「だから、知らなかったって言ってるじゃない」
そう、不貞腐れるように霊夢は僕に言う。
とてもじゃないが、反省の態度は見られない。
「へえ、僕も知らなかったよ。知らないことだったらどんなことをしても許されるだなんて」
そう言って、僕は霊夢を睨む。
僕のその様子を見て一瞬怯んだが、
「そ、そこまで言ってないじゃない。
そりゃあ、私がした事が悪い事だったってのはもう分かったわよ。でも、それは小さな事じゃない。そこまでムキになって怒ることないでしょう?」
そう反論してきた。
しかし、それこそ間違っている。
「小さいも大きいも関係ない。霊夢、君ががした事は間違いだった、それ以下でもそれ以上でもない。
霊夢、規則というものはなんで破ってはいけないか知っているかい?」
「そんなのそういう決まりだからじゃないの?」
「そう、確かに規則は破ってはいけない。普通なら誰でも知っている決まりだ。
だけれど、それは規則というものが生まれたからこその決まり、それでは規則が生まれた理由が分からない」
「理由って何よ」
「そうだね・・・・それじゃあ、人の物を盗んではいけないという規則があるね? これこそ、この規則というものが生まれた理由をよく表しているものの一つだ。
例えば、僕が博麗神社から霊夢が大切にしているものを盗んでいったとしたら、どうする?」
「そんなの取り返しに行くにきまってるじゃない」
「なんでだい?」
「え?」
僕のその言葉に霊夢はパチクリと瞬きをする。
「なんでって、それは、私の物なんだから取り返しに行くのは当然じゃない」
「まあ、その通りだね。じゃあ、誰が盗んだか分からなかったら?」
「それこそ、地の果てまで探してやるわ」
「それでも、見つからなかったら?」
「それは・・・・」
そう言って、霊夢は黙り込んだ。
それを見て僕は話を進める。
「そうなってしまえばもう霊夢は泣き寝入りするしかない。それがどんなに大切なものだったとしても。
そして、ここにこそ人の物を盗んではいけないという規則の生まれた理由が関わってくる」
「それで結局その理由はなんなの?」
「なんだと思う?」
僕のその言葉を聞いて、霊夢は心底嫌そうな顔をする。
「分からないから聞いてるんだけど」
「そんな事は無いはずだ、これは至極簡単な事だからね。
霊夢。もしも、大切なものが盗まれたらどう思う?」
「そんなの嫌に決まってるでしょう」
そんなの当り前、とでも言いたげに霊夢は言い切る。
そう、当たり前だ。
「正解」
「え? 何が」
「それこそが人の物を盗んではいけないという規則の生まれた理由だ」
「どういうこと?」
訝しげに僕を見る霊夢に、話を続ける。
「人の物を盗んではいけないという規則の生まれた理由、それは霊夢が言うように嫌だから、正確に言うなら『盗まれたくないから』という至極簡単なものだ。
私は誰のものも盗みません。ですからあなたも盗まないでください。という事をこの規則は言っているんだよ。
他に例を挙げれば、人を殺してはいけないという規則も分かり易い。これの生まれた理由も「殺されたくないから」という誰もが考える単純な理由だ。
私は人を殺しません、ですからあなたも人を殺してはいけません。という事になる訳だ。
つまり、規則というものは突き詰めていくと自分がやられては嫌な事を他の人にしない代わりに相手にもそれを守ってもらうという等価交換なものなんだよ
規則を守らないという事は、相手にも同じことをやられても文句が言えない立場になるという事を理解しておかなければならない」
「・・・・つまり、私は霖之助さんに私がした事と同じ事をされても文句が言えないって事になるのかしら?」
「そう言う事だ」
「それは嫌ね」
そう言って、霊夢は溜息を吐きバツの悪そうな顔をして、
「もう、二度と同じことはしないわ。
だから、許してくれますか?」
そう、頭を下げた。
「ああ、構わないよ」
また、そのことに対して知らん顔をしたり、果ては開き直りが跋扈する心寂しい昨今、作者様のその素直な謝罪は実に清々しい。
件の作品は後々じっくり読ませていただきます。
そして、このSSを一つの作品として評価させていただくのなら、霊夢が実際に何をしたかというエピソードがあれば説得力が増し、より面白いものになったかもしれません。と、個人的な意見。
今後のご活躍に期待しております。
重い言葉ですよね。
私も作者様の誠実な態度を見習いたいです。
そして、霊夢はなにやったんですか・・・
そう、たとえば博麗を博霊にするとか。
法律の無い幻想郷で規則だとか言われても違和感だし、なりより『博霊』はアウトだぜ。知らなかったのなら論外だけど、たとえ不注意のせいだとしても、タイトルがタイトルなだけにこれはちとタイミングが悪すぎる。
作者が悪い人間でないことは分かるんだが、それが免罪符にならない場合もあるって事を覚えておいた方がいい。頑張ってな。
これからも頑張ってください
創想話しか読んでないんです。そして私みたいな方は大勢いると思います。
そういう人たちに謝罪したい場合、ssという形にして投稿するしかないんですよね。
消す前にssは読みました。どれもすばらしかったです。
できればこのssも、もうちょっと中身のある仕上がりにして欲しかったと思います。
まあ、短時間で仕上げたものでしょうし、謝罪したいという想いが強かったでしょうから、次回に期待しております。
霊夢がなにをやっちゃったのか、オチにちょっと期待してたので。
霊夢を諭したうえで許してあげる霖之助さんかっこいい!
というより、正直ストーリーでは無い気がする