その場にいる全員が驚いた。
それもそのはず、陰陽玉はこういった石の様に形を残さないからだ。
陰陽玉自体は珍しくも何とも無い。
道中でよく見かける上に弾幕を撃ってくる為霊夢達がいつも退治しているのだが、陰陽玉は弾幕を当てると跡形も無く消滅する。
変わった力を宿しているからだろうか……私の陰陽玉に異常は見られないし……もしかして……
「なあ霊夢……異変って事でいいんじゃないか……?」
考えるのが嫌になったのか、しびれを切らした魔理沙が話しかけてきた。
私もこの意見には賛成だ。深く考えるより自分から動いた方が早いだろう…
「もう一つ言っておくわ」
紫が深刻そうに話す。
「その黒い石は陰陽玉の『陰』の方よ。この幻想郷の何処かに『陽』の方の石があるはず……探すのであれば急いだ方がいいわ」
魔理沙は全く理解していないが、霊夢は気付いていた。
『陰』が能力を抑え込むのであれば『陽』は正反対、つまり能力を引き出し強化させてしまう。
もし妖怪が持ってしまったら最悪の場合人里に被害が及ぶかもしれないのだ。
「魔理沙、この石を拾った場所まで案内して」
「ああ、分かったぜ。でもその石どうするんだ?持ってると能力が抑えられるんだろ?」
「『陰』の石は私が預かろう。周りにも結界を貼っておく」
神奈子が察した様に言った。
「……恩に着るわ、神奈子」
そう言うと二人は飛び上がり石を拾った場所へ行った。
「紫……本当は何かしってるんじゃないか?」
紫は黙り込んだ。
心当たりはあるのだが、確証が無い。
証拠が無い以上無闇に問い詰めるのは紫自身もよろしくないと思っているのだ。
「霊夢……任せたわよ…」
紫はそう呟くとスキマを開いて何処かへ行ってしまった。
神奈子がため息をつくと廊下の方から目の付いた帽子を被った少女がひょっこりと現れた。
「か~なこ! 何溜息ついてるの? 貴方らしくない」
彼女の名は洩矢諏訪子、土着神の頂点でありこの守矢神社で崇められているもう一人の神様である。
「霊夢達の事なら心配いらないよ。なんたって私達を倒しちゃうんだから」
「……それもそうだな……」
その頃、射命丸はというと霊夢達が神社を出る前に既に家で新聞のネタを考えていた。
紫から陰陽玉の事を止められているので困っているのだ。
「参りましたね……折角良いスクープを見つけたとおもったのに………! そうだ! h」
「ダ メ ヨ♡」
後ろから声が聞こえた様な……無かった様な………………やっぱりやめて置きましょう……。
途方にくれていた。
~道中 地蔵前~
霊夢は『陰』の石が地蔵の足元に落ちていたならば、『陽』の石もこの近くにあるのではないかと考えていたのだが……
「どーお、魔理沙。 石見つかった?」
「さっぱりだぜ……」
かれこれ二人は二時間探しているのだが全く収穫が無かった。
誰かが拾って持って行ってしまったのか…それとも、この辺りではないのか……
「これだけ探しても無いんだし…他を当たってみようぜ」
「他って言ったって……何処よ…」
しらみつぶしに探しても時間を食うだけだ。
それにこの事はあまり知られてはいけないのだ。
時は一刻を争う……
「白玉楼はどうだ?」
「あんな所にあるの?」
「行って見なきゃ分からないぜ」
確かにそうだ。
行って見るだけ行ってみよう。
少女移動中………
~冥界~
白玉楼は冥界の中にある屋敷の事だ。
冥界は死んだ者が閻魔様によって裁かれ、白……つまり無罪だった者が成仏か輪廻転生を待つ場所である。
二人は長い階段を上っている最中だった。
「勘弁して欲しいわ…この階段……」
愚痴をこぼす霊夢。
冥界に行く時はいつもこうだ。
「もうすぐなんだから、我慢だぜ」
なんて話している内に階段が終り、桜の木の通りにでた。
この辺りにある木は全て桜の木であり、春には知る人ぞ知る桜の名所………………………らしい。
この先に屋敷がある、それが白玉楼である。
通りを抜けると屋敷の前に誰かを待っていたかの様に銀色の髪の少女が立っていた。
「霊夢さん、魔理沙さん、お待ちしておりました」
「久しぶりね、妖夢」
「先週お会いしたと思いますが……」
彼女の名は魂魄妖夢。
この白玉楼の半人半霊の庭師だ。
周りに浮いているのが半霊らしい…………そういえば先週半霊がいなくなったって言って訪ねてきたっけ…結局犯人は魔理沙だったような………。
「…まあそれはいいとして、中で幽々子様がお待ちです。こちらへ」
二人は妖夢について行き居間へ行った。
そこに団子を食べている桜の色の髪をした女性がいた。
「あら~霊夢、待ってたわよ~」
彼女がこの白玉楼の主、西行寺幽々子だ。
幽々子は亡霊なのだが死霊を操る事ができ、その能力を買われ冥界に永住する事を条件に冥界の管理を任されている……………………それとよく食べる。
今食べてる団子……何本目なんだろうか……。
「妖夢~おかわり宜しく~」
「…またですか……これで46本目ですよ…」
ふむ…たった46本か
「いいじゃないのよ~美味しいんだもの」
「…ハァ………分かりました、只今お持ちします」
「宜しく~」
妖夢は二人を中に入れ襖を閉めて団子を買いに行った。
妖夢曰くここの家計は殆ど食費らしい。
あれだけ食べても食費が無くならないのだろうか………妬ましい……。
「……さてと、本題に入りましょうか」
「何を聞こうとしてるかわかる?」
「陰陽玉の事でしょ?さっき聞いたわ」
恐らく私達が来る前に紫が先に簡単な説明をしたのだろう…有難いんだか迷惑なんだか……
「陰陽玉が何処にあるかは私もしらないわ。ごめんなさいね」
予想していた答えが返ってきた。
そんな気はしていた。
もし幽々子が知っているならば紫も知っている筈だ。
「……そう……変な事聞いて悪かったわね。他を当るわ」
霊夢が立ち上がろうとすると、
「待ちなさい。一つ良い事教えてあげるわ」
「良い事?」
霊夢が首を傾げる。
良い事とは何だろう…心辺りでもあるのだろうか、
「もしそんな物があるのならその近くに霊が集まってくると思うわ」
幽々子がそう言うのであればそうなのであろう。
亡霊本人だし。
「ありがとう、幽々子。今度団子奢るわ」
「あら~嬉しい事言ってくれるじゃない」
「ただし、三本だけね」
「酷いわ、れいむぅ~」
46本以上も買う金があるか。
「霊夢、私にも奢ってくれないか?」
魔理沙が待っていましたとばかりに身を乗り出していた。
手伝ってくれているし……一本ぐらい良いだろう。
「この異変が終わったら、一本奢るわ」
「酷いぜ、れいむぅ~」
魔理沙がガックリと肩を落とす。
……この人達……お金が無限にあるとでも思っているのだろうか。
くっついてくる魔理沙を振り払う。
沢山買えるお金は無い……もしかして分かってて言ってる? だとしたら夢想封印でも撃っておこうか……そんな事を考えていた霊夢であった。
「それよりも、霊が集まる場所って何処よ。 霊なんてそこら中にいるじゃない」
幽々子は クスッ と笑い場所を教えた。
「無縁塚辺りなんかどうかしら? 霊が沢山集まってるわよ」
巫女の勘ならぬ亡霊の勘、霊夢はそれを信じる事にした。
二人は白玉楼を後にし、無縁塚へ向かった。
~白玉楼~
「……あれでよかったの?」
………
「ふ~ん、そういう事だったの」
………………
「でも、気付かれたりしない?」
……………
「まぁそれもそうよね。 分かった、そうするわ。
え? 不安じゃないのかって?」
………
「ん~……亡霊の勘かしらね」
続く
それもそのはず、陰陽玉はこういった石の様に形を残さないからだ。
陰陽玉自体は珍しくも何とも無い。
道中でよく見かける上に弾幕を撃ってくる為霊夢達がいつも退治しているのだが、陰陽玉は弾幕を当てると跡形も無く消滅する。
変わった力を宿しているからだろうか……私の陰陽玉に異常は見られないし……もしかして……
「なあ霊夢……異変って事でいいんじゃないか……?」
考えるのが嫌になったのか、しびれを切らした魔理沙が話しかけてきた。
私もこの意見には賛成だ。深く考えるより自分から動いた方が早いだろう…
「もう一つ言っておくわ」
紫が深刻そうに話す。
「その黒い石は陰陽玉の『陰』の方よ。この幻想郷の何処かに『陽』の方の石があるはず……探すのであれば急いだ方がいいわ」
魔理沙は全く理解していないが、霊夢は気付いていた。
『陰』が能力を抑え込むのであれば『陽』は正反対、つまり能力を引き出し強化させてしまう。
もし妖怪が持ってしまったら最悪の場合人里に被害が及ぶかもしれないのだ。
「魔理沙、この石を拾った場所まで案内して」
「ああ、分かったぜ。でもその石どうするんだ?持ってると能力が抑えられるんだろ?」
「『陰』の石は私が預かろう。周りにも結界を貼っておく」
神奈子が察した様に言った。
「……恩に着るわ、神奈子」
そう言うと二人は飛び上がり石を拾った場所へ行った。
「紫……本当は何かしってるんじゃないか?」
紫は黙り込んだ。
心当たりはあるのだが、確証が無い。
証拠が無い以上無闇に問い詰めるのは紫自身もよろしくないと思っているのだ。
「霊夢……任せたわよ…」
紫はそう呟くとスキマを開いて何処かへ行ってしまった。
神奈子がため息をつくと廊下の方から目の付いた帽子を被った少女がひょっこりと現れた。
「か~なこ! 何溜息ついてるの? 貴方らしくない」
彼女の名は洩矢諏訪子、土着神の頂点でありこの守矢神社で崇められているもう一人の神様である。
「霊夢達の事なら心配いらないよ。なんたって私達を倒しちゃうんだから」
「……それもそうだな……」
その頃、射命丸はというと霊夢達が神社を出る前に既に家で新聞のネタを考えていた。
紫から陰陽玉の事を止められているので困っているのだ。
「参りましたね……折角良いスクープを見つけたとおもったのに………! そうだ! h」
「ダ メ ヨ♡」
後ろから声が聞こえた様な……無かった様な………………やっぱりやめて置きましょう……。
途方にくれていた。
~道中 地蔵前~
霊夢は『陰』の石が地蔵の足元に落ちていたならば、『陽』の石もこの近くにあるのではないかと考えていたのだが……
「どーお、魔理沙。 石見つかった?」
「さっぱりだぜ……」
かれこれ二人は二時間探しているのだが全く収穫が無かった。
誰かが拾って持って行ってしまったのか…それとも、この辺りではないのか……
「これだけ探しても無いんだし…他を当たってみようぜ」
「他って言ったって……何処よ…」
しらみつぶしに探しても時間を食うだけだ。
それにこの事はあまり知られてはいけないのだ。
時は一刻を争う……
「白玉楼はどうだ?」
「あんな所にあるの?」
「行って見なきゃ分からないぜ」
確かにそうだ。
行って見るだけ行ってみよう。
少女移動中………
~冥界~
白玉楼は冥界の中にある屋敷の事だ。
冥界は死んだ者が閻魔様によって裁かれ、白……つまり無罪だった者が成仏か輪廻転生を待つ場所である。
二人は長い階段を上っている最中だった。
「勘弁して欲しいわ…この階段……」
愚痴をこぼす霊夢。
冥界に行く時はいつもこうだ。
「もうすぐなんだから、我慢だぜ」
なんて話している内に階段が終り、桜の木の通りにでた。
この辺りにある木は全て桜の木であり、春には知る人ぞ知る桜の名所………………………らしい。
この先に屋敷がある、それが白玉楼である。
通りを抜けると屋敷の前に誰かを待っていたかの様に銀色の髪の少女が立っていた。
「霊夢さん、魔理沙さん、お待ちしておりました」
「久しぶりね、妖夢」
「先週お会いしたと思いますが……」
彼女の名は魂魄妖夢。
この白玉楼の半人半霊の庭師だ。
周りに浮いているのが半霊らしい…………そういえば先週半霊がいなくなったって言って訪ねてきたっけ…結局犯人は魔理沙だったような………。
「…まあそれはいいとして、中で幽々子様がお待ちです。こちらへ」
二人は妖夢について行き居間へ行った。
そこに団子を食べている桜の色の髪をした女性がいた。
「あら~霊夢、待ってたわよ~」
彼女がこの白玉楼の主、西行寺幽々子だ。
幽々子は亡霊なのだが死霊を操る事ができ、その能力を買われ冥界に永住する事を条件に冥界の管理を任されている……………………それとよく食べる。
今食べてる団子……何本目なんだろうか……。
「妖夢~おかわり宜しく~」
「…またですか……これで46本目ですよ…」
ふむ…たった46本か
「いいじゃないのよ~美味しいんだもの」
「…ハァ………分かりました、只今お持ちします」
「宜しく~」
妖夢は二人を中に入れ襖を閉めて団子を買いに行った。
妖夢曰くここの家計は殆ど食費らしい。
あれだけ食べても食費が無くならないのだろうか………妬ましい……。
「……さてと、本題に入りましょうか」
「何を聞こうとしてるかわかる?」
「陰陽玉の事でしょ?さっき聞いたわ」
恐らく私達が来る前に紫が先に簡単な説明をしたのだろう…有難いんだか迷惑なんだか……
「陰陽玉が何処にあるかは私もしらないわ。ごめんなさいね」
予想していた答えが返ってきた。
そんな気はしていた。
もし幽々子が知っているならば紫も知っている筈だ。
「……そう……変な事聞いて悪かったわね。他を当るわ」
霊夢が立ち上がろうとすると、
「待ちなさい。一つ良い事教えてあげるわ」
「良い事?」
霊夢が首を傾げる。
良い事とは何だろう…心辺りでもあるのだろうか、
「もしそんな物があるのならその近くに霊が集まってくると思うわ」
幽々子がそう言うのであればそうなのであろう。
亡霊本人だし。
「ありがとう、幽々子。今度団子奢るわ」
「あら~嬉しい事言ってくれるじゃない」
「ただし、三本だけね」
「酷いわ、れいむぅ~」
46本以上も買う金があるか。
「霊夢、私にも奢ってくれないか?」
魔理沙が待っていましたとばかりに身を乗り出していた。
手伝ってくれているし……一本ぐらい良いだろう。
「この異変が終わったら、一本奢るわ」
「酷いぜ、れいむぅ~」
魔理沙がガックリと肩を落とす。
……この人達……お金が無限にあるとでも思っているのだろうか。
くっついてくる魔理沙を振り払う。
沢山買えるお金は無い……もしかして分かってて言ってる? だとしたら夢想封印でも撃っておこうか……そんな事を考えていた霊夢であった。
「それよりも、霊が集まる場所って何処よ。 霊なんてそこら中にいるじゃない」
幽々子は クスッ と笑い場所を教えた。
「無縁塚辺りなんかどうかしら? 霊が沢山集まってるわよ」
巫女の勘ならぬ亡霊の勘、霊夢はそれを信じる事にした。
二人は白玉楼を後にし、無縁塚へ向かった。
~白玉楼~
「……あれでよかったの?」
………
「ふ~ん、そういう事だったの」
………………
「でも、気付かれたりしない?」
……………
「まぁそれもそうよね。 分かった、そうするわ。
え? 不安じゃないのかって?」
………
「ん~……亡霊の勘かしらね」
続く
最初にちょっかい出したものですが、それなら最初から一つにまとめてもよかったんじゃないでしょうか…。
また読みやすくなったように思えますが、やはりまだ冗長な部分も見られるように思えます。これからも頑張ってくださいー。
このペースで進むとしたらなんだか結末が消化不良になりそうで不安になっちゃいます。
ともあれどう終わるのか気になるので続きに期待してます。