Coolier - 新生・東方創想話

星蓮船儚月抄

2010/10/02 18:18:58
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「聖、餅つきしませんか?」
 
 冬に移りつつある秋の夜、雲一つない空で煌々と輝く満月が幻想郷を優しく照らす中、命蓮寺の縁側ではそこに住む者たちによるささやかな月見が行われていた。その最中、村紗が思い出したように隣に座っている白蓮に尋ねたのだった。

「餅つきですか?」
「ええ、餅つきです」

 湯呑みを脇に置きながら白蓮がきょとんとした顔で村紗の顔を見つめる。対して村紗の顔は熱意に溢れていた。

「どうしてまた?」
「今季節は秋。秋と言ったらお月見。お月見と言ったら団子でしょう」
「なら里に下りて買ってくればいいじゃない。何でわざわざつこうとするのよ?」

 そう異を唱えた一輪をちっちっ、と人差し指を振って制しながら村紗が言う。

「わかってないわね一輪。こういうのは自分たちで作った方が美味しいのよ。みんなもそう思うでしょ?」
「ええ。私は良いと思いますよ」
「あたしもー。店のやつって何か冷めてて嫌なんだよねー」

 一輪の提案に星とぬえが賛成する。そしてそれを見た一輪がここぞとばかりにまくしたてる。

「ねえいいでしょう聖?臼も杵もあることですし、ここは一つパーッと……」
「ええ、いいと思いますよ。やりましょうお餅つき」
「ヤッホーッ!」
「ご主人落ち着いて。でもいいのかい聖?」

 一人騒ぐ星をなだめながら、ナズーリンが聖に問いかける。それに対して聖は柔和な笑みを浮かべながら答えた。

「ええ。今まで村紗たちには苦労をかけましたから、私は少しでもその恩に報いたいのです。村紗の頼みをどうして無下にできましょうか。それに――」
「それに?」
「恥ずかしながら、私もちょうどお団子が食べたくなってきたので」
「ぐすっ、ありがとうございます聖……!」

 白蓮の感謝の念に触れ、今にも泣きだしそうになるのをこらえながら村紗が答える。そして涙を拭って両頬を叩き、顔を引き締め立ち上がった。

「では我々は、これより餅つきを行う!聖の承諾も得た、みんなも異存はないわね?」
「いいけど、今からするの?」
「もち米とか色々用意しなきゃいけないし、つき始めるころには流石に夜が明けると思うんだが……」

 当然の疑問。だが村紗はそれらを聞いても余裕の態度を崩さなかった。

「ふっ、そんなもの、道中で用意すればいいのよ」
「はあ?」

 村紗の発言の意図が読めず、首を傾げる面々。そんな彼女たちに対して、村紗は自分の計画を打ち明けた。
 数分後、謎の轟音が幻想郷中に響き渡った。




 月。
 見渡す限り白い大地と黒い空の広がる虚空の世界。そこにある都の一角、一際大きく映える屋敷の正門で、綿月依姫は大きくため息をついた。

「全く、どこに行ったのよ」

 そういらだたしげに呟きながら門前をぐるぐると往復する。兎たちを方々に探しに向かわせてからどれくらい経つのだろうか。早く報告が聞きたいと言うのに、こんなにも一分一秒が長いと感じたことは無かった。

「どう依姫、兎たちは帰ってきた?」
「まだですよお姉様。帰ってきてたらどれ程良いことか」

 門の中から出てきた姉の綿月豊姫に対して、ため息交じりに依姫が答える。だが豊姫は動じることなく、優しい口調で妹を諭した。

「あらだめよ依姫。ため息をついたら幸せが逃げて行くのよ」
「今そんな事はどうでもいいでしょう。どうしてお姉様はそうも気楽でいられるんですか、あの子がいなくなってしまったというのに」
「大丈夫よ。もうあの子だって一人前なんだから、きっと無事でいるわ」

 姉の楽観的な思考に頭を痛ませながら、依姫がきっぱりと言い放った。

「とにかく、彼らが帰ってきたら今度は玉兎と一緒に私も探しに行きます」
「構わないけど、あなたが出て行った後で兎たちの報告は誰が聞くのよ?」

 この台詞を聞くやいなや、依姫は豊姫の方を向いて一言、

「お姉様、宜しくお願いします」
「うええ?」

 露骨に嫌な顔をする豊姫を見ながら、依姫が昨日の演習の帰りにはぐれてしまった一匹の兎に思いをはせていると、一匹の兎が駆け足で戻ってきた。全身汗だくで、顔には焦燥感がありありと浮かんでいた。。

「依姫様!」
「どうした。何かあったのか!」
「い、いえ、それが、東の方で……」




「いやあしかし、村紗のアイデアには驚かされましたね」
「確かに、この発想は無かったわ」

 そう言いながら星と一輪が側面のハッチから臼を持ち上げ船外へと運んでいく。持ち上げているのは実質雲山一人だったが。

「驚いたと言ったらこれよ。村紗ったら、いつの間にこんなものをこさえたのかしら」

 外に出た一輪はそう言って、今まで自分たちが乗っていた船を見上げ、星もそれに続いた。
 彼女らの目の前にあるのは、かつて自分たちが白蓮を開放するために使っていた聖輦船そのものであった。ただ、それまで使っていた物と決定的に違うのは、甲板の上に命蓮寺が丸ごと乗っかっていることだった。

「ふっふっふ。こんなこともあろうかと、河童たちの力を借りて命蓮寺を丸ごと載せた新型戦艦を開発していたのだよ……」

 そう言って一輪の隣に立つ村紗。サングラスをかけて腕を組み、一人悦に浸っていた。
 キャプテンムラサの解説は続く。

「外殻は河童印の特殊超硬合金、動力源は河童印の複式核融合エンジン、防御には河童印の特殊エネルギーフィールド、あらゆるテクノロジーを結集させたこのニュー聖輦船こそ、宇宙を翔け遥かな高みを目指すにふさわしい至高の船であるッ!」
「殆ど河童任せじゃないですか」
「あなたはどこを目指してるのよ」

 冷静に返した星と一輪にキレたキャプテンがアンカーを飛ばしている様を見て、杵を持ったナズーリンとお櫃を抱えたぬえがため息をついた。

「船もすごいけど、それ以前に驚くことがあるだろうに」
「だよねえ。なんたってあたしたち、月にいるんだもんねえ」

 そう言ってぬえは真っ白い地面を蹴った。白い粉末が宙に舞う。
 彼女たちは月に立っていた。

「君も少し驚いたらどうなんだ?月だぞ。私たち今月にいるんだぞ」
「いや、なんかあっけなさ過ぎて実感わかないんだよね」
「まあ、それはそうだけどさ。もっとこう偉業を達成したという実感を持ってほしいんだが」
「とにかく今は月より餅つきだよ。おいお前ら!臼が壊れたらどうすんのよ!」

 そう怒鳴りながら弾幕勝負に発展した三人のもとに向かうぬえを見てナズーリンが開いた手で頭を抱えていると、開きっ放しのハッチからゆっくりと聖が現れた。

「おや聖、もう大丈夫なのか?」
「ええ。今はぐっすり眠っています。泣き疲れたのでしょうね」

 聖輦船が月面に着陸する際、レーダーが真下に何らかの動体反応をキャッチした。それが人影だと判明した後、聖の意向によってそこより着地地点を右にずらし、その対象を保護したのだった。
 保護したのは少女だった。小柄で、側頭部からたれた兎の耳のようなものが生えていた。右も左もわからないといった体で、一度名前を言った後は辺り構わず泣き叫んでいた。

「レイセン、とか言ってたかな?あの兎みたいな子」
「ええ。もっとも、それ以外のことはわかりませんでしたが」

 その後結局聖があやすことになり、他の面々で餅つきの準備を始める、筈だった。

「それより聖も彼らに止めるように言ってくれないか。早くしないともち米が冷めてしまう」
「あらあら、せっかく月についたというのにあの子たちったら」

 そう言っていつの間にかぬえも介入していた弾幕合戦に向かって歩き出す聖。
 それから数秒後、ナズーリンは見てはいけない物を垣間見た。




「味はどうですか、レイセン?」
「は、はい。とっても美味しいです」
「お汁粉もあるから、欲しかったら好きなだけ言ってねー」
「はい、ありがとうございます」

 それから数分後、白蓮たちは円を作り、自分たちでついた団子を全員で食べていた。その輪の中にはレイセンも混じっており、ぎこちないながらも笑顔を見せるようになっていた。
 しかし非常に和やかな雰囲気の中、ナズーリン一人が複雑な表情を見せていた。

「どうしましたナズ。顔が怖いですよ?」
「何でもない……いや、ご主人たちはあれを見なかったのか?」
「あれ?なんのことです?」
「いや、わからないんならそれでいいんだ」

 気にかける星にそう言ってから、ナズーリンは何かとレイセンに世話を焼く白蓮を見た。
 四人を止める際に見せた、言葉にするのもおぞましい『あれ』。四人の記憶を消し飛ばすほどの力持ったあれを見た時、ナズーリンは聖白蓮の本質を垣間見たような感覚に陥ったのだった。
た だ、当の白蓮はナズーリンの懸念などお構いなしに、緩みきった笑顔でレイセンの世話に従事していた。

「はいレイセン、お汁粉が上がりましたよ」
「あ、ありがとうございますっ。……あち、あちゃちゃ!」
「あらあら、お汁粉はちゃんと冷ましてから飲まなきゃ。無理して熱い物をいただいても美味しくありませんよ」
「あうう、すいません……」

 そう言って顔を真っ赤にして縮こまるレイセンの頬を、慈母の如き笑みを浮かべながら白蓮が拭いてやる。

「……妬ましい」
「大人げないわよ村紗」

 そして白蓮の反対側にいた村紗は、親指の爪を噛みながら恨みがましい顔でその光景を見ていた。一輪はそんな今にも飛び出しそうな村紗を押さえつけるのに精一杯で、月見どころではなかった。ぬえは食欲の赴くままに団子をかっ食らい、星は団子をのどに詰まらせてナズーリンの介抱を受けていた。

「もう村紗ったら、もうちょっと私の方見てくれてもいいじゃない……うん?」

 一輪が誰にも聞こえないように首を円の外に捻って不満を漏らしていると、彼方から何かが物凄いスピードでこちらに向かってるのが見えた。
 よく見るとそれは人の形をしていた。




 兎の報告があった場所まで依姫が見たのは、何とも異様な風景だった。
 巨大な船を背景に、数人の人間らしきものが円を作っていた。目を凝らして見ると、その人間たちは談笑しながら揃いも揃って団子を頬張っていたのだった。その円のすぐ傍には臼と杵が置いてあり、その隣には大きな鍋が置いてあった。
 彼らが何をしに来たのかはまだ分からなかったが、その身なりから、彼らが地上から来たことはすぐに分かった。

「ロケットの次は船?一体何度侵入すれば気が済むというのよ」

 あきれ顔で依姫が呟きながらその光景を眺めていると、彼女の両目が突如大きく見開かれた。
 人間の輪の中に混じって、本来依姫たちが探していた者がいたからだ。

「レイセン!」

 頭で考えるよりも先に体が動いた。穢れた地上の人間から彼女を取り戻さねば。依姫は一目散に駈け出していた。
 飛ぶように月面を走り、奇怪な円陣の前に躍り出た依姫は、刀を抜いて大声で言い放った。

「私は綿月依姫!地上の人間よ、今すぐその子を、レイセンを離しなさい!」




 突然のことに、白蓮たちは思わず箸を止めて依姫の方を見た。

「わたつきの、よりひめ?」

 ぽかんとした口調で白蓮が答える。他の命蓮寺の面々も似たような顔つきだったが、レイセン一人がわなわなと口を震わせていた。

「も、申し訳ありません依姫様。あの、これは……」
「客じゃね?」

 レイセンがか細い声で謝ろうとした瞬間。ぬえがそれを遮って素っ気ない声で言った。一輪が頭を抱えてぬえに言う。

「いや、刀抜いてこっち睨みつけてるってのに、どうしてその結論になるのよ」
「だってあたしらお月見してたんだよ?多分それを見てて参加したくなったんだよ。それと刀はあれだね、隠し芸用」
「お月見だと?我らの地に土足で踏み込んでおきながら、そんな呑気なことをしていたと言うのか!」

 ぬえの言葉に激昂した依姫が両手で刀を構えたが、ぬえの言葉を真に受けた白蓮が音もなく背後に立ち、強張った両肩をほぐすように手を置きながら言った。

「あらまあ、そんなに怖い顔をしていてはだめですよ。楽しい席が台無しになってしまうわ」
「こ、こら!離せ――」

 振り払おうと肩に力を込めたがびくともしない。軽い戦慄を覚えた依姫に白蓮はなおも明るい口調で語りかけた。

「この世には一期一会という言葉があります。ここに来たのも何かの縁。一緒に心行くまで楽しむのも一興ですよ」
「いや、私は月と地上の秩序を守る者としての務めを」
「まあ落ち着きたまえ。聖のついた団子は美味いから一度食べたほうがいいぞ。それに君も我らがニュー聖輦船の雄姿を見たいだろう?うん?見たいだろう?」
「い、いやだから私は」
「ほらほら、立ち話もあれだから、座って話すとしましょう」

 サングラスの縁を持ち上げながら村紗が自慢げに言う。天然の白蓮に対してこちらが悪乗りしていることは、つり上がった口の端や口調から簡単に予測できた。

「けほっけほっ……おや?一体なんなんでしょう」
「ぬえが言うには客らしいな。私も詳しいことはわからんが」
「ほうお客様ですか。ならばここは命蓮寺の一人として、誠意をもって応対せねば」

 一輪がどう状況を収めようと頭を抱えていた所に、それまで星の喉に詰まった団子に手一杯で、今の状況がわかっていない星とナズーリンが合流してくる。案の定二人はぬえの発言を鵜呑みにし、あまつさえ星は強引に座らされた依姫に緑茶入りの湯呑みと団子をいそいそと差し出した。

「粗茶ですが」
「いや、どうもお構いなく……」

 依姫ですら勘違いから生まれたこの場の空気にのまれかかっている。正気を保っているのは恐らく自分だけだろうと一輪は考えた。そして一輪はまた、自分一人でこの間違いを修正することも不可能だということもわかっていた。最早どうすることもできなくなって、
 ――その内一輪は考えることを止めた。




 それから数分後、依姫からの連絡が無いことを不審に思い、兎を連れて様子を見に来た豊姫は絶句した。見知らぬ人間や妖怪と一緒に円を作って団子をうまそうに食べている依姫とレイセンの姿が見えたからだ。
 額に皺を寄せながらその輪にゆっくりと近づき、ぴったりくっついている依姫とレイセンの真後ろに立って言った。

「何してるのよ二人とも」
「お姉様!?」
「と、豊姫さっ……ゲホッゲホッ!」

 突然のことに驚いて後ろを振り返る依姫。レイセンも振りかえろうとしたが、驚いた拍子に団子がのどに詰まり、その場で喉を押さえてもんどり打つことになってしまった。
 星が慌てて湯呑みをレイセンに差し出す傍ら、他の面々は新たな来訪者を奇異の視線で見つめていた。

「また客かな?」
「そういえば、さっき依姫が姉って言ってたような気がするんだが」
「ならば客人であろう。一輪、団子の用意を頼む。お汁粉は私が出そう」
「はいはい、お団子はとりあえず4個でいいかな。あと村紗、キャラ作るのやめない?」
「村紗ではない!今の私はキャプテン・ムラサだ」
「ダメですよ一輪。こうなった村紗はもう止まりません。レイセン、もう一杯飲みますか?」
「は、はい、お願いします」

 あらゆる所から次々と噴き出してくる台詞による応酬。会話に割り込むタイミングを完全に逃した豊姫は、肩をすくめて依姫に話しかけた。

「これはどういうこと?」
「いや、私も拒否しようとしたんですけれど……空気というか、雰囲気に流されてしまって。ごめんなさい、気付いたらこんなことになっていたのです」
「あらそうだったの。もぐもぐ。依姫、貴方にはもう少し月人としての自覚を持って貰いたいわね。むぐむぐむぐ、ごくん」
「……そう言うお姉様は何を食べてんですか?」
「いや、貰えるものは貰っとかなきゃと」

 そう言って何食わぬ顔で団子を頬張る豊姫。気がつけば豊姫が連れてきた兎たちも一緒に団子を食べたりお汁粉を飲んだりしている。そうして我が道を行く姉を依姫はジト目で見つめていた。

「何か言いたげね依姫。どうしたの?」
「掃いて捨てるほどありますがここで全部言うのはやめておきます。それよりも――」
「わかっているわよ。彼らは恐らく地上から来た者たち。長居は許されない。早々に元いた場所へと帰ってもらうわ。でも今は」

 そこで一度言葉を切り、レイセンの方へ視線を向ける。レイセンはお汁粉の入ったお椀を持ちながら、サングラスをかけたセーラー服姿の少女の話に耳を傾けている。
 とても楽しそうに笑っていた。

「――ね?」
「……お姉様らしくありません」
「あの子の笑顔と引き換えにはできないわ。それに前にも言ったでしょ?貰えるものは貰う、って」

 そう言って不敵に笑った豊姫は団子をつまんで口の中に放り込み、
 喉を詰まらせた。




「貴方達、とんでもないことしてくれたわね」

 命蓮寺と月人による奇妙な月見から数日経ったある夜、命蓮寺の縁側にて八雲紫はスキマから上半身だけを出して事の顛末を白蓮から聞いていた。ついでに紫は白蓮にこれまでの幻想郷と月の関係についても簡潔に語った。
 その間額に青筋を立てることは無かったが、その顔に張り付いた笑顔からは無言の圧力がかけられていた。
 それを聞いた白蓮は静かに湯呑みを置き、申し訳なさそうに目を閉じて紫に言った。

「そこまで込み入った事情があったとは露知らず、この度の軽薄な行動、誠に申し訳ありませんでした」
「まあ、過ぎたことをとやかく言うつもりは無いけど……って土下座しなくていいから。というかこのタイミングでそれをするのかお前は」
「いえ、私はただ謝罪をしようと」
「いいって、いいって。全く貴方はお固いんだから、少しは博麗の巫女の軽さも見習った方がいいわよ」

 頭を下げようとする白蓮をそれまでとは変わって必死の形相で止めようとする紫。事情が飲み込めずきょとんとする白蓮に、紫は軽い咳払いをしてから言った。

「まあとりあえず、お月見の方はどうだった?」
「ええ、そちらの方はとても楽しめました」
「それは良かった。それにしてもまさか月の連中を引きこめるとは、有難い説法でも聞かせたのかしら?」
「いえ。勘違いとは言え、私たちは誠意をもって彼らに接しただけです。邪念を持たず素直な心で接する。そうすれば、相手も自ずと心を開いてくれるのです」

 そう言って静かに両手を合わせる白蓮。それを見た紫はどこか感心したような呆れたような複雑な表情をしながら、白蓮に話しかけた。

「貴方ってよくわからない奴ね。聖人なのか、ただの酔狂なのか」
「私はただ、自分が正しいと思ったことをしているだけです」
「まあ、頑固な奴だってことはわかったけど」
「それは自覚しております」
「そこは否定しときなさいよ。まったく、貴方と話してると調子がくるって仕方ないわ」

 紫は笑いながらそう言って、スキマの縁に手をかけてその中に音もなく消えようとする。

「もう帰られるのですか?」
「ええ。流石に夜も遅いし、夜更かしは美容の敵だから」

 紫は白蓮にそう告げ、ウインクをしてからスキマの中に消えようとする。しかし帽子以外を沈めた段階で動きを止め、再び上半身をスキマの外に出してきた。

「あのさあ、話は変わるんだけど」
「何でしょうか?」
「明日でいいから、お汁粉余ってたら分けてくれない?」




 翌日、八雲家の食卓には三色お汁粉が並んだ。
あ…ありのまま、いま起こったことを話すぜ!
『おれは、パソコンの前で蓮メリのSSを書いていたと思ったら
 いつのまにかこの話を作っていた』
な…、何を言っているのかわからねーとおm(ry



とりあえず、白蓮さんはかっこいいと思います。
重曹
suibotsugyaaaa@yahoo.co.jp
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コメント



0.380簡易評価
2.無評価名前が無い程度の能力削除
>一輪の提案に星とぬえが賛成する。そしてそれを見た一輪がここぞとばかりにまくしたてる
あれ?村紗が言い出したんじゃないの?それとも自分の読解力が無いのか…
8.70名前が無い程度の能力削除
村紗のキャプテンモードがよかったですw あと白蓮さん土下座はゆかりんには逆効果……

ちょっとうまく言えないんですが、せっかく命蓮寺メンバーや儚月抄メンバーを出したのに月見というストーリーだけしかなくて
キャラの会話や行動がストーリーに即した予定調和(テンプレなやり取り)だったり、ただ居るだけのキャラだったり、なのが残念でした。
せっかくのこの人選ならもっと色んな事をしたり喋ったり会話したりして欲しかったです。というかそういうのが見たかった。
10.90名前が無い程度の能力削除
村沙かっこいい
11.80名前が無い程度の能力削除
これはいい話。
言葉にするのもおぞましい『あれ』。って結局なんなんだ……
12.30名前が無い程度の能力削除
一輪とムラサごっちゃになってません?
13.90名前が無い程度の能力削除
よっちゃんが出てくるSSはこういう話がいいんだよ
14.100名前が無い程度の能力削除
緊迫した展開になりがちな綿月姉妹でこういう話は貴重
変なしがらみはそれを知らないものが解きほぐすのです。命蓮時マジ平和への架け橋
17.80名前が無い程度の能力削除
流石のチート姉妹もほのぼの一家には勝てなかったかwww
19.80非現実世界に棲む者削除
地上の妖怪達の恐るべき懐柔能力!
命連寺の妖怪達はみんな暢気ですねえ~。