私の好きな季節は春だ。
春だ、春、Springだ。
冷たく厳しい冬を終え、新たな命の芽吹く爽やかで暖かな春だ!
草木が、花が、美しい!
そしてなによりも! スーさんの季節なのだ!!!
「少しずつ咲き始めてきたね、スーさん」
(ええ、今年もいっぱい咲いて欲しいな)
「あの異変の時を超えるほどにっ」
(ふふふっ、流石に難しいかな?)
「目標は大きくだよ~」
(それもそうね)
「スーさんのお花はとってもキレイだから大好きよ~」
(ありがとう、うれしいわ。 ……あら?)
「どうしたの?」
(誰か来たようね、メディスンの知り合い? ほら、里の方角に一人)
スーさんの言う方向を向くと遠くに一つ人影が見えた。
金色の髪、しかし長くはない。
「知らない人だと思うわ。 何しに来たのかしら」
(う~ん、私を摘みに来たのかな?)
「大変! 止めないと!」
(あっ、ちょっと?!)
ふっと、スーさんを吹き飛ばさないように浮き上がり、花盗人に向って突撃した。
「こらっ!!」
「きゃっ?!」
びっくりして尻もちをつく花盗人。
ふふん、いい気味だわ。
(こらメディスン。 手を貸してあげなさい)
「な、何でよスーさん?」
(早くしなさい)
「分かったわよ。 ほら、大丈夫?」
花盗人に手を差し伸べる。
ああ、なんだか屈辱的だ。
悪いのはそっちじゃないか、スーさん。
「いててて、ありがとう。大丈夫よ」
良く見てみると可愛げな盗人だった。
キレイな金髪にお洒落なカチューシャ、
落ち着いた紺色の服によく映える白の肩掛けと紅いリボン。
都会派と言うのだろうか、お洒落だなと思った。
「うん? 私の顔に何か付いてる?」
「あ、いや、そんなことないわ。 何してたの?」
「綺麗な鈴蘭を摘もうかなって」
「そんなのスーさんが可哀想でしょ!」
「スーさん? あ、なるほど。 ごめんなさいね、ダメだとは知らなかったの」
(別にいいじゃないの)
「え、ちょっ、摘まれるのよ?」
「え? 誰と話してるの?」
戸惑う花盗人。
「スーさんよ」
「えっ、お花とお話できるの?!」
スーさんだけだけどね。
(優しい人だもの。 私は全く構わないわ。 花盗人はなんとやらよ)
優しい人って、初対面なのに何故分かる?
(きっと明日の為ね)
「明日? 何の日よ?」
「明日、五月一日は鈴蘭の日よ?」
なんですって?!
「ちょっ、え、す、スーさん? 初耳よ?」
(うん、言ってなかったわ)
そんな大切な日を言ってくれなかったのか……。
「貴女はここに住んでいるの?」
「……ええ、そうよ」
「鈴蘭を送る日だから言う必要はないかなって思ったんじゃないかな?」
(ご名答)
「スーさんを送るの?」
「ええ、そうよ。 大切な人に幸せになってもらうためにね」
(いつもそばにいるから言うべきではないかなと思って)
「なるほどねぇ」
(我ながら素敵な習慣だと思うわ~)
「スーさん発案じゃないでしょ~?」
「鈴蘭あっての企画だもの、誇っていいと思うわ」
たしかに、毒のイメージよりずっといいかも。
(それで、この人は誰に渡すのかなぁ?)
ちょっと意地悪気に笑うスーさん。 たまに黒い。
でも私も気になってたりする。
「貴女は誰にスーさんを送るの?」
「えっと……大切な人にね」
「彼氏とか?」
「あっ、そ、そんなんじゃないわよっ?」
慌てて否定する彼女。
分かりやすいなぁ、顔も真赤だ。
(こんな娘に好いて貰えるなんて、相手も幸せだねぇ)
ホントになぁ、この人みたいに魅力的になりたいわ……。
(メディスンも十分素敵よ? 可愛くて)
時々スーさんは表情だけで私の考えてる事を察したりする。おそろしや。
「そっかぁ、じゃあ飛び切りいいのを見つけないとね」
「うん、見ただけで幸せになれるような……」
凄い熱意だ、これは応援しないとな。
(でも彼女が探すべきよ? 自分で探してこそ意味があるの)
「あ、ああ、うんそうね」
だから、表情で言葉をよまないでよー。
じゃあ私に出来ることは……。
「いいのが見つかるよ! 私とスーさんが保証する!」
「ありがとう。 頑張るわ」
大人びててかつ子供っぽさも残る可愛い笑顔。
「そうだ、名前を教えてもらってもいいかしら? 私はアリス、アリス・マーガトロイド」
「いい名前ね、アリス。 私はメディスン・メランコリーって言うの」
「貴方もいい名前じゃないの」
「そうかな?」
「憂鬱な気分を吹き飛ばしてくれる……って感じで」
(とっても素敵な解釈ね)
本当に素晴らしい発想だ。自虐的な意味を込めて私はこう名乗っている。
それを彼女は簡単にプラス方向に持って行ってしまった。
ちょっぴり妬ましくてとっても嬉しい。
「ありがとっ! どれにするか決まったら言ってね?」
「時間かかるかもだよ?」
「いいのいいの。だって私はここに住んでいるんだもの」
「なるほどね。じゃあ、探してくるわ」
お日さまもだいぶ傾いてきた。
そろそろかな?
アリスはどこだろうか。
「あ、いたっ」
「アリス~! いいの見つかった?」
「あ、メディスン。 うん、このスーさんにしようかな?」
キレイで可愛らしいスーさんを見つけられたようだ。
なかなか筋がいいなっ。
「うん、かなりいいね。 はい、これ」
空き瓶を手渡す。
「これならしばらくキレイなまま残せるよ!」
「わぁ、ありがとう!」
「家に帰ったら植木鉢に換えてあげてね? あとこれも」
「え? どうして?」
とっておきのスーさんを選んであげた。
鈴蘭探しで私の右にでるものはあんまりいない!
「貴女にも幸せを、だよ?」
「とっても嬉しいわ……!」
「私とスーさんからの贈り物だよ」
「ありがとう! いつか絶対何かお返しするからね!」
「そんなたいしたことはしてないよ~」
「そんなことないわ。 今度私の家に招待させてもらってもいいかしら?」
「もちろんよ!」
「楽しみだわ」
「ふふふ、私も」
「じゃあ、またね、メディスン!」
「またね、アリス!」
私たちは堅く手を交わした。
春だ、春、Springだ。
冷たく厳しい冬を終え、新たな命の芽吹く爽やかで暖かな春だ!
草木が、花が、美しい!
そしてなによりも! スーさんの季節なのだ!!!
「少しずつ咲き始めてきたね、スーさん」
(ええ、今年もいっぱい咲いて欲しいな)
「あの異変の時を超えるほどにっ」
(ふふふっ、流石に難しいかな?)
「目標は大きくだよ~」
(それもそうね)
「スーさんのお花はとってもキレイだから大好きよ~」
(ありがとう、うれしいわ。 ……あら?)
「どうしたの?」
(誰か来たようね、メディスンの知り合い? ほら、里の方角に一人)
スーさんの言う方向を向くと遠くに一つ人影が見えた。
金色の髪、しかし長くはない。
「知らない人だと思うわ。 何しに来たのかしら」
(う~ん、私を摘みに来たのかな?)
「大変! 止めないと!」
(あっ、ちょっと?!)
ふっと、スーさんを吹き飛ばさないように浮き上がり、花盗人に向って突撃した。
「こらっ!!」
「きゃっ?!」
びっくりして尻もちをつく花盗人。
ふふん、いい気味だわ。
(こらメディスン。 手を貸してあげなさい)
「な、何でよスーさん?」
(早くしなさい)
「分かったわよ。 ほら、大丈夫?」
花盗人に手を差し伸べる。
ああ、なんだか屈辱的だ。
悪いのはそっちじゃないか、スーさん。
「いててて、ありがとう。大丈夫よ」
良く見てみると可愛げな盗人だった。
キレイな金髪にお洒落なカチューシャ、
落ち着いた紺色の服によく映える白の肩掛けと紅いリボン。
都会派と言うのだろうか、お洒落だなと思った。
「うん? 私の顔に何か付いてる?」
「あ、いや、そんなことないわ。 何してたの?」
「綺麗な鈴蘭を摘もうかなって」
「そんなのスーさんが可哀想でしょ!」
「スーさん? あ、なるほど。 ごめんなさいね、ダメだとは知らなかったの」
(別にいいじゃないの)
「え、ちょっ、摘まれるのよ?」
「え? 誰と話してるの?」
戸惑う花盗人。
「スーさんよ」
「えっ、お花とお話できるの?!」
スーさんだけだけどね。
(優しい人だもの。 私は全く構わないわ。 花盗人はなんとやらよ)
優しい人って、初対面なのに何故分かる?
(きっと明日の為ね)
「明日? 何の日よ?」
「明日、五月一日は鈴蘭の日よ?」
なんですって?!
「ちょっ、え、す、スーさん? 初耳よ?」
(うん、言ってなかったわ)
そんな大切な日を言ってくれなかったのか……。
「貴女はここに住んでいるの?」
「……ええ、そうよ」
「鈴蘭を送る日だから言う必要はないかなって思ったんじゃないかな?」
(ご名答)
「スーさんを送るの?」
「ええ、そうよ。 大切な人に幸せになってもらうためにね」
(いつもそばにいるから言うべきではないかなと思って)
「なるほどねぇ」
(我ながら素敵な習慣だと思うわ~)
「スーさん発案じゃないでしょ~?」
「鈴蘭あっての企画だもの、誇っていいと思うわ」
たしかに、毒のイメージよりずっといいかも。
(それで、この人は誰に渡すのかなぁ?)
ちょっと意地悪気に笑うスーさん。 たまに黒い。
でも私も気になってたりする。
「貴女は誰にスーさんを送るの?」
「えっと……大切な人にね」
「彼氏とか?」
「あっ、そ、そんなんじゃないわよっ?」
慌てて否定する彼女。
分かりやすいなぁ、顔も真赤だ。
(こんな娘に好いて貰えるなんて、相手も幸せだねぇ)
ホントになぁ、この人みたいに魅力的になりたいわ……。
(メディスンも十分素敵よ? 可愛くて)
時々スーさんは表情だけで私の考えてる事を察したりする。おそろしや。
「そっかぁ、じゃあ飛び切りいいのを見つけないとね」
「うん、見ただけで幸せになれるような……」
凄い熱意だ、これは応援しないとな。
(でも彼女が探すべきよ? 自分で探してこそ意味があるの)
「あ、ああ、うんそうね」
だから、表情で言葉をよまないでよー。
じゃあ私に出来ることは……。
「いいのが見つかるよ! 私とスーさんが保証する!」
「ありがとう。 頑張るわ」
大人びててかつ子供っぽさも残る可愛い笑顔。
「そうだ、名前を教えてもらってもいいかしら? 私はアリス、アリス・マーガトロイド」
「いい名前ね、アリス。 私はメディスン・メランコリーって言うの」
「貴方もいい名前じゃないの」
「そうかな?」
「憂鬱な気分を吹き飛ばしてくれる……って感じで」
(とっても素敵な解釈ね)
本当に素晴らしい発想だ。自虐的な意味を込めて私はこう名乗っている。
それを彼女は簡単にプラス方向に持って行ってしまった。
ちょっぴり妬ましくてとっても嬉しい。
「ありがとっ! どれにするか決まったら言ってね?」
「時間かかるかもだよ?」
「いいのいいの。だって私はここに住んでいるんだもの」
「なるほどね。じゃあ、探してくるわ」
お日さまもだいぶ傾いてきた。
そろそろかな?
アリスはどこだろうか。
「あ、いたっ」
「アリス~! いいの見つかった?」
「あ、メディスン。 うん、このスーさんにしようかな?」
キレイで可愛らしいスーさんを見つけられたようだ。
なかなか筋がいいなっ。
「うん、かなりいいね。 はい、これ」
空き瓶を手渡す。
「これならしばらくキレイなまま残せるよ!」
「わぁ、ありがとう!」
「家に帰ったら植木鉢に換えてあげてね? あとこれも」
「え? どうして?」
とっておきのスーさんを選んであげた。
鈴蘭探しで私の右にでるものはあんまりいない!
「貴女にも幸せを、だよ?」
「とっても嬉しいわ……!」
「私とスーさんからの贈り物だよ」
「ありがとう! いつか絶対何かお返しするからね!」
「そんなたいしたことはしてないよ~」
「そんなことないわ。 今度私の家に招待させてもらってもいいかしら?」
「もちろんよ!」
「楽しみだわ」
「ふふふ、私も」
「じゃあ、またね、メディスン!」
「またね、アリス!」
私たちは堅く手を交わした。
全力でニヤけた
和みました
スーさん結婚してくれ(何
ニヤニヤして頂きありがとうございます!
奇声を発する程度の能力様
アリメディもいいですよね! でもスーメディがいt(((
たおふこ様
彼女を泣かせるとメディスンに毒されるのでお気をつけて