あの妖怪への、疑問というべきか違和感というべきか、それとも恐怖というべきか、そんな名づけ様の無い感情が消えない。正直認めたくは無いが、おそらく一番近いのは恐怖だろう。
目的がわからない。手段がわからない。なによりその思考がわからない。わからないことが恐ろしい。
「ウドンゲ、私はこれから訪問販売に行って来るわ。留守を頼むわね」
実験室へ入り、おそるおそるといった様子で試験管を取り扱っているウドンゲに声をかける。集中が乱れたか、ビクリと耳が動き、その拍子に薬品をこぼしてしまった。まだまだ未熟だ。
「あぁっ! 貴重な薬が……って、し、師匠!?」
「私以外に誰がいるの? それは材料一つ一つが希少品の大切な薬。早く処理して、明日中に調合しておきなさい。さもないと、縛って山に放置するわよ」
「ひいぃ!! それだけはご勘弁を!!」
考える。式を解いたり推測を巡らす事は数あれど、わからないモノについて頭を捻って考えるなんて、とても久しい感覚だ。
「とにかく、少し出てくるわね」
「……はぁ、薬売りでしたっけ。まだ集金の時期でもあるまいし、どうして師匠自ら?今までどおり私がやりますよ」
押し通す。八雲紫が恐ろしいだなんて、この子には口が裂けても言えないだろう。
「いいから、行くと言ったら行くのよ。心配せずとも暗くなるまでには帰ってくるわ。多分」
「わかりました。帰ってきたら夕飯が食べられるようにしておきますね。でも、なぜ急に?」
確かに私が永遠亭を出るのは稀だが、今日の彼女はやけに食いついてくる。
「そうね……強いて言うなら、勉強よ。勉強」
「師匠に勉強することなんて、あるんですか?」と、首をかしげて、怪訝そうな顔をするウドンゲ。
もどかしい。月の酒を盗られた。実際に起こったのはたったそれだけ。どうしてこうも不快感が溜まるのだ。大体あの妖は何をしたかったのか?
「だから未熟なのよ。他人を盲信していると思考が空虚になっていくわ。自分に芯を通しなさい。わからないことなんて、わかる度に増えていく。それに、ここにはただでさえわからないモノが沢山あるじゃない」
「例えば、どんな?」
「そうね……ボーダーライン、かしら」
「……はい?」
***
薬売りの口実で永遠亭を抜けてきて――口実と言っても結局不思議がられ、普通に外出するのと変わらなかった。アレが関わると本当に調子が狂う。――とりあえず博麗神社へと向かうため、人里へ。
疑問に思うなら、それを解消すればいい。解消するには、実際に行動してみるのが手っ取り早い。
そんなことを考えながら、博麗神社にたどり着く。竹林を抜けて、後は飛んでしまえばあっという間だ。巫女が見当たらない。
「霊夢? 居るかしらー?」
「なかなか珍しい客ね。私は居るけど薬は要らないし、輝夜や鈴仙や兎詐欺はここには来てないわよ。そして賽銭箱はあっち」
霊夢は部屋に居たようで、のっそりと縁側から顔を覗かせた。相変わらずの態度だ。
「まだあの件を根に持ってるの? その事なら私から謝るから、勘弁してちょうだい。」
ほら、と五円玉を入れて、とりあえず二拝二拍手一拝。形式はこれでいいのか疑問だが、気にしないことにする。
優曇華が開花しますように、なんて、洒落た願掛け。ご利益があるのか甚だ疑問だが。
「あら、どうもありがとう。まともに賽銭をくれる人なんていつぶりかしら」
「そんな態度であんな道中だからよ。賽銭の少なさを嘆くのなら、もっと参道の妖怪退治に励みなさい」
「貴重なご意見ありがとう。まあ何だかんだで食べていけるし、面倒くさいからやらないけど。あ、そうだ。あんたのとこに分社置かせてくんない? 患者が沢山来るんでしょう?」
「まったく……御祭神すらわからない神社が分社を作ってどうするの。ところで、八雲紫を知らないかしら? あなたのところに入り浸ってるって聞いて来てみたんだけど」
言いながら、大妖怪が入り浸っているなんて話を耳にすれば、確かに一般人は参拝に行く気が失せるだろうな。とぼんやり考える。
「そうねぇ、居て欲しくない時はよく見るわね。その不名誉な噂、訂正してきてよ」
霊夢がぼやいたそばから背後に突然空間が開き、ニュルリと手が出て霊夢のへんてこな巫女装束に入り込む。なんだか予想できたので、目をそむける。
「居て欲しい時があるとは思わなかったわ、ゆかりん嬉しい! 今度からは遠慮なく呼んでね♪」
「呼ぶか、死ね! 夢符『二重結界』!」
現れたのは八雲紫だ。性的嫌がらせを繰り出しながら登場したのは少し面食らったが、なんにせよ探し物が現れたので良しとする。
それにしても、夢想封印は妖怪には効果絶大らしいが、そこであえて結界を張ったのは、霊夢の拒絶心か、それとも加減の表れか。
「“竹林の”お薬屋さん、博麗神社へようこそ。私に何か用かしら。それとも霊夢に?」
「永琳の用件はどうでもいいけど、どうして私と神社がアンタの所有物みたいな扱いになってるのよ!」
「霊夢の怒りはともかく、八雲紫、ちょうど貴女を探していたところなのよ」
「流すな!」
スペルが全く効いていないが、霊夢はその点には触れない。セクハラまで含めて恒例の事なのだろうか? 少し同情した。
「私に用があったのね。それで、ご用件は?」
月の騒動のことは、と尋ねそうになって飲み込んだ。代わりに口をついて出たのは――
「貴女と私で一対一のスペルカード戦、なんてどう?」
***
この提案に八雲紫も驚いたようだが、すぐに調子を取り戻し、相変わらずの嫌な笑いを浮かべて質問してくる。
「どういう風の吹き回しかしら? あなたが弾幕戦を挑むなんて」
「そうねぇ、少々聞きたいことがあるのよ」
「非効率的ね。この場で聞けば?」
「こっちの方が面白そうじゃない。それに、私はプライドが高いのよ」
あの異変のとき、輝夜の力を借りても敵わなかった妖怪。そんな奴が質問対象とは、幻想郷的には一石二鳥だ。存分に叩きのめしてこの不快感を祓ってやる。
「あー、弾幕やるならここ以外でね。境内荒れるし、妖怪共が集まってくるから」
「じゃ、またね、霊夢。来てほしくなったら遠慮なく呼んでいいのよ♪ 」
「んなこと誰がするか!! って、スキマで逃げたわね……くそ、今度来たら封印してやるわ」
自身の封魔針が、障子に大穴を開けていた。
やっぱり気の毒だ。
***
境界の長いトンネルを抜けると竹林であった。さわさわと風が竹を揺らし、遠くには兎と思しき気配がする。間違いない、ここは――
「最高の舞台だなんて銘打って、竹林、しかも永遠亭のかなり近くじゃないの。ここは貴女の所有物ではないわ」
輝夜や鈴仙達の姿を探すが、ひとまず見当たらなかった。
「だって、竹林の薬師でしょ? それに、幻想郷の全てはわたしの子供みたいなものよ」
「お母様、大変。貴女のお子さん、皆グレてるわよ」
「まあ、なんですって! 良くない虫でもついたのかしら」
「母親の影響じゃない?」
軽口を叩きながら霊力を研ぎ澄ます。大丈夫、勝てるだろう。
飛翔して、戦闘の意思を伝える。今度は邪魔も入らない。
――どちらともなく発した口上が、開戦を告げた。
「穢土に堕してあげるわ、境界の大妖!!」
「浄土に還してあげるわ、英知の咎人!!」
手始めに扇状に弾をばら撒く。おそらく軽々と避けられてしまうだろう。今のはそういう攻撃だ。枚数を指定したため、後の先のスタイルをとるのがベストだろう。
だが――
「そっちがその気なら、お望みどおりガンガンいきましょうか。境符『色と空の境界』!」
定石なぞ知らぬといった具合で開幕からスペルを放ち、私の放った弾幕が一気に掻き消えた。低級妖怪なら気圧されて卒倒してしまうだろう。
可視光線が放射状に発射され、それらを辿って、ストローに液体が吸い上げられるようにレーザーが奔り、避け切ったのも束の間、渦状に無差別な弾丸が降り注ぐ。大層な名前だけあって、なかなか手ごわい。
「色即是空、空即是色。その境界、どんなカオスなんでしょう。素晴らしいと思わない?」 心底うっとりした顔でのたまう。これはあの閻魔も手を焼くだろう。私も真っ当に閻魔と会える身ではないが。
「亡霊のことかしら? こうしてみると、貴女意外と一貫性があるのね。カオスに対して」
「彼女はカオスっていうより、ニュクスね」
「物凄く爛れた関係ね」
流石に弾が多い。避け切れぬ量ではないが、こうなると周りの状況が気にかかる。
案の定、弾を放つたびに地面が穿たれ、竹が倒れる。
てゐ達からはぐれた様子の兎が、影から逃げ出す。まさに脱兎。
「とりあえず、ここを荒らさないで欲しいんだけど。この辺姫がよく通るのよ」
「当のお姫様が、焼き鳥屋さんと一緒に放火に勤しんでるじゃないの」
「竹は成長が早いからいいのよ」
「月の頭脳とは思えない発言ね。隠遁生活でヤキが回ったかしら?」
「いちいち月だの竹林だのまどろっこしいわね。その曖昧さごと調伏してあげましょう」
「あら、バケモノを倒すのはいつの世も人間なのよ。あなたにその資格は無いわ」
「私は人間じゃなかったのかしら?」
「あなたはエイリアンじゃなかったのかしら?」 一発撃ったが、お得意の理不尽空間で処理された。
さて、もう大体このスペルの攻撃パターンは掴めた。
向かってくる弾を簡単な結界で叩き落し、一直線に敵を狙った弾丸と、逃げ道を制限する大玉、さらに不規則に動く使い魔で反撃する。
「む、そろそろ引き時かしらねぇ」
相手は何を思ったか、せっかくのスペルカード攻撃を中断し、私の横を大きく離れた位置に弾を撃ってくる。ただのカス弾かと思いきや、大きくUターンして加速し、私を狙ってきた。
「ふん、こんなもの、確認さえすればチョロイじゃない」
「アドバイス? ありがたく頂いておくわね。非常に余計だけど」
「……天呪『アポロ13』!」
このスペルは、私の持つ技の中でも屈指の威力だ。
アポロ13号の事故。この時地上人達は、13という数字の魔力に惹かれたのか、あろうことかフラ・マウロ高地へと進路を予定した。
フラ・マウロは隕石の影響により、本来そこに無いはずのイルメナイトが出土する。これは幻想の物、つまり『裏の月』への標となってしまう。ゆえに月の民としては、この号の着陸は防がなくてはいけなかった。
それとなく争いを起こす事はあっても、月の民が地上に直接介入するのは、おそらくこの件が初めてだろう。
地上人の、初めての幻想への足がかりと、月の民の干渉。そして、13という地上人がもっとも忌避する数字。この幻想世界において『アポロ13』という言霊は強力な力を持つのだ。
「避け切れないか」
傘によって弾を払い落とされる。一見苦戦しているようだが、この相手に限ってはそんな印象はこれっぽっちも役立たない。先ほどからも、私のヘマを誘うためか、しきりに神経を逆撫でしてくる。
さっきのカーブ弾もそうだが、八雲紫の行動や言動に左右されては危険だ。攻撃に対して最善の手を打ち、的確に反撃すれば負けることは無い。
心を落ち着け、二色の渦を一斉に撃ち出す。攻撃パターン自体は単調だが、それ故に強力だ。
「最低限の方程式は、最高峰の宇宙工学さえも打ち破るのよ」
「自信過剰ね。そんなんじゃあ、ご執心のカナリアに愛想を尽かされちゃうわよ」
何のことは無いいつもどおりの軽口。だが、それは私の敵意には十分な燃料だった。
「姫を、籠の鳥と?」
「怖い、怖い。勘違いよ。わたしは、アナタの愛しのお姫様本人を言ってるんじゃなくて、アナタの教育方針を言ってるのよ」
くすくすと、嫌悪を生む笑みを浮かべる。おそらく、私の怒りを感じたからこそ追い討ちをかけてきたのだろう。
逸るな。冷静に冷徹に。
「挑発しようが、このまま私の勝ちよ」
「確かに、なかなか強力な技かもしれない――」
そう言い放つと、先ほどの弾とは逆に、まっすぐに私を狙う高速の大玉を撃ってきた。
次はどんな仕掛けを打っているのかと、じっと弾を見ていると、ふと空間に穴が開き弾が吸い込まれた。
ここで私を仕留めるには、どこに弾を撃ち出すべきか。横からの弾は目視してかわせる。下からは致命傷足り得ないだろう。上は、接射でもしない限り竹に邪魔される。
「後ろか!」
勢いよく振り向くと、確かにスキマに吸い込まれた大玉が迫ってくる。こちらも弾を撃って、ギリギリで相殺する。
「――でも生憎、野蛮なカニバリストには、端からテクノロジーなんて必要ないのよ」
視界が、暗転した。
***
「……りん」
目が覚めると、頭に柔らかい感覚がした。
「……え……りん」
視界は桃色一色で、色彩に合った香りが鼻に流れてくる。
確か、さっきまで八雲紫と弾幕勝負をしていたはずだ。
気を失っていたということは、撃墜されてしまったのだろうか。
……柔らかい感触? 視界が桃色? 良い香り? どう考えても、竹林で撃墜されて横たわっている人間の感覚ではない。
「永琳……起きた?」
上から聞こえたのは、紛れも無い輝夜の声だった。
この状況、所謂膝枕だ。月に居た頃、輝夜に何度かしてやった記憶がある。
「ええ……ありがとう。ところで、八雲紫は?」
せっかくなので、主からのささやかな厚意を享受する。照れはしても、動揺はしない。
「イナバ達と遊んでて帰ってくる途中に、永琳が後ろから撃たれたのを見ちゃって。きっちり仇はとったわよ! 今頃のびてるんじゃないかしら? まあ、能力を使った不意討ちだけどね」
どうやら、怒りを手玉に取られて、弾を振り返ったときに後頭部を撃ち抜かれたようだ。薬を飲んでおいて良かったと思うのは初めてだなと自嘲する。
それにしても、あんなに注意しておいてこのザマか。自分が輝夜の手を二度も煩わせたのが、不甲斐無くて仕方ない。彼女を守るはずなのに、守られてどうするのだ――
「……永琳!」
パチンと軽快な音がたち、意識が引き戻される。輝夜に顔を挟まれた。
「表情だけで、どんなこと考えてるか一発で分かるわ。心配しなくても私はそんなに狭量じゃないから、まずは経緯を話してみなさいな」
頷いて、優しく手を離し、不満そうな表情にほんの少し名残惜しさを覚えながら身体を起こす。
「ちょっと前、ロケットの事件があったじゃない? あの時のアイツの目的がどうしても気になって、探りを入れようとしたのよ。アレ相手じゃ、私が直接行った方がいいはずだし」
「うん、そうでしょうね」
「でね、偶然神社で出会って、満月を隠した時に負けたのを思い出したから、弾幕勝負を挑んだのよ」
「ふむ。なるほど」
「それからは、大体輝夜が見たとおりよ。リベンジ成らずってとこね」 肩をすくめて笑ってみせる。
「ふぅん……それ、端折ってるでしょ?」
「どうして?」
誤魔化しはきかないか。思えば月に居た頃から聡明だった。
「そりゃあ、私の永琳があんなに簡単にやられるはず無いもの」
前言撤回。信頼は素直に嬉しいのだが。
「理由になってないじゃないの」
「私にとっては立派な理由よ。貴女に教わって、尊敬を抱けない者なんていないわ。さあ、何があったの?」
「…………輝夜が貶されたから、ちょっと、冷静さを欠いて。あ、か、勘違いしないで、輝夜。負けたのは私が弱かったからで――」
「ストップ。私は、貴女が弱いだなんてこれっぽっちも思ってないわ。原因を聞いて、思わず嬉しくなっちゃったぐらい」
だから笑って?、と、持ち前の天真爛漫な笑みで言う輝夜。その太陽のような笑顔がとても眩しく、どこか誘われるように抱き寄せた。
「あら、大胆」
「どっちがよ。今更そんな仲でもないでしょうに」
「言ったじゃない。いつまでも愛してるわ」
いつの間にか、輝夜の雰囲気が変わっている。
「意味合いがズレてる気がするんだけど」
「細かい事は、気にしない」
顎をクイと持ち上げられ、私が輝夜を見上げる体勢になる。
「困ってる永琳って、とっても綺麗ね。」
「ちょっと」
先ほどとは別種の笑顔を浮かべる輝夜に、冷や汗がにじんでくる。何をする気だと身構えていたら、唐突に抱き起こされ、視点が戻った。
「なーんて。さっきの話だけど――」
この姫はいったい何を考えているのか。まあ、振り回されるのは日常茶飯事だが。
「――あら、もしかして本当に襲って欲しかったの? きゃ、永琳のえっち」
「……輝夜」 仏頂面で睨む。
「まあまあ、そんな怖い顔しないで。謝るから」
「はぁ……で、さっきの話って? どういうこと?」
苦笑して謝罪する彼女に、一度大きく溜息をついてみせ、話を促す。
「そう。その話だけど、貴女スキマの目的が気になるって言ったじゃない? 」
「ええ、言ったわね」
「それって、目的なんて大それた事じゃないと思うのよね」
「どういうこと?」
「そういうことよ。今私が貴女をからかったみたいに、深い理由なんてないんだわ」
「あなたねぇ……それにしても、博麗や紅魔館まで動員して、そんな――」
「まず、あいつらの性格を考えてみなさいな。逆に、深刻さが薄れてこない? それにきっと、向こうも貴女と同じだったのよ。ささやかな恐れと対抗心。意外といい友達になれるんじゃないかしら?」
輝夜は、私と八雲紫が仲良く会話をしているところでも想像したのか、心底面白そうに笑っている。その笑顔を見ていると、今までのもどかしさが徐々に解けていくような、爽快感と脱力感を感じた。
「……ありがと、輝夜」
「解決、した?」
「ええ」
「それは良かったわ」
「でも、私とアレが親友なんて、死んでも考えたくないわね。死なないけど」
「面白くない冗談だわ」
そう言いながらも、お互い顔を見合わせて大笑いする。こんなに屈託のない笑いは、いつぶりだろうか。
今度からは、もう少し宴会や弾幕戦に加わろうかな、と、そんな考えが頭をよぎった。
目的がわからない。手段がわからない。なによりその思考がわからない。わからないことが恐ろしい。
「ウドンゲ、私はこれから訪問販売に行って来るわ。留守を頼むわね」
実験室へ入り、おそるおそるといった様子で試験管を取り扱っているウドンゲに声をかける。集中が乱れたか、ビクリと耳が動き、その拍子に薬品をこぼしてしまった。まだまだ未熟だ。
「あぁっ! 貴重な薬が……って、し、師匠!?」
「私以外に誰がいるの? それは材料一つ一つが希少品の大切な薬。早く処理して、明日中に調合しておきなさい。さもないと、縛って山に放置するわよ」
「ひいぃ!! それだけはご勘弁を!!」
考える。式を解いたり推測を巡らす事は数あれど、わからないモノについて頭を捻って考えるなんて、とても久しい感覚だ。
「とにかく、少し出てくるわね」
「……はぁ、薬売りでしたっけ。まだ集金の時期でもあるまいし、どうして師匠自ら?今までどおり私がやりますよ」
押し通す。八雲紫が恐ろしいだなんて、この子には口が裂けても言えないだろう。
「いいから、行くと言ったら行くのよ。心配せずとも暗くなるまでには帰ってくるわ。多分」
「わかりました。帰ってきたら夕飯が食べられるようにしておきますね。でも、なぜ急に?」
確かに私が永遠亭を出るのは稀だが、今日の彼女はやけに食いついてくる。
「そうね……強いて言うなら、勉強よ。勉強」
「師匠に勉強することなんて、あるんですか?」と、首をかしげて、怪訝そうな顔をするウドンゲ。
もどかしい。月の酒を盗られた。実際に起こったのはたったそれだけ。どうしてこうも不快感が溜まるのだ。大体あの妖は何をしたかったのか?
「だから未熟なのよ。他人を盲信していると思考が空虚になっていくわ。自分に芯を通しなさい。わからないことなんて、わかる度に増えていく。それに、ここにはただでさえわからないモノが沢山あるじゃない」
「例えば、どんな?」
「そうね……ボーダーライン、かしら」
「……はい?」
***
薬売りの口実で永遠亭を抜けてきて――口実と言っても結局不思議がられ、普通に外出するのと変わらなかった。アレが関わると本当に調子が狂う。――とりあえず博麗神社へと向かうため、人里へ。
疑問に思うなら、それを解消すればいい。解消するには、実際に行動してみるのが手っ取り早い。
そんなことを考えながら、博麗神社にたどり着く。竹林を抜けて、後は飛んでしまえばあっという間だ。巫女が見当たらない。
「霊夢? 居るかしらー?」
「なかなか珍しい客ね。私は居るけど薬は要らないし、輝夜や鈴仙や兎詐欺はここには来てないわよ。そして賽銭箱はあっち」
霊夢は部屋に居たようで、のっそりと縁側から顔を覗かせた。相変わらずの態度だ。
「まだあの件を根に持ってるの? その事なら私から謝るから、勘弁してちょうだい。」
ほら、と五円玉を入れて、とりあえず二拝二拍手一拝。形式はこれでいいのか疑問だが、気にしないことにする。
優曇華が開花しますように、なんて、洒落た願掛け。ご利益があるのか甚だ疑問だが。
「あら、どうもありがとう。まともに賽銭をくれる人なんていつぶりかしら」
「そんな態度であんな道中だからよ。賽銭の少なさを嘆くのなら、もっと参道の妖怪退治に励みなさい」
「貴重なご意見ありがとう。まあ何だかんだで食べていけるし、面倒くさいからやらないけど。あ、そうだ。あんたのとこに分社置かせてくんない? 患者が沢山来るんでしょう?」
「まったく……御祭神すらわからない神社が分社を作ってどうするの。ところで、八雲紫を知らないかしら? あなたのところに入り浸ってるって聞いて来てみたんだけど」
言いながら、大妖怪が入り浸っているなんて話を耳にすれば、確かに一般人は参拝に行く気が失せるだろうな。とぼんやり考える。
「そうねぇ、居て欲しくない時はよく見るわね。その不名誉な噂、訂正してきてよ」
霊夢がぼやいたそばから背後に突然空間が開き、ニュルリと手が出て霊夢のへんてこな巫女装束に入り込む。なんだか予想できたので、目をそむける。
「居て欲しい時があるとは思わなかったわ、ゆかりん嬉しい! 今度からは遠慮なく呼んでね♪」
「呼ぶか、死ね! 夢符『二重結界』!」
現れたのは八雲紫だ。性的嫌がらせを繰り出しながら登場したのは少し面食らったが、なんにせよ探し物が現れたので良しとする。
それにしても、夢想封印は妖怪には効果絶大らしいが、そこであえて結界を張ったのは、霊夢の拒絶心か、それとも加減の表れか。
「“竹林の”お薬屋さん、博麗神社へようこそ。私に何か用かしら。それとも霊夢に?」
「永琳の用件はどうでもいいけど、どうして私と神社がアンタの所有物みたいな扱いになってるのよ!」
「霊夢の怒りはともかく、八雲紫、ちょうど貴女を探していたところなのよ」
「流すな!」
スペルが全く効いていないが、霊夢はその点には触れない。セクハラまで含めて恒例の事なのだろうか? 少し同情した。
「私に用があったのね。それで、ご用件は?」
月の騒動のことは、と尋ねそうになって飲み込んだ。代わりに口をついて出たのは――
「貴女と私で一対一のスペルカード戦、なんてどう?」
***
この提案に八雲紫も驚いたようだが、すぐに調子を取り戻し、相変わらずの嫌な笑いを浮かべて質問してくる。
「どういう風の吹き回しかしら? あなたが弾幕戦を挑むなんて」
「そうねぇ、少々聞きたいことがあるのよ」
「非効率的ね。この場で聞けば?」
「こっちの方が面白そうじゃない。それに、私はプライドが高いのよ」
あの異変のとき、輝夜の力を借りても敵わなかった妖怪。そんな奴が質問対象とは、幻想郷的には一石二鳥だ。存分に叩きのめしてこの不快感を祓ってやる。
「あー、弾幕やるならここ以外でね。境内荒れるし、妖怪共が集まってくるから」
「じゃ、またね、霊夢。来てほしくなったら遠慮なく呼んでいいのよ♪ 」
「んなこと誰がするか!! って、スキマで逃げたわね……くそ、今度来たら封印してやるわ」
自身の封魔針が、障子に大穴を開けていた。
やっぱり気の毒だ。
***
境界の長いトンネルを抜けると竹林であった。さわさわと風が竹を揺らし、遠くには兎と思しき気配がする。間違いない、ここは――
「最高の舞台だなんて銘打って、竹林、しかも永遠亭のかなり近くじゃないの。ここは貴女の所有物ではないわ」
輝夜や鈴仙達の姿を探すが、ひとまず見当たらなかった。
「だって、竹林の薬師でしょ? それに、幻想郷の全てはわたしの子供みたいなものよ」
「お母様、大変。貴女のお子さん、皆グレてるわよ」
「まあ、なんですって! 良くない虫でもついたのかしら」
「母親の影響じゃない?」
軽口を叩きながら霊力を研ぎ澄ます。大丈夫、勝てるだろう。
飛翔して、戦闘の意思を伝える。今度は邪魔も入らない。
――どちらともなく発した口上が、開戦を告げた。
「穢土に堕してあげるわ、境界の大妖!!」
「浄土に還してあげるわ、英知の咎人!!」
手始めに扇状に弾をばら撒く。おそらく軽々と避けられてしまうだろう。今のはそういう攻撃だ。枚数を指定したため、後の先のスタイルをとるのがベストだろう。
だが――
「そっちがその気なら、お望みどおりガンガンいきましょうか。境符『色と空の境界』!」
定石なぞ知らぬといった具合で開幕からスペルを放ち、私の放った弾幕が一気に掻き消えた。低級妖怪なら気圧されて卒倒してしまうだろう。
可視光線が放射状に発射され、それらを辿って、ストローに液体が吸い上げられるようにレーザーが奔り、避け切ったのも束の間、渦状に無差別な弾丸が降り注ぐ。大層な名前だけあって、なかなか手ごわい。
「色即是空、空即是色。その境界、どんなカオスなんでしょう。素晴らしいと思わない?」 心底うっとりした顔でのたまう。これはあの閻魔も手を焼くだろう。私も真っ当に閻魔と会える身ではないが。
「亡霊のことかしら? こうしてみると、貴女意外と一貫性があるのね。カオスに対して」
「彼女はカオスっていうより、ニュクスね」
「物凄く爛れた関係ね」
流石に弾が多い。避け切れぬ量ではないが、こうなると周りの状況が気にかかる。
案の定、弾を放つたびに地面が穿たれ、竹が倒れる。
てゐ達からはぐれた様子の兎が、影から逃げ出す。まさに脱兎。
「とりあえず、ここを荒らさないで欲しいんだけど。この辺姫がよく通るのよ」
「当のお姫様が、焼き鳥屋さんと一緒に放火に勤しんでるじゃないの」
「竹は成長が早いからいいのよ」
「月の頭脳とは思えない発言ね。隠遁生活でヤキが回ったかしら?」
「いちいち月だの竹林だのまどろっこしいわね。その曖昧さごと調伏してあげましょう」
「あら、バケモノを倒すのはいつの世も人間なのよ。あなたにその資格は無いわ」
「私は人間じゃなかったのかしら?」
「あなたはエイリアンじゃなかったのかしら?」 一発撃ったが、お得意の理不尽空間で処理された。
さて、もう大体このスペルの攻撃パターンは掴めた。
向かってくる弾を簡単な結界で叩き落し、一直線に敵を狙った弾丸と、逃げ道を制限する大玉、さらに不規則に動く使い魔で反撃する。
「む、そろそろ引き時かしらねぇ」
相手は何を思ったか、せっかくのスペルカード攻撃を中断し、私の横を大きく離れた位置に弾を撃ってくる。ただのカス弾かと思いきや、大きくUターンして加速し、私を狙ってきた。
「ふん、こんなもの、確認さえすればチョロイじゃない」
「アドバイス? ありがたく頂いておくわね。非常に余計だけど」
「……天呪『アポロ13』!」
このスペルは、私の持つ技の中でも屈指の威力だ。
アポロ13号の事故。この時地上人達は、13という数字の魔力に惹かれたのか、あろうことかフラ・マウロ高地へと進路を予定した。
フラ・マウロは隕石の影響により、本来そこに無いはずのイルメナイトが出土する。これは幻想の物、つまり『裏の月』への標となってしまう。ゆえに月の民としては、この号の着陸は防がなくてはいけなかった。
それとなく争いを起こす事はあっても、月の民が地上に直接介入するのは、おそらくこの件が初めてだろう。
地上人の、初めての幻想への足がかりと、月の民の干渉。そして、13という地上人がもっとも忌避する数字。この幻想世界において『アポロ13』という言霊は強力な力を持つのだ。
「避け切れないか」
傘によって弾を払い落とされる。一見苦戦しているようだが、この相手に限ってはそんな印象はこれっぽっちも役立たない。先ほどからも、私のヘマを誘うためか、しきりに神経を逆撫でしてくる。
さっきのカーブ弾もそうだが、八雲紫の行動や言動に左右されては危険だ。攻撃に対して最善の手を打ち、的確に反撃すれば負けることは無い。
心を落ち着け、二色の渦を一斉に撃ち出す。攻撃パターン自体は単調だが、それ故に強力だ。
「最低限の方程式は、最高峰の宇宙工学さえも打ち破るのよ」
「自信過剰ね。そんなんじゃあ、ご執心のカナリアに愛想を尽かされちゃうわよ」
何のことは無いいつもどおりの軽口。だが、それは私の敵意には十分な燃料だった。
「姫を、籠の鳥と?」
「怖い、怖い。勘違いよ。わたしは、アナタの愛しのお姫様本人を言ってるんじゃなくて、アナタの教育方針を言ってるのよ」
くすくすと、嫌悪を生む笑みを浮かべる。おそらく、私の怒りを感じたからこそ追い討ちをかけてきたのだろう。
逸るな。冷静に冷徹に。
「挑発しようが、このまま私の勝ちよ」
「確かに、なかなか強力な技かもしれない――」
そう言い放つと、先ほどの弾とは逆に、まっすぐに私を狙う高速の大玉を撃ってきた。
次はどんな仕掛けを打っているのかと、じっと弾を見ていると、ふと空間に穴が開き弾が吸い込まれた。
ここで私を仕留めるには、どこに弾を撃ち出すべきか。横からの弾は目視してかわせる。下からは致命傷足り得ないだろう。上は、接射でもしない限り竹に邪魔される。
「後ろか!」
勢いよく振り向くと、確かにスキマに吸い込まれた大玉が迫ってくる。こちらも弾を撃って、ギリギリで相殺する。
「――でも生憎、野蛮なカニバリストには、端からテクノロジーなんて必要ないのよ」
視界が、暗転した。
***
「……りん」
目が覚めると、頭に柔らかい感覚がした。
「……え……りん」
視界は桃色一色で、色彩に合った香りが鼻に流れてくる。
確か、さっきまで八雲紫と弾幕勝負をしていたはずだ。
気を失っていたということは、撃墜されてしまったのだろうか。
……柔らかい感触? 視界が桃色? 良い香り? どう考えても、竹林で撃墜されて横たわっている人間の感覚ではない。
「永琳……起きた?」
上から聞こえたのは、紛れも無い輝夜の声だった。
この状況、所謂膝枕だ。月に居た頃、輝夜に何度かしてやった記憶がある。
「ええ……ありがとう。ところで、八雲紫は?」
せっかくなので、主からのささやかな厚意を享受する。照れはしても、動揺はしない。
「イナバ達と遊んでて帰ってくる途中に、永琳が後ろから撃たれたのを見ちゃって。きっちり仇はとったわよ! 今頃のびてるんじゃないかしら? まあ、能力を使った不意討ちだけどね」
どうやら、怒りを手玉に取られて、弾を振り返ったときに後頭部を撃ち抜かれたようだ。薬を飲んでおいて良かったと思うのは初めてだなと自嘲する。
それにしても、あんなに注意しておいてこのザマか。自分が輝夜の手を二度も煩わせたのが、不甲斐無くて仕方ない。彼女を守るはずなのに、守られてどうするのだ――
「……永琳!」
パチンと軽快な音がたち、意識が引き戻される。輝夜に顔を挟まれた。
「表情だけで、どんなこと考えてるか一発で分かるわ。心配しなくても私はそんなに狭量じゃないから、まずは経緯を話してみなさいな」
頷いて、優しく手を離し、不満そうな表情にほんの少し名残惜しさを覚えながら身体を起こす。
「ちょっと前、ロケットの事件があったじゃない? あの時のアイツの目的がどうしても気になって、探りを入れようとしたのよ。アレ相手じゃ、私が直接行った方がいいはずだし」
「うん、そうでしょうね」
「でね、偶然神社で出会って、満月を隠した時に負けたのを思い出したから、弾幕勝負を挑んだのよ」
「ふむ。なるほど」
「それからは、大体輝夜が見たとおりよ。リベンジ成らずってとこね」 肩をすくめて笑ってみせる。
「ふぅん……それ、端折ってるでしょ?」
「どうして?」
誤魔化しはきかないか。思えば月に居た頃から聡明だった。
「そりゃあ、私の永琳があんなに簡単にやられるはず無いもの」
前言撤回。信頼は素直に嬉しいのだが。
「理由になってないじゃないの」
「私にとっては立派な理由よ。貴女に教わって、尊敬を抱けない者なんていないわ。さあ、何があったの?」
「…………輝夜が貶されたから、ちょっと、冷静さを欠いて。あ、か、勘違いしないで、輝夜。負けたのは私が弱かったからで――」
「ストップ。私は、貴女が弱いだなんてこれっぽっちも思ってないわ。原因を聞いて、思わず嬉しくなっちゃったぐらい」
だから笑って?、と、持ち前の天真爛漫な笑みで言う輝夜。その太陽のような笑顔がとても眩しく、どこか誘われるように抱き寄せた。
「あら、大胆」
「どっちがよ。今更そんな仲でもないでしょうに」
「言ったじゃない。いつまでも愛してるわ」
いつの間にか、輝夜の雰囲気が変わっている。
「意味合いがズレてる気がするんだけど」
「細かい事は、気にしない」
顎をクイと持ち上げられ、私が輝夜を見上げる体勢になる。
「困ってる永琳って、とっても綺麗ね。」
「ちょっと」
先ほどとは別種の笑顔を浮かべる輝夜に、冷や汗がにじんでくる。何をする気だと身構えていたら、唐突に抱き起こされ、視点が戻った。
「なーんて。さっきの話だけど――」
この姫はいったい何を考えているのか。まあ、振り回されるのは日常茶飯事だが。
「――あら、もしかして本当に襲って欲しかったの? きゃ、永琳のえっち」
「……輝夜」 仏頂面で睨む。
「まあまあ、そんな怖い顔しないで。謝るから」
「はぁ……で、さっきの話って? どういうこと?」
苦笑して謝罪する彼女に、一度大きく溜息をついてみせ、話を促す。
「そう。その話だけど、貴女スキマの目的が気になるって言ったじゃない? 」
「ええ、言ったわね」
「それって、目的なんて大それた事じゃないと思うのよね」
「どういうこと?」
「そういうことよ。今私が貴女をからかったみたいに、深い理由なんてないんだわ」
「あなたねぇ……それにしても、博麗や紅魔館まで動員して、そんな――」
「まず、あいつらの性格を考えてみなさいな。逆に、深刻さが薄れてこない? それにきっと、向こうも貴女と同じだったのよ。ささやかな恐れと対抗心。意外といい友達になれるんじゃないかしら?」
輝夜は、私と八雲紫が仲良く会話をしているところでも想像したのか、心底面白そうに笑っている。その笑顔を見ていると、今までのもどかしさが徐々に解けていくような、爽快感と脱力感を感じた。
「……ありがと、輝夜」
「解決、した?」
「ええ」
「それは良かったわ」
「でも、私とアレが親友なんて、死んでも考えたくないわね。死なないけど」
「面白くない冗談だわ」
そう言いながらも、お互い顔を見合わせて大笑いする。こんなに屈託のない笑いは、いつぶりだろうか。
今度からは、もう少し宴会や弾幕戦に加わろうかな、と、そんな考えが頭をよぎった。
その気持ち、まさしく愛だね! ゆかりん!
弾幕ごっこの描写って難しいですねえ。どうしても台詞メインにならざるを得ない。
超頭脳同士の丁々発止、ボンクラな俺には理解不能だぜ! とは思わないですね、不思議と。
そこに至るまでの道筋がどんなにクネクネ曲がっていようが、仮にワープしていようが、
二人がはじき出す解は結局一つだと安心しているからでしょうか。
前者は当然『=お姫様』、後者は勿論『=幻想郷』。うどんちゃんや霊夢と解答しても○がつくかもしれんね。
ゆかえーりんに視点の重心が傾いていたので最後はちょっぴり肩透かし気味でしたけど、
うん、滅多にお目にかかれない物語で満足しています。ありがとうございました。
この作品はそれを上手く話に使えてると思います
この二人が和解するような展開があったら面白いかもしれませんね