Coolier - 新生・東方創想話

夢に生きる

2011/10/29 21:29:15
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「おはよう。マリサ」

こはどこだ?
誰かが私に話しかけてくる

「どうしたの、マリサ?」

意識がはっきりしてきた
話しかけてくるのはレイムだ
―おはよう、レイム
「やっと返事したわね。寝ぼけてたの?」
―ああ。まだちょっと寝ぼけてる。ここはどこだ?
「どこって…ハクレイジンジャに決まってるじゃない。もうずっとここに泊まってるでしょ」
―そうだったっけ?そういえば、そうかもしれないな
「しっかりしなさいよ。まあ、いいわ。朝食を食べましょう」
―そうだな
「いいわね。朝食にしましょう」
「何でユカリが出てくるのよ?」
「細かいことは気にしないの。早くご飯にしましょう」
「はぁ、もういいわ。食べましょうか」


「いただきます」
「いただきます」
―いただきます
「今日の味はどう、マリサ?」
「少し濃いわ」
「ユカリ、あなたには聞いてないわよ」
「あら、私の意見は聞いてくれないのね」
「招かざる客だからね。黙って食べなさい」
「まったく、ひどいわね」
そう言いながらもユカリは食事を続けている
私はそんな二人のやり取りに苦笑しながら、レイムの問いに答えた
―美味しいぜ、レイム
「ありがとう、マリサ」
…レイムは喜んでいたが正直に言うとなぜだか味はよく分からなかった




他愛もない会話をしながら食べて、朝食は終わった
朝食を食べ終えたら、ユカリは「ごちそうさま。また来るわ」と言って帰った

そして私たちは庭の掃き掃除をしている
普段なら、手伝う気もしない作業だが、今日は不思議とやらなくてはいけない気がして、手伝っている
けっこう落ち葉が集まった
なんとなく焼き芋が食べたくなってくる
「これだけ落ち葉があれば、焼き芋が焼けそうね」
レイムも同じことを考えていたようだ
―そうだな、アキ姉妹にでも頼めばいいんじゃないか?
「いや、そこまでするのは面倒だからいいわ」
―そうか、それもそうだな
何ともレイムらしかった


「ずいぶん集まったわね。そろそろ終わりにしましょうか」
―そうするか。長い間やっていたら疲れたな。お茶でも淹れてくれよ
「わざわざ言わなくても淹れるわよ」
そう言ってレイムはお茶を持ってきた
「ふぅ、やっぱりお茶はいいわね」
―仕事が終わった後の一杯がたまらないぜ
「…そんなお酒飲むみたいな台詞で飲むな」
ゆったりとお茶を飲んでいたら、ありすが来た

「こんにちは。二人とも。私にもお茶をくれないかしら」
「あら、ありす。何の用かしら?」
お茶を出しながらレイムが言った
「別に用はないわ。なんとなく来ただけ。」
「ハクレイジンジャはなんとなく来るとこじゃないわよ。ユカリといいあんたといい、ここはたまり場じゃないっての」
「じゃあお賽銭でも入れればいいのかしら?」
お賽銭を入れながらありすが言った
「何時間でも居ていいわよ」
―それでいいのか…
…レイムは実に都合がよかった




「そろそろお昼にしようかしら」
湯呑みを片付けながらレイムが言った
―そうだな。ありすも食べるか?
「そうね。たまには食べさせてもらおうかしら」
「じゃあ、三人前ね」
―頼むぜ、レイム
レイムはユカリの時とは違い、文句を言わなかった
お賽銭効果だろうか?




お昼を食べ終えたら、ありすは帰っていった
…相変わらず、私は味が分からなかった


午後は、午前中に落ち葉掃きを済ませたのでやることがなかった
だから、レイムと雑談したりしながらゆっくりした
ゆっくりしたといっても、ユユコが乱入してきてお茶菓子を全部食べたり、
再びユカリが来て騒いだりと落ち着きのないものだったが。




しかし、それは私が夢見た生活で理想そのものだった
夢見た?
私はなにを言っているんだろう?
今日の生活は毎日、普通に訪れる生活じゃないか
きっと、疲れているんだな
そうに違いない




そのあとは夕食を食べた
レイムと二人だけで静かにしかし和やかに食べ終えた




そして、お風呂に入って、布団を敷いて、寝ようとしている

「おやすみ。マリサ」
―もう寝るのか?
「ええ、寝るけど。どうしてそんなことを聞くの?」
―寝るのが怖いんだ。寝たら何かを失う気がして
「大丈夫よ。寝ても、明日からまた変わらない日常が始まるわ」
―そうか?そうだよな。そうに違いない
「それじゃ、寝れそうかしら?今度こそおやすみ」
―ああ。おやすみ

「おやすみ。マリサ」

眠りに落ちていく意識がその言葉だけはやけにはっきりと捉えた





















目が覚めた
目の前には……
崩れ去った博麗神社と辺り一面廃墟と化した幻想郷があった
霊夢…みんな……どこにいるんだ?
それにこの状態はいったい?




ああ、すべて思い出した
私は異変の解決に失敗した
そのせいでこんなありさまだ

みんなは息絶え、原形をとどめているものなどない
私だけは異変解決に行き、さまざまな場所に行っていたから助かった
みんなは私を信頼して、異変解決にはわたししか行かせなかったのに、わたしは信頼を裏切った
結果として、私だけが生き残った


つい昨日のことだと感じている日常は夢だったのだ

…当たり前だ
みんなを裏切った私にはそんな日常を生きる資格はないし、
そんな日常のための人も場所も…もう存在しない



私はどうしようもない絶望感と自責の念に苛まれた
ああ、こんな現実はいらない
誰もいない世界に用はない

そうだ…
もう一度眠ろう…
それがいい…
夢ならみんなに会える…
夢なら理想が叶う…
夢ならすべてがある…

そう、夢なら……

私は眠りについた




















「おはよう。マリサ」
覚えている人はいないと思いますが、二回目の投稿となります。
前作にコメントを下さった方はありがとうございました。

相変わらずの拙い文ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
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コメント



0.230簡易評価
1.60奇声を発する程度の能力削除
展開が早過ぎな気がしました
異変の部分をもう少し詳しく書いて欲しかったです
5.無評価名前が無い程度の能力削除
タイトル含めて一瞬でオチが分かりました。
騙すならもう少し上手く騙して欲しいな。
9.50とーなす削除
話の構成は好きなのですが……書き込みが足らない、かな。
夢の中の話も「どうせ夢だろうな」とタイトルと魔理沙の台詞などの違和感からそうそうに当たりをつけてしまって、ついつい読み飛ばしてしまいそうになるし、
夢から覚めても「何かすごい絶望感」を描こうとしているのはわかるけど具体的なことはいまいち伝わってこない所為で共感しにくい。
書き方次第でもっと面白くなりそうな作品だけにもったいない。
11.50名前が無い程度の能力削除
全体的に、詳細まで描かれていないのがもったいない。
きちんと書けば、必ずと言っていい程にかなり面白くなるはず。
違和感の部分は、強調し過ぎて面白味に欠ける。

どうでもいいですが、夢の中でも味を感じる場合があります。