幻想郷の結界が破壊された。ということで、誰もいない幻想郷を横断し、結界の様子を見に行こう、と思うが、もしもの時のことを考えて、幻想郷の記憶として自分の書いていた日記を持っていくことに決め、一度決心した自分を労りつつ、再び神社に戻り日記を取り、そして自分の日記をパラリパラリと眺めていたのであった。
幻想郷に起きた異変というのは、幻想郷の住人が片っ端から消えていく、いったような異変であり、今までと違って人為的な雰囲気は感じ無いし、原因が不明なため、残った住人は恐怖に震え、孤独に耐えながらこの異変について調査していたのだが、そうして残った住人もすべて居なくなり、しまいには、幻想郷そのものが少しずつ消えていき、今では博麗神社ぐらいしか、残っていないのである。そうして一人で長いこと過ごしていて、この異変について考えた結果、この異変は「外の世界」と呼ばれる、幻想郷の結界の外に原因があるのではないか、という考えが一番しっくり来た。というのも、幻想郷は、「外の世界」の幻想が集まったものだ、というのをこの幻想郷に深く関わっている八雲紫から聞いたことがるので、もしそれがリアルタイムに幻想郷に影響するのであれば、「外の世界」で幻想となくなってしまっては、幻想郷の今回の異変にも説明がつくのではなかろうか。と思い至り、思い至ってもどうにもならずもがき苦しみ、はっと気がつくと、幻想郷と外の世界を分け隔てていた結界の存在が結界の管理をしている私にも感じ無くなっていたので今から調査しにいこうか、と迷っていたのである。迷っているのは、ほとんど幻想郷がなくなり、最後に残った魔理沙、咲夜、早苗などが、博麗神社の外に出て、二度と帰って来なくなったのであり、唯一幻想郷に残っている自分が安易に外に出ることで、幻想郷が崩れ、なくなってしまわないかと不安だから迷っているのだる。
何故こんなにも落ち着いているのか、と言われると、それは何故かわからないが性格なのだろうと自分では納得している。もちろん、幻想郷のことがどうでもいいのか、だとか、心配ではないのか、と今の自分の状況を見ると罵倒する者がいるかもしれないが、それは違う、もちろん幻想郷は大切だし、焦ってもいるし、心配なのである。が、それはそうかもしれないが、自分は元々こういう時ものらりくらりとしていて、そこは自分でもいけないのかもしれないなぁと思って入るのだが、やはり、こんな異変の最中でも、のらりくらりとしてしまっているのである。こんな自分に罪悪感を感じているから、今、心の中で言い訳をしているのであり、心の中で言い訳などしても、さとりぐらいにしか無意味ではある、と理解していてもこうしてグダグダと言い訳している訳である。とにかく、今の自分を罵倒しないでいただきたい。
さて、ともう一度自分を奮い立たせて博麗神社の外に出た。
ところが、博麗神社の外に出ようとしたその時、神社のすぐ目と鼻の先が、今まで結界があったところに見えて、というか、結界があったところそのものである。
さっきはこんなことはなかったのに、これはおかしい、と思いながらも一歩踏み出したその時、幻想郷、といっても神社しかないのだが、その痩せこけてしまった幻想郷が悲鳴をあげた気がして、思わず一歩踏み出した足を戻してしまった。
これは、まずいのではないか。そう思いつつ、もう一度恐る恐る足を前に出すと、今度は確実にこのまま行くと幻想郷が崩れるのが感じられ、身動きが取れず、結局のところすごすごともう一度神社に戻ったのである。
その後何日か、神社の外まで通ったが、状況は変わらず、なにもしていない。
だらだらと毎日を過ごしている、というか、だらだらと毎日を過ごすこと以外やることがないのである。
自分が考えられる限り暴れて回ってみたり、なにもせずに一日布団にこもったりといろいろ手段を講じたが、変化がなく、幻想郷が更に小さくなったような気がして、恐ろしくて、最近は神社の外に出れていない。もうどうすればいいのかわからず、やけになって、神社にたくさんあるお酒に手を出したところ、宴会などを思い出し、飲みながら話す仲間も居ないので更にムシャクシャしてやけ酒にやけ酒を重ねてしまい、また飲み方が悪いものだから、酒に強い私でも泥酔いしてしまい、気分が悪く寝こんでしまっている。というのが今の現状である。
気持ち悪い。
あれから何ヶ月か経った。というのもやることもないのであまりお腹も減らず、自分の部屋に食べ物と酒を持ち込み、ずっと寝ている。状況は変わっていないようで、もうどうすればいいのやらわからない。久しぶりに顔を洗いに行こうとしたら、自分の顔や服装がひどく乱れており、見た目が悪くびっくりした。が、見た目をなおそうとは思わなかった。人間というものが何故服装を綺麗にし、髪型を整えるのかと言うと、人間が持つ虚栄心が引き起こすものであり、つまり、人に、お洒落だね、かわいいね、きれいだね、かっこいいね、と思われたいのである。が、このせかいに自分を見る、人が居ないので自分が服装を正す必要はないのである。と、そんなことを思っていると、今まで栓をしていた、寂しい、辛い、悲しい、と思っていた気分が吹き出して来て、思わず泣いてしまった。たまらず、お酒を飲んで感覚を麻痺させて、自分の意識はどこかに飛んでいってしまった。
人というものは虚栄心、つまり人は人に良いと思ってほしい、と言う事について昨日考えていた気がする。ただし、その他の人がいないとどうなるのだろうか?なんてことは考えたことはなかった。今、実際に一人で何ヶ月か暮らしてみると、魔理沙が「人は一人で生きられない。」って言ってたいたのをよく思い出す。まぁ、その魔理沙もアリスからの受け売りだと言っていたので、アリスが考えた言葉なのか、どうなのかわからないが、人は一人では生きられないのだ。というのも、人はだれかに認めてもらいたくて頑張ったり、喜んでもらいたくてなにかするのである。つまり、人は生きる目的を他の人に求めるのだ。私が幻想郷を守って来たのも、幻想郷に住む人達の為であるし、八雲紫も同じである。人のために頑張ってきた。ということを今まであまり意識してきたことはなかったが、今思うと私は人のために頑張ってきたのである。
他人がいなければ、どうにもならない、死にたい。
私は、いつだったか、レミリアに感情の表現が不器用だと言われたことがある。はぁ、またレミリアお嬢様が私になにかと文句を付けて、つっかかってきた、めんどくさいなぁ、なんて思いながら聞き流していたことがあったが、まさに私は不器用である。今、私は寂しくて、悲しくて、気をゆるめると、「あぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃー」などと叫びながら走りまわる。なんてこともありえるぐらい、気が滅入っているのだ。ただ、それをうまく言葉にして日記に記入しようかと思っても、うまく言葉にならず、あの日以来日記には手を付けていないのである。
ただ、今ひとつ言えるのは、とんでもなく悲しい。悲しいのだ。こんな表現しかできない自分を呪いたい。とても悲しい。
自殺しようかと思ったが、希望を捨ててはいけないのだ、私が幻想郷が終わるまでいないでどうするのだ、無責任すぎる、もしこんな有様を人に見られては申し訳がたたないではないか、と、むちゃくちゃに因縁を付けてなんとか気力を持たせること1週間、さらなる異変に気がついた。
結界が狭くなっている。間違いない。神社の建物のすぐそばに結界がある。いや、結界があったところがある、と言ったほうが正しい。先ほど確信したことなのだが、やはり、結界が失くなっている。全く結界がない。
なんということだ、自分がこんなに必死に守ってきた幻想郷はこんなにも簡単に終わってしまうのか。悲しすぎる。
こうなったら、幻想郷が終わる最後の1秒まで見届ける、そう思い、神社の中心部に立ち、待ち構えていた。
徐々に加速しながら、幻想郷の終わりが自分に迫ってきているのがわかる。
そして、自分以外の空間は無に吸い込まれ、私もどこかに消えてしまった。
目が覚めた。
ということは、生きているようだ。
幻想郷・・・はなくなったようだ。
なんということだろう、自分だけ助かってしまうだなんて。と、思いながらなんにもすることもできず、ぼんやりしていると、次第に感覚が戻ってきた。
森、のようだが、なんというか生命力、というものがあまり感じられず、なんといっても驚くほど空気が汚い。空気が汚い、なんてことがありえるのかわからないし、空気に色が付いているわけでもないので、空気が汚いという言葉が正しいかわからないが、空気が汚いのだ。吸っていると気持ちが悪くなりそうな空気だ。それから、なにか重たさを感じさせるようなものがすぐ近くをある程度の速さで移動しているような感覚に襲われ、幻想郷から来た異物と思われる私をこの世界から排除しに来たのではないか、とさきほど自分だけ助かってなんだと言っておきながらも、既に自分の心配をしてしまっているのだ。しかし、ある程度近くを通りすぎているだけのように思える。そうこうしながら辺りの様子を伺っていると、人の声、しかも、ある程度大勢の声がかすかに聞こえた。私は嬉しくなって、声のするほうにかけだして行くと、森のように見えていたものは、森ではなく木が何本か集まっているだけであった。そも小さな木を抜けると・・・そこには、見たこともない風景が広がっていた。
まず、無機質、石、そんな言葉を連想させるような雰囲気を漂わせたものが高く伸びており、不気味である。山、とまではいかないが、とにかく高いのだ。
その手前に広がっているのは、また無機質、石、を連想させるようなものが道のように伸びており、その上をなにかよくわからない箱型、といっても細部をよく見るといろいろと一つ一つ変わっているようだ、とにかく箱型のものがある程度の速さで走っている。重そうだが、そこまで超高速という訳ではなさそうだ。それから、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人・・・・・・・・・・・・・・・・・と言った具合に人がたくさん居る。ここに居る人間だけで幻想郷の人口を超えてしまいそうだ。人が居るとわかって、私は喜び勇んで、半分ステップを踏みながら一番近くに居るであろう、黒い服を見にまとった男性と思われる人に声をかけた。「ここは、どこですか?」初対面でもできる限り好感を持ってもらえるよう工夫したつもりである。こんなにも話かけるのに気をつかったのは始めてだった。久しぶりに言葉を声にだしたこともあり、発音がおかしく、噛んでしまったが、まぁ、良い。そうして、やっと人と会話できると心待ちにしていたら、その黒い服をまとった人は「乞食ですか?汚らしいので近寄らないでください。そもそもここがどこかだなんて、そのへんの看板を見ればいいでしょう、あ、近寄らないで!」などと言いながらどこかに逃げていってしまった。なんという失敬な奴、夢想封印かなにかでいてこましたろか、などと心の中で吠えながら、逃げられた原因を考えていた。自分のどこがいけなかったのか、別に場所を教えるぐらい大したこともないだろう、と思った時に、やっと原因がわかった。乞食、など、汚い、などの意味不明な言葉は、その人は精神が錯乱していたのかと思っていたが、自分の服が驚くほど汚い。髪型もボサボサ、かつ、汚い。なるほど、人目を気にする、などの感覚を完全に取り戻せていない自分が悪かったのだ、と言っても自分はここがどこかわからないというのに、どうして服を新しいものにして、髪を整えようか、と考えていた。そんなことを考えていると、さっきのすごい量の人の群れはなにかを見ようとしていることに気がついた。なにを見ようとしているのか気になり、空を飛ぼうとして、空が飛べないことに気がついた。が、そこまで驚くこともなかった。なぜかはわからないが、まぁこういうことには慣れているのだ、というよりも自分以外の人の存在が嬉しいのだ。ということで、徒歩で自分もその人の群れに混ざっていく。
人々の視線の先にはセッティング中の、演奏をして人々を楽しませることで金を儲けているように見えるグループがあった。といっても、プリズムリバーのような三姉妹のような雰囲気ではあるが、楽器が全く違うのだ。それにしても、演奏もしていないのに、彼らの楽器ケースはみんなが投げるお賽銭、ではなくチップで一杯だ。私も、巫女兼楽器演奏を始めて、幻想郷に戻ればプリズムリバー三姉妹にいれてもらいプリズムリバー四姉妹として活動し、いっちょ大儲けしたろうか、ぐへへ。などと妄想していると演奏が始まった。が、そこで思わぬ事態が発生した。そのグループの演奏のどこが良いのか全くもって理解できなかったのである。リズムとメロディーが噛み合っているから音楽として成り立っているのかもしれないが、だから心地良い音楽かとえいえば全くそうでもなく、わざと心地が悪いようにしているのかと思えば、そうでもなさそうなので、非常に困惑したのである。なんだ、この音楽は。そう思い周りを見渡すと、熱狂的に踊り狂っている。
・・・なんだこいつらは。何故?この音楽のどこがいいのだ?とかなんとか思っていると、演奏が終了し、周りの客は拍手喝采、アンコールなどをし、もう一度演奏が始まり、私は頭痛、吐き気などを催し、やめてくれ、と呻いていると、やっと演奏が終わり、既に周りは薄暗く、周りの客はお金を音楽グループに投げつけて満足して帰ってゆくのである。
そうしている内に、むくむくと孤独感が膨らんできた。何故ここの世界の人はこんな音楽に喜んでいるのか、これは自分だけが感性がおかしく、やはり、ここの世界の人と、自分はよく似た人間に近い姿をしているけれども、全く別の物であって、それならば、私と幻想郷の妖怪や、神や、そのへんのよくわからない妖精とのほうがよっぽど心が通じ合っているのであり、ここに居るべきではないと思いフラフラと歩きだしたのである。
歩きながら、周りの風景を見るうちに、ここは幻想郷の「外の世界」なのでは?と思うようになったのである。以前八雲紫から聞いた風景にも似ているし、なによりこの人間の多さが決定的である。
ということは、こいつらがいらぬ幻想を信じこみ、幻想郷を消滅させた犯人たちなのである。憎むべき敵なのである。そう思うとムシャクシャして歩き方が乱暴になりそこらへんに突っ立って一人で手に持った変な機械らしき物に熱中してるしている青年や、手鏡を持って口紅を塗っている女性を突き飛ばしたが、そんなことはどうでもよいのだ。何も考えずにつかつかと歩いて行くと少し開けた空き地のようなところに横に長い椅子があったので、座り休むことにした。今の状況を整理したかった。が、そこまでの冷静さはなかったのかもしれない。
ここは、「外の世界」で、時は空を見る限り夜も更けてきたあたりで、ワイワイガヤガヤとどこかで宴会をする声が聞こえる。幻想郷を滅ぼしたのはここにいる世界のやつらで、こいつらは幻想郷の住民とは似ても似つかぬ感性、価値観を持っており、状況は最悪だ。
苛立ちが収まらず、通りかかった人を殴ってやろうかと思案しているうちに、疲れていたので眠ってしまった。
次の日の早朝、寒さで目を覚まし、目を覚ました瞬間昨日の怒りが蘇り、思いっきり起き上がったので横に長い椅子から落ちてしまい、服に砂利などが付き、更に苛立ちが増した。
空き地をでると、中年男性がセカセカと早歩きで、黒いバッグを持って歩いていたので、ボコボコにして鞄、金等を奪った。
元々、霊夢は身体能力は抜群なのであり、空を飛ぶ等ができなくても、中年男性の抵抗をものともせず半殺しにし、地べたに伏して泣きながら必死に許しを乞う男性から鞄を剥ぎ取ることなど造作も無いことだった。
歩きながら鞄の中を確認すると、中には板状の四角い機械が入っている他、なにかいろいろ書かれた書類、財布、男性用に着替えなどが入っていた。けったいな物を持ち歩きやがってここの世界の奴らは。と思いながら書類を読み進めていくとこの板状の四角い板状の機械は特殊な電波で様々な情報を得ることが可能である云々。なるほどねー、さっきの苛立ちを増幅させる顔の男性はこの四角い板状の機械を売りつける職業に就いていたのか。この四角い板状の機械でこの世界の情報でも集めるのも悪くない。と思い立ち、書類を見ながら機械を操作、妖怪や神、妖精などについて調べると、この世界で流行しているようなものの情報が優先的に表示された。
「東方」と呼ばれるシリーズで元々は一人がゲームとして自作音楽を世間の人にきいてもらうために作ったゲームだったのだが、人気沸騰し様々なメディアを通して外の世界では触れることができるようになったらしい。「映画」と呼ばれるものや、「アニメ」と呼ばれるものや、「ドラマ」と呼ばれるものまで流通しており、最近では誰でも小説を掲示できるシステムを設け、この板状の機械から見ることが流行っているらしい。内容は、妖怪や妖精などが出てきて、いかにも幻想郷を連想させるような世界が展開されており、この流行が幻想郷の消滅の原因だと確信した。なんという事実だ。訳のわからぬ感性を持った変な人間のようなものに幻想郷が影響を受けるのは御免だ。しかし、こうなってしまった以上仕方がないので、この流行を終わらせれば何か手立てがあるのかもしらん。と思い、板状の機械を放り投げ、寒気を感じたので鞄の中から服として着れそうなものを選び、ここで使用できそうな通貨類が詰まっている財布を取り出し、鞄を停止している昨日高速で移動していた箱型のものに投げつけて歩き出した。
さて、どうしようか。と思案しているうちにお腹が減ったので、飯を売っていそうな茶屋を探していると、喫茶店という文字が見えたので、その店に入り、お茶と紅魔館に出てきたことあるパンを食し、お茶をもう一杯頼み考えていた。そうしていると隣の席に座っている男女がこちらを不思議そうに凝視しているので、何事かと思い自分の姿を確認すると、汚れた巫女服の上から先ほど強奪した服を羽織っているのでなんとも奇妙な格好になっていたのである。が、ここの人達の感性はおかしいので気にしないことにした。
それからしばらく考えてみても何も思いつかず、喫茶店でここの物価が把握できたので、自分がお金持ちであることがわかり、近くのどう見ても居酒屋らしきところに入り込み酒を頼んだ。未成年者に見える、年齢の確認するものの提示をなどとぬかしやがるので、そこらの椅子を蹴り倒すと店主は気が弱かったのか、別にそこまでして未成年者の飲酒を止めないほうが儲けになると判断したのかお酒を持ってきたので、自分はそれをがぶ飲み、意識が飛ぶまで飲み続けて、いつの間にか次の日の昼になっていて、ここの居酒屋は夜から~昼までやっているらしく、閉店だと言うので店を出た。二日酔いで気分が悪いので店の前で寝て、居酒屋が開店すればまた飲み始めて、意識が飛ぶまで飲むという生活にのめり込んだ。
その生活も5日ぐらいでお金が底を尽き、店主の人にツケだと言って無理やり飲み、そんな不健康な生活を続けた為体を壊し、また、いつぞやの空き地の横長の椅子に寝こむことになってしまった。
大体こんな生活をやっているのは、幻想郷を消滅に追い込んだこいつらが悪いのであり、私は一切悪くないのである。それなのに、今私は辛い思いをしているというのにここの世界の住人は笑顔で生活をしているというのはおかしいではないか。ひとつの世界を破滅に追い込んだのならば、この世界もそれ相応の報いを受けるはずである。しかし、報いと言ってもこの世界は狂っているので、神も仏も居るようには見えないし、この世界はやりたい放題ではないか。それはいけない。私がこの世界を混乱させて、殴って蹴って、踏んで振り回して跡形もなく消し去ってやろう。その暁には幻想郷も復活させて、宴会を開いて、ここの世界の住人を100人ぐらいだけ残しておいて幻想郷の住人全員でなぶり殺しにして、笑ってやろう。愉快愉快。
こんなことを寝こみながら私は考えていた。
霊夢は幻想郷での長い独りでの生活と、外の世界に来てからの出来事で正気ではなく、妬みや怒りを抱えこんでいる時に酒を飲んで、いよいよそんな思いが霊夢を異常な行動へと移らせたのである。
寝込んだ数日後の霊夢はどのような行動を取ったかというと、最初目撃した音楽グループが居た広場で演奏があるのを待ち、人が集まってきたら、いつのまにやら覚えた操作を覚えた車を運転し広場に猛スピードで突っ込む。その後、逃げ惑う人々を手に持っている銃で乱射、弾切れを起こしたところで刃物を手に持ち片っ端から斬りつけ「あぱぱぱぱ、うひょひょひょ、幻想郷の痛みを知れ」などと叫びながら大量殺人を始めたのである。直に警察が到着、包囲された。いかに霊夢が身体能力が良いと言っても多勢に無勢、すぐに捕まり、裁判にかけられ、死刑判決がくだった。弁護士は精神が錯乱しており、死刑は重すぎる。などと抗議したが、犠牲者が多すぎてその意見は却下されたのであった。取り調べで犯行に使用した銃などは、暴力団の事務所をひとつ単身で潰して、そこから調達したようであること、その他過去にも中年男性を暴行し、手荷物を奪ったという罪も発覚したのであった。
それはそうと、一時的に消滅した幻想郷は今では復活している。原因が不明だが、相変わらず外の世界では「東方」と呼ばれているものが流行しているのには違いはない。もちろん、精神錯乱者が大量殺人を起こしたニュースは一日中テレビで放映されてはいる。
精神錯乱者が死刑の前に言い残した言葉は「幻想郷愛してる」だった。
幻想郷に起きた異変というのは、幻想郷の住人が片っ端から消えていく、いったような異変であり、今までと違って人為的な雰囲気は感じ無いし、原因が不明なため、残った住人は恐怖に震え、孤独に耐えながらこの異変について調査していたのだが、そうして残った住人もすべて居なくなり、しまいには、幻想郷そのものが少しずつ消えていき、今では博麗神社ぐらいしか、残っていないのである。そうして一人で長いこと過ごしていて、この異変について考えた結果、この異変は「外の世界」と呼ばれる、幻想郷の結界の外に原因があるのではないか、という考えが一番しっくり来た。というのも、幻想郷は、「外の世界」の幻想が集まったものだ、というのをこの幻想郷に深く関わっている八雲紫から聞いたことがるので、もしそれがリアルタイムに幻想郷に影響するのであれば、「外の世界」で幻想となくなってしまっては、幻想郷の今回の異変にも説明がつくのではなかろうか。と思い至り、思い至ってもどうにもならずもがき苦しみ、はっと気がつくと、幻想郷と外の世界を分け隔てていた結界の存在が結界の管理をしている私にも感じ無くなっていたので今から調査しにいこうか、と迷っていたのである。迷っているのは、ほとんど幻想郷がなくなり、最後に残った魔理沙、咲夜、早苗などが、博麗神社の外に出て、二度と帰って来なくなったのであり、唯一幻想郷に残っている自分が安易に外に出ることで、幻想郷が崩れ、なくなってしまわないかと不安だから迷っているのだる。
何故こんなにも落ち着いているのか、と言われると、それは何故かわからないが性格なのだろうと自分では納得している。もちろん、幻想郷のことがどうでもいいのか、だとか、心配ではないのか、と今の自分の状況を見ると罵倒する者がいるかもしれないが、それは違う、もちろん幻想郷は大切だし、焦ってもいるし、心配なのである。が、それはそうかもしれないが、自分は元々こういう時ものらりくらりとしていて、そこは自分でもいけないのかもしれないなぁと思って入るのだが、やはり、こんな異変の最中でも、のらりくらりとしてしまっているのである。こんな自分に罪悪感を感じているから、今、心の中で言い訳をしているのであり、心の中で言い訳などしても、さとりぐらいにしか無意味ではある、と理解していてもこうしてグダグダと言い訳している訳である。とにかく、今の自分を罵倒しないでいただきたい。
さて、ともう一度自分を奮い立たせて博麗神社の外に出た。
ところが、博麗神社の外に出ようとしたその時、神社のすぐ目と鼻の先が、今まで結界があったところに見えて、というか、結界があったところそのものである。
さっきはこんなことはなかったのに、これはおかしい、と思いながらも一歩踏み出したその時、幻想郷、といっても神社しかないのだが、その痩せこけてしまった幻想郷が悲鳴をあげた気がして、思わず一歩踏み出した足を戻してしまった。
これは、まずいのではないか。そう思いつつ、もう一度恐る恐る足を前に出すと、今度は確実にこのまま行くと幻想郷が崩れるのが感じられ、身動きが取れず、結局のところすごすごともう一度神社に戻ったのである。
その後何日か、神社の外まで通ったが、状況は変わらず、なにもしていない。
だらだらと毎日を過ごしている、というか、だらだらと毎日を過ごすこと以外やることがないのである。
自分が考えられる限り暴れて回ってみたり、なにもせずに一日布団にこもったりといろいろ手段を講じたが、変化がなく、幻想郷が更に小さくなったような気がして、恐ろしくて、最近は神社の外に出れていない。もうどうすればいいのかわからず、やけになって、神社にたくさんあるお酒に手を出したところ、宴会などを思い出し、飲みながら話す仲間も居ないので更にムシャクシャしてやけ酒にやけ酒を重ねてしまい、また飲み方が悪いものだから、酒に強い私でも泥酔いしてしまい、気分が悪く寝こんでしまっている。というのが今の現状である。
気持ち悪い。
あれから何ヶ月か経った。というのもやることもないのであまりお腹も減らず、自分の部屋に食べ物と酒を持ち込み、ずっと寝ている。状況は変わっていないようで、もうどうすればいいのやらわからない。久しぶりに顔を洗いに行こうとしたら、自分の顔や服装がひどく乱れており、見た目が悪くびっくりした。が、見た目をなおそうとは思わなかった。人間というものが何故服装を綺麗にし、髪型を整えるのかと言うと、人間が持つ虚栄心が引き起こすものであり、つまり、人に、お洒落だね、かわいいね、きれいだね、かっこいいね、と思われたいのである。が、このせかいに自分を見る、人が居ないので自分が服装を正す必要はないのである。と、そんなことを思っていると、今まで栓をしていた、寂しい、辛い、悲しい、と思っていた気分が吹き出して来て、思わず泣いてしまった。たまらず、お酒を飲んで感覚を麻痺させて、自分の意識はどこかに飛んでいってしまった。
人というものは虚栄心、つまり人は人に良いと思ってほしい、と言う事について昨日考えていた気がする。ただし、その他の人がいないとどうなるのだろうか?なんてことは考えたことはなかった。今、実際に一人で何ヶ月か暮らしてみると、魔理沙が「人は一人で生きられない。」って言ってたいたのをよく思い出す。まぁ、その魔理沙もアリスからの受け売りだと言っていたので、アリスが考えた言葉なのか、どうなのかわからないが、人は一人では生きられないのだ。というのも、人はだれかに認めてもらいたくて頑張ったり、喜んでもらいたくてなにかするのである。つまり、人は生きる目的を他の人に求めるのだ。私が幻想郷を守って来たのも、幻想郷に住む人達の為であるし、八雲紫も同じである。人のために頑張ってきた。ということを今まであまり意識してきたことはなかったが、今思うと私は人のために頑張ってきたのである。
他人がいなければ、どうにもならない、死にたい。
私は、いつだったか、レミリアに感情の表現が不器用だと言われたことがある。はぁ、またレミリアお嬢様が私になにかと文句を付けて、つっかかってきた、めんどくさいなぁ、なんて思いながら聞き流していたことがあったが、まさに私は不器用である。今、私は寂しくて、悲しくて、気をゆるめると、「あぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃー」などと叫びながら走りまわる。なんてこともありえるぐらい、気が滅入っているのだ。ただ、それをうまく言葉にして日記に記入しようかと思っても、うまく言葉にならず、あの日以来日記には手を付けていないのである。
ただ、今ひとつ言えるのは、とんでもなく悲しい。悲しいのだ。こんな表現しかできない自分を呪いたい。とても悲しい。
自殺しようかと思ったが、希望を捨ててはいけないのだ、私が幻想郷が終わるまでいないでどうするのだ、無責任すぎる、もしこんな有様を人に見られては申し訳がたたないではないか、と、むちゃくちゃに因縁を付けてなんとか気力を持たせること1週間、さらなる異変に気がついた。
結界が狭くなっている。間違いない。神社の建物のすぐそばに結界がある。いや、結界があったところがある、と言ったほうが正しい。先ほど確信したことなのだが、やはり、結界が失くなっている。全く結界がない。
なんということだ、自分がこんなに必死に守ってきた幻想郷はこんなにも簡単に終わってしまうのか。悲しすぎる。
こうなったら、幻想郷が終わる最後の1秒まで見届ける、そう思い、神社の中心部に立ち、待ち構えていた。
徐々に加速しながら、幻想郷の終わりが自分に迫ってきているのがわかる。
そして、自分以外の空間は無に吸い込まれ、私もどこかに消えてしまった。
目が覚めた。
ということは、生きているようだ。
幻想郷・・・はなくなったようだ。
なんということだろう、自分だけ助かってしまうだなんて。と、思いながらなんにもすることもできず、ぼんやりしていると、次第に感覚が戻ってきた。
森、のようだが、なんというか生命力、というものがあまり感じられず、なんといっても驚くほど空気が汚い。空気が汚い、なんてことがありえるのかわからないし、空気に色が付いているわけでもないので、空気が汚いという言葉が正しいかわからないが、空気が汚いのだ。吸っていると気持ちが悪くなりそうな空気だ。それから、なにか重たさを感じさせるようなものがすぐ近くをある程度の速さで移動しているような感覚に襲われ、幻想郷から来た異物と思われる私をこの世界から排除しに来たのではないか、とさきほど自分だけ助かってなんだと言っておきながらも、既に自分の心配をしてしまっているのだ。しかし、ある程度近くを通りすぎているだけのように思える。そうこうしながら辺りの様子を伺っていると、人の声、しかも、ある程度大勢の声がかすかに聞こえた。私は嬉しくなって、声のするほうにかけだして行くと、森のように見えていたものは、森ではなく木が何本か集まっているだけであった。そも小さな木を抜けると・・・そこには、見たこともない風景が広がっていた。
まず、無機質、石、そんな言葉を連想させるような雰囲気を漂わせたものが高く伸びており、不気味である。山、とまではいかないが、とにかく高いのだ。
その手前に広がっているのは、また無機質、石、を連想させるようなものが道のように伸びており、その上をなにかよくわからない箱型、といっても細部をよく見るといろいろと一つ一つ変わっているようだ、とにかく箱型のものがある程度の速さで走っている。重そうだが、そこまで超高速という訳ではなさそうだ。それから、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人・・・・・・・・・・・・・・・・・と言った具合に人がたくさん居る。ここに居る人間だけで幻想郷の人口を超えてしまいそうだ。人が居るとわかって、私は喜び勇んで、半分ステップを踏みながら一番近くに居るであろう、黒い服を見にまとった男性と思われる人に声をかけた。「ここは、どこですか?」初対面でもできる限り好感を持ってもらえるよう工夫したつもりである。こんなにも話かけるのに気をつかったのは始めてだった。久しぶりに言葉を声にだしたこともあり、発音がおかしく、噛んでしまったが、まぁ、良い。そうして、やっと人と会話できると心待ちにしていたら、その黒い服をまとった人は「乞食ですか?汚らしいので近寄らないでください。そもそもここがどこかだなんて、そのへんの看板を見ればいいでしょう、あ、近寄らないで!」などと言いながらどこかに逃げていってしまった。なんという失敬な奴、夢想封印かなにかでいてこましたろか、などと心の中で吠えながら、逃げられた原因を考えていた。自分のどこがいけなかったのか、別に場所を教えるぐらい大したこともないだろう、と思った時に、やっと原因がわかった。乞食、など、汚い、などの意味不明な言葉は、その人は精神が錯乱していたのかと思っていたが、自分の服が驚くほど汚い。髪型もボサボサ、かつ、汚い。なるほど、人目を気にする、などの感覚を完全に取り戻せていない自分が悪かったのだ、と言っても自分はここがどこかわからないというのに、どうして服を新しいものにして、髪を整えようか、と考えていた。そんなことを考えていると、さっきのすごい量の人の群れはなにかを見ようとしていることに気がついた。なにを見ようとしているのか気になり、空を飛ぼうとして、空が飛べないことに気がついた。が、そこまで驚くこともなかった。なぜかはわからないが、まぁこういうことには慣れているのだ、というよりも自分以外の人の存在が嬉しいのだ。ということで、徒歩で自分もその人の群れに混ざっていく。
人々の視線の先にはセッティング中の、演奏をして人々を楽しませることで金を儲けているように見えるグループがあった。といっても、プリズムリバーのような三姉妹のような雰囲気ではあるが、楽器が全く違うのだ。それにしても、演奏もしていないのに、彼らの楽器ケースはみんなが投げるお賽銭、ではなくチップで一杯だ。私も、巫女兼楽器演奏を始めて、幻想郷に戻ればプリズムリバー三姉妹にいれてもらいプリズムリバー四姉妹として活動し、いっちょ大儲けしたろうか、ぐへへ。などと妄想していると演奏が始まった。が、そこで思わぬ事態が発生した。そのグループの演奏のどこが良いのか全くもって理解できなかったのである。リズムとメロディーが噛み合っているから音楽として成り立っているのかもしれないが、だから心地良い音楽かとえいえば全くそうでもなく、わざと心地が悪いようにしているのかと思えば、そうでもなさそうなので、非常に困惑したのである。なんだ、この音楽は。そう思い周りを見渡すと、熱狂的に踊り狂っている。
・・・なんだこいつらは。何故?この音楽のどこがいいのだ?とかなんとか思っていると、演奏が終了し、周りの客は拍手喝采、アンコールなどをし、もう一度演奏が始まり、私は頭痛、吐き気などを催し、やめてくれ、と呻いていると、やっと演奏が終わり、既に周りは薄暗く、周りの客はお金を音楽グループに投げつけて満足して帰ってゆくのである。
そうしている内に、むくむくと孤独感が膨らんできた。何故ここの世界の人はこんな音楽に喜んでいるのか、これは自分だけが感性がおかしく、やはり、ここの世界の人と、自分はよく似た人間に近い姿をしているけれども、全く別の物であって、それならば、私と幻想郷の妖怪や、神や、そのへんのよくわからない妖精とのほうがよっぽど心が通じ合っているのであり、ここに居るべきではないと思いフラフラと歩きだしたのである。
歩きながら、周りの風景を見るうちに、ここは幻想郷の「外の世界」なのでは?と思うようになったのである。以前八雲紫から聞いた風景にも似ているし、なによりこの人間の多さが決定的である。
ということは、こいつらがいらぬ幻想を信じこみ、幻想郷を消滅させた犯人たちなのである。憎むべき敵なのである。そう思うとムシャクシャして歩き方が乱暴になりそこらへんに突っ立って一人で手に持った変な機械らしき物に熱中してるしている青年や、手鏡を持って口紅を塗っている女性を突き飛ばしたが、そんなことはどうでもよいのだ。何も考えずにつかつかと歩いて行くと少し開けた空き地のようなところに横に長い椅子があったので、座り休むことにした。今の状況を整理したかった。が、そこまでの冷静さはなかったのかもしれない。
ここは、「外の世界」で、時は空を見る限り夜も更けてきたあたりで、ワイワイガヤガヤとどこかで宴会をする声が聞こえる。幻想郷を滅ぼしたのはここにいる世界のやつらで、こいつらは幻想郷の住民とは似ても似つかぬ感性、価値観を持っており、状況は最悪だ。
苛立ちが収まらず、通りかかった人を殴ってやろうかと思案しているうちに、疲れていたので眠ってしまった。
次の日の早朝、寒さで目を覚まし、目を覚ました瞬間昨日の怒りが蘇り、思いっきり起き上がったので横に長い椅子から落ちてしまい、服に砂利などが付き、更に苛立ちが増した。
空き地をでると、中年男性がセカセカと早歩きで、黒いバッグを持って歩いていたので、ボコボコにして鞄、金等を奪った。
元々、霊夢は身体能力は抜群なのであり、空を飛ぶ等ができなくても、中年男性の抵抗をものともせず半殺しにし、地べたに伏して泣きながら必死に許しを乞う男性から鞄を剥ぎ取ることなど造作も無いことだった。
歩きながら鞄の中を確認すると、中には板状の四角い機械が入っている他、なにかいろいろ書かれた書類、財布、男性用に着替えなどが入っていた。けったいな物を持ち歩きやがってここの世界の奴らは。と思いながら書類を読み進めていくとこの板状の四角い板状の機械は特殊な電波で様々な情報を得ることが可能である云々。なるほどねー、さっきの苛立ちを増幅させる顔の男性はこの四角い板状の機械を売りつける職業に就いていたのか。この四角い板状の機械でこの世界の情報でも集めるのも悪くない。と思い立ち、書類を見ながら機械を操作、妖怪や神、妖精などについて調べると、この世界で流行しているようなものの情報が優先的に表示された。
「東方」と呼ばれるシリーズで元々は一人がゲームとして自作音楽を世間の人にきいてもらうために作ったゲームだったのだが、人気沸騰し様々なメディアを通して外の世界では触れることができるようになったらしい。「映画」と呼ばれるものや、「アニメ」と呼ばれるものや、「ドラマ」と呼ばれるものまで流通しており、最近では誰でも小説を掲示できるシステムを設け、この板状の機械から見ることが流行っているらしい。内容は、妖怪や妖精などが出てきて、いかにも幻想郷を連想させるような世界が展開されており、この流行が幻想郷の消滅の原因だと確信した。なんという事実だ。訳のわからぬ感性を持った変な人間のようなものに幻想郷が影響を受けるのは御免だ。しかし、こうなってしまった以上仕方がないので、この流行を終わらせれば何か手立てがあるのかもしらん。と思い、板状の機械を放り投げ、寒気を感じたので鞄の中から服として着れそうなものを選び、ここで使用できそうな通貨類が詰まっている財布を取り出し、鞄を停止している昨日高速で移動していた箱型のものに投げつけて歩き出した。
さて、どうしようか。と思案しているうちにお腹が減ったので、飯を売っていそうな茶屋を探していると、喫茶店という文字が見えたので、その店に入り、お茶と紅魔館に出てきたことあるパンを食し、お茶をもう一杯頼み考えていた。そうしていると隣の席に座っている男女がこちらを不思議そうに凝視しているので、何事かと思い自分の姿を確認すると、汚れた巫女服の上から先ほど強奪した服を羽織っているのでなんとも奇妙な格好になっていたのである。が、ここの人達の感性はおかしいので気にしないことにした。
それからしばらく考えてみても何も思いつかず、喫茶店でここの物価が把握できたので、自分がお金持ちであることがわかり、近くのどう見ても居酒屋らしきところに入り込み酒を頼んだ。未成年者に見える、年齢の確認するものの提示をなどとぬかしやがるので、そこらの椅子を蹴り倒すと店主は気が弱かったのか、別にそこまでして未成年者の飲酒を止めないほうが儲けになると判断したのかお酒を持ってきたので、自分はそれをがぶ飲み、意識が飛ぶまで飲み続けて、いつの間にか次の日の昼になっていて、ここの居酒屋は夜から~昼までやっているらしく、閉店だと言うので店を出た。二日酔いで気分が悪いので店の前で寝て、居酒屋が開店すればまた飲み始めて、意識が飛ぶまで飲むという生活にのめり込んだ。
その生活も5日ぐらいでお金が底を尽き、店主の人にツケだと言って無理やり飲み、そんな不健康な生活を続けた為体を壊し、また、いつぞやの空き地の横長の椅子に寝こむことになってしまった。
大体こんな生活をやっているのは、幻想郷を消滅に追い込んだこいつらが悪いのであり、私は一切悪くないのである。それなのに、今私は辛い思いをしているというのにここの世界の住人は笑顔で生活をしているというのはおかしいではないか。ひとつの世界を破滅に追い込んだのならば、この世界もそれ相応の報いを受けるはずである。しかし、報いと言ってもこの世界は狂っているので、神も仏も居るようには見えないし、この世界はやりたい放題ではないか。それはいけない。私がこの世界を混乱させて、殴って蹴って、踏んで振り回して跡形もなく消し去ってやろう。その暁には幻想郷も復活させて、宴会を開いて、ここの世界の住人を100人ぐらいだけ残しておいて幻想郷の住人全員でなぶり殺しにして、笑ってやろう。愉快愉快。
こんなことを寝こみながら私は考えていた。
霊夢は幻想郷での長い独りでの生活と、外の世界に来てからの出来事で正気ではなく、妬みや怒りを抱えこんでいる時に酒を飲んで、いよいよそんな思いが霊夢を異常な行動へと移らせたのである。
寝込んだ数日後の霊夢はどのような行動を取ったかというと、最初目撃した音楽グループが居た広場で演奏があるのを待ち、人が集まってきたら、いつのまにやら覚えた操作を覚えた車を運転し広場に猛スピードで突っ込む。その後、逃げ惑う人々を手に持っている銃で乱射、弾切れを起こしたところで刃物を手に持ち片っ端から斬りつけ「あぱぱぱぱ、うひょひょひょ、幻想郷の痛みを知れ」などと叫びながら大量殺人を始めたのである。直に警察が到着、包囲された。いかに霊夢が身体能力が良いと言っても多勢に無勢、すぐに捕まり、裁判にかけられ、死刑判決がくだった。弁護士は精神が錯乱しており、死刑は重すぎる。などと抗議したが、犠牲者が多すぎてその意見は却下されたのであった。取り調べで犯行に使用した銃などは、暴力団の事務所をひとつ単身で潰して、そこから調達したようであること、その他過去にも中年男性を暴行し、手荷物を奪ったという罪も発覚したのであった。
それはそうと、一時的に消滅した幻想郷は今では復活している。原因が不明だが、相変わらず外の世界では「東方」と呼ばれているものが流行しているのには違いはない。もちろん、精神錯乱者が大量殺人を起こしたニュースは一日中テレビで放映されてはいる。
精神錯乱者が死刑の前に言い残した言葉は「幻想郷愛してる」だった。
と私は考える。
面白かったけど最後の最後でバタバタと急展開し、謎が謎のままで原因不明。これはいけないですね。
紫や早苗、咲夜と魔理沙の行方も不明なまま終わっちまった
しかし霊夢ならもうちょい上手くやるかとも思うけど…
魔理沙なら魔法が失われてアイデンティティも無くなってトチ狂う、と言うのはあるかもしれないけど
ちょっと淡々としすぎた感じがします。
書き上げた作品はちょっと寝かせよう。
リアリズムの欠落ですね。
というか、最後は文章足らずですね。
警察にどうやって捕まったのかというのは自分ではどうでもいいと考えていましたが、後から読みなおしてみると、不自然なことこの上ないですね。
推敲苦手ですね。一応二度読み返したんですけど、一度書いてから、次回作を書いた後、もう一度読みなおして推敲してみようかしらん。と検討中。
私はハッピーエンドが一番好きですけど、たまにはバッドエンドも悪くない。
……それはさておき。
極限状況に陥って、錯乱した隠遁者が一線を超えた感じですかね。
飢えと渇きが無いのが個人的に残念でなりません。
物語的には、射殺した一般人の中に外に順応していた魔理沙辺りがいれば、ある意味完璧だった気がします。
しかし、gdgdに磨きがかかってしまいましたね。
霊夢の独白の下りが、作者の言い訳に見えて仕方なく、正直イラッ☆としました。
文章は上手だと思うので、それが残念でなりません。
それも作者の色とも言えますが、『デザイナーが作品を完成させるのは、付け加える物ではなく、取り去るべき物が無くなった時である』と言う言葉もあります。
アイディアを膨らませるのも大事ですが、削るのも大事だと思いますよ。
ともすれば本来、一番盛り上がりそうな場面にもなったシーンなのにあっけなく終わってしまい、竜頭蛇尾になった印象です。
それとリアリティを追及するという事は結局、膨大な知識が必要になってくるので情報収集も必須かと思われます。
例えば、アメリカで流行っているモダンホラー小説の類は、リアルな描写に長けた読み応えがある作品が多くて参考になります。
それと個人的に霊夢は大きな環境の変化を受けても動じないというか、幻想郷が例え滅んでもこうはならないイメージ強いので、多くの人がある程度納得できるような一応の経緯を、もう少し丁寧に見せた方がより自然(=リアル)に感じられたかと。
推敲する時はドSな編集者になってダメだしする気持ちで読み返すと、厳しい目線で修正できるような気がします。
つまり自分の作品に対して、客観的に見れるようになる為の自己流のイメージトレーニングみたいなものです。
いや、万人にお勧めできるような良い方法じゃあ無いかもだけどw
あとここで述べませんでしたが面白いと思った点はたくさんありました。次回作期待しています。