Coolier - 新生・東方創想話

あーしたてんこがでーれ ~翌日~

2011/04/09 12:48:20
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すぅ…… すぅ……

すぅ…… ん……

だれ……? わたしをみてるのは……

あ…… おでこに手が触れて……

やさしく…… わたしをなでてくれてる……

あたたかい……

おかあさま……?

なんだか…… あんしんできる……

きれいな手……

白くて…… つやつやしてて…… 絹のような……

あれ……? これは…… てぶくろ……?









きゃあぁぁぁっ!

なんであなたがここにいるのよ!

た、確かにまた明日来なさいとは言ったけど、何もこんなに早く来ることはないでしょう?

なんで不思議そうな顔してるのよ。今は朝なのよ。おはようございますの時間なのよ。

いや、おはようございますって挨拶を要求したわけじゃないわよ。普通に考えて早すぎるでしょう? なんで寝起きドッキリみたいなことしてるのよ?

あぁ…… 看板持ってないことはどうだっていいのよ。そこで、うわぁ、失敗したぁ、みたいな顔しないでよ。わたしが指摘したいのはそこじゃないんだってば。

それより、なに?

あ、いや、さっきの「おかあさま」っていうのは、寝ぼけてたからで、ちょっと、かんちがいしちゃっただけで。

やだ! もう言わないで!

そ、それは、確かに、少しは安心できたわよ。やさしく頭をなでてくれて、なんだか、また眠っちゃおうとか思ったりして……

だから! その安心感は、おかあさまだと思ったからであって、あんただとわかってたら、振り払うか噛みつくかしてたわよ。

恥ずかしいんじゃない! 怒ってるのよ! 怒ってるから頭に血が上って赤くなってるのよ!

え? お布団がいいにおい? ……って、なにを言い出すのよ! 別に、いいじゃない、そんなこと。

何の香りかって? ……これは桃の香りなのよ。外には桃園があるでしょう?お布団を外に干してると、その香りがうつるのよ。まぁ、私はこの香りが好きなんだけどね。

って、ちょっと、なにしてるのよ? 眠くなってきちゃった、って、だったら帰って寝なさいよ。もう、慣れない早起きなんてするからよ。って、言ってるうちにお布団の中に入っちゃったし……

ちょっと、狭いんだけど。このお布団は、一人なら充分だけど、二人で寝るには充分じゃないのよ。え? だったらこうしましょう、って、ちょっと、まって、うわっ!

あ…… ごめんなさい。思わず突き飛ばしちゃった。

でも、あなただって悪いのよ。急に、その…… ぎゅってされたら、びっくりするじゃない。そりゃあ、狭いって言ったのは私だけど、もっと他にやりようがあったでしょう。

例えば、そう、ぎゅってするにしたって、いきなりじゃなくて、こう、少しずつ、やさしく、包んでくれるような感じで、抱きしめてくれたら、私も、悪い気は、しない、というか。

なんでにやにやしてるのよ! もう、ばか! ばかばか! こんなこと言うの、恥ずかしいにきまってるでしょう? ……そうよ、今顔が赤いのは、怒ってるんじゃなくて、恥ずかしいから。いちいち確認しないでよ。

そうよ。私なりに、ちょっとデレてみてるのよ。早起きしてきたことだって、あなたのことだから、昨日の約束を早く実行してほしいってとこなんでしょう? さすがに寝起きに来るとは思わなかったけど。

はい。

なにキョトンとした顔してるのよ。お布団に入ってきなさいってことよ。眠くなってきたんでしょう。結構安眠できるのよ、このお布団。

な、なによ。急におとなしくなったわね。さっきまでは積極的だったのに。いいから、早く入ってきなさいよ。狭いんじゃないかって? いいから。おとなしく、言うことを聞きなさい。そうそう、それでいいの。

やっぱり狭いんじゃないかって? もう、大丈夫よ。とっておきの方法があるから。ほら、もうちょっと、こっちに寄って。そう、そうしたら……









……ぎゅっ!

どう? 驚いた? さっきのお返しよ。

あ、ごめんなさい。ちょっと、ちから入りすぎたかな。こういう加減って、難しいわね。これくらい、かな? あれ? え? あ……

もう…… ちゃんと、やればできるじゃないの。あなたの方から抱きしめてくれるなんて。えぇ、さっきよりも、やさしくて、なんだか、安心しちゃう。

そっか。あなたはこういう経験が豊富だったわね。自分の式だったり、式の式だったり、こんな風に抱きながら、一緒に添い寝してたんでしょうね。え? 今でもしてるって? 一昨日は三人で添い寝してたですって?

……いいなぁ。

な、なんでもないわよ。ちょっとだけ、おかあさまのことを思い出しちゃっただけで、羨ましいなんて、ぜんっぜん思ってないからね。いい? 羨ましいだなんて、思ってなんかいないんだからね。

あ…… 手、離しちゃうの……?

いや、いいのよ、離しちゃっても。けど、もうちょっと、ぎゅってしててくれても、いいじゃない。

ん……









ん! 眩しい!

お日様がおはようございますって言ってるわね。そろそろ起きないと。でも、どうしよう。動けない。

ほんとに眠かったのね。すぅすぅと寝息をたてて寝ちゃってるなんて。まぁ、寝てるのはどうでもいいんだけど、問題は私を抱きしめたまま寝てるってことよね。わざわざ起こすのも悪い気がするし。でもこのままじゃ、私も動けない。

せっかくだから、観察してみようかしら。寝起きを見られたことのお返しよ。

それにしても…… 綺麗な髪。金色で、長くて、さらさらしてて。私も結構長い方だけど、なんだか妬けちゃうくらい綺麗。

それから、そうね。手袋で隠さなくても、白くて綺麗な肌をしてる。真っ白ってわけじゃなくて、なんていうか、絶妙な、健康的な、そんな肌。

ちょっとだけ、突っついてみようかしら。ほっぺのあたりを……

あ…… やわらかい。

やだ。なに、このぷにぷに。くせになっちゃいそう。

おっと。ちょっと調子に乗りすぎたかしら。……うん、大丈夫。まだ起きてないみたい。

じゃあ、次は、おでこを撫でてみましょうか。おかえしおかえし。

あぁ、もう、なんでこんなに安らかな寝顔なのかしら。私はこれで起きたわけだけど、まだ起きないみたいね。……どこまでいけるのかしら。

眠りから覚ます手段といえば、やっぱり、あれが最上級かしら。

そうよ。どうせ、相手は眠ってるわけだし。気付かれても、すぐに離れれば済むことよ。それに、ここには私たち二人しかいないし、仮にばれちゃったとしても、二人だけの秘密にするってことで、いいわよね。

それから、そう、今日は私がデレてあげる日なのよ。感謝しなさいよ。私の最大最高のデレをみせてあげるから。あ、眠ってるから見れないのか。ふふ、残念でした。

……でも、よくよく考えてみると、これってデレなのかな。あれからずっと考えてたけど、結局デレってよくわからない。甘えること? 尽くすこと? まぁ、なんでもいいか。相手がいい気分になれば、幸せだって思えれば、なんだっていいのよ。

あ…… もう少し。もう少しで、その時が来る。嬉しいって思ってくれるかな。笑顔になってくれるかな。……あれ? 私、いたずらしてびっくりさせようとしてたんじゃなかったっけ? まぁ、どうでもいっか。そろそろ、目を閉じよう。

今は、もうすぐ触れあう肌の感覚に、意識を集中して……









ん……









まぶし……









あ……

おはよう。

やっと起きたわね。

眠りから覚ます、とっておきの方法。これで起きないって方がおかしいわよね。

どうしたの? かお、赤いわよ。

私も?

そ、そうよね。私だって、その、たくさん言い訳しながら、その、してあげたんだから。

ほら、早く離しなさい。さすがにもう起きないと。

え? これから?

残念でした。もう一日分のデレは使いきっちゃったわ。あなたは寝てたから気付けなかったんでしょうけど。

もう、そんな悲しそうな顔しないでよ。こっちはちゃんと約束を守ってあげたのよ。寝てたから無効だって? まったく……

とにかく、まずは身支度をしましょう。そして、そうね……

せっかくだから、今日一日、一緒にいてあげてもいいわよ。たまに、その、私が気を抜いたときに、そうなっちゃうかもしれないけど、その時はちゃんと起きてなさいよ。

もう、寝てたから、なんて言い訳は許さないんだから。









はい、これは約束……









ん……
「……天狗さん、こんな感じの写真でいいですか?」

「やりましたね、あの二人がこんなことをしていたなんて。しかも朝も早くから。これは良い記事が書けそうです。」

「総領娘様を安売りするわけにはいきませんからね。謝礼の方、はずんでくださいよ。」

「わかってます、わかってますって。その代わり、文々。新聞の購読の件、よろしくお願いしますよ。」

「「ふっふっふ……」」



 デレッテコウデスカワカリマセン。どうも、kirisameです。

 今回は、天子視点で会話だけという形式を試してみました。某添い寝サークルの天子を参考に書いていったつもりが、本当に添い寝になってしまうとは。

 天子はどうしてもツンデレなイメージが湧いてきてしまうので、最後の最後で純粋なデレを演出してみたつもりなのですが、これでいいのでしょうか。コメントで、甘さがどれくらいに感じたのか教えていただけると嬉しく思います。

 眠りを覚ます、とっておきの方法は何なのか、そんなの決まってるじゃないですか。あはは、あはは、あはははは。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


4月12日 コメ返しさせていただきます

 天子から手紙を預かっております。

「べ、べつに、あんたたちのためにデレてあげたんじゃないんだからね! かわいいなんて言われたって、ぜんっぜん、嬉しくもなんともないんだからね!」

 ということで、喜びの言葉をいただきました。

 こういう試みで高評価をいただけると、制作する上での励みになります。次の作品がこのような路線になるかはわかりませんが、ひとつ参考にできればと思います。
kirisame
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コメント



0.890簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
ヒャッハー!!デレてんこだァーっ!!
3.100名前が無い程度の能力削除
sleeping beauty
7.100奇声を発する程度の能力削除
天子可愛いよ天子
後、やっぱりタイトル口ずさんじゃうw
8.100電動ドリル削除
きた!デレキタ!これで思い残すことなし!
いつかデレの内容がバレて、紫にドぎついお返しをされればいいと思う
10.100名前が無い程度の能力削除
続…編だと…?
素晴らしい!グレートォ!
14.100日間賀千尋削除
最高にデレってやつだァ!
15.100tukai削除
翌日……だと!?
ヒャッハー

クソッ 可愛いなこいつら!