注意
これは、『どうして』のちょっとだけ続きもんになっています。
霊夢が霊夢じゃないかもしれません。
それでもいいよという方、感謝です。
今日も幻想郷は平和です。
題『いつも一緒』
「霊夢!さぁ、例のモノをお出しなさい!」
「やだ」
「いいから大人しく出しなさい!!」
「やだ。やだったらやだ」
此処はとある幻想郷の博麗神社の境内。
二人の乙女達が何か言い争っている。
やだと連呼しているのは、この博麗神社の巫女、博麗霊夢である。もう一人は、魔法の森の住人、アリス・マーガトロイド。人形遣い。
何故彼女達は言い争っているのか、その原因は霊夢の持っている人形にあった。
「ハァ…。何でそんなにその人形を渡すのを嫌がるの?」
アリスが霊夢にそう聞くと、霊夢はショボんとして呟く。その目には涙が溜まっていた。
「アリスと…、一日でも離れたくない…」
「っ!」
霊夢の言葉を聞いたアリスは、嬉しさで言葉が出なかった。
では何故、霊夢が持っている人形をアリスに渡さないといけないのか…。
「(霊夢可愛い…)じゃなくて、そのままだといつか人形の首もげるわよ」
「それもやだ…」
そう霊夢が持っている人形は、頭と胴体がとれかかっていて、寸でのところでギリギリくっついているという状態だった。
それをアリスが直してやろうと霊夢に言うが、霊夢は人形と離れたくないのかその申し出を断固拒否している。
たかが人形一つにと思うが、その人形は霊夢の好きな人、アリスに似た人形だからだ。
彼女と付き合い初めて、早一ヶ月。霊夢はアリス人形と毎日一緒に寝ているのだそうだ。
だから、どうしても手放したくないと。
そもそも何故アリス人形の首がもげたのかと言うと、それは先日に遡る。
縁側で一人、霊夢は緑茶を啜っていた。その側にはあのアリス人形も。
霊夢はおかわりしようと急須に手を伸ばしたその時、急に突風が吹き埃が舞う。
その中から一人の魔法使い、霧雨魔理沙が現れた。
「よっ、霊夢。すまないが少し匿ってくれ」
そう言って、魔理沙は家の中に無断で侵入した。
いつもの事だ、と霊夢は半ば諦めていた。
匿ってくれという事は、まだ誰か来るのかと溜息一つ。
「ハァ…。……寒い…」
季節は夏。寒い要素など何一つない。なのに寒い。
霊夢がぶるっと身震いした時。
「霊夢、こっちに魔理沙来なかったか?」
「来たわよ」
「どっち行った!?」
「どこに行ったかはお茶を飲んでいたから見てないわ」
「駄目だな、霊夢は」
そこには、氷妖精チルノが居た。
また面倒なのが来たと霊夢はうなだれる。
そんな霊夢をお構いなしにチルノは、ここが怪しいと思っているのか辺りを見回し始めた。
「魔理沙どこだー?」
「……。どうして魔理沙を追っているの?」
「あたいの食べてたアイス盗って食べたんだ!!」
「あー…。それは魔理沙が悪いわね」
「ちょっ、霊夢そりゃないぜ!」
チルノと会話していた霊夢の一言に突然魔理沙が出てきた。
霊夢はこいつは馬鹿かという顔で魔理沙を見ていた。
「あー!!魔理沙ハッケーン!!」
「何で出て来るかな…」
「くっ、こうなったら仕方ない。逃げるが勝ちだぜ!!」
と、急に逃げ出そうとする魔理沙。
「このあたいが逃がしゃないよ!!凍符、パーフェクトフリーズ!!」
「ここでは止めてー!!」
霊夢の静止の声も虚しく、チルノはスペルカードを放った。
チルノの段幕は部屋の中に居る魔理沙めがけて一直線に飛ぶ。
魔理沙も応戦しようとしたが、時すでに遅く、だが霊夢がいち早く結界は放ち何とか神社崩壊は免れたが、縁側はボロボロになってしまった。
「最悪…」
「霊夢のお陰で助かったぜ」
「誰のせいだと思ってるのよ!!チルノもここでは止めてね」
「わ、分かったよ」
霊夢はとにかくここでは段幕勝負は止めさせて、魔理沙には縁側の修理をさせようと決めていた。
だが、何か一つ忘れている…。
「…あれ…?アリスは?」
「アリス?アリス人形ならそこに落ちてるぜ」
そう言われ見た先には、少々ボロボロになっていて最悪なのは、頭が半分とれかかっていたアリス人形が地面に転がっていた。
霊夢は急いでアリス人形を拾い、埃を払ってやる。
良くないが、良かったと嬉しそうにアリス人形を抱きしめたのもつかの間、魔理沙とチルノの方を向き、鬼のような形相を一瞬したかと思うと、元の霊夢の顔に戻り少し微笑みながら言った。
「魔理沙とチルノ、ちょっとこっちにいらっしゃい」
有無を言わさぬその笑顔に魔理沙とチルノは黙って霊夢の元へ行く。
「やばい予感がするぜ…」
「あたいもだよ…」
霊夢は二人並んだのを見て、袖からスペルカードを取り出した。
魔理沙とチルノはそんな霊夢を見て、覚悟を決め、目を閉じ歯を食いしばった。
「霊符、夢想封印!!」
「霊夢、大丈夫。一日で直してあげるから」
泣きそうになっている霊夢を見てアリスは、霊夢に近付きながら優しく説得し始めた。
霊夢は俯き涙を一生懸命堪え人形を両腕でギュッと抱きしめている。
そんな霊夢を見兼ねて、アリスも少々泣きそうになるが、何か思い付いたのか急に笑顔になった。
「霊夢。今日は私の家に泊まりにおいで」
その言葉を聞いた途端、霊夢は顔をばっと上げ、アリスを見た。その顔は誇らしげに真っ赤だった。
そんなアリスの顔を見て霊夢も笑顔になった。
「ありがとうアリス…」
「たまには本物のアリスも抱きしめて寝て…」
「ふふっ、アリス可愛い」
「なっ!さっきの涙を我慢している霊夢の方が可愛かったわ!」
「アリス~…」
赤かった顔を更に赤くさせて、自分よりも真っ赤な顔をしている霊夢を見てアリスは笑った。
霊夢も釣られて笑った。
「…何だあのバカップルは…」
「あたいは知らないね」
神社の縁側でボロボロの恰好で修理をしている二人が居たとか居なかったとか…。
「アリスの家にお泊りだなんて初めて…」
此処は魔法の森のアリス邸がある場所。
何回も此処に足を運び、時には中でお茶をしたこともあったが、お泊まりというのは初めての体験だった。
霊夢の目はキラキラ輝いている。
「少し散らかってるけど、気にしないでね」
そう言ってアリスは家の中に入っていった。霊夢もそれに続く。
「全然散らかってないじゃないの、いつも通りよ」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
「今日はお世話になるんだし、私が夕食を作るわ」
「霊夢の作るご飯は美味しいから大歓迎よ」
「ありがとう」
「じゃあ私は、その間人形を直してるわね」
「お願いします」
腕によりをかけるわ~と言いながら霊夢はアリス邸の台所へ。
アリスは人形の修繕のため私室へ向かった。
それから三十分後。
アリスが何とか首を繋げて、リビングに顔を出すと何ともいい香りがしてきたではないか。
「いい匂い…」
「あ、アリス。丁度良かったわ」
「この匂いシチューね?」
「当たり~。さ、座って食べましょ」
霊夢はアリスに座るよう施すと、鍋いっぱいのシチューを食卓の真ん中へ持って来た。
主食はパン。サラダもあった。
アリスは、あんまり材料無かったのによくここまで作ったもんだと感心していた。
「はい、アリス」
「ありがとう霊夢」
シチューを皿に注ぎ、霊夢も座った。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます」
「どう?」
「うん美味しいよ。霊夢が作ったんだもん、美味しくないわけないじゃん」
「ど、どういたしまして」
最近のアリスはやたらと虐めてくるなと霊夢は思った。でもそこが好きなんだよねとも思った。
アリスもアリスで、霊夢を虐めるとすぐに顔を真っ赤にさせるところが可愛いんだよねとS心が段々と芽生え初めていた。
「お風呂先に入る、霊夢?」
「え、嫌、悪いからアリスの後でいいわ」
「なんなら一緒に入る?」
「……。あ、ああ、アリスとい、一緒に?」
「そう。もう決めたわ、霊夢は私と一緒に入りましょ」
「えぇ!?」
「嫌じゃないでしょ?」
「ぅ、うん…」
また顔を真っ赤に染める霊夢を見て、アリスは微笑んだ。
そんな霊夢は、真っ赤な顔で、あーうーと唸っていた。
「ふふっ。ご馳走様、美味しかったわ」
「ん、ありがとう。私もご馳走様」
「お風呂の用意、上海たちに頼んでおいたからもう入れるわ。だから入りましょう霊夢」
「ん…」
ご飯の後片付けを上海と蓬莱に頼んで、アリスは恥ずかしがってる霊夢を連れて、お風呂へ向かった。
「アリスのとこのお風呂狭いけど、可愛らしいから私好きだな。私のところは、ただ広いだけ…」
「霊夢のところは広くて皆が楽しく入れるから、私は好きよ」
霊夢は湯舟に浸かりながら、アリス邸のお風呂を好きだと言う。
アリスも続いて湯舟に入った。霊夢の後ろに入る。
「えー。でもアリスと密着できるから、やっぱり狭い方が好き」
「そうね、こうやって後ろから抱きしめて入れるものね」
「ひぁ…、っアリスぅ~」
それから二人はお風呂で長時間じゃれあっていた。
アリスは少し逆上せて、霊夢はかなり逆上せてしまっていた。アリスにずっと弄られていたのだろう。
「大丈夫?」
「何とか…。少しクラクラするだけ…」
大丈夫とは言っているが、霊夢の足元はフラフラしていて、かなり危ない。
そんな霊夢をアリスがしっかり支えてやる。
「ごめんなさいね。はい、お水」
霊夢をソファに座らせて、アリスは水を一杯注ぎ、それを渡し、自分も霊夢の隣に座った。
霊夢は黙ってそれを受け取り、一気に飲み干した。
それから暫く、静かな時間が流れた。
隣に居る霊夢が妙に動かないと思い、そっちを見たら、霊夢は上を向いたまま目を閉じていた。
疲れて寝たのだなと思い、霊夢を寝室まで運ぶため、おぶろうとしたら…。
「私で良かったの?」
起きていたのか急に話し出した。ただ目閉じ考え事をしていたらしい。
「何が?」
そう言葉にしながら霊夢の方を向く。
顔を見たら、霊夢は真っ直ぐにこっちを見ていた。真剣そのものだった。
「アリスは、私と嫌々付き合っているんじゃない?私を選んで良かったの?」
全然嫌じゃない…。
むしろ、霊夢が私を選んでくれて良かったとアリスは、思っている。
本当は、霊夢が告白してきた時、嬉しかった。だけど、それが恋なのだと最初は全然気付かなかった。ただの憧れだったから。
毎日、家に来るようになって段々と気付いていった。霊夢が来なかった日、アリスは凄く苦しかった。その時にやっと霊夢が好きなんだと気付いた。
今は本当に霊夢が大好きだ。霊夢を霊夢が差し延べてくれた想いを掴んで良かったと思っている。
アリスは、笑顔で霊夢に答えた。
「あなたを選んで良かった」
「アリス…」
「霊夢。好きよ、大好き。あなたとずっと一緒に居たいわ」
「私も大好き、アリス!!」
霊夢は泣きながらアリスにしがみついた。
アリスも霊夢を力いっぱい抱きしめた。
二人の恋はここから始まるのだ。
「ちょっと狭いけど、くっついて寝るから大丈夫よね」
そう言うとアリスはベッドに潜り込んだ。
そして、両手を広げて霊夢が来るよう施す。それに従う霊夢。
恥ずかしいのか、動きはぎこちないが、しっかりとアリスを抱きしめた。
二人はお互いを見つめ合った。
どちらともなく目を閉じた。暫くすると、規則正しい寝息が聞こえてきた。アリスのだ。
霊夢は目を開け、アリスを見て、髪を撫でた。
アリスありがとうと、感謝してもしきれない想いを胸に抱き、霊夢はアリスの頬にキスを落とした。
アリスの寝息を子守唄に霊夢も深い眠りに落ちて行った。
「お人形直してくれて、ありがとう」
「霊夢も気をつけて帰ってね」
「次は、こっちに泊まりに来てね。じゃんじゃんおもてなしするから」
「じゃ、遠慮なく行くわ」
「臨むところよ。それじゃあ、また」
「えぇ」
霊夢は飛び立つ。その手にはしっかりと人形を抱えて。アリスの想いをしっかり心に刻み付けて、霊夢は消えて行った。
「いつも一緒よ、霊夢」
アリスもまた霊夢の想いをしっかりと受けとり、霊夢の消え去った方を見て微笑んだ。
FIN
これは、『どうして』のちょっとだけ続きもんになっています。
霊夢が霊夢じゃないかもしれません。
それでもいいよという方、感謝です。
今日も幻想郷は平和です。
題『いつも一緒』
「霊夢!さぁ、例のモノをお出しなさい!」
「やだ」
「いいから大人しく出しなさい!!」
「やだ。やだったらやだ」
此処はとある幻想郷の博麗神社の境内。
二人の乙女達が何か言い争っている。
やだと連呼しているのは、この博麗神社の巫女、博麗霊夢である。もう一人は、魔法の森の住人、アリス・マーガトロイド。人形遣い。
何故彼女達は言い争っているのか、その原因は霊夢の持っている人形にあった。
「ハァ…。何でそんなにその人形を渡すのを嫌がるの?」
アリスが霊夢にそう聞くと、霊夢はショボんとして呟く。その目には涙が溜まっていた。
「アリスと…、一日でも離れたくない…」
「っ!」
霊夢の言葉を聞いたアリスは、嬉しさで言葉が出なかった。
では何故、霊夢が持っている人形をアリスに渡さないといけないのか…。
「(霊夢可愛い…)じゃなくて、そのままだといつか人形の首もげるわよ」
「それもやだ…」
そう霊夢が持っている人形は、頭と胴体がとれかかっていて、寸でのところでギリギリくっついているという状態だった。
それをアリスが直してやろうと霊夢に言うが、霊夢は人形と離れたくないのかその申し出を断固拒否している。
たかが人形一つにと思うが、その人形は霊夢の好きな人、アリスに似た人形だからだ。
彼女と付き合い初めて、早一ヶ月。霊夢はアリス人形と毎日一緒に寝ているのだそうだ。
だから、どうしても手放したくないと。
そもそも何故アリス人形の首がもげたのかと言うと、それは先日に遡る。
縁側で一人、霊夢は緑茶を啜っていた。その側にはあのアリス人形も。
霊夢はおかわりしようと急須に手を伸ばしたその時、急に突風が吹き埃が舞う。
その中から一人の魔法使い、霧雨魔理沙が現れた。
「よっ、霊夢。すまないが少し匿ってくれ」
そう言って、魔理沙は家の中に無断で侵入した。
いつもの事だ、と霊夢は半ば諦めていた。
匿ってくれという事は、まだ誰か来るのかと溜息一つ。
「ハァ…。……寒い…」
季節は夏。寒い要素など何一つない。なのに寒い。
霊夢がぶるっと身震いした時。
「霊夢、こっちに魔理沙来なかったか?」
「来たわよ」
「どっち行った!?」
「どこに行ったかはお茶を飲んでいたから見てないわ」
「駄目だな、霊夢は」
そこには、氷妖精チルノが居た。
また面倒なのが来たと霊夢はうなだれる。
そんな霊夢をお構いなしにチルノは、ここが怪しいと思っているのか辺りを見回し始めた。
「魔理沙どこだー?」
「……。どうして魔理沙を追っているの?」
「あたいの食べてたアイス盗って食べたんだ!!」
「あー…。それは魔理沙が悪いわね」
「ちょっ、霊夢そりゃないぜ!」
チルノと会話していた霊夢の一言に突然魔理沙が出てきた。
霊夢はこいつは馬鹿かという顔で魔理沙を見ていた。
「あー!!魔理沙ハッケーン!!」
「何で出て来るかな…」
「くっ、こうなったら仕方ない。逃げるが勝ちだぜ!!」
と、急に逃げ出そうとする魔理沙。
「このあたいが逃がしゃないよ!!凍符、パーフェクトフリーズ!!」
「ここでは止めてー!!」
霊夢の静止の声も虚しく、チルノはスペルカードを放った。
チルノの段幕は部屋の中に居る魔理沙めがけて一直線に飛ぶ。
魔理沙も応戦しようとしたが、時すでに遅く、だが霊夢がいち早く結界は放ち何とか神社崩壊は免れたが、縁側はボロボロになってしまった。
「最悪…」
「霊夢のお陰で助かったぜ」
「誰のせいだと思ってるのよ!!チルノもここでは止めてね」
「わ、分かったよ」
霊夢はとにかくここでは段幕勝負は止めさせて、魔理沙には縁側の修理をさせようと決めていた。
だが、何か一つ忘れている…。
「…あれ…?アリスは?」
「アリス?アリス人形ならそこに落ちてるぜ」
そう言われ見た先には、少々ボロボロになっていて最悪なのは、頭が半分とれかかっていたアリス人形が地面に転がっていた。
霊夢は急いでアリス人形を拾い、埃を払ってやる。
良くないが、良かったと嬉しそうにアリス人形を抱きしめたのもつかの間、魔理沙とチルノの方を向き、鬼のような形相を一瞬したかと思うと、元の霊夢の顔に戻り少し微笑みながら言った。
「魔理沙とチルノ、ちょっとこっちにいらっしゃい」
有無を言わさぬその笑顔に魔理沙とチルノは黙って霊夢の元へ行く。
「やばい予感がするぜ…」
「あたいもだよ…」
霊夢は二人並んだのを見て、袖からスペルカードを取り出した。
魔理沙とチルノはそんな霊夢を見て、覚悟を決め、目を閉じ歯を食いしばった。
「霊符、夢想封印!!」
「霊夢、大丈夫。一日で直してあげるから」
泣きそうになっている霊夢を見てアリスは、霊夢に近付きながら優しく説得し始めた。
霊夢は俯き涙を一生懸命堪え人形を両腕でギュッと抱きしめている。
そんな霊夢を見兼ねて、アリスも少々泣きそうになるが、何か思い付いたのか急に笑顔になった。
「霊夢。今日は私の家に泊まりにおいで」
その言葉を聞いた途端、霊夢は顔をばっと上げ、アリスを見た。その顔は誇らしげに真っ赤だった。
そんなアリスの顔を見て霊夢も笑顔になった。
「ありがとうアリス…」
「たまには本物のアリスも抱きしめて寝て…」
「ふふっ、アリス可愛い」
「なっ!さっきの涙を我慢している霊夢の方が可愛かったわ!」
「アリス~…」
赤かった顔を更に赤くさせて、自分よりも真っ赤な顔をしている霊夢を見てアリスは笑った。
霊夢も釣られて笑った。
「…何だあのバカップルは…」
「あたいは知らないね」
神社の縁側でボロボロの恰好で修理をしている二人が居たとか居なかったとか…。
「アリスの家にお泊りだなんて初めて…」
此処は魔法の森のアリス邸がある場所。
何回も此処に足を運び、時には中でお茶をしたこともあったが、お泊まりというのは初めての体験だった。
霊夢の目はキラキラ輝いている。
「少し散らかってるけど、気にしないでね」
そう言ってアリスは家の中に入っていった。霊夢もそれに続く。
「全然散らかってないじゃないの、いつも通りよ」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
「今日はお世話になるんだし、私が夕食を作るわ」
「霊夢の作るご飯は美味しいから大歓迎よ」
「ありがとう」
「じゃあ私は、その間人形を直してるわね」
「お願いします」
腕によりをかけるわ~と言いながら霊夢はアリス邸の台所へ。
アリスは人形の修繕のため私室へ向かった。
それから三十分後。
アリスが何とか首を繋げて、リビングに顔を出すと何ともいい香りがしてきたではないか。
「いい匂い…」
「あ、アリス。丁度良かったわ」
「この匂いシチューね?」
「当たり~。さ、座って食べましょ」
霊夢はアリスに座るよう施すと、鍋いっぱいのシチューを食卓の真ん中へ持って来た。
主食はパン。サラダもあった。
アリスは、あんまり材料無かったのによくここまで作ったもんだと感心していた。
「はい、アリス」
「ありがとう霊夢」
シチューを皿に注ぎ、霊夢も座った。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます」
「どう?」
「うん美味しいよ。霊夢が作ったんだもん、美味しくないわけないじゃん」
「ど、どういたしまして」
最近のアリスはやたらと虐めてくるなと霊夢は思った。でもそこが好きなんだよねとも思った。
アリスもアリスで、霊夢を虐めるとすぐに顔を真っ赤にさせるところが可愛いんだよねとS心が段々と芽生え初めていた。
「お風呂先に入る、霊夢?」
「え、嫌、悪いからアリスの後でいいわ」
「なんなら一緒に入る?」
「……。あ、ああ、アリスとい、一緒に?」
「そう。もう決めたわ、霊夢は私と一緒に入りましょ」
「えぇ!?」
「嫌じゃないでしょ?」
「ぅ、うん…」
また顔を真っ赤に染める霊夢を見て、アリスは微笑んだ。
そんな霊夢は、真っ赤な顔で、あーうーと唸っていた。
「ふふっ。ご馳走様、美味しかったわ」
「ん、ありがとう。私もご馳走様」
「お風呂の用意、上海たちに頼んでおいたからもう入れるわ。だから入りましょう霊夢」
「ん…」
ご飯の後片付けを上海と蓬莱に頼んで、アリスは恥ずかしがってる霊夢を連れて、お風呂へ向かった。
「アリスのとこのお風呂狭いけど、可愛らしいから私好きだな。私のところは、ただ広いだけ…」
「霊夢のところは広くて皆が楽しく入れるから、私は好きよ」
霊夢は湯舟に浸かりながら、アリス邸のお風呂を好きだと言う。
アリスも続いて湯舟に入った。霊夢の後ろに入る。
「えー。でもアリスと密着できるから、やっぱり狭い方が好き」
「そうね、こうやって後ろから抱きしめて入れるものね」
「ひぁ…、っアリスぅ~」
それから二人はお風呂で長時間じゃれあっていた。
アリスは少し逆上せて、霊夢はかなり逆上せてしまっていた。アリスにずっと弄られていたのだろう。
「大丈夫?」
「何とか…。少しクラクラするだけ…」
大丈夫とは言っているが、霊夢の足元はフラフラしていて、かなり危ない。
そんな霊夢をアリスがしっかり支えてやる。
「ごめんなさいね。はい、お水」
霊夢をソファに座らせて、アリスは水を一杯注ぎ、それを渡し、自分も霊夢の隣に座った。
霊夢は黙ってそれを受け取り、一気に飲み干した。
それから暫く、静かな時間が流れた。
隣に居る霊夢が妙に動かないと思い、そっちを見たら、霊夢は上を向いたまま目を閉じていた。
疲れて寝たのだなと思い、霊夢を寝室まで運ぶため、おぶろうとしたら…。
「私で良かったの?」
起きていたのか急に話し出した。ただ目閉じ考え事をしていたらしい。
「何が?」
そう言葉にしながら霊夢の方を向く。
顔を見たら、霊夢は真っ直ぐにこっちを見ていた。真剣そのものだった。
「アリスは、私と嫌々付き合っているんじゃない?私を選んで良かったの?」
全然嫌じゃない…。
むしろ、霊夢が私を選んでくれて良かったとアリスは、思っている。
本当は、霊夢が告白してきた時、嬉しかった。だけど、それが恋なのだと最初は全然気付かなかった。ただの憧れだったから。
毎日、家に来るようになって段々と気付いていった。霊夢が来なかった日、アリスは凄く苦しかった。その時にやっと霊夢が好きなんだと気付いた。
今は本当に霊夢が大好きだ。霊夢を霊夢が差し延べてくれた想いを掴んで良かったと思っている。
アリスは、笑顔で霊夢に答えた。
「あなたを選んで良かった」
「アリス…」
「霊夢。好きよ、大好き。あなたとずっと一緒に居たいわ」
「私も大好き、アリス!!」
霊夢は泣きながらアリスにしがみついた。
アリスも霊夢を力いっぱい抱きしめた。
二人の恋はここから始まるのだ。
「ちょっと狭いけど、くっついて寝るから大丈夫よね」
そう言うとアリスはベッドに潜り込んだ。
そして、両手を広げて霊夢が来るよう施す。それに従う霊夢。
恥ずかしいのか、動きはぎこちないが、しっかりとアリスを抱きしめた。
二人はお互いを見つめ合った。
どちらともなく目を閉じた。暫くすると、規則正しい寝息が聞こえてきた。アリスのだ。
霊夢は目を開け、アリスを見て、髪を撫でた。
アリスありがとうと、感謝してもしきれない想いを胸に抱き、霊夢はアリスの頬にキスを落とした。
アリスの寝息を子守唄に霊夢も深い眠りに落ちて行った。
「お人形直してくれて、ありがとう」
「霊夢も気をつけて帰ってね」
「次は、こっちに泊まりに来てね。じゃんじゃんおもてなしするから」
「じゃ、遠慮なく行くわ」
「臨むところよ。それじゃあ、また」
「えぇ」
霊夢は飛び立つ。その手にはしっかりと人形を抱えて。アリスの想いをしっかり心に刻み付けて、霊夢は消えて行った。
「いつも一緒よ、霊夢」
アリスもまた霊夢の想いをしっかりと受けとり、霊夢の消え去った方を見て微笑んだ。
FIN
>たまには本当のアリスも抱きしめてあげて
↑ここすごくいい!
長々と勝手な意見ですみません。次作も楽しみにしています。
少し気になったところはチルノと魔理沙の口調がわかりにくいところですね
もっと広がれレイアリの輪!!
だめだ、2828がとまらねえ!
もっとやってくれ!いや、やってください!
博麗神社にアリスがお泊まりする話も読んでみたくなりました。
良いレイアリでした。
「〜と思った」って表現を多用しすぎ。