Coolier - 新生・東方創想話

かしマ

2011/05/22 19:58:54
最終更新
サイズ
3.85KB
ページ数
1
閲覧数
998
評価数
1/13
POINT
470
Rate
7.07

分類タグ

「痩せたい」
「…………は?」
「……………………」

 厄神の呟きに、日頃はへらへらしてつかみ所のない鴉天狗もいささか驚く。
 ちなみに人形遣いは、気にせず紅茶を飲んでいた。



 きっかけはおそらく、とても些細なことだったろう。
 だが、そんな些細なことであっても、何が習慣となるかは判らないもので。

 ひとりは、自分の家であるからして。
 ひとりは、取材の帰り道であるからして。
 ひとりは、厄集めの道すがらであるからして。

 気がつけば、妖怪ふたりに神様ひとり。
 こうしてお茶会など催すようになっていた。



「……そもそも、だけど」

 迷いつつ、鴉天狗の一言。だがこれだけは確認しなければなるまい。

「神様って、……太るの?」
「えっ!?」

 厄神はまるで「信じられない!」とでも言いたげな表情をする。

「いやだってほら……、雛って神様、でしょ……?」
「……文。神様だから太らない、って誰が決めたの?」

 厄神はそう言いつつ、人形遣いお手製のクッキーをぱくり。
 この厄神、痩せる気はあるんだろーか、とは口が裂けても言えない鴉天狗だ。

「……あ、えーと。……うん。百歩譲って雛が太るとして」
「譲ってくれなくても太るんだって。お腹周りのお肉を文にあげよっか?」
「いらんて」
「まぁまぁそんな遠慮せず」
「いえいえそんな」
「神様の体を自分のモノにできるんだよ?」
「なにその卑猥な響きは……」
「今なら洗剤も付いてとーってもお得!」
「いらないいらない」
「神様の力を借りてライバルのあの子に差をつけたり!」
「実力で勝負したいし」
「今すぐお申し込みいただければ入会金などの手数料は半額に!」
「何の宣伝だ……」

 鴉天狗のため息ひとつ。

「まぁ、そんな訳で痩せたいの」
「はぁ…………」
「で、文ならそういう事知ってないかな、って」
「生憎と、自分じゃ必要なかったしね……。申し訳ないけど」
「駄目だよ~。世の中のニーズにもちゃんと答えないと」
「超局所的なニーズには答えられないの」
「そうやって一人の乙女を不幸にするあやちゃんであった。うるうる」

 既に厄神の口調が怪しい。――いやでもいつも通りか。
 厄神様のテンションがおかしい(≒可笑しい)のは今に始まったことでもない。

「痩せる……ねぇ……。アリスは何か知ってる?」

 とりあえず、厄神の嘘泣きを止めるため、さっきから我関せずを決め込んでいた人形遣いも巻き込んでみる。

「? ダイエットの方法かしら?」
「だい……?」
「痩せるための手段、もしくはその過程のことよ」
「あぁ……」

 とりあえず話だけは聞いていたらしい。人形遣いのその先の言葉を促してみる。

「例えば、食事量を抑える、というのは基本中の基本よね。ダイエットの語源も実際はそれだし」

 ぴく、と厄神の腕が止まる。手の先にはかなり量の減ったクッキー。
 どうやら知らない間にかなり食べていたようだ。

「それから、適度な運動もいいわね。体内の余分な栄養を運動で昇華するのよ」

 貴女はしょっちゅう飛び回ってるから痩せてるのね、と人形遣い。
 なるほど、言われてみれば確かにそうかもしれない。いつも食事量が人より多めなのはそのせいか、とひとり納得する。

「というところだけど、雛。貴女本当に痩せたい?」
「あ、あはは……」

 何故か乾いた笑いになっている厄神。
 そもそも神様なら食事もいらないだろうし、つーかそれ以前に神様が太るのか、という疑問もまた出てくるけれど、きっとそこをつつくのは野暮なんだよ鴉天狗。

「ああ、そういえば……」

 鴉天狗はそう前置きして、懐から手帳を取り出す。

「男性諸氏に前取ったアンケートで、ちょっと面白いものがあったんだった」
「面白いもの?」
「ずばり、『貴方が好む女性像は?』ということで」
「里の男達に尋ねたのかしら?」
「ええ。新聞の記事が少し足りない時に挟み込むんだけど……あったあった」

 使い込んだ愛用の手帳をのぞき込んで、鴉天狗は言う。厄神は興味津々だ。人形遣いもまんざらではないらしい。

「集計して上位に来るのはやはり『清楚』や『気品』だけど、なかなか興味深い結果もね……」
「どんなものなの?」
「『ふっくらしている』、『痩せぎすでない』、『少々肉付きの良い方が好み』等々……」
「へぇ。面白い結果ね」
「実際人里を歩いていて、自身の体重を気にする声は稀に耳にするのですよ。今の雛のように」

 ちらりと厄神を見やる。紅茶を飲んでいた。
 どうやらクッキーにはあれから手を出していないようだ。……目がそこはかとなく輝いている気もする。

「だから、別に無理して痩せる必要もないんじゃない?」
初投稿になります。よろしくお願いいたします。

タイトルは下のような感じ。

 か ぎやま
 し ゃめいまる
 マ ーガトロイド

女三人寄れば姦(かしま)しい、とかなんとか。ついでに三人寄ってますし文殊の知恵もありそうな。なさそうな。
貸間ではないですし鹿島でもないです。残念ながら。

姦しいついでに地の文も全部すっ飛ばしたかったのですが、各人の口調的な都合により、そういうのはまたの機会に。
九條
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.400簡易評価
1.無評価名前が無い程度の能力削除
うん、展開早くてよく分からないまま投げっぱなしで終わっちゃってつまらなかったです
4.無評価名前が無い程度の能力削除
とりあえず
でっていう と言わせていただこう。
5.無評価愚迂多良童子削除
アントラーズ?
話が膨らまないまま終わってしまった感じですね。
だからクッキーを食べているんでしょうか。
10.無評価名前が無い程度の能力削除
歩いてたら女の子の会話が耳に入ってきただけな感じで読むには物足りないかな
なんで雛は痩せたいのか、痩せなくていいんじゃない?と言われた雛の返事とか気になります
13.無評価名前が無い程度の能力削除
読み終えて一言。
「だからどうした」
タイトルとシチュエーション思いついて満足しちゃってるのかな。

この話ってもしかして無限ループしてるんですか~?
17.70名前が無い程度の能力削除
なんでコメントが喧嘩腰なんだよ
読者の質も問われることを自覚しよーぜ