この作品は東方プロジェクトの二次創作小説です
作品の表現に原作と異なる表現 設定が多分に含まれていますので苦手な方は「戻る」をくりっくしてください。
外の世界から『序』
森近 霖之助こと古道具屋の店主、 僕は普段と同じように店番をしつつ、定位置のいすに座りながら
先日手に入れた書籍を眺めていた。
書籍というか外の世界のコミックで、妖怪退治が悪い妖怪をばんばん倒していくというものである。
普段は活字を読むのが常であったが、幾度かこの漫画本を読み返しているのにはワケがあって。
この漫画の主人公が彼同様に両親の片方が妖怪だという設定だったからだ。
別に自分もこうありたいとか、そんな願望ではなかったが
『もし僕も彼のように強かったらいまのように古道具を扱う仕事をしていたのかな?』
などととりとめもないことを永遠と考えながら今日で7度目になるキメゼリフを鑑賞していた。
「こーりん! あっちー! お茶くれお茶! ノドがひっつきそうだぜ!」
「いらっしゃい、お茶はそこにある。 ついでに物を買う気がないなら出口は君の真後ろにあるからよろしく」
「たった今入店してきた客になんて愛想だよ、もっと普通の接客しないと客だって気持ちよく買い物もできやしないぜ?」
「すくなくとも、贔屓にしてもらってるお客さんにはできる限りの誠意をもって商品を提供させてもらってるね、さらに言うなら君が最後にこの店で買い物したのは君の背丈が僕の腰にとどかないくらいだったかな」
「昔の事を気にする男は女にもてないんだぜ?」
「全く気にしない、店の品物を強奪する人にすかれたら僕も店も長くもたないだろうからね」
魔理沙は「あっそう」と会話を適当に打ち切ってお茶をごくごくとノドを鳴らしながら飲み始めた。
「っはーー! 生き返ったー」
実に気持ちの良さそうな魔理沙を放っておいて再びコミックに目を落とした。
目の前で邪悪な妖怪が秀麗な主人公に華麗に退治されていた。
苦しんで倒される妖怪にかっこよく台詞を吐く主人公を見て
『やっぱり僕は今まで通りでいいな』
と自分でもよくわからない感情をそういう形で結論づけた。
魔理沙は普段、霖之助の目を通している本に興味を示すこともあまり無かったが、
「お」
今日は違ったようだ、寄ってきて頭を抱えるように肩越しから漫画をのぞき込んだ。
「珍しいな、漫画なんて」
「僕も漫画くらいは読むよ、活字も漫画も時間をつぶすと言うことに関してはそれほど差はないと僕は思う。ただ活字の方がより長い時間楽しめるということには違いない」
「この主人公なんか無駄にかっこつけてて気に入らないぜ、もっと倒した相手に敬意をもったほうがいいな、これだったら私が主人公の方がかっこよく物語がすすむぜ?」
それとなく僕の話題をかわして、漫画の主人公に難癖をつけはじめる魔理沙。それには触れずに魔理沙の話題に追従する。
「君の言葉とはおもえないな、君が倒した相手に敬意を払っているのかい?」
「私はちゃんと敬意を払ってぶっとばしてる」
「・・・まぁ、彼も強いから主人公としては良いのだとおもうよ」
「私の魔砲のほうがパワーがあるぜ」
「彼は女性にも人気があるみたいだな、やはり彼の方が主人公にふさわしいだろう」
「私はこんな奴好きにならない」
「じゃあ、君のお眼鏡にかなう男ってのはどんなだい? 魔理沙」
「え・・・・あ、えっとそれはだな。・・・つまり落ち着きが・・・あって、いろいろ頼れる奴かな・・・」
妙におどおどした態度で霖之助の頭をがしがしなでながらどもり言葉を発した。
いつの間にか妙な方向に話題が進んでいた。
正直、主人公の甲乙などどうでもよいのだが僕はこの会話が楽しくなっていた。この妹分の少女と話すのは、もはやライフワーク。そういう意味では話題を提供してくれたこの漫画本に何度も目を通していたのも無駄ではなかった。
「それと彼は人間と妖怪の間に生まれた存在だ、そういう特殊な出生というものは物語を盛り上げたり、主人公の特異性や読者に主人公を注目させることに成功させやすい要因といえる、魔理沙はただの女の子だからね、そういう所を加味してもやはり魔理彩は主人公になるにはややものたりないね。 いや、むしろ僕の方がハーフという面で魔理沙より主人公にむいているかもしれないな」
僕の一部の隙もない理論に対して、魔理沙はやや呆れた顔でため息をついた。
「こーりん、まさかその話をするためにその漫画一冊を何度も読み返してたんじゃないのか?」
「鋭いね、まさにその通りさ。 君も僕というかけがえのない存在に気づいてほしくてね」
ため息をついて魔理沙は目の前の頭に拳を押しつけてぐりぐりとまわした。
「いたいいたい」
しばらくそうして漫画を眺めている、しばらく沈黙が続いていたが、魔理沙が思い出したように口を開いた。
「なぁ こーりん」
「なんだい」
「じゃあ 私たちの中で一番主人公らしい奴ってだれだ?」
「ん?」
「私が主人公なのはいうまでもないぜ? けど他に探すとしたらどいつだ?」
苦笑しながら魔理沙の言うことを吟味した。
長考割と好むところであったが、思考はあっさり結論にたどり着いた。
「霊夢だろうね」
「なんでだよ?」
予想外に不機嫌な声色にほんの少しだけ驚いた、何が不満だったのだろう? と考える。
「君の予想とちがったかい?」
「てっきりこーりんが自分が主人公とか言い出すと思ってた」
「僕はそこまでうぬぼれているつもりは無かったんだけどな。 第一僕は幻想境の異変を解決するような腕っ節はもってないよ」
「・・・いろんな道具とか使えるし、手先も器用じゃないか。 八卦炉作ったのもこーりんだろ? それにさっき生まれがどうとか自分でも言ってたじゃないか」
「それは主人公の性質とは若干、いやだいぶ異なるね。 魔理沙や霊夢みたいに異変を解決して平和を守る力がある人が主人公の性質に近いと僕は思うよ。 僕の立場は、・・・さしずめ器用な便利屋ってところかな? 主人公の傍らで援助に回る立場だ」
魔理沙が納得がいかないという風情で見つめてくる、僕の予想が外れてそんなに不満だったのか? 魔理沙は僕が主人公にふさわしいとでも思ってるかのように僕の予想にぐいぐい責めを負わせてくる。なんだか変な気分だ。
「だから霊夢か?」
「それに霊夢はあれはあれで飄々としててそれでいて神秘的な所もあるじゃないか、なにせ博麗の巫女だしね」
「なんだ、こーりんは霊夢みたいな女が好みなのか?」
なんだろうか? 魔理沙の責めの視線がさらに強烈になった、僕はそんなに滅茶苦茶なこといっただろうか?
「何故そうなる・・・、君たちは強いなって話だったろ、そういう意味では前のやりとりは冗談として、魔理沙も十分主人公らしいと思うよ」
「あら、こーりんさんは私みたいな女の子が好みなのかしら?」
「いらっしゃい、霊夢 お茶はそこに」
「ありがとう こーりんさん」
「おい 霊夢今の話はあくまで漫画の主人公っぽい奴が誰になるかってだけのはなしだ」
魔理沙が早口でまくし立てるように霊夢をきつい視線でみる。
そんなに魔理彩は主人公の座を(仮)渡したくなかったのか?
「ええ、そうね。こーりんさんは女の子の主人公なら私に似てる方が面白いと思ったのね?」
魔理沙は苦虫をつぶしたような顔をする。
どれだけ主人公にあこがれているんだ?
「ああ、そういうことだぜ」
「じゃあ こーりんさん?」
「ん? なんだい?」
「物語には女の子の そう『ひろいん』が欠かせないわね」
「まぁ、物語の展開にもよるけど。いたら盛り上がるだろうね」
「!」
物静かにお茶を飲みながら受け答えする霊夢とは対照的に魔理沙はさっきから色々と様子が騒がしい。
「こーりんさんはどんな『ひろいん』が一番かわいいと思うかしら? 身近にあげるとしたらどんな女
の子?」
「うーん」
身近な女性、とりあえず八雲 紫を思い浮かべたがなにか違うイメージがした、どちらかというと物語の裏で暗躍してそうなイメージだった、本人の前で言ったら怒られそうだが。
この霊夢のヒロインの答えをだすには、この少女の前では荷が重い気がした、なにかと必死な魔理沙も
僕の一言が気になるようで、僕の顔をじっと見つめていた。
「さあ? 誰なんだろうね? なかなかむずかしいよ」
「そんな灰色の答えなんてもとめてないぜ?」
「私もこーりんさんの話、ききたいわね」
「そうだね、やっぱり主人公を助けてやれるよな女の子がいいとおもうよ 家庭的な女の子が良いんじゃないかな料理とか裁縫とか」
この手の話題は少女達の好むところらしく今までで似たようなことは何度聞かれたかわからない、毎度同じ事を答えるのも億劫なので、適当な事を言っておいた。
それでも彼女たちは僕の解答に満足したようだった。
一つ机を挟んで「私は家事一般一通りできるな」「それで言うなら一人暮らしの私もばっちりね」「ついでに裁縫もできる、色々と服が汚れたりすると困るから」「・・・~」「~」
楽しくおしゃべりに興じている二人を見ていると僕の脳裏に一つの疑問がよぎった。
いや、正しく言えばだいぶ前から脳裏に浮かんでいたことなのだが。
霊夢の両親はどうしたのだろう? と。
先ほどの主人公の出生のやりとりでうっすらとは浮かんではいたのだ。
僕が初めて霊夢を見たのは霧雨の旦那が経営する店で働き始めた頃だった。八雲 紫が里の人間、面識
のある人々に新しい博麗の巫女のおひろめをしている時だった。
「この子が新しい博麗の巫女よ」
そのころから紫とは少し交流があった、僕を見上げる霊夢はきょとんとした表情で紫の服の端を握っていた。
今となっては僕の店に足繁く通う友人である。非常に希有な人物であるといえる。品物の代金を払えば言うことなしなのだが。
当時の僕は彼女の出生にさほど興味を抱かなかった。
想像するには両親が妖怪に喰われてしまったとかそんなところだろう、そこで残った霊夢の才能を紫が見出して、博霊としての生を選ばせた。こんなところだろう。
このことは別段、霊夢や、関係あるだろう紫に特別聞きたいとはおもっていなかったのだ。 失礼に当たるかもしれない質問だ。
彼女の両親が今も幻想境に生きていたら強い妖怪退治だったのかもしれない。
そんなことを思った。
今となってはどうでもいいことだ。
このときまでは僕はそう考えていた。
「ねえ! こーりんさん! 私と魔理沙どっちをお嫁さんにしたいと思う?!」
「私にきまってるだろ! なあこーりん!」
ヒロインからかなりの論理跳躍だ、どんな話題のさまよいかたをしたのだろう?
前にも聞かれた質問を僕はやや考えるふりをしてこう答えた。
「どっちも 御免被る」
未来の、魔理沙と霊夢の子孫の話かと思ったけど、それも違うようで。
誤字なら誤字、演出なら演出で評価が分かれますね。
なのでフリーで失礼します。
霊夢は「霖之助さん」
伏線だとしても、少なくとも「伏線であること」を感じられず違和感が刺さりっぱなしでムズムズしておりました。
初投稿の連載モノは完走率が低いようで、作者さんには頑張って頂きたいです。
○博麗の巫女
オリジナル設定は良いと思いますがもう少し設定に詳細を付けないと分かりづらいです。
まぁ、好きな雰囲気なSSでした。期待しています
私の感想は他の方たちとほぼ同じです。作者に一言申し上げたいのは、肩の力を抜いて楽しく書いたのち、よく読み返して誤字脱字のチェックをしてから投稿するのを心がけて欲しいという事です。これからも頑張って下さい。