※遊戯王がわからない人は苦しいかもしれません。
※2010年4月時点のルール+LPは4000仕様です。
紫 「じゃあ勝ったほうが次回作の自機ということで異論はないわね?」
早苗「ええ、もちろんです!」
紫 「(1000年も生きてない小娘が主役なんて……1万飛んで200年早いわ)」
早苗「(頑張りますよ! ここで勝って、再び霊夢さんと同じ土俵に……!!)」
紫 早苗「決闘(デュエル)!!」
――――――――――――
魔理沙「『どうしてスペルカードで戦わないの?』そんな野暮な質問は、まとめてミルキーウェイ! はい、今回実況を勤めさせて頂きます霧雨魔理沙と、解説はこの人……『カエルの子はあたし』でお馴染みの守矢諏訪子さんですだぜ」
諏訪子「よろしくおねがいします……ところでその不愉快な語尾やめてくれない?」
魔理沙「いやーどうですか、今日の勝負は?」
諏訪子「(案外素直にやめてくれたわね)」
諏訪子「ん~……早苗のフォーチュンデッキはダルキー中心に回る関係上、紫の次元にはかなーり相性が悪いハズなんだけど」
魔理沙「具体的にはどういう風に?」
諏訪子「早苗のデッキは墓地からモンスターを特殊召喚して畳み掛けるデッキなんだけど、墓地にモンスターがいないから召喚できなくなっちゃうの」
魔理沙「……はてな」
諏訪子「まぁ、早苗はしっかり対策してるとは思うけど……紫がそれにさらに対策をしてくるとまた結果は変わってきちゃうね」
魔理沙「ありがとうございます。勝負は時の運……どっちが勝ってもおかしくない……ということでしょうか」
諏訪子「まぁ、掻い摘んで言えば。運は強い人の味方だから。弱者は己が努力を介さない限り弱し―――」
魔理沙「では始めて行きたいと思います! 先行は……コイントスの結果、早苗選手ですね」
諏訪子「(名言遮られた……)」
――――――――――――
紫LP4000 早苗LP4000
早苗「私のターン。ドロー」
早苗「フューチャーヴィジョン発動! このカードは自分または相手がモンスターの召喚に成功した時、そのモンスター1体を1ターンだけゲームから除外するカードです」
紫 「(初手からキーカードを引いてくるとは……やるわね、早苗)」
早苗「次にワン・フォー・ワンを発動します。フォーチュンレディ・アーシーを墓地に送り、フォーチュンレディ・ライティーをデッキから特殊召喚。さらに神獣王バルバロスを通常召喚します。フューチャーヴィジョンの効果により除外されます」
早苗「私はリバースカードを一枚伏せてターンエンドです」
早苗「(こんなところで負けていられないのよ……!)」
――――――――――――
魔理沙「序盤からバンバン積極的に攻めていきますねー。早苗選手」
諏訪子「彼女の使っているデッキはビートダウンデッキと呼ばれるものなんだけど、本来は後攻の有利で、先行なのはちょっと痛いのよね。だけどフューチャーヴィジョンを先に発動しておけば、相手の攻め手を遅らせる事もできるし、何よりも早苗自身の初手の引きがいいのが有利ね。ということでまずは墓地肥やしを優先させて、次ターンに備えてバルバロスを除外して、一気にケリを付けようとしてるね。あ、ちなみにこのコンボを使うと、バルバロスは攻撃力3000のモンスターとしてフィールドに召喚されるよ」
魔理沙「んなるほど。つまりどういうことだってばよ? という殿方と私は置いてけぼりのようです! ……では試合をどぞ!」
諏訪子「(しかし、私には焦燥にも見える……早苗、どうしたというのだ?)」
――――――――――――
紫LP4000 早苗LP4000
紫「(初手でヴィジョンを張らたのは痛いわね……でも)」
紫「手札から次元の裂け目を発動! さらにリバースカードを二枚伏せて、異次元の生還者を攻撃表示で通常召喚!」
早苗「フューチャーヴィジョンの効果忘れてないですよね?」
紫「知らないわけないじゃない。異次元の生還者はフィールドから離れるのよね」
紫「(相手の手札は一枚……これをうまくアドバンテージに変えていかないと……)」
紫「私のターンはコレで終わり。でもこの瞬間異次元の生還者の能力により除外されたエンドフェイズ時にフィールドに特殊召喚される」
早苗「(やっぱり、次元には相性が悪いですね……だけどっ)」
――――――――――――
魔理沙「紫は苦しい立ち上がりですね」
諏訪子「そうだね……このターンでライティを戦闘破壊出来なかったのは辛いけど、後々次元の裂け目が結構な重みになってくると思うな。フューチャーヴィジョンは特殊召喚には対応してないから。除外からの蘇生は防げないしね」
魔理沙「はい! よく分かるような分からない解説、ありがとうございます!」
諏訪子「(早苗、なぜ勝負を焦っているのだ……)」
――――――――――――
紫LP4000 早苗LP4000
早苗「私のターン、ドロー……そして、私のバルバロスはフィールドに戻って来ます」
早苗「(しかし、気になるのは二枚の伏せカード……私の攻撃で発動し、返り討ちにする罠カードである可能性が高い……だけど!)」
早苗「バルバロスで異次元の生還者に攻撃!」
紫 「罠カード発動、激流葬! バルバロスとライティを泡沫に帰さめる!」
早苗「だけど、貴女のモンスターも流されちゃってますよ。しかも私のフィールドにはライティがいる! ライティの効果発動!」
早苗「このカードがカードの効果によってフィールド上から離れた時、自分のデッキから『フォーチュンレディ』と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができます! デッキからフォーチュンレディ・ダルキーを特殊召喚!」
紫 「攻撃力2000の上級モンスター……」
早苗「ダルキーでプレイヤーにダイレクトアタック!」
紫 「―――っ!!」
早苗「これでターンエンドです」
紫 「ターンエンドフェイズ時に異次元の生還者は再びフィールドに舞い戻るわ」
早苗「……なんて厄介でしょう」
早苗「(しかし、ダルキーの攻撃で発動しなかったということは、どうやらもう一枚の伏せカードは魔宮の賄賂かマクロ・コスモスといったところですね)」
早苗「(ちょっと強引ですが、ここは無理矢理勝負を決めさせてもらいます!)」
――――――――――――
魔理沙「しかし……いい大人が声高らかに『激流葬』って叫ぶのは……社会的にどうなんでしょうかね失笑必須ですよね」
諏訪子「それが醍醐味だよ。シンクロ召喚の台詞を覚えたりするのも、面白さの一つだし」
魔理沙「そ、そうなンすか……」
諏訪子「まぁ嘘だけど……早苗有利は変わらず、紫のターンです。ここで少しでも流れを引き戻さないとまずいね~」
魔理沙「(嘘かよ)」
魔理沙「ちなみにどれぐらいマズイんですか?」
諏訪子「相手がドラ12の時にイーピン引いちゃうぐらいマズイね」
魔理沙「…………そうですか」
諏訪子「(しかし、紫は確実に流れを手繰り寄せている……下手をすれば次のターンに……)」
――――――――――――
紫LP2000 早苗LP4000
紫 「私のターン、ドロー」
紫 「(そろそろ仕掛けてもいいころね……)」
紫 「手札から魔法カード大嵐を発動!」
早苗「(きたわね……!)」
――――――――――――
魔理沙「おぉーー!! 大嵐を発動したということはこれは勝負を賭けにきたと考えてもいいんですかね!?」
諏訪子「悪くない選択肢。手札にもう一枚除外カードがあるようだし……。フューチャーヴィジョンを取り除き、もう一度次元の裂け目を発動して、リリース召喚の流れを無理矢理にでも組み込むつもりだね。相手の伏せカードも除去出来て、安全に攻撃できるし」
諏訪子「(やはり……! 紫、出来るな)」
――――――――――――
紫「さらに手札から次元の裂け目を再び発動。異次元からの生還者をリリースし、邪帝ガイウスを召喚。特殊効果により、フィールド上のモンスター一体を除外するわ! つまりダルキーを除外、そしてそのモンスターが闇属性だった場合、相手ライフに1000ダメージを与えるのよ」
早苗「うぅ……」
紫 「さらに邪帝ガイウスで相手プレイヤーにダイレクトアタック!! ガイウスキッーク!!」
早苗「きゃあっ!!」
紫 「私のターンはこれで終了」
早苗「――――――」
紫 「諦めて、サレンダーしなさいな。そして自機を私に譲ると言いなさい」
――――――――――――
魔理沙「一気に根こそぎライフを奪ったぁ!! けどネーミングセンスにも圧巻だぜ! ガイウスキックってなんなんでしょうか、解説の諏訪子さん!」
諏訪子「私なら『ぎゃらくしー邪帝パンチ』なんだけどね」
魔理沙「さぁさあバ蛙は捨て置いてぇ! 紫選手一気に形勢逆転!! どうする早苗選手!」
諏訪子「(魔理沙……酷い……)」
――――――――――――
紫LP2000 早苗LP600
早苗「(手札には一時的に下級モンスターを墓地から召喚できる金華猫がありますが、墓地には上級モンスターのアーシーしかいません。この状況でガイウスを打倒しうるカードは、もうデッキにも……)」
早苗「(もう逆転出来るカードはないのですか……)」
早苗「(やはり次のドローで奇跡を起こすしか……)」
早苗「(駄目……カードを引く勇気が、私にはない……!!)」
早苗「(やはり私が自機出演は無理なの……!?)」
??「―――諦めたら、そこで決闘(デュエル)終了よ」
早苗「そ、その声は……?」
??「己の巫女力を信じなさい」
早苗「こ、皇帝レイムー! どうしてここに!?」
皇帝「決闘者(しゅやく)はどんな困難にも決して諦めない者のことをいうの」
早苗「どんな……困難にも……」
皇帝「あなたは、こんなところで主役を諦めるようなお人好しでもないでしょ」
早苗「でも、もうガイウスを倒せるカードはっ……!!」
皇帝「成功をで倒せなければ落とし穴を掘りなさい」
早苗「えっ、それってどういう意味ですか……!?」
皇帝「自分のデッキを信じるのよ」
早苗「待ってください、皇帝レイムー!!」
早苗「――――――」
――――――――――――
魔理沙「早苗選手、なかなか立ち上がりませんね……ずっと『おーあーるぜっと』の姿勢ですよ」
諏訪子「どんな姿勢なのかいまいち伝わらないけど……早苗は手札一枚の上にフィールドにカードは一枚も無い。八方塞がりだね」
諏訪子「(だが、しかし……早苗が『あの事』に気づけば……あるいは)」
――――――――――――
紫 「あら? まだ続ける気なの? 健気ねぇ」
早苗「私のターン……ドロー!!」
紫「無駄だといっているのに……この戦力差ではどう足掻いてもひっくりかえせないわよ」
早苗「どんな状況でも諦めない! 私は……決闘者(デュエリスト)だから!」
――――――――――――
魔理沙「早苗選手、戦意を取り戻しましたぁ!!」
諏訪子「……流れが変わった」
魔理沙「つまり、どういうことですか?」
諏訪子「さっきまでの流れだと、早苗の負けは確定していたのに、彼女はそれを変えた。否、捩じ曲げたとでもいうべきか……」
諏訪子「(何かが、彼女の中で変わったのか……!?)」
――――――――――――
早苗「私は手札からフォーチュンフューチャーを発動、除外されたライティを墓地に戻し、さらにデッキからカードを二枚ドローします」
紫 「フフっ……無駄な足掻きを」
早苗「――――――! これから見せてあげますよ。逆転劇ってやつを」
紫 「……なんですって?」
早苗「さらに手札から金華猫を召喚。このカードを召喚した時、自分の墓地に存在するレベル1のモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。私は、墓地にいるライティを特殊召喚します!」
紫 「(橙みたいな猫のモンスターね)それがどうしたのかしら? ライティは攻撃力200の最弱モンスター、その塵芥で何を見せてくれるのかしら?」
早苗「これで私のターンは終了です」
紫 「――――え?」
早苗「ターンエンドと言ったんです」
紫 「アッハハハハハッ……大方、望みのカードが引けなかったようね。そうよ、諦めることは悪いことじゃないわぁ。むしろ―――」
早苗「この瞬間、金華猫は手札に戻る! その瞬間金華猫の第二の能力が発動される!」
紫 「……!?」
早苗「このカードがフィールド上から離れた時、この効果で特殊召喚したモンスターをゲームから除外する、つまりライティは除外される!」
紫 「ライティがフィールドを離れたとき……デッキからフォーチュンと名のつくモンスターを一体召喚出来る……だったかしら?」
早苗「そうです」
紫 「上級モンスターを召喚する気? だけどフォーチュン最強のアーシーの攻撃力でさえ2400。ガイウスと戦闘したところで、次のターンには特殊召喚された異次元の生還者でお陀仏なのよ!」
早苗「だから……このターンで決める! ライティの効果によりフォーチュンレディ・ファイリーを特殊召喚!!」
紫 「攻撃力400……そんなカードで何を―――」
早苗「ファイリーの特殊効果発動! このカードが『フォーチュンレディ』と名のついたカードの効果によって特殊召喚に成功したとき、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える!」
早苗「つまり、ガイウスの攻撃力分のダメージを受けてもらいます!!」
紫 「……クスッ」
早苗「!?」
紫 「…………なるほど、面白い方法ねぇ」
早苗「(あの余裕……まだ何かあるとでもいうの!?)」
紫 「ふふふ……」
早苗「………………」
紫 「………………待った!!」
早苗「待ったは無しです! あの年増をやっちゃってください、ファイリーちゃん!」
紫 「やーらーれーたー……」
早苗「しかし今回は私一人では勝つことは出来ませんでした……好敵手(とも)の存在があったから私は今日、勝つことが出来たんです……」
早苗「ありがとう皇帝……そして、今度は貴女にも勝ってみせます!」
――――――――――――
皇帝「フッ……やはりそうでなくては面白くないからな」
――――――――――――
魔理沙「早苗選手の華麗な逆転勝利だぜ!!!」
諏訪子「…………」
諏訪子「……早苗、見事だったわ」
早苗 「ありがとうございます、これで晴れて私も自機に……!」
諏訪子「水さすようで悪いんだけど、自機になれるのは私に勝ってからなんだよね」
魔理沙「え、ちょ、運営はそんなこと聞いてないぜ……」
早苗 「そうですよ! そんなの聞いてませんよ!!」
諏訪子「お黙りなさい。言いたいことは決闘(デュエル)で言いなさい」
早苗 「……分かりました!」
早苗・諏訪子 「決闘(デュエル)!!」
早苗 「諏訪子、カエルワンキルは卑怯ですよ……」
諏訪子「勝ちゃァいいんだ勝ちゃァ」
おしまい。
次回予告『衝撃の事実! 今明かされる皇帝レイムーの正体!』
何箇所か紫が咲夜になってます
激流葬や大嵐が出たときは少し嬉しかったです。今も使われてるんですね。
それと、ところどころギャグがあって、読んでて楽しかったです。
誰かやってくれないかなあ、と思ってたのでありがとうございます。
ただ、欲を言えばもうちょっと初期も出して欲しかった…_| ̄|●
しかし、LP4000のルールで防御力皆無の次元帝とは……漢やでぇ。
微妙に読み辛かったのでこの点数で。
あと、他の人も指摘していますが、紫の台詞のハズなのに、咲夜と表記してあるところがあります。
バルバロスをバルバトスと表記しているところがあります。
こういうSSでの遊戯王は「魅せ」のデュエルであるべきだと思うのですが、普通にデュエルしたのを描写してあるように感じました。たとえば、紫が大嵐に巻き込んで破壊した、紫自身のセットカードについて、早苗がただ予想しただけというのはお粗末すぎやしませんか?漫画・アニメの遊戯王では、無駄なセットを行うことはほとんどありません。
それを含めて「これ、SSでやる必要なくね?」
こんなん書きたくて仕方なかったけど文章力がなくて諦めていた私のために頑張ってください!
次回作、私は期待してます!
現実味の強すぎる内容だったのが何よりも残念です。
更に言えば世界観の描写もいくら単発ネタとはいえ、適当すぎます。
それから最後に『これSSでやる意味なくね?』
むしろSSだと場の流れの描写が細かくできないという壁にぶち当たります
東方でやる利点もなければ、SSでやるほどでもない対戦内容と感じました。
関係ありませんが、ライフ4000は、リアルだとフルバーンデッキでのジャンケンゲームになりますよね。
ダメージを受けたりしたらライフの変動を書くとか、ターン終了時にフィールドの状況や手札枚数の確認などがあると読む側としては解りやすいかと。
あと、↑の方も書いてますが、創作である以上、アニメのようにある程度はご都合主義的な展開も許されると思うので、ガチで行くよりも使用するキャラに合うようなテーマデッキで戦わせた方が見ごたえあると思います。
ガチは皆さん見飽きているでしょうし。