Coolier - 新生・東方創想話

多々良小傘は天に微笑む

2011/07/19 00:09:19
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十六夜咲夜は涙を拭うから繋がっているお話ですが、読んでなくてもいいです。



0.Voices Inside (Everything is Everything)
 退屈、退屈、退屈。
 退屈とは何なのだろう、退屈すぎてわからなくなってしまった。
 図書館で辞書でも借りようか。

 言葉の意味なんてどうでもいいんだけど。


 一人目は耳をちぎった。
 二人目は目をつぶした。
 三人目は喉をきりさいた。
 四人目は脚の腱をとりのぞいた。
 五人目は腕の筋肉をやきつくした。
 六人目は指の骨を粉々にくだいた。
 七人目は胸にナイフをつきたてた。
 八人目は脊髄を三つにわけた。
 九人目は脳を一つにくっつけた。
 十人目はそれらすべてを。


 どれもこれも退屈だった。否、退屈ではなかったが、一瞬だった。その一瞬を見るために生きるのも悪くはないかもしれない。壊れる瞬間の生の発露。とても綺麗な感情。切り取って何処かに保存出来ればいいのに。そうすれば退屈だってまぎれる。保存出来ないから綺麗?なら、私はいつまで経っても退屈だ。

 でも。
 いつかは退屈じゃなくなると信じれば。
 いつかは報われるかもしれない。
 報われたい。


 n人目は私を赦すか、否、きっと退屈だろう。



1.Hey, Hey, My, My (Into the Black)
 十六夜咲夜の仕事は多い。
 彼女はほとんど私物のない小さな自室で、頬杖をつきながら大きなため息をついた。
 また一人、メイド妖精が消えた。元々妖精は自然に生まれ、自然に消えゆく存在ではあるが、ここ最近は明らかに消滅するペースが速い。異変といえば異変なのかもしれないが、そもそも妖精の生き死にの条件など十六夜咲夜にとっては興味の対象外であった。
 彼女が考えなければならないことはただ一つ、紅魔館の人事についてである。
 「これはちょっと……まずいわね。どうしたものかしら。」
 そう呟きながら彼女は机の上の大きな紙を一枚取りあげた。そこにはメイド妖精の総数、一人一人のこなすべき仕事量、やらなくてはならないタスクなどがびっしり書き込まれていた。これを作成することもまた、彼女の仕事である。
 もう一枚の紙を取り上げた。先月の分である。やはり明らかにメイド妖精の数が減っている。おかしい。そもそも妖精なんてものは一ヶ月やそこらで消滅するようなものではない。何かしら原因があることは間違いない。しかし紙ばかり見つめていてもわかるものではない。今考えなくてはならないことは――
 「どう考えても、今月中にはすべての仕事が終わりそうにないわね……。」
 どうにかして人員を補充するか、仕事量を減らすように交渉するか。後者であればお嬢様にも相談しなくてはならない。彼女がそんな要求を呑むだろうか――呑まないだろう。となれば人員補充しかないのだが、メイド妖精なんてものは勝手に生まれるものであって、咲夜がどうこう出来るものではない。完全に手詰まりである。
 やはり原因を突き止めるしかないのかもしれない。しかし、その原因がわかったとして、どうにか出来るものなのかどうかという確証はない。その原因を見つける時間、解決する時間――その間にもメイド妖精の数は減っていくかもしれない。そうなれば紅魔館の運営は立ち行かなくなるだろう。今でさえかなりギリギリなのである。
 「ほんとに……どうしたものかな。」
 彼女は時計を見た。そろそろ寝なくては明日の仕事に支障が出る。じわじわと染み出してきた頭痛を手で押さえながら彼女はベッドへ潜り込んだ。
 十六夜咲夜の仕事は、多いのである。



2.Baby's So Much Fun to Dream About
 十六夜咲夜は今も花々の世話をしている。
 彼女はほんの少しだけ花の勉強を始めた。少なくとも、自分が育てている花の名前ぐらいは知っておいても損はないだろうと思ったのだ。特性を知れば、効率化も図れるかもしれない。そんな思いもあった。
 いつものように如雨露に水を汲み、決まった順路で水を遣る。照りつける太陽の光が身体に染み込み、軽い目眩を引き起こす。明日から帽子か何か身につけてきた方が良いかもしれない。そんなことを考えながら懐から懐中時計を取り出した。――そろそろかな。
 十六夜咲夜は真顔で、いつものようにいつもの場所に目を遣った。そこには傘と鍬を持ち、何故か泥まみれの格好で走ってくる多々良小傘の姿があった。
 「うおー!米じゃ!米を寄越せ!我慢の限界じゃ!わいらが虐げられてばかりと思うな!うおお!うおおおお!」
 今までとは少し違う趣向なのだろうか。十六夜咲夜は小さくため息をつきながら、手に持てるだけのナイフを持ち、一本一本正確に小傘の方に投げつけた。
 「甘い!そう何度も同じ技を喰らうわちきではない!見切ったッ!」
 そう叫びながら小傘はナイフとナイフの間をギリギリのところでかいくぐり、地面を蹴って一気に咲夜の近くまで距離を詰めた。咲夜は吹いたこともない口笛を吹きながら懐中時計を手に持ち、時を止めた。
 物凄い形相をして鍬を振りかぶっている小傘が空中で静止する。咲夜はにこにことしながら小傘の頭を撫でた後、目だけを冷たくして首に手をかけ、時を動かし始めた。
 「うぎゅ!?」
 小傘が素っ頓狂な悲鳴を上げ鍬を手から落とす。咲夜はじわじわと手に力を加えながら静かに喋り始めた。
 「ごめん、私、今結構機嫌悪いから――殺しちゃうかもしんない。」
 「もっ!?」
 小傘は予想だにしていなかった咲夜の発言に目を大きく見開き、手足をばたばたを動かし始めた。咲夜はゆっくりと口角を上げながら続ける。
 「もう何かね……。何から言えばいいのかな?そうだなぁ。米って何?あなた、うちの食料を強奪しようとしたの?」
 小傘は必死に手を横に振った。顔が真っ赤になっている。そろそろ限界かもしれない。しかし咲夜はぴくりとも動かなかった。更に口調をゆっくりとさせながら続ける。
 「大体その格好は何?泥まみれで鍬なんか持っちゃって。あ、村人風?一揆みたいな?へぇー。流石に村人さんたちのこと馬鹿にしすぎじゃないかなー。」
 小傘は最後の力を振り絞って咲夜の腕を叩き続けたが、それでも咲夜は一切動じなかった。
 「小傘ごめんね。ちょっと私もうだめだ。止められそうにない。ごめんね。ごめんね。お別れだね。」
 小傘は顔を真っ青にしながらぽろぽろと涙をこぼし、咲夜の方を見つめた。咲夜は一瞬だけ悲しい顔をしたが、すぐにはにかみ、全力で小傘の首を絞めた。



3.One of These Things First
 「死ぬがど思っだああああああ!ほんとじぬがど思っだあああああ!あああああああ!あああああああああああ!」
 十六夜咲夜は意識を失った小傘を自室に連れ込み、ベッドの上に寝かせ、団扇でぱたぱたと扇いでいた。小傘はすぐに目を覚まし、周りを見渡し、咲夜の姿を見た途端に泣きながらそう叫んだ。
 「あー……。ごめん。ちょっとやりすぎちゃった。」
 頭をかきながら咲夜は申し訳なさそうな顔で小傘に謝罪したが、小傘は咲夜に飛びついて襟を掴みながら泣きわめき続けた。
 「ああああああ!ふああああああ!怖かった!マジ怖かった!悪趣味すぎる!何なのあれ悪趣味すぎるよ怖かったあああああああ!鬼!悪魔!悪魔の鬼!もおおおおおお!」
 「いやだからごめんって……。お詫びに何か美味しいもの作ってあげるから……。ね?」
 「いやいやいやいやいや!今度ばっかりは!マジで!本気で!死ぬとこだったから!わちき色んな思い出甦ってきちゃったから!一生養って貰うからね!トラウマ治るまで賠償金とかせしめるよ!?閻魔様に訴えたらわちき勝てるよ!?今回は流石に!」
 「うるさいな。」
 咲夜は真顔になって思い切り小傘の頬をひっぱたいた。思ってもいなかった出来事に小傘は身をよろけさせ、そのまま地面に尻餅をついた。
 「え、ええー……?」
 彼女は信じられないという面持ちで、殴られた頬をさすりながら咲夜の方を見つめた。
 「あーもー……ほんとごめん。だめだ。だめすぎる。ごめんね……。最低だわ私。」
 咲夜はそう言って机に突っ伏した。小傘が立ち上がり、彼女の顔を覗き込もうとする。
 「何かあったの?」
 「んー……?んー……。色々とね……。心配してくれてありがとう。でも大丈夫。今日はごめんね。また何かひどいことするかもしれない。だから今日は――」
 「わちきに出来ること、何にもない?」
 咲夜は顔を突っ伏したまま横目で小傘を見た。酷く心配そうな顔をしている。あれだけのことをされたのに。

 そうか、人手――いやでも。
 「うん。ありがとう。本当にありがとう。でもこれは、うちの問題だから。」
 「そういうの良くないよ。」
 「えっ?」
 小傘はほんの少し怒っていた。十六夜咲夜は、多々良小傘のそんな顔を一度も見たことはなかった。
 「わちきに出来るかどうかはわちきが決めるよ。前にも言ったけど、わちきはどうにか恩返しがしたいの。ちょっとぐらいの無茶なら出来るよ。――ねぇ、何があったか教えてよ。」
 「……。」

 咲夜は黙って小傘を見つめ続けていた。小傘の表情は真剣だった。彼女は少しだけ、悲しくなった。
 結局、私はこの子のことを信用しきれてないのかもな。
 素直になれ、か。
 「わかった。小傘、ちょっと頼みがあるんだけど……。」
 咲夜は姿勢を正し、小傘に話し始めた。



4.Come on in My Kitchen
 「いえーい!これ着てみたかったんだよね!」
 小傘は咲夜の話を聞くと机の上に乗り出し、二つ返事で快諾した。たまたま咲夜の部屋にあった昔のメイド服を着て、小傘は喜色満面でくるくると回っている。
 「どうどう?似合うー?わちきこういうの着たことないからよくわかんないんだけど。いいなぁフリル。フリルってかわいいよねー。これ貰ってもいい?仕事終わったら貰っていい?」
 姿見越しに彼女は咲夜に意見を求めたが、咲夜は不安を感じていた。本当にこの子に任せて良かったんだろうか。
 「まぁ……。似合うかどうかはどうでもいいわ。多分、それが物凄い勢いで汚れてくような仕事しかないし。」
 「えっ。」
 小傘は笑顔をひきつらせながら咲夜の方に振り向いた。咲夜は無視してドアノブに手をかける。
 「ついてらっしゃい。一応お嬢様に挨拶しないといけないから。後、今日からあなたは私の部下ってことになるから、『咲夜さん』じゃなくて『メイド長』と呼ぶように。呼び間違えたら今まで以上に覚悟しといてね。後、仕事のミスとかも、うん。私が色々確認するからね。わかるわよね?」
 そう言って彼女はさっさと部屋から出ていった。取り残された小傘がぽつりと呟く。
 「あれ……?もしかしてわちき、予想以上にヤバいこと
に首突っ込んだかな……?」


 「待ってよさ……えーっと、姉御?姉御歩くの速いよー。」
 「誰が姉御だ。」
 咲夜は後ろを走ってついてくる小傘に対して振り返りもせずナイフを投げつけた。小傘はなんてことないようにそれを避け、続ける。どうやら本当に避けることに慣れてきたらしい。
 「メイド長より姉御の方がかっこいいよ。姐さんでもいいよ。咲夜姐さん。」
 「あのね……。遊びじゃないのよ。本当に困ってるの。大分時間も使っちゃったし……。全く……。」
 そう言って咲夜は、神経質に爪を噛みながら歩調を更に速めた。
 「うーん。何でメイド妖精さんはいなくなったのかねぇ?」
 小傘は咲夜の横に出た。走るのを諦めて飛んでいる。咲夜は前を見据え続けながら答えた。
 「知らない。興味がないわ。」
 「一緒に働いてたのに?」
 小傘は不思議そうな顔をしていたが、咲夜はそれを見ようともしなかった。
 「モップだって壊れたら取り替えるわ。」
 「……ま、その辺はわちきがどうこう言えないけど、さ。道具だって忘れられたら悲しいもんだよ。」
 「忘れたわけじゃない。でも換えがないと困る。」
 「さいですか……。」
 小傘はほんの少し不満そうな顔をしたが、咲夜はきっと立ち止まったので自分も着地した。お嬢様――レミリア・スカーレットの書斎の扉は、華美な装飾が施されているこの館にしては地味なものだと彼女は感じた。案外、質素なものを好むのかもしれない。
 咲夜はすぐさま扉をノックし、「失礼します」とだけ呟き、返事も待たずに部屋の中に入っていった。小傘がすぐその後をひょこひょことついていく。
 「茶の代わりはまだいらんよ。」
 レミリア・スカーレットは二人の方を見ようともせず、机に肘をつきながら何かの本を読んでいた。咲夜はそっと扉を閉め、そこから動かずに話し始めた。
 「お嬢様、新入りに挨拶させておきたいのですが。」
 レミリアは目だけを動かし二人を見た。本を閉じて机に置き、ティーカップに口をつけ、再度視線を本に遣る。
 「ああ……なるほど、多々良小傘か。」
 「え?」
 咲夜は驚いた。小傘のことをお嬢様に話したことはない。
 そういえば、とふと彼女は思いだした。前の花の時も、お嬢様は何かを知っていた。知っていたからこそああ言ったのであろう。てっきり運命視を行ったのだと思っていたが――もしかして、彼女と知り合いなのだろうか。
 「初めまして!多々良小傘です!いつも咲夜さんにお世話になってます!これからガンガン働いてくつもりなんで宜しくお願いします!」
 「レミリア・スカーレットだ。よろしく。」
 小傘は丁重に頭を下げた。この口振りからすると、彼女とお嬢様が初対面であることは間違いない。やはり運命視だったのだろうか。いや――しかし?
 何とも言えない違和感を覚えながら咲夜は発言した。
 「この子を一時的にうちのメイドにします。宜しいですよね?」
 「ああ……かまわん。というか、お前に人事権も与えてるだろうに。お前が良いと思うなら良いんじゃないか。」
 「ありがとうございます。」
 レミリアは空になったティーカップを静かに机に置いた。
 「メイド妖精も減ってきてるしな。」
 「……お気づきになられてたんですね。」
 「当たり前だろう。」
 レミリアはなんてことないようにそう言って、読みかけの本を読み始めた。咲夜は生唾を飲み込んだ。
 「何故対策をお取りになられないのですか?」
 「何故だろうな?」
 「……私の仕事、だからでしょうか。」
 「違うよ。」
 「……?」
 レミリアは本に視線を遣ったまま動かそうとしない。咲夜が続きを待っていると、彼女はゆっくりと口を開いた。
 「お前にどうこう出来ることではない。そしてこれは、私にもどうしようもない。そういうものだ……。まぁ、そのうち落ち着くだろう。」
 そう言って彼女は少しだけ微笑んだ。咲夜は驚いた。お嬢様が微笑む姿などほとんど見たことがなかったし、彼女が「自分にはどうしようもない」などと発言することが信じられなかった。意図を掴めずにイライラしているうちに、レミリアは更に続けた。
 「小傘を何処の担当にさせるかは決めたか?」
 「まだです。これから決めさせて頂きます。」
 「そうか。じゃあフランの世話をさせてやってくれ。」
 「はぁっ!?」
 咲夜は思わず素っ頓狂な声を上げ、主に近寄った。小傘は二人の会話に入ることが出来ず、入り口のあたりでそわそわとしている。
 「お嬢様!お言葉ですが――」
 「二度言わせるな。そいつにフランの世話をさせろ。私からは以上だ。」
 「お嬢様!」
 レミリアは咲夜を睨みつけた。咲夜が二の句を飲み込む。
 「咲夜、お前はいつから私に口出し出来るようになったんだ?」
 「ッ……!それでも!」
 「死なれるのが嫌ならお前が守れ。」
 「……そうさせてもらいます!」
 そう言って咲夜はきびきびと入り口の方に歩き、大きな音を立てて部屋から出ていった。出ていくタイミングを失い、一人取り残されて困惑している小傘が申し訳なさそうに質問した。
 「あ、あの……?」
 「ん?ああ、行っていいぞ。もうここに用はないだろう。」
 「いや、あの、死ぬ……って?え?わちき死ぬかもしれないんですか……?」
 真剣な小傘の表情を見ながらレミリアはくくっと笑った。その笑顔は、間違いなく悪魔のそれであった。
 「私の能力はな、運命を操ることが出来るんだ。自分の運命も、他人の運命も。」
 「……?はぁ。そうなんですか。」
 「お前は死なないよ。私にはわかる。」
 「あっ、はい。」
 「多分な。」
 「えっ?」
 「外れることもあるのさ。若しくは、私が意図的に外れるようにするんだがな。」
 「えっ?……えっ!?」
 「ま、精々しっかりと働いてくれよ。私に殺されないようにな。」
 「えっ、ちょっ?ちょ、ちょっと!?」
 「さっさと行った方が良いんじゃないか?咲夜が時間にうるさいことは知ってるだろう。いきなりどやされてもつまらんだろうに。」
 小傘は扉とレミリアを交互に見て、怯えた表情で扉を押しあけ、そのまま廊下へ飛び出していった。

 レミリアはゆっくりと閉まる扉を見ながら独語した。
 「なるほどな。咲夜が執心するわけだ。」
 そしてもう一度くつくつと笑って。
 「あんなに虐めがいのある妖怪は初めてだ。」
 レミリアは嬉しそうに本の続きを読み始め、扉はがたんと音を立てて閉まった。



5.臆病者が突き詰めるブルース
 「ちょ、咲夜姐さーん。咲夜姐さん待ってー。置いてかないでー。迷子になるからー。こんな広いとこに放置されたらわちき迷子になるからー。迷子になった挙げ句に夜中『姉御ー?姉御どこー?』ってわめき続ける妖怪になっちゃうよー。いいのー?鬱陶しいよー。それ凄く鬱陶しいよー。ねー?メイド長?咲夜さん?おーい。」
 咲夜を追おうとしたは良いものの、どちらに向かったか皆目検討もつかず、とりあえず彼女の自室の方へ向かったはずなのだが――おかしい。もう1時間近く歩き続けているのに突き当たりにすらぶつからない。この館は一体どうなってるのだろう。
 小傘は諦めずに歩き続けた。とにかく、誰かに会ってさえしまえばなんとかなるはずである。メイド妖精だって全くいなくなったわけじゃないし、他の住人だってきっといるはずだ。そう考えて歩き続けると、渡り廊下のような場所に出た。窓がないのでわかりにくいが、別の建物に繋がっているようである。
 そのままとぼとぼと歩いていると、巨大な空間、そして巨大な扉にぶち当たった。扉には何か文字が彫り込まれている。彼女にはそれを読むことは出来なかったが、何か重要な施設らしいことはわかった。
 中に入ろうとしたが取っ手がない。そもそも手で開けられるようなものではなさそうである。近くをうろうろとしていると、小さな――少なくとも、その扉に比べれば――通用口らしきものを発見することが出来た。
 「すいませーん……。お邪魔しまーす……。」
 彼女はそっと呟きながら中へ進入した。通路のあちこちに本が積まれている。何となく一冊手にとってぺらぺらとめくってみたが、どうやら和書ですらないらしい。彼女は口を尖らせながら本を元あった場所に置き、結局何一つ情報を得ることが出来ないまま、その道を歩き続けた。
 「ううーん。倉庫か何かなのかな?でも本だらけだし……。あ、でもお嬢様も本読んでたか。好きなのかな……。」
 ふっと広い空間に出た。この館で一番大きな空間ではなかろうか。ところ狭しと本棚が並び、その本棚にはびっちりと本が押し込まれている。彼女は軽い目眩を覚えた。その刹那――
 「曲者ッ!」
 突然彼女に向かって大量の弾幕とクナイが降り注いだ。彼女は驚きながらもさっと後ろに飛び、狭い通用口に逃げ込んだ。背中にしょっていた傘を真正面に構え、周囲を警戒する。
 ――これはまずいとこにきちゃったかもなぁ。話さえ聞いてくれればなんとか……。
 そう考えていると今度は通用口を埋め尽くすかのように弾幕がばらまかれた。これじゃ避けきれないと判断した彼女は進路上の弾を傘で切り払いつつ、もう一度内部へと飛び込んでいった。
 「へぇ……逃げずに向かってくるとはいい度胸ね。本泥棒さん。」
 赤髪の妖怪がそう言いながらこちらを狙っていることを確認した彼女は、傘を開いて滅茶苦茶に弾幕を展開した。当たらなくてもいい、兎に角目を眩ますことが出来れば――
 「甘い!」
 赤髪の妖怪は的確に小傘の弾幕を避けて接近してきた。既に魔法陣を展開している。
 小傘は思い切り息を吐きながら突っ込んで行き、赤髪の妖怪の脳天に傘を打ちつけた。自身の身体にも多少の衝撃が伝わる。赤髪の妖怪はバランスを崩し、そのまま墜落していった。どうやら気絶しているようである。

 「あ、危なかったー。もうやだー。本気でわちき死にかねないよー……。」
 ゆっくりと着地した小傘はへなへなと地面に座り込みつつ息をついた。しかしどうしたものか。人がいたのはいいが、倒してしまった……。意識を取り戻しところで話を聞いてもらえればいいのだが。
 「あら……。新しいねずみかしら。素敵な服装ね。何処かで見たことがあるような……。ああ、昔の咲夜のメイド服だったかしら?なるほど、服泥棒でもあると……。タチが悪いわ。」
 聞きなれた名前が発音されるのを聞いて小傘は振り向いた。そこには紫髪の妖怪が――先ほどよりも遙かに多い魔法陣を展開しながら――小傘のことを半眼で眺めていた。
 「今日は調子が良いから……。そうねぇ、実験中の魔法と思案中の魔法どっちが良いかしら。あなたが選んで良いわよ。」
 「ちょちょちょちょちょっと待ってください!私は咲夜さんの友達で!今日から新しいメイドで!働く!小傘です多々良小傘です!ほんとです嘘じゃないです咲夜さんかレミリアお嬢様に訊いてください!ちょっと迷っちゃったんですお願いします助けてください!」
 先ほどの戦闘でへろへろになっていた小傘は声を張り上げて命乞いを始めたが、紫髪の妖怪は半眼のまま動こうとしない。
 「へぇ……。咲夜に友達?ふーん。あの子に友達が……。へぇー。そうなんだー。」
 「そうですそうなんですよいやほんとに!めっちゃ仲良しです!」
 紫髪の妖怪はそれを聞いて一つ二つと魔法陣を消し始める。
 「まぁ……。信じてあげようかな……。――でも。」
 「へっ?」
 「小悪魔をやった代償ぐらいは払ってもらわないと。」
 そう言って彼女は小傘の方を指さし、残った魔法陣から色とりどりの魔法を発動させた。



6.Tomorrow Never Knows
 「あーそうなんだ。あー……。あー、まぁ、大丈夫。手加減はしといたから。多分……。うん。適当に迎えにこさせるから……。レミィ?笑いすぎじゃない?どれだけご機嫌なのよあなた。」
 小傘は紫髪の妖怪の笑い声で目を覚ました。どうやらまた気絶していたらしい。一つか二つ、スペルカードを攻略して――その後か。流石に疲れた……。もうちょっとこのまま寝てようか。そう思った途端に紫髪の妖怪が彼女に気づいた。
 「あら。起きたのね。目覚めはいかが?」
 「……最悪、ですかね。」
 「あらあら。じゃあもうちょっと寝とく?」
 小傘は首を横に振って起きあがり、目をこすった。
 「ごめんなさいね。まさか本当だったとは……。しかし妖怪がここのメイドにねぇ。どんだけ人手が足りないんだか……。レミィ、あなたどうするつもりなの?」
 紫髪の妖怪は小さな魔法陣に向かって喋り続けている。
レミィと言うのは、先ほどのレミリアお嬢様のことだろうか?
 「ま、あなたが何を考えてるのかなんて考えても仕方ないけど。あんまり咲夜を虐めない方がいいわ。そろそろ壊れちゃうわよ。あの子。」
 レミリアお嬢様は咲夜さんを虐めてるのか。そんなことを思うと何となく嫌な気分になる。やっぱりもう少し寝ておけば良かったと小傘は思った。
 「ん?……ふーん。そうなの?なるほど。でも……大分危険な賭けじゃない?勝算はあるの?また分の悪い博打じゃないでしょうね……。……ああそう、そうなの。じゃ、私もそれに乗ることにしましょうかね……。じゃあまた。」
 紫髪の妖怪はそう言ってそっと魔法陣を指でつついた。魔法陣は即座に霧散した。そしてそのまま彼女は小傘の方を向き、頭を下げた。
 「本当にごめんなさい。もうすぐ咲夜が迎えにくるから、ここで待ってて頂戴。」
 「はい……。えっと……。その、あなたのお名前は?」
 紫髪の妖怪はふわりと髪をかきあげた。
 「私はパチュリー・ノーレッジ。七曜の魔女とか、動かない大図書館とか呼ばれてるけど、好きに呼んでくれて構わないわ。」
 「大図書館さんですか。」
 「それはやめてほしいわね。」
 「ここは図書館なんですか?」
 小傘は周りを見渡した。「大」という形容詞で本当に表現しきれているのか不安になるほど広大な空間、大量の本棚とそこにある本、そしてそんな中ぽつんと配置されている、今自分が座っているベッド。彼女――パチュリーのものなのだろうか?何となく彼女の服と色合いが似ている。
 「ええ、そうよ。あなたが読める本があるかどうかわからないけど。」
 「多分ないです。」
 「正直ね。」
 パチュリーはくすくすと笑った。小傘は鼻の頭をかきながら質問を続けた。
 「あの、あなたは、紅魔館で働いてるんですか?」
 「いえ、違うわ。私はレミィの――レミリア・スカーレットの友達なの。ここに住まわせてもらってるだけ。」
 「そうなんですか……。」
 あの気難しそうな人とどうやって友人になったのだろう。しかし、良く考えてみれば咲夜さんだって相当偏屈な人ではある。そういうものか。
 今度はパチュリーが質問を始めた。
 「ところであなた、妹様の世話をするんだって?」
 「妹様?」
 「ええ……。あれ?聞いてないのかしら。フランドール・スカーレット。レミィの妹よ。」
 「ふえー……。あの人の妹ですか……。」
 小傘は先ほど会った、自分の主人となる妖怪を再度思い浮かべた。確かに何となく不気味な感じはあったが、突然襲いかかってきそうな雰囲気はなかった。殺されるとはどういう意味なのだろう。
 「しかし……私に勝てないで妹様の世話って、あなた大丈夫なの?」
 「えっ?」
 「……もしかして本当に何も聞いてない?妹様の能力は『すべてを破壊する能力』。それがなんであろうと、妹様の気分次第で破壊される。そして困ったことに――妹様はいつも不機嫌なの。自制しないのよね。だから地下牢に囚われている。」
 「えっ……。」
 「ま、頑張りなさいね。少なくともレミィはあなたに期待してるみたいだから。」
 そう言ってパチュリーは手近な本を手に取り読み始めた。小傘は困惑していたが、何をどうしていいかわからなかった。ただそこにじっと座り続けていた。

 「失礼します。」
 咲夜の声がして二人は通用口の方を向いた。彼女はイライラした態度を隠そうともせず、小傘の方に近づき、首根っこを掴んで持ち上げた。
 「パチュリー様申し訳ございません。すぐに撤去しますので。」
 「撤去って……。友達じゃないの?あなたたち。」
 「今はメイド長とメイドでしかありません。」
 「あっそ……。」
 パチュリーは興味なさげに再度本に目を遣った、そして何かを思い出したかのように、出口に向かっている二人にこう言った。
 「小傘。あなたはレミィを冷たいと思うかもしれないけど、あの子はちゃんと考えてるわ。色々とね。それは、あなたが思う以上に。そしてそんなレミィからの伝言。『お前に出来ることだけやれ。』だってさ。」
 二人は後ろを振り返った。咲夜は怪訝そうな顔をしていたが、小傘は何かに勇気づけられたかのように、嬉しそうに手を振った。
 「ありがとう大図書館さん!またね!」
 咲夜は何となく彼女を小突き、先に出口に向かった。小傘は納得のいかない表情でその後をついていった。


 「またね、か。」
 パチュリーは独語した。
 「ま、会えたらいいわね。」



7.Death, When You Come to Me
 「あなたもう妹様がどんな人か聞いたかしら。」
 咲夜はランタンを持ちながら螺旋階段をゆっくりと降りていた。その表情はとても険しかった。
 「うん――何となくは。」
 「そっか。」
 小傘が気軽に答えたことが咲夜の胸に重圧となって押しかかった。どうしてお嬢様はあんなことを言い出したのだろう。小傘が――もし小傘が、壊されてしまったら。
 「やめても良いわよ。」
 「やめないよ。」
 相変わらず小傘は飄々と答えた。やめてほしい。どうしてもと言うわけではないのだ。そんな危険を犯す必要がない。
 「危なくなったら――危なくなったら逃げなさい。何も考えずに。」
 「大丈夫大丈夫。ちゃんと秘策があるんだから。」
 「あなたの考えが一体何になるって言うの?」
 咲夜は足を止め、語気を強めて小傘を睨みつけた。しかしそれでも彼女は怯えた表情を見せなかった。
 「大丈夫。――ありがとう、咲夜さん。心配してくれて。でも、レミリアお嬢様も言ってたでしょ?わちきはわちきが出来ることだけやる。それで良いんだって。」
 「あなた……。」
 「わちきは嬉しいんだよ。だって、わちきの出来ることをして誰かに喜んでもらえるんでしょ?それって、わちきが本当にやりたかったことだもの。」
 「……。」
 咲夜はぎゅっと唇を噛み、拳を握った。そして軽く小傘の頭を殴った。
 「うえっ!?何で!?」
 「今『咲夜さん』って言ったでしょ。『メイド長』よ。」
 「ええー。今ぐらいいいじゃん……。」
 小傘は頭を押さえながらぶつくさ言っていたが、咲夜には聞こえていなかった。これから行うことが彼女にとっての幸せなのならば。それを願っても良いのだろうか?それが本当に幸せなのか?

 幸せとは。

 なんと馬鹿げた問いだろう。私は彼女を幸せにしてあげたいのだろうか。

 素直になれ。

 そう――なってくれればいいのだが。

 「……メイド長?」
 咲夜は小傘に呼びかけられて意識を取り戻した。兎にも角にも、地下室へ行かなければいけない。咲夜は思考を続けながら再度無言で階段を降り始めた。
 不安がじとじとと身体にまとわりついてくる。暑い。換気がなされてないからだろうか、少しずつ胸も苦しくなってくる。咲夜の呼吸が荒くなっていった。何だろう。この感覚は。何か――何か話していないと気が狂いそうだ。
 「ねぇ小傘。」
 「はい。」
 小傘は転ばないように壁に手をつきながらゆっくりと階段を降りていた。
 「あなたにとってこれが本当に幸せなのかしら?」
 「うーん、まぁやってみないとわかんないけどさ。」
 彼女はぴょんと飛び降りて咲夜の横に並んだ。
 「咲夜……メイド長の役にも立てて、誰かに必要とされて、うん。やっぱりそれって、わちきにとっては幸せなことだよ。」
 「……そっか。」
 十六夜咲夜は歩き続けた。不快な感覚を拭いきることが
出来ずにそのまま。

 「ここ、よ。」
 咲夜はいくつもの錠がなされた扉を指さしてそう言った。小傘は無言で首を横にごきごきと鳴らし、軽くジャンプしている。準備運動のつもりなのだろうか。緊張しながら咲夜は懐から大量の鍵を取り出し、一つずつ丁寧に手早く開けていった。
 「多分この時間なら妹様はもう起きてる。絶対に油断しないでね。少しでも機嫌を損ねたら一瞬で灰にされるかもしれないから。そしたらいくら私でも守りきれない。……聞いてる?」
 小傘は退屈そうに傘を閉じたり開いたりしていた。今更ながら、メイド服に大きな雨傘というのはかなり珍奇と言うか、人を小馬鹿にしているように見えた。咲夜はますます不安になったが、覚悟を決めて最後の錠を取り外した。
 「行くわよ――失礼します。」
 扉は重々しく開き、沈殿した空気と埃が動き始めた。

 「あら……咲夜か。ごきげんよう。お久しぶり。」
 「妹様、お久しぶりです。」
 フランドール・スカーレットは真っ暗な部屋の中央に立っていた。まるで二人を待ちかまえていたように。
 「久しぶりなのは咲夜だけ……。私にとってはこれぐらいの時間、大したことないもの。」
 そう言って彼女は濁った目でくすくすと笑った。咲夜はいつでも時を止められる準備をしつつも、用件を伝えた。
 「今日から妹様のお世話をさせて頂くメイドを連れて参りました……。今日はご挨拶ということで……。」
 「そうなの?ふうん。面白い子なの?」
 「――お気に召すかはわかりませんが。」
 髪の毛をいじりながら退屈そうに尋ねるフランドールを警戒しながら、咲夜は手で小傘に部屋に入るように促した。
 「さぁ小傘、挨拶しなさい。」
 「ねぇ咲夜。一つ良いかしら。」
 「はい。」
 急に不信感を露わにしたフランの言葉に咲夜の身体は一気に緊張した。



 「――あなた以外に誰もいないように見えるんだけど。」
 「えっ?」
 咲夜はとっさに後ろを振り向いた。いない。そこにいたはずの小傘が忽然と消え去っていた。まさか――まさか?全身の毛穴が粟立つ。もしや最悪の――

 咲夜は懐中時計とありったけのナイフを手に持ち、再度フランと対峙した。そして振り向いた瞬間、思わずナイフを手からぽとぽとと取り落とした。



 「そりゃぁー!」
 突然フランの背後から現れた小傘が、よくわからないかけ声とともに膝カックンを試みていた。フランは「あっ」と声を漏らし、地面に手をついた。その有様を十六夜咲夜は、まるで時を操作されているかのようにゆっくりと見ていた。



8.Everybody's Got Something to Hide Except Me and My Monkey
 「あー!ああー!そっちの、そっちの方向はだめですって!そっちは普通曲がっちゃいけない方向ぬあああああー!」
 「申し訳ありません妹様。今すぐこの子を躾るのでお許しください。」
 「え……。あ、うん。」

 咲夜はナイフで小傘を壁に張り付け、彼女の傘を開き、ゆっくりと傘の間接を逆に曲げ始めた。
 「小傘。人の話聞いてた?」
 「聞いててててっててええええててましたああああああ!」
 小傘の悲鳴を聞きながら咲夜はもう一本間接を持ち、ナイフを当てて削り始めた。
 「そうなんだー。それで何であんなことしたの?」
 「ふにゃあああああああああああ!?とっちょっそ洒落になんなっあっがっもっにゃあああ……。」
 咲夜は傘の柄を持って彼女の返事を待った。彼女はぜいぜいと息を荒げながら泣いている。
 「び……。」
 「び?」
 小傘は咲夜に卑屈な犬のような目を向けてもごもごと口の中で何か言ったが、聞き取ることは出来なかった。彼女はもう一度ナイフを手に持った。小傘がびくっと身を震わせ、叫ぶ。
 「びっくりするかなーと!」
 「えい。」
 咲夜は石畳の上に傘を思い切り叩きつけた。パーンと小気味の良い乾いた音が地下室に響く。一瞬間を置いて小傘が悲鳴を上げた。
 「みぎょおおおおおおおおお!?」
 「そっかそっかー。そうだよねーあなたの能力だからねー。うーんこれはちょっとフォローできないかなー。でも死なかっただけ良かったと思わない?」
 「ああああああ絶対骨折れたこれ絶対骨折れてるやばいこれやばいちょっと本気で洒落にならないわちきはここで殺されるんだ死んじゃうんだ嫌だああああ!」
 「あ、あの……?咲夜……?」
 遠くで二人のやりとりを見ていたフランがいつの間にか近寄ってきていた。咲夜は非常に良い顔をしながら、手に持った大量のナイフを傘の上に投げようとするのをやめて応じる。
 「あっ、妹様もやりますか?良いですよどんどんやっちゃってください。いくらでもナイフをお貸ししますよ!」
 「いや……やらないけど。って言うか凄い楽しそうな顔してるわね……。」
 フランはゆっくりと小傘の方に近寄っていった。
 「あなた、名前は?」
 「多々良……多々良小がはぁっ!」
 「咲夜、もうやめていいから。」
 「あっ、申し訳ありません。」
 咲夜はそう言うと傘の先を思い切り床にこすりつけるのをやめた。
 「多々良小傘ね。私の世話をしてくれるんだっけ?」
 「はい……。させて頂きますぅ……。」
 「そっか!じゃあ明日から宜しくね。」
 「えっ?」
 思わず咲夜が声を上げた。不審そうにフランが咲夜の方を向く。
 「『えっ?』って……。あなたがそう言って連れてきたんでしょ?良いわよ。気に入ったわ。この子。」
 「あ、は、はい。」
 「うん、びっくりしちゃった。驚くなんて何百年ぶりだろう。もっともっとびっくりさせてくれるのかしら?楽しみだわ。宜しくね小傘。」
 「ぜ、善処します……。」
 フランはにこにことしながら小傘の頭を撫でた。十六夜咲夜はその光景が夢か何かではないかと疑い続けていた。



9.Everybody Knows This is Nowhere
 「運が良いわねあなた。良くあそこから生きて帰ってこれたわ。」
 「ううう……。主に咲夜さんに殺されそうになってたんですけど……。」
 「まあまあ。粉々にならなかったんだから良いじゃない。」
 咲夜は小傘を担いで自室に戻ると、彼女の傘の補修を始めた。補修して彼女の身体が元に戻るのかはわからないが、何もしないよりマシだろう、という判断である。
 「でも……妹様?フラン様?そんなに危なっかしいんですか?優しそうでしたけど……。」
 ベッドの上に仰向けになりながら小傘が咲夜に質問する。
 「言ったでしょ……。あなた運が良かったのよ。これからも気に入られ続けてくれれば良いんだけど……。」
 咲夜はそう答えながらぼろぼろになった布を縫い合わせた。これは痛くないんだろうか?そう思って小傘の方を見たが、彼女はぴくりとも動いていなかったのでそのまま続けた。

 「なんであんなことしたの?びっくりさせてどうするのよ。」
 ある程度の補修が終わり、出来を眺めながら咲夜は小傘に尋ねた。彼女は少し唸ってから、答えた。
 「レミリアお嬢様は『お前に出来ることをしろ』って言ったんだよね?わちきが出来ることはこれぐらいだもの。それに……。」
 「それに?」
 小傘は何も言わなかった。目を腕で押さえながらじっとしている。咲夜は傘を机に立てかけ、辛抱強く小傘が発言するのを待った。長い沈黙の時間が流れた。寝てしまったのだろうかと思い、咲夜が立ち上がって布団をかけようとすると、とうとう小傘が口を開いた。

 「それに、わちきと咲夜さんが仲良くなったのも、わちきが咲夜さんを驚かせてからだから。驚かせることが出来たら、仲良くなれるかなって。」

 十六夜咲夜は何も言わなかった。多々良小傘もそれ以上は何も言わなかった。
 咲夜はそっと小傘に布団をかけ、彼女の頭を一撫でしてから電気を消し、部屋を出た。

 十六夜咲夜の仕事は多い。



10.Exotic Lollipop (and ohter red rose).
 暫くの間、紅魔館は平和だった。よって、十六夜咲夜も、平和そのものといえた。
 いつの間にかメイド妖精の減少も落ち着いていた。妹様が何かしていたのだろうか。そうは考えたくはない。もしそうであるなら、彼女がいつの間にか地下室から抜け出していることになる。しかし、落ち着いているのであれば、もう良いじゃないか。

 彼女はいつもの庭で、いつものように花に水を遣っていた。どれもこれもそらで名前が言えるようになった。相変わらず愛着がわくことはなかったが。しかしそれでもいいのだろう。この花たちは私を愛してくれているだろうか?
そんなことはないだろう。私もこの花たちを愛してはいない。だからそれは、不幸なことではない。

 多々良小傘は上手くやっていた。咲夜の想像以上だったと言える。フランは彼女の話をしきりに聞きたがった。咲夜も知らなかったが、彼女は様々な場所を転々としていたらしい。実に色んなことを知っているようだった。もしかしたら、本当は博識なのかもしれない。フランの世界は狭い。あの地下室しかない。だからこそ、余計に新鮮に感じられるのだろう。この館に、小傘以上に広い世界を持った者がいるだろうか?そういう意味では適任なのかもしれない。

 お嬢様が考えていたことはこれだったのだろうか。そうかもしれない。しかし何処まで小傘のことを知っているのだろうか。運命視とはそこまで視れるものなのだろうか。咲夜にはわからなかった。それが何となくではあるが、不快だった。
 そう――十六夜咲夜は多々良小傘のことをほとんど知らなかった。結構長く一緒にいたつもりだったが、彼女自身の話などほとんど聞いたことがないし、自分自身の話もほとんどしたことがない。する必要がないと思っていた。

 「必要があるかどうかじゃなくて、したいかどうかじゃないのかしら?」
 彼女の一人が語りかけてくる。
 それは、そうかもしれないね。
 「素直になりなさい。」
 なれたらいいね。
 「あなたが望むものはすぐ近くにある。」
 そうだね。
 「手に入れなさい。」
 それは駄目。きっと私は――
 「手を伸ばせば捕まえられるわ。」
 あの子を壊してしまうもの。

 「壊してしまえばいい。あなたはあの子を壊したがっている。破壊したがっている。手に入れようなんて生易しいものじゃない。破壊して、全てを掌握したがってる。」
 「黙りなさい。」
 十六夜咲夜は水遣りを早々に終え、館の中へと戻っていった。日差しは日増しに強くなる。彼女はふと、帽子をつけようとしていた自分を思いだした。


 「久しぶりに会おうかな……。」
 表層の十六夜咲夜が呟く。
 「ま、元気にやってることは間違いないだろうけどね。」
 表層の十六夜咲夜が笑った。



11.We are All Prostitues
 レミリア・スカーレットは廊下を一人で歩いていた。静かな廊下を一人で歩いていた。静かだと言うことはとても良い。五月蠅いよりもずっと良いことだ。彼女はそうした信条から、廊下で喋る者には罰を与えるようにした。その効果があったのかどうかは、わからない。
 文字が彫り込まれた大きな扉を後目に彼女は本が積まれている通路に入った。ここはあまり美しいとは言えない。普段から彼女はそう思っていた。いつか咲夜に行って広くして貰おうかとも思っていたが、友人の許可なしに行うのもあまり良いこととは言えないだろう。そのまま放置しておいても、あまり困ることはない。

 「やぁパチェ。お前はいつも静かで良いな。」
 彼女は図書館へ入るなり友人にそう挨拶した。
 「それは新しい皮肉か何か?」
 パチュリーは友人の挨拶を適当に受け止め、適当に返した。相変わらず本ばかり読んでいる。
 「いいや、誉めたんだよ。」
 「またあなたにしかわからない話かしら。」
 「そうかもな。」
 そう言ってレミリアは友人の近くの椅子を適当に引き寄せ、座った。
 「何か用?わざわざ此処へ来るような?」
 パチュリーは本を置いてレミリアを見つめた。レミリアは頭に手を置きながら答えた。
 「相談がある。」
 「相談?」
 怪訝そうな視線を受け止めながらレミリアは続けた。
 「メイド妖精の減少が止まっただろう。」
 「そうみたいね。あなたは賭けに勝ったのかしら。」
 「まだ途中さ。そして多分、私の負けだね。」
 「随分と弱気ね。」
 「根本的なところは何も解決していない。結局解決し得なかったのさ。またいずれ減ってくよ。」
 「あなたが手を貸せばすぐに終わることでしょう?」
 「それじゃ意味がないんだ……。あいつ自身がやらなくちゃな。」
 「じゃあ何を相談しにきたのよ。」

 「あいつが壊れちまってもいいか、私にはわからなくなったんだ。」



12.Mummy, I've had an accident...
 多々良小傘は幸せだった。彼女は毎日フランドールに自分の思い出話をしていた。自分の歩んできた軌跡を何処かに誰かにアウトプットすることがこんなに楽しいものだとは想像だにしていなかった。
 彼女は毎日楽しそうに階段を降り、フランのいる部屋に向かう。何を話そうか、どんなことがあっただろうか。それを考えながら行けば、薄暗い螺旋階段も何かのアトラクションかのように思えた。
 「失礼しまーす。」
 小傘は慣れた手つきで地下牢の錠を外し、中に入っていった。
 部屋の中は相変わらず暗かった。彼女はランタンを適当なところに置き、フランが気づくのを待った。しかし一向に現れる気配がない。寝ているのだろうか?
 「あ、小傘。いらっしゃい。」
 不意に横から声がした。そちらの方にランタンを持っていくと、フランは積み木を床一面に並べて小傘を待っていた。
 「どうもどうも。それは積み木……ですか?」
 「ええ。あいつが買ってくれたの。」
 「あいつ?」
 「お姉さま。」
 フランは嫌味ったらしく、ねちっこく発音した。前々から思っていたが、この姉妹は仲良くないのかもしれない。そもそも仲が良かったら、妹をこんなところに閉じこめっぱなしにしてはおかないだろうが。
 何にしろ小傘にとっては少し意外だった。フランが自分の話をしようとすることは全くと言って良いほどなかった。レミリアのことを「あいつ」と呼ぶのも今初めて知ったぐらいだ。ある意味打ち解けてきているのかもしれない。そう考えた小傘はにこやかに質問した。
 「積み木、お好きなんですか?」
 「ええ。大好き。私はこれが大好きなの。見てるとわくわくしてこない?何を作ろうかなって。どんな綺麗なものを作ろうかなって。」
 「そうですねー。わちきはあんまりそういうの得意じゃないから、変なものしか出来ないですけど。」
 「変なものでもいいのよ。綺麗だと思えばそれで良い。どんなに狂ったものでも。」
 フランはそう言いながら一人で積み木を拾い上げ、適当なオブジェを作り始めた。小傘は床に座り、それをランタンで照らしながら眺めていた。みるみるうちに建築のような何かが生まれていく。
 「おおー……これは……お城?ですか?」
 「何でも良いのよ。」
 フランは満足そうに自分の成果物を眺めていた。まるでトランペットに憧れる少年のような瞳で。そして彼女は目を閉じ、思い切りそれを蹴り倒した。
 「えっ!?」
 小傘は思わず声を上げた。フランは丹念に積み木を崩し続けている。一つとして二段以上残っている積み木がないように。
 「壊さなくちゃ次が作れない。」
 フランはそう言いながら積み木のパーツを一つつまみ上げ、対角線上に投げつけた。
 「壊さなくちゃ。」
 積み木があっという間に四方に散らばる。
 「次の綺麗なものは何かしら?」
 小傘は呆然としながらそれを見つめていた。身体が動かなかった。
 「でもね、私は思うの。」
 すべての積み木がフランの周囲からなくなり、彼女は恍惚とした表情で小傘を見据えた。
 「綺麗なものが壊れるときが一番綺麗だって。」



13.Break on Through (to the Other Side)
 「小傘は綺麗だから。」
 フランはそう言ってスペルカードを取り出し、小傘の至近距離で発動した。
 「本当に綺麗。」
 反応が遅れた小傘は回避しきれずにいくらか被弾した。
それでも致命傷とまではいかず、何とか体勢を整えることが出来た。
 「フラン様!」
 「うらやましいな。」
 フランの第二撃を必死に避ける。さっきよりも余裕があった。遊ばれているのかもしれない。――それなら、チャンスは今しかないはず!
 「私のために壊れてよ。」
 「やめてください!」
 小傘は叫びながらスペルカードを発動した。正直言って、倒せるとは思えない。隙をみて逃げるしか――
 「私は綺麗なものが見たいの。」
 突然フランドールが四人に増える。そのうちの一人が扉の前に立ち、小傘を狙っている。完全に退路を断たれてしまった。舌打ちしながら小傘はなるべく全方位に弾幕を張ったが、あまり効果は望めなかった。
 「次の綺麗なものは何かしら?」
 四人のフランが小傘に向かって無茶苦茶に撃ちつける。
 ――これはちょっと、無理かな!?
 小傘は覚悟を決め、扉を守るフランに向かって突貫した。そして思い切り、仕返しだと言わんばかりに至近距離で全力の弾幕を放った。


 小傘は一点突破を試み、見事に扉を守るフランを倒した――しかしそれだけだった。
 彼女は扉の前で床に突っ伏して倒れていた。他の三人の弾幕を避けきることが出来なかった。
 「すごいね小傘。良く頑張ったよ。」
 そう言いながらフランは小傘の右腕に焦点を絞り、思い切り手を握った。
 「ッ!?」
 小さな爆発音とともに小傘の右腕に鋭い痛みが走った。片目をあけて見てみると、ものの見事に右腕が消滅していた。傘はいつの間にか一人に戻っていたフランの足下に転がっていた。
 「ばいばい小傘。」
 フランは笑っていた。心の底から笑っていた。小傘はそれを、とても綺麗だと思った。
 フランが傘を踏みつけ手を開き、狙いを定める。小傘はすべてを諦めて目を閉じた。――何かを考える気力すらわかなかった。


 再度小さな爆発音。



14.誰を怨めばいいのでございましょうか
 小傘は不思議に思った。不思議に思えたことが不思議だった。――生きてる、のか?
 彼女は再度フランの方を見た。そこには小傘の傘を手に持ちながら、必死の形相でフランと対峙する十六夜咲夜がいた。
 「妹様……。いや、フランドール・スカーレット!あなたは!一体何をしてるんですか!?」
 「咲夜か……。お前が止めるとは思わなかった。」
 フランは余裕の表情で咲夜を睨み返していた。そして続ける。
 「お前は私に一番似てると思ったんだけど。」
 「ふざけないでください!」
 咲夜はフランに向かってありったけのナイフを投げつけたが、すべて軽々と避けられてしまった。
 「この子は道具よ。あなたが私にくれたのよ。私のもの。」
 フランは攻撃しなかった。まるで母親が子供を叱りつけるように、諭すように咲夜に話しかける。
 「あなたにもそれがわかるでしょう?」
 「例えその子が何であったとしても!私の友人です!大切な人なんです!」
 咲夜は時を止め、フランの周りにナイフを設置しようとした――が、途中で効果が切れた。否、咲夜の時間を破壊された。

 「じゃあ、あなたに返すわ。あなたは彼女を壊さずにいられるのかしら?あなたは何を望むのかしら?この子は何を望んでるのかしら?あなたはこの子の何を知っているのかしら?あなたはあなたの何を知っているのかしら?あなたは私の何を知っているのかしら?誰も彼も幸せになる方法があるのかしら?私の幸せは誰が保証してくれるの?あなたの幸せは?この子の幸せは?」

 フランはゆっくりと一息でそう言った。咲夜は肩で息をしながらその場に立ち尽くしていた。手に持ったナイフがランタンに照らされ妖しく光る。
 十六夜咲夜は何も言い返すことが出来なかった。フランは苦笑し、それ以上何も言わずに闇の中へと戻っていった。



15.It Makes No Difference
 小傘はふっと目を覚ました。何度か見たことがある天井。何処で見たのだろう。室内で寝たことはあまりない。何処だろう。此処は何処だろう。
 「小傘!良かった!目を覚ましてくれて!」
 聞き覚えのある声がする。ああ、そうか。咲夜さんの部屋だ。気絶する度ここで目覚めてる気がする。何で気絶してたんだっけ?
 「小傘……?小傘?ねぇ、ちょっと、ねぇ!返事ぐらいしてよ!」
 「咲夜さんおはよう。」
 特に気の利いた台詞など思いつかない。そういう時は、いつも通りでいいのだ。
 「おはようって……おはようって!あんたねぇ!私がどれだけ心配したと思って……。」
 顔に何か温いものがふりかかる。何だろう。これは何だろう。何となく、懐かしいような。何処かで感じたことがあるような。そう、そうか。これは涙か。泣いてるのは誰?咲夜さん?咲夜さんまた泣いてるの?どうして泣くの?泣いてる咲夜さんの顔は、見たくないんだけどなぁ。
 心配?心配って、何を?あれ?あ、あれ?何か痛い。どっか痛い。何だこれ?んん?
 「あれ!?わちきの右腕何処行った!?何でないの!?」
 「あんたって子は……ほんと……ほんと……もう……何なの?」



16.My, My, Hey, Hey (Out of the Blue)
 十六夜咲夜は泣いていた。小傘の無事に、いつも通りの反応に、そして自分の不甲斐なさに、情けなさに、無力さに、存在に。
 「泣かないでよ咲夜さん。」
 多々良小傘は微笑んだ。
 「泣くわよ……。泣くわよ!本当に……。私のせいだ……。私のせいだよ。私があなたをメイドになんか誘わなければ良かった。」
 十六夜咲夜は泣き続ける。多々良小傘は優しく微笑み続ける。
 「それは違うよ。」
 「そしたらあなたが怪我することなんかなかった!怪我で済んだからまだいいけど……。もしこれで死んじゃってたりしたら私……。」
 十六夜咲夜は泣き叫ぶ。多々良小傘は困ったように笑う。
 「ああ、うん、まぁ傘が無事ならわちきは全然無事なんだけどね。咲夜さんが守ってくれたから助かったね。妖怪だからね。割とすぐ復活するよ。頑丈なんだよ。」
 「ああ最低だ私……。私の責任のことばかり……。違うそういうんじゃない、小傘が無事で良かった。もう怪我とかしないでほしいの。心からそう思ってるの。」
 十六夜咲夜は多々良小傘の手を取ってそう言った。多々良小傘は困りながら答える。
 「えーっと……。咲夜さんわちきの話聞いてた?」
 「ごめん、全然。」

 多々良小傘は笑った。大笑いした。十六夜咲夜が困惑する。
 「あのね咲夜さん。わちきは全然後悔してないよ。寧ろやってて良かったよ。うん。まぁ色々痛い目とかにもあったけど、楽しいこともいっぱいあった。何より嬉しかったんだ。わちきのことを道具なんかじゃないって。大切な友人だって。そんなこと言われたの初めてだから。凄く嬉しかった。」



 多々良小傘は天に微笑む。


 「これからも友達でいてね。」







 
Special Thanksと言う名のBGM(聴いてた順)
Sly & The Family Stone / Fresh
Little Richard / The Essential Little Richard
Zach Hill / Face Tat
Lou Reed / Berlin: Live at St.Ann's Warehouse
Fishmans / Long Season
Police / Reggatta De Blank
XTC / Nonsuch
Mariah Carey / Unplugged
The Beatles / The Beatles (White Album)
LFO / SHEATH
三上寛 / ひらく夢などあるじゃなし
フード・ブレイン / 晩餐

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パチュリーはフラフープめっちゃ上手そう。「まぁ確かに病弱だけど、フラフープぐらいなら出来るから。余裕だから。」とか言いながら三つとか四つぐらい余裕で回しそう。「いや腰使いの話はしてないからね。腰使いの話はしてない。」と良くわからないことを言いながらフラフープを回し続けるパチュリーかわいい。
いぬじに
http://twitter.com/inujini_
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コメント



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2.80名前が無い程度の能力削除
さすが小傘ちゃん。さでずむな方々に大人気
6.90名前が無い程度の能力削除
うん
8.90奇声を発する程度の能力削除
とても良いお話でした
小傘ちゃん可愛い
9.80名前が無い程度の能力削除
面白かったです
10.70桜田ぴよこ削除
せやな。
12.90名前が無い程度の能力削除
作者様の書く小傘ちゃんをもっと見たくなりました。
15.100愚迂多良童子削除
フランとはその後どうなったのだろうか・・・
あと、咲夜がどうして小傘に破壊衝動を抱くのかも気になる。
続編を希望します!
23.80名前が無い程度の能力削除
フラフープ回すパチュリー面白すぎる。この後、咲夜が小傘と 友達 として付き合っていけるのか気になりますね。
25.90名前が無い程度の能力削除
やっぱ小傘はあたふた涙目になってんのが一番かわいそう
27.90factory_ay削除
いぬじにさんの描く物語好きです。
宜しければ、今度フランお嬢様の物語を書いて頂けると嬉しいです。
28.100名前が無い程度の能力削除
あなた作品は全て書き方は乱暴と言うか直截的なのだけど、
だからこそかナイーブなところに切れ込んだとき魅力があると言うか、
この話のラスト、咲夜が気持ちを吐き出す場面は正直綺麗だった。

あと小傘ちゃん可愛い。