光が降っていた。
大地を暖かく染める光。
その光は薄暗い森の中にも降っていた。
陰を作る月と星の光と違う光。
それは影を作る日の光だった。
私はその光を見ていた。
いつもは眩しい光も森の中では眩しくなかった。
「この光ならつかめるのかな。」
私は手を広げた。
広げて手を光で染めた。
染めた手を私は見つめた。
見つめて手と手を合わせた。
それを見て私は影のある場所まで走った。
走って私は手を広げた。
広げた手を私は見た。
そこには影しかなかった。
つかんだと思った光はなかった。
「やっぱりつかめないのかな。」
私は呟いた。
独りで、もしかすると一人で呟いた。
「何をつかもうとしているのかしら。」
声が聞こえた。
初めて聞く少女の声が聞こえた。
私は振り返った。
振り返って少女を見た。
一人の、もしかすると独りの少女を。
「あなたは誰。」
私は聞いた。
少女の名前を。
「アリス・マーガトロイド、あなたの名前は。」
少女は聞いた。
私の名前を。
「シュガーサテラ、光をつかもうとしていたの。」
そう答え私は歩いた。
「どうして光をつかもうとしていたのかしら。」
光が降る中を。
「誰かにあげるため。」
影を作る日の光の中を。
「誰かって誰。」
私は歩いた。
「きっとこの世界の誰か。」
少女に近づくため。
「それは決まっていないことかしら。」
少女と二人ぼっちになるため。
私は歩くのを止めた。
止めて少女を見た。
見て私は答えた。
笑顔を見せて答えた。
「そうだよ。」
少女を油断させるため。
私は走った。
少女の足を引っ掛けて走った。
そして私は茂みまで走って気配を操った。
操って気配を消した。
気配を消して私は静かに茂みの中を歩いた。
悪戯をして怒った少女から逃げるため。
きっと一人ぼっちで。
光が降っていた。
薄暗い森の中に光が降っていた。
「してやられたわ、あの妖精め。」
その中を私は歩いていた。
シュガーサテラと言った少女を探すため。
悪戯のお返しをするため。
しかしいつまでたっても見つかる気配がなかった。
それどころか悪戯をされた瞬間にはもうその気配がわからなくなっていた。
「気配が消えたのはあの妖精の力かしら。」
私は呟いた。
一人で、もしかすると独りで呟いた。
「だとしたら探すのはもう無理かもしれない。」
私は歩くのを止めた。
止めて光を見た。
眩しくない光を見た。
少女がつかもうとした光を見た。
「どうして光をつかもうと思ったのかしら。」
私は手を染めた。
光で手を染めた。
染めて手でつかんだ。
手で光をつかんだ。
つかめないと知りながら。
私は影のある場所まで歩いた。
歩いて手を広げた。
広げて手を見た。
そこには影しかなかった。
それでも手を見た。
影しかない手を見た。
見て私は溜息を吐いた。
つかめないと知っていても吐いた。
きっと独りぼっちで。
大地を暖かく染める光。
その光は薄暗い森の中にも降っていた。
陰を作る月と星の光と違う光。
それは影を作る日の光だった。
私はその光を見ていた。
いつもは眩しい光も森の中では眩しくなかった。
「この光ならつかめるのかな。」
私は手を広げた。
広げて手を光で染めた。
染めた手を私は見つめた。
見つめて手と手を合わせた。
それを見て私は影のある場所まで走った。
走って私は手を広げた。
広げた手を私は見た。
そこには影しかなかった。
つかんだと思った光はなかった。
「やっぱりつかめないのかな。」
私は呟いた。
独りで、もしかすると一人で呟いた。
「何をつかもうとしているのかしら。」
声が聞こえた。
初めて聞く少女の声が聞こえた。
私は振り返った。
振り返って少女を見た。
一人の、もしかすると独りの少女を。
「あなたは誰。」
私は聞いた。
少女の名前を。
「アリス・マーガトロイド、あなたの名前は。」
少女は聞いた。
私の名前を。
「シュガーサテラ、光をつかもうとしていたの。」
そう答え私は歩いた。
「どうして光をつかもうとしていたのかしら。」
光が降る中を。
「誰かにあげるため。」
影を作る日の光の中を。
「誰かって誰。」
私は歩いた。
「きっとこの世界の誰か。」
少女に近づくため。
「それは決まっていないことかしら。」
少女と二人ぼっちになるため。
私は歩くのを止めた。
止めて少女を見た。
見て私は答えた。
笑顔を見せて答えた。
「そうだよ。」
少女を油断させるため。
私は走った。
少女の足を引っ掛けて走った。
そして私は茂みまで走って気配を操った。
操って気配を消した。
気配を消して私は静かに茂みの中を歩いた。
悪戯をして怒った少女から逃げるため。
きっと一人ぼっちで。
光が降っていた。
薄暗い森の中に光が降っていた。
「してやられたわ、あの妖精め。」
その中を私は歩いていた。
シュガーサテラと言った少女を探すため。
悪戯のお返しをするため。
しかしいつまでたっても見つかる気配がなかった。
それどころか悪戯をされた瞬間にはもうその気配がわからなくなっていた。
「気配が消えたのはあの妖精の力かしら。」
私は呟いた。
一人で、もしかすると独りで呟いた。
「だとしたら探すのはもう無理かもしれない。」
私は歩くのを止めた。
止めて光を見た。
眩しくない光を見た。
少女がつかもうとした光を見た。
「どうして光をつかもうと思ったのかしら。」
私は手を染めた。
光で手を染めた。
染めて手でつかんだ。
手で光をつかんだ。
つかめないと知りながら。
私は影のある場所まで歩いた。
歩いて手を広げた。
広げて手を見た。
そこには影しかなかった。
それでも手を見た。
影しかない手を見た。
見て私は溜息を吐いた。
つかめないと知っていても吐いた。
きっと独りぼっちで。