頭が痛かった。昨晩遅くまで書きものをしていて、そのうえ、床の中でもあまり眠れなかったんだった。
夜が明けて東の空が白みはじめるころには、阿求はもう起き出していて、寝間着から普段着に着替えていた。足袋を履く。うす暗い部屋の中で、洗ったはずの足袋に、まだ汚れがついているような気がした。
阿求はぎゅっと、分かれ目が足指の間に食い込むくらいまできっちりと足袋を履いて、それから立ち上がって深呼吸をした。
気持ちが昂っている。
最近はずっとこうだった。でもそれも毎度のことで、つまるとこ、幻想郷縁起が完成間近になるといつもこういう調子になるのだった。前世のことは、かぎられた部分のことしか記憶に残らないが、これは仕事に関することだからよく覚えている。だから、しかたなかった。
早いとこ完成させてしまうしかない。とそこまで考えると、いつも、その先についてのことが頭をよぎる。
これも毎度のことだった。
阿求は首を振って、余計な考えを頭から追い出した。やっぱり頭が痛かった。
庭へ出て、井戸水で顔を洗おうとして、部屋の障子を開けた。
庭に宮古芳香がいた。
「へぶっ」
「おぉ」
変な声が出た。芳香は動かない右腕を、ぎぎぎとわずかに上げようとしているみたいだった。挨拶をしようとしているのだろう。
阿求はあわててつんのめって、縁側から庭へ落っこちそうになってしまった。芳香が受け止めてくれた。すると芳香の胸に、勢いをつけて、阿求の顔がうずまった。
バインバインだった。阿求よりちょっと背が高いくらいの身長で、そのうえ死体のくせに。
芳香は蘇って、動けるようになったばかりの妖怪で、生前が何歳だったのかはしらないが、とにかく、まだ一歳にも満たないはずだった。
これで0歳なら、私は胎児か。
阿求はそう思って、とある情念を燃やした。それから身を起こして、一応、挨拶とお礼を言った。
「ありがとうございます。おはようございます。あの、何のご用ですか」
「おぉ、おはよぉ」
少し待った。答えは帰ってこない。
「あの、どうしてここに?」
「うん? んー……忘れてないぞ。阿求を起こしに来たんだな」
「へぇ」
首をかしげた。阿求の紫色の髪が、一度、ふわりと揺れて、耳が少しだけ見えた。頭が痛かった。芳香がそれを真似して、ぐぎぎ、がくん、と音を立てて首を曲げた。もとに戻らなくなった。ふたりで協力して、なんとか元どおりにした。
ラジオ体操でもやりにきたんだろうか。
「ちがう、ちがう。阿求は馬鹿だな。私は阿求を起こしに来たって、言っただろう。起きないといけないんだぞ」
「はぁ、何ででしょう」
「えっと、そろそろかな。あっちの方だ。耳をすませて」
阿求はそうした。すると、人里のはずれの方から、声が聞こえてきた。
――Yahoo~♪
そちらの方向にある低い山の、まんなかあたりから、声が飛んできたようだった。まっすぐにすごいスピードで飛んで来るような声で、けれど紙に水が染みるような広がりを持っている、美しい声だった。聞いたことのある声で、少し調子をつけて、歌うように発声しているところからしても、ミスティア・ローレライの声にちがいなかった。
それにこたえて、今度はもう少し人里に近いところの山から、また、ミスティアの声が聞こえてきた。先程よりもはるかに大きな声で、人里どころか、幻想郷じゅうに響くんじゃないかってくらいだった。阿求はそれを聞いた。
―― " ミスティアの歌は思いの外派手な曲
で、とても妖怪の曲とは思えないノリ
の良さを持つ。その為、若い人を中心
に人気がある。
反対に、歌妖怪界の古参の間では
「最近の若い妖怪はうるさいばかりで
訳の分からない歌ばかり歌って困る。
あれでは雑音じゃないか」と言われて
いる。" (※1)
阿求のあごががくん、と外れて、元にもどらなくなってしまった。芳香は最初こそ、おかしそうにそれを見ていたが、あまりにももどらないものだからやがて心配になって、阿求のあごを下から叩いた。阿求は舌を噛んだ。
「おい、大丈夫かぁ」
「はふ、はふ」
「あわてるな。べろを怪我したままでは、ご飯がおいしくないぞ」
「ひょうして、あえが、こんは、やまひこに」
「依頼人の秘密は明かせない! ……どうだ、カッコイイだろぉ」
芳香の胸をぽかぽか叩いた。バインバインだった。揉んでやった。芳香は平気な顔して、効かぬ、効かぬのだトキィ、とか言っていたが、阿求は天性のテクの持ち主だったのでだんだんまずいことになって最終的に芳香は阿求を無理やり取り押さえた。
「じゃ、行くぞぉ。ご飯食べてからのほうがいいか?」
「ぶんぶん」
「だなー。食べられなさそうだしなー。じゃあ、よっ、っと」
芳香の肩の上に阿求が荷物みたいに乗っかった。芳香はそのまま、命蓮寺へ向かった。
◆
命蓮寺に着くと、幽谷響子がいつものように庭の掃き掃除をしていた。ミスティア・ローレライが、両手を広げた格好でその上をくるくる旋回していて、やっぱり歌をうたっていた。朝の光をほめたたえる歌で、あまり妖怪にふさわしくなかった。
よっ、っと、と言って、飛んでいた芳香が着地すると、阿求は素早く肩から降りて、くるくる回っているミスティアの真下に行き、ぴょんぴょん跳ねだした。
「ミスティアさぁぁんー」
「あはは、あっきゅん、おはよー」
「おはよーじゃないですよぉぉ。あれ、どこから手に入れたんですかぁ」
「あれって?」
「とぼけないでください。私の文章ですよぉ。あれ、幻想郷縁起に載るんですよぉ。まだまだ秘密なんですぅ」
「これかなー♪」
スカートの中から、分厚い紙束を取り出した。はじめは一冊だったメモ帳が、ばらばらに分解されて、字や絵を書いたあとにまた綴じられて、ほかにも様々なちがう種類の紙が幾枚も幾枚も重なって、最後に束になってまとまっているものだった。阿求のマル秘メモ帳にちがいなかった。
「それです、それぇぇ!」
「何日か前、屋台に来たときに、忘れてったんだよん」
「がくーん」
「阿求は馬鹿だなぁ」
「うっかりさんですね! あ、おはようございまーす」
「だって、だって」
阿求は泣きそうになってしまった。
だいたい、阿求にとって、メモはほんとのところ、書いた時点で役割を終えているのだ。求聞持の能力があるから、自分の字であれ絵であれ、一度見たものは忘れない。あとは頭の中にあるそれにしたがって清書するだけなので、極端に言えば、手で書いて目に焼き付けたその瞬間に、もう捨ててしまってもかまわないようなものだった。
だからここしばらく、幻想郷縁起の仕上げにはいってからは、メモ帳のことは意識の外だった。集中して書きものをしていて、それ以外のことはすべてうっちゃらかしていた。
しかし、それが誰かの手にわたって、幻想郷じゅうに広められてしまうとなると、話は別。
「困るんですぅぅ。返してくださぁぁ~い」
「んー、どしよっかなー♪」
「ねぇ芳香ちゃん、ミスティアさんって意地悪だね」
「あれが、ドSっていうんだ。覚えとくといいぞぉ」
「そうなの? 阿求さん」
「ちがいます! あれはただの、子どもなんです! こらぁ、降りてこぉぉい!」
「……そんなに怒らなくてもさぁ」
ミスティアはふっと、羽根の力を抜くと、今度はその場で身体を回転させて、ドリルみたいに回りながら降りてきた。スカートがひらひら丸くなって腰の周りに広がった。地上に着地するときに、少しだけほこりが舞って、けむりになってミスティアの足元に漂った。
「ちゃんと返すよ。私じゃあ、人里の中まで入れないから、ふたりに頼んで呼んでもらっただけだもん。忘れてったのはそっち」
「あ、はい」
阿求は恐縮した。
「ごめんなさい。その、ありがとうございます。ちょっと抜けてました。大事なものなので、戻ってきてよかったです。じゃ、返してください」
「ダ~メ♪」
「こらぁ!」
「だってさぁ」
ミスティアはぱらぱら、紙束をめくって、自分のことが書いてある部分を指さした。
「"この手の妖怪は、定期的に退治しないと図に乗って人里まで降りてくるので、忘れずに退治しよう。"なんて、かっこ悪いじゃん。もっとよく書いてよ!」
「むむ」
「むむ、じゃないよ。それに何、"トリモチで良いだろう"って! 良くないもん! もっと、高級なものでなきゃ私は捕まらない!」 (※2)
「たとえば、何ですか。高級なもの」
「シャネルとか、LED電球とか」
「成程。でも、残念ながら、あなたのぶんのところはもう清書し終わってるわけでして……」
「書きなおせー!」
「いーやーでーすー!」
「ちーかよーるなー!」
「ぎゃ~て~」
キャッキャやってるうちに、お昼になってしまった。保母さんみたいな顔して出てきた寅丸星に全員捕まえられて、お昼ごはんを食べさせられた。命蓮寺のお昼はお寺のくせにやたらとボリュームがあって、ミスティアは喜んでいたけど、食のほそい阿求にはちょっと辛かった。残そうとすると、聖白蓮が「なりません。いっぱい食べないと、大きくなれませんよ」と言う。私は大きくなりません、と返すと、いつかなるんです、私みたいに。とさらに返された。不用意な会話だったので、ふたりとも困ってしまったが、とにかく、出されたものであるので、阿求は時間をかけて全部食べた。
◆
ミスティアがぱたぱた、阿求の前を飛んでいた。手にはまだ阿求の紙束を持っていた。少し遅れて、阿求がついてくる。
「ねぇ、返してくださいよお」
「ダメだってば。書きなおすって、約束しない限り、返してあげない。明日も山彦してやるからね」
「もう、困った妖怪ですね」
阿求ははぁはぁ息をついた。早歩きくらいの速度だったが、体が弱いので、長くつづけると人よりも疲れてしまう。
夕方になっていた。お昼のあと強制的にプチ修行をさせられて、命蓮寺を出たのは午後も遅くなってからだった。すぐにでも家に帰りたかったけど、ミスティアがちらほらと、人里の外の道を逃げていくので、追っかけるしかなかった。力では負けてしまうし、だいたい空を飛ぶから手が届かないのだ。いっそのこと一度命蓮寺に戻って、明日ミスティアが来たときに、誰かに捕まえてもらうようお願いしようかな、と考えたときだった。
ミスティアが歌をうたいだした。
朝に聴いた声はずいぶん遠くから聞こえてきたし、ほんのひと声だけだったので、その美しさも、ずいぶん目減りしていたんだ、と思った。すぐ近くで聴く夜雀の声は透き通っていて、全ての年齢の声を合わせたような不思議な歌声だった。少女の声のなかに、もっと大人になった、妙齢の女性の声や、母親が子どもをあやす子守唄、老婆になった女が、人生を振り返って出すようなかすれた声も、混ぜこぜになって含まれているようだった。驚いたことに、男の声もそのなかにあった。少年の声からはじまって、野太い男の声や、老人が孫を叱るときの短い怒鳴り声、はたまた、男の人が気をやるときにときたま出す、あの色気のある声――阿求はそんなもの聴いたことないから、想像で考えただけだけど――まで、わずかに、目の前で聴かないとわからないくらい微量に、隠されているようだった。
その声が静かに、高くなったり低くなったり、速くなったりゆっくりになったり、うっとりするような旋律をつくっていった。ゆるやかな曲で、舟が水の上にすべり出るときみたいな優しい曲調だった。いつも屋台で聴く歌とはちがって、阿求はちょっとも身体を動かすことができなくなってしまった。指先一本一本にいたるまで、身体のすべてが、ミスティアの歌声に浸されて、ざわめくように感動していた。
いつの間にか、夕日が沈みかけて、丸い月が反対側から昇ってきていた。歌い終わると、ミスティアはその月を背景にして、身体を曲げて胸に手をあてて、ぺこりとお辞儀をした。やっと動けるようになった阿求は、手のひらがちぎれるくらい拍手をした。
「今の、新曲よ。作ったばかりで、まだ誰にも聴かせてないんだ。どうだった?」
「えっと、はい」
すごかったです、とか、美しかったです、とか言おうとして、阿求は口をつぐんだ。自分は文筆業なのだから、なにかもっときれいな、芸術的な迫力のある言葉で、ミスティアの歌を褒め称えねばならない。そう考えて、いろいろ探してみたけど、頭の中からは何も出てこなかった。正確に言うと、いくつも出てはくるんだけど、それがほんとうにぴったりした言葉なのかどうか、口に出す前に自信がなくなってしまうのだった。
「えっと、えっと」
「ん、いいよ、感動してるのはわかったから。どう、いいもんでしょ。これが私の本気。屋台じゃあ、てかげんしてるのよ」
「はい。ほんと、その、良かったです」
「私も良かったよ。あっきゅんには一度、聴かせたかったんだ。なにせ、妖怪連中は勝手だからあんまり聴いてくれないし、私の知ってる人間連中は、芸術を解さない野暮天ばっかりなんだもの」
「あはは」
霊夢と魔理沙のことだろう。咲夜は、どうなんだろうか。瀟洒だけど、仕事人間だから、あんがいこういうのには疎いのかもしれない。
「一度さぁ、満月の夜が終わらなかったことあったでしょ。知ってるよね。あのときに、今みたいに歌ったんだけど、どいつもこいつもひとつも気にしないで弾幕撃ってきたの。失礼しちゃうよね」
「あはは。早苗さんはどうなんでしょうね」
「さー、どうだろうね。宴会での様子をみる限りじゃ、こういうのじゃなくって、もっとのりのりのが好きそうかなぁ」
ミスティアは月を見た。今夜も満月だった。阿求も月を見た。それで、ミスティアの歌にたいして、何か言えることを見つけたように思った。
ちょっと気取ったような調子になってしまうかもしれないけど、しかたない。これがきっと、自分の素直な感想なんだと思った。
「月も見て我はこの世をかしく哉」
「え?」
「加賀千代女の句です。月も見て我はこの世をかしく哉」
「ああ、うん。加賀ね。うん、えっと、学研のプリントでやったわ。ほんと、ほんと」
「朝顔につるべ取られてもらい水、で有名な俳人です。その人の辞世の句で、意味はですね、"病気の私はもう命が短いが、仲秋の名月の夜、今年も明るく澄みわたった満月を見ることができた。そして、世の中のあらゆるものを十分に見つくしたので、思い残すことなく、心やすらかにこの世の中を去ることができる。"と、そういった感じなんです」
「へー」
「今の私も、そんなふうに、ちょっと思っています。ミスティアさんの歌を聴けてよかった。今までに聴いたなかで、いちばんすばらしい歌でした。このまま死んじゃっても、もういいな、って、ちょっと心をかすめるくらいに。
ふふ、でも、まだ幻想郷縁起をつくり終えていないから、だめですけどね。というわけでメモ帳返してください」
「あっきゅんってさ、かなり馬鹿だよね」
「へ?」
「月、まだ見える?」
「……あ」
ミスティアの身体がぼやけて見えた。日が沈みかけているせいばかりではなかった。月の上に、闇が降り積もっていくようだった。
「満月の夜は、妖怪はみんな喜ぶんだけど、私は実は好きじゃないんだ。だって、あれがなければ、夜はもっと暗いのに」
声だけが聞こえる。視界が狭まってきて、光がどんどんなくなっていった。ミスティアの声に押されたようにして、阿求は後ろに倒れて、尻もちをついてしまった。顔が見えないから、ミスティアがどんな表情をしているのかわからなかった。ただ、何も見えなくなる、最後の一瞬で、爪を伸ばしているのが見えた。
「私のこと、屋台の気のいいおかみだとでも思ってた? 忘れ物を届けてくれる、親切な女の子だと思ってた?
馬鹿だなぁ。私は妖怪。夜雀の妖怪なんだよ」
ミスティアの爪が阿求の頬に触れた。阿求は気を失った。
◆
気がつくと、阿求は自分の布団に寝ていた。目を開けて、天井が見えることに、動転して、混乱してしまった。
跳ね起きて、部屋の中を意味もなくばたばたとかけずり回ると、書き物机にすねをぶつけてしまった。痛くて泣いた。机の上に、自分のメモ帳が置いてあった。ぺらぺらめくった。間違いなく、自分のもので、気を失う前にミスティアが持っていたものだった。手に取り、胸にかかえた格好で、障子を開けた。朝になっていた。東から昇った太陽が、すでにやや高い位置にある。
「うぉのれ。夜雀風情が」
阿求はメモ帳をばしっと床に叩きつけると、普段着に着替えて顔を洗い、朝食も取らずに命蓮寺へ向かった。
「くっくっく」
木のうろの自分の寝床のなかで、ミスティアはほくそ笑んでいた。昨日の阿求は傑作だった。まさかあんなにびびるとは。気を失うまで人を脅かしたのは、かなり久しぶりだった。
「これで阿求の奴も、私のところを書き直すでしょう……。危険度:極高になっちゃうかも。暗闇に住む大妖怪、なんて書かれちゃうかもね。いやーカッコいいな。間違っても、トリモチなんて書かれないわね。あ、でも、歌にずいぶん感動してたみたいだから、もしかすると、幻想郷きっての美少女歌姫、なんて書かれちゃうかも! いやーまいっちゃうな、ファンが増えちゃうな。もう、これはあれだね、超時空シンデレラだね!」
足をばたばたさせて、狭いうろのなかでごろごろ回って喜んだ。それから水面が揺らいだり、風の輪が拡がったりする歌をうたって、魂に銀河が雪崩ていきそうになったころだった。人里のほうから、かすかに、声が聞こえた。
――ヤッフー!!!
ミスティアでなけれは聞き逃してしまうほど、遠くから聞こえた小さな声だった。阿求の声だった。そろそろ起きたのか。
小さな阿求が精一杯声を張り上げて、出したのにちがいなかった。でも、どうしたのだろう。
そう考えているうちに、今度はもっと大きな、はっきりした声が、命蓮寺の近くの山から聞こえてきた。幻想郷じゅうに響きわたるような大音声だった。
―― 一番、稗田阿求、歌います!
求聞持なめんな!
曲はミスティア・ローレライの……えっとぉ……いいです! いきますよぉ!
すぅぅっ、と息を吸い込む音まで、ばっちり聞こえた。それから阿求の声が、調子はずれな音階で、ミスティアが昨日阿求に聴かせた歌をうたいだした。
「ちょ……ちょっとぉぉぉぉ!!!」
ミスティアは弾丸のように寝床から飛び出した。
「まだ、未発表なのにぃぃ! やめてぇぇ! そんな音痴に歌わないでぇぇ!」
ミスティアが命蓮寺に着くまで、だいたい曲の一番がそのとき起きていたすべてのものの耳に入った。めったにない苦情が来て、響子は軽くへこんだ。
その後、寅丸星の発案で、ミスティアが自分で歌った、自分自身の歌声が、山彦となって、ときどき幻想郷の朝に鳴り響いた。聴いたものは、誰もが阿求と同じくらいに感動した。誰もがはじめて聴く歌をうたうときもあったし、いつかどこかで聴いたような、なつかしい歌をうたうときもあった。しかし何度聴いても、それはやっぱりうっとりするような歌だった。
しかし聴いたものはしばらく目が見えなくなってしまうので、今度は本式に苦情がきた。響子はふつうにへこんで泣いた。寅丸星はナズーリンからお仕置きをくらった。
ところどころの詩的な表現も好きです。
誤字 宮古良香→宮古芳香
たとえ鳥目になろうとも、ミスティアの歌なら夜通し聴きたい。あ、女将さん。焼き八目鰻くださいな。
今回はほんとに面白かったです。
お、またシャーリーさん書いてる。今回はどんな下ネタなんだろ(笑)
↓
現在
シャーリー、お前がNo1だ……
今回は下ネタなしかぁ……寂しいなぁ……
(読後)
↓
えっ、何この良い話ッッ!!!!
100点持ってけぇ!!!!!
山彦がすごく良い感じにしあがっている……!
しかしコメント欄に下ネタがないことに言及している人がちらほら。……よし、他の作品を探してきます。
苦情きて凹む響子ちゃん可愛い