Coolier - 新生・東方創想話

花果子旬報 ―春の号―

2011/06/10 04:58:34
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 部屋の中でひとり、私は携帯電話を前に目を閉じて唸っていた。
 ――来た!
 かっと目を見開いて画面を覗くと、そこには一枚の写真が念写されている。
 人かなにかが写り込んでいるのだが、ブレが酷く、それがなんであるかまでは分からない。
「・・・はぁ。まぁたハズレかぁ」
 もう二十枚ほど念写しているが、今日は碌な写真が写らない。
 写真のデータを消去して、携帯を折り畳んで机に置くと、腕を枕にして突っ伏した。
 念写の連続で疲労している上に、暖かな日差しが眠気を誘う。
 うつらうつらと意識を手放そうとしていると、片側だけ開け放った窓から風が強めに吹き込んだ。まだ肌寒い春先の風に撫でられて、身震いしながら目を開けると――ひとひらの桜の花弁が舞っている。
(もう春か)
 道理で眠くなるわけだ。部屋からあまり出ないから、季節感には疎い。
 壁に掛けられた暦は二月で止まっている。今はもう三月の半ばくらいだろうか。
 春の日差しに当てられていると、新聞作りに頭を悩ませているのがなんだか馬鹿馬鹿しくなった。相変わらず自前の新聞は大して売れないまま。そんなものをいつまでも作り続けて、一体なんの意味があるだろう。
 一度気分が落ち込むともう止まらない。
 そもそも、念写にばかり頼っているのがいけないのかもしれない。かもしれないと言うか多分そうだ。ほかの天狗は皆、自分の足、もとい翼でネタを集めている。ずっと部屋に篭って、お世辞にも写りの良いとは言えない写真ばかり並べて、そんなだから読者も手抜きだと思って見向きもしないのではないのか。やはり実際に現地で情報を得た者の書く文章は臨場感と言うか、迫力が違う。取材を行わない自分の新聞では、大手の新聞のように、事件当時の現場の雰囲気を活き活きと読者に伝えるのは難しく思われた。
 次第に、後ろ向きに考えることすら面倒になってくる。
(良いじゃない、春なんだから。ゆったりだらだらと過ごしていれば)
 そう思って再び意識を手放そうとしたとき、ふと頭にある疑念が生まれた。
 目の前には桜の花弁。今まで消去した写真の中には、恐らく無い。
 気怠い体を動かして、保管してあった他の天狗たちの新聞を引っ張り出して読み返す。黄ばむほど古いものから直近のものまで、大手から弱小まで大まかに目を通した。
「やっぱりそうだ」
 念のため、携帯に保存してある写真も全て見直す。
 そして疑念は確信に変わった。
 天狗の作る新聞は、基本的に事件を取り扱うものが多い。と言うよりほぼそれしかない。当然といえば当然で、元はと言えば周辺の勢力の敵情視察の報告書を面白おかしく書いたのが新聞の始まりだ。だからどこの新聞も、風景や自然を主軸にした写真が無い。精々が花見の宴会の写真に写り込む程度だ。
 ひょっとすると、これはちょっとした大発見かもしれない。
 自然や風景ばかりでは退屈だろうか。でも、ひとつくらいはそんな新聞があっても良いじゃないか。
 どうせ事件性の高いネタで競うことは難しい。なら、余所とは違う内容で売ってみるのも悪くない。
 思い立ったが吉日。浮き足立った私は携帯をポケットに突っ込み、久しく触っていなかったフィルム式のカメラと白紙に近い手帳を片手に家を飛び出した。
 思い切り息を吸うと、まだ幽かに冬の気配の残る空気が肺腑を満たす。とても気持ちが良い。これほどまでに外に出るのを楽しく感じたのはいつ振りだろう。
 翼が勢い良く風を切った。


 春の自然と言えば、やはり桜だ。一番に撮るのにこれほど相応しいものが他にあろうか。
 音に聞こえる桜と言うと、博霊神社の桜は中々に見事だとか。私も『文々。新聞』だかで見たことがある。背景に写っているだけだったが確かに立派なものだった。神聖な場所に相応しい威厳みたいなものを、写真越しでも感じられた。
 あとは、冥界の白玉楼とやらにある西行妖とか言うやつか。流石に冥界まで行くのはしんどいので今回はパス。
 良い具合に桜の咲いている場所は一通り撮って回った。
 しかして、有名所の桜と言うのは多くのものがすでに見ている可能性が高い。桜は一面の見出しにでかでかと使うつもりなので、出来るだけ立派なものであるに越したことはないが、なるべくなら人に知られていない所が良い。
 そうなると案外難しくなってくる。桜は幻想郷のあちらこちらで目にすることが出来る、王道かつ普遍的なものであるし、飛びぬけて立派なものはそう多くない上に、そう言ったものは大抵、里の近くなら人間が、妖怪の山の近くなら天狗や河童が花見の名所にしているので使えない。
 簡単そうに思えてそうでもなかった。
(・・・出鼻を挫かれたくらいでへこたれてどうする)
 早速挫折しかけそうなところで、頬を軽く張って気合を入れ直した。
 人妖の拠点の近くは駄目。となると人気の無いところを見つけるしかない。
 これは相当に骨が折れる。だだっ広い幻想郷を端から端まで見て回らなければならないのだ。引き篭もりで体力不足の私には正直応える。
(メンドくさ。桜なら別にどこでもいいかな・・・)
 怠惰が顔を出しかけていたそのとき、元気良く「春ですよ~」と言う声が聞こえた。
 音のするほうからフラフラと春告精が飛んでくる。どうやらあの花弁は春一番に乗せられて家に来たらしい。えらく上機嫌なのが遠目にも分かる春告精が飛び去った場所は、様々な春の植物が花を咲かせていた。
 そういえば春告精は、最後は妖怪の山に消えるんだったか。
 ――待てよ。
 これは渡りに船。
 なにせ春の風物詩だ。桜の場所なら一番詳しいと見て間違いない。彼女ならきっと穴場を知っている。
「ちょっとー! そこの春告精ー!」
 接近しながら大声で呼びかけると、春告精は止まって、首を傾げながらこちらを見た。
「立派な桜があるところを教えてくれない? 出来るだけ人目に付かない場所がいいんだけど」
 春告精は暫し逡巡した。そしてなにか思い当たったようで、大きく頷くと、どこかを目指して飛んでいく。私も慌てて後を追った。どこに行くのか聞いても春告精は答えない。まあ、向こうが話さなくともこちらの意向は伝わっているだろうから黙ってついていった。
 二十分もすれば、眼下に見えるのは森だけになった。
 ここいらはもう人の踏み込んだことのない領域らしく、誰も見たことの無い桜があると言う期待は弥が上にも膨れる。それからさらに三十分ほどは飛んだだろうか。山や人里など、およそ幻想郷の住人が活動する範囲からは大分離れたところに、それはあった。
 随分とでかい、桜――のような木だった。
 辺り一帯の木々がそれ以上に高いため、飛びながらぱっと見ただけでは見つけにくくなっている。桜の近くには至るところに無数の妖精が屯していて、花見よろしく歌を歌ったり木の実などを食べたりしている様は、人里や妖怪の山とあまり変わらないように見えた。
 下に降りて見上げてみると、青い空は桜に隠れていて、透明な花弁を通った陽光が、濃淡様々な柔らかい桜色の光となって辺りに降り注いでいる。疎らに散っている花弁を掌でうけとめると、たちまち粒子状に霧散した。どうやら妖力のようなもので出来ているらしい。妖怪桜ならぬ妖精桜と言ったところか。飛んでいる妖精の羽を通った光は青や緑に変わっていて、例えるなら万華鏡の如きその光景は、得も言われぬ幻想的な趣があった。
 私は、妖精たちに気づかれないよう木陰から桜を写した。余所ではお目にかかれない、一面を飾るに相応しい一枚だろう。恐らくは自分が一番初めに収めたのかもしれない。そう思うと胸が高鳴る。
 そのまま幾らか撮りためたが、そのどれもが逐一違った光を見せる。
 これほど美しい画が取れたのも彼女のお陰だ。春告精に礼を言うと、彼女はにこりと笑って妖怪の山のほうへ飛んでいく。
 春告精が毎春、妖怪の山で消息を絶つため、山は幻想郷で最も遅く春になる。きっと今頃は天狗河童入り乱れて、杯片手に桜の下で彼女の到来を待ち侘びているんだろう。その光景を思い浮かべるに、偶には混じってみようかな、なんて思ってしまったのは、きっと春告精の近くに居て、頭の中が春になってしまったからなのかも知れない。










 翌日、私は盛大に寝過ごした。
 春のせいだけじゃない。久々に参加した花見の席は、酒も手伝って大いに盛り上がった。
 女が寄れば姦しくなるように、天狗が集まれば酒の飲み比べが始まるのが世の掟。久しく顔を見せない奴が見えたとなれば、誰それ構わず絡んでくるわけで、底抜けの胃袋を持つ猛者どもの前に、普段から酒を飲まない私はあっさり潰された。よりにもよって秘かに好敵手と見做している文に介抱されるはめになったが、団扇から送られる風に、抗う気力は根こそぎ流された。結局、文に肩を借りながら一番に抜け出す始末。二日酔いにならなかったのは不幸中の幸いか。


 桜の次はタンポポを撮ると決めていた。
 創刊とは言え、桜一本ではちょっと侘しい。タンポポにした理由は単純で、春と言って桜の次に思いついたのがそれだったからだ。
 まずは家のすぐそばにあるのをパシャリ。色々な角度から写していく。それが終わるとまた近くのタンポポを探して辺りをうろつく。そうしてタンポポからタンポポへと場所を変えながらひたすら撮りつづけ、初日は妖怪の山近辺を一通り回って終わった。
 二日目以降は少し遠出して、人里の近くや魔法の森、霧の湖などにも足を運んだ。
 どこでどんなタンポポが見られたのかもしっかりと手帳に書き記しておく。こう言う情報は記事を書く上で役に立つので、些細なことでも発見があればまめに書き加える。
 意外だったのが、一口にタンポポと言っても見た目が大きく違うことだった。歪な造形で一見するとタンポポに見えないものや、ヒマワリと見紛うほど極端に大きなもの、赤みを帯びたものや紫色のものまであって、それらは魔法の森や、紅魔館付近など特殊な場所に見受けられた。妖怪や土地の持つ魔力、謂れなどに影響されるのかもしれない。たかがタンポポ、されどタンポポである。彼らも立派に幻想郷の一部なのだ。
 五日間ほどあちこち飛び回って撮影したタンポポの写真の枚数は、百二百では足りなかった。机の上に積まれたフィルムの小山を全て現像しても、実際に使うのは多くて十分の一にも満たない。これからの作業のことを考えると眩暈がした。これからは撮影枚数を絞ろう。こうした苦労は、当たりを待つばかりの念写では分からない。改めて、自分が如何に好い加減な新聞作りをしていたのか思い知った。
 現像と選別には丸一日を費やした。
 なるべく写りの良いものを構図のかぶりが無いように絞っていった結果、百五十枚ほどが残った。これを記事の内容と共にさらに絞り込んでいかなくてはならない。
 それらの写真は、自分で撮ったと言う贔屓目もあるだろうが、丸で本物がそこにあって、微風が吹けば揺れるのではないかと錯覚するくらいの生々しさがある。今までの念写したものとは段違いだ。自分の念写は新聞作りにはあまり役に立たないのかもしれない。そう思うと少し凹んだ。


 翌朝、さあ記事を作ろうと言う段で重要なことに気づいた。
 記事にしようにもタンポポについてまったく知らないのだ。幾らなんでもちょっと浮かれ過ぎた。
 そうとなれば調べもの。調べものと言えば書籍。書籍といえば幻想郷縁起でお馴染み稗田家である。と言うわけで人里へ飛んだ。
 稗田家は頼めば誰にでも書籍を見せてくれるようで、妖怪の私にも快く書架を開けてくれた、のは良かったのだが・・・
 肝心の、植物に関する書籍はあまり多くなかった。
 妖怪関連のものなら、流石は稗田家と言うべきか山のようにある。今は亡き妖怪たちのことが事細かに記されており、少し読み漁って資料収集から脱線しかけた。
 歴史関係も、稗田家の他、上白沢慧音と言う人物が書いたものが結構あった。たしか寺子屋の人だったかな? 幻想郷が出来る前の事柄も纏めてあって、これはこれで興味をそそられる。
 ところが植物関連となると、薬に使える植物と、あとは随分昔に里の花屋が、扱っている花について記した手記が残されているくらいだった。残念ながら網羅的な図鑑は見当たらない。流石に花屋ではタンポポは扱っていないようだが、薬として用いられていることが分かったのは収穫だった。綿毛を飛ばして遊ぶくらいしか用途を知らなかったので少し新鮮だ。
 一通り見終わって書架を出ると、小柄な少女が向かいから歩いてきた。
 稗田阿求、その人だった。
「お探しの資料は見つかりましたか」
「え~っと、まあまあってところです」
「正直ですね」
 阿求は、あははと笑った。ちょっと言葉を選ぶべきだったかもしれない。
「当家は、主に妖怪にまつわる情報を重点的に集めていましたので、実は一般的な書籍はあまり多くないのです。お役に立てず、申し訳ない」
 こうして当たり前のように話しているが、彼女は人里の中でも指折りの名士なのだ。そんな人に深々と頭を下げられては、いかな妖怪の私と言えども畏れ多くて慌てふためかないわけには行かない。
「いえ、そんな、有益な情報もありましたしっ」
 慌てて取り繕おうとすると、阿求はまた笑った。
「ふふっおちょくり甲斐がありますね、あなたは」
 その笑顔を見てやっと、自分が遊ばれていると気づいた。立場を利用して他人をおちょくるとは卑怯千万な。
「もうっ、そんな笑わなくても!」
「これは失礼。書架を訪れる客人は、珍しいもので、つい」
 失礼、と言っておきながら未だ腹を抱えているあたり心にも無い。
「ふう。折角ですし如何でしょう、お茶でも」
 漸く笑いを引っ込めた阿求に一服勧められて、私はものの見事に膨れっ面だったが、このまま立ち話も難なので頂くことにした。


「・・・なるほど、それで植物を調べているのですね」
 先の阿求の言の通り、稗田家の書架を目当てに訪れるものは少ないらしく、それ故阿求にとって私の調べものの内訳が気になるようだったので、世間話の代わりに説明しておいた。阿求の言葉には、ちょうど饅頭を頬張っていたので返事の代わりに大きく頷いた。
「お饅頭おいしい」
 お饅頭もお茶も、召し物から机からなにからなにまで、きっと良い品なんだろう。
「お気に召したようでよかった。そうだお土産に包ませましょう」
 ああ、来てよかった稗田家。頑張った私へのご褒美だ。遠慮なく頂いておこう。
 しかし、当てが外れたのは痛い。ここを置いて他に知の集積場があっただろうか。
「んっ、ここ以外にも書籍を扱った場所はないですか?」
「う~ん、里にはないでしょうね。慧音さんのところも歴史関係ばかりだし・・・あとは紅魔館くらいでしょうか。あそこなら地下に大きな図書館があります。一度行ったことがありますが蔵書の数はかなりのものですよ。ただ、一般に公開していないので見せてもらえるかは分かりませんけど」
 数日前、タンポポの撮影の際に遠くから見た真っ赤な館。
 吸血鬼の根城と言うだけあって、昼間でもその異色な存在感を撒き散らして憚らない。正直言って不気味なのであまりお近づきにはなりたくなかった。幻想郷縁起にも碌なことが書いてないし。
「気が進みませんか」
 まるでこちらの心を見透かしているような問いかけにどきりとする。にやけ顔を隠しきれていないので、またおちょくる気だとすぐ分かった。
「新聞のためなら、たとえ火の中水の中。それがブン屋の気概ってもんです!」
 胸を張ってそう答えると、阿求は「お見事」と微笑む。
 その後も世間話に花を咲かせていると、夕日も大分傾いてきて、時間も時間だからと阿求から夕食の誘いもあったのだが、さすがにそこまでしてもらうのは悪いので断った。
 阿求は玄関まで見送りに来てくれて、お饅頭の包みもちゃんと貰った。
「あなたの新聞の完成を心待ちにしております」
 帰りがけに背中に放たれた言葉に、内心小躍りする。
 自分の新聞を心待ちにしてくれる人が居る。仮令それが世辞の類であったとしても、ただそれだけのことで私の翼は軽くなった。


 家に帰る途中、そう言えば文にお礼を言っていないことに気づいた。朝(と言うかもはや昼)に目を覚ますと、宴の席で酔い潰れた私の写真が机にあって、裏を返すと、「酒は飲めども呑まれることなかれ」と一筆。どう見ても文の字です本当にありがとうございました。
(今更言うのもなあ・・・)
 そもそも文に礼を言わねばならない時点で業腹だが、あのまま酒の席に居続けたら意識どころか記憶が飛んでいたであろうことは間違いないから、親しき仲にも礼儀を通さなければ収まらない。しかして面と向かって直接言うのはなんだか気恥ずかしいし、それは向こうも同じだろうと思う。だから、土産にもらった饅頭に一言添えて文の家の郵便受けに突っ込んで、その音を聞きつけた文が表に出てくるより先にその場を離れた。
 









 次の日は正午を回るまで寝ていた。
 誤解のないように言っておくが、決して寝過ごしたわけじゃない。紅魔館は吸血鬼の館だから、行くなら夜が良いと思って敢えて遅めに起きたのだ。
 仕度してドアノブに手を掛けたところで、扉に紙が挟まっているのが見えた。抜き取ってみると「饅頭おいしかった」と書いてある。文だ。普段は時も場所も憚らず相手の都合もお構いなしに突撃取材なんてやっているくせに、こう言うときは面と向かって直接言わないあたり可愛いところもあるんだなと微笑んだが、素直じゃないところはお互い様だと思い当たると、また昨夜の気恥ずかしさが顔を覗かせるのがちょっと癪だった。


 名の通り、湖には濃い霧が張っていた。
 特に今日は一段と濃いらしく、紅魔館は夜霧の中に埋もれて上空からもその姿を視認することは叶わない。
 濃霧に咽びながら飛んでいくと、月明りにぼんやりと赤いものが見えた。真っ赤な外壁は良く目立つ。霧に囲まれたときに見つけやすいよう、赤くしているのかもしれない。
 門前には立ち寝している門番がいる。器用だなあ。近づくと、声をかける前にいきなり目を覚ましたのには少々度肝を抜かれた。
 案の定、私の態を見た門番は新聞の勧誘だと勘違いしたらしく、新聞は間に合っていると先制される。勘違いとは言え、新聞を断られるのは精神的に応える。妖怪は存在の比重が精神に寄っているから、鴉は新聞を断られ続けると精神的ダメージの蓄積で最悪、死に至ることだってある。嘘ですごめんなさい。でも気鬱くらいにはなるかもしれない。
 事情を話すと、思いの外あっさり通してくれた。
 外が真っ赤なら中も真っ赤で、巨大生物に丸呑みされるとこんな感じなのだろうかと良からぬ方へ想像力を働かせてしまう。
 出迎えたメイド長の先導で階段を降りていく。
 一段降りる度にどんどん気温が下がっているような気がする。それほど、この地下へと続く、長く薄暗い階段は気味が悪い。豪奢な館の内装と、なんの飾り気も無い石そのままの階段との対比が、薄気味悪さに拍車を掛けている。
 下まで降りきると大きな扉が出迎えた。頼りない蝋燭の明りが二三あるだけで、そこに扉があることを辛うじて認識させる程度にしか役に立っていない。
「御用がありましたらお呼び下さい」
 声に振り向くと、既にメイド長の姿は無い。
 真っ赤な館が口の中で、階段が食道だとすると、この扉の先は胃袋に当たるのだろうか。
 ぞわりと背筋に悪寒が走った。この先は魔女の塒だ。
(ええい、例え火の中胃袋の中。これも新聞のためよっ!)
 覚悟を決め、勢い良く扉を開けると、多分に湿気を含んだ黴と埃の匂いに包まれた。
 引き篭もり勝ちな私にとって、どちらかと言えば馴染みのある類の匂いだが、いかんせん格が違う。幾ら家から出ないと言っても換気くらいはちゃんとするし、気が向いたら掃除もする。だがここの空気の淀み方は、明らかに数十年前の空気が未だ漂っていた。言うなれば空気の化石だ。深呼吸すれば肺を患うこと間違いなしの瘴気に、ハンカチで口元を押さえずにはいられない。それでも悪辣な臭気を遮ることは叶わず、くぐもった咳が二度三度と漏れた。
 図書館の中には無数の本棚が視界の端から端、上から下まで並んでいて、暗いせいか広いせいか、奥まで見通すことは出来ない。一歩足を踏み入れたら最後、永遠に抜け出せなくなりそうだ。
 すぐ近くに呼び鈴があった。押すとチーンと鳴って、どこからともなく、赤い長髪を垂らし蝙蝠のような羽を背負った女性が現れる。
「どのような本をお探しでしょうか」
 どうやら司書らしい。この館の印象に違わぬ外見をしている。
 手短に用件を伝えると、本を探すまでの間はこちらで待っていてください、と本棚の森の中へ案内された。慣れた足取りで進んで行く彼女の後を離れないよう付いて行く。ここではぐれたら本当に遭難してしまう。
 暫しの後、開けた場所に出た。どこを見ても同じように見える本棚の中だと時間感覚が麻痺して、どれほど歩いたかは定かでない。不気味さと相まって気分的には肝試しのそれに近かった。
 案内された場所には長机が二三あって、その一帯はランプで明るく照らされていた。そこに本を読む人影がひとつある。紫色の、これまた長髪の女性だった。ゆったりとした寝巻きのような服を着ていて、外見の特徴から、彼女がこの図書館の主であるパチュリー・ノーレッジと思われた。無表情のまま黙々と頁を捲る様は、近づきがたい雰囲気を放っている。でも露骨に避けるのもなんだかなぁ・・・
「座ったら?」
 現れた切り突っ立っていた私に、彼女は本から顔を上げずに一言それだけ。どこに座るべきか悩んでいるところにいきなり声を掛けられて、危うく悲鳴が飛び出そうだった。
「あぁ、えっと・・・うん」
 声を掛けられた上で距離を取るのも気分的に難しく、とりあえず向かいの席に座ることにした。そしてすぐに後悔した。読書に集中しているであろう彼女には気軽に声をかけられる雰囲気ではない。かと言って他に何が出来るでもなし。完璧に手持ち無沙汰な上に、周りはひたすら本ばかりで気を紛らわせられるようなものはなにもない。今この場に会話の生まれる余地の一切は無く、無駄に居心地の悪さが膨れ上がっていく。
(ああ、司書さん早く来てえっ!)
 額に脂汗をにじませ、携帯の画面に表示されている時計を睨みながらただそれだけを祈ること十数分。本棚の間から下半身を生やした本の山がこちらに向かってくる。
「お待たせしました~」
 どん、と机に置かれた本の数はおよそ三十冊。どれもやたらと分厚い。司書に曰く、これでも数を絞ったほうだとか。阿求の言に偽りは無かった。
 これらの図鑑や辞典を検めて必要な内容のものを選り分けなくてはならない。つい二三日前に行った膨大な量の選別を思い出してげんなりした。


 三時間ほど本の山と格闘して私が選んだのは、とりあえず五冊。
 カラー写真がふんだんに使われていたり、とにかく掲載されている植物の多いものだったり、花言葉が書いてあり、果実や根などの細かいところまで観察されているものだったりと内容がなるべくかぶらないよう選んだ。創刊号は桜とタンポポの二本立てにする予定だが、この二つについて調べるついでに次号で取り上げる植物も当たりをつけておきたい。
 一段落ついて体を伸ばしていると、向かいの彼女もキリの良いところまで読んだらしく、本に栞を挟んで司書の人に紅茶を頼んでいた。
「あなたも要る?」
 三時間ぶっ通しで作業して喉も渇いていたから頂くことにした。
 出てきた紅茶は、ランプの明りを受けて、余計に赤く揺らめいて見える。血とか入ってないでしょうね・・・
 せっかく会話の糸口が掴めたので、その流れでひとつ疑問を問うてみた。
「そういえば、どうしてすんなり入れてくれたの? 一般公開してないって話だけど」
 それはパチュリーにとって心外な質問だったようで、呆けた顔をしていた。腕を組んで、ふむと考え込んでいる。やがて答えに行き着いたのだろう。とつとつと話し始めた。
「そうね――反動、かしら」
「反動?」
 パチュリーは視線を机に落としたまま、頭の中を整理するように慎重に言葉を選んでいる。自分でも良く分かっていないのかもしれない。
「普段、うちにはたまに泥棒鼠が入るの。そいつは泥棒のくせに正面から力ずくで侵入して来ては、私の本を攫っていくわ。持っていかれた本が返ってきたことは一度も無いし、だから、あなたのように純粋に図書館を利用することを目的として来るのは珍しいのよ。それでちょっと食指が動いたのかもしれないわね」
「あはは・・・なんか、大変そうね・・・」
 まったくだわ、とパチュリーは吐き捨てた。


「ふっ・・・くぁ~」
 ぐっと伸びをして体をほぐす。
 時すでに早し。日光が入らないから分かりづらいが、時刻は日の出をとうに過ぎている。夜通し座りっぱなしで資料を纏めていたせいで、体のあちらこちらが錆びた機械の如く凝り固まっていた。このままじゃキョンシーにでもなってしまいそう。
「図書館は寝るところじゃないのよ」
 ぐで~っと机に上半身を預けていると、パチュリーからお叱りを受けてしまった。しかして、斯く言う彼女も眠たげに眼をこすっているから、些か説得力に欠ける。
 時が止まったかのような静謐な空間は、春の麗らかさとは違った形で眠気に苛まれる。本を開けばどこまでも際限なく広がる文字列は、ゆっくりと目に疲労を蓄積させ、気が付くと夢現で船を漕いでいるから恐ろしい。
「そんなに眠いなら泊っていけば?」
 さすがに初対面の相手の家に泊まるのは憚られるが、睡魔に負けそうな状態で断ることは出来なかった。パチュリーが「咲夜、いらっしゃい」と手を叩くと、どこからとも無くメイド長が現れて、連れられるがままに部屋へ通された。
 丸いテーブルと椅子が一脚ずつにクローゼットにベッドと、家具は必要最低限。厚手のカーテンから滲む陽光がぼんやりと部屋を照らす。
 そこだけ白いせいで、なんら間違っていないはずなのに浮いてしまっているベッドに倒れこむと、予想以上に柔らかで、体がずぶずぶと沈むのに合わせて意識も遠のいていった。


 ノックの音がした。私の名前を呼ぶ声も聞こえる。正直五月蝿い。それで取り敢えず目が覚めた。一体誰だ、朝っぱらから。起きたばかりの鈍い頭を持ち上げると、真っ赤な部屋の内装が映って、そういや自分の家ではなかったなと思い出した。
「はたて様、もうお昼になります。起きていただけますか」
 もう昼か。咲夜――メイド長の声がノックの音にあわせて頭に響く。
「はたて様」
「はぁ~い、今出る~」
 のそのそとベッドを出て部屋のドアを開けると、咲夜が湯気の立つ朝食――いや、昼食か――の乗ったトレイをワゴンから降ろしていた。
「お早う御座います、はたて様」
「ん~・・・おはよぅ」
 と言うにはもう遅い。日はとうに南を回っている。
「まだ覚醒しきらないようですわね。先にシャワーを浴びますか」
「ん~?・・・ん~」
 咲夜はトレイをワゴンに戻し、私はシャワー室まで連行された。
 蛇口をひねると熱い湯が降り注いで、私はそれを顔面で迎え入れ、息が続かなくなると下を向き、後頭部を打たれながら何度か大きく息を吐呑した。寝癖でヨレヨレの長髪にシャンプーをかけて直していく。体を洗って、ふかふかのタオルに包まれる頃には、眠気は無くなって、血の巡りの良くなった体は浮いているかのよう。
 部屋へ戻ると、温めなおされた昼食が再び湯気を立てている。それを見た途端に、現金な腹が憚り無く鳴って空腹を知らせた――早く食わせろ、と。
 洋館らしく、焼き色の付いた食パンにとうもろこしのスープ、ふっくらと混ぜっ返した卵焼きにカリカリのベーコンとプチトマトが添えてある。お茶も赤い。
「食べ終わる頃合に下げに参ります。その後は、お嬢様が話をしたいとのことですのでお時間を頂きます」
 山では滅多にお目にかからない洋食に手を伸ばそうとしたところ、咲夜はそう言い残し、また唐突に姿を消した。
 館の主が――私に。何の用だろうか。
 疑問に思ったが、先にぐぅぐぅ五月蝿い腹の虫を黙らせるべく、フォークを手に取った。


 昼食の後に通された部屋は、謁見のための部屋と思われた。
 広さはあるが、その割に調度品の類は少ない。吸血鬼は日の光を嫌うせいか窓が無いため、蝋燭の明りが多く燈って、光の届かない部屋の隅の暗がりをより一層濃くしている。
 部屋の最奥のど真ん中は一段高くなっており、真紅の帳が左右に分けてあって、玉座のような金の装飾をあしらった椅子が置いてある。
 その玉座に、館の主――レミリア・スカーレットが腰掛けていた。
 昼間なせいか、気怠げに薄めた眼をこちらに向けているその貌は、不機嫌そうに見える。目の高さはこちらの方が少し高いくらいだが、むしろこちらが見下ろされている感覚があった。
「お前は、何をしにここへ来た」
 顔を合わせて、少しばかり間を置いてから、単刀直入。矢張りご機嫌ではないようだった。それも、不機嫌と言うより、敵意を向けられている気さえする。
 少し眉が寄っただけで、気怠げだった貌が威圧感を帯びる。それに気圧されながらも、創刊の作成に着手してから何度目かの説明をした――新たな新聞は自然を扱った内容であることを。
 そしてここに来た目的は図書館であり、紅魔館そのものではない――つまり、覗き見するような真似はしないと言うことも。
 彼女が不快感を示す理由として思い当たることと言えば、ひとつある。
 レミリアは恐らく、妖怪の山に探りを入れられていると思っているのかもしれない。痛いにしろ痛くないにしろ、腹を探られるのは良い気分ではないのだろう。鴉である以上、私は山の勢力に含まれる。顔も知らない他勢力の奴が勝手に自分の館に居たら、なにかしら弱みを握りに来たと思うことになんら不自然は無い。
「・・・そうか」
 説明――或いは弁明――を終えると、溜め息と共にレミリアはそう呟いた。眉間の皺はいつの間にやらなくなって、再び気怠い表情に戻っている。
 そしてその目は私に向いてはいるが、その焦点は、どこか別のものに合っている気がした。私は眼中に無い。彼女の思考は、関心は、鼻から私には向けられていないようでもあった。
「――まあ、いいだろう。好きなだけ居るといい」
 そう言うとレミリアは、玉座を降りて壇上の袖にある扉を開け、何処かへ消えた。
 私はと言えば、やけにあっさりとした幕引きに、完全に置いてけぼりにされた。










 レミリアが何を考えているかは今一判然としなかったが、それからと言うもの、私の新聞作りの拠点は紅魔館になった。引き篭もる先が自宅から紅魔館に代わっただけとも言えるが、毎食出される料理は常に一級品、部屋は清潔で整頓されていて、快適さに図書館も加わって作業はすこぶる捗る。
 紅魔館に抱いていた第一印象もすっかり払拭され、いつの間にか勝手知ったる人の家になっていた。このまま居座れば、知らぬ間に自前の鴉の羽が蝙蝠のそれに変わってしまうかもしれない。朱に交われば赤くなると言うし・・・


 創刊の完成に向けて筆を走らせていると、微かに靴音が聞こえた。
 物音の少ない館内を反響しながら、その音は徐々にここへ近づいてくる。そして、直に本棚の一角から現れたのは年端もいかない少女の姿だった。
 その背中に生えた、宝石のような七色の羽が目に入って、私は少し身構えた。この館のことは幻想郷縁起を通して大まかに把握している。この館でもっとも危険だと思われるのが、今し方邂逅したレミリアの妹、フランドールだった。
 彼女は一瞥くれると、「誰? 見ない顔ね」と首を傾げる。ここは一つ友好的に打って出よう。柄にも無く愛想笑いを浮かべて、自己紹介がてら色々とお喋りすると、彼女も応じて「フランってよんでね」と笑った。
 フランが本を求めて再び本棚の森へ姿を消した後、脱力と言うよりか、拍子抜けした。予め情緒不安定だの気狂いだのと聞いてみれば、なんてことはない、吸血鬼と言うこと以外は、どこにでも居る普通の読書好きな女の子だった。
「なにビビってるのよ」
 傍らで始終を見ていたパチュリーは、本で顔を遮りながら言った。
 阿求もそうだが、本の虫と言うのは揃いも揃って覚の真似事が出来るのだろうか。笑い声こそ聞こえなかったが、きっと本の向こうで秘かに笑みを浮かべているに違いない。心の内を見透かされて憮然としている私を、パチュリーはこう評した。
「あなた分かりやすいもの。すぐ顔に出るんだから。原稿を作っていて構図やら文章やらで悩んでるときとかそうね。顔だけ賑やかったらないわ」
 彼女の忍び笑いで、私がさらに仏頂面になったのは言うまでもない。


 創刊号完成までの数日間、図書館には私とパチュリーに加えてフランが顔を合わせるようになった。フランは意外に人懐っこく、会話を重ねるにつれ、当初私がフランに抱いていた第一印象は紅魔館へのそれと同様に薄れていった。
 フランはよく、外の話を私にせびる。
 私の持ち得る限りの狭い世界観を少しばかり虚飾して並べると、フランの瞳は好奇の光に輝いた。フランが軟禁状態にあることは本にあったから、自分も出不精だと言うと、読書家らしく、同じ穴の狢ねと小難しい言葉を返してくる。
 こうして間近に接していても、フランが長らく地下に幽閉されていた要因を感じ取ることは出来ない。あまり首を突っ込んで良い内容でないことは承知していたが、理不尽に思える彼女の身の上を考えると、余計なことを尋ねずにはいられなかった。
「家庭の事情ってやつよ。レミィもね、良くも悪くも過保護に過ぎるから」
 フランが席を外しているときにこっそりとパチュリーに聞くと、当たり障りのない返答が返ってきた。その簡潔な物言いが、却って『家庭の事情』とやらの根深さを想像させる。フランが頻りに外の様子を尋ねるのも、きっと薄暗い地下で無為に消えた時間を取り戻そうとしているのかもしれない。あの可愛らしい顔の下には、気が触れるほどの孤独が詰まっているのだろうか。新たな本を片手に席へ着いたフランの、なんの陰りも見えない顔が、私の心に暗い影を生んだ。
「馬鹿ね、あなたも」
 パチュリーは、殊更に貶す風でもなく呟いた。柔らに響いたその一言で、自分の眉間に皺が寄っていることに気付いた。フランが「何が?」と聞いたので、ううんなんでも、と笑顔を拵えて頭を振ると、首を傾げながらもそれ以上追求することはなく、再び本に視線を戻した。同じ本の虫でも、フランが覚の真似事を出来なくて良かった。










 ほんの少しだけ、五月蝿くならない程度に賑やかになった図書館で、記念すべき第一号の原稿が完成した。フランに土産を頼まれつつ館を出て、一週間以上空けていた山に久方ぶりの帰省となった。
 山の一角にある印刷所に顔を出すのは、前に新聞を出したのが去年の冬の頭だったから、下手すると半年近く空いていたことになる。がたがたとカラクリの音がする印刷所には山伏たちが大勢詰め掛けていて、紙齢の様々な新聞が作られている。
 はっきり言って、私はここがあまり好きではない。
 ここには天狗の新聞が全て集う場所であり、必然的にここに居る天狗どもは、山を出ないにも拘らず、幻想郷でも指折りの情報通なのだ。おまけに悪評醜聞の類ばかりを好むものだから、少しでも付け入る隙があればねちっこく悪口を唱えるときた。加えて自分の新聞の売れないことと言ったら彼奴らの恰好の餌。弱小紙を作っている鳴かず飛ばずの鴉の中には思いを同じくする者も多い。文くらい豪胆ならそんなことを一々気にすることもないのだろうか。今まで浴びせられた罵詈雑言にも似た小言の雨霰を思い出すに気分が下向くが、新聞を作る以上は避けては通れない。
 意を決して中に入ると、殊更にカラクリの音が大きくなる。
 騒音に顔を顰めながら受付に向かうと、依頼者の注文などが書かれた帳簿に筆を走らせている仏頂面の鼻高がひとり居た。
「これ、印刷お願い。注文はこの通りに」
 こうして印刷の依頼をするときはいつだって、緊張と不安が胸に溢れる。
「おう・・・ん?」
 受付の鼻高はこちらに顔を向けることもなく原稿を受け取った後、原稿に書いてある新聞名をまじまじ見つめて、それから私を見た。
「あー、なんつったか・・・姫海棠はたて、だったか? ここ最近見ねェからてっきり新聞作るの辞めたのかと思ってたぜ」
 お決まりの嫌味が始まったか。
 捕まったら最後、小言の二三で済めば万々歳だ。他の鴉が居る前でやられると結構な恥をかかされるので、今は私以外に印刷を依頼しに来ている鴉の居ないのが少なからず僥倖だ。
「寒いの駄目なのよ。だから冬はお休みなの」
「ふ~ん、そうかい・・・しっかし、何だこの記事。花しか載ってねえな。こんなんで売れんのかねぇ」
 鼻高は無造作に原稿をめくりながら流し読みしている。その批判は覚悟の上だったが、実際に言われると、傷つき半分、ムカつき半分と言ったところか。
「ま、いいや。今日は午前に依頼が多く来たから、すぐに仕上げるのは無理だな。まぁ明日までには刷っとくよ」
 それきりそいつは私への関心を失ったらしく、視線を帳簿に戻して筆を進めた。
 ちょっと驚いた。今までそれなりの回数ここに足を運んだけれど、ここまで貶されることが少なかったのは初めてだ。所要時間は五分にも満たない。珍しいこともあるものだ。
「そう。じゃ、よろしく」
 一言それだけ言うと、印刷所を後にした。


 そうして向かった先は、紅魔館ではなく、長らく留守にしていた我が家だった。
 一月も離れてはいなかったと言うのに、この小ぢんまりとした狭さが随分と懐かしい。床や家具などには薄っすらと埃が積もっていた。
「こりゃ掃除かな」
 はたき箒に塵取り雑巾で久しぶりの大掃除となった。去年の年末はサボってしまったから、その分念入りに埃を払う。
 ついでに押入れに入っている不用品もまとめてごみに出そうと中を漁っていると、古い原稿が出てきた――花果子念報の創刊のものだった。所々よれて黄ばんでいる、お世辞にも輝かしいとは言えない、私の記者人生の出発点。ずいぶんと懐かしいものが出てきたなぁ。今の自分からしても未熟だと分かるほど、文章も構成も拙い。
 他にも、今までの花果子念報の原稿が発掘されて、読み返す度に走馬灯めいた郷愁が去来する。
 ――そうだ。私の新聞は死ぬんだ。
 そして明日、新たに生まれ変わる。あまり昔を引き摺るのも良くない。心機一転、門出の景気づけだ。過去とは決別してしまおう。
(さよなら、花果子念報)
 原稿の束はまとめて、古新聞と一緒にごみ集積所の焼却炉に投げ入れた。
 黒く焼け爛れていく紙束を見ていると、なんだか火葬しているように思えて、後の祭りながら名残惜しくなった。大して売れもしない新聞だったのに、目の端から汗かなにかが一筋流れたわけは、出来の悪い子ほど可愛いと言うやつだったのだろうか。原稿が燃え尽きて灰になるまでの短い間、目尻から滴の止まることは無かった。
 小奇麗になった自宅に帰ってベッドに潜り込むと、不思議と肩の荷が下りたような気分になって、新しい新聞は売れるだろうかとか、そんな明日への不安も無く、ぐっすりと眠りにつくことが出来た。










 翌朝は天気も風も、私の心も穏やかに始まった。
 昨日の内に綺麗にしておいた配達用の鞄を肩に掛けて、朝早くから印刷所へ向かう。まだ機械の稼動していない印刷所は、人気が無いのもあって物静かだ。
 受付は昨日と同じやつだった。眠いのかやる気が無いのか生まれつきか、詰まらなさそうな仏頂面は相も変わらずで。
「なんだ早いな。もう出来てるぞ」
 挨拶もそこそこに新聞を取りに行く。
 印刷された新聞がずらりと並ぶ一角に、一際目立つ新聞が置いてある。皆一様に灰色をした新聞の中に唯一桜色のものがあって、それが私の新聞だ。季節に合わせて紙の色を変えてもらった。真新しいインキの臭いが鼻を突く。
「今更確認するのも難だが、新聞の名前はそれで間違ってないよな?」
「ええ、これでいいの」
 受付で受取確認のサインをしてから、積んである新聞を束ごと二つ折りにして鞄に詰め、意気揚々と踵を返す。印刷所を出る前に、ふと受付に目を遣ると、あの鼻高が桜色の新聞を読んでいるのを見つけて、一先ず驚いてから、なんとなく恥ずかしいような、それでいて勝ち誇ったような気になった。


 花果子旬報。
 ――それが、新しい私の新聞の名だ。
 春に初音の響き、夏に蝉時雨の五月蝿く、秋に落葉の舞い、冬に霜雪の降りるように、幻想郷の四季折々の旬を普く伝える時節の報。先代が短命だっただけに、この子には長生きしてもらいたい。
 普通、天狗の新聞は身内に評価されることを前提として作られる。
 つまり、下世話で噂話を好む天狗に受ける内容であることこそ、新聞の売れる絶対条件なのだ。仕入れる情報こそ山の外のものだが、発行された新聞が外部に露出することはほぼ無い。そして数ある天狗の新聞の中で、先代の『花果子念報』は悉く競争に敗れ、ついには灰と消えた。
 しかし、この花果子旬報は違う。これは、いかにも天狗の好みそうな野次馬根性丸出しの事件記事は扱わない。この新聞の狙う読者は主に人里の人間を想定していて、鼻から天狗は眼中に無い。『幻想郷の四季折々の旬を普く伝える』と言うお題目は、一生のほとんどを里から外に出ることなく、自然に溢れる幻想郷のほんの一部しか見ることの出来ない人間にこそ相応しいと思えた。
 『人里』と『新聞』といえば、思い浮かぶ顔が一つある――文だ。
 彼女だけは閉鎖的な山の中で唯一、山の外に読者を求めている。人里を標的にすると言うことは、必然的に文の後追いとなる。真似をするとなると抵抗があるが、彼女との差異を設けることで、二番煎じだと思わせないようにする。
 文は基本、里ではあまり良い顔をされない。幻想郷に人と妖怪の対峙と言う構造がある以上、妖怪と言うだけで顔を顰められることは今でも稀にある。だが文はそれを抜きにしても良い評価を受けていない。その理由は主に二つあった。
 一つは新聞の勧誘方法。
 なにせ民家の窓めがけて放り投げていくものだから嫌われるのも無理からぬこと。硝子が嵌めてあれば当然割れて危ないし、そうでなくても新聞が直撃すれば怪我をする。とにかく一方的に、嵐の如く唐突に現れては新聞を残してあっと言う間に居なくなる。投げられた方からすれば苦情を言う隙さえないのだから迷惑も甚だしい。晴れた日に俄雨に降られたとでも思って諦める他無い。
 そして二つ目が取材の仕方にある。
 『いかにも天狗の好みそうな野次馬根性丸出し』の噂があれば根掘り葉掘り聞きまわるその節操の無さは、井戸端で妬み僻みの花ばかり咲かせる中年女性連中にさえ下品と罵られる有様。こと噂話を聞き集める能力に関してだけは、彼女の耳は聖徳太子のそれを遥かに凌ぐだろう。
 折角文が反面教師になってくれているんだ、活かさない手は無い。ちゃんと地に足つけて一軒一軒回って定期購読者を増やすことにした。顔を憶えてもらうにしても、文のように悪い印象が付いて回るようじゃ遣りづらい。地道だが飽くまでも誠実さ、清潔さを推していく。先達の言葉を借りるなら――清く正しい姫海棠だ。
 そうやって里中の家々を回る途中、阿求の家に足を運んだ。
 どうやら完成を待ち侘びてくれていたのは本当だったようで、新聞を渡すと早速目を通している。
「これは・・・美しいですね」
 一面に飾った妖精桜を見て、阿求は溜め息でも吐くように言った。その一言をもらえただけでも作った甲斐があった。美しく咲く花々の魅力を余すところ無く伝えるために、写真は全てカラー印刷にしてある。
「写真も良く撮れていますし、手探りで作った創刊号にしては良い出来だと思います」
 新聞の出来に関して、阿求からは概ね手放しに褒められた。
 なんの他意もない賞賛を真っ向から受けるのは、むず痒くも気分の良いものだった。足取り軽く稗田家を後にし、里の端から端まで練り歩いて新聞を捌いた。
 流石に、と言うか当然ながら、全て捌き切ることは出来なかった。
 文の悪評は新聞記者の肩書きと一緒くたになっているらしく、新聞の勧誘で良い顔をされないのは彼女に限らなかった。それでも、創刊はお試しの無料配布なのもあって、今までの自分からすれば大分多く刷った新聞の四分の三程度は配れたので、出足は悪くないと思って良い。


 新聞を配り終えた私は、山ではなく紅魔館へ帰ることにした。
 フランに土産を買って帰る約束がある。一仕事終えて機嫌が良かったから、つい奮発して団子を大量に買い込んだ。フランとレミリアとパチュリーと、咲夜に門番の美鈴、その他大勢にも差し入れだ。
 紅魔館に着いたのは八つ時前と、ちょうど良い時間だった。大量の団子を両手に抱えて飛ぶのは結構しんどい。
 門番隊には、居眠りしていた美鈴を起こして配ってもらうことにした。差し入れを渡すや否や「お八つにしよう」と詰め所に行ってしまう。門番が居なくなるがいいんだろうか・・・
 妖精メイドたちには咲夜に任せた。居候させてもらっている身なので、完成品を提出するのが義務のように思えたから、ついでに新聞の余りもレミリアに渡すよう頼んでおく。呼ぶとどこからとも無く出没する心臓の悪さは相も変わらずで。前世はくノ一だったりしないだろうか。
 そして、恐らくはフランもそこに居るだろうし、帰還報告も兼ねて図書館へ足を運んだ。
 案の定、フランはパチュリーと一緒にお行儀良く読書している。土産の団子を見せると早く食べようと急かす辺り、甘いものに目が無い普通の女の子だ。
「パチュリーも食べる?」
「・・・緑茶あったかしら」
 本を閉じたパチュリーは、司書の小悪魔を呼びつけて茶の手配を命じた。緑茶が無いなら紅茶になるとか。果たして、美味く和洋折衷となるのだろうか。


 用意されたカップは四つ。私とパチュリーとフランに小悪魔で、図書館もお八つの時間を迎えた。
 幸いと言うべきか、緑茶の余りがあったので、紅茶で団子を食すと言う邪道は回避されることになったのだが、流石に洋館に湯呑みは見当たらなかったらしく、ティーカップに緑茶と言う形での折衷となった。
 団子は色々そろえてあるが、フランが目に付けたのは、矢張り甘いもの好きらしくみたらしだ。さっきからそればっかり頬張っている。パチュリーは餡を良く手に取る。紫色だからかな? 好きな色なのかも。小悪魔は焼き団子とかなり渋いチョイスだった。ちょっとくらい焦げ目の付いた醤油の味が、緑茶と相まって美味いのだとか。洋館に有るまじき風流人だ。
 私はと言うと三色花見団子。最後によもぎを食べるのが好きなのだ。飽くまでもアクセントとして食べるのが良いのであって、鼻から尾まで緑一色なのが好きなわけではない。飽くまでもアクセント。譲れない美学だ。
「しかし、よくこれだけ買ったわね。そんなに上手くいったのかしら」
「それなりに、ってとこかな」
 三人にも花果子旬報を見てもらった。
 ずっと図書館で作っていたが、完成までは誰にも見せたくないので、私以外は細かい内容を知らない。フランが隙を見て何度も覗こうとしてきたので、意地でも見せまいと防衛戦を繰り広げ、ついには空中戦までやらかした挙句に、五月蝿さに耐えかねたパチュリーのスペカに二人共々撃墜されたのも、今となっては善き思ひ出かな。
 反応は三者三様。
 小悪魔は雑誌でも読むかのように、おお、とか、へぇ、とか言いながら手早く頁を捲っている。活字を余り読まない人にも楽しめるようになっていたらいいな。
 パチュリーは、色や形の変化した植物に熱心だった。魔女の性なのだろうか、魔力妖力の類が与えると思しき影響などに興味を持ったらしい。ぶつぶつとなにか呟きながら異形の植物の特集頁を睨んでいる。
 フランはずっと、一面に載せた妖精桜に見入っていた。その姿を見る私の目には、フランの背中に生えた、色とりどりの宝石みたいな羽が映った。その羽の輝きを見ていると、あの――桜色のなかに、赤、青、緑、様々な色の光が入り混じった――万華鏡のような光景が重なった。そのせいだろうか、
「フランの羽ってさ、その、一面に載っけた桜みたいね」
 思わずそんなことを口走っていた。
「え、そ、そうかな・・・」
 恥ずかしげに顔を赤くするフラン。身動ぎすると、羽の宝石がぶつかり合って、カランと透明なガラス質の音を立てた。
「うん、きれいだと思うな」
 初め見たときは、良い印象を持っていなかったせいか、どこか禍々しささえ放っていた異形の羽は、今はもうフランが『女の子』だと知っているから、純粋に美しく光っていた。
「そう言えばあなた、この後はどうするの」
 ・・・しまった、全く考えていなかった。
 パチュリーに言われるまで、自分はずっとここに居座る気でいた。レミリアは好きなだけ居ればいいと言ったが、私が居座る理由は新聞の創刊だ。それが完成した以上、長居は無用だろう。
「あんまり長く居座るのも悪いし、取り敢えず帰るかな」
「えぇ~、帰っちゃうの? つまんないなぁ」
 口をすぼめて拗ねるフランの破壊力は凄まじい。こう、なんと言うか、強制的に母性が搾り出されるような感じだ。その可愛さに免じて、ここは一つ、遊んでやるとしよう。
「よし、なんか遊ぶか!」
「え、ホント? やった!」
 一転して元気になるフランには、微笑ましくて頬が緩む。
「なんでも来なさい!」
「じゃあかくれんぼ!」
 言うなり、フランはスペカ宣言。驚く私の目の前で四人に分裂した。
『はたてが鬼ね!』
 同じタイミングで声を発しながら、四人のフランはそれぞれバラバラに散っていく。
「え、ちょっ」
「あ~ぁ、妹様のかくれんぼは面倒よ」
 パチュリーが哀れみの視線を寄越した。
 もしかして――嵌められた?
 広い紅魔館のなか、一人で四人も探すのにどれだけ時間が掛かるだろうか。時刻は十五時を過ぎている。日没までに終われるだろうか。
「ねぇパチュリー、」
「せいぜい頑張りなさい」
 助け舟は貸し出し拒否。さらに私は、恐ろしいことに気づいてしまった。
「ひょっとして、フランは鬼のときも四人なのかな・・・」
「安心なさいな、骨なら拾ってあげるわ」
 ・・・フランめ、可愛い顔して矢張り悪魔だ。


 フランを探して館を巡っているうちに、外はもう赤く夕日に焼けていた。
 奇跡的に一人捕まえることが出来たが、どう考えても夕食前に終わりそうに無い。相手は私より館のことを良く知っている。フランが鬼の番を迎えることなく別れることになりそうだ。
 廊下を歩いていると、中庭を望むテラスに行き当たった。パラソル付きのテーブルと椅子があって、そこでレミリアが一人黄昏れている。傍らには、空の器に団子の串とティーカップ、それと――私の新聞があった。
「どうだった?」
 ぼうっとしていたレミリアは、声を掛けられて初めて私の存在に気付き、視線をこちらに向けた。
「あぁ、悪くない」
 それだけ言うと、再び夕日に視線を戻す。その眼差しは、いつしかの謁見の間でのそれと同じく、夕日とは別にどこか遠くを見ていた。
「フランは見たのか?」
 ――新聞を。
「フランの羽は一面の桜みたいって言ったら喜んでた」
「そうか」
 そのとき初めてレミリアが笑顔を見せた。妹のそれとは正反対で、酷く大人びた、擦れた笑い方をする。
 暫し沈黙が降りた。お互いになにをするでもなく、夕日が沈むのを見つめている。
 夕日が、その身を半分ほど山の端に隠した頃合に、レミリアは口を開いた。
「お前は、この後どうする」
「居ないと寂しい?」
 軽口を叩くと、レミリアは苦笑した。
「まぁ、賑やかなのは嫌いじゃない。ただ――」
 一拍置いてから、レミリアは遠い目で言った。

「フランは寂しがるだろうな」



 ――なんだ、そう言うことだったのか。



 今やっと、レミリアが遠い目をしている理由――私の滞在を許した理由が分かった。
 私を山の勢力だと警戒しているとか、そう言うことじゃない。もっと単純に――
 ――フランのことを考えていたんだ。
 部外者との邂逅で、私のまだ知らない情緒不安定なフランが出てこないか。それによってフランが不利益を被ることが無いか。私が悪影響を与えないか。そんなことだろう。
 フランを地下に幽閉したのも、情緒不安定なのを嫌ったからじゃない。単に接し方が分からなかっただけなんだ。吸血鬼の力は凄まじい。情緒不安定になったフランが滅多矢鱈に暴れ回るとしたら、それを抑えるのは大層骨の折れることだろう。フランが地下で己の境遇を嘆いているとき、同じくらいレミリアも思い悩んでいたんだ。憶測に過ぎないが、恐らく外れてはいないだろう。だからこそ、私は今ここに居る。
 全く、過保護に過ぎる。おまけに素直じゃない。まるでどっかの誰かさんみたいだ。
 だからちょっとだけ、仲を取り持ってやろうと思う。
「ねえ、手伝ってくれない?」
「?」
「フランとかくれんぼしてるの。四人いるから見つけるのが大変で」
 やれやれ、とレミリアの口から溜め息が漏れる。
「まったく、しょうがないな。たまには遊んでやるか」
 そう言って幽かに笑うレミリアの顔は、先程より幾分か、晴れて見えた。


 レミリアの乱入は予想外だったようで、レミリアに見つかったときのフランときたら目を真ん丸にして驚いたそうな。彼女の探索は的確で、夕飯前には全員を捕まえることが出来た。フランはルール違反だと言って大分ご立腹のようだったが、レミリアはそんなフランを見てご満悦だ。姉より優れた妹は居ない、だとか嘯いていた。
 皆で最後の夕食を済ませてから、名残惜しそうなフランや、パチュリーたちにさよならして紅魔館を出た。
 飛び立つ寸前、背後から私を呼ぶ声がする。振り向くと、レミリアが一人で後を追ってきた。
「新聞はまた作るのか」
「もちろん。まだ創刊を出したばっかりだしね」
「そうか。それじゃあ、もし何か調べるときはうちに来るといい」
 その誘いは、私ではなくフランのための建前だろう。飽くまでも遠回しな言い方は変わらないらしい。
「そうね、また遊びに来るわ」
 そう言って羽を広げた。

 ――ありがとう。

 風に流されるほどか弱い声だったが、しっかりと私の耳には届いていた。
 それでも敢えて聞き返すと、なんでもないと誤魔化してレミリアは踵を返した。
 まったく、ホントに素直じゃないんだから。










 山に戻って数日。私は早くも次号の作成に取り掛かっていた。
 人里で定期購読を希望する人が少なからず居たのだ、私の新聞に。カラフルな見た目の良さと、内容の珍しさが受けたらしい。
 なにせ初めてだったものだから、張り切った私は既に昨日から撮影を開始していて、今日もその続きのために家を出るところだった。
「精が出ますねぇ、はたて」
 玄関をくぐると直ぐに、上から険のある、そして耳慣れた声がした。
 振り向き仰げば――文がうちの屋根に仁王立ちしていた。ぱんつ見えてますよ。
「ふっふん、文、聞いて驚け。なんと定期購読者が出来たのよ!」
 ちょうど誰それ構わず自慢したいところだったのだ。その相手が文とはお誂え向きだ。いつもは逆の立場なせいか、気分は爽快。私の自慢が気に食わなかったようで、文は険しい顔で皮肉を返してくる。
「へぇ、それは良かったですねぇ。まあ、毎日お花見してるような能天気な連中には受けるのかも知れませんけどね。前みたくすぐ廃刊にならないよう、せいぜい足掻くことです」
 捨て台詞と共に、文は飛び去った。
 なんだか、やけに棘がある言い方だった。普段冷やかしに来るときとは違って、機嫌が悪いと言うか、敵意があると言うか。
 ――ひょっとして。いやまさか。
 しかし、間が合いすぎる。ちょうど私の新聞が好評になったころに、同じく人里で活動している文が、私に対して、敵意を・・・

 ――ふ、

「ふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふ・・・・・・」
 横隔膜が小刻みに肺を押し上げて、不敵な笑みが量産される。手で押さえても、口は笑みを崩さず、顔がにやけてしかたない。
 間違いない。
 あの文が、私に敵対心を燃やしている。もしかすると縄張りを侵されたと思っているのかもしれない。今さっきのは宣戦布告みたいなものだろう。
 今までは勝手にそう思っていただけだが、これで私と文は正式に好敵手になったわけだ。そうとなれば、俄然やる気が出てきた。
 ――いつか『文々。新聞』を、文を越えてやる。
「越えてやるぞぉ――――――――――――――――――!」
 私の大音声は、近隣の山々に反響しながら、きっと文にも届いている。
 験担ぎに、家の傍に自生していたタンポポを一つ毟って、屋根の上に飛び乗った。
 タンポポはすでに花を落とし、綿毛をまとっている。
 綿毛の付いた種子は風に乗り、やがて幻想郷に広く散って各地に根を下ろす。
 花果子旬報も、この綿毛のように普く幻想郷に広まって欲しい。
 そんな願いを込めて、私はタンポポを丸裸にした。













すっかりROM専が板についてきた今日この頃。
名に違わぬ筆の鈍さを恨みながらもなんとか年内に一本書けてほっとしてます、ぐうたらです。
レミリアがなんかなよなよしてる気がしますが、自分の中でのレミリアは、兎にも角にも妹想いというイメージなのであしからず。
何気にこの名義で上げるのは初めてだったり。
あと、ダブルスポイラーのときに取材を行ったという設定は基本的に踏襲してません。なぜなら自分がはたてを出す前に積んだから。へたれでサーセン。

夏の号に続きます。
愚迂多良童子
luncer_7@yahoo.co.jp
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コメント



0.4710簡易評価
2.90奇声を発する程度の能力削除
この新聞は読んでみたいなぁ
後、お嬢様がカッコいい
3.90名前が無い程度の能力削除
いいじゃない
4.90コチドリ削除
序盤から中盤にかけての割と淡々とした清く正しい姫海棠女史の徒然なる描写と、終盤のじんわりとした盛り上がり。
抑えた筆致というんですかね? こういう物語も大好きです。

幻想郷の面々とあまり交わりを持っていない印象が個人的にあるせいか、はたて嬢の視線で語られると
お馴染みの登場人物達にも結構新鮮な感覚を抱きますね。
白眉はレミ様。宜しい、大変宜しいですぞ。

筆が遅いと仰られている作者様に『花果子旬報 ―夏の号―』を望むのは我侭に過ぎるかな?
わかりました、俺も鬼じゃないんで冬の号辺りで手を打ちましょう。
5.100名前が無い程度の能力削除
これはいい 夏の号も読めるといいな
7.無評価愚迂多良童子削除
レス返。
>> 2 さん
ありがとうございます。
やっぱりレミリアはカリスマでないと。

>> 3 さん
ありがといございまっす!

>> 4 コチドリさん
あまりこう、一気に盛り上がるような話って得意じゃないんですよね。バトルものとか。
誤字ありがとうございます。
ただ、「応える」は「痛手として強く感じる」という意味なので多分あっている・・・ハズ。
あと、「鼻から」は仕様です。なんか「端から」を鼻にするのが気に入ってまして。
夏の号・・・出来たとしてもまた季節はずれになりそうな。というか絶対なる。

>> 6 さん
発想はあっても構想が出来てないという。
もともとは短くさくっと読める話を書くつもりだったんですよ。
それが想定外に分量が多くなってしまって。
でもいつか書きたいとは思ってます。いつかは・・・
11.90名前が無い程度の能力削除
この感じ、いいわぁ


あと夏秋冬、楽しみです
12.無評価愚迂多良童子削除
>> 12 さん
やめてぇ!ネタ振りやめてぇ!
夏と秋の構想が全く決まってないんですよね。
何故か冬の冒頭だけはすでに書いてあるんですけど。
13.80名前が無い程度の能力削除
描写がとても丁寧ですね。はたてと一緒に、幻想郷を探索している気分になりました。
盛り上がりはなくとも淡々と、どこか暖かな空気が流れているような文章が好ましく感じました。

夏の号楽しみにしてますよ?とプレッシャーをかけてみる。
14.無評価愚迂多良童子削除
>> 13 さん
ま、まじやめてっ。プレッシャーかけないでぇ!
これ書き始めたのが三月の末なので、これだけの分量書くのも軽く二ヶ月はかかります。
しかも途中で構成が変わってきたりするから、今から書き始めても八月中に間に合うかどうか・・・
19.70名前が無い程度の能力削除
いい
24.無評価愚迂多良童子削除
>> 19 さん
Thanks!ありがとう。
25.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです
幻想郷は季節の移り変わりがより顕著なのでしょう
という理由で夏秋冬も楽しみに待ってます
31.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです
はたての記事に対する向き合い方や自然の描写が幻想郷ぽくてすてきでした

夏も期待してます
34.100名前が無い程度の能力削除
……いいなぁ。ツボに深く突き刺さってしまいましたよ。
それと。三点リーダ。些細なことですけどね。
40.100がま口削除
愚迂多良童子様がSSを書いていらっしゃる!
いやぁ、このまったりほのぼのとした空気感が素敵です。
また情景や心情描写がとても丁寧で瑞々しく、感受性豊かな人が紡いだ随筆を拝見している様でした。
地域紙の様に気候風土や四季折々の景色を盛り込んだ新聞は、きっと幻想郷に根を張り長く愛されるとおもいますよ。

さて、冬のお話は冒頭が出来ているとのことですが、夏もまた素晴らしい季節です。
真っ直ぐ抜けるような空は青く広く、白い雲とそこかしこの庭木や街路樹の濃い緑が見事に調和しています。
夏の朝はどこか洗練された大人しさがあるが、それはこれから始まる快活な一日の静かな前奏曲のようなものなのかもしれません。
しかし、前奏も長くは続かない。一年で最も太陽が降り注ぐ季節は、早くもにぎやかな喧騒という音楽を奏でる。
その嬉しそうな声に負けないみんみん蝉やアブラ蝉の鳴き声、どこからか流れてくる風鈴の涼しげな響き。
BGM付絵画のようなそれは、毎年恒例の地軸の傾きと太陽が織り成す3ヶ月程の壮大な天体ショー。

無理はしないで欲しいのですが、一読者として一言。

今年の夏は楽しみだなぁ〜。なんちて。
41.無評価愚迂多良童子削除
>> 25 さん
ありがとうございます。
温暖化で季節がずれ込んでるとか言いますけど、幻想郷だとそこらへんどうなんでしょうね。
やっぱり影響されるんでしょうか。

>> 31 さん
ありがとうございます!
自然は結構好き勝手にやりたい放題な感じになりましたね。
初めのうちは色々と植物を調べていたんですけど、この話は「はたてが新聞作り(取材)を通して交友関係を広げる」という内容だったので、あんまり拘る必要もないと判断しました。
いい加減だと思われなくて良かったです。

>> 34 さん
自分は中黒三つ派なのであしからず。
最近の小説だとどうなっているかちょっと分かりませんが、漱石とかだと三点リーダーでなく中黒を用いています。
ただ、「MS Pゴシック」だと中黒の横幅が短くて不恰好なので、フォントを「MS ゴシック」に変えています。
ラノベとかだと基本は三点リーダーなんですかね?


>> 2 奇声を発する程度の能力さん
最初のレス返で奇声さんの名前を入れ忘れてしまった。申し訳ない。
42.無評価愚迂多良童子削除
>> 40 がま口さん
>>今年の夏は楽しみだなぁ〜。なんちて。
やめて!俺のライフはもう0よ!
正直言うと、夏って嫌いなんですよね・・・夏目漱石と京極夏彦は好きなんですが。
いかんせん、熱がりなもんで。あと虫が鬱陶しくて。特に今ぐらいから、夜中に台所のど真ん中にアレが出るのがね・・・
情景や心情描写はまだまだ不足だと思っていますが、お褒めいただき嬉しい限りです!
44.100ケンロク削除
ほんわりとした気持ちになれました。さすが春号。
来月には初夏号、再来月には盛夏号、再々来月には晩夏号とか、月刊発行しないかな……ワクワク。

とりあえず、阿求がひたすら可愛かった!
45.無評価愚迂多良童子削除
>> 44 ケンロクさん
月刊とかムリっす! ケンロクさんみたくあんなにいっぱい書けませんよ。
阿求も、もっと絡めていきたかったですね。もし続編があるとしたら、そこらへんも考慮してみます。
47.90名前が無い程度の能力削除
月刊が駄目なら週刊にすれば良いんだヨ
48.無評価愚迂多良童子削除
>> 47 さん
鬼だ、鬼がここに居るッ!
どう考えても夏休み前に過労死しますから!
・・・そうか、この作品は旬刊ってことになるのか。意外なシンクロが。
50.100名前が無い程度の能力削除
おもしろかったです。
読み応えもありましたしね。
さわやかな読後感です。
どろどろのぐんぐねで、殺伐としている幻想郷も好きですが、こういうのも好きだなあ。

いやー、夏が楽しみだなー
52.無評価愚迂多良童子削除
>> 50 さん
次に夏の号を出すとしたら、暑苦しい読後感がいいんだろうかw
実は殺伐とした、というか、物凄く後味の悪い話の構想もあるにはあります。
叩かれるの覚悟でいずれ書こうかと思ってます。
53.100名前が無い程度の能力削除
春で桜ならば、夏と言えばひまわり!
つまり一面はゆうかりんとひまわり畑ですねわかります。
とプレッシャーをかけてみるテスト(笑)

このはたてと紅魔館勢の可愛さにやられたのでこの点数です。
55.100名前が無い程度の能力削除
お姉さんポジションなはたては斬新でした。
落ち着いた文章も素晴らしかったです。
はたての新聞読んでみたいなあ。
続編もお待ちしています。
59.無評価愚迂多良童子削除
>> 53 さん
やっぱ夏は幽香ですね。そこらへんで色々考えてます。
となると秋は姉妹ですかねえ。

>> 55 さん
お姉さんポジション。なるほど、そういう視点もあるのか・・・
フランと絡むと大体のキャラはそうなりそうな気がしますね。
それだけフランの妹属性が強いんでしょう。
62.100名前が無い程度の能力削除
綺麗で読みやすい良作ですね、夏が楽しみだ。
63.無評価愚迂多良童子削除
>> 62 さん
地の分主義なもので、文章が野暮ったくないか結構心配だったんですが、
読みやすくなっているようで良かった。
夏か・・・よし、人肌脱ぎますか。
66.100名前が無い程度の能力削除
やっぱり花、夏といえばゆうかりんですよね。
はたてがイジメられないか心配ですが。
続きを楽しみにしています
67.無評価愚迂多良童子削除
>> 66 さん
ちょっとずつシナリオを考えています>夏の号。
自分はそんなに幽香=ドSっていうイメージはないんですよね。
あまり人付き合いが上手くないタイプなんじゃないかな、と。
他者と接することが少ないと、ちょっとした齟齬が修正されずに蔓延してしまうというか。
なまじ力が強いだけにそういうネガティブな勘違いをされているんだと妄想してます。
69.100名前が無い程度の鋼鉄削除
はたてと一緒に笑えて、はたてと一緒に眉をひそめ、はたてと一緒に喜べました。
これからはたてがどのように過ごしていくのか、想像するだけで胸が高鳴ります。
面白かったです!はたてが、好きになりました。
71.無評価愚迂多良童子削除
>> 69 さん
はたて良いですよね、ツインテールが。
これからも、はたてスキー増加に貢献していきます。
74.100名前が無い程度の能力削除
私も定期購読したくなった素敵なお話、ありがとうございました。
紅川氏のパチュはたが一瞬脳裏をよぎりwktkしたのは秘密ですw

創刊号はゆうかりんにも受けが良さそうですよね〜
夏の号の一面取材もスムーズにイケそうな気が?
76.無評価愚迂多良童子削除
>> 74 さん
今回は人里にしか配っていないので、幽香はこの新聞の存在を知らないんですよね。
そこらへんをどう処理するかちょっと悩んでます。
>>パチェはた
自分も本当は軽いカプを想定して書いたんですけど、どっちかと言うとフランとフラグが立っているような気がしますね。どうしよ。
77.100名前が無い程度の能力削除
文章がすごく読みやすかった。幻想郷の自然の素晴らしさとか、はたての素直でひたむきな感じとか、紅魔組との交流の様子とか。一場面ごとに目に浮かぶようでした。
次の作品も楽しみにしています。このシリーズじゃなくてもいいから、あなたのはたてのお話がもっと読みたいなあ。ほんとに大好きになりました。
78.100名前を忘れた程度の能力削除
コレは面白かった。
ぜひ夏の号も、とプレッシャーをかける包囲網に参加せねば。
79.無評価愚迂多良童子削除
まじかぁぁぁぁ!まさかの4000点!もうね、血涙に咽んで画面が見えない;;
皆さんありがとうございます!

>> 77 さん
はたてスキー量産計画は順調のようですな(ニヤリ
読む人にとっては色々と違和感あるんじゃないかと思ってましたが(主にレミリア)
安心しました。

>> 78 名前を忘れた程度の能力さん
くっ、囲まれたか・・・!
夏のシナリオは大まかに決まったので、もしかしたら春より早く書けるやも。
・・・いまエターナるフラグを自ら立てた気がしないでもない。

>> 69 名前が無い程度の鋼鉄さん
奇声さんに続いて名前入れ忘れ二人目。
くそう、紛らわしいw
82.100名前が無い程度の能力削除
はたてと紅魔館の組み合わせが意外!
後はたての一人称も新鮮に感じて良かったです

夏(ry
83.100過剰削除
はたての可愛さに目覚めた

それはともかく、地の文が自分的にかなりヒット。
はたての心情の描き方がかなり好きですね。
紅魔館もいい雰囲気で、物語り全体のイメージがすごく好みなものになってます。
食い入るように読ませていただきました。次回作にも期待します
86.無評価愚迂多良童子削除
>> 82 さん
くっまた一人包囲網が・・・!
元々は「紫色」と「引き篭もり」という共通点から
パチュリーとの組み合わせだったんですよ。それが段々と構想がそれた結果がコレ。

>> 83 過剰さん
ありがとうございます!
地の文を褒められると調子に乗りますのでご注意を。
87.100名前が無い程度の能力削除
長さといいキャラの性格といい全てが好みでした。
暫くは何度も読み返すことになりそうです!日常が充実しそうな予感!

夏の号期待してますね!!
いやもう冬でも何でもずっと待ちます!
88.100名前が無い程度の能力削除
はー、これはうまい。いいなぁ、花果子旬報読んでみたい。
紅魔館とはたてとは意外な組み合わせのはずなのに違和感ゼロでした。
フランとはたてが仲良しなのを見るとニヤニヤしてしまう。
89.無評価愚迂多良童子削除
>> 87 さん
ありがとうございます!
この先は期末テストやら何やらで微妙に忙しくなりますが、
何とか8月中のアップを目標にがんばってみます。

>> 88 さん
はたてって一見すると他キャラと絡みづらく思えますが、
ダブルスポイラーで取材していることを鑑みるに、実は魔理沙などと同じく、
結構いろんなキャラと自由に組み合わせることができるんじゃないかと思います。
下手に交友関係の設定が無い分、捏造しやすいというか。
93.100お嬢様・冥途蝶・超門番削除
でたー!ぐうたらさんの新作ー! ていうかかなり久しぶりじゃないのかな〜?
レミリィがカッコ良かったので私は大満足!             お嬢様
随分久方振りな気がします。独特の低調なトーンですごくおもしろかったです。
はたてちゃんとかは旨く絡ませるの難しいんですよね・。       冥途蝶
でました!なんか読書好きな感じが滲み出てますね。文章もそんな調子でした。
とってもおもしろかったです!次回も楽しみにしてます!       超門番
94.無評価愚迂多良童子削除
>> 93 お嬢様たち
お気に召していただけたようで何よりです。
もっと台詞とか多用してお嬢様みたくハイテンションにしたほうがよいのでしょうか。
なるべく普通の小説っぽさを心がけているので、どうしてものっぺりした感じになっちゃいますね。
95.100名前が無い程度の能力削除
丁寧に描写された作品の世界に、完全に引き込まれました。素晴らしいです。
作中の、新しい新聞に期待と不安を募らせるはたては、作者さんの心境が
投影されているのかなと、勝手に解釈しました。
淀みなく自然に物語が流れていく感触も、賞賛を通り越して驚く次第です。
96.無評価愚迂多良童子削除
馬鹿なっ・・・5000・・・だと・・・
見間違いじゃないよね。やった!

>> 95 さん
>>作者さんの心境が
確かに、久しぶりの投稿は緊張しましたね。ちょっと間を空けただけで随分と敷居の高くなってしまいました。
正直、最後のあたりはもうちょっと地の文増やせないかな、とか思ったりしてます。
でも、あんまりやりすぎると読みづらいですかね? さじ加減が難しいです。
98.100Ash削除
とても綺麗な文章でした。

……で、新聞はどこへ申し込めばいいのでしょう?
101.無評価愚迂多良童子削除
>> 98 Ashさん
ありがとうございます。
申し込みか。どこにしよう・・・
紅魔館は・・・ちょっと足を運びづらいですね。
ちょっとその辺考えておきます。
102.100KASA削除
はたてってあんまり良く分かってないキャラだったんですけど、このお話のはたてがすっごい生き生きとしててかわいくて……あひぃちょっと好きにちゃった……。
103.無評価愚迂多良童子削除
>> 102 KASAさん
キャラがあまり決まっていないからこそ、自由に捏造できるわけですよ。
また一人、はたてスキーが増えましたね。フフフ・・・
108.無評価紅川寅丸削除
詩。
ですね。
花果子旬報、恐れ入りました。
109.100紅川寅丸削除
大変失礼いたしました。
ぼーっとしてしまい、点数を忘れてしまいました。
ごめんなさい。
110.100名前が無い程度の能力削除
取材を進めるはたてはもちろん、彼女が飛び回る幻想郷も魅力的でありました。
これは次号にも期待ですね。
111.無評価愚迂多良童子削除
>> 108 109 紅川寅丸さん
詩じゃなくて新聞です。ってそういうことじゃないか。
どこかしら詩的な部分ありましたか? 断言されるほど詩的なものではないと思うんですが。
自分だと分からない見え方もあるんでしょうか。

>> 110 さん
次号は夏で!乞おうご期待。
なんて言うと余裕で秋ごろになっちまうわけですよ、はい。がんばってみます。
113.100名前が無い程度の能力削除
ぐずたらさん包囲網はここでいいんでしょうか?

穏やかで大笑いするような文じゃいけど、たのしく読めました。
続けられるなら続けて欲しいですね。

しかし、私は文が好きだ!w
114.無評価愚迂多良童子削除
>> 113 さん
嗚呼、最早逃げ道無し。
文は夏あたりでどうにかする予定なので、気長にお待ちください。
しかし、私ははたてが好きだ!w(ツインテール)
117.100名前が無い程度の能力削除
むう、素晴らしい。
調度さきほどまで、短編集の文庫本を読んでいたのですが、その中に混じっていても遜色ないようなお話だと感じました。
118.無評価愚迂多良童子削除
>> 117 さん
まさか、1ヶ月も経ってから点が入ろうとは・・・
ありがとうございます。
さすがにちょっと褒めすぎですよ、それは(ニヤニヤ
126.100名前が無い程度の能力削除
面白かったですわ。
はたての花果子旬報読んでみたいなぁ。
次回作も期待しています。
127.無評価愚迂多良童子削除
>>126 さん
うおぉ、半年も経ってから点が・・・
何とか、何とか12月中には・・・!
129.100名前が無い程度の能力削除
丁寧な文章が読みやすかったです
紅魔館の面々も仲が良さげで、読んでいて心地よい気分になれました
130.無評価愚迂多良童子削除
>>129 さん
ありがとうございます。
地霊殿勢と紅魔館勢はアットホームな雰囲気が会いますね。
131.100名前が無い程度の能力削除
GJ
132.無評価愚迂多良童子削除
>>131 さん
ありがとうございます!
もうちょっと、もうちょっとで夏の号が・・・!
139.100名前が無い程度の能力削除
もう夏が出たので次は秋が夏くらいですか?と包囲網を張っておく。
140.100名前が無い程度の能力削除
夏の号から来ました。
いや今さら読んだんですけど素晴らしいですねこの作品…
今から夏の号読んできますがとても楽しみです!
141.100名前が無い程度の能力削除
夏の号が目に付いて、とりあえずこっち先に読んでみました。
うん、なんで見逃してたんでしょうかね。
景色の描写が素晴らしかったですし、何よりスカーレット姉妹好きとして妹思いなのに素直じゃないレミリアが見られて大変満足でした!
夏の号も読ませていただきます!
143.100名前が無い程度の能力削除
なんともふんわりした優しい雰囲気。
夏の号に行ってまいります
144.無評価愚迂多良童子(レス返)削除
>> 139 さん
いやあ、流石にそれは無理ですね。
実はまだ秋の号は内容が全く決まっていないので。
また一年くらい掛けてゆっくり書いていきます。気長にお待ちいただければ幸いです。

>> 140 さん
ありがとうございます。夏の号は長いので、お口に合うと良いのですが。

>> 141 さん
妹思いなのに素直じゃないレミリアって良いですよね。すごくグッと来る。

>> 143 さん
きっとあなたも、春の陽気に当てられて浮き足立ってしまっているのです。
146.100名前が無い程度の能力削除
夏の号より先に読んでいましたが、感想入れ忘れてましたので今入れておきます。
はたての一生懸命さが自然と伝わってきました。はたての着眼点が、幻想郷という舞台と見事に組み合わさって、とても綺麗な作品になっていたと思います。
147.無評価愚迂多良童子(レス返)削除
>> 146 さん
自然をテーマにした新聞の発想は、テレビで桜前線のニュースを見ていたからなんですよね。幻想郷は自然に溢れていますから、ちょうど合うかな、と。ちなみに、はたてにした理由は、発想が出た少し前にはたてを好きになったからです。
それと、誤字のご指摘ありがとうございます。
あまりにさりげない間違い方で、指摘されるまで気付きませんでした。メールに関しては、読まずに消してしまった可能性もあるので、もし今後も機会があったなら、その際はコメ欄にてご指摘いただけると幸いです。
148.100名前が無い程度の能力削除
丁寧にはたての新生が描かれてて面白かったです
さて次は夏か
149.無評価愚迂多良童子(レス返)削除
>> 148 さん
ありがとうございます。
夏の号を書いた後に見ると、結構粗があるような気がします・・・
それだけ上達したのかなあ。
151.90S.Kawamura削除
花果子旬報を契機にはたてが新しい人間関係や環境に出会いって現れる気持ちは読んでいてとてもおもしろかったです。

ただ、ちょっとだけ「ん?」と思ったのが、「はたては紅魔館という人様の家に泊まることへ躊躇しないのかな?食事までだしてもらって。せめて、恐縮ぐらい
してもいいのではないかな。」という点と、
そこで寝るときに「いつも寝るところ(家のベッド)とは違うところで寝るときに、違和感や緊張感って感じないのかな?特にはたてはひきこもりで、
家の寝具で寝るのが常識だったはずなのに。」という点でした。まぁ、些細な点ですけれども!

あとは、
>巨大生物に丸呑みされるとこんな感じなのだろうかと良からぬ方へ想像力を働かせてしまう。
>羽の宝石がぶつかり合って、カランと透明なガラス質の音を立てた。
この二つの文章が「あ、すごく素敵だな」と思いました。自分でもなぜだかよくわかりませんが。
夏の号もおもしろかったです。ともここに書かせてください。
152.無評価愚迂多良童子(レス返)削除
>> S.Kawamuraさん
原作を見る限りにおいて、はたては相当マイペースかつ自由奔放で毒舌なキャラをしているので、あんまりそう言うところで気を遣うタイプではないかなと思ってます。わりかしずけずけと上がりこんでくるタイプと言うか。「いつも寝るところ〜」については、住めば都ってやつです。いや、旅館とかに泊まっているイメージかな? どちらかと言えば。何れにしろ、自宅より上等な寝床なので、はたては気に入ると思います。
文章表現を褒められるのは嬉しい限りです。夏の号共々、ありがとうございます!
153.100名前が無い程度の能力削除
夏号を読む前に・・・と思って読み始めたました。
状況描写が丁寧で美しいのが素敵です。
154.無評価愚迂多良童子(レス返)削除
わぉ・・・8000点いった。

>> 153 さん
ありがとうございます!
夏の号もよろしくお願いします
155.100名前が無い程度の能力削除
登場キャラ一人一人に味があって良かった
印刷所の人とか含め
あとリリーかわいい
156.無評価愚迂多良童子(レス返)削除
>> 155 さん
オリキャラを評価されるのは初めてだ・・・なんかとても嬉しいです。
今思うとリリーも、もうちょっと出番があっても良かったかもしれませんね。
162.100村人。削除
シリーズの長さに気後れしてなかなか読めずにいたのですが、落ち着いた優しい話でとても素敵でした。
はたてさんがんばれ! がんばるはたてさんかわいい!
はたてさんの成長物語は難しいですよね。はたてさんにはなぜかやっぱり花を愛でるのが似合います。わかります。
このままはたてさんにはのびのびとやってほしいな
163.無評価愚迂多良童子(レス返)削除
>> 村人。さん
>>がんばるはたてさんかわいい!
激しく同意せざるを得ない。原作のコメント見ると余計に可愛いし良いやつだし、もっと流行らないものかと常々思っています。
言葉の綾かもしれませんが、この作品のはたては「成長」と言うよりも「前進」と言ったイメージですね。原作ではたてルートだと最終的に文を倒すことになるので、それほど未熟なキャラだとは考えていません。ただ面倒くさがりが故に停滞気味なだけなのではと。少なくとも根暗な引き篭もりでは断じて無いですね。
善きにつけ悪しきにつけ凄まじくマイペースなキャラなので、進むにしろ止まるにしろ、はたては自由に伸び伸びとやっていくと思います・・・と、遅筆の言い訳をしてみる。
姫海棠は植物に関する名前なので(椛もそうですが)、自然をテーマにした新聞とは相性が良かったかもしれません。
長さについては、秋は夏ほど長くはならない予定でいます。夏がイレギュラーだったんです!
164.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです。
165.無評価愚迂多良童子削除
>> 164 さん
ありがとう!
176.100名前が無い程度の能力削除
描写が綺麗だからだろうか。
図書館に入ったところで静寂の中パチュリーが本をめくる音が聞こえて来た。
すごい。
177.無評価愚迂多良童子削除
>> 176 さん
ありがとうございます、描写を褒められると嬉しいです!
文字に書かない音を想像させられる文章をもっと書けるようこれからも精進します。
182.100名前が無い程度の能力削除
妖精桜見たいなあ
184.無評価愚迂多良童子削除
>>182
実際に目の当たりにしたらきっと、とても美しい光景なんでしょうね。
幻想ならではの美しさも、幻想郷の自然の一部として、色んなものがあるんでしょうね。
185.90ばかのひ削除
面白かったー
夏へ行ってきます