊殿からも対戦の拒否をされ、とぼとぼと帰り道を飛んでいたときのことであった。

「あやや、魔理沙さん。奇遇ですねこんなところで」
「奇遇?待ち伏せてたんだろう?奇遇だなんて新聞屋が言って良い台詞じゃないな」
「バレましたか。いや、大層お強くなった魔理沙さんに突撃取材といったところでして」

射命丸文は図星とばかりにからからと笑っているが、なぜだろう、魔理沙は文の登場に違和感を覚える。
私の帰りを見計らっていたのは本当に取材のためだろうか。小さな取材メモにペンを走らせる文を見てもそんな疑問が拭えなかった。

「スクープなんて無いぜ。結局今日も誰からも相手にされず仕舞いだしな」
「それはお気の毒です。でも魔理沙さん、あなたがあまりに強くなればいずれバランスが崩れると思いませんか?」
「バランスって、なんのバランスだ」
「幻想郷のバランスですよ」
「そんなものにまでいちいち気を使えっていうのかよ」

そんなにややこしいとは思っても無かったぜと強がってみたが、事実として今の魔理沙はそれを肌で感じている。
過剰な上昇をしてしまったとはこれっぽっちも思っていなかったものの、幻想郷の住民にとって弾幕など所詮はお遊びであり、
お遊びが成立しなくなったとたんに手を引き始めていると魔理沙は実感していた。

「あやや、じゃあ魔理沙さん。あなたがバランスを逸脱した行動を取ったなら、周囲の妖怪達がどうなるかおわかりですか?」
「ふん、そんなもん知ったこっちゃないぜ」
「ならば教えて差し上げましょう」

文の眼の色が変わった。
不気味なほどに美しい、そんな気がした。
文が翼を広げると空気が膨張するような感覚を魔理沙は覚えたが、いや、ひょっとしたら風と同化したのかもしれない。
そう思えるほど一連の行動は素早かったし、唇が触れそうなほどまっすぐ向かってきたにもかかわらず、
まるで通り抜けるように背後に回り込まれてしまったのである。

「ほんの少し力を込めましょうか、首が千切れて落ちますが。
 それとも牙を突き立ててみせましょうか、なあに跡形も無く喰らってあげますよ」

吐息は頬に生温かく、拘束された両腕は優しいものではなくギリギリと音すら立てそうなほどである。
耳元での暗い呟きばかりが魔理沙の心臓を凍えさせ、蝋人形のように硬直しながらじわりと溶け出た汗が止まらなかった。

「あなたが実感しているとおり妖怪は途方も無く強いのです。我々が弾幕などという方法に問題解決を委ねているのは、
 妖怪が互いに潰し合わないため、そして非力な人間と仲良くやっていくためでもあるのです。それを逸脱されたらどうなるでしょう。
 人間以上のものを手にした者を人間扱いできるでしょうか。私はあなたを見て弾幕以上のことをしたいという気がムラムラ起きましたよ」

悪い夢でも見ているのだろうか。
そんな陳腐な言い回しを実感を持って理解できた気がした。首元にさらさらと文の髪がくすぐったかったが、もしも振り向いたとして、
文はいつもの陽気で間抜けな顔をしているだろうか。ひょっとしたら妖怪の本性を剥きだしにしたおそろしい貌をしているのではないか。
それでも魔理沙が首をひねり、すぐ隣にある文の顔を見たくなったのはすべてが冗談であってほしいと願ったからである。
そして文と数センチの距離で眼が合った。

「なーんちゃって、あやや、本気にしちゃいましたか?」
「し、したよ、バカっ」
「いやですねぇ、そんな野蛮なことをする妖怪は私たちの中にはいませんよ。私たちはもっと理性的だし風雅な存在です。
 あやや、どうやらおどかし過ぎちゃいましたかね?なーんてことはありませんよ、ただ魔理沙さんに弾幕でこてんぱんにされちゃって、
 ちょっとだけみんな不機嫌になってるだけですよ。子供同士でもよくあることです。魔理沙さんがオトナならもう少し手心加えて下さいよね」

そう言うなり文は魔理沙の頭を抱え込み唇に吸いついた。
鼻息をまったく気にせず顔をごりごりと擦りつけるかのような接吻に、魔理沙は唖然としたまま身動きが取れなかった。
先程までの文の言葉に少しばかり安心と理解を示していたのだが、その理解不能の行動がすべてを台無しにし混乱した。
それはもはや戯れとは呼べず、理性的でもなければ風雅でもないキスであったが、その意図を見失ったまま魔理沙は身を委ねた。
そして唇が解かれると二人の熱っぽい吐息が混ざり、糸を引いたがそれがぷつんと切れたときには文はすでに遠くの空へ消えていたのだった。



いったいあれは脅迫だったのだろうか。
いや忠告のたぐいかもしれなかったし、ただの児戯かもしれない。
魔理沙は家で一人、腕に残された赤黒い痣を見て思う。
ついこの前まで妖怪と戯れていたのだが突然のように彼女ら妖怪の思考を見失ってしまった。
彼女たちは変わってしまったのだろうか?いや、変わったとするなら自分自身がだろう。

これまで何気ない気持ちで物を欲しがったし、奪ってきては盗賊として胸を張っていた。
パチュリーと魔法の研究をしていたときは何度となく壁に当たったこともあったが、その先にあるものが欲しくて欲しくて、
その爆発的な欲望のエネルギーをちりちりと自覚していて、それが困難を跳ねのける力になったし、継続の力になった。
でもどうだろうか。
弾幕こそが価値基準であることに変わりは無くとも、これは咲夜の言うとおりだろう、それを過剰に手に入れたせいでおかしなことになっている。

ついこの前まで妖怪と戯れていたのだが突然のように彼女ら妖怪の思考を見失ってしまった。
彼女たちは変わってしまったのだろうか?いや、心地良くいられる時間が過ぎ去っただけなのかもしれない。

魔理沙はごろりと寝がえりを打った。
焼け焦げた机はあの日のまま残されており、あれからずいぶんと色々なことが起こったように思えた。
数日、数週間、魔理沙はこうして部屋で考え込む日を続けていたが、それがいけなかったのか、恐怖ばかりが肥大していった。
妖怪たちに対する信頼は考えれば考えるほどに勝手に亀裂が増してゆき、猫のように幻想郷を駆けていた昔日の魔理沙はそこにおらず、
爪を切られた猫よろしくまるで塀の上に登ったきりガタガタと震えているようなものであった。
夜中に文の貌を思い出しては飛び起き、口の中にあの甘ったるい唾液が残っているような気がして指を突っ込んではゲロを吐いた。
あの一件以来キリキリと精神が傷めつけられ、心が自家中毒を起こして魔理沙は壊れていった。
やがて月の綺麗な晩が訪れた。
霊夢の顔がふと思い出され、魔理沙は博麗神社の夜宴に足を向けたのだった。



顔なじみの面々ばかりが揃っていたが、今の魔理沙にはただの妖怪どもの宴に映って空恐ろしく思えた。
妖精どもから酒瓶をひったくるように奪うとがぶがぶと呑み始め、酒の勢いにこれまでの鬱屈が爆発したのか、
ついに尊大なまでの卑屈さをもってぶつぶつと語り始めたのだった。

「・・・って言ってるじゃねぇかよ。だいたい何なんだお前らは。御大層な力に寝っ転がって風雅だとか戯れだとか言いやがって。
 へっ、いいよな妖怪どもはよ、人間じゃあねぇから。でも生憎私は人間でな、まだ魔法使いにもなれてねぇから泥に塗れてんだ。
 ほんと、ときどき自分でも嫌になるぜ。どうしてこんな地道な研究なんてしなきゃならねぇんだってさ。お前らならすぐに頭に入るよなぁ。
 お前らは汗水流してのたうち回ってる人間を見てどう思ってるんだ?わからねぇよなぁ、生まれながらに本質を持ってるんだお前らは。
 だって人間じゃあねぇから。くっだらねぇ、私はてめぇら妖怪のその懐でなんとか生き永らえさせて戴きましたよ。お陰さまでな。
 おっ、そこにおいでますは山の神じゃあねぇの、ええ?てめぇも弾幕をお遊びだと思っているやつの一人だよなぁ?
 どうしてお前らがそんなルールに反発するでもなく従ってるんだろうな?あっ、そっかあ、分かったぞ、東風谷さんちの早苗ちゃんのためだぁ。
 あいつも奇跡だとかデタラメなこと言ってやがるが、所詮は人間の身分だもんなぁ。妖怪どもがうっかり襲いかかってきたら喰われちまう。
 そんなもんだから弾幕遊びに乗っかって、自分とこの可愛いお嬢ちゃんを幻想郷で活躍させようって、そういう親心なんだぁ。へぇ。
 あれあれ?ひょっとしたらそんなスケベ心で成り立ってるんじゃねぇのかな弾幕ってやつは。おい、てめぇもだよ八雲紫よぉ。聞いてんのか。
 お前だって自分とこの霊夢ちゃんを守って可愛がるために弾幕とやらに興じてんじゃねぇのかよ。そうかぁ、そうかもしれないなぁ。
 そもそも仕掛け人は紫だったりしてな。幻想郷のしきたりってやつは、実は霊夢に都合の良いように作られてたりしてなぁ。
 って、その霊夢はどこ行ったんだよおい、出せよ、出せってば、ふざけんじゃねぇよまったくよぉ。
 ったく、そんなんだから幻想郷の人間はダメになってくんじゃねぇのかな。紅魔館のクソメイドを見てみろ。あれでメイドに甘んじてるんだ。
 おい、無視してんじゃねぇよ白玉楼の幽々子さんよぉ。てめぇもてめぇのところの妖夢を庭師だのなんだの雑用させてるみてぇじゃねぇか。
 ま、妖夢のやつは同情に値するけどな。なにしろ先代の受け継ぎだ。そんでもって一生植木屋のモノマネ。へぇ素敵な人生ですことよ。
 河童は河童でずーっとエンジニア。あの山はヒエラルキーがしっかりしてるからなぁ。自分の役割に忠実だと言えば聞こえはいいが、
 なんてこたぁない。どうにも覆せない序列の構造にみんな諦めてるってだけだろ。それを受け入れてると解釈するのは勝手だがね。
 おっ、椛ちゃんじゃねぇの。おい、てめぇのとこの上司に言っとけ、あやうく殺されかけたってよ。ふざけるんじゃねぇよ野蛮な鴉めが。
 だいたいなんのために弾幕があるのか知ってんの?私たち人間を守るためだろうが、ったく、どうかしてやがるぜ。
 どうせ私には一切の後ろ盾も無いただの人間だ。だからっつってばかにしやがってんだてめぇらは。何言ってるんだ私は何言ってるんだ私は」

次第に人は減り続け、気付けば誰もいなかった。
やがて魔理沙は千鳥足でふらふらと歩きまわり、自分がどこへ行くのかどこへ辿りつくのかも知らなかった。

「・・・呟々私はまっとうにやってきたじゃないか。そもそも私が欲望深い人間だってことくらい盗賊やってたころから知ってただろう?
 それなのになんなんだ呟々。ちょっと努力して強くなったくらいで手を返しやがって、呟々、嫌われるために強くなったわけじゃない呟々。
 呟々、こんなことになるくらいだったら初めからやらなきゃよかったぜ。呟々、呟々、もうちょっと褒めてくれたっていいじゃないか呟々。
 ああ霊夢、霊夢に会いたいなぁ。どこにいるんだろう霊夢。霊夢よぉ。私こんなに強くなったんだぜぇ。また弾幕やろうよ呟々。
 負けないからな霊夢。呟々、ああ、ちくしょう、戻ろう、一緒にあの頃に戻ろうぜ霊夢。呟々、呟々、呟々、霊夢よぉ、呟々、呟々、」



木々から差し込む朝日で魔理沙は目を覚ました。
酔っぱらって森をさまよい続けているうちに意識を失ったのであろう、もはや見知らぬ樹海へと迷い込んでいた。
どこまでも先の見えない深い深い地点にまで来ているのだが、魔理沙にはこの樹海に懐かしさがあった。

「うーむ、なんか見覚えがあるなぁこの景色」

もちろん以前に魔理沙がここに来たことなど一度も無いのだが、どういうわけか不思議と「また来てしまった」という感情が起こった。
そう、またである。魔理沙はどうも自分の脚で樹海に行きたがる性癖があるようだ。

「私はいったいどっちへ行けばいいんだ?うむむ、見当もつかないぜ」

東の空が朝焼けに染まり、木々の隙間からそれを眺める。
まったくあれから色々なものを得たり失ったりしたよと自嘲的な苦笑いを浮かべたが、もはや幻想郷に戻ったところで居場所など無く、
どうしてあれだけひどいこと言っちまったのだろうと後悔するも、過ぎ去った時間は魔法の力をもってしても覆せないのだ。
それにしても、上昇型少女の魔理沙も、下降型少女の魔理沙も、ともに樹海へ行きつくならばいったいどうすればいいというのだろうか。

「ああ、霊夢に会えるかなぁ。どんな顔をしてれば会えるかなぁ」

そう呟々呟々と呟き、魔理沙は薄ら暗い樹海の奥へ消えていった。
魔理沙さん↑へ行ったり↓へ行ったり。
「ああ、ひょっとしたら幻想郷にはこうした一面もあるかもね」という感じのもの。
三部作の間とあり、あまり見せ場らしいものを作れなかったけど、次の打席で頑張ってホームランを打ちます。
逸勢
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コメント



0.1120簡易評価
1.60名前が正体不明である程度の能力削除
もしかして魔理沙のこと嫌い?
2.100名前が無い程度の能力削除
次でホームラン打ってくれるんだな?
6.80名前が無い程度の能力削除
愛され魔理沙よか腐れてる方がやっぱいいわ。
救いは全く無しで叩き落として欲しいです。
魔理沙大好きな方々から苦言を呈されるでしょうが、頑張ってください。


しかし、百合的な表現があったのが気に入らなかった。
蛇足でしょう。
7.70まりまりさ削除
前回に比べたらやや勢い&説明不足かな……。
力をつけた主人公が増長し、段々人格すらも歪んできて周囲からも距離を置かれるようになる、という展開自体は最高に私好みではあるのですが、結局魔理沙は本当に強くなったのか、それとも周りが手を抜いていたから勝てただけなのか、そのあたりが、文とのやりとりを踏まえても、ちょっとよくわからなかった気がします。
同様に、神奈子達が魔理沙を相手にしなくなった理由も、結局よくわからずじまいでした。
(もっとも、このあたりは次作で明らかになるのかもしれませんが)

ただ、上でも書いた通り、題材が非常に私好みであったことと、前作と今作とがどうつながり、最終的にどこへ着地するのかという期待感から、点数を若干上乗せさせて頂きます。
ただ、百合的な描写は唐突であったこともあり、不要だったかなと思います。
(もっともこの点に関しても、文の本心が隠されていること、その真意が次回で明らかになるかもしれないことから、一概にそうとも言い切れませんが)

それでは、次作に期待しております。
繰り返しになりますが、こういう題材は個人的にとても好みですので、今後とも是非頑張って頂きたいと切に願っています。
9.無評価名前が無い程度の能力削除
内容はともかく、タグが間違っているのは…
13.無評価名前が無い程度の能力削除
内容についてはまだ完結されていないのでコメントを控えさせて頂きますが一言だけ。

続編ならばどこかに明記された方が良いと思います。
14.無評価コチドリ削除
前作へのフリーレスが、怪我の功名になる可能性。
三部作、しかも完結で評価が違って来そうなつくりならそれも自然だからだ。
したがって今回もフリーレスで失礼します。

two-down。
ホームランが飛び出すことを切に期待。
16.無評価名前が無い程度の能力削除
ホームランじゃなくても救ってあげて…
17.無評価名前が無い程度の能力削除
今はまだ最終話に期待!とだけ。あと、なんか気になるコメントがちらほら……趣旨は違うかもしれませんが前作からもそうですが私は作者さん魔理沙を嫌ってる用には思えません。嫌ってたら自分の書く物語の主役に抜擢されることはありませんし、ただの八つ当たりなら表現が稚拙になると思えます。ただ自分がこの魔理沙は気にいらないのというのを露わにしたコメントをすると面白がって挑発しようとする方が現れやすくなるということを考えていただければ幸いかと思います。
18.30名前が無い程度の能力削除
第三者がコメントにコメントを返す事は規約違反ですよっと。
このコメントも規約違反なのでまとめて削除願います。

難しく考える必要はない。単純に面白くない。
23.80名前が無い程度の能力削除
重い……重いぜちくしょう……。でも、こういうのもアリかな。前作よりは好きだった。
27.100名前が無い程度の能力削除
わりと幻想郷の本質にせまる話かも
28.100カミソリの値札削除
あ~いいっすねえ^~
こういうSSもありだな!!
32.80名前が無い程度の能力削除
面白いなあ、と言う感想しか出てこないのが歯がゆいわ
どう感想を言えばわからんと言う事はまだこの作品にモヤモヤがあるんだなあ、と言う事だと思うので満点では無くこの辺りの点数で
34.100もんてまん削除
新作から読み返し。
取り敢えず、ミスを発見したので報告を。
『ーーーあなただってそれくら分かるでしょう?」』

面白かったです。
自分的には、三部作ではこれが一番好きだったり。
42.50名前が無い程度の能力削除
霊夢は何処へ なぜ会えなかったのか
不完全燃焼
44.100とにかく土日削除
こんな一面あると思う