Coolier - 新生・東方創想話

霊夢の夢 完結編

2011/10/20 19:47:46
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この作品は、霊夢の夢後付完結編です。読む前に前編を読んでいただかないと理解できない場合がございます。ご了承下さい。(前作のお話自体はサクッと読める量です)








 霊夢が他界してから丁度10年になる。

「魔理沙。今日の宴会は行くの?」
「行くぜ。パチュリー、お前はどうするんだ?」
「行かないわ。行きたいけど・・・少し風邪気味みたい。」

 そう言って鼻をすする。

「そうか、お大事に。私は弥生に、来てくれって言われているからな。強制だ。」
「随分懐かれているじゃない。」
「まぁ、先代の”偉大なる巫女様”のご友人だからな。」

 わはははと笑って図書館を後にする。廊下でバッタリとフランドールに会う。

「来てたんだ。まだ、あの話は受けないの?」
「おう、来てたぜ。受けないって何度も言っているだろ?このままで良いんだよ。」
「そっか・・・。強いね魔理沙は。」
「そんな事はないぜ。今日の宴会は?」
「私、お姉様、美鈴の3人。」
「そうか。なんか手土産持って来いよ?10年目って事で、参加者多いだろうしな・・・物資が足りないぜ。」

 肩を落とす魔理沙、それを見て苦笑するフラン。そこへレミリアもやって来た。

「あら?楽しそうね。いらっしゃい魔理沙。」
「お邪魔してるぜ。もう帰るけどな。」
「そう。ゆっくり・・・は出来ないわね。あの子の手伝い?」
「そーゆーこった。手土産頼むぜ?5年前みたいに大勢来られたら・・・困るんだ。資金面と物資面で。」
「そう思ってね。今、美鈴を買出しに行かせているわ。荷車いっぱい分持っていくわよ。」
「おぉ!それは助かる。それじゃ、また今晩。フランも待ってるぜ?」
「はいはい、気をつけてね。」
「魔理沙ー、またねー。」




「あ、おかえりなさい。おばさm「おば様はやめてくれって言っているだろ。”魔理沙さん”くらいで勘弁してくれ。」
「ごめんなさい。おば様。」
「良い性格だよ。だけど、次やったら吹き飛ばすぜ?神社ごとな。」
「冗談ですよ、魔理沙さん。準備はほとんど終わっているんで、少しお手合わせして貰えませんか?」

 霊夢の後を継いだ弥生であるが、実力は霊夢には到底及ばない。良くも悪くも才能は並だ。妖怪に対してはフレンドリーで、腰が低い。人里からは少し不安の声が聞こえる事もある。
 一方の魔理沙は50代半ばになったが、今まで異変に首を突っ込んだり、霊夢と共に行動してきた。その経験値のなせる技か、幻想郷でもトップクラスの実力がある。なので、高位の妖怪たちからも一目置かれる存在になった。
 昔から破壊力と速さは武器だが、高度な戦術、鋭い洞察力まで身に付けている。さらに、強い妖怪たちの情報を事前に頭に入れており、特性や性格まで考慮した対策をしている。早い話が強いのだ。

「面白そうですね。見学しても良いですか?」
「よう、パパラッチ。」
「パ・・・パパラッチって・・・失礼なっ。」

 口を尖らせる文を笑い飛ばす魔理沙。丁度、後ろのほうから萃香がやって来た。

「ん?萃香ももう来たのか。久しぶりだな、元気にしてたか?」
「一応。で、面白そうなもん見せてくれるんだろ?」
「ははっ、聞こえていたのか。まぁ、そいつは弥生次第だな。」
「・・・頑張りますけど・・・手は・・・抜きませんよね?」
「当然だろ。」
「ですよね・・・。あ、チルノちゃんいらっしゃい。」
「やよいー。なにしてんの?」

 他にもポツポツと宴会参加者が集まりだした。

「まぁ、宴会前の余興にはなるだろ。チルノ、そこで大人しく見ておけよ。」

 言うが早いか飛び上がる魔理沙。そして、叫ぶ。

「今から弥生と私が弾幕ごっこするぜー。宴会前の余興って事で、適当に見学してくれー。」

 神社とそのまわりから、ポツポツと返事が来る。

”りょーかーい” ”マジ?そりゃ面白そうだ” ”負けちまえー”

 なんだかんだで、皆楽しみなようだ。

「ちょっと魔理沙さん!見世物じゃ無いんですよ!?」

 弥生が涙目になりながら抗議する。

「へっ、もう皆興味津々だぜ?ここで辞めちまったら白けるだろうな。で?辞めるか?」
「ぐぬぬぬぬぬ・・・分かりました分かりましたよ!今度こそ痛い目に見てもらいますよ!?」
「おう、頑張りな。」

 余裕綽々な魔理沙にぷんすか怒る弥生。弥生は本気で来るだろう。霊夢程ではないとはいえ、博霊の巫女。なかなかの好カードを見れるとあってか、境内は既にお祭りモードだ。

「さぁ、比率は9対1で魔理沙さんです!締め切りまであとわずか!さぁ、博霊の巫女に賭ける猛者は居ませんか!?あ、文々。新聞提供です。」

 文が賭けを始めたようで、魔理沙が圧倒的な支持を受けている。そして、さりげなく(?)新聞を宣伝する辺りが、文らしい。



 魔理沙の提案で少し時間を置く、境内は宴会参加者で大分賑わっていた。2人は上空で待機中。

「よし、こんだけ集まったら上々だ。はじめるか。」
「はぁ・・・サービス精神旺盛ですね。」
「はっ、か弱いお年寄りをいじめようってヤツが言うセリフか?」
「大妖怪クラスと互角な人が言うセリフじゃないです。」

 魔理沙は、一度境内を確認して大きく息を吸い叫ぶ。

「はじめるぜー!!」

 足元から歓声が上がる。と同時に2人が距離を取った。




 距離にして50メートル。弥生はどう攻めるか考えていた。

(細かくて遅い弾幕を張りながら・・・接近戦に持ち込むのがベター・・・)

 魔理沙は箒の上に寝そべって、様子を見ているようだ。牽制する気配も無い。
 この勝負に弥生が勝つ方法は一つ。魔理沙は強いが、スタミナ不足という弱点がある、年齢的に。つまり、接近戦に持ち込んで無理にでも動かせば勝機があるのだ。
 見物している妖怪たちも、その事は分かっている。如何にインファイトに持ち込めるかが、魔理沙攻略に繋がる。つまり、一番最初が肝心なのだ。

(結界を盾にして、一気に突っ込んでしまうのも・・・無いなぁ。)

 初手にどう動くか逡巡していると、唐突に魔理沙が箒から落ちて落下する。

(え!?)

 何が起こったか理解できない弥生。だが、瞬間的に危険を感じて結界を張る。

―バシュッ!

 目の前でビームが拡散した。良く見ると箒にマジックアイテムが付いている。余所見をさせて不意打ちを狙ったようだ。

「良く受けたな!良い勘だぜ!」

 魔理沙が手をかざすと、そこに箒が飛んで行き、手の中に納まる。そして、落下の速度を殺さずに旋回しながら牽制射撃を繰り出してきた。

「くっ・・・」

 出鼻を挫かれた弥生は、牽制射撃を慌てて避ける。

(完全に立ち遅れた。流石にペースを握るのが上手い。どうしよう?)

 閃光が迸り、目の前が真っ白になる。魔理沙がダメージでは無く、視覚を妨害するために放った一撃。

(まずい、ここは離脱・・・いや、まっすぐに突っ込む!)

 閃光の中に自ら飛び込む、多少ダメージはあるが、かすり傷にもならない程度だ。
 閃光が消えて辺りが見えるようになる。結果的に、突っ込むという判断は間違っていなかった。魔理沙は離脱したところを狙っていたようで、背後で待ち構えていたのだ。
 境内の妖怪たちは、大いに盛り上がっている。

”あの状況を切り抜けたぞ!” ”巫女流石!” ”あんなの初見殺しじゃないか!” ”弥生さん素敵!”

「良い度胸だ。」

 魔理沙が手を打ち鳴らす。

「ありがとうございます。」

 平静を装って答えるが・・・流れを変えないと勝機が無く、内心動揺している。

「さて、次の手は思いついたか?まぁ、もう遅いんだが。」
「え?」

 魔理沙が不適な笑みを浮かべ、手をかざす。

「盛り上げるためだ、派手に行くぜ?全方位収束!マスタースパァーク!」

 いつの間にか設置されていたマジックアイテムから、魔理沙の代名詞とも言えるビームが飛んでくる。しかも、上下前後左右とまさしく全方位から。三十程のビームが一直線に飛んでくる。

「・・・あ。」

 ビームが接近してくるのがスローに見える。これは私には避けられない。








「・・・派手にやるねぇ。でも、あれじゃ足りないだろうさ。今の弥生にはね。」








 避けられない、駄目だと悟った時、脳内に直接語りかける声を聞いた。

(情けないわねっ!私の言うとおりに動きなさいっ!)
「え?」
(横三時方向!さっさと動く!)
「!!」

 声にしたがって右に緊急回避、ギリギリで二本の閃光が掠めてゆく。

(次、縦二時!避けたら一気に反転!魔理沙に突っ込みなさい!)

 ここも指示通り動く、まるで攻撃がコチラを避けているような感覚に陥る。一気に十本のビームをやり過ごし、反転して魔理沙へ一直線に飛ぶ。
 驚いたのは魔理沙だ。まさかアレを全部避けるなんて考えもしなかったので、次の手は用意していない。それに、あの動きは・・・まるで・・・

「まさかな・・・。」

 両手を上げて降参のポーズを取る魔理沙。境内からは、魔理沙に賭けた妖怪たちの阿鼻叫喚。そして、唖然とした顔で近づいてくる弥生。

「降参なんですか?」
「おう、あそこからだと、どうしても射撃が遅れるんでな。接近戦なんてシンドイだけだし、降参したぜ。」
「横に逃げれば良かったんじゃないです?」
「・・・全方位から発射するビームが外れたら、こっちに飛んでくるヤツもあるわけだ。自滅しないように位置取りしてはいるが、そこからずれたら自滅が待っている。つまり、後ろに逃げる以外の選択肢が無いんだ。後ろに逃げても、不利なことに変わらない。それを見越して、最短距離を突っ込んできたと思ったんだが・・・。」
「・・・。」
「まぁ、いいや。さ、宴会だ宴会。さっさと戻ろうぜ。」







「お疲れさん。魔理沙には悪いことした気分だねぇ。」
「まぁ、十年目でキリも良いし?面白いほうが良いじゃない。」
「でも、あれだね。魔理沙のヤツは気づいたようだね。」
「あ、やっぱり?まぁ、だからどうって訳じゃないし。まぁ、戻るわ。ありがとうね小町。」
「あいよ。・・・・・・・・・へへっ。笑いがとまらないねぇ・・・うへへへ。良い酒でも買うか・・・うーん。」

 小町の手には、弥生と書かれた札が握られていた。そして、翌日の新聞には、こんな事がかかれていたらしい。”死神大当たり!全財産が250倍に膨れ上がる!”と。







 それから宴会は盛り上がった。まずは負けた魔理沙が妖怪たちから、なんだかんだ突っ込まれる。今度は勝った弥生にファンが出来たりした。

「ふー・・・歳かね。疲れるぜ。」

 離れの縁側に腰掛ける。本殿を挟むので、境内の音も遠くに聞こえる。

「そこ、昔の定位置ね。」

 レミリアが近づいてくる。

「よう。手土産あんがとな。非常に助かる。で、なんか用か?」

 レミリアは魔理沙の隣に腰をかけ、真剣な顔で言う。

「霊夢の・・・動きだったわね。」
「・・・・・そうだな。あの動きは自分で考えたものでも無さそうだった。つまり、霊夢が何かしらで関わっていた。推測だけどな。」
「そうなると、少し・・・問題があるわね。」
「だよな。成仏出来てないって事になるよな。」

 二人で考え込む。知り合いが成仏出来てないというのは、どうも落ち着かない。弥生を助太刀するくらいだから、悪霊では無いのが救いではある。

「まぁ、幻想郷なんだ。おかしな事くらい起こるさ。」
「・・・それで良いの?」
「霊夢が異変でも起こしたら、動くぜ。」
「呆れた。貴女らしいとは思うけどね。」

 レミリアは苦笑するしか無いのだった。









 さらに数十年の月日が流れた、とある日。アリスが森の中を歩いている。

「寒い・・・今日は特に寒いわ・・・。早く帰って人形完成させないと・・・・。」

 一面白い世界。しんしんと雪が降る、そんな冬の午後。アリスは、魔理沙の家へ向かっていた。
 魔理沙に頼んだ、マジックアイテムを受け取るためだ。人形を独立して動かす研究で、問題となっていた動力・・・つまり魔力の供給元。自身の知識では、魔力を長期保管できる上に、安定した出力で魔力を放出する物は作れなかったからだ。
 その点マジックアイテムに関しては、一日の長が魔理沙にはある。それどころか、その辺の魔女でも敵わないかもしれない。
 そして、一昨日。魔理沙から報告を受けたのだ。”頼まれていたヤツが完成したぜ。最終テストを1日かけてするから、明後日取りに来てくれ。”との事だったので、寒い雪の中をこうして足を運んでいるのだ。


「はー・・・やっと着い・・・・・・・?」

 何かおかしい。魔理沙の家から生活感がしない。留守かとも思ったが、尋ねてくるのは分かっているはず。何時とは言っていないが。

「ちょっと出てるのかしら?」

 いつ来るか分からないから、少しだけ外出する。在りえる話ではあるが、この寒い中で待つなんて論外だ。といって出直すのも嫌だ。どうしようと、腕を組みながら唸る。
 そこでアリスは異変に気が付いた。

「・・・・これは、ちょっと出てるなんてものじゃないわね。」

 アリスの視線の先には窓がある。寒い冬の日、部屋を少しでも暖めたら絶対に起こる現象がある。結露だ。朝起きて、何かしら生活すれば、食事の用意をするだけも結露が出る。
 だが、魔理沙の家の窓は結露が出た形跡が無かった。中と外の温度差がほとんど無く、生活すれば出るであろう、水分の揮発で起こる曇りすら無い。

「・・・・・っ!」

 言い知れぬ不安がアリスを襲う。何かを考えるより咄嗟に体が動き、ドアを蹴破っていた。

「魔理沙っ!魔理沙ーっ!?」

 家中走り回るが見つからない。ついに最後の一部屋になった。なるべくしてなった、魔理沙の研究室。最後になるべくしてなった、捜索場所。

―ギィィ・・・

 立て付けの悪い扉を開ける。部屋の奥に魔理沙は居た。そっと近寄る。

「・・・・。しっかり作ってくれたみたいね。流石ね魔理沙。」





「逝くときは、アッサリ逝くもんだな。苦しいよりは良いけどさ。」
「まぁね。どうだい?死んだ感想は?」
「面白い体験だぜ。まぁ、誰かに自慢できないけどな。」
「違いないねぇ。ま、お前さんの人生は悪くないものだったんじゃないか?」
「そうだな。こうして自分に会いに来てくれるヤツが、こんなにいるなんて思っても見なかったぜ。」

 弥生、妖怪の山の面々、紅魔館等など。

「霊夢より人気あるんじゃないのか?」
「そんな所で意地張ってどうするのさ。死んでも変わらないねぇ。」
「うっせ・・・しかし・・・・・。」

 霊体になった自分を観察して一言。


「どうすりゃいいんだよコレ?」






「幽々子様。魔理沙さんが。」
「えぇ、聞いたわよ。歳でしたからね、仕方が無いわよ。」
「そうですね。でも、なんで人間から魔女にならなかったんでしょうね?」
「彼女は生きながらえるよりも、あるがままを受け入れただけよ。それが彼女の美徳なのよ。分かるかしら?」
「すみません、よく分からないです。」

 肩を落とす妖夢を見て、幽々子は微笑んだ。と、その時・・・


―ドンドンドン


 白玉楼には珍しい門を叩く音。

「「?」」

 顔を見合わせる2人。

「とりあえず出てきますね?」
「あ、私も行くわ。」
「そうですか、じゃあ行きましょう。」

 ゆっくりと門を開けると、見知った顔が居た。

「よぅ。泊めてくれ。」





「まさか、亡霊になるなんてねぇ。」

 煎餅をかじりながら、魔理沙を見る。

「ほんとだよ。行くあてなんか無いってんだ。」

 魔理沙も煎餅に手を伸ばす。
 幽々子が良く食べる理由が今なら分かる。亡霊には、現実感が無い。その虚空を埋める作業が、食べるという行為なのだ。
 妖夢は今の隅っこで何やらブツブツ言っている。

「変な子ね。」
「変なヤツ。」

 声をそろえて2人が言う。それを聞いた妖夢が泣きながら部屋を出て行った。
 苦労人、魂魄妖夢。彼女の胃腸はズタボロだ。

「さて、真面目な話をしましょうか。」
「ったく、もっと優しく追い出してやれよ。」
「あ、やっぱり分かる?」
「ま、いいけどさ。で?何だ?」

 やれやれと肩をすくめる魔理沙をマジマジと見る幽々子。普段とは雰囲気が違う。

「亡霊になる条件。知らないわけじゃないでしょう?」

 ヘラヘラ笑っていた魔理沙の顔に影が落ちた。

「私は記憶が曖昧で分からない。でも、アナタはどうなの?何が・・・未練なの?」

 どうやら、茶化す気は無い様だ。魔理沙は少し考えた後、

「なんだろうな・・・具体的には分からないぜ。でも、多分・・・霊夢がらみかもな。」

 それを聞いた幽々子は目を丸くした後、からかう様に

「なぁに?先に死なれたのが嫌だったの?」
「なっ・・・そ、そんなワケないぜっ!」
「ふふ、乙女よねぇー。いいなー、若いって。」
「いや、亡霊になって見た目は昔に戻ったけど、一応婆さんなんだが・・・。」
「・・・それ、当てつけ?」
「・・・・あ、すまん。悪かった。悪気は無いんだぜ?」

 よよよと泣き真似をする幽々子に、呆れながらも対応する魔理沙。案外良いコンビなのかもしれない。












どれくらいの時間が経ったんだろう。


私が、ここに居候してから。


時間は残酷だ。自分を無くしてしまいそうになる。


そんな素振りを見せない幽々子を素直に凄いと思う。









 縁側で寝転がって庭園を眺めている。寝てしまおうかと思案していると、誰かが近づいてくる。

―コト

 目の前に、羊羹が乗った小皿と湯飲みが置かれる。

「ありがとな、よう・・・・え?な、なんで?・・・ウソだ・・ろ・・・?」
「久しぶりね。魔理沙。」

 魔理沙と同じく、10代の見た目になった霊体で、そこに霊夢が居た。

「隣座るわよ?」

 口をパクパクさせる魔理沙の横に腰掛ける。
 2人はしばらく無言で庭を見る。魔理沙は、なんと声をかけて良いのか分からず、霊夢が口を開くのを待っていた。

「私ね。弥生の守護霊をやっていたの。」

 そう言う霊夢の表情は変わっていなかった。続けてくれという目線を霊夢に向ける。

「今日、本当は昨日かしら。あの子は逝ったわ。そして、次の巫女を見守る役目を引き継いだ。まぁ、そんなところね。」
「そうか、あの時の動きは・・・やっぱり霊夢の助太刀か。納得したぜ・・・実は、レミリアと亡霊にでもなってしまったんじゃないかって、心配・・・してたんだ。そうか、良かった。」
「ふふ、ありがとう。」

 その笑顔を見て、魔理沙も笑顔になる。やっと、緊張がほぐれた感じになる。

「でも、なんでここに?亡霊って風には見えないぜ?」
「迎えに来たのよ。」
「いや、私は見ての通りだからなぁ・・・すんなり成仏出来ないと思うぜ?」

 霊夢は間をあけてから、





「やっと、一緒に羊羹食べれたね。」





 その一言で魔理沙は理解できた。ここに居る理由を。





「・・・・あぁ、そうだな。・・・・やっと・・・・食え・・・るな・・・・。」





 魔理沙の目から溢れた雫は、白玉楼の縁側に零れた。
























「師匠~。予約の方いらっしゃいましたよー。」
「ん?予定より早いじゃない・・・まぁ、いいわ。連れてきて。」

 診察室を作って、診療所として人里に開放して1世紀程になる。評判は上々で、遠方から足を運んでくれる人間もいた。

「こんにちわ先生。よろしくお願いします。」

 人間の夫婦が挨拶をする。頼りにされ、尊敬されるのは嫌いではない。

「経過を見るだけですよ。でも、もう絶対安静にしてください。この時期は軽い運動も逆効果ですので。」

 うどんげは、ここまで経過した妊婦を見るのは初めてだったせいか、落ち着き無く目線を逸らしては戻している。医学に携わる者で無くても、新しい命が胎内に宿るというのは神秘的だ。

「先生に双子だと言われたときは、初産で大丈夫なのかと心配しましたけど・・・な?」
「アハハ、でも太鼓判押してくれたおかげで、今は不安より楽しみで楽しみで。」

 夫婦仲も良好なようで何よりだと思う。

「経過も順調ですし、あと1~2ヶ月ですね。そういえば、お名前は決めたんですか?」

 夫婦はニッコリと笑って、










―霊夢と魔理沙って名前にするんです。














霊夢の夢 完結編 終わり。
「師匠・・・・。」
「閻魔かしらね?」
「楽しみですね?」
「静かで良いって言ってたじゃない。」
「えっ・・・いや・・・少し賑やかなくらいが・・・やっぱり良いです。」


やっぱり、ハッピーエンド(?)が良いですよね。
前作で分かれた二人を会わせてあげたくて、この話を作りました。
最後の心理描写は少なめですが、2人の絆は見えるんじゃないかなーと思います。
まなみ
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コメント



0.760点簡易評価
2.100点奇声を発する程度の能力 削除
最後で鳥肌が立ちました…
感動、この一言に尽きます
6.100点日間賀千尋 削除
今までいろいろ読んできて、こんなに感動したのは初めてです。
あれこれ語るのは無粋ですね。
最後に一言、ありがとう
13.100点名前が無い程度の能力 削除
閻魔様、部下が不正なトトカルチョをw

しんみりと感動いたしました。とりあえず羊羹買ってくる
14.無評価まなみ 削除
>>13
小町さんは、後日怒られたそうですよ。なんでも、霊夢に協力するのはいいけれど、それを自分でも利用したらどうたらこうたら、と言うことらしいです。
ちなみに、全財産をつぎ込んで得た配当金は、閻魔管轄の運営資金になったそうです。
当然、文無しになったので、最近は真面目に働いているとか・・・あと、能力を駆使したタクシー(人力車)のバイトもやっているとかいないとか。
23.100点名前が無い程度の能力 削除
いい話だ・・・ありがとう。

羊羹食べたい
25.100点きつね 削除
久々に泣けた。
26.100点ミスターX 削除
最後に出てきた夫婦はどういう人たちなのだろうか?
少なくとも、「―霊夢と魔理沙って名前にするんです。」は偶然ではないだろうけど。
…伝説となった二人の話を耳にした普通の人たちかな?